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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1157894
審判番号 不服2003-13153  
総通号数 91 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-10 
確定日 2007-05-16 
事件の表示 平成 5年特許願第114829号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年11月22日出願公開、特開平 6-319855〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本件出願は、平成5年5月17日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年8月8日付けの手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「図柄を変動表示した後に停止表示する図柄表示領域を少なくとも3つ有する図柄表示装置と、図柄表示装置において所定の図柄の組合せが停止表示されると入賞口を開放する装置とを備えた遊技機において、
(1)リーチになると、リーチ前から停止表示されている図柄とリーチになるときに停止表示される図柄とを、リーチ前から停止表示されている図柄のリーチ前の表示態様と異なる第1表示態様で表示し、
(2)リーチ中の所定のタイミングで、停止表示されている全ての図柄を、第1表示態様から第2表示態様に変化させることを特徴とする遊技機。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平4-138189号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、
「パチンコ遊技の遊技状態の推移に対応して推移毎に表示態様を変化させて遊技状態を表示する遊技状態表示手段と、可変表示部が停止した結果としての図柄により当りの発生の有無を決する可変表示ゲームを行う可変表示装置の表示の変動と停止の制御を行う可変表示制御手段と、前記可変表示ゲームの結果を判定する停止図柄判定手段と、該停止図柄判定手段の特定の判定結果に基づき変動入賞装置の制御を行う特別遊技制御手段と、前記可変表示制御手段、前記停止図柄判定手段、前記特別遊技制御手段からの信号に基づき前記遊技状態表示手段の表示態様の制御を行う遊技状態表示制御手段とを備えた・・・パチンコ遊技機。」(特許請求の範囲、請求項1)、
「[産業上の利用分野]
この発明は、始動入賞口への入賞に基づいて可変表示ゲームを行なう可変表示装置を備えたパチンコ遊技機に関する。
[従来の技術]
従来より、始動入賞口への入賞又はその入賞の記憶に基づいて可変表示ゲームを行なう可変表示装置を備えたパチンコ遊技機が知られている。
このようなパチンコ遊技機においては可変表示ゲームの推移、可変表示ゲームの結果に基づく特別遊技等のパチンコ遊技状態の変動を表示手段・・・等によって遊技者に知らせていた。
表示手段により遊技状態の変動の表示では、各遊技状態の表示のみに使用する表示器を遊技盤に複数個設置して遊技の推移に応じて別々の表示器を動作させていた。」(第1頁右欄下段第2?17行)、
「遊技盤1の前面には、・・・ガイドレール3が設置され、遊技盤1の前面とガイドレール3とガラス板(透明)とによって囲まれた空間に遊技領域2が設けられている。
前記遊技盤1の前面の遊技領域2内の中央上部には特別遊技の権利の発生のための可変表示ゲームを行う可変表示部4を有する可変表示装置5が設置されている。
前記可変表示装置5の可変表示部4を構成する蛍光表示器50(・・・)の内部には第2図(a)に示すような可変表示パターン6が設けられている。
この可変表示パターン6は中央に相当する位置に「HIT」の文字からなる当り表示パターン6aとスペースシャトル(宇宙往復船)の外観を表した1つの移動表示パターン6b(表示内容は限定しない。)とが配されている。
これらのパターン6a、6bの左右両側位置には定位置で図柄(文字、記号、数字、色彩等、目で認識できる表示は全て含む)を表示する定位置可変表示パターン6c、6dが配されている。
そして当り表示パターン6a、真中の移動可変表示パターン6b、定位置可変表示パターン6e、6dを囲むように、枠表示パターン6eが設けられており、この枠表示パターン6eの外周には等間隔で複数の移動可変表示パターン6bが設けられいる。
さらに可変表示パターン6の全体に星を暗示するような形状からなる装飾表示パターン6fが配されている。
上記可変表示パターン6は、・・・蛍光表示器50の発光色が色調変換手段5dにより色調を変換されて発光しており、また表示拡大手段57dにより前記当り表示パターン6a、真中の移動可変表示パターン6b、定位置可変表示パターン6c、6d、がそれぞれ表示を拡大されるようになっている。
また上記可変表示パターン6は、・・・前記左側の定位置可変表示パターン6cが10セグメント型の第1表示部6Aを、前記右側の定位置可変表示パターン6dが10セグメント型の第2表示部6Bを、前記移動可変表示パターン6bが3セグメント型の第3表示部6Cを、前記当り表示パターン6a、枠表示パターン6e及び装飾表示パターン6fが第4表示部6Dをそれぞれ構成している。
そして、前記第1表示部6Aと第2表示部6Bと第3表示部6Cとで可変表示ゲームを行なわせるようになっている。
