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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1159190
審判番号 不服2002-43  
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-01-04 
確定日 2007-06-14 
事件の表示 平成 5年特許願第 63477号「弾球遊技機の可変表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 9月 6日出願公開、特開平 6-246045〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成5年2月26日の出願であって、平成13年11月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年1月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成14年2月1日付けで明細書に係る手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1乃至3に係る発明は、平成14年2月1日付けの手続補正によって補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された「弾球遊技機の可変表示装置」にあると認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりのものである。
「複数の識別情報を可変表示する回転ドラムを備えた弾球遊技機の可変表示装置において、
前記回転ドラムと、該回転ドラムを駆動し且つ内部にセンサを内蔵するモータが固着されると共に前記識別情報を照射するランプが取り付けられる金属製の固定板と、からなる回転ドラムユニットを弾球遊技機の遊技盤の裏面側に取り付けられる収納体に収納設置すると共に、
該収納体の上面又は底面に前記センサとモータとランプからの配線をまとめて外部と接続するための接続用開口を形成し、
該接続用開口が形成された上面又は底面に前記センサとモータとランプからの配線が接続される基板を設け、
さらに前記固定板は、前記収納体の外部に取り付けられる金属製の放熱固定板と接触するように固定されている
ことを特徴とする弾球遊技機の可変表示装置。」

3.引用例及び引用発明
原査定の拒絶理由において引用された、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である特開平4-161182号公報(以下、引用例という)には、以下の事項が記載されている。
(ア)「複数の識別情報が表面に形成された回転部材を備えた可変表示装置において、前記回転部材を透光性のある部材で構成すると共に、遊技者が視認し得る識別情報の裏面から光を照射する発光部材を設けたことを特徴とする可変表示装置。」(第1頁左下欄第5?10行)、
(イ)「一方、遊技盤1の裏面に取り付けられる回転ドラム39a?39cを収納する駆動部収納ボックス37の構成について第1A図乃至第6図を参照して説明する。まず、駆動部収納ボックス37に収納される回転ドラム39a?39cの構成について説明すると、回転ドラム39a?39cは、それぞれ個々に回転ドラム機構38a?38cとしてユニット化され、簡単に駆動部収納ボックス37に収納されるようになっている。すなわち、第1A図に示すように回転ドラム機構38a(他の2つの回転ドラム機構38b、38cも全く同じ構成である)は、その外周表面に複数の識別情報としての図柄が描かれた回転ドラム39a?39cと、該回転ドラム39a?39cを回転せしめるステッピングモータ40a?40cと、該ステッピングモータ40a?40cを固定するためのモータ固定板41a?41cとから構成される」(第4頁左上欄第4?20行)、
(ウ)「そこで、ランプ58a?58cのランプ基板51に対する取付構造について第2A図及び第2B図を参照して説明すると、ランプ基板51は、モータ固定板41aの前方に形成されたランプ基板取付開口50に対応してランプカバー61aとともにビスでモータ固定板41aに螺着されている。」(第5頁右下欄第3?9行)、
(エ)「次に、上記した回転ドラム機構38a?38cが収納される駆動部収納ボックス37の構成について第3図乃至第5図を参照して説明すると、駆動部収納ボックス37は、後方が開放しており、その開放部から上記した回転ドラム機構38a?38cを挿入して収容するようになっており、完全に収納された状態で駆動部収納ボックス37の前面側に開設された開口窓69から第3図に示すように回転ドラム39a?39cの前方円弧状部が突出するようになっている。」(第6頁右上欄第4?13行)、
(オ)「駆動部収納ボックス37の後面開口を閉塞するために設けられる基板取付枠75を正確に止着するようになっている。すなわち、基板取付枠75の前面上部に突設された位置決め突起76を位置決め受部73に受け入れ、その前面上部に形成されたビス穴77を止め受部74に対応させて図示しないビスを螺着することにより基板取付枠75を駆動部収納ボックス37の後面に取り付けるようになっている。基板取付枠75には、その前端上部に前記ランプ配線57a?57bを外側に導出するためのランプ配線挿通溝78a?78cが形成され、その前端下部に前記モータ配線67a?67cを外側に導出するためのモータ配線挿通溝79a?79c(ただし、79b、79cは図示せず)が形成されている。また、基板取付枠75の中程には、仕切板80が形成され、該仕切板80のほぼ中央に複数の通過穴81a?81cが穿設されている。この通過穴81a?81cには、仕切板80の後面に密着して配置される回路基板83に設けられる反射型フォトセンサ84a?84cが臨むようになっている。したがって、通過穴81a?81cは、回転ドラム機構38a?38cが駆動部収納ボックス37に固定されたときに前記回転ドラム39a?39cの一側外周縁に形成された無反射帯43aが回転してくる位置に対応するように穿設されている。そして、反射型フォトセンサ84a?84cが無反射帯43を検出したときにONとなるように設定され、無反射帯43以外の位置のときにはOFFとなるように設定されている。また、仕切板80には、その後面四隅に後述する中継端子基板87を止着するための取付ボス82が突設されると共に、回路基板83に設けられるコンデンサー等の電気部品が配置される開口(符号なし)や前記突部45と係合する係合溝(図示しない)等が形成されている。反射型フォトセンサ84a?84cが設けられる回路基板83の下方には、コネクタが設けられ、このコネクタと次に述べる中継端子基板87の回路基板接続コネクタ81とが配線85のコネクタ85a、85bとで接続され、回路基板83に電源が供給されている。なお、配線85のコネクタ85aを収納するために基板取付枠75の下部中央には、収納凹部86が形成されている。また、回路基板83は、取付ボス82を結ぶ線の内側であって前記仕切板80の後面に密着して図示しないビスによって止着されている。また、前記取付ボス82には、中継端子基板87がビス92によって止着されている。この中継端子基板87は、可変表示装置30全体に設けられる電気的部品からの配線を中継するもので、前記した回路基板接続コネクタ91やモータ接続コネクタ89a?89cやランプ接続コネクタ88a?88cが設けられる共に、外部の遊技動作を制御する制御回路基板接続コネクタ90等が設けられている。」(第6頁左下欄第1行?第7頁左上欄第16行)。

