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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1157909 |
審判番号 | 不服2004-21550 |
総通号数 | 91 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-10-18 |
確定日 | 2007-05-16 |
事件の表示 | 特願2001- 44879「アプリケーション・ウィンドウ内でネットワーク上からダウンロードしたページを表示する方法、システム、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月 9日出願公開、特開2001-312440〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成13年2月21日(パリ条約による優先権主張2000年3月9日、米国)の出願であって、平成16年7月13日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。 上記手続補正は、請求項の削除を行うものであって、適法になされたものである。 2.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成16年10月18日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認める。 「コンピュータ・ディスプレイ・モニタ上のビューア・プログラムでページを表示するシステムであって、ビューア・プログラムが、アプリケーション・ウィンドウを表示し、 ネットワークを介して複数のサーバの1つから第1ページおよび第2ページをダウンロードする手段と、 前記アプリケーション・ウィンドウ内の第1ウィンドウ・ペインおよび第2ウィンドウ・ペイン内でページを表示する方法を指定する定義済みの設定に従って、前記第1ページを前記第1ウィンドウ・ペインに、前記第2ページを前記第2ウィンドウ・ペインに、自動的に同時に表示する手段と、 前記ネットワークを介して複数のサーバの1つから第3ページをダウンロードする手段と、 前記定義済みの設定に従って、前記第3ページを前記第1ウィンドウ・ペインおよび前記第2ウィンドウ・ペインの一方に、前記第1ページおよび前記第2ページの1つを他方のウィンドウ・ペインに、自動的に同時に表示する手段と、 前記ネットワークを介して複数のサーバの1つから第4ページをダウンロードする手段と、 前記定義済みの設定に従って、前記第1ウィンドウ・ペインおよび前記第2ウィンドウ・ペインに前記第3ページおよび前記第4ページを自動的に同時に表示する手段とを含むシステム。」 3.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、以下のとおりである。 引用例1:特開平9-138745号公報 a.「ディスプレイ、プロセッサ及びカーソル制御デバイスを有し、リンク文書のリストの表示を制御するコンピュータ制御表示システムであって、 リンク文書のリストを得るための入力回路を含み、前記リンク文書の各々は他のリンク文書への1つ又はそれより多くのリンクを有することができ、 前記入力回路に結合された記憶デバイスを含み、前記記憶デバイスは前記リンク文書のリストを記憶し、 前記記憶デバイスに結合されたページオブジェクト生成回路を含み、前記ページオブジェクト生成回路は前記リンク文書のリストの各文書毎にページオブジェクトを生成し、前記ページオブジェクトの各々は内容部分及びページ制御部分を含み、 前記ページオブジェクト生成回路に結合された本生成回路を含み、前記本生成回路は前記リンク文書のリストの表示を本として生成して前記ディスプレイ上に表示し、前記ディスプレイ上の前記本が 前記ディスプレイ上に表示される本の第1の左ページとして第1のページオブジェクトを表示する第1の領域を含み、 前記ディスプレイ上に表示される本の第2の右ページとして第2のページオブジェクトを表示する第2の領域を含み、 制御ボタンを表示する制御領域を含み、前記制御ボタンはユーザが前記本生成回路への入力を生成することを可能にして前記リンク文書のリストの後に続く表示を生成する、 コンピュータ制御表示システム。」