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審決分類 審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1156912
審判番号 不服2004-14105  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-08 
確定日 2007-05-07 
事件の表示 特願2001-166288号「液晶駆動方法と液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年1月31日出願公開、特開2002-32066号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件は、平成5年7月29日にされた特許出願(特願平5-207268号)に基づく優先権を主張して平成6年7月1日にされた特許出願(特願平6-173270号)の分割出願として平成13年6月1日にされた特許出願(以下「本件出願」という。)につき、拒絶査定が平成16年5月28日付けでされたところ、請求人が「原査定を取り消す、本願は特許をすべきものである」との審決を求めて拒絶査定不服審判を同年7月8日に請求したものである。

第2 本件出願に係る発明
本件出願に係る発明は、平成16年1月7日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 抵抗分圧回路により正側及び負側の複数からなる階調電圧を形成するとともに、信号振幅が小さくなるに従って、正側の階調電圧が減少し、負側の階調電圧が増大し、正側の階調電圧と負側の階調電圧との平均値が、コモン電圧に対して増大するように上記各階調電圧を形成し、表示信号に対応して上記各階調電圧をTFT液晶表示パネルに供給することを特徴とする液晶駆動方法。
【請求項2】 複数からなる階調電圧の信号振幅が小さくなるに従って、正側の階調電圧が減少し、負側の階調電圧が増大し、正側の階調電圧と負側の階調電圧との平均値が、コモン電圧に対して増大するように抵抗比が設定されて各階調電圧を設定する抵抗分圧回路と、上記階調電圧を出力するバッファ回路と、表示信号に従った階調電圧をTFT液晶表示パネルに供給する液晶ドライバとを備えてなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】 上記抵抗分圧回路の両端には、最大振幅電圧と基準電圧との加算電圧と減算電圧とが交流化信号により交互に供給されるとともに、2つの中点を設けて調整可能にされた中点電圧が交流化極性に応じて供給されるものであることを特徴とする請求項2の液晶表示装置。
【請求項4】 複数からなる階調電圧の信号振幅が小さくなるに従って、正側の階調電圧が減少し、負側の階調電圧が増大し、正側の階調電圧と負側の階調電圧との平均値が、コモン電圧に対して増大するように抵抗比が設定されて各階調電圧を設定する抵抗分圧回路と、表示信号に従った階調電圧が供給されるTFT液晶表示パネルとを備えてなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】 表示信号に従った階調電圧を上記TFT液晶表示パネルに供給する液晶ドライバを備えてなることを特徴とする請求項4の液晶表示装置。
【請求項6】 上記階調電圧を出力するバッファ回路を備えてなることを特徴とする請求項4の液晶表示装置。」

第3 引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された特願平4-3507号(以下「先願」という。出願人日本電気株式会社。発明者渡辺貴彦。平成5年8月13日公開、特開平5-203918号。)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「先願明細書等」という。)には次のような記載がされている。
1 「【0001】【産業上の利用分野】本発明はアクティブマトリクス液晶表示装置に関し、特に薄膜トランジスタのゲート-ソース電極間の寄生容量とゲート電圧変化によって生じる表示電極電位の変化を信号電圧値で補正することを特徴とするアクティブマトリクス液晶表示装置に関する。」
2 「【0002】【従来の技術】従来のアクティブマトリクス液晶表示装置の駆動電圧を図4,アクティブマトリクス液晶表示アレイ一画素分の等価回路を図5,ゲート信号-表示電極電位の変化を図6,液晶の印加電圧-誘電率グラフを図7に示す。【0003】従来の駆動方法は図4に示すように信号電圧中心11を8V一定として図5に示す信号線13に入力し、薄膜トランジスタ(TFT)15をゲート線14に入力するゲート信号18(図6参照)でON、OFFさせて任意のゲート線の表示電極容量・・・に電圧を書き込んでいた。【0004】図6に示すようにこの表示電極電位20はゲート信号18がオフする時のゲート振幅(VG)19とゲート-ソース間寄生容量(CGS)17(図5参照)によってフィードスルー電圧(ΔV)21を生じる。【0005】・・・電圧(ΔV)はゲート振幅(VG),ゲート-ソース間寄生容量(CGS),ゲート線の表示電極容量(CLC)によって(1)式の様に表される。【0006】ΔV=CGS/CGS+CLC×VG …(1) この為、最適共通電極電位22は信号電圧中心23よりΔVだけ-側に設定し液晶に直流電圧を印加しない様にしていた。【0007】しかし液晶は図7に示す様に印加される電圧によって誘電率εすなわちゲート線の表示電極容量(CLC)が変化し・・・電圧(ΔV)が変化してしまう。いま印加電圧が4.5Vと0Vの時のΔVを計算すると (使用数値)CGS=0.018pF,VG=20V CLC(印加電圧4.5V)=0.1pF,CLC(印加電圧0)=0.05pF ΔV(印加電圧4.5V)=0.018/0.1+0.018×20=2.5(V) ΔV(印加電圧0V)=0.018/0.05+0.018×20=4.5(V) となり印加電圧によって・・・電圧(ΔV)が変化する為に最適共通電極電位12は図4に示される様に液晶印加電圧すなわち階調によって変化し傾きをもつことになる。」
3 「【0008】【発明が解決しようとする課題】この従来のアクティブマトリクス液晶表示装置では信号電圧中心が一定に設定されていたので液晶の異方性による誘電率変化でフィードスルー電圧も変化してしまい、仮にある階調のフィードスルーオフセット電圧値にあわせて共通電極電位を設定すると他の階調では共通電極設定値と最適値にズレが生じて液晶に直流電圧が印加され、表示焼き付きもしくは液晶自体の破壊につながり、表示性能や信頼性を著しく低下させるという問題点があった。」
4 「【0009】【課題を解決するための手段】本発明によれば、少なくとも一方に薄膜トランジスタを有する二枚の電極基板間に液晶を挟持し、電極基板間の印加電圧を変化させることによって光の透過率を変化させて階調表示を行うアクティブマトリクス液晶表示装置において、印加電圧の信号中心電圧を階調によって補正するアクティブマトリクス液晶表示装置が得られる。【0010】更に本発明によれば、印加電圧の振幅を小さくするに従って、信号中心電圧を大きくするアクティブマトリクス液晶表示装置が得られる。」
5 「【0011】【実施例】次に本発明について図面を参照して説明する。【0012】・・・アクティブマトリクス液晶表示装置の第1の実施例の駆動方法による階調信号電圧設定値(例として16階調駆動で示す)を図1、本発明の駆動を実現する階調電源回路の第1の実施例を図2、デジタルドライバーによる液晶駆動用システムの第1の実施例を図3に示す。【0013】図3におけるデジタルドライバー7は入力された階調電圧6をスイッチ10で選択して液晶ディスプレイ9の信号線へ出力する。(スイッチ10はコントロール信号8で選択される)この為図2の回路で信号振幅を帰還抵抗(VR1)・・・、信号中心電圧をオフセット調整抵抗(VR2)・・・で各階調毎に調整した出力電圧5をドライバーに入力して図1の駆動電圧を実現する。また、信号電圧の設定は図4に示す従来の駆動方法における各階調の最適共通電極電圧をスペクトラムアナライザーを用いたフリッカー成分測定によって求め、0階調の最適電位5.5Vを基準として各階調の信号中心電圧に対する補正値を(2)式によって与える。【0014】-1×((X階調の最適共通電極電圧値)-5.5)=X階調信号電圧補正値 …(2) (2)式によって求められた電圧値で補正を行ったものが図1の駆動電圧となる。」
6 「【0015】【発明の効果】以上説明したように本発明は各階調信号中心に補正を掛けることにより共通電極電位に対する電圧ズレを無くすことにより液晶に直流電圧を印加することなく階調表示駆動が行えることになり焼き付き、液晶破壊の防止となる。」

