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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1158423
審判番号 不服2003-25042  
総通号数 91 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-25 
確定日 2007-05-31 
事件の表示 平成10年特許願第133298号「図書管理システム及び図書管理方法並びに図書管理プログラムを記録した記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成11年11月30日出願公開、特開平11-328202〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年5月15日の出願であって、平成15年11月17日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成16年1月16日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年1月16日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年1月16日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
平成16年1月16日付の手続補正(以下「本件補正」という。)により、補正前の請求項1-3は削除された。
本件補正により、補正前の請求項1を引用した補正前4は、補正後の請求項1とされた。
本件補正により、補正前の請求項2を引用した請求項4は、補正後の請求項2とされた。
本件補正により、補正前の請求項2を引用した補正前の請求項4を更に引用した請求項5は、補正後の請求項3とされた。
本件補正により、補正前の請求項6は、
「携帯端末装置と図書情報管理装置とを用いて各図書に付随する各種図書情報を管理する図書管理方法であって、
前記携帯端末装置により更新対象たる図書から図書特定情報を収集する一方、
各図書に付随する各種図書情報を登録する図書情報登録工程と、前記携帯端末装置により収集された図書特定情報を読み取って、該図書特定情報を羅列したファイルを作成するファイル作成工程と、前記図書情報登録工程により登録された各種図書情報を検索する検索範囲を設定する検索範囲設定工程と、該検索範囲設定工程により設定された検索範囲内で、前記ファイル作成工程により作成されたファイルに羅列された図書特定情報によって特定される図書を除いた図書に付随する各種図書情報を検索し、各種図書情報の一覧を表示する図書情報表示工程と、該図書情報表示工程により表示された各種図書情報に対して、特定の図書情報を一括して更新する図書情報更新工程と、を前記図書情報管理装置に実行させることを特徴とする図書管理方法。」
と補正され、補正後の請求項4とされた。
本件補正により、補正前の請求項7は、
「携帯端末装置と図書情報管理装置とを用いて図書管理システムを構築するための図書管理プログラムを記録した記録媒体であって、
前記携帯端末装置において、更新対象たる図書から図書特定情報を収集する図書特定情報収集機能を実現させる一方、
前記図書情報管理装置において、各図書に付随する各種図書情報を登録する図書情報登録機能と、前記図書特定情報収集機能により収集された図書特定情報を読み取って、該図書特定情報を羅列したファイルを作成するファイル作成機能と、前記図書情報登録機能により登録された各種図書情報を検索する検索範囲を設定する検索範囲設定機能と、該検索範囲設定機能により設定された検索範囲内で、前記ファイル作成機能により作成されたファイルに羅列された図書特定情報によって特定される図書を除いた図書に付随する各種図書情報を検索し、各種図書情報の一覧を表示する図書情報表示機能と、該図書情報表示機能により表示された各種図書情報に対して、特定の図書情報を一括して更新する図書情報更新機能と、を実現させるための図書管理プログラムを記録した記録媒体。」
と補正され、補正後の請求項5とされた。

(2)本件補正の適否
(2-1)補正後の請求項4に係る本件補正
補正後の請求項4に係る本件補正は、「前記図書情報登録工程により登録された各種図書情報を検索する検索範囲を設定する検索範囲設定工程と、該検索範囲設定工程により設定された検索範囲内で、」との記載を追加する補正事項を含むものである。
当該補正事項は、補正前の請求項6に記載された「各図書に付随する各種図書情報を登録する図書情報登録工程」、「前記携帯端末装置により収集された図書特定情報を読み取って、該図書特定情報を羅列したファイルを作成するファイル作成工程」、「該ファイル作成工程により作成されたファイルに羅列された図書特定情報に基づいて、前記図書情報登録工程に登録された各種図書情報を検索し、各種図書情報の一覧を表示する図書情報表示工程」、「該図書情報表示工程により表示された各種図書情報に対して、特定の図書情報を一括して更新する図書情報更新工程」に新たに「検索範囲設定工程」という工程を追加するものであり、当該「検索範囲設定工程」は、前記「図書情報登録工程」、前記「ファイル作成工程」、前記「図書情報表示工程」、前記「図書情報更新工程」などの工程と同位の概念であり、前記「図書情報登録工程」、前記「ファイル作成工程」、前記「図書情報表示工程」、前記「図書情報更新工程」などの工程の下位概念とは認められないので、当該補正事項は補正前の請求項6に係る発明を特定する事項を限定的に減縮するものとは認められない。
よって、当該補正事項が、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとは認められない。
また、当該補正事項が、特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた請求項の削除、同第3号に掲げられた誤記の訂正、同第4号に掲げられた明りょうでない記載の釈明のいずれかを目的にするものではないことは明らかである。
以上のとおり、当該補正事項は、特許法第17条の2第4項に規定する事項を満たしていない。

