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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1159332
審判番号 不服2005-6595  
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-04-14 
確定日 2007-06-15 
事件の表示 特願2000- 98803「携帯電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月12日出願公開、特開2001-285472〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本願発明
本願は、平成12年3月31日の出願であって、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年12月27日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
(本願発明)
「画像表示装置と、商用電源或いは内蔵せる二次電池から電力の供給を受けて画像表示装置の画面を照明する照明装置とを具え、充電器に装着することにより、該装着状態が検知されて二次電池の充電が開始される携帯電子機器において、
充電器に装着されていない状態では、ユーザ操作が一定時間以上に亘って行なわれないときに、照明装置に対する電力の供給を停止する制御を行なう手段と、
充電器に装着されている状態では、商用電源から得られる電力を二次電池に供給すると共に、照明装置に対し、充電器に装着されていない状態でユーザ操作が行なわれたときの照明装置の明るさよりも低い明るさで常時点灯させる制御を行なう手段
とを具えていることを特徴とする携帯電子機器。」

2.引用発明および周知技術
(1)これに対して、当審の拒絶理由に引用された特開平11-284560号公報(以下、「引用例」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話装置に関し、特に、携帯電話装置を車載充電器と接続して携帯電話装置の電源である二次電池へ充電する装置に関する。」(第2頁第1欄)、
ロ.「【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、表示部および操作部を照明する照明回路を有する携帯電話装置において、該携帯電話装置に、照明用電源供給端子と、切替スイッチと、車載充電器と接続されたとき、前記照明回路用の電源を前記照明用電源供給端子から供給するように前記切替スイッチを切り替える手段とを設けたことを特徴とする。
【0014】車載充電器には、携帯電話の電池を充電するための充電端子の他に、照明用電源を有しており、携帯電話装置の照明用電源供給端子と接続される。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態を示すブロック図である。図1において、携帯電話装置13には、車載充電器8と接続される外部接続端子3と、二次電池11と接続される電池接続端子12が備えられており、車載充電器8と二次電池11は、それぞれ外部接続端子3、電池接続端子12を介して携帯電話装置13と接続される。
【0016】車載充電器8の充電回路7は二次電池11から携帯電話装置13を介して接続される電圧検出端子6の電圧をモニタし、充電時に4.2Vとなるように充電端子5に流れる電流を制御し、予め設定された充電電流になった時点で充電を完了する。
【0017】充電中に携帯電話装置13の電源が入っている場合は、待ち受け動作を行っているため微少電流を消費しているが、充電回路7はこの待ち受け電流の供給も行っている。充電端子5に接続されるダイオード10は電池11から充電回路7への電流逆流防止用のダイオードである。
【0018】携帯電話装置13の外部接続端子3には、照明用電源供給端子2が設けられており、携帯電話装置13の照明回路310に供給される電源は、制御部307によって制御される切替スイッチ1により、二次電池11または照明用電源供給端子2のいずれか一方に切り替えられる。
【0019】また、車載用充電器8には、充電回路7とは別に照明用電源4が備えられており、携帯用電話装置13を車載用充電器8と接続すると、この照明用電源4が携帯電話装置13の照明用電源供給端子2と接続されるようになっている。
【0020】制御部307は、車載モード検出端子9からの信号を監視しており、車載充電器8が携帯電話装置13の外部接続端子3に接続されていないときには、切替スイッチ1を二次電池11側へ切り換えるとともに、使用者によって照明を常時点灯するように設定することができないように携帯電話装置の照明回路310を制御する。一方、車載充電器8が接続されたことを検出した場合には、切替スイッチ1を照明用電源供給端子2側へ切り換えるとともに、使用者によって照明を常時点灯するように設定することを可能とするように照明回路310を制御する。
【0021】従って、車載充電器8によって二次電池11に充電を行っている状態で使用者が照明を常時点灯させる設定をおこなった場合でも、照明回路310の駆動電流は照明用電源供給端子2を介して照明用電源4から供給されるので、充電回路7に流れる電流に対する照明回路の影響をなくすことが可能となる。
【0022】なお、実施の形態においては、車載用充電器を対象としているが、例えば卓上の充電器等に、照明用の電源回路を設けた構成とすることもできる。」(第3頁第3?4欄)。

上記事項ロの記載のうち、段落番号【0022】の記載によると、「車載充電器」を「卓上の充電器」として構成することも可能であることが記載されているから、上記引用例の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(引用発明)
「表示部と、照明用電源4或いは内蔵せる二次電池11から電力の供給を受けて表示部の画面を照明する照明とを具え、卓上の充電器に装着することにより、該装着状態が検知されて二次電池11の充電が開始される携帯電話装置において、
卓上の充電器が接続されたことを検出した場合には、充電回路7で二次電池11に充電すると共に、照明を常時点灯するように設定する制御部307
を具えている携帯電話装置。」