第4 当審の判断
本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)と先願明細書等に記載された発明とを対比すると、先願明細書等に記載された各階調毎の駆動電圧、信号中心電圧、共通電極電圧は、それぞれ本願発明の「正側及び負側の複数からなる階調電圧」、「正側の階調電圧と負側の階調電圧との平均値」、「コモン電圧」に相当し、先願明細書等に記載された印加電圧の振幅を小さくするに従って信号中心電圧を大きくすることは本願発明の「信号振幅が小さくなるに従って」「正側の階調電圧と負側の階調電圧との平均値が、コモン電圧に対して増大するように上記各階調電圧を形成」することに相当し、先願明細書等に記載された薄膜トランジスタを有するアクティブマトリクス液晶表示装置のパネルは、本願発明の「TFT液晶表示パネル」に相当する。
そうすると、本願発明と先願明細書等に記載された発明とは、「正側及び負側の複数からなる階調電圧を形成するとともに、信号振幅が小さくなるに従って」「正側の階調電圧と負側の階調電圧との平均値が、コモン電圧に対して増大するように上記各階調電圧を形成し、表示信号に対応して上記各階調電圧をTFT液晶表示パネルに供給する」「液晶駆動方法」である点で一致し、本願発明では電圧を形成するために「抵抗分圧回路」を用い、信号振幅が小さくなるに従って「正側の階調電圧が減少し、負側の階調電圧が増大」するのに対し、先願明細書等に記載された発明ではこのような電圧を発生する抵抗分圧回路を用いていない点で一応の相違が認められる。
これについて検討すると、複数の電圧を形成するために抵抗分圧回路を用いることは慣用手段であり、液晶駆動の技術分野においても、正側及び負側の複数からなる階調電圧を形成するために抵抗分圧回路を用いることは、例えば特開平3-89393号公報(特に5頁右上欄15行?左下欄18行及び第3図)にも示され、慣用されているところであり、このような抵抗分圧回路においては、印加電圧の振幅が小さくなるに従って正側の階調電圧が減少し、負側の階調電圧が増加することは明らかである。
そうすると、本願発明は、先願明細書等に記載された発明において、複数の電圧を形成するための手段として印加電圧の振幅が小さくなるに従って正側の階調電圧が減少し、負側の階調電圧が増加する抵抗分圧回路という慣用手段を採用したものであり、先願明細書等に記載された発明と実質的に同一である。
そして、先願である特願平4-3507号の発明をした者は本件出願に係る発明の発明者(亀井達生、岩本健一、大脇義雄及び大和田淳一)と同一の者ではなく、本件出願の時にその出願人(株式会社日立製作所及び日立デバイスエンジニアリング株式会社)と先願の出願人とは同一の者ではない。
したがって、本願発明については、特許法29条の2の規定により特許を受けることができない。

第5 まとめ
以上のとおりであるから、本件出願の請求項1に係る発明である本願発明は特許法29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その余の請求項に係る発明について判断を示すまでもなく、本件出願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-02 
結審通知日 2007-03-07 
審決日 2007-03-20 
出願番号 特願2001-166288(P2001-166288)
審決分類 P 1 8・ 16- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 濱本 禎広  
特許庁審判長 瀧 廣往
特許庁審判官 山口 敦司
山川 雅也
発明の名称 液晶駆動方法と液晶表示装置  
代理人 徳若 光政  
代理人 徳若 光政  

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