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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61F |
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管理番号 | 1158623 |
審判番号 | 不服2004-14898 |
総通号数 | 91 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-07-15 |
確定日 | 2007-06-07 |
事件の表示 | 平成6年特許願第92771号「超音波治療器」拒絶査定不服審判事件〔平成7年11月7日出願公開、特開平7-289577号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成6年4月28日に出願されたものであって、平成16年6月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年7月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年8月16日付けの手続補正書により補正がなされたものである。 第2 平成16年8月16日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年8月16日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。 「第1の超音波振動子で発生する超音波を放射する放射面を有する第1の超音波導子と、前記第1の超音波振動子とは共振周波数の異なる第2の超音波振動子で発生する超音波を放射する放射面を有する第2の超音波導子と、前記第1、前記第2の超音波導子のいずれか一方が取り付けられる出力端子と、高周波信号を発振して出力する発振回路と、前記発振回路の出力を増幅して前記出力端子へ出力する増幅手段と、前記発振回路で発振される高周波信号の発振周波数を前記第1の超音波振動子の共振周波数または前記第2の超音波振動子の共振周波数のどちらか一方に選択的に切り換える周波数切り換え手段と、 前記第1の超音波導子に設けられた第1の抵抗器または前記第2の超音波導子に設けられた第2の抵抗器の抵抗値を検出する抵抗値検出回路と、 前記抵抗値検出回路の検出結果に応じて前記周波数切り換え手段の切り換えを行う周波数設定信号を出力する周波数設定信号出力手段と、 を具備し、前記超音波を放射することによって温熱治療を行うことを特徴とする超音波治療器。」(下線は、補正個所を示す。) 2.補正の目的 本件補正の請求項1に係る発明は、発明の構成に欠くことができない事項である「超音波治療器」の作用について「超音波を放射することによって温熱治療を行う」と限定するものであり、かつ、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一なので、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3.独立特許要件 そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)引用例の記載事項 (1-1)原査定の拒絶の理由に引用された、特開平4-231037号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 (a)「【請求項1】 超音波振動で生物組織の破砕、切断及び分離するための外科手術装置であって、ハンドピースに接続されたコネクターのシグナルピンの配線組合せによって周波数選択回路を作動させ、該ハンドピースの超音波振動子の共振周波数に対応した識別信号を発生させ、該識別信号により高周波発振器の発振周波数を決定することを特徴とする外科手術装置。」(【特許請求の範囲】) (b)「【産業上の利用分野】本発明は、超音波振動により生物組織を破砕、切断及び分離するための外科手術装置に関するものである。」(段落【0001】) (c)「図1は、本発明の一実施例となる外科手術装置の接続方式を示した図である。周波数選択回路(6)に、超音波振動子と超音波振動伝達体よりなるハンドピース(2)、(3)のいずれか一方を接続すると、コネクター(4)または(5)のシグナルピンの配線組合せによって周波数選択回路(6)が作動し、接続されたハンドピースが(2)、(3)のいずれであるかを識別して対応する識別信号(7)を高周波発振器(1)へ送る。