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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B32B |
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管理番号 | 1158171 |
審判番号 | 不服2004-10929 |
総通号数 | 91 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-05-26 |
確定日 | 2007-05-24 |
事件の表示 | 平成10年特許願第9622号「酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年12月8日出願公開、特開平10-323933〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 ・特許出願 平成10年1月21日 ・拒絶理由通知 平成16年1月9日付け ・意見書及び手続補正書 平成16年3月19日付け ・拒絶査定 平成16年4月21日付け ・審判請求 平成16年5月26日(同年6月21日に方式補正) ・明細書の補正 平成16年6月21日付け(以下、「審判時補正」という。) ・当審における審尋 平成18年12月6日付け ・回答書 平成19年1月17日付け 2.本願発明 原査定の理由の概要は、本願の請求項1?6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明6」という。)は、それぞれ、平成16年6月21日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?6に記載されるとおりの事項を発明を特定するために必要と認める事項(以下、「発明特定事項」という。)とする以下のものと認める。 「【請求項1】 透明プラスチックフィルム上に、アルミニウムの蒸着雰囲気内に位置したガス吹き出し口から酸素を供給し、層の厚さ方向に不完全酸化アルミニウム領域と完全酸化アルミニウム領域とを形成した酸化アルミニウム蒸着層を形成したことを特徴とする、酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。 【請求項2】 完全酸化アルミニウム領域の両側に、不完全酸化アルミニウム領域を形成した請求項1に記載の酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。 【請求項3】 不完全酸化アルミニウム領域を、透明プラスチックフィルム側とした請求項1に記載の酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。 【請求項4】 不完全酸化アルミニウム領域の厚みが、2.5?10nmの範囲とした請求項1ないし 請求項3のいずれかに記載の酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。 【請求項5】 酸化アルミニウム蒸着層面に被覆層を設けた、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。 【請求項6】 酸化アルミニウム蒸着層面に熱接着性樹脂層を形成した請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造方法。」 3.原査定の理由の概要 原査定の理由の概要は、審判時補正前の請求項1?8に係る発明は、特開平5-339704号公報(以下、「引例1」という。)に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というにある。 4.本願発明1についての検討 4-1.審判時補正と本願発明1 審判時補正は、補正前の請求項2、5を削除するとともに、請求項の番号の整序を図るものであり、請求項1は内容の変更がないから、本願発明1は、審判時補正前の請求項1に係る発明である。 したがって、本願発明1が、引例1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるかどうかを、以下に検討する。 4-2.引例1の記載事項 引例1には、以下の記載がある。 ア: 「高分子樹脂フィルム基材を連続的に走行させ、アルミニウム蒸気と酸素を該高分子樹脂フィルム基材上で反応させることにより該高分子樹脂フィルム基材上にアルミニウム酸化膜を連続的に形成する反応性蒸着法において、アルミニウム蒸気を蒸発させる蒸発源上に開口部を持つ防着板と該走行フィルムに囲まれた反応蒸着部分を設け、該高分子樹脂フィルムと該防着板の間のアルミニウム蒸気が飛来しない空間に酸素を導入することにより該反応蒸着部分のフィルム走行方向に酸素の圧力分布を設けることを特徴とする透明ガスバリア性フィルムの製造方法。」(特許請求の範囲の請求項1) イ: 「【発明が解決しようとする課題】 本発明は上述のような問題点を解決するアルミニウムの酸化膜による透明ガスバリアフィルムを安定して製造することを目的とする。