前記可変表示装置5の中央上部及び中央下部にはパチンコ遊技の遊技状態の推移を表示する遊技状態表示手段としての動作状態表示部7,8がそれぞれ設けられ、可変表示装置15の左右両端側にはその端側の中央から下側に向かって前記可変表示部4を囲むように、複数のランプ9aからなる入賞個数表示部9,9が設けられている。
前記入賞個数表示部9,9は大当り遊技の各サイクル中に後述する変動入賞装置11の大入賞口11bに入賞した遊技球の数を表示するように作動する他、パチンコ遊技の遊技状態の推移に対応してその遊技状態を表示する遊技状態表示手段としても作動するものである。
前記可変表示装置5の上部には・・・始動入賞口に入賞して未だ可変表示ゲームが行なわれていない入賞記憶個数を表示する記憶表示部10が設けられている。
この可変表示装置5の下方には該可変表示装置5の作動結果として当りが発生したときに、遊技球を受け入れ難い状態(第1図に示す閉状態)から受け入れ易い状態(開状態)に可動部材11aが変換する変動入賞装置11が設置されている。
この変動入賞装置11の上部には大きめの大入賞口11bが設けられてる。
前記変動入賞装置11の中央下部には大当りの発生を表示するとともに大当りにより開始される特別遊技の状態を表示する遊技状態表示手段としての特別遊技状態表示部11cが設けられている。
加えて、前記変動入賞装置11の中央上部には・・・継続条件が成立した場合に、それを遊技者に知らせる遊技状態表示手段としての継続条件成立表示部11eが設けられている。
また、前記可変表示装置5と前記変動入賞装置11との間、および前記変動入賞装置11の左右両側位置にはそれぞれ始動入賞口12,13,14が設置されている。
また可変表示装置5の左右両側位置と前記始動入賞口13,14の斜め上方位置にはそれぞれ一般入賞口15,16が設置されている。
この一般入賞口15にはそれぞれ可変表示ゲーム(補助遊技)中であることを知らせる遊技状態表示手段としての補助遊技状態表示部15a、15aが併設されている。
遊技領域2中の左右両側には前記動作状態表示部7,8と同様にパチンコ遊技の遊技状態の推移を表示する遊技状態表示手段としての動作状態表示部16a、16aがそれぞれ設けられ、ガイドレールの外側には主としてリーチ状態を知らせる遊技状態表示手段としてのリーチ状態表示部17が設けられている。」(第2頁左欄下段第12行?第3頁右欄下段第16行)、
「図外の電源スイツチ操作によりパチンコ遊技機に電気が供給されると、前記動作状態表示部7、8の内部にそれぞれ取付けられているランプが点滅を開始し、前記入賞個数表示部9のランプ9aが一定方向に流れるように移動点滅するなどして遊技者に通常遊技が開始されたことを表示する通常遊技状態表示が行なわれる。
このように本来特別遊技のサイクル中表示(・・・)で使われる入賞個数表示部9を、サイクル中表示以外の遊技状態表示の際に遊技状態表示手段として使うことにより遊技者が視認しやすい位置にある入賞個数表示部によって、遊技状態を知ることができる。
この通常遊技状態表示が行われている時には、前記可変表示部4では前記第1表示部6A及び第2表示部6Bのそれぞれの定位置可変表示パターン6c、6dの定位置可変表示が特定の色、例えば水色に発光し任意の記号を表示する。
そして第3表示部6Cの移動可変表示パターン6bの内、前記第1表示部6Aと第2表示部6Bの中間に位置する前記移動可変表示パターン6bの移動可変表示が複数の色によって発光する。例えば、シャトルのロケットに相当する部分が赤色に、シャトルの本体に相当する部分が水色に、シャトルのノズルに相当する部分が黄色にそれぞれ発光される。
さらに第4表示部6Dの枠表示パターン6eの内、中央の一文字形の枠表示パターン部分とその左右に位置するU字形の枠表示パターン部分とがそれぞれ、例えば緑色に発光し、枠表示パターン6eの内、前記U字形の側辺部分に食い込んでいる楔形状の枠表示パターン部分6gが赤色に発光する。
さらに第4表示部6Dの装飾表示パターン6fが特定の色、例えば黄色に発光するとともに装飾表示パターン6fの内、特定の装飾表示パターン部分が点滅して、通常遊技状態に入ったことを知らせる。
このとき、前記変動入賞装置11の左右の可動部材11a、llaは第1図に示すように閉じた状態にあって、変動入賞装置11の大入賞口11b中に打球を受け入れない通常の状態(閉状態)を維持している。
このような通常遊技状態表示の下で、遊技者の操作により打球発射装置(図外)が作動されて通常の遊技が開始される。
この通常遊技時に、打球発射装置(図外)の作動によって遊技領域2中に打ち込まれた遊技球が始動入賞口12,13,14のうちのいずれかに入賞すると、遊技盤1の裏面に設置されている始動入賞検出手段33としての始動入賞検出器12a、13a、14a (第3図参照)のうちの対応するものによってその入賞が検出される。
この検出に基づいて可変表示ゲーム(補助遊技)が開始されることになる。
そして前記始動入賞検出器12a、13a、14aの検出に基づき、前記補助遊技状態表示部15a、15a中のランプが点滅を開始し、また同時に前記動作状態表示部16a、16a中のランプがそれぞれ点滅を開始し、点滅していた動作状態表示部7,8を消灯させて、移動点滅していた入賞個数表示部を消灯させて、補助遊技状態に入ったことを遊技者に知らせる補助遊技表示が行われる。
この補助遊技表示では、前記補助遊技状態表示部15a、15a及び前記動作状態表示部16a、16aの点滅は通常遊技表示における点滅間隔よりも早い間隔で行われ、補助遊技状態に入ったことを遊技者に印象ずけるようになっている。