(2-2)補正後の請求項5に係る本件補正
補正後の請求項5に係る本件補正は、「前記図書情報登録機能により登録された各種図書情報を検索する検索範囲を設定する検索範囲設定機能と、該検索範囲設定機能により設定された検索範囲内で、」との記載を追加する補正事項を含むものである。
当該補正事項は、補正前の請求項7に記載された「各図書に付随する各種図書情報を登録する図書情報登録機能」、「前記図書特定情報収集機能により収集された図書特定情報を読み取って、該図書特定情報を羅列したファイルを作成するファイル作成機能」、「前記ファイル作成機能により作成されたファイルに羅列された図書特定情報によって特定される図書を除いた図書に付随する各種図書情報を検索し、各種図書情報の一覧を表示する図書情報表示機能」、「該図書情報表示機能により表示された各種図書情報に対して、特定の図書情報を一括して更新する図書情報更新機能」に新たに「検索範囲設定機能」という機能を追加するものであり、当該「検索範囲設定機能」は、前記「図書情報登録機能」、前記「ファイル作成機能」、前記「図書情報表示機能」、前記「図書情報更新機能」などの機能と同位の概念であり、前記「図書情報登録機能」、前記「ファイル作成機能」、前記「図書情報表示機能」、前記「図書情報更新機能」などの機能の下位概念とは認められないので、当該補正事項は補正前の請求項7に係る発明を特定する事項を限定的に減縮するものとは認められない。
よって、当該補正事項が、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとは認められない。
また、当該補正事項が、特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた請求項の削除、同第3号に掲げられた誤記の訂正、同第4号に掲げられた明りょうでない記載の釈明のいずれかを目的にするものではないことは明らかである。
以上のとおり、当該補正事項は、特許法第17条の2第4項に規定する事項を満たしていない。

(2-3)まとめ
したがって、上記補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明
平成16年1月16日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成15年10月17日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「携帯端末装置と図書情報管理装置とを含んで構成される図書管理システムであって、
前記携帯端末装置は、更新対象たる図書から図書特定情報を収集する一方、
前記図書情報管理装置は、各図書に付随する各種図書情報を登録する図書情報登録手段と、前記携帯端末装置により収集された図書特定情報を読み取って、該図書特定情報を羅列したファイルを作成するファイル作成手段と、該ファイル作成手段により作成されたファイルに羅列された図書特定情報に基づいて、前記図書情報登録手段に登録された各種図書情報を検索し、各種図書情報の一覧を表示する図書情報表示手段と、該図書情報表示手段により表示された各種図書情報に対して、特定の図書情報を一括して更新する図書情報更新手段と、を含んで構成されたことを特徴とする図書管理システム。」

4.引用例
(1)引用例1
原査定で引用した特開平5-108668号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(a)「【0011】ここで、第1の実施例の管理情報を図3に示す。本実施例においては、最低限の管理情報として、(1)書籍の識別コード、(2)著者名、(3)書名、(4)貸出日・返却日、(5)本棚の識別コード、(1)?(5)の対応テーブル(詳細は後述する)を用意する。各書籍に貼り付けたラベルの識別コードは、リーダで読み取る方法を用いる。各書籍の識別コードは、本棚毎に区別できる様にして読み取られ且つ、コンピュータに管理された上記管理情報と照合されて、書籍の正しい収納位置や紛失状況が判断される。」(第3頁左欄第29行-同頁同欄第38行)

