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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C23C
管理番号 1158578
審判番号 不服2004-832  
総通号数 91 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-13 
確定日 2007-06-06 
事件の表示 特願2003- 42553「スズドープ酸化インジウム膜の高比抵抗化方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 9月 5日出願公開、特開2003-247072〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成4年11月13日の出願である特願平4-328827号の分割出願であって、平成15年9月16日付けで拒絶理由が通知され、平成15年11月25日に意見書が提出され、そして、平成15年12月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年1月13日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成16年1月19日に手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された下記のとおりのものである。
「スズドープ酸化インジウム膜の成膜に際し、第三成分を添加して、パイロゾル法により成膜し、10cm角当りのシート抵抗の均一性が±8%以内であることを特長とするスズドープ酸化インジウム膜の成膜方法。」

3.引用刊行物

(1)特開平4-206403号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている。
(a)「酸化インジウムに酸化スズをドーピングするにあたり、酸化スズと共に特定の金属酸化物を特定量ドーピングしたときに、高抵抗でかつ良好な透明性を有すると共に、耐環境性にもすぐれた透明導電膜が得られる・・・」(第2頁左下欄第9?13行)
(b)「このような透明導電膜は、電子ビーム蒸着法、スパッタ蒸着法、イオンプレーティング法などで作製することができる。均一性という点では、スパッタ蒸着法で作製するのが最も好ましい。」(第3頁右上欄第4?7行)

(2)特開昭64-71173号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。
(a)「パイロゾル法によると、ITOのもとになる有機金属化合物を溶かした液を超音波振動により微細な粒子からなる霧状にしてガラス基板上に降り付けるため、ガラス基板の置き方、進行方向、進行速度を調整することにより、マイクロシートガラスの端面を含む回り込みを均一な膜厚で形成することが可能となり、安定した電気的接続が容易に実現できる。」(第4頁左下欄第5?12行)

4.対比・判断

上記引用刊行物1の記載事項(a)?(b)を本願発明に沿って整理すると、「スズドープ酸化インジウム膜の成膜に際し、特定の金属酸化物を第三成分として添加してスパッタ蒸着法で作製する成膜方法。」(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると云える。
そこで、本願発明と刊行物1発明とを対比すると、
「スズドープ酸化インジウム膜の成膜に際し、特定の金属酸化物を第三成分として添加して作製する成膜方法。」の点で一致し、

本願発明では成膜方法がパイロゾル法であるのに対し、刊行物1発明では成膜方法がスパッタ蒸着法である点(相違点1)で相違し、また、
本願発明では得られる膜のシート抵抗の均一性を10cm角当たり±8%以内と規定しているのに対し、刊行物1発明では得られる膜のシート抵抗の均一性についての具体的な数値範囲の規定がされていない点(相違点2)で相違している。

以下、相違点について検討する。

相違点1については、上記引用刊行物2の記載(a)に、スズドープ酸化インジウム(ITO)をパイロゾル法で成膜することが記載されているところであり、刊行物1発明においても、成膜法としてスパッタ蒸着法の代わりにパイロゾル法を採用することは当業者ならば必要に応じて適宜になしうることであるから、この点を格別な相違点とすることはできない。
そして、引用刊行物1の記載(b)に「均一性という点ではスパッタ蒸着法が最も好ましい」と記載されているように、そもそも、スパッタ蒸着法は成膜法として均一性に優れるものであることは当業者の技術常識であり、本願の原出願である特開平6-157036号公報の実施例をみると、実施例1?6はスパッタ法を用いた例であり、実施例7?8はパイロゾル法を用いた例であり、各シート抵抗とばらつきの値からシート抵抗の均一性を求めると、スパッタ法では±6.0?8.6%以内の範囲であり、パイロゾル法では、±7.7%以内と±8.2%以内であり、製法の違いによる優劣をつけることができないから、本件発明の効果は格別のものではないことは明らかである。
また、相違点2については、本件明細書の実施例は、原出願の実施例7及び8をそのまま記載したものであるから、シート抵抗の均一性は、上記のように、±7.7%以内と±8.2%以内となり、本件の請求項1で規定された「±8%以内」に臨界的意義のないことは明らかであるから、当業者が適宜に選定することのできる範囲を出ないものである。
してみると、本願発明は、上記刊行物1?2の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.まとめ

したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-22 
結審通知日 2007-03-26 
審決日 2007-04-16 
出願番号 特願2003-42553(P2003-42553)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C23C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮澤 尚之  
特許庁審判長 板橋 一隆
特許庁審判官 廣野 知子
松本 貢
発明の名称 スズドープ酸化インジウム膜の高比抵抗化方法  
代理人 松橋 泰典  
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