すなわち本発明は、特に透明性が高く、ガスバリア性に優れたフィルムを安定して製造することを目的とするものである。」(段落0007) ウ: 「本発明による酸化アルミニウムの形成法においては、蒸発源5の上部に開口部12を有する防着板11と冷却ドラム上の高分子樹脂フィルム基材9に囲まれた反応蒸着部分を設け、酸素導入経路7より導入された酸素が防着板とフィルム基材の間の空間でアルミニウム蒸気が直接飛来しない位置の導入口8より導入され、反応蒸着部において酸素圧力分布(この場合は左から右に酸素圧力が減少する)を設けることが基本要件である。酸素はフィルムの巻き出し側、巻き取り側どちらから導入してもよく、また両方から導入してもよい。」(段落0011) エ: 「図1の様にフィルム巻き出し側から酸素を導入した場合の反応蒸着部の概略図を図3に示す。反応蒸着部の14、15、16の位置を考えた場合、蒸着初期には14の位置で、蒸着終わりには16の位置で蒸着が行なわれる。酸素は導入口8に近い方から消費されるため14、15、16の順で徐々に酸素圧力が減少し、図4に示す様な分布となる。一方アルミニウム蒸気強度は、一般に知られているように蒸発源の法線方向からの角度θ方向の蒸気の強度はcosnθに比例(n は一般に2?4の値)するためアルミニウム蒸気強度は同じく図4に示す様な分布を取る。14および16の近傍のアルミニウム蒸気のビーム強度に対してはアルミニウムを完全に酸化できるが15の近傍のアルミニウム蒸気のビーム強度に対してはアルミニウムを十分には酸化できない程度の酸素分圧を与えた場合、14および16の近傍すなわち蒸着初期および蒸着最後に酸素が十分供給された完全酸化層が形成され、15の中心部では酸素が不十分な不完全酸化層が形成される。酸素圧力が場所によって変化しない場合は不完全酸化層は15の中心部で形成されるが、図3、4の場合は16側すなわち表面側にシフトした位置に不完全酸化層が形成される。図5、6の様に巻き出し、巻き取り両側から酸素を導入した場合は中心部が酸素不足であり、中心部に不完全酸化層が形成される。図3、4と反対に巻き取り側から酸素を導入した場合は、フィルム界面に近い位置に不完全酸化層が形成されることは容易に類推できる。」(段落0013) オ: 「高分子樹脂フィルムとしては特に限定されないが、…透明性、ガスバリア性などの点で、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが好ましく、ポリエチレンテレフタレート系がより好ましい。」(段落0016) カ: 「本発明により製造される透明ガスバリア性フィルムにおいては、アルミニウム酸化膜の内部にのみアルミニウムの金属成分が含有された不完全酸化層が少なくとも1層存在することが重要となる。該金属成分を含む不完全酸化層がアルミニウム酸化膜の内部に存在せず、アルミニウム酸化膜全体が完全酸化膜で構成されたものでは優れたガスバリア性を得ることは困難である。一方、アルミニウム酸化膜全体が不完全酸化膜からなり、アルミニウムの金属成分が認められるものにおいては、光線透過率が低いものとなりやすく好ましくない。」(段落0023) キ: 「実施例1?3 図3に示した反応蒸着部分の構成でサンプルを作成した。蒸発源は電子ビーム加熱蒸発源であり、アルミナ製ルツボに99.99%のアルミニウム金属を装填して蒸着した。フィルムは東レ(株)製ポリエチレンテレフタレート(以下PETという。)フィルム…を用いた。ロール状で巻き出しロールから冷却ドラム上に送膜し蒸発源直上で蒸着が行なわれる。酸素雰囲気として100%酸素を巻き出し側から導入した。冷却ドラムは冷水により約20℃に冷却した。蒸着の手順は以下のとおりである。フィルムおよび蒸着用アルミニウムを連続蒸着機にセットし、真空排気を行なう。到達圧力2×10-5Torr以下になったらフィルムを走行させ、電子ビーム蒸発源に電力を投入しアルミニウムの蒸着を開始する。インラインの光線透過率計および抵抗率計を用いて、目的とする蒸着速度になるように蒸発源の電力を調整した後、酸素ガスをマスフローコントローラを通して導入する。フィルム走行速度を低速(例えば1m/min)にし、酸素を導入するにしたがってインラインでモニタしている光線透過率が上がってくることを確認し、あらかじめ定めた光線透過率になるように酸素導入量を調整する。フィルム走行速度を上げて目的とする膜厚になるようにし、サンプルを取る。」(段落0032) ク: 「蒸着膜厚を変化させたサンプルを実施例1?3とした。これらのサンプルはすべてXPS分析のデプスプロファイルの分析により表面およびPETフィルム界面では完全酸化膜が形成されており、表面に近い部分で金属の含有された不完全酸化層が存在することを確認した。」(段落0033) ケ: 「本発明により、アルミニウムの酸化膜中にアルミニウム金属を含有した不完全酸化層を有するアルミニウム酸化膜を安定して製造することができる。 本発明により製造される透明ガスバリア性フィルムは、光線透過率が高く、かつ酸素および水蒸気に対するガスバリア性能が高いという特長を持つ。また、黄色味を帯びた着色もなく、実用上十分な加工適性を有する。」(段落0038、0039) 4-3.本願発明1と引例1に記載された発明との対比 4-3-1.引例1に記載された発明 引例1には、摘示ア?