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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1157741 |
審判番号 | 不服2003-20097 |
総通号数 | 91 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-10-15 |
確定日 | 2007-05-17 |
事件の表示 | 特願2000-356607「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月 4日出願公開、特開2002-159732〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年11月22日の出願であって、平成15年2月4日付けで拒絶理由が通知され、これに対し同年4月14日付けで手続補正がなされ、同年9月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し同年10月15日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに、同年11月12日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成15年11月12日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成15年11月12日付けの手続補正を却下する。 [理由] ・平成15年4月14日付けの手続補正(以下、「手続補正1」という。)における特許請求の範囲の記載 【請求項1】 遊技者による遊技結果に対応した価値媒体を払い出す遊技機であって、その全部又は主要部は、契約内容の相違に対応して複数の貸出用部分に区分され、前記複数の貸出用部分は、契約内容の相違に対応して互いに分離可能に構成されており、遊技機に関する商品データベースと顧客データベースを備えるサーバ機器と、クライアント機器とを情報伝送路に接続して流通管理されていることを特徴とする遊技機。 【請求項2】 前記商品データベースには、各遊技機器について、複数の貸出部分に分類してそれぞれの契約条件が記憶されている請求項1に記載の遊技機。 【請求項3】 前記顧客データベースには、各顧客が保有している各機器について、分類された各貸出部分毎に管理情報が記憶されている請求項1に記載の遊技機。 【請求項4】 前記サーバ機器に対してクライアント機器側から照会があると、前記商品データベースと顧客データベースとを検索して必要な情報を算出するようになっている請求項1?3の何れかに記載の遊技機。 【請求項5】 前記貸出用部分のみからなると共に、前記価値媒体が遊技球によって実現される遊技機であって、第1の貸出用部分には、前記遊技球が打ち込まれる遊技領域を備える遊技盤が含まれ、その他の貸出用部分には、前記遊技盤が着脱自在に取付けられる枠部材が含まれている請求項1?4の何れかに記載の遊技機。 【請求項6】 前記遊技盤の裏面側には、遊技機各部の動作を中心的に制御する主制御基板が取付けられている請求項5に記載の遊技機。 【請求項7】 前記遊技盤には、遊技内容を視覚的に演出する表示手段と、遊技内容を音楽的に演出する音声手段とが設けられている請求項5又は6に記載の遊技機。 ・平成15年11月12日付けの手続補正(以下、「手続補正2」という。)における特許請求の範囲の記載 【請求項1】 遊技者による遊技結果に対応した価値媒体を払い出す遊技機であって、その全部又は主要部は、貸出期間を含んだ契約内容の相違に対応して複数の貸出用部分に区分され、前記複数の貸出用部分は、契約内容の相違に対応して互いに分離可能に構成されており、遊技機に関する商品データベースと顧客データベースとを備えるサーバ機器と、クライアント機器とを情報伝送路に接続して流通管理され、 前記商品データベースには、各遊技機器について、遊技機毎に個性を発揮するべき第1貸出用部分と、他の機種でも共通的に使用できる第2貸出用部分とに分類してそれぞれの契約条件が記憶され、 前記顧客データベースには、各顧客が保有している各機器について、分類された第1貸出用部分と第2貸出用部分毎に管理情報が記憶され、 前記サーバ機器に対して前記クライアント機器側から特定の機種についての照会を受け付ける第1手段と、照会内容に基づいて前記商品データベースを検索して当該機種についての各貸出用部分毎に必要な情報を抽出する第2手段と、照会内容に基づいて顧客データベースを検索して当該機種についての各貸出用部分の情報を抽出する第3手段と、第2手段と第3手段の抽出した貸出用部分に関する各情報を演算して、第1貸出用部分の導入台数Nと第2貸出用部分の追加台数N-Mに必要な金額を表示する第4手段とを備えるサーバ機器を使用して流通管理されていることを特徴とする遊技機。 