(2)当審の拒絶理由に引用された特開平11-298581号公報(以下、「周知例1」という。)には図面とともに以下の事項イが記載されており、同じく特開平9-62198号公報(以下、「周知例2」という。)には図面とともに以下の事項ロが記載されており、同じく特開平11-136750号公報(以下、「周知例3」という。)には図面とともに以下の事項ハが記載されており、同じく特開平9-159466号公報(以下、「周知例4」という。)には図面とともに以下の事項ニが記載されている。
イ.「【0014】本発明の無線電話装置において、前記キースイッチ検出手段によって前記複数のキースイッチのいずれかがオンされたことが検出されてから所定時間経過するまでの間に再度前記複数のキースイッチのいずれかがオンにされたことが検出されなかった場合、前記ライトを消灯するライト点灯制御手段を備えていてもよい。この場合、最後にキースイッチがオンされてから所定時間経過すると、自動的にライトを消灯するため、いたずらにバッテリが消耗するのを防止できる。
【0015】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]図1は本実施形態の無線電話装置の全体構成を表す概略正面図、図2は本実施形態の回路構成を表す概略ブロック図である。
【0016】図1又は図2に示すように、無線電話装置10は、他の電話装置から送信されてきたメッセージや無線電話装置10の操作案内・動作状況等を表示するためのLCDなどの表示部11と、通話開始キー12aや通話終了キー12bや各種機能の設定を行うセレクトキー12cや数字等を入力する数字入力キー12dや電源のオンオフを行う電源スイッチ12eなど複数のキースイッチからなるキースイッチ群12と、表示部11やキースイッチ群12の各キースイッチのタッチ面に表示された文字等を裏側から照らし出すバックライト群13と、通話時に相手の音声を出力するためのスピーカ14と、通話時に自分の音声を入力するためのマイク15と、アンテナ16aを介して所定の変調方式によって音声を送受信する送受信部16と、キースイッチ群12やマイク15や送受信部16などからの信号を入力し表示部11やバックライト群13やスピーカ14や送受信部16などへ信号を出力するコントローラ17と、各部へ電力を供給するバッテリ18などを備えている。なお、コントローラ17は周知のCPU、ROM、RAMなどを備えており、CPUはROMに記憶された各種制御プログラムをRAMにデータを一時記憶しながら実行する。
・・・・(中略)・・・・
【0020】また、S101においてキースイッチ群12のいずれのキースイッチもオンされていなければ(S101でNO)、S107に進み、最後のキースイッチがオンされてから所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判断し、所定時間経過していなければ(S101でNO)、S101に戻り、所定時間経過したならば(S101でYES)、ユーザーが継続してキースイッチをオンする意思がないとみなし、S108に進み、バッテリ18の消耗を防止すべくバックライト群13を消灯し、その後S101に戻る。」(周知例1、第3頁第4欄?第4頁第6欄)、
ロ.「【0052】次に、第4実施例について説明する。第4実施例における携帯端末も上記第1実施例と略同一の構成であるが、上記第1実施例と異なり、第1照明操作スイッチ22や第2照明操作スイッチ24は設けられておらず、第1照明部60と第2照明部の点灯の制御は下記に説明するように時間制御により自動的に行われる。つまり、主制御部58は、表示パネル14におけるキー操作と時間制御部48からの計測結果に基づき第1照明部60と第2照明部62の点灯及び消灯を制御する。動作の詳細については以下に説明する。また、上記第1実施例と同様の構成要素についてはその説明を省略する。また、機能ブロック図としては、図3、図4に示すものと同様である。
【0053】本実施例の携帯端末の動作について説明する。まず、発呼時の動作について図7を使用して説明すると、電源操作スイッチ20を押すと電源が投入される(ステップS301)。この電源の投入により第1照明部60が点灯される(S302)。つまり、該電源操作スイッチ20が操作されたことが操作検出部44により検出され、これが主制御部58に通知される。主制御部58は、LCD表示制御部40に第1照明部60の点灯を指示し、LCD表示制御部40においては、点灯制御部66が第1照明部60を点灯させる。また、主制御部58は、主制御部58は該電源操作スイッチ20により電源が投入されたことを時間監視部48に通知し、時間監視部48は時間監視処理をスタートさせる。次に、タッチパネル部42において、ダイヤル番号の入力が行われたか否かが検知され、入力が行われない場合にはステップS304に移行し、入力が行われた場合にはステップS306へ移行する。
【0054】ステップS304では、電源操作スイッチ20がオン動作されてから、一定時間経過したか否かが時間監視部48で監視され、一定時間経過した場合には、ステップS305に移行する。つまり、ステップS305では、電源投入後一定時間ダイヤル番号の入力がない場合には、点灯されていた第1照明部60を消灯する。また、ステップS306を経て、第1照明部60と第2照明部62の両方が点灯している場合には、第1照明部60と第2照明部62の両方を消灯する。すなわち、一定時間が経過すると、時間監視部48より主制御部58に通知され、主制御部58はLCD表示制御部40に対して第1照明部60あるいは第1照明部60と第2照明部62の両方の照明部の消灯を指示する。LCD表示制御部40においては、点灯制御部66が第1照明部60あるいは第1照明部60と第2照明部62の両方を消灯させる。これにより、一定時間入力操作がない場合には、バックライトを消灯することにより消費電力の削減を図ることができる。また、自動的に消灯制御を行うので一々消灯操作を行う必要がない。」(周知例2、第9頁第15?16欄)、
ハ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は携帯通信機に関し、特に表示部にバックライトを備えた携帯通信機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より携帯通信機には液晶等を用いた表示部が備えられていて、電話番号等の表示がされる。そして暗がりでの視認性を高めるために、この表示部およびテンキーを含む複数のキーが配列されたキー操作部を照らすバックライトが具備されている。
【0003】このバックライト機能については携帯通信機によって設定変更可能な機種がある。この設定変更可能な機種ではバックライトの点灯(ON)及び消灯(OFF)の選択は、携帯通信機のファンクションキー(Fキー)操作で設定できる。バックライトが点灯(ON)するように設定した場合、携帯通信機をキー操作する毎にバックライトが所定時間点灯する。バックライトが消灯(OFF)するように設定した場合、OFF設定を解除しないかぎりキー操作してもバックライトは点灯しない。
【0004】図4に携帯通信機のバックライト機能に係わるブロック図を示す。電話番号等を表示する表示部4とキー入力するキー操作部5を備え、表示部4とキー操作部5を照明するバックライト1とこれをドライブするバックライトドライブ部2を持つ。制御部3が、キー操作部5のキー検知、表示とバックライトドライブのコントロールを行う。バックライトが点灯する操作は、キー操作部5からキー入力でバックライト機能ONを制御部3に設定する。バックライト機能ONの設定状態で、キー操作部5のいづれかのキー入力がされた時、無条件にバックライト1が点灯して制御部3のソフトウエアタイマーが計時を開始し10秒経過すると消灯する。このキー操作部5のキーが続けて入力された時、最後に入力した時から10秒経過すると、バックライトは消灯する。
【0005】図5に図4での制御部3のコントロール処理をフローチャートに示す。処理S1でキー操作部5のいづれかのキー入力がされた時、YESで処理S2に入り、バックライト機能がON設定ならタイマースタート処理S3からバックライト点灯処理S4を実行し、処理S1に入り、バックライト機能がOFF設定なら処理S5に入る。処理S1でキー操作部5のいづれのキーも入力されていない時、処理S5に入る。処理S5でタイマーが動作中でないか、タイマーが動作中なら10秒経過していない時、処理S1に戻る。処理S5でタイマーが動作中で、10秒経過した状態なら処理S6でタイマーストップしてバックライト1を消灯する。」(周知例3、第2頁第1?2欄)、
ニ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示装置及びナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】GPS等の位置情報により現在位置を知らせる車載用ナビゲーション装置が市販されている。また、近年、携帯が可能な携帯用ナビゲーション装置が発売された。車載用、携帯用いずれも電池を電源としており、省電力は重要な課題である。そこで、所定時間ナビゲーション装置を操作しなかったときには表示部を消灯させる方法が考えられる。」(周知例4、第2頁第1欄)。