そこで、高周波発振器(1)は接続されたハンドピースの持つ共振周波数の高周波電流を発生させてハンドピースを送り、超音波振動子を作動させる。 発振周波数は、ハンドピース(2)、(3)内部の超音波振動子の形状、すなわち共振周波数によって異なり、外科手術装置では通常20?40Hz生物組織を破砕または切断・切削する上で好適であり、特に限定はされない。」(段落【0009】、段落【0010】) (d)「電源回路(11)から、メインアンプ(31)直流電力が供給される。メインアンプ(31)から出力トランス(32)、(33)に接続され、出力トランス(32)と出力トランス(33)は、異なる共振周波数のものであり、整合回路用ゲート回路に図1の周波数選択回路(6)よりのハンドピースの識別信号(7)が入り、出力トランス(32)、(33)及び整合回路(35)、(36)、振動電圧検出回路(37)、(38)、フィードバック回路(41)、(42)のいずれか1つの共振周波数の回路を選択し、高周波出力(39)または高周波出力(40)としてハンドピースに供給される。フィードバック回路(41)または(42)からの帰還信号をプリアンプ(43)にて増幅し、周波数選択回路(6)からの識別信号(7)によってフィードバック信号用ゲート回路(44)が作動し、フィルター(45)、(46)を選択し、トランス(45)を通してメインアンプ(31)に接続されている。 これらの整合回路用ゲート回路(34)、フィードバソク信号ゲート回路(44)及び周波数選択回路によって異なる共振周波数のハンドピースを選択的に使用でき、形状もしくは破砕能力の異なったハンドピースを同時に準備することが可能である。なお、周波数選択回路(6)のハンドピースの選択方法としては、装置本体の操作パネルに切換スイッチを設けるか、フットスイッチに切換スイッチ機能を加えるか、もしくは、ハンドピースケース上に切換えスイッチを設ける等の方法があるが、特に限定はされない。」(段落【0019】、段落【0020】) したがって、これらの記載事項を総合すれば引用例1には、 「超音波振動子と超音波振動伝達体よりなるハンドピース(2)と、前記ハンドピース(2)の超音波振動子とは共振周波数の異なる超音波振動子と超音波振動伝達体よりなるハンドピース(3)と、前記ハンドピース(2)、(3)のいずれか一方が接続されるコネクターと、高周波発信器(1)と、前記高周波発信器から高周波出力(39)、(40)をハンドピース(2)、(3)に供給するものであって、ハンドピース(2)、(3)のいずれか1つの共振周波数の回路を選択する整合回路用ゲート回路(34)と、 前記ハンドピース(2)、(3)に接続されたコネクターのシグナルピンの配線組合せによって周波数選択回路(6)を作動させ、該ハンドピースの超音波振動子の共振周波数に対応した識別信号を発生させ、該識別信号により高周波発振器の発振周波数を決定する、外科手術装置。」の発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されていると認めることができる。 (1-2)原査定の拒絶の理由に引用された、特開昭63-294846号公報(以下「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 (a)「超音波振動子とこの超音波振動子からの超音波振動を伝達する振動伝達部材を有する超音波破砕プローブと前記超音波破砕プローブに接続され前記超音波振動子に駆動電力を供給する発信手段とを具備する超音波破砕装置において、前記超音波プローブの超音波振動子と発振手段との間にインピダンス整合を行う手段を設けたことを特徴とする超音波破砕装置。」(特許請求の範囲) (b)「[産業上の利用分野] この発明は膀胱、尿管、腎臓等の体腔内にある結石等を超音波振動により破壊したり、生体組織等を切除したりする超音波破砕装置に関する。」(第1頁左下欄14?17行) (c)「第1図は第1実施例の回路図である。全体の制御のためにマイクロプロセッサ等からなる制御部30が設けられ、その第1出力端子が電源部32に、第2出力端子が発振部34に接続されている。電源部32は制御部30からの制御信号に応じて出力電圧の可変な電源からなり、例えば、外部出力可能なレギュレータや、トランスタップを切換えることにより出力電圧を可変できる平滑電源からなる。すなわち、制御部30から電源部32へは駆動電力の切換信号が出力される。発振部34は制御部30からの制御信号に応じて発振周波数が可変される。すなわち、制御部30から発振部34へは発振周波数の切換信号が出力される。