(公報、第2頁、【特許請求の範囲】、【請求項1】の記載。) b.本発明の目下好適な実施の形態は、ワールドワイドウェブ(以後、ウェブとする)として知られるインターネットの部分から得られるリンク文書のリストに関する使用において実施される。しかし、本発明はウェブにおける使用に限定されず、リンク文書へのアクセスを提供するあらゆるシステムにおいて使用されうることに注意すべきである。本明細書中で定義される以下の用語はウェブのユーザにはよく知られており、これらのよく知られた意味を帯びている: ワールド・ワイド・ウェブ又はウェブ:リンクされたマルチメディア文書を記憶しアクセスするために使用されるインターネットの部分。 ページ:ウェブにおいてアクセス可能な文書。ページはマルチメディア内容と共に他のページへの相対及び絶対リンクを有しうる。 ホームページ:ウェブにおける関連ページのセットへのエントリーポイントとして機能するページ。ホームページは通常、関連ページへの複数の相対リンクを有する。 ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ(DTML):ページの内容を指定するためのフォーマット言語。 ユニフォーム・リソース・ロケータ(URL):ウェブにおけるページのためのアドレス又は識別子。 サーバ:インターネットに備わっておりウェブページを記憶するアドレス可能な記憶デバイス。 リンク:別のウェブページを参照し、通常ポイント及びクリックの態様で検索が可能である、ウェブページにおけるインディケータ。リンクは、他のウェブページのURLを指定する。 相対リンク:リンクが存在するウェブページに相対して指定されるURLを備えるリンク。相対リンクは同一サーバに通常存在する関連ページのグループ分けに使用され、これにより、これらのグループのページは関連ページのグループのリンク仕様を変更する必要なく容易に移動可能になる。 絶対リンク:ページの完全な又は実際のURLアドレスを提供するURL。 ウェブブラウザ又はブラウザ:ユーザがウェブに存在する文書をトラバースしビューすることを可能にするツール。ブラウザに関連する他のレンダリング手段により、文書のオーディオ部分を聴いたり文書のビデオ又は画像部分を見たりすることができる。(公報、第4頁、段落【0015】の記載。) c.図2は、本発明のウェブブックを生成し使用するステップを示している。・・・ホームページに関する全ての相対リンクをたどってダウンロードすることである。これは、各後に続くページに対して繰り返される。(公報、第5頁、段落【0023】の記載。) d.図3は、ディスプレイ上に表示されたウェブブックの図である。図3を参照すると、ウェブブック301は第1ページ302及び第2ページ303からなり、各々が同一構造を有する。第1ページ302は左ページの例であり、第2ページ303は右ページの例である。垂直スクロールバー304及び305は、これらの各々のページの垂直スクローリングを提供する。水平スクロールバー306及び307は、これらの各々のページの水平スクローリングを提供する。水平スクロールバー内に重ねられているのは、各ページ毎に本のページ数を示すページ参照322及び323である。スケーリングバー308及び309は、各々のページのフォントスケーリングを可能にする。各々のページは、各々のページのタイトルを示すために使用されるタイトルバー310及び311も有する。ページの内容及びレイアウトは、ページを定めるHTMLマクロによって決定される。(公報、第6頁、段落【0027】の記載。) e.図10及び図11は、本発明のページめくりのステップを示したものである。図10を参照すると、図3のページ303のページめくり操作が始められている。図示されていないが、視覚的に心地よいページめくりを達成する第1のステップは、ページ303をオフセットしてページが現れるようにすることである。ページめくりの間にページが同一平面上になった場合、めくられているページの内容が乱雑になることが決定されている。これは、2ページ後に又は前に現れるページの内容が現れるからである。何れにせよ、ページ303が本の背に対応する軸1002に沿って回転すると、ページ1001が現れる。ページ303は、めくられる間曲がらない面にあることに注意すべきである。上述のように、このめくりを生じる速度はユーザによって変更可能である。