上記の記載及び図面によれば、引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「複数の識別情報を可変表示する回転ドラム39a?39cを備えた弾球遊技機の可変表示装置において、
前記回転ドラム39a?39cと、該回転ドラム39a?39cを駆動するステッピングモータ40a?40cが固定されると共に前記識別情報を照射するランプ58a?58c、59a?59c、60a?60cがランプ基板51を介して取り付けられる固定板41a?41cと、からなる回転ドラム機構38a?38cを
弾球遊技機の遊技盤1の裏面に取り付けられる駆動部収納ボックス37と、該駆動部収納ボックス37の後面開口を閉塞するために設けられる基板取付枠75とからなる空間内に収納設置すると共に、
該基板取付枠75の前端上部に前記ランプ58a?58c、59a?59c、60a?60cからの配線57a?57bを外側に導出するためのランプ配線挿通溝78a?78cを形成し、前記基板取付枠75の前端下部に前記モータ40a?40cからの配線67a?67cを外側に導出するためのモータ配線挿通溝79a?79cを形成し、前記基板取付枠75の中程に、その後面に密着して配置される回路基板83に設けられる反射型フォトセンサ84a?84cが臨むように複数の通過穴81a?81cが穿設されている仕切板80を形成し、
前記基板取付枠75の後部に、前記ランプ58a?58c、59a?59c、60a?60cと、前記モータ40a?40cと、前記反射型フォトセンサ84a?84cからの配線が接続される中継端子基板87を設ける
弾球遊技機の可変表示装置。」