(b)「【0020】本実施例のラベル発行方法では、バーコードのフオーマツトに基づくバーコードの記録方法に従って記録処理を行うラベル発行機400を用いて、無地のラベル用紙61に、リーダ100が読み取るためのリード情報を記録して、ラベル用紙62を得るようにしている。このラベル用紙62には、例えば、ラベル62-1のように、バーコードの記録が行われる。
【0021】バーコード内容は、書籍の識別コードであって、通常、図書館等で使用されている日本10進分類法に基づいて、4桁の数字で左から右に分類を小さくしていく表現とする。従って、通常書籍に貼着されるバーコード付きラベルを兼用する方法、或は、別々に貼着する方法のどちらであっても良い。又、本実施例ではラベルの基材をシート又はロールのどちらにも適用できる。
(管理情報の管理方法)図4は第1の実施例による管理情報の管理方法を説明する図である。本実施例では、図1に示したホストコンピュータ300がすべての管理情報を管理しており、その管理は、図4に示すように、RAM304において更新可能な管理テーブル304-1を記憶することによって行っている。管理テーブル304-1には、図3で説明した書籍の識別コード、著者名、書名、本棚コード(本棚の識別コード)、貸出日、返却日に加えて、貸出状況とその他の例えば貸出者名等の管理情報が管理される。これらすべての管理情報は、キーボード等の操作によって、新刊の登録等を含む更新・変更が可能である。」(第3頁右欄第50行-第4頁左欄第25行)

(c)「【0024】以上、Cn,Nn,Tnのよう記号で各管理情報を表現しているが、実際には、Cnは数字や文字で表したコード、Nnは著者名のつづりをカタカナ等で表した文字列、Tnは書名をカタカナ等で表した文字列とする。
(リーダ100)図6は第1の実施例によるリーダ100の内部構成を示すブロツク図であり、図7はリーダ100による格納方法を説明する図である。図6において、101は光学的にバーコードを読み取るリーダ部、102は本リーダ100の各操作を指示する操作部、103は本リーダ100の全体の動作を制御するCPU、104はCPU103が動作するための各種プログラムを格納したROM、105はROM104に格納されたプログラムのワークエリアとして用いるRAM、106はホストコンピュータ300との電気的な接続を行ってデータ、アドレス、各種制御信号を送受信するホストI/F、107はバスをそれぞれ示している。尚、ROM104には、図9のフローチヤートに従うプログラム等が格納されている。」(第4頁左欄第40行-同頁右欄第8行)

(d)「【0027】本実施例では、リーダ10によって一旦全本棚のリード情報を読み取り、その後に、ホストコンピュータ300による整理モードで、書籍の紛失や誤った位置の把握等を確認する。
【0028】そこでまず、リーダ100によって本棚の各段毎に本棚のラベルと書籍のラベルとが読み取られる。この処理で、本棚コードの入力方法を2種類用意し、そのひとつを操作部102からのキー入力、そしてもうひとつをラベルのリードとする。リード処理は、本棚のコードであろうと、書籍のコードであろうと、ひとつのリード及び格納を含む処理には変わりはない。そこで、図9に示す様に、本棚コードのリードについて、キー入力のときに、そのまま入力本棚コードをRAM105に格納し(ステツプS1,ステツプS2)、またリードのときには、光学的なリード処理とRAM105への格納処理とを行うようにする(ステツプS3?ステツプS5)。
【0029】このようにして、リード処理が行われ、図7のように、RAM105への格納が行われる。
【0030】次に、ホスト処理を図10及び図11を参照して説明する。
【0031】オペレータは、既にリード処理を終えたリーダ100からリード情報を入力するために、処理の選択肢である処理一覧表をディスプレイ311に表示させ(ステツプS11)、本実施例による書籍の整理モードを選択できる様に設定する(ステツプS12)。CPU302は、表示画面に従い、キーボード309等によって整理モードが選択されると(ステツプS12)、整理モード対応の表示画面を形成する(ステツプS13)。
【0032】そして、CPU302は、リーダ100の接続状態を調べ、リード可であれば(ステツプS14)、リーダ100より全リード情報の入力を行い、同時に、RAM304のワークエリアに格納する(ステツプS15)。この後に、CPU302は、オペレータからの照合指示をキーボード309を通して受け取り(ステツプS16)、図4に示した管理テーブル304-1を参照して、そのテーブル中のデータとステツプS15で格納したデータとの照合を行い(ステツプS17)、照合結果をまとめる(ステツプS18)。このステツプS18を具体的に説明する。
【0033】本棚L1のリード処理について、本棚コードL1-1をリードした後、識別コードC1、C2をリードし、次に本来C3が収納されているべきであるが、C100、C101をリードすると、図7に示す様に、RAM105には、リード情報が、…L1-1、C1、C2、C100、C101、C3…のように並ぶ。ここでは、管理テーブル304-1の内容に従って管理状況が判断されるため、並びに誤りがあるということ、そして、本棚L1以外に収納されるべき識別コードC100、C101対応の書籍があるということが確認される。以上の照合結果を、図8に示す。
【0034】図8には照合結果の表を記録紙に出力した場合を示す。同図において、800は照合結果を表形式で記録した記録紙である。この記録紙800は、左欄に本棚コードL1、続いて右欄に向って、段数及び段数毎の管理状況が行別に記録される。その記録内容には、<エラー>,<訂正>,<紛失>,<貸出中>の4項目がある。<エラー>及び<訂正>の欄には、、誤って収納されている書籍の識別コードと本来収納されるべき本棚の本棚コードとが記録されている。例えば、識別コードC100,C101の書籍の正しい収納先は、それぞれ本棚コードL100-1,L100-1で示される本棚の位置であることを示している。また本棚コードL1-2の書籍(識別コードC7)が紛失していることを示しており、同本棚コードL1-2の書籍(識別コードC8)が貸出中であることも示している。」(第4頁右欄第26行-第5頁左欄第41行)