発振部34の発振出力が増幅部36を介して発振トランス38の1次巻線の一端に接続される。発振トランス38の1次巻線の他端は電源部32の出力端に接続される。発振トランス38の2次巻線は超音波破砕プローブ1内の超音波振動子5に接続される。この2次巻線には、超音波破砕プローブ1と電源部32をインピダンス整合する手段が設けられている。すなわち、この2次巻線には種々の超音波破砕プローブ1に適応できるように異なるインピダンス値をとるように、たとえばその1つの値を|Z|としたとき、たとえば電力損失が一3dB以内である0.37|Z|<|Z|<2.7|Z|の間隔にて複数、たとえば5個のタップが立ててある。このインピダンス値の間隔は上記間隔でなくてもよい。この電源部32と超音波振動子5との接続は電源部コネクタ39と振動子部コネクタ40との間で行われる。つまり、電源部コネクタ39には種々の各タップに対応できるピンが接続して設けられている。振動子部コネクタ40ではあらかじめ超音波破砕プローブ1のインピダンスを測定し、電源部コネクタ39で整合対応するピンを選択してこの特定のものに接続される構成になっている。たとえば、インピダンスの種類が4種あった場合、振動子部コネクタ40にてこれに対応できる特定のものを選択して接続する。 このような構成により、電源部コネクタ49に振動子部コネクタ40を接続するだけでインピダンス整合が行われ、超音波振動子5は発振部34の発振周波数に応じた周波数と、電源部32の出力電圧に応じた電圧で駆動される。」(第2頁右下欄5行?第3頁右上欄8行) (d)「電源コネクタ39と振動子部コネクタ40とは電源部32と超音波振動子5とがインピダンス整合された状態にあるので効率の良い超音波破砕プローブ1の能力をほぼ100%使用することができる。」(第3頁右上欄17行?左下欄1行) (e)「第6図は本発明の第3の実施例を示すものである。この実施例は上記第2実施例と同様電源線とは別に信号線を2本用意したとえば超音波破砕プローブ1がそのインピダンス値より4種類存在したとき、各振動子部コネクタ40にそれぞれ異なった抵抗R1、R2、R3、R4のものを選択的に装着する。超音波破砕プローブ1により異なる抵抗が装着されているので流れる電流Iもすべて異なる。これを種々の超音波破砕プローブ1に応じてコンパレータ45により読みとり、制御部30に送り適切なタップを選ぶ構成としたものである。」(第3頁左下欄15行?右下欄5行) (f)上記(e)において「超音波破砕プローブ1により異なる抵抗が装着されているので流れる電流Iもすべて異なる。これをコンパレータ45により読みとり、制御部30に送り適切なタップを選ぶ構成とした」ということは、超音波破砕プローブ1には各超音波破砕プローブ1に応じて異なる抵抗が装着されており、その抵抗を流れる電流Iをコンパレータ45で検出し制御部30に送り、制御部30で適切なタップを選択する、すなわち、適切なインピダンス値を選択するということである。 したがって、これらの記載事項を総合すれば引用例2には、 「種々の超音波振動子からの超音波振動を伝達する振動伝達部材を有する超音波破砕プローブ1と、超音波破砕プローブ1の一つが装着される電源部コネクタ39と、発信部34と、前記発振部34の発振出力を増幅して発振トランス38を介して前記電源部コネクタ39へ出力する増幅部36と、前記発振部34で発振される発振周波数を接続される超音波破砕プローブとインピーダンス整合する手段と、 前記超音波破砕プローブ1には各超音波破砕プローブ1に応じて異なる抵抗が装着されており、その抵抗を流れる電流Iをコンパレータ45で検出し制御部30に送り、適切なインピダンス値を選択する超音波破砕装置。」の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されていると認めることができる。 (2)対比 本願補正発明と引用発明1を対比すると、その機能、作用からみて、引用発明1の「超音波振動子と超音波振動伝達体よりなるハンドピース(2)」、「ハンドピース(2)の超音波振動子とは共振周波数の異なる超音波振動子と超音波振動伝達体よりなるハンドピース(3)」及び「ハンドピース(2)、(3)のいずれか一方が接続されるコネクター」は、それぞれ本願補正発明の「第1の超音波振動子で発生する超音波を放射する放射面を有する第1の超音波導子」、「第1の超音波振動子とは共振周波数の異なる第2の超音波振動子で発生する超音波を放射する放射面を有する第2の超音波導子」及び「第1、前記第2の超音波導子のいずれか一方が取り付けられる出力端子」に相当する。