4.対比及び判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「回転ドラム39a?39c」、「ステッピングモータ40a?40c」、「回転ドラム機構38a?38c」、「固定板41a?41c」、「遊技盤1」、「反射型フォトセンサ84a?84c」及び「中継端子基板87」は、それぞれ、本願発明の「回転ドラム」、「モータ」、「回転ドラムユニット」、「固定板」、「遊技盤」、「センサ」及び「基板」に相当する。
また、引用発明の「駆動部収納ボックス37」及び「該駆動部収納ボックス37の後面開口を閉塞するために設けられる基板取付枠75」は、実質的に前記両部材をもって、回転ドラム機構38a?38c(回転ドラムユニット)を収納するものであるから、本願発明の「収納体」に相当するとともに、引用発明の前記基板取付枠75の前端上部に形成された「ランプ配線挿通溝78a?78c」及び前記基板取付枠75の前端下部に形成された「モータ配線挿通溝79a?79c」は、本願発明の収納体の上面又は底面に形成された外部と接続するための「接続用開口」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明の両者は、以下の点でそれぞれ、一致ならびに相違するものと認められる。
一致点「複数の識別情報を可変表示する回転ドラムを備えた弾球遊技機の可変表示装置において、
前記回転ドラムと、該回転ドラムを駆動するモータが固着されると共に前記識別情報を照射するランプが取り付けられる固定板と、からなる回転ドラムユニットを弾球遊技機の遊技盤の裏面側に取り付けられる収納体に収納設置すると共に、
該収納体の上面又は底面に前記モータとランプからの配線を外部と接続するための接続用開口が形成され、センサとモータとランプからの配線が接続される基板が設けられている弾球遊技機の可変表示装置。」
相違点A.本願発明は、センサをモータに内蔵し、前記センサとモータとランプからの配線をまとめて外部と接続するための接続用開口を形成するのに対し、引用発明は、センサをモータに内蔵することなく、収納体に配置した回路基板83に設けて、該回路基板83から外部の基板に配線を接続するとともに、モータとランプからの配線を外部と接続するための接続用開口を個別に形成する点。
相違点B.本願発明は、基板を収納体の上面又は底面に設けるのに対し、引用発明は、基板を収納体の後部に設ける点。
相違点C.本願発明は、固定板が金属製であり、該固定板が収納体の外部に取り付けられる金属製の放熱固定板と接触するように固定されているのに対し、引用発明においては、固定板が金属製であるか不明であり、該固定板に金属製の放熱固定板が接触するように固定されているものでもない点。

(2)検討判断
i.相違点A.について
弾球遊技機の可変表示装置において、センサをモータに内蔵することは、周知技術(例えば、特開平4-58968号公報、特開平4-295387号公報、特開平5-15196号公報参照、以下、周知技術Aという。)である。
また、異なる電気的素子に係る配線をまとめて外部と接続することは、組み立て及び保守を効率的に行うために、適宜採用される周知技術である。
そうすると、引用発明に示される、センサを収納体に配置した回路基板83に設けることに代えて、前記周知技術Aに示される、センサをモータに内蔵する構成を採用するとともに、配線をまとめる前記周知技術を引用発明に適用して、モータとランプからの配線を外部と接続するための接続用開口を個別に形成することに代えて、センサを含めて、モータとランプからの配線をまとめて外部と接続するための接続用開口を形成することにより、前記相違点Aに係る本願発明のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。
ii.相違点B.について
弾球遊技機の可変表示装置において、基板を収納体の底面に設けることは、周知技術(例えば、特開昭62-26088号公報、特開平3-32684号公報参照、以下、周知技術Bという。)である。
そうすると、引用発明に示される、基板を収納体の後部に設けることに代えて、前記周知技術Bに示される、基板を収納体の底面に設ける構成を採用して、前記相違点Bに係る本願発明のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。
iii.相違点C.について
弾球遊技機の可変表示装置において、収納体内部のモータから発生する熱を外部に放出するために、該収納体の外部に熱伝導性の高い放熱固定板を設け、該収納体に収納設置される固定板等を前記放熱固定板と接触するように固定して放熱効果を高めることは、周知技術(例えば、特開平4-58968号公報、特開平5-15196号公報、特開平3-32684号公報参照、以下、周知技術Cという。)である。また、金属の熱伝導性が高いことは自明の事項である。
そうすると、引用発明に前記周知技術Cを適用して、固定板を金属製にするとともに、該固定板を収納体の外部に取り付けられる金属製の放熱固定板と接触するように固定することにより、前記相違点Cに係る本願発明のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。
iv.作用効果について
本願発明の作用効果は、引用発明及び前記周知技術に基づいて、当業者が容易に予測できるものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明(引用発明)及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、特許請求の範囲の請求項2及び3に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-04-12 
結審通知日 2007-04-17 
審決日 2007-05-01 
出願番号 特願平5-63477
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塩崎 進  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 林 晴男
中槙 利明
発明の名称 弾球遊技機の可変表示装置  
代理人 今崎 一司  

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