上記補助遊技表示が開始されると同時に、前記可変表示装置5の可変表示部4では、前記第1表示部6Aと第2表示部6Bの2つの前記定位置可変表示パターン6c、6dの定位置可変表示がそれぞれ独立して高速で一定順序で循環しながら変化する変動を開始する。例えば、定位置可変表示パターン6c、6dの定位置可変表示、即ち、「0,1,2,3, ・・・・8,9,F,J,L,P,U」の15通りの記号が、順に、それぞれ異なった速度で循環しながら変化する変動を開始する。
また前記第3表示部6Cの移動可変表示パターン6bの移動可変表示がその時に停止表示されている位置(周回開始位置)から、前記枠表示パターン6eの外周を高速で点滅移動による周回変動を開始し、前記周回開始位置に戻る軌道上での14ポジシヨンの移動を繰り返すような周回を繰り返す。
このようにして、可変表示ゲームが開始される。
この可変表示ゲームの停止表示態様は、例えば、始動入賞検出器12a、13a、14aによる始動入賞口12,13,14への入賞球の検出に基づく乱数の選択に基づいて、その可変表示ゲームの開始前に予め決定されている。
そして、可変表示ゲームが開始された時から一定時間Tが経過したときに前記第1表示部6Aの定位置可変表示パターン6cの定位置可変表示の変動を、始動入賞口12,13,14への入賞タイミング等で選択された乱数によって予め定められた図柄で停止させ、その後一定時間t1経過後に第2表示部6Bの前記定位置可変表示パターン6dの定位置可変表示の変動を、その選択された乱数によって予め定められた記号で停止させる。
なお前記第1表示部6Aの定位置可変表示の変動が停止した時点で第4表示部6Dの発光が停止され、遊技者が可変表示ゲームの結果を視認し易くなるように配慮されている。
そして前記第2表示部6Bの定位置可変表示の変動の停止時点で、前記第1表示部6Aと第2表示部6Bの停止記号が一致しないで特別遊技発生の可能性が生じていないとき(リーチ状態になっていない)ときには、その第2表示部6Bの定位置可変表示の変動の停止時からさらに一定時間t2経過後に、高速で周回移動していた前記移動可変表示パターン6bの移動可変表示を軌道上の、その選択された乱数によって予め定められたポジションで停止させて、その移動を停止させる。
と同時に前記動作状態表示部16a、16aのそれぞれのランプと補助遊技状態(可変表示ゲーム状態)表示部15a、15aのそれぞれのランプが同時に消灯され、停止した前記第1表示部6Aと第2表示部6Bの定位置可変表示パターン6c、6dのみが発光を継続していることになり、遊技者にハズレを印象ずけるハズレ表示を行うようになっている。
この実施例では、特に、始動入賞検出器12a、13a、14aによる始動入賞口12,13,14への入賞に基づいて予め定められている可変表示ゲームの停止表示態様如何に拘らず、可変表示ゲームの変動時間を常に一定(但し、リーチでないときとリーチのときとでは変動時間は異なる。)とさせて短くさせるように、可変表示ゲームが開始された時から第1表示部6Aの定位置可変表示パターン6cの定位置可変表示の変動が停止されるまでの時間T、この変動が停止されたときから第2表示部6Bの定位置可変表示パターン6dの定位置可変表示の変動が停止されるまでの時間t1、この変動が停止されたときから第3表示部6Cの移動可変表示パターン6bの移動可変表示の変動が停止されるまでの時間t2をそれぞれ常に一定とさせている。
そして、それら時間T、t1、t2を一定に保った上で、可変表示ゲーム結果を、始動入賞検出器12a、13a、14aによる始動入賞口12、13、14への入賞球の検出に基づいて選択された乱数と第1表示部6Aの表示の変動の停止の直前に選択された乱数とによって、予め設定された停止態様に一致させるべく、次のように制御がさなれている。
すなわち、可変表示ゲームの開始時からT時間の経過した時点で、第1表示部6Aの変動中の定位置可変表示を、前記選択された乱数によって予め決定された停止図柄の表示に置換して停止させると同時に、第2表示部6Bの変動中の定位置可変表示を、その時点からt1時間経過後に、前記選択された乱数によって予め定められた停止図柄が現れて停止するような循環変動図柄にスキップさせてその循環変動を継続させる。例えば、t1時間の間に第2表示部6Bの表示図柄が5コマ変動するとすれば予め定められた停止図柄の5コマ前の表示図柄にスキップさせてその循環変動を開始させる。また、それと同時に、第3表示部6Cの移動可変表示を、その時点から(t1+t2)時間経過後に、前記選択された乱数によって予め決定された周回移動上のポジションで停止させるようなポジションにスキップさせて周回移動を継続させる。例えばt1+t2)時間の間に10ポジシヨン移動するとすれば、停止位置より10ポジシヨン前のポジションまでスキップさせて周回移動を継続させる。
このような置換制御によって、可変表示ゲームの停止表示態様が、始動入賞検出器12a、13a、14aによる始動入賞口12、13、14への入賞球の検出に基づいて選択された乱数と第1表示部6Aの表示の変動の直前に選択された乱数とによって、予め決定された停止態様と一致される。
このようにして、可変表示ゲーム時間を短くすることかできることになり、始動入賞口12、13、14への入賞個数記憶(始動入賞口に入賞して未だ可変表示ゲームが行なわれていない入賞個数の記憶)の制限下で、より多くの可変表示ゲーム実行の可能性を与えることができるようになっている。また、高速で循環変動している第1表示部6Aの表示の変動の停止の直前で第1?第3の表示部6A?6Cの循環表示を置換(スキップ)しているのでその置換(スキップ)が不自然な印象を与えなくて済むようになっている。