(e)「【0040】さて、上記実施例では、全本棚のリード情報を収集しないと整理モードが不完全となるが、少なくとも<訂正>の欄の情報を得たいのであれば、一台の本棚からの情報でも十分である。」(第5頁右欄第31行-同頁同欄第34行)

また、引用例1に記載されたものにおいて、本棚のコードと管理情報とを照合する際に、書籍のコードに基づいて当該書籍コードに対応する管理情報を検索して取得していることは明らかである。
してみると、引用例1には、
『「リーダ(100)」と「ホストコンピュータ(300)」と含んで構成される「図書館システム」であって、
「リーダ(100)」は、「本棚」から本棚のコードを収集し、照合の対象の「書籍(51,52)」から書籍のコードを収集する一方、
「ホストコンピュータ(300)」は、各「書籍(51,52)」の各種「管理情報」を「RAM(304)」の「管理テーブル(304-1)」に記憶する記憶手段と、本棚のコードと書籍のコードを「RAM(304)」の「管理テーブル(304-1)」に記憶する記憶手段と、前記「リーダ(100)」により収集された書籍の識別コードを入力して、書籍コードに基づいて管理情報を検索する手段と、書籍のコードに対応する本棚のコードと検索された「管理テーブル(304-1)」に記憶された管理情報とを一括して照合する照合手段と、を含んで構成される「図書館システム」。』
との発明(以下「引用例1発明」という。)が記載されている。

(2)引用例2
同じく原査定で引用された特開平6-325086号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(f)「【0020】ステップS5で、利用者が入力装置2から更新入力画面50の本部ID入力領域51に本部IDの値を入力し、更新範囲を指定する。本部IDは、個人情報テーブル30の所属コード35に相当し、部門をコード化したものである。本例では、A部はX本部に属しているので、ここではX本部の本部IDである”10-01”を入力する(図6参照)。
【0021】ステップS6で、中央処理装置1は、データ検索手段13により、本部ID入力領域51に入力された本部IDの値と個人情報テーブル30の所属コード35の項目値とを比較し、合致したデータの所属コード35,部名36および電話番号33を個人情報テーブル30から取り出して、更新用テーブル40の本部ID41,部名(旧)42および電話(旧)43にそれぞれ格納する(図4参照)。なお、このとき、データ検索手段5は、所属コード35,部名36および電話番号33がすべて重複するデータがすでに更新用テーブル40に格納されている番号には、更新用テーブル40の本部ID41,部名(旧)42および電話(旧)43への項目値の格納を省略する。
【0022】次に、ステップS7で、中央処理装置1は、データ検索手段13により、更新用テーブル40に格納された部名(旧)42および電話(旧)43の項目値を更新入力画面50の部名表示領域52および旧項目値表示領域53に一覧表示する(図6参照)。
【0023】ステップS8で、利用者が入力装置2から更新入力画面50の新項目値入力領域54に電話(旧)43に対応するように電話番号(新)を入力すると(図6参照)、更新用テーブル40の電話(新)46に新項目値が格納される(図4参照)。
【0024】ステップS9で、利用者が入力装置2からデータの一括更新を指示すると、中央処理装置1は、一括更新手段14により、更新用テーブル40の電話(新)46に新項目値が入っているロー(行)の電話(旧)43の項目値と個人情報テーブル30の電話番号33の項目値とを比較して、合致したときには個人情報テーブル30の電話番号33の旧項目値を更新用テーブル40の電話(新)46の新項目値に置き換えることを繰り返すことにより、更新範囲のデータを一括更新する。」

