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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1156953 |
審判番号 | 不服2005-687 |
総通号数 | 90 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-01-12 |
確定日 | 2007-05-07 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第309571号「デジタル複写装置、画像入出力装置、及び、印刷装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 5月21日出願公開、特開平11-136477〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続きの経緯・本願発明 本願は、平成9年10月24日の出願であって、平成16年12月3日に拒絶査定がされ、これに対して平成17年1月12日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 本願の発明は、平成16年11月10日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 複写後に再印刷することができるデジタル複写装置であって、 原稿画像を読み取る読み取り手段と、 前記読み取り手段で読み取った画像データを印刷する印刷手段と、 前記読み取り手段で読み取った画像データを再印刷のために格納する画像データ記憶手段と、 脱着可能な記録媒体を装着するためのコネクタ手段と、 前記コネクタ手段に前記記録媒体が装着されている状態、及び、装着されていない状態を検出する検出手段と、を備え、 前記検出手段が前記コネクタ手段に前記記録媒体が装着されていない状態を検出すると、前記読み取り手段で読み取った画像データを前記画像データ記憶手段に格納し、前記検出手段が前記コネクタ手段に前記記録媒体が装着されている状態を検出すると、前記読み取り手段で読み取った画像データを前記画像データ記憶手段に格納することなく前記記録媒体に格納することを特徴とするデジタル複写装置。」 2 引用例 原査定の拒絶の理由として引用された特開平5-122477号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が図面と共に開示されている。(記載箇所は段落番号等で表示) ア 「【請求項1】 複写動作を行った後に、画像メモリに記憶された画像データを再度使用して複写動作を行うことが可能な第1動作モードと、 複写動作を行った後に、画像メモリに記憶された画像データを使った複写動作を禁止する第2動作モードと、 を有することを特徴とする画像メモリ付き複写装置。」 イ 「【0014】【実施例】図1は、本発明の一実施例による複写装置の基本的構成を示すブロック図である。 【0015】この複写装置は、原稿から画像情報を読み取るための原稿読取部1と、この原稿読取部1により読み取られた画像情報を記憶するための画像記憶部2と、この画像記憶部2に格納された画像情報に従って紙等の記録材に原稿画像を形成する画像形成部3と、上記原稿読取部1、画像記憶部2および画像形成部3の制御、管理を行う制御部4とを有する。なお、上記画像記憶部2は、少なくとも原稿1頁分の画像情報を記憶することが可能である。」 前掲ア及びイの記載によると引用例1には、「複写動作を行った後に、画像メモリに記憶された画像データを再度使用して複写動作を行うことが可能な複写装置であって、原稿から画像情報を読み取るための原稿読取部1と、画像情報に従って紙等の記録材に原稿画像を形成する画像形成部3と、この原稿読取部1により読み取られた画像情報を記憶するための画像記憶部2と、を備えた複写装置」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 同じく、原査定の拒絶の理由として引用された特開平8-228273号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が図面と共に開示されている。(記載箇所は段落番号で表示) ウ 「【0005】【作用】したがって本発明によれば、FAX受信中にICメモリカードに空きが無くなった場合、操作者にブザーでICメモリカードの交換を促し、本体メモリに空きが無くなるまでにICメモリカードの交換を行えば、通信を途中で終了すること無くデータの受信を全うすることができる。 【0006】【実施例】図1は本発明の実施例の構成を示すものである。10はICメモリカード付きファクシミリ装置であり、11は相手端末に対し回線の接続/切断を行う通信制御部であり、12は通信制御部11により接続された回線を使いアナログデータとしてデータを送受信するモデムである。17は受信FAXデータを通常格納するためのICメモリカードであり、16は、ICメモリカード17にデータを読み書きし、ICメモリカードの着脱を可能にしかつ、着脱時にそれを検知し通知する機能をもつICメモリカードインタフェースである。18はICメモリカード17に空きが無い場合に受信データを一時的に格納する本体RAMである。」 3 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「複写装置」は、複写動作を行った後に、画像メモリに記憶された画像データを再度使用して複写動作を行うことが可能であり、また、画像データをデジタル情報として画像メモリに記憶していることは当業者にとって明らかな事項であるから、本願発明の「複写後に再印刷することができるデジタル複写装置」に相当するといえる。 