なお、前記始動入賞口12、13、14に入賞して未だ可変表示ゲームが行なわれていない入賞の個数分が所定個数の制限(例えば、4個)の下で、可変表示装置5前面の可変表示部4上方の入賞個数記憶表示部10のランプ10aの点灯個数となって表示される。
そして上記のようにハズレによって補助遊技が終了した時点で、その入賞の記憶があるときにはその記憶に基づいて可変表示ゲームが開始され、同時に入賞個数記憶表示部10中の点灯状態にあるランプ10aのうちの1つが消灯状態に戻され、再び前述した補助遊技(可変表示ゲーム)が行われる。
そして、その補助遊技(可変表示ゲーム)中に、停止した前記第1表示部6Aと第2表示部6Bの左右の定位置可変表示パターン6c、6dの定位置可変表示の停止図柄が特定の表示の組合せ(例えば同じ数字の表示の組合せ)となったときは、前記第3表示部6Cの停上記号によっては当り(特別遊技)発生の可能性があるリーチ状態となる。
そしてこのリーチ状態を遊技者に知らせるためリーチ状態表示が開始される。」(第4頁左欄下段第5行?第7頁左欄上段第13行)、
「前記リーチ状態表示では、補助遊技表示を行っていた前記補助遊技表示部15a、15a中のランプの点滅が停止する一方で、補助遊技表示を行っていた前記動作状態表示部16a、16aのランプが前記補助遊技表示で行っていた点滅よりもより短い点滅間隔で且つ各表示部が同タイミングで点滅するようになっている。
また前記可変表示装置5に設けられている動作状態表示部7,8のそれぞれのランプと遊技領域2に設けられている前記リーチ状態表示部17内のランプとが前記動作状態表示部16a、16aと同じ点滅間隔で点滅を開始し、さらに前記入賞個数表示部9の各ランプ9aが前記動作状態表示部16a、16aと同じ点滅間隔で点滅を開始し、リーチ表示が行われるようになっている。
このようにリーチ表示では補助遊技表示の段階で点滅していた前記動作状態表示部16a、16aのランプをより短い間隔で点滅させて、同一の表示部のランプの点滅状態を変化させるようにして、遊技者が遊技状態の変化を容易に認識することができるようになっている。
このようなリーチ表示が開始されると同時に、前記可変表示部4では、前記第1表示部6Aと第2表示部6Bの停止記号を発光させたままで、まず前記補助遊技表示の段階において第3表示部6Cである移動可変表示パターン6bの移動可変表示が前記軌道上を高速で周回変動している状態から、低速で周回移動する状態に変化させることが行われる。このリーチ時において、第2表示部6Bの定位置可変表示の変動が停止されてから第3表示部6Cの移動可変表示変動が停止されるまでの時間(t2+α)はリーチでないときの時間t2に比べて長くなる。が、その長くなった分第3表示部6Cの移動可変表示の周回移動速度が遅くなるので、結果としてその周回移動コマ数(周回移動ポジションの数)はリーチでないときと同じとなって、第3表示部6Cの移動可変表示の停止位置が、始動入賞検出器12a、13a、14aによる始動入賞口12、13、14への入賞球の検出に基づいて選択された乱数と第1表示部6Aの表示の変動の停止の直前に選択された乱数とによって予め決定された停止位置と一致される。
このリーチ時には、前記枠表示パターン6eの内の楔形状パターン6gの部分が赤色発光で点滅を開始するようになっている。
そしてその(t2+α)時間経過後に緩やかに周回移動している第3表示部6Cの可変移動表示が定位置可変表示パターン6cと定位置可変表示パターン6dとの中間にある移動可変表示パターン6bの位置(特定位置)で停止した場合には大当りが発生するようになっており、前記可変移動表示パターン6bの可変移動表示が特定位置以外の位置で停止した場合には、ハズレとなって補助遊技が終了するようになっている。
そしてリーチ状態表示が行われた後にハズレとなった場合には、前記ハズレ表示が行われる。
一方大当りとなったときは以下のような当り表示が行われる。
まず前記リーチ状態表示を行っていた前記動作状態表示部7、8、16a、16aのそれぞれのランプと前記リーチ状態表示部17と入賞個数表示部9のそれぞれのランプ9aの点滅をリーチ状態表示の際よりも短い間隔で、同じタイミングで且つより高い輝度で行うようになっている。
また前記特別遊技表示部11cのランプが前記動作状態表示部7,8,16a,16aの点滅タイミングと同じタイミングで点滅を開始するようになっている。
このように当り状態表示ではリーチ状態表示を行っていた前記動作状態表示部等のランプの点滅の間隔と輝度を変化させ、各表示部の点滅をより短い間隔で行うようにしている。このように、同一の各表示部の点滅間隔や輝度等を変化させて遊技者が遊技状態の変化を視認しやすい表示で容易に認識することができるようになっている。
この当り表示が行われると同時に可変表示部4では、第4表示部6DのHIT文字の当り表示パターン6aを赤色で点滅発光させているとともに、前記第1表示部6A、第2表示部6B、第3表示部6C、第4表示部6Dの各表示をそれぞれの発光色で点滅させるようになっている。
このような当り表示を所定の時間の間行った後、変動入賞装置11の可動部材11a、llaを開いて特別遊技の第1サイクルが開始する。
