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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04B |
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管理番号 | 1157848 |
審判番号 | 不服2005-14935 |
総通号数 | 91 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-08-04 |
確定日 | 2007-05-18 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第224374号「壁下地材と床下地材の納め構造」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 2月17日出願公開、特開平10- 46705〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成8年8月6日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成17年1月28日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「土台、胴差、床梁、桁などの横架材に対する壁下地材の下端部と床下地材の端部との納め構造であって、横架材の内側上面と内側面とに横幅がこの横架材の幅よりも小幅で且つ高さが床下地材の厚みよりも大きい角棒形状の壁下地受け材と角棒形状の床下地受け材とをそれぞれ固着してあり、床下地受け材上に床下地材の端部を固着すると共にこの床下地材の上面から突出した上記壁下地受け材の内側面に壁下地材の下端部を固着していることを特徴とする壁下地材と床下地材の納め構造。」 2.引用例 (2-1)これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された実願平5-15063号(実開平6-67620号)のCD-ROM(以下、「引用例1」という。)には図面とともに以下の記載がある。 (あ)「【0012】 【課題を解決するための手段】 本考案は、上記従来例の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その具体的手段とするところは、内装材と外装材及びその中間に介在させた複数の角材とにより成る壁体内において、角材と角材とが密着する部分、角材と内装材又は外装材とが密着する部分に空気通路を形成するための溝を設けたことを特徴とする壁体用角材である。 (い)「【0020】 このような壁体用角材1を使用して建築物が施工された場合について、以下に説明する。先ず、図6に示されるものは、建築物の土台部分を側方から見たものであるが、壁体内32に配置された壁体用角材1の相対する面には、複数の溝2が設けられている。又、基礎4の上に載置された壁体用角材1の周囲にも、同じく複数の溝2が設けられている。」 (う)本考案に係る壁体用角材1の土台部分での使用状態を示す側面図である図6によると、壁体内32に壁体用角材1である建築物の土台と柱を配置し、土台の上面と内側面に、横幅がこの土台の幅と同一で且つ高さが床材の厚みよりわずかに大きい壁体用角材1と、上面が土台の上面と同一水平面上に連設するように、横幅が小さい壁体用角材1をそれぞれ配設してあり、土台の内側面に配設した壁体用角材1上に床材の端部を支持すると共にこの床材の上面からわずかに突出した上記土台の上面に配設した壁体用角材1の内側面に内装材30の下端部を密着した構造が看取できる。 (え)また、土台と各壁体用角材1とを固着すること、及び、土台の内側面に配設した壁体用角材1と床材の端部とを固着することは、当該技術分野における技術的常識であって、引用例1に記載されているに等しい事項である。 以上から、引用例1には、 「土台に対する内装材の下端部と床材の端部の配置構造であって、土台の上面と内側面に、横幅がこの土台の横幅と同一で且つ高さが床材の厚みよりわずかに大きい壁体用角材1と、上面が土台の上面と同一水平面上に連設するように、横幅が小さい壁体用角材1をそれぞれ固着してあり、土台の内側面に固着した壁体用角材1上に床材の端部を固着すると共にこの床材の上面からわずかに突出した上記土台の上面に配置した壁体用角材1の内側面に内装材の下端部を密着させた、内装材の下端部と床材の端部の配置構造」 という発明が記載されていると認める。 (2-2)同じく特開平7-238656号公報(以下、「引用例2」という。) には図面とともに次の記載がある。 (え)「【0017】このサイディング材1,1…を外壁として組み立てる建物の骨組は、図4で示すように屋根側2並びに基台側3が四辺形に枠組みされた軽量ミゾ形鋼20,30を基礎の横桁材として構成されている。また、屋根側2の各ミゾ形鋼2bは開放側を内向きに位置し、基台側3のミゾ形鋼は開放側を外向きに位置することにより夫々四辺形に枠組みされている。その各ミゾ形鋼20,30の間には主柱40を各コーナー部に位置させて立付け固定し、断面積の相対的に小さなコの字状のチャンネル材を間柱41として必要個所に立付け装備することにより外壁の下地材を構成する各柱類が組み立てられている。この主柱40,間柱41を含む柱類は、金属バー(図示せず)をコーナー部に斜め十字状に掛渡し固定することにより枠組を補強することができる。 【0018】上下の各ミゾ形鋼20,30には端部側を長手方向のミゾ形鋼部に溶接固定し、天井根太21或いは床根太31となる支持桟がC形鋼,角パイプ,L字アングル等の各鋼材を組み合せることにより所定の間隔を隔てて掛渡し装備されている。また、屋根側にはミゾ形鋼20と間隔Wを隔てミゾ形鋼20の内側で天井根太21の下部側に位置し、上枠となる木質角材の横桁材22が主柱20の横方向にし固定することにより取り付けられている。