引用発明の「原稿から画像情報を読み取るための原稿読取部1」、「画像情報に従って紙等の記録材に原稿画像を形成する画像形成部3」、及び「この原稿読取部1により読み取られた画像情報を記憶するための画像記憶部2」は、本願発明の「原稿画像を読み取る読み取り手段」、「前記読み取り手段で読み取った画像データを印刷する印刷手段」、及び「前記読み取り手段で読み取った画像データを再印刷のために格納する画像データ記憶手段」にそれぞれ相当する。 以上を踏まえると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。 【一致点】 複写後に再印刷することができるデジタル複写装置であって、 原稿画像を読み取る読み取り手段と、 前記読み取り手段で読み取った画像データを印刷する印刷手段と、 前記読み取り手段で読み取った画像データを再印刷のために格納する画像データ記憶手段と、を備えたデジタル複写装置。 【相違点】 本願発明は、「脱着可能な記録媒体を装着するためのコネクタ手段と、 前記コネクタ手段に前記記録媒体が装着されている状態、及び、装着されていない状態を検出する検出手段と」を備え、「検出手段がコネクタ手段に記録媒体が装着されていない状態を検出すると、読み取り手段で読み取った画像データを画像データ記憶手段に格納し、検出手段がコネクタ手段に記録媒体が装着されている状態を検出すると、読み取り手段で読み取った画像データを画像データ記憶手段に格納することなく記録媒体に格納する」のに対し、引用発明は、コネクタ手段、及び検出手段を備えず、単に画像データ記憶手段に画像データを格納する点。 4 当審の判断 上記相違点について検討する。 引用例2の前掲ウの箇所には、受信FAXデータを通常格納するためのICメモリカードと、ICメモリカードにデータを読み書きし、ICメモリカードの着脱を可能にしかつ、着脱時にそれを検知し通知する機能をもつICメモリカードインタフェースと、ICメモリカードに空きが無い場合に受信データを一時的に格納する本体RAMとを備え、FAX受信中にICメモリカードに空きが無くなった場合、操作者にブザーでICメモリカードの交換を促し、本体メモリに空きが無くなるまでにICメモリカードの交換を行えば、通信を途中で終了すること無くデータの受信を全うすることができる受信FAXデータ格納手段について記載されている。 前記引用例2記載の受信FAXデータ格納手段において、ICメモリカード交換時のICメモリカードがICメモリカードインタフェースに装着されていない状態で、受信FAXデータを本体RAMに格納すること、及び、十分な空き容量を持つICメモリカードがICメモリカードインタフェースに装着されている状態で、受信FAXデータを本体RAMに格納することなくICメモリーカードに格納することは、いずれも当業者にとって明らかな事項である。 そして、前記引用例2記載の受信FAXデータ格納手段の「ICメモリカード」、「ICメモリカードインタフェース」、「着脱時にそれを検知し通知する機能」、及び「本体RAM」は、「脱着可能な記録媒体」、「脱着可能な記録媒体を装着するためのコネクタ手段」、「コネクタ手段に記録媒体が装着されている状態、及び、装着されていない状態を検出する検出手段」、及び「画像データ記憶手段」にそれぞれ相当するから、引用例2には、「脱着可能な記録媒体を装着するためのコネクタ手段と、前記コネクタ手段に前記記録媒体が装着されている状態、及び、装着されていない状態を検出する検出手段と」を備え、コネクタ手段に記録媒体が装着されていない状態で、受信FAXデータを画像データ記憶手段に格納し、コネクタ手段に記録媒体が装着されている状態で、受信FAXデータを画像データ記憶手段に格納することなく記録媒体に格納する受信FAXデータ格納手段(以下、「引用例2記載の発明」という。)が記載されていると認められる。 受信FAXデータは画像データであり、その格納技術は画像データ格納技術と共通するものであるから、引用発明における画像データを格納する技術として引用例2記載の発明を適用し、「脱着可能な記録媒体を装着するためのコネクタ手段と、前記コネクタ手段に前記記録媒体が装着されている状態、及び、装着されていない状態を検出する検出手段と」を備え、コネクタ手段に記録媒体が装着されていない状態で、読み取り手段で読み取った画像データを画像データ記憶手段に格納し、コネクタ手段に記録媒体が装着されている状態で、前記読み取り手段で読み取った画像データを画像データ記憶手段に格納することなく記録媒体に格納することは、当業者が容易に想到し得ることと認められる。 また、コネクタ手段に記録媒体が装着されている状態か否かを検出手段で検出することは、脱着可能な記録媒体にデータを格納する技術分野において当然行われる慣用技術であるから、引用発明に引用例2記載の発明を適用する際に前記慣用技術を採用し、「検出手段がコネクタ手段に記録媒体が装着されていない状態を検出すると、読み取り手段で読み取った画像データを画像データ記憶手段に格納し、検出手段がコネクタ手段に記録媒体が装着されている状態を検出すると、前記読み取り手段で読み取った画像データを画像データ記憶手段に格納することなく記録媒体に格納する」とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項であると認められる。 一方、本願発明の奏する効果を検討してみても、引用例1及び2に記載された発明から想定される範囲を越えるものではない。 5 結論 以上のとおり、本願発明は、引用例1、及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-02-22 |
結審通知日 | 2007-02-27 |
審決日 | 2007-03-13 |
出願番号 | 特願平9-309571 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 廣川 浩 |
特許庁審判長 |
杉山 務 |
特許庁審判官 |
脇岡 剛 松永 稔 |
発明の名称 | デジタル複写装置、画像入出力装置、及び、印刷装置 |
代理人 | 天野 正景 |
代理人 | 貞重 和生 |