また、引用発明1の「高周波発信器(1)」は発振回路を有することは明らかであり、本願補正発明の「高周波信号を発振して出力する発振回路」に相当するということができ、同様に、引用発明1は「前記高周波発信器から高周波出力(39)、(40)をハンドピース(2)、(3)に供給する」ことからみて「発振回路の出力を増幅して前記出力端子へ出力する増幅手段」を有することも明らかである。さらに、引用発明1の「ハンドピース(2)、(3)のいずれか1つの共振周波数の回路を選択する整合回路用ゲート回路(34)」は、本願補正発明の「前記発振回路で発振される高周波信号の発振周波数を前記第1の超音波振動子の共振周波数または前記第2の超音波振動子の共振周波数のどちらか一方に選択的に切り換える周波数切り換え手段」に相当するということができる。 ところで、本願補正発明の「周波数設定信号出力手段」は「周波数切り換え手段の切り換えを行う周波数設定信号を出力する」ものであり、引用発明1の「周波数選択回路(6)」は「ハンドピースの超音波振動子の共振周波数に対応した識別信号を発生させ、該識別信号により高周波発振器の発振周波数を決定する」ものであるから、両者は「周波数設定信号を出力する周波数設定信号出力手段」で共通する。 そして、引用発明1の「外科手術装置」は「超音波振動により生物組織を破砕、切断及び分離する」ものであるから、「超音波治療器」ということができる。 したがって、両者は、本願補正発明の文言を用いて表現すると、 「第1の超音波振動子で発生する超音波を放射する放射面を有する第1の超音波導子と、前記第1の超音波振動子とは共振周波数の異なる第2の超音波振動子で発生する超音波を放射する放射面を有する第2の超音波導子と、前記第1、前記第2の超音波導子のいずれか一方が取り付けられる出力端子と、高周波信号を発振して出力する発振回路と、前記発振回路の出力を増幅して前記出力端子へ出力する増幅手段と、前記発振回路で発振される高周波信号の発振周波数を前記第1の超音波振動子の共振周波数または前記第2の超音波振動子の共振周波数のどちらか一方に選択的に切り換える周波数切り換え手段と、 周波数設定信号を出力する周波数設定信号出力手段と、 を具備する超音波治療器。」 の点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。 (相違点1) 周波数設定信号を出力する周波数設定信号出力手段について、本願補正発明では、前記第1の超音波導子に設けられた第1の抵抗器または前記第2の超音波導子に設けられた第2の抵抗器の抵抗値を検出する抵抗値検出回路と、前記抵抗値検出回路の検出結果に応じて前記周波数切り換え手段の切り換えを行う周波数設定信号を出力するのに対し、引用発明1では、記ハンドピース(2)、(3)に接続されたコネクターのシグナルピンの配線組合せによって周波数選択回路(6)を作動させ、該ハンドピースの超音波振動子の共振周波数に対応した識別信号を発生させ、該識別信号により高周波発振器の発振周波数を決定する点。 (相違点2) 超音波治療器について、本願補正発明では超音波を放射することによって温熱治療を行うのに対し、引用発明1では超音波を放射するものであるが温熱治療を行うものではない点。 (3)判断 (3-1)相違点1について 本願補正発明と引用発明2を対比すると、その機能、作用からみて引用発明2における、「超音波振動子からの超音波振動を伝達する振動伝達部材を有する超音波破砕プローブ1」は本願補正発明の「超音波振動子で発生する超音波を放射する放射面を有する超音波導子」に相当するものである。そして、引用発明2においては、超音波プローブの超音波振動子と発振手段との間のインピダンス整合を行うために、各超音波プローブに応じて異なる抵抗が装着されており、その抵抗に流れる電流Iを検出して、その検出結果に応じて適切なインピダンス値を選択するものであるから、引用発明2は、超音波導子に設けた抵抗を用いた検出回路によりその超音波導子に応じた選択制御を行うものというができる。また、引用発明2の超音波破砕装置は、本願補正発明や引用発明1と同様に超音波振動子からの超音波振動を用いて治療を行うものであるから、同一の技術分野に属するものであり、かつ、引用発明1に引用発明2を適用することを阻害する特段の事情もない。 