この特別遊技の各サイクル中にあっては前記当り状態表示を行っていた前記入賞個数表示部9のランプ9aのみを消灯させ、それ以外の当り状態表示を行っていた各表示部(7,8,16a,16a,17)のそれぞれのランプを当り状態表示の際よりも長い点滅間隔で点滅させてサイクル中表示を行うようになっている。なお、これらの点滅は、それぞれ異なるタイミングで行われるようになっている。
また特別遊技表示が行われるとともに、前記可変表示部4では、当りとなった当り停止図柄を表示している第1表示部6A、第2表示部6B、第3表示部6Cがそのまま継続して発光されている。」(第7頁右欄上段第7行?第8頁左欄下段第3行)、
「このパチンコ遊技機では、遊技状態に応じて通常遊技状態表示、補助遊技状態表示、ハズレ状態表示、リーチ状態表示、当り状態表示と継続条件成立表示と当たり遊技のサイクル中表示とウェイト状態表示とに細分される特別遊技表示(当たり遊技表示)を行い、それぞれの各表示で各表示器のランプの点滅間隔(点滅スピード)、輝度(明るさ)、点滅のタイミングを変化させている。
また入賞個数表示部9をその表示目的以外に遊技状態表示手段として使用している。
したがって遊技者は見易い位置にある表示器によって、遊技状態の変化を適宜認識できるようになっている。」(第9頁右欄上段第17行?同頁左欄下段第10行)、
「このようにして可変表示ゲームが開始され、開始後一定時間Tが経過して前記第1表示部6Aの定位置可変パターン6cが変動を停止し、その後一定時間t1が経過して第2表示部6Bの定位置可変パターン6Cが変動を停止した時点で、前記可変表示制御手段35が停止図柄信号を前記停止図柄判定手段36に出力する。
該停止図柄判定手段36は前記第1表示部6Aの停止図柄と第2表示部6Bの停止図柄に基づき、可変表示ゲームがリーチ状態にあると判断したときはその判定信号を前記遊技状態表示制御手段38に送る。
そして前記遊技状態表示制御手段38は前記判定信号に基づき前記動作状態表示部16a、16aに動作状態表示信号を送り、前記動作状態表示部16a、16a内のランプを補助遊技表示状態のときよりもより短い点滅間隔で点滅させる。また前記遊技状態表示制御手段38は前記動作状態表示部7,8及び入賞個数表示部9に動作状態表示信号を送り、補助遊技表示の際に消灯していた前記動作状態表示部7,8内のランプ及び入賞個数表示部9のランプ9aの点滅を再開させる。
さらに前記遊技状態表示制御手段38は前記リーチ状態表示部17にも動作状態表示信号を送り、前記リーチ状態表示部17の点滅を開始させる。
このように前記遊技状態表示制御手段38により上記各表示部(7,8,9,16a,16a,17)のそれぞれのランプの点滅間隔は補助遊技表示の時よりも短く、また点滅タイミングは上記各表示部(7,8,9,16a,16a,17)それぞれ同一に制御させていて、遊技者に可変表示ゲームがリーチ状態に入ったことを容易に知らせることができる。
そして前記第2表示部6Bの変動の停止時からさらにt2プラスアルファ経過後に(リーチ状態となっていないとき一定時間t2経過後)、前記移動可変表示パターン6bが停止した時点で前記可変表示制御手段35が前記停止図柄判定手段36に停止図柄信号を送る。
該停止図柄信号に基づき前記停止図柄判定手段36は可変表示ゲームの停止図柄が「当り」であるか否かを判定し、「当り」であるときには当り信号を前記特別遊技制御手段37に送信して、特別遊技を開始させる。
同時に前記特別遊技制御手段37は前記遊技状態表示制御手段38に特別遊技状態信号を送る。
該特別遊技状態信号に基づき前記特別遊技制御手段37は前記動作状態表示部7,8,16a,16a,入賞個数表示部9,リーチ状態表示部17のそれぞれに動作状態表示信号を送り、リーチ状態表示の際よりも短い間隔で、それぞれそ同じ点滅タイミングで、かつより高い輝度で点滅を続行させるようになっている。
さらに前記特別遊技制御手段37は前記特別遊技状態表示部11cに特別遊技状態表示信号を送り、前記特別遊技状態表示部11cのランプを上記各表示部(7,8,9,16a,16a,17)と同じ点滅間隔1点滅タイミング、点滅輝度で点滅させる。
このように当り状態の際に行われる表示でリーチ状態表示を行っていた前記各表示部(7、8、9、16a、16a、17)の点滅間隔、点滅タイミング、点滅輝度等の表示態様を前記特別遊技制御手段37によって変化させており、同一の表示部の表示態様を変化させることにより遊技者に遊技状態の変化を視認しやすいようにしている。」(第14頁右欄上段第4行?第15頁左欄上段第9行)、
「前記リーチ状態表示では、マイクロコンピュータ66からの指令で、補助遊技状態表示を行っていた前記補助遊技表示部15a、15a中のランプの点滅が停止される一方で、補助遊技状態表示を行っていた前記動作状態表示部16a、16aのランプが前記補助遊技状態表示で行っていた点滅よりもより短い点滅間隔で且つ同タイミングで点滅されるようになっている。
また、前記可変表示装置5に設けられている動作状態表示部7,8のそれぞれのランプと遊技領域2に設けられている前記リーチ状態表示部17内のランプとが、マイクロコンピュータ66からの指令で、前記動作状態表示部16a、16aと同じ点滅間隔で点滅を開始され、さらに前記入賞個数表示部9の各ランプ9aが前記動作状態表示部7,8と同じ点滅間隔で点滅を再開し、リーチ状態表示が行われるようになっている。
このようにリーチ状態表示では補助遊技状態表示の段階で点滅していた前記動作状態表示部16a、16aのランプがより短い間隔で点滅されて、同一の表示部のランプの点滅状態が変化されて、遊技者が遊技状態の変化を容易に認識することができるようになっている。