図11を参照すると、回転のある点において、ページ303の「もう一方の側」であるページ1101が可視になる。ページ1102も可視である。ページめくりの間の所定の点においてページ302及び303の内容の表示がオフされ、ページがめくられたことが示される。図示されていないが、ページの回転はページ1101及び1102が現れてページめくりの動画の実施が完了するまで続く。(公報、第8頁、段落【0044】の記載。) 引用例2:特開昭63-62033号公報 f.本発明の構成によれば、・・・たとえば、「春の花」という項目を読んでいる場合を考える。第2図(a)のように表示手段上で表示されているが、文書中にたとえば「チューリップ」という言葉があり、これに関連する情報が見たければ、その位置ないしは項目を入力手段で指示することにより、第2図(b)のように関連情報が表示される。また、次に、文書中に「オランダ」という項目があり、これに関連する情報が見たければ、前記と同様に、その位置ないしは項目を入力手段で指示することにより、第2図(c)のように関連情報が表示される。(公報、第2頁左上欄、第15行乃至右上欄第11行における(作用)の項及び第2図の記載。) g.この結果、関連情報が指定されたキーワードを介して検索され、関連情報表示ステップ15において、関連情報の表示を行なう。このとき、表示関連情報に対して、キーワード位置表示12と同様のステップ16において、関連するキーワード、参照が行なえるキーワードの指定が行なえる位置を表示する。以下同様にして、参照を行ないたい箇所を直接指定することにより、任意の関連情報を表示することができる。もし終了したければ、ステップ17にて終了と指示する。そうでなければ、ステップ13に戻り、前記と同様の操作を行なう。(公報、第3頁左上欄、第19行乃至右上欄第9行の記載。) 4.対比・判断 前記引用例1における「ディスプレイ」、「ページ内容及びレイアウトを定めるHTMLマクロ」、「左ページ及び右ページ」、「本の第1の左ページとして第1のページオブジェクトを表示する第1の領域及び本の第2の右ページとして第2のページオブジェクトを表示する第2の領域」、「ページのレイアウト」及び「ページ1101及び1102」は、本願発明における「コンピュータ・ディスプレイ・モニタ」、「ビューア・プログラム」、「第1ページ及び第2ページ」、「第1ウィンドウ・ペイン及び第2ウィンドウ・ペイン」、「定義済みの設定」及び「第3ページ及び第4ページ」に相当する。 また、ウィンドウとは、パソコンの操作画面内にそれぞれ独立した小さな画面を用意して、その中に画像や文書など表示する機能、また、そのような長方形や正方形の表示領域のことであることから、実質的に引用例1も、「ビューア・プログラム」によって各ページを表示する「アプリケーション・ウィンドウ」を備えている。 引用例1cの記載「ウェブブックを生成し使用するステップを示している。・・・ホームページに関する全ての相対リンクをたどってダウンロードする」と引用例1の記載bにおける「サーバ:インターネットに備わっておりウェブページを記憶するアドレス可能な記憶デバイス。」及び「ウェブブラウザ又はブラウザ:ユーザがウェブに存在する文書をトラバースしビューすることを可能にするツール。ブラウザに関連する他のレンダリング手段により、文書のオーディオ部分を聴いたり文書のビデオ又は画像部分を見たりすることができる。」とを併せ考慮すると、引用例1における「ページ」もネットワークを介してサーバからダウンロードされているものである。 引用例1の記載e、図10及び図11によれば、第1ページと第2ページを表示しているときに(【図10】の状態。)ページめくり操作を行うと第3ページと第4ページとが表示される(【図11】の状態。)ものであり、また、既に説明したように「ページ」は、ネットワークを介してサーバからダウンロードされ、「定義済みの設定」によって、各「ペイン」に表示するものであるから、「前記第1ページを前記第1ウィンドウ・ペインに、前記第2ページを前記第2ウィンドウ・ペインに、自動的に同時に表示する手段と、前記ネットワークを介してサーバから第3ページをダウンロードする手段と、前記ネットワークを介してサーバから第4ページをダウンロードする手段と、前記定義済みの設定に従って、前記第1ウィンドウ・ペインおよび前記第2ウィンドウ・ペインに前記第3ページおよび前記第4ページを自動的に同時に表示する手段」は、引用例1に記載された事項である。 