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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65B
管理番号 1156835
審判番号 不服2006-5453  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-23 
確定日 2007-05-09 
事件の表示 平成 7年特許願第321420号「製造情報マーク出力装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 6月17日出願公開、特開平 9-156618〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本件発明
本件は、平成7年12月11日に特願平7-321420号として特許出願され、平成18年2月13日付けで拒絶査定されたものであって、その請求項1に係る発明は、平成18年4月21日付け手続補正書により補正された請求項1に記載された下記のものと認められる。

「【請求項1】図面番号に対応させて製品の形状データを記憶する第1の記憶手段と、複数の製造情報を、人間が視覚的に区別でき、製造情報を示す複数のマークに対応させて記憶する第2の記憶手段と、図面番号を指定すると、前記第1の記憶手段から対応する形状データを読み取る第1の読取手段と、読み取られた形状データに対してマーク出力位置を点で指定する手段と、特定の製造情報を指定すると、前記第2の記憶手段から対応するマークを読み取る第2の読取手段と、前記第1の読取手段で読み取られた形状データに対して前記第2の読取手段で読み取られたマークを、前記マーク出力位置に合成する手段と、を具備することを特徴とする製造情報マーク出力装置。」

2.引用文献の記載事項
(1)引用文献1
原査定時に示した本願出願前に頒布された刊行物である特開平3-282972号公報(以下「引用文献1」という)には、下記の事項が記載されている。

ア.本発明は、コンピューター等を用いて自動的にパッケージ(容器)の台紙見本を作成し得るパッケージデザイン装置に関するものである。」(第1頁左下欄第17-19行)

イ.「まず、操作員がパッケージの種類を入力する(ステップSP1)。パッケージの種類とは、パッケージの形状、のり付け部の位置に応じてパッケージの展開図(ブランク図)を分類したものであり、CAD装置の記憶手段内にこのパッケージの種類に対応するブランク図の基本パターンが記憶されている。」(第3頁右上欄第2-8行)

ウ.「最後に、第5図(a)に示すように、CAD装置の演算処理手段は、入力されたデータに基づいて、記憶手段内の基本パターン、部品パターンを適宜読み出しながら必要とするパッケージのブランク図20を作成し(ステップSP4)、これを表示手段を用いて画面上に表示する。」
(第3頁左下欄第9-14行)

エ.「まず、第6図(b)に示すように、背景の色及び塗りつぶす領域11をマウス等のポインティングデバイスを用いて前記画面上で指定する。次に、背景に位置すべきパターン12を、第5図(b)に示すように、記憶手段21内に予めデータベースとして格納された各種パターンから選択し、色を指定した後所定の大きさに拡大・縮小し、さらにパターンを配置すべき領域を画面上で指定する(ステップSP12)。」
(第4頁右上欄第5-13行)

オ.「すなわち、記憶手段21内に予めデータベースとして格納された各種カラー画像データ13、又はカラースキャナー等により新規入力されたカラー画像データを選択し、所定の大きさに拡大・縮小した後、この画像を配置すべき領域14を画面上で指定する(ステップSP13)。」
(第4頁右上欄第16行-左下欄第2行)


カ.「この状態で、操作員が指示手段2を用いて画面上の画像データとブランク板との対応付けを行う(ステップSP25)。対応付けの方法は任意であり、例えば、現在表示されている画像データが配置されるべきブランク板のフラップを指示手段2のポインティングデバイスで指示するような方法が挙げられる。」(第4頁右下欄第11-16行)

してみると、引用文献1には、下記の発明が記載されていると認められる。

「パッケージの種類に対応させてパッケージのブランク図の基本パターンを記憶する記憶手段と、複数の画像データを記憶する記憶手段と、パッケージの種類を入力すると、前記記憶手段から対応する基本パターンを読み出す読取手段と、読み出された画像データに対して配置すべき領域を指定する手段と前記読み出し手段で読み出された画像データを、前記指定位置に合成する手段と、を具備することを特徴とするパッケージCAD装置。」

(2)引用文献2
原査定時に示した本願出願前に頒布された刊行物である特開平7-156459号公報(以下「引用文献2」という)には、下記の事項が記載されている。

キ.「ところで、50個のカートンが詰め込まれたとき、たばこ製造工場の工場番号、製造年月日、段ボール詰め機の機械番号や、その製造年月日にて段ボール詰め機から搬出された段ボール箱の製造順序番号、つまり、生出番号などの製造情報が各段ボール箱に付与され、これにより、その段ボール箱の製造情報が外部から視認可能となっている。」(【0004】)

ク.「外箱の蓋片を封函テープによりシールして包装する外包機に組み込まれ、ロールから所定の長さずつ繰り出される封函テープに、外包機の機械番号、外包機での包装順序番号及び包装日の項目を含む情報をコード化して印刷する印刷手段」(【0010】)

ケ.「一方の封函テープ供給装置6には、図2及び図5に示されているようにロール8と案内ローラ30との間に位置して、ドットインパクト方式の前記印刷ヘッド10が配置されており、この印刷ヘッド10は前記印刷用コンピュータ12に電気的に接続されている。
印刷用コンピュータ12には、たばこ製造工場の工場番号KN、その外包機2の機械番号、すなわち、外包機番号GN、製造年月日YMD、その外包機2により外箱B内に収容されるカートンCの製造銘柄番号MNが与えられ、また、印刷用コンピュータ12は、その製造年月日に外包機2から搬出された外箱Bの生産番号、つまり、外箱Bの生出番号BNを生成し、そして、これらKN,GN,YMD,MN,BNの項目をバーコード化した印刷データを印刷ヘッド10に向けて出力する。」(【0024】)