そうすると、引用発明1の周波数設定信号を出力する周波数設定信号出力手段に引用発明2を適用することに困難性があるものとはいえず、その適用に際し、回路の電流を検出するものに代えて抵抗値を検出するものとすることは設計変更にすぎないから、上記相違点1に係る本願補正発明の構成である「前記第1の超音波導子に設けられた第1の抵抗器または前記第2の超音波導子に設けられた第2の抵抗器の抵抗値を検出する抵抗値検出回路と、前記抵抗値検出回路の検出結果に応じて前記周波数切り換え手段の切り換えを行う周波数設定信号を出力する」ことは引用発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 (3-2)相違点2について 超音波を用いた加熱治療装置において周波数を制御することは周知(特開昭63-305863号公報)であり、また、超音波治療装置である超音波加温装置及び超音波破砕装置には同一の技術手段が応用されるもの(特開昭62-87151号公報、特開平2-295554号公報、特開平2-215453号公報)であるから、超音波破砕装置で用いられる技術手段を超音波加温装置に用いることは当業者が適宜成しうる事項にすぎず、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が周知の事項に基づいて容易に想到し得たことである。 そして、本願補正発明の効果は、引用発明1、引用発明2及び周知の事項から当業者が予測できる範囲内のものであって、格別なものとはいえない。 よって、本願補正発明は、引用発明1、引用発明2及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (4)むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年3月8日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。 「第1の超音波振動子で発生する超音波を放射する放射面を有する第1の超音波導子と、前記第1の超音波振動子とは共振周波数の異なる第2の超音波振動子で発生する超音波を放射する放射面を有する第2の超音波導子と、前記第1、前記第2の超音波導子のいずれか一方が取り付けられる出力端子と、高周波信号を発振して出力する発振回路と、前記発振回路の出力を増幅して前記出力端子へ出力する増幅手段と、前記発振回路で発振される高周波信号の発振周波数を前記第1の超音波振動子の共振周波数または前記第2の超音波振動子の共振周波数のどちらか一方に選択的に切り換える周波数切り換え手段と、 前記第1の超音波導子に設けられた第1の抵抗器または前記第2の超音波導子に設けられた第2の抵抗器の抵抗値を検出する抵抗値検出回路と、 前記抵抗値検出回路の検出結果に応じて前記周波数切り換え手段の切り換えを行う周波数設定信号を出力する周波数設定信号出力手段と、 を具備したことを特徴とする超音波治療器。」 第4 引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用例1、引用例2の記載事項は、前記「第2 3.(1)」に記載したとおりである。 第5 対比・判断 本願発明は、前記「第2 1.」で検討した本願補正発明から、「超音波治療器」の作用についての限定事項である「超音波を放射することによって温熱治療を行う」との構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成をすべて含み、さらに、他の構成を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 3.(2)(3)」に記載したとおり、引用発明1、引用発明2及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明1、引用発明2及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明1、引用発明2及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-03-30 |
結審通知日 | 2007-04-03 |
審決日 | 2007-04-16 |
出願番号 | 特願平6-92771 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61F)
P 1 8・ 575- Z (A61F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小菅 一弘、安井 寿儀 |
特許庁審判長 |
阿部 寛 |
特許庁審判官 |
森川 元嗣 中田 誠二郎 |
発明の名称 | 超音波治療器 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 渡邊 隆 |