これと同様に、土台側にはミゾ形鋼20の上側に載置させて側,端根太となる木質角材の横桁材32が取り付けられている。その上枠,根太となる各横桁材22,32の縦方向に掛渡し位置し、外壁の下地材となる胴縁や窓枠等42が各柱類40,41の横方向に掛渡し装備することにより組み付けられている。」 (お)「【0024】その組立建物は図5で示すようにカラー合板を天井板24として貼り、コンパネ材を床材34として貼り、更にはカラー合板を内壁板43として貼ることにより内装するようにできる。………。」 (か)また、図5によると、土台側3のミゾ形鋼30の内側面に、床根太31をそれらの上面がミゾ形鋼30の上面と同一水平面になるように溶接固定し、ミゾ形鋼30の内側上面に、ミゾ形鋼30の横幅よりも小幅で、且つ高さが床材34の厚みよりも大きい、側ないし端根太となる木質角材の横桁材32が取り付けられ、床根太31の上面に床材34を取り付けると共にこの床材34の上面から突出している前記横桁材32の内側面に内壁板43の下端部を貼り付けた構造が看取できる。 以上により、引用例2には。 「屋根側2並びに土台側3が四辺形に枠組みされた軽量ミゾ形鋼20,30を基礎の横桁材として構成され、その各ミゾ形鋼20,30の間には主柱40を各コーナー部に位置させて立付け固定し、コの字状のチャンネル材を間柱41として必要個所に立付け装備する骨組の建物において、土台側3のミゾ形鋼30の内側面に、長手方向に所定の間隔を隔てて床根太31を、それらの上面がミゾ形鋼30の上面と同一水平面になるように溶接固定し、ミゾ形鋼30の内側上面に、ミゾ形鋼30の横幅よりも小幅で且つ高さが床材34の厚みよりも大きい、側ないし端根太となる木質角材の横桁材32が取り付けられ、床根太31の上面に床材34の端部を取り付けると共にこの床材34の上面から突出した前記横桁材32の内側面に内壁板43の下端部を貼り付けた建物」 の点が記載されていると認める。 3.対比・判断 本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明の「土台」、「内装材」、「床材」、「配置構造」、「(土台の上面に固着した)壁体用角材1」及び「(土台の内側面に固着した)壁体用角材1」は、それぞれ本願発明の「土台、胴差、床梁、桁などの横架材」、「壁下地材」、「床下地材」、「納め構造」、「角棒形状の壁下地受け材」及び「角棒形状の床下地受け材」に対応し、引用例1記載の発明の「壁下地材の下端部」と本願発明の「壁下地材の下端部」とはともに、「壁下地受け材の内側面に密着している」から、両者は、 「土台、胴差、床梁、桁などの横架材に対する壁下地材の下端部と床下地材の端部との納め構造であって、横架材の上面と内側面とに角棒形状の壁下地受け材と角棒形状の床下地受け材とをそれぞれ固着してあり、床下地受け材上に床下地材の端部を固着すると共にこの床下地材の上面から突出した上記壁下地受け材の内側面に壁下地材の下端部を密着している壁下地材と床下地材の納め構造。」 の点で一致し、次の点で相違する。 [相違点] 本願発明が、横架材の内側上面に横幅がこの横架材の幅よりも小幅で且つ高さが床下地材の厚みよりも大きい壁下地受け材を固着してあり、床下地材の上面から突出した上記壁下地受け材の内側面に壁下地材の下端部を固着しているものであるのに対し、引用例1記載の発明が、横架材の上面に横架材の横幅と同一幅を有し且つ高さが床材の厚みよりわずかに大きい壁下地受け材を固着してあり、床下地材の上面からわずかに突出した上記壁下地受け材の内側面に壁下地材の下端部を密着させているが固着しているかどうか明確でない点。 [相違点の検討] 引用例2において、(え)に「屋根側2並びに土台側3が四辺形に枠組みされた軽量ミゾ形鋼20,30を基礎の横桁材として構成され、その各ミゾ形鋼20,30の間には主柱40を各コーナー部に位置させて立付け固定し、コの字状のチャンネル材を間柱41として必要個所に立付け装備する骨組の建物」とあることから、この建物は、鋼構造の骨組であり、また、「その上枠,根太となる各横桁材22,32の縦方向に掛渡し位置し、外壁の下地材となる胴縁や窓枠等42が各柱類40,41の横方向に掛渡し装備することにより組み付けられている」とあることから、その骨組の壁部分の開口部に、主体構造材ではない仕上げのための壁下地材を設けたものであり、骨組の構成材である「ミゾ形鋼30」が本願発明の「横架材」に対応し、壁仕上げの下地材である「側ないし端根太となる木質角材の横桁材32」が本願発明の「角棒形状の壁下地受け材」に対応し、「床材34」及び「内壁板43」はそれぞれ本願発明の「床下地材」及び「壁下地材」に対応する。 これらから、引用例2には、「横架材の内側上面に横幅がこの横架材の幅よりも小幅で且つ高さが床下地材の厚みよりも大きい角棒形状の壁下地受け材を固着してあり、床下地材の上面から突出した上記壁下地受け材の内側面に壁下地材の下端部を固着している」点が記載されているといえる。 そうすると、相違点に係る本願発明の構成は、引用例2記載の発明の壁下地受け材及び壁下地材を、引用例1記載の発明の壁下地受け材及び壁下地材に適用することにより当業者が容易に想到しえたものというべきである。 そして、本願発明の作用効果も、引用例1、2記載の発明から当業者が予測できる範囲のものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1、2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-03-07 |
結審通知日 | 2007-03-13 |
審決日 | 2007-03-27 |
出願番号 | 特願平8-224374 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(E04B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 智也 |
特許庁審判長 |
大元 修二 |
特許庁審判官 |
青山 敏 宮川 哲伸 |
発明の名称 | 壁下地材と床下地材の納め構造 |
代理人 | 山本 拓也 |