コ.「したがって、一方の封函テープ供給装置6から順次供給される封函テープ4には、その生出番号BNの項目のみが異なるバーコードが印刷されることになる。つまり、他の工場番号KN、製造銘柄番号MN及び外包機番号GNの項目は固定値であり、その製造年月日YMDの項目もまたその1日の作業中においては一定値となる。それ故、KN,MN,GNの項目に関しては、印刷用コンピュータ12内の図示しない内部メモリに格納しておけば、この内部メモリから読み出すことができ、また、製造年月日YMDの項目に関しても、印刷用コンピュータ12自体の内部タイマから、その作業日の製造年月日YMDを自動的に読み出すことができる。」(【0032】)

サ.「この実施例の場合、封函テープ4にはバーコードの他に、そのバーコードの内容を示す数値データもまた同時に印刷されているから、作業者は、封函テープ4の数値データを視認するだけで、その外箱Bの製造情報を把握することができる。」(【0041】)

3.対比・判断
本件請求項1に係る発明の「製品」,「形状データ」,「第1の記憶手段」及び「第2の記憶手段」,「マーク」が、引用文献1に記載された発明の「パッケージ」,「パッケージの種類」、「記憶手段」,「画像データ」に相当すると認められる。
してみると、両者の一致点は

「図面の種類に対応させて製品の形状データを記憶する第1の記憶手段と、人間が視覚的に区別できる複数のマークを記憶する第2の記憶手段と、図面を指定すると、前記第1の記憶手段から対応する形状データを読み取る第1の読取手段と、読み取られた形状データに対してマーク出力位置を指定する手段と、マークを、前記第2の記憶手段から読み取る第2の読取手段と、前記第1の読取手段で読み取られた形状データに対して前記第2の読取手段で読み取られたマークを、前記マーク出力位置に合成する手段と、を具備することを特徴とするマーク出力装置。」

と認められる。

一方両者の相違点は、
A.本件請求項1に係る発明が 「図面番号」と特定をしているのに対して、後者が「図面の種類」を選択する手段を具体的に特定していない点

B.本件請求項1に係る発明は、記憶手段から「特定の製造情報」に対応して読み出されたマークであるのに対して、後者のマークの内容が特定されていない点。

C.本件請求項1に係る発明が「点で指定」しているのに対して、後者が、本件の明細書中の実施例と同様にマウスを用いてはいるものの、マーク出力位置を指定する方法を具体的に特定していない点。

の3点と認められる。
上記相違点について検討する。
a.相違点A.について
図面を特定するのに、「図面番号」を用いることは、本願出願前において、周知のものである(例えば特開平4-155583号公報には「発行受付要求を図面番号と共に受信(301)することにより発行受付プログラム23が駆動される。」(第4頁右下欄第5-7行)と記載されている)。してみると、引用文献1に記載された発明において、図面を特定するのに「図面番号」を用いると限定することは、周知事項の付加に過ぎない。

b.相違点B.について
本件明細書には、
「【発明の属する技術分野】
本発明は、商品の包装箱等を印刷する過程で必要とされる情報を提供する製造情報マーク等を製品図面上の適切な位置に出力する製造情報マーク出力装置に関するものである。」(【0001】)

と記載されている。一方、引用文献1及び2に記載された発明もパッケージ(容器)(記載事項ア.参照)及びたばこを収容する段ボール箱に係る発明に関するものであるから、引用文献2に記載された「段ボール箱」は、引用文献1に記載された発明の「パッケージ」と互いに同等なものであると共に、本件請求項1に係る発明の「製品」とも同等のものであると認められる。
また、予め製造情報を記憶する機能を有しているという点で、本件請求項1に係る発明の「第2の記憶手段」と引用文献2に記載された発明の「内部メモリ」(上記記載事項ケ.)は、互いに同等な機能を有するものと認められる。さらに、記載事項ク.によれば、引用文献2に記載された発明においては、「製造情報」は、「コード」とされるものである。
してみると、段ボール箱に、内部メモリに記憶された「コード」とされた製造情報を表示することは引用文献2に記載されており、本願出願前に公知の事項であるから、引用文献1に記載されたパッケージに表示を行うことを目的とした発明において、その表示内容として、「製造情報」を「記憶手段から選択して「製品」に表示するように構成し、上記相違点B.に記載された本件請求項1に係る発明のように構成することは、当業者が容易になし得た程度の事項に過ぎない。なお、製造情報を示す手段として本件請求項1に係る発明のように「マーク」を用いるか、引用文献2の上記記載事項ク.及びケ.に示された「数字」や「コード」を用いるかは、「人間が視認」することを考慮しつつ、適宜選択する等価な事項に過ぎない。

c.相違点C.について
一般に、マウスで位置を指示する際には、点を用いることが周知であることを考慮すると、引用文献1に記載された発明において、「点」を用いることは、マウスを使用する際、当業者が適宜選択し得る周知手段に限定したものに過ぎない。

4.むすび
したがって、本件請求項1に係る発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-02-28 
結審通知日 2007-03-06 
審決日 2007-03-19 
出願番号 特願平7-321420
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 窪田 治彦一ノ瀬 覚  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 田中 玲子
石田 宏之
発明の名称 製造情報マーク出力装置  
代理人 井上 誠一  

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