このようなリーチ状態表示が開始されると同時に、前記可変表示部4では、マイクロコンピュータ66からの指令で、前記第1表示部6Aと第2表示部6Bの停止図柄が発光されたままで、まず前記補助遊技状態表示の段階において第3表示部6Cの移動可変表示が前記軌道上を高速で周回移動する状態から、低速で周回移動する状態に変換される。このリーチ時において、第2表示部6Bの定位置可変表示の変動が停止されてから第3表示部6Cの移動可変表示が停止されるまでの時間(t2+α)が、マイクロコンピュータ66からの指令で、リーチでないときの時間t2に比べて長くされる。が、その長くなった分、第3表示部6Cの移動可変表示の周回移動速度が低くされてその周回移動コマ数がリーチでないときと同じになるように制御される。そして、第3表示部6Cの移動可変表示の停止位置が、始動入賞検量器12a、13a、14aによる始動入賞口12、13、14への入賞時に拾われた乱数と第1表示部6Aの表示変動の停止の直前で拾われた乱数とに基づいて予め決定された停止位置と一致するように制御される。
このリーチ時には、マイクロコンピュータ66からの指令で、前記枠表示パターン6eの内の楔形状パターン6gの部分が赤色発光で点滅されるようになっている。
そして、マイクロコンピュータ66によって、その(t2+α)時間経過後に、緩やかに周回移動している第3表示部6Cの可変移動表示が前記HIT表示パターン6aの直下位置(特定位置)で停止した場合には当りが発生されるように制御され、それ以外の位置で停止した場合には、ハズレとなって補助遊技が終了するように制御される。
そしてリーチ状態表示が行われた後にハズレとなった場合には、マイクロコンピュータ66によって、リーチ状態表示を行っていた各表示部(7、8、9,16a、16a、17)のそれぞれのランプを消灯させ、前記ハズレ状態表示が行われる。
一方、当りとなったときは、マイクロコンピュータ66からの指令で、以下のような当り状態表示が行われる。
まず、前記リーチ状態表示を行っていた前記動作状態表示部7、8、16a、16aのそれぞれのランプと前記リーチ状態表示部17と入賞個数表示部9のそれぞれのランプ9aの点滅がリーチ状態表示の際よりも短い間隔で、同じタイミングで且つより高い輝度で行なわれる。
また、前記特別遊技状態表示部11cのランプが前記動作状態表示部7,8,16a,16aの点滅タイミングと同じタイミングで点滅を開始される。
このように当り状態表示ではリーチ状態表示を行っていた前記動作状態表示部等のランプの点滅の間隔と輝度が変化され、各表示部の点滅がより短い間隔で行なわれる。このように、同一の各表示部の点滅間隔や輝度等が変化されて遊技者が遊技状態の変化を視認しやすい表示で容易に認識できるようになっている。
この当り表示が行われると同時に、可変表示部4では、マイクロコンピュータ66からの指令で、第4表示部6DのHIT文字の当り表示パターン6aが赤色で点滅発光されるとともに、前記第1表示部6A、第2表示部6B、第3表示部6C1第4表示部6Dの各表示がそれぞれの発光色で点滅される。
このような当り状態表示が所定の時間の間行なわれた後、変動入賞装置11の可動部材11a、11aが開かれて特別遊技の第1サイクルが開始される。
この特別遊技の各サイクル中にあっては、マイクロコンピュータ66からの指令で、前記当り状態表示を行っていた前記入賞個数表示部9のランプ9aのみが消灯され、それ以外の当り状態表示を行っていた各表示部(7,8,16a,16a,11c,17)のそれぞれのランプが大当り表示の際よりも長い点滅間隔で点滅されて特別遊技状態表示がなされるようになっている。なお、これらの点滅は、それぞれ異なるタイミングで行われるようになっている。
また、上記のような特別遊技の各サイクル中表示が行なわれている時点では、前記可変表示部4では、マイクロコンピュータ66からの指令で、当りとなった当り停止図柄を表示している第1表示部6A、第2表示部6B、第3表示部6Cがそのまま継続して発光される。
このような表示状態のもとて特別遊技が行われ、この特別遊技中に前記変動入賞装置11の大入賞口11b中に打球が流入すると、その流入した遊技球の個数がその中の流路に設置された前記入賞個数検出器11gによって検出されて検出信号がマイクロコンピュータ66に入力されてカウントされる。
そのカウントごとに特別遊技開始時に消灯した、可変表示装置5の左右両側部に設置されている前記入賞個数表示部9のランプ9aが、マイクロコンピュータ66からの指令で、一つずつ追加点灯されて、各サイクル中の入賞個数が表示されるようになっている。
そして、特別遊技中に変動入賞装置11の継続入賞口11a中に打球が流入すると、その流入球が継続入賞口11dに設置された前記継続入賞検出器11fにより検出してその検出信号がマイクロコンピュータ66に入力される。その検出信号の入力に基づき、その継続条件の成立がRAM65に記憶されて、特別遊技の当該サイクルが可動部材11a、llaの開放時間(例えば29秒間)の経過または変動入賞装置11の大入賞口11b中への入賞制限個数(例えば10個)の満了によって終了した後、次ぎのサイクルの特別遊技が継続されることとなる。