したがって、前記引用例1には、本願発明における「コンピュータ・ディスプレイ・モニタ上のビューア・プログラムでページを表示するシステムであって、ビューア・プログラムが、アプリケーション・ウィンドウを表示し、 ネットワークを介してサーバから第1ページおよび第2ページをダウンロードする手段と、 前記アプリケーション・ウィンドウ内の第1ウィンドウ・ペインおよび第2ウィンドウ・ペイン内でページを表示する方法を指定する定義済みの設定に従って、前記第1ページを前記第1ウィンドウ・ペインに、前記第2ページを前記第2ウィンドウ・ペインに、自動的に同時に表示する手段と、 前記ネットワークを介してサーバから第3ページをダウンロードする手段と、 前記ネットワークを介してサーバから第4ページをダウンロードする手段と、 前記定義済みの設定に従って、前記第1ウィンドウ・ペインおよび前記第2ウィンドウ・ペインに前記第3ページおよび前記第4ページを自動的に同時に表示する手段とを含むシステム。」なる発明(以下、引用発明1という。)が記載されているものと認める。 本願発明と前記引用発明1とを対比すると、本願発明においては、「第3ページを前記第1ウィンドウ・ペインおよび前記第2ウィンドウ・ペインの一方に」表示した際に、同時に「第1ページおよび第2ページの一方を他方のウィンドウ・ペインに表示し」、引き続き「前記ネットワークを介して複数のサーバの1つから第4ページをダウンロードする手段と、前記定義済みの設定に従って、前記第1ウィンドウ・ペインおよび前記第2ウィンドウ・ペインに前記第3ページおよび前記第4ページを自動的に同時に表示」しているのに対し、引用発明1においては、「前記ネットワークを介して複数のサーバの1つから第3ページをダウンロードする手段と、前記ネットワークを介して複数のサーバの1つから第4ページをダウンロードする手段と、前記定義済みの設定に従って、前記第1ウィンドウ・ペインおよび前記第2ウィンドウ・ペインに前記第3ページおよび前記第4ページを自動的に同時に表示」している点で相違(相違点1)し、また、サーバが、本願発明においては、「複数ありそのうちの1つ」からページをダウンロードしているのに対し、引用発明1においては、サーバの数について特段の記載がない点で、相違する(相違点2)ものの、その余の点では一致する。 上記相違点につき検討する。 相違点1:引用例2の記載f及びgによれば、「第1ページ(引用例2の第2図の(a)の左側に記載された「春の花」と記載されたページに相当する。以下、括弧内の記載は、引用例2の記載を指す。)および第2ページ(第2図(b)の右側の「チューリップ」と記載されたページ)が表示されているときに、ダウンロードされた第3ページ(第2図(c)の右側の「オランダ」と記載されたページ)を第2ページとともに表示」し、「引き続いて第4ページがダウンロードされたときに、第3ページと第4ページとを表示する」(引用例2の第3図の「17終了?」から「13項目設定」の手順参照。)ことは、引用例2に記載された事項であって、当該事項を引用例1発明に採用して、本願発明のように構成することは、当業者が格別の創意を要することなくなし得たものである。 相違点2:ダウンロードするサーバの数をいくつに設定するかは、当業者が適宜になし得る設計的事項にすぎない。 したがって、本願発明のように複数のサーバを設定し、そこからダウンロードするように構成することは、当業者が格別の創意を要することなくなし得たものである。 また、該構成を採用することによる作用効果も引用例1発明及び引用例2記載の事項からみて格別のものでもない。 したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-12-07 |
結審通知日 | 2006-12-12 |
審決日 | 2007-01-04 |
出願番号 | 特願2001-44879(P2001-44879) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 須藤 竜也、竹井 文雄 |
特許庁審判長 |
川嵜 健 |
特許庁審判官 |
竹井 文雄 山崎 慎一 |
発明の名称 | アプリケーション・ウィンドウ内でネットワーク上からダウンロードしたページを表示する方法、システム、およびプログラム |
代理人 | 上野 剛史 |
代理人 | 市位 嘉宏 |
代理人 | 坂口 博 |