ケから、「透明な高分子樹脂フィルム基材を連続的に走行させ、アルミニウム蒸気と酸素を該透明な高分子樹脂フィルム基材上で反応させることにより該高分子樹脂フィルム基材上にアルミニウム酸化膜を連続的に形成する反応性蒸着法において、アルミニウム蒸気を蒸発させる蒸発源上に開口部を持つ防着板と該走行フィルムに囲まれた反応蒸着部分を設け、該高分子樹脂フィルムと該防着板の間のアルミニウム蒸気が飛来しない空間に酸素を導入することにより該反応蒸着部分のフィルム走行方向に酸素の圧力分布を設けることを特徴とする、表面及びPETフィルム界面では完全酸化膜が形成されており、表面に近い部分で不完全酸化層が存在する透明ガスバリア性フィルムの製造方法」の発明(以下、「引例発明」という。) 4-3-2.本願発明1と引例発明との対比 引例発明においては、透明な高分子樹脂フィルム基材の上に反応性蒸着法によって形成されるアルミニウム酸化膜は、完全酸化アルミニウム膜、不完全酸化アルミニウム層及び完全酸化アルミニウム膜の順に形成されており、層の厚さ方向に、完全酸化アルミニウム領域、不完全酸化アルミニウム領域及び完全酸化アルミニウム領域が順次形成されているものということができる。 また、引例発明においては、酸素を導入して、反応蒸着部の空間に圧力分布を設けるのであるから、酸素ガスは、吹き出されているものと認められる。 そこで、本願発明1(以下、「前者」という。)と引例発明(以下、「後者」という。)とを対比すると、 両者は、 「透明プラスチックフィルム上に、ガス吹き出し口から酸素を供給し、層の厚さ方向に不完全酸化アルミニウム領域と完全酸化アルミニウム領域とを形成した酸化アルミニウム蒸着層を形成する、酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造方法」において一致し、 ガス吹き出し口が、 前者では、「アルミニウムの蒸着雰囲気内に位置」したものであるのに対して、 後者では、「高分子樹脂フィルムと防着板の間のアルミニウム蒸気が飛来しない空間」にある点で相違する。 (なお、前者における、「アルミニウムの蒸着雰囲気内」は、技術常識、本願明細書の段落0018及び図7の記載に照らすと、「アルミニウムの蒸気雰囲気内」と同義のものと認められる。) 4-4.相違点についての検討 4-4-1.本願発明1の課題、作用及び効果 本願発明1の課題は、明細書の段落0005に記載によれば、「本発明は、酸化アルミニウムの透明性が優れている特性を維持し、しかも水蒸気透過度が、2g/m2・day以下のバリア性を有する酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造方法を提供することを目的とする。」ことにあり、 本願発明1の作用は、明細書の段落0009、0010によれば、「アルミニウムの蒸着雰囲気内に位置したガス吹き出し口から酸素を供給し、酸化アルミニウム蒸着層を、層の厚さ方向に完全酸化アルミニウム領域と不完全酸化アルミニウム領域とを形成するようにしたので、完全酸化アルミニウム領域で蒸着層を維持し、不完全酸化アルミニウム領域でガスバリア性を保持することができる。 また、不完全酸化アルミニウム領域を薄くすることができるので、透明性を損なうことがなく、内容物の透視性、印刷層の色の再現性の問題が解消した。」ことにあり、 本願発明1の効果は、明細書の段落0023、0024によれば、「本発明によれば、アルミニウムの蒸着雰囲気内に位置したガス吹き出し口から酸素を供給して、アルミニウム蒸着層を層方向に、完全酸化アルミニウム蒸着領域と不完全酸化アルミニウム領域を形成した構成としたので、蒸着層の厚みを薄くして、透明性が優れ、しかもガスバリア性の優れた酸化アルミニウム蒸着フィルムとすることができる。 また、透明性が優れるので、内容物を透視する包装体、または印刷層を設けた時の、色彩の再現性の優れるので、広い用途に使用することができる。」ことにある、とされている。 ところで、本願の願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)をみると、 本願発明1の作用は、明細書の段落0009、0010によれば、「酸化アルミニウム蒸着層を、層の厚さ方向に完全酸化アルミニウム領域と不完全酸化アルミニウム領域とを形成するようにしたので、完全酸化アルミニウム領域で蒸着層を維持し、不完全酸化アルミニウム領域でガスバリア性を保持することができる。 また、不完全酸化アルミニウム領域を薄くすることができるので、透明性を損なうことがなく、内容物の透視性、印刷層の色の再現性の問題が解消した。」ことにあり、 本願発明1の効果は、明細書の段落0025、0026によれば、「本発明によれば、アルミニウム蒸着層を層方向に、完全酸化アルミニウム蒸着領域と不完全酸化アルミニウム領域を形成した構成としたので、蒸着層の厚みを薄くして、透明性が優れ、しかもガスバリア性の優れた酸化アルミニウム蒸着フィルムとすることができる。 また、透明性が優れるので、内容物を透視する包装体、または印刷層を設けた時の、色彩の再現性の優れるので、広い用途に使用することができる。」ことにある、とされている。 