この場合、前記蛍光表示器50には、特別遊技の各サイクルが開始されたときから、そのサイクルが終了するまで、当りとなった当り表示図柄がそのまま継続して発光されるようにマイクロコンピュータ66によって制御されており、当り表示図柄を容易に視認することができるようになっている。そして、特別遊技の当該サイクルが終了した後、次のサイクルが開始されるまでの継続待機時間(ウェイトタイム)中は、マイクロコンピュータ66からの指令で、蛍光表示器50に、次回の特別遊技の継続回数が表示されるようになっている。・・・遊技者は継続待機時間という短い時間にもかかわらず、継続回数を蛍光表示器50の表示によって容易に視認することができて、かつ特別遊技中という比較的長い時間中に、遊技店の係員が当り表示図柄を確認できるようになっている。
また、前記変動入賞装置11の継続入賞口11d中に打球が流入した場合には、遊技者に次のサイクルの特別遊技を継続して行うことができることを予告するため、継続入賞検出器11fからの継続入賞検出信号に基づき、マイクロコンピュータ66からの指令で、前記継続条件成立表示部11eのランプの点滅が開始されて、継続条件成立表示が行われる。
該継続条件成立表示は前記継続条件成立表示部11eのランプと特別遊技状態表示部11cのランプとを交互に点滅させるように行い、遊技者の視認を容易にしている。
また、前記ウェイトタイム中は、マイクロコンピュータ66からの指令により、前記継続条件成立表示部11eのランプが引き続き点滅されるとともに前記当たり状態表示を行っていた前記動作状態表示部7,8,16a,16aと,特別遊技状態表示部11cのそれぞれのランプが当り状態表示の際の点滅間隔と同じ程度の点滅間隔で点滅されて、遊技者にウェイトタイム中であることを知らせるウェイト表示が行われるようになっている。
この特別遊技の各サイクル中に継続入賞検出器11fからの検出信号がなかったか、または、特別遊技のサイクルが10サイクル満了した場合には、特別遊技が終了される。
この場合に、前記当り図柄が遊技店のラッキーナンバーと一致するときは継続して遊技が可能であるが、一致しないときは、遊技することができないように、マイクロコンピュータ66によって制御されるようにしてもよい。
この特別遊技の終了時には、マイクロコンピュータ66からの指令で、動作状態表示部16a、16aのランプの輝度が落とされて点滅され、特別遊技中にタイミングをずらせて点滅させていた各表示部(7、8、11c、16a、16a、17)のランプが消灯され、遊技者に遊技の終了が知されるようになっている。」(第19頁右欄下段第1行?第22頁左欄上段第14行)、
「実施例では第1図に示すように遊技状態表示手段の設置位置を指定しているが、遊技状態表示手段の形、設置位置、ランプの点滅スピード、明るさ、点滅タイミング等、遊技者に変化の状態を識別できさえすればどのように設計変更してもよい。たとえばリーチ状態表示部を可変表示装置内に設置してもよい。
また以上の実施例では動作状態表示部等のランプの点滅スピード、ランプの明るさ、点滅タイミングの表示態様を変えることによって遊技状態の変化を表示していたが、表示態様としては点灯の色彩を変えるようにしても良い。
また上記実施例のように動作状態表示部等のランプの表示態様を変えるとともに、音声を加えても良い。」(第31頁右欄上段第17行?同頁左欄下段第8行)、

との記載が認められる。これらの記載によれば、引用例1には、

「定位置可変表示パターン6c、6dに表示される記号等の図柄と移動表示パターン6bに表されるスペースシャトルの外観を定位置可変表示および可変移動表示した後に停止表示する第1表示部6Aと第2表示部6Bと第3表示部6Cとリーチ状態表示部17を有する可変表示装置5と、可変表示装置5において特定の表示の組合せおよび特定位置で停止表示されると大入賞口11bを開放する変動入賞装置11とを備えたパチンコ遊技機において、
(1)リーチになると、定位置可変表示パターン6cに表示されている停止記号と定位置可変表示パターン6dに表示されている停止記号とを、定位置可変表示パターン6cに表示されている停止記号のリーチ前の特定の色の発光を発光させたまま表示するとともに、リーチ状態表示部17内のランプが点滅を開始し、
(2)リーチ状態表示が行われた後に大当りとなったとき、定位置可変表示パターン6cに表示されている停止記号と定位置可変表示パターン6dに表示されている停止記号を、特定の色を発光させたままの表示からその発光色で点滅させ、さらに、リーチ状態表示部17内のランプの点滅をリーチ状態表示の際よりも短い間隔で、且つより高い輝度で行わせるパチンコ遊技機。」

との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

3.対比
そこで、本願発明と引用例1発明とを対比すると、引用例1発明の「定位置可変表示パターン6c、6dに表示される記号等の図柄と移動表示パターン6bに表されるスペースシャトルの外観」、「定位置可変表示および可変移動表示」、「第1表示部6Aと第2表示部6Bと第3表示部6Cを有する」、「可変表示装置5」、「特定の表示の組合せおよび特定位置で停止表示される」、「大入賞口11bを開放する変動入賞装置11」、「パチンコ遊技機」、「定位置可変表示パターン6cに表示されている停止記号」および「定位置可変表示パターン6dに表示されている停止記号」は、本願発明における「図柄」、「変動表示」、「図柄表示領域を少なくとも3つ有する」、「図柄表示装置」、「所定の図柄の組合せが停止表示される」、「入賞口を開放する装置」、「遊技機」、「リーチ前から停止表示されている図柄」および「リーチになるときに停止表示される図柄」に相当すると認められる。