【請求項2】 遊技者による遊技結果に対応した価値媒体を払い出す遊技機であって、その全部又は主要部は、貸出期間を含んだ契約内容の相違に対応して複数の貸出用部分に区分され、前記複数の貸出用部分は、契約内容の相違に対応して互いに分離可能に構成されており、遊技機に関する商品データベースと顧客データベースと回収品データベースとを備えるサーバ機器と、クライアント機器とを情報伝送路に接続して流通管理され、 前記商品データベースには、各遊技機器について、遊技機毎に個性を発揮するべき第1貸出用部分と、他の機種でも共通的に使用できる第2貸出用部分とに分類してそれぞれの契約条件が記憶され、 前記顧客データベースには、各顧客が保有している各機器について、第1貸出用部分と第2貸出用部分に分けて管理情報が記憶され、 前記サーバ機器に対してクライアント機器側から照会があると、前記商品データベースと顧客データベースとを検索して必要な情報を算出しており、 新しい機種が顧客に導入されると、これに対応して、顧客データベースを更新すると共に、この更新に対応して前記回収品データベースを、顧客から回収した部材毎に更新するよう流通管理されていることを特徴とする遊技機。 【請求項3】 前記貸出用部分のみからなると共に、前記価値媒体が遊技球によって実現される遊技機であって、第1の貸出用部分には、前記遊技球が打ち込まれる遊技領域を備える遊技盤が含まれ、その他の貸出用部分には、前記遊技盤が着脱自在に取付けられる枠部材が含まれている請求項1又は2に記載の遊技機。 【請求項4】 前記遊技盤の裏面側には、遊技機各部の動作を中心的に制御する主制御基板が取付けられている請求項3に記載の遊技機。 【請求項5】 前記遊技盤には、遊技内容を視覚的に演出する表示手段と、遊技内容を音楽的に演出する音声手段とが設けられている請求項3又は4に記載の遊技機。 手続補正1及び手続補正2における特許請求の範囲の記載は上記のとおりであり、手続補正2における請求項1は、手続補正1の請求項1に記載された「契約内容」を「貸出期間を含んだ」ものとし、以下同じく「商品データベース」を「各遊技機器について、遊技機毎に個性を発揮するべき第1貸出用部分と、他の機種でも共通的に使用できる第2貸出用部分とに分類してそれぞれの契約条件が記憶され」たものとし、「顧客データベース」を「各顧客が保有している各機器について、分類された第1貸出用部分と第2貸出用部分毎に管理情報が記憶され」たものとするとともに、「サーバ機器」が「前記サーバ機器に対して前記クライアント機器側から特定の機種についての照会を受け付ける第1手段と、照会内容に基づいて前記商品データベースを検索して当該機種についての各貸出用部分毎に必要な情報を抽出する第2手段と、照会内容に基づいて顧客データベースを検索して当該機種についての各貸出用部分の情報を抽出する第3手段と、第2手段と第3手段の抽出した貸出用部分に関する各情報を演算して、第1貸出用部分の導入台数Nと第2貸出用部分の追加台数N-Mに必要な金額を表示する第4手段とを備える」点を加入したものである。 また、手続補正2における請求項2は、手続補正1の請求項1に記載された「契約内容」を「貸出期間を含んだ」ものとし、以下同じく「サーバ機器」が「回収品データベース」を備える点を加入し、「商品データベース」を「各遊技機器について、遊技機毎に個性を発揮するべき第1貸出用部分と、他の機種でも共通的に使用できる第2貸出用部分とに分類してそれぞれの契約条件が記憶され」たものとし、「顧客データベース」を「各顧客が保有している各機器について、第1貸出用部分と第2貸出用部分に分けて管理情報が記憶され」たものとするとともに、「前記サーバ機器に対してクライアント機器側から照会があると、前記商品データベースと顧客データベースとを検索して必要な情報を算出」する管理態様及び「新しい機種が顧客に導入されると、これに対応して、顧客データベースを更新すると共に、この更新に対応して前記回収品データベースを、顧客から回収した部材毎に更新する」管理態様を加入したものである。 しかし、手続補正2は、次に示すように、特許請求の範囲の減縮に該当しないものとなっている。 (1)手続補正1の請求項数は7、手続補正2の請求項数は5であって、請求項数が減少しているように見えるが、独立請求項数について見ると、手続補正1では請求項1のみであったのに対し、手続補正2では請求項1と2の2つとなっており、手続補正1では1つの発明群であったものが、手続補正2では2つの発明群となっている。 しかも、手続補正2の請求項2に係る発明は、手続補正1において、請求項1に択一的に記載されていた発明の一つではなく、かつ、下位の請求項に係る発明として存在していたものでもないので、手続補正2は、実質的に特許請求の範囲を拡張している。 (2)手続補正1の請求項1における、「遊技機に関する商品データベースと顧客データベースを備えるサーバ機器と、クライアント機器とを情報伝送路に接続して流通管理されている」の部分は、請求項1に係る発明の遊技機についての管理がどのような機器構成で行われているかを示しているにすぎず、遊技機自体の構成を特定しようとしているものではない。 また、手続補正1においては、遊技機が情報伝送路に接続されたサーバ機器とクライアント機器とによって流通管理されていれば十分であり、サーバ機器等を用いてどのように管理するかについては格別考慮されていない。 なお、手続補正1の請求項4は、「必要な情報を算出する」の主語が明りょうでなく、もし、その主語が「サーバ機器」であったとしても、どのような情報を算出するかについては、格別特定していない。 したがって、手続補正2によって、「第2手段と第3手段の抽出した貸出用部分に関する各情報を演算して、第1貸出用部分の導入台数Nと第2貸出用部分の追加台数N-Mに必要な金額を表示する第4手段」を加入したことは、手続補正1の請求項1?7に係る発明においては、想定されていなかった「必要な金額を表示する」という新たな課題を追加したこととなるから、手続補正1の請求項1?7に係る発明における課題解決手段を概念的に下位のものにしたとは言えない。 (3)手続補正1の請求項1における、「遊技機に関する商品データベースと顧客データベースを備えるサーバ機器と、クライアント機器とを情報伝送路に接続して流通管理されている」の部分は、請求項1に係る発明の遊技機についての管理がどのような機器構成で行われているかを示しているにすぎず、遊技機自体の構成を特定しようとしているものではない。 また、手続補正1においては、「サーバ機器」は、「遊技機に関する商品データベースと顧客データベースとを備える」とされているのみである。 さらに、手続補正1においては、遊技機が情報伝送路に接続されたサーバ機器とクライアント機器とによって流通管理されていれば十分であり、その管理態様については、手続補正1の請求項4に、「前記サーバ機器に対してクライアント機器側から照会があると、前記商品データベースと顧客データベースとを検索して必要な情報を算出する」と記載されているのみで、その他の態様については、手続補正1のどの請求項にも記載されていない。 そして、手続補正2によって、請求項2に「回収品データベース」を追加したことは、「遊技機に関する商品データベースと顧客データベース」しか備えていなかった「サーバ機器」に新たに「回収品データベース」を備えることとしたものであり、データベースの種類が増えることにより、「サーバ機器」の機能及び活用範囲は、より広がっており、実際に手続補正2の請求項2に、「新しい機種が顧客に導入されると、これに対応して、顧客データベースを更新すると共に、この更新に対応して前記回収品データベースを、顧客から回収した部材毎に更新する」管理態様が追加されることとなっているから、手続補正2は実質的に特許請求の範囲を拡張している。 よって、手続補正2は、解決しようとする課題が同一である発明の構成に欠くことのできない事項の範囲内において、その補正前の発明の構成に欠くことのできない事項の全部又は一部を限定するものとは言えないから、手続補正2は特許法第17条の2第4項第2号における特許請求の範囲の減縮には当たらない。 また、手続補正2が請求項の削除、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明でないことは明らかである。 したがって、手続補正2は、特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 3.本願発明について 平成15年11月12日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?7に係る発明(以下、「本願発明1?7」という。)は、平成15年4月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 本願発明1:「遊技者による遊技結果に対応した価値媒体を払い出す遊技機であって、その全部又は主要部は、契約内容の相違に対応して複数の貸出用部分に区分され、前記複数の貸出用部分は、契約内容の相違に対応して互いに分離可能に構成されており、遊技機に関する商品データベースと顧客データベースを備えるサーバ機器と、クライアント機器とを情報伝送路に接続して流通管理されていることを特徴とする遊技機。」 本願発明2:「前記商品データベースには、各遊技機器について、複数の貸出部分に分類してそれぞれの契約条件が記憶されている請求項1に記載の遊技機。」 本願発明3:「前記顧客データベースには、各顧客が保有している各機器について、分類された各貸出部分毎に管理情報が記憶されている請求項1に記載の遊技機。」 本願発明4:「前記サーバ機器に対してクライアント機器側から照会があると、前記商品データベースと顧客データベースとを検索して必要な情報を算出するようになっている請求項1?3の何れかに記載の遊技機。」 