してみると、引用例2には、「更新対象の特定の情報を取り出し、特定の情報を一括して更新を行う」との事項が記載されている。

5.対比
引用例1発明の「リーダ(100)」、「ホストコンピュータ(100)」、「書籍(51,52)」、「書籍のコード」、「管理情報」、「図書情報を記憶する」、「書籍の識別コードを入力する」は、本願発明の「携帯端末装置」、「図書情報管理装置」、「図書」、「図書特定情報」、「図書情報」、「管理情報を登録する」、「図書特定情報を読み取る」に相当するので、本願発明と引用例1発明は、
「携帯端末装置と図書情報管理装置とを含んで構成される図書管理システムであって、
前記携帯端末装置は、処理の対象たる図書から図書特定情報を収集する一方、
前記図書情報管理装置は、各図書に付随する各種図書情報を登録する図書情報登録手段と、前記携帯端末装置により収集された図書特定情報を読み取って、該図書特定情報を記憶する手段と、該記憶する手段により記憶された図書特定情報に基づいて、前記図書情報登録手段に登録された各種図書情報を検索する手段と、該検索する手段により検索された各種図書情報に対して、特定の図書情報を一括して処理する手段と、を含んで構成されたことを特徴とする図書管理システム」
の点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明では、図書管理システムが行う処理を、図書情報の更新の処理とし、更新対象たる図書の図書情報を得て、その図書情報を一括して更新するのに対し、引用例1発明では、図書管理システムが行う処理が、図書情報の更新の処理でなく、照合の処理である点。

(相違点2)
本願発明では、図書特定情報を羅列したファイルを作成するのに対し、引用例1発明では、図書特定情報を羅列したファイルを作成するのかどうか明記されていない点。

(相違点3)
本願発明では、検索された各種図書情報を表示するのに対し、引用例1発明では、検索された各種図書情報を表示しているかどうか明記されていない点。

6.当審の判断
(相違点1について)
引用文献1にも「これらすべての管理情報は、キーボード等の操作によって、新刊の登録を含む更新・変更が可能である。」(段落【0021】)と記載されているように、図書を管理するための情報を更新することは一般的に行われている周知事項であり、引用例2には、「更新対象の特定の情報を取り出し、その特定の情報を一括して更新を行う」との事項が開示されているので、引用例1発明において、図書管理システムが行う処理を図書情報の更新とし、照合の処理と同様の情報収集の処理及び検索の処理を行って、更新対象たる図書の図書情報を得て、その図書情報を一括して更新することは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、相違点1に係る本願発明の構成は、引用例1発明、引用例2
に記載された事項、及び上記周知事項に基づいて当業者が容易に考えられる事項である。

(相違点2について)
情報を記憶手段に記憶する際に、その情報を羅列したファイルを作成することは一般的に行われている周知事項であるので、引用例1発明において、図書特定情報を記憶する際に図書特定情報を羅列したファイルを作成することは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、相違点2に係る本願発明の構成は引用例1発明、及び上記周知事項に基づいて当業者が容易に考えられる事項である。

(相違点3について)
検索結果の一覧を表示することは一般的に行われている周知事項であるので、引用例発明において、検索した際に、検索結果である各種図書情報を一覧表示すること当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、相違点3に係る本願発明の構成は引用例1発明、及び上記周知事項に基づいて当業者が容易に考えられる事項である。

そして、本願発明の作用効果も、引用例1、引用例2及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された事項、及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明、及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-27 
結審通知日 2007-04-03 
審決日 2007-04-16 
出願番号 特願平10-133298
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 紀田 馨平井 誠野崎 大進  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 岩間 直純
後藤 彰
発明の名称 図書管理システム及び図書管理方法並びに図書管理プログラムを記録した記録媒体  
代理人 笹島 富二雄  

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