当初明細書の記載を踏まえて、本願明細書の記載を検討すると、酸化アルミニウム蒸着フィルムに求められる、透明性とバリア性に優れるという性質は、「アルミニウム蒸着層を層方向に、完全酸化アルミニウム蒸着領域と不完全酸化アルミニウム領域を形成した構成」という層の構成によって実現されたものと認められる。 すなわち、酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造方法に係る本願発明1は、酸化アルミニウム蒸着フィルムに求められる、透明性とバリア性に優れるという性質を備える「透明プラスチックフィルム上に、層の厚さ方向に不完全酸化アルミニウム領域と完全酸化アルミニウム領域とを形成した酸化アルミニウム蒸着層を形成した、酸化アルミニウム蒸着フィルム」を製造する具体的な方法を提供するものであって、本願明細書の記載のすべてを精査しても、酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造方法自体としての特有の効果、例えば、生産性の向上、コストの低減、純度の向上等の効果を奏するものではない。 4-4-2.引例発明 引例発明は、摘示ア、カ、ケのとおり、透明プラスチックフィルムの上に形成する酸化アルミニウム蒸着層を、層の厚さ方向に不完全酸化層と完全酸化層からなるものとすることによって、摘示イ、ケのとおり、「透明性が高く、ガスバリア性に優れたフィルムを安定して製造」し、また、「アルミニウムの酸化膜中にアルミニウム金属を含有した不完全酸化層を有するアルミニウム酸化膜を安定して製造」するものであり、そのために、摘示ア、ウのとおり、反応蒸着部分のフィルム走行方向に「酸素(の)圧力分布」を設けるに当たって、「高分子樹脂フィルムと防着板の間のアルミニウム蒸気が飛来しない空間」に酸素を吹き出す点に特徴を有するものである。 これを整理すると、透明プラスチックフィルムの上に層の厚さ方向に不完全酸化層と完全酸化層からなる酸化アルミニウム蒸着層を形成するするために、反応蒸着部分のフィルム走行方向に「酸素の圧力分布」を設けるに当たって、その特定層構造の酸化アルミニウム蒸着層の製造を安定したものとするために、「高分子樹脂フィルムと防着板の間のアルミニウム蒸気が飛来しない空間」に酸素を吹き出すところに特徴を有するものと認められる。 4-4-3.本願発明1と引例発明の技術分野、課題、作用、機能の共通性の検討 本願発明1において、「アルミニウムの蒸着雰囲気内に位置したガス吹き出し口から酸素を供給」する目的を考えれば、透明プラスチックフィルム上に、層の厚さ方向に不完全酸化アルミニウム領域と完全酸化アルミニウム領域とを形成した酸化アルミニウム蒸着層を形成するために、反応蒸着部分のフィルムの走行方向に酸素の濃度分布、すなわち、圧力分布を設けることにあること、例えば、本願の図7に即していえば、冷却ドラム3の下面の左方及び右方をアルミニウムリッチで、中央部分を酸素リッチとするなどにあることは、当業者に明らかな技術的事項であると認められる。 してみると、本願発明1と引例発明とは、 透明プラスチックフィルム上に、酸素を供給し、酸化アルミニウム蒸着層を形成する、という技術分野において共通し、 酸化アルミニウム蒸着層層の厚さ方向に不完全酸化アルミニウム領域と完全酸化アルミニウム領域とを形成する、という課題において共通し、 反応蒸着部分のフィルムの走行方向に酸素の圧力分布を設けることによって所期の層構成を実現する、という作用、機能において共通する、 と認められるから、後者における「高分子樹脂フィルムと防着板の間のアルミニウム蒸気が飛来しない空間」にある酸素の導入口を、「アルミニウムの蒸着雰囲気内に位置」したガス吹き出し口に変更することは、当業者が適宜なし得る程度のことであり、この変更に格別の阻害要因も見当たらない。 4-4-4.本願発明1の引例発明と比較した有利な効果の有無 そして、本願明細書のすべての記載を精査しても、酸素の導入口を、「アルミニウムの蒸着雰囲気内に位置」したガス吹き出し口に変更したことによる本願発明1の特有の効果があるとは認められず、当然、引例発明に比較して有利な効果があると認めるべき理由も見当たらない。 4-5.まとめ 以上のとおり、本願発明1は、引例1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 5.むすび したがって、本願発明2?6について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものであるから、原査定の判断は妥当である。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-03-26 |
結審通知日 | 2007-03-27 |
審決日 | 2007-04-09 |
出願番号 | 特願平10-9622 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B32B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 平井 裕彰 |
特許庁審判長 |
増山 剛 |
特許庁審判官 |
野村 康秀 川端 康之 |
発明の名称 | 酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造方法 |