本願発明5:「前記貸出用部分のみからなると共に、前記価値媒体が遊技球によって実現される遊技機であって、第1の貸出用部分には、前記遊技球が打ち込まれる遊技領域を備える遊技盤が含まれ、その他の貸出用部分には、前記遊技盤が着脱自在に取付けられる枠部材が含まれている請求項1?4の何れかに記載の遊技機。」 本願発明6:「前記遊技盤の裏面側には、遊技機各部の動作を中心的に制御する主制御基板が取付けられている請求項5に記載の遊技機。」 本願発明7:「前記遊技盤には、遊技内容を視覚的に演出する表示手段と、遊技内容を音楽的に演出する音声手段とが設けられている請求項5又は6に記載の遊技機。」 (1)引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-116915号公報(以下、引用文献1という。)には、図面とともに、 a.「【0023】図1に示すように、例示したパチンコ遊技機1は、パチンコ機本体3とカードユニット4とから構成してある。パチンコ機本体3は、機枠5により囲われている。この機枠5は、遊技店の島設備(図示せず)に止着されるものであり、本実施形態では前後が開放した木製の枠体によって構成してある。機枠5には、開口部を有する額縁状の前面枠6を開閉可能に取り付けてあり、前面枠6の背面には、前面枠6の開口部に後方から臨むようにして遊技盤2を取り付けてある。」 b.「【0037】このように機能別に分けられた制御装置の内、台の入れ替えに伴って遊技盤2と共に交換される制御装置、即ち、本実施形態における遊技制御装置51、表示制御装置52、装飾制御装置53、及び、音制御装置54は、遊技盤2の裏面に取り付けてあり、遊技盤2と一体化されている。一方、台の入れ替えに拘わらず共通に使用できる制御装置、即ち、本実施形態における排出制御装置55及び発射制御装置56は、裏機構盤36に取り付けてある。これは、遊技盤2の交換作業の容易化を図るためである。また、上記した電源供給ユニット47もまた遊技盤2の裏面に取り付けてあり、遊技盤2と一体化されている。」 c.「【0070】また、制御装置を機能別に分けて構成しているので、新しい遊技機において旧い遊技機から変更する必要がない制御装置や、ROM交換等の簡単な作業で新しい遊技機に使用可能な制御装置については、遊技機の入れ替えによって回収された制御装置をリサイクルすることができる。即ち、旧い遊技機から取り外した制御装置を新しい遊技機に取り付けて継続して使用することができる。」 との記載が認められ、これらの記載によれば、引用文献1には、 「パチンコ遊技機であって、台の入れ替えに伴って遊技盤2と共に交換される制御装置や電源供給ユニット47を遊技盤2の裏面に取り付けた遊技盤2と、台の入れ替えに拘わらず共通に使用できる制御装置を取り付けてある裏機構盤36とを有する、パチンコ遊技機。」の発明(以下「引用発明1」という。)が開示されていると認められる。 また、原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-207011号公報(以下、引用文献2という。)には、図面とともに、 d.「【0012】遊技台ユニット10の枠内のパチンコ遊技台11は、上皿12と下皿15と発射装置13と開閉自在のガラス枠17とを備えた前枠11aと、大当たり等の入賞装置を制御する制御装置18を含む遊技盤面14を組み込んだ本体枠11bとから成している。 【0013】次に、本発明の要旨である請求項1の遊技台ユニット10の実施例について説明する。図2において、上皿12と下皿15と発射装置13と開閉自在のガラス枠17とを備えた前枠11aは外さず共通部材として固定したまま使用する。旧台の遊技盤面14を新台の遊技盤面14aに交換(差し替え)するにあたっては、先ず、ガラス枠17を開放して旧台の遊技盤面14を正面側又は裏側より取り外す。旧台の遊技盤面14の裏側には制御装置18が固着されているため遊技盤面14を取り外せば同時に制御装置18が取り外される。その後、新台遊技盤面14a及びその裏側に固着されている制御装置18a(電気的配線含む)を本体枠11bに取り付けることにより新旧の遊技盤面14aと遊技盤面14との交換作業が短時間のうちに行うことが出来る。」 との記載が認められ、これらの記載によれば、引用文献2には、 「パチンコ遊技台であって、裏側に制御装置18が固着されている遊技盤面14と、共通部材として固定したまま使用する上皿12と下皿15と発射装置13と開閉自在のガラス枠17とを備えた前枠11aとから成る、パチンコ遊技台。」の発明(以下「引用発明2」という。)が開示されていると認められる。 (2)対比 そこで、引用発明1及び2と本願発明1とを比較すると、引用発明1の「パチンコ遊技機」及び引用発明2の「パチンコ遊技台」は、本願発明1の「遊技者による遊技結果に対応した価値媒体を払い出す遊技機」に相当するとともに、 引用発明1における「台の入れ替えに伴って遊技盤2と共に交換される制御装置や電源供給ユニット47を遊技盤2の裏面に取り付けた遊技盤2」と「共通に使用できる制御装置を取り付けてある裏機構盤36」及び引用発明2における「裏側に制御装置18が固着されている遊技盤面14」と「共通部材として固定したまま使用する上皿12と下皿15と発射装置13と開閉自在のガラス枠17とを備えた前枠11a」が、いずれも遊技機の主要部をなしていること、それぞれが遊技機の一部分として区分されたものであること、さらには、これらが互いに分離可能に構成されていることは、引用文献1及び2に記載された事項から明らかである(特に、上記摘記a、b及びdを参照)。 よって、引用発明1又は2は、 「遊技者による遊技結果に対応した価値媒体を払い出す遊技機であって、その主要部は、複数の部分に区分され、前記複数の部分は、互いに分離可能に構成されている遊技機。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1]本願発明1は、複数の部分が契約内容の相違に対応して区分された複数の貸出用部分とされているのに対し、引用発明1又は2は、複数の部分を遊技盤の新旧にかかわらず共通に使用できる部分か否かにより区分している点及び各部分を貸出用部分とするか否かについては不明である点。 [相違点2]本願発明1は、遊技機が、「遊技機に関する商品データベースと顧客データベースを備えるサーバ機器と、クライアント機器とを情報伝送路に接続して流通管理されている」のに対し、引用発明1又は2の遊技機は、どのような流通管理がされているか不明である点。 (3)判断 [相違点1]について 引用発明1及び2においては、どのような契約により遊技機の各部分がメーカからホールに譲渡されるかは不明であるが、共通に使用できない部分のみを入れ替えられる様になっていることからして、ホールが遊技機を入れ替える際に、遊技盤の新旧にかかわらず共通する部分は継続して使い、共通に使用できない部分のみについてメーカから譲渡を受けようとすることは、当業者であれば当然に行うものと認められるから、引用発明1及び2においては「複数の部分を遊技盤の新旧にかかわらず共通に使用できる部分か否かにより区分している」ところを、契約内容に対応させて行うようにすることは、当業者であれば容易に想到し得る。 また、物品を譲渡する際の契約として、売買契約を結ぶか貸借契約を結ぶかは、従来一般に適宜選択して行われるところであるから、各部分を貸出用部分とすることも、当業者が適宜選択して決定し得る事項である。 [相違点2]について 物品の貸借に関して、商品データベースと顧客データベースを備えるサーバ機器とクライアント機器とを情報伝送路に接続して流通管理することは、従来周知の技術である(例えば、周知例1:特開2000-285183号公報<特に、請求項1、8及び段落0026?0028>、周知例2:特開平11-150809号公報<特に、段落0040及び0043?0045>を参照)。 さらに、遊技機の分野において、在庫管理や保守管理を、通信手段を利用するコンピュータを用いて行うことも、従来行われているので(例えば、周知例3:特開平11-349104号公報<特に、段落0002、0024及び0028>、周知例4:特開平10-146440号公報<特に、段落0013及び0028>を参照)、遊技機の流通管理に一般の流通管理技術を適用することは、格別困難なことではない。 よって、引用発明1又は2の遊技機が、「遊技機に関する商品データベースと顧客データベースを備えるサーバ機器と、クライアント機器とを情報伝送路に接続して流通管理」されることは、上記従来周知の技術に基づき、当業者が容易に想到し得るものである。 (4)本願発明2及び3との対比及び判断 本願発明2は、本願発明1の構成要件の1つである「商品データベース」に、「各遊技機器について、複数の貸出部分に分類してそれぞれの契約条件が記憶されている」点を追加したものである。 また、本願発明3は、本願発明1の構成要件の1つである「顧客データベース」に、「各顧客が保有している各機器について、分類された各貸出部分毎に管理情報が記憶されている」点を追加したものである。 しかし、コンピュータを利用して商品の流通を管理する際に、商品毎に様々な情報を記憶しておくこと、商品毎に顧客と関連付けた情報を記憶しておくことは、従来ごく普通に行われていることである(例えば、上記周知例1の図2、8及び段落0024?0026、0054?0058や上記周知例2の段落0043を参照)。 よって、引用発明1又は2に上記従来周知の技術を組み合わせる際に、「商品データベース」や「顧客データベース」に記憶する情報を本願発明2又は3のようなものとすることは、上記従来周知の技術に基づき、当業者が適宜選択し得るものである。 (5)本願発明4との対比及び判断 本願発明4は、本願発明1?3の何れかにおいて、「サーバ機器に対してクライアント機器側から照会があると、商品データベースと顧客データベースとを検索して必要な情報を算出する」機能を付加したものである。 