また、引用例1発明の「定位置可変表示パターン6cに表示されている停止記号のリーチ前の特定の色の発光を発光させたまま表示するとともに、リーチ状態表示部17内のランプが点滅を開始し」と、本願発明の「リーチ前から停止表示されている図柄のリーチ前の表示態様と異なる第1表示態様で表示し」は、「リーチ前から停止表示されている図柄のリーチ前の表示態様と区別する表示をし」で共通し、
また、引用例1発明の「リーチ状態表示が行われた後に大当りとなったとき、定位置可変表示パターン6cに表示されている停止記号と定位置可変表示パターン6dに表示されている停止記号を、特定の色を発光させたままの表示からその発光色で点滅させ、さらに、リーチ状態表示部17内のランプの点滅をリーチ状態表示の際よりも短い間隔で、且つより高い輝度で行わせる」と、本願発明の「リーチ中の所定のタイミングで、停止表示されている全ての図柄を、第1表示態様から第2表示態様に変化させる」は、「リーチ発生後の所定のタイミングで、停止表示されている全ての図柄を、リーチ発生時の表示態様と異なる表示態様に変化させる」で共通する。したがって、両者は、

「図柄を変動表示した後に停止表示する図柄表示領域を少なくとも3つ有する図柄表示装置と、図柄表示装置において所定の図柄の組合せが停止表示されると入賞口を開放する装置と、複数の音を発生させ得る音発生手段とを備えた遊技機において、
(1)リーチになると、リーチ前から停止表示されている図柄とリーチになるときに停止表示される図柄とを、リーチ前から停止表示されている図柄のリーチ前の表示態様と区別する表示をし
(2)リーチ発生後の所定のタイミングで、停止表示されている全ての図柄を、リーチ発生時の表示態様と異なる表示態様に変化させる遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:リーチ時に、リーチ前から停止表示されている図柄の表示態様とリーチ時の図柄の表示態様の比較において、本願発明では、「リーチ前から停止表示されている図柄のリーチ前の表示態様と異なる第1表示態様で表示し」ているのに対し、引用例1発明では、「定位置可変表示パターン6cに表示されている停止記号のリーチ前の特定の色の発光を発光させたまま表示し」、すなわち、引用例1発明ではリーチ時の記号の表示態様に変わりなく、記号以外の場所である「リーチ状態表示部17内のランプを点滅」することによる遊技領域全体の表示態様を変えている点。

相違点2:リーチ発生後の所定のタイミングにおける停止表示されている2つの図柄の表示態様において、本願発明では、「リーチ中の所定のタイミングで、停止表示されている全ての図柄を、第1表示態様から第2表示態様に変化させる」のに対し、引用例1発明では、「リーチ状態表示が行われた後に大当りとなったとき、定位置可変表示パターン6cに表示されている停止記号と定位置可変表示パターン6dに表示されている停止記号を、特定の色を発光させたままの表示からその発光色で点滅させる」ようにした点。

4.判断
上記相違点について検討する。
相違点1について、一般的に、始動入賞後の図柄の変動中に図柄に対応するランプを半分の輝度で点灯し、リーチになると当たり図柄に対応するランプ等を点滅して図柄表示を行うことが周知であり(例えば、特開平4-129583号公報(第4頁左欄下段第12?14行、第5頁左欄上段第2?4行等)、特開平4-102487号公報(第8頁左欄上段第1?13行、第13頁左欄下段第13?16行等)参照。)、引用例1発明のリーチ前の特定の色の発光を発光させたまま表示する構成に代えて、本願発明のように、リーチ前から停止表示されている図柄のリーチ前の表示態様と異なる第1表示態様で表示することは、格別の創意工夫を要したとはいえず、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である。

相違点2について、引用例1発明では、リーチ発生後、停止表示されている2つの図柄の表示態様を変化させる所定のタイミングが大当たりとなったときであるが、従来、リーチ状態中に当たり図柄が近づくとドラムランプ等を点灯移動させて、リーチ状態時における変動表示に対して抑揚感を付与するように表示態様を変えるようなことは周知であり(一例として、特開平4-352977号公報(段落【0031】、【0032】等)参照。)、引用例1発明のように表示態様を変えるタイミングを大当たりとなったときとするか、本願発明のように例えばリーチ中の所定のタイミングになった時とするかは、表示態様を変える時期をどのような遊技状況を捉えて演出効果を出すかの違いであり、前記周知技術を採用することにより、その選択は、設計に際し、当業者が容易に想到し得る事項である。

そして、本願発明が上記構成を採ることによりもたらされる効果は、引用例1発明および周知技術から当業者が予測できる範囲内のものであって格別のものとは認められない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-01 
結審通知日 2007-03-06 
審決日 2007-03-26 
出願番号 特願平5-114829
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 一宮 誠太田 恒明  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 林 晴男
宮本 昭彦
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人快友国際特許事務所  

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