請求項4の記載のみでは、「必要な情報を算出する」の主語が不明であるが、サーバ機器とクライアント機器とを情報伝送路に接続して商品の流通管理を行う際に、サーバ機器に対してクライアント機器側から照会が行えるようになっていること、照会があった場合にサーバ機器がデータベースを検索して必要な情報を出力すること、必要に応じて料金の算出等を行うことは、従来ごく普通に行われていることである(例えば、上記周知例1の段落0028、0029や周知例5:特表2000-504447号公報の第6図、第37頁第7行?第38頁第6行及び第40頁第16行?末行を参照)。 よって、引用発明1又は2に上記従来周知の技術を組み合わせ、その流通管理をサーバ機器とクライアント機器とを情報伝送路に接続して行う際に、「サーバ機器に対してクライアント機器側から照会があると、商品データベースと顧客データベースとを検索して必要な情報を算出」することは、上記従来周知の技術に基づき、当業者が適宜なし得たものである。 (6)本願発明5との対比及び判断 本願発明5は、本願発明1?4の何れかの遊技機が「貸出用部分のみからなる」点、該遊技機で払い出される「価値媒体」が「遊技球」である点、上記遊技機の「複数の貸出用部分」のうちの「第1の貸出用部分」に「遊技球が打ち込まれる遊技領域を備える遊技盤が含まれ」る点、上記遊技機の「複数の貸出用部分」のうちの「その他の貸出用部分」に「遊技盤が着脱自在に取付けられる枠部材が含まれている」点を限定したものである。 しかし、上記3.(3)判断の「[相違点1]について」の項で述べたように、物品を譲渡する際の契約として、売買契約を結ぶか貸借契約を結ぶかは、従来一般に適宜選択して行われるところであるから、遊技機全体を貸出用とすることも、当業者が適宜選択して決定し得る事項である。 また、引用発明1又は2において、「価値媒体」として「遊技球」を用いている点、及び遊技機の「複数の部分」のうちの一つは「遊技球が打ち込まれる遊技領域を備える遊技盤」である点は、引用発明1又は2がパチンコ遊技用のものであることから明らかであり、遊技機の「複数の部分」のうちの他方(共通して使用する部分)に「遊技盤が着脱自在に取付けられる枠部材が含まれている」点についても、引用文献1の段落0023(上記摘記a.)及び引用文献2の段落0013(上記摘記d.)等からみて、引用文献1又は2に記載されている事項であると認められる。 (7)本願発明6及び7との対比及び判断 本願発明6は、本願発明5の遊技機において、「遊技盤」の裏面側に「遊技機各部の動作を中心的に制御する主制御基板が取付けられている」点を限定し、 本願発明7は、本願発明5又は6の遊技機において、「遊技盤」に「遊技内容を視覚的に演出する表示手段と、遊技内容を音楽的に演出する音声手段とが設けられている」点を限定したものである。 しかし、「遊技盤」の裏面側に「遊技機各部の動作を中心的に制御する主制御基板が取付けられている」点は、引用文献1の段落0037(上記摘記b.)及び引用文献2の段落0013(上記摘記d.)等からみて、引用文献1又は2に記載されている事項であり、 「遊技盤」に「遊技内容を視覚的に演出する表示手段と、遊技内容を音楽的に演出する音声手段とが設けられている」点も、引用文献1の段落0025(「特図表示装置18」や「普図表示器22」)及び段落0037、0054(「音制御装置54」や「スピーカ85」)等からみて、引用文献1に記載されている事項であると認められ、引用文献2には、明記はされていないが、図2に示されるパチンコ遊技台の遊技盤14には、通常設けられている手段であると認められる。 そして、本願発明1?7の作用効果も、引用発明1又は2及び上記従来周知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明1?7は、引用発明1又は2及び上記従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に想到可能のものである。 (8)むすび 以上のとおり、本願発明1?7は、引用発明1又は2及び従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 |
審理終結日 | 2007-03-07 |
結審通知日 | 2007-03-13 |
審決日 | 2007-04-02 |
出願番号 | 特願2000-356607(P2000-356607) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 塩崎 進、池谷 香次郎 |
特許庁審判長 |
小原 博生 |
特許庁審判官 |
小田倉 直人 林 晴男 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 野中 誠一 |