上記周知例1?4において、いずれも省電力化を目的として照明手段を消灯しているのであるから、消灯時に照明手段の電力供給を停止していることは明らかである。
したがって、上記周知例1?4に開示されているように、携帯電子機器において、「充電器に接続されていない状態で、ユーザの操作が一定時間以上に亘って行われないときに、表示装置の照明手段を消灯する」ことは周知である(以下、「周知技術1」という。)。

(3)例えば特開平8-86996号公報(以下、「周知例5」という。)には図面とともに以下の事項イが記載されており、特開平10-206195号公報(以下、「周知例6」という。)には図面と共に以下の事項ロ、ハが記載されている。

イ.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般的には、液晶表示素子に光を当てて情報を表示する液晶表示装置に係り、詳しくは消費電力を低減する機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、メモリー性を有する強誘電性液晶を利用した液晶表示素子はワープロやパソコン等のOA機器において情報を表示するために広く用いられており、該液晶表示素子はバックライト装置によって照明され、該液晶表示素子が表示する情報の認識が容易となるように構成されている。
【0003】そして、これらのOA機器においては、消費電力の低減を図るべく種々の対策が施されており、一定時間キーボードやマウスの操作が行われない場合や、演算処理を行っている最中で表示内容に変更のない場合には、上記バックライト装置をオフにしたり、消費電力が変わらないように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のようにバックライト装置をオフにした場合には、液晶表示素子によって表示されている情報(画像内容や処理内容)の確認ができなくなってしまう点で問題であった。
【0005】そこで、本発明は、画像情報が認識可能な範囲でバックライト装置の輝度を低下させることにより、消費電力の低減と画像情報の確認とが可能な液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述事情に鑑みなされたものであって、一対の基板間に液晶が注入されて構成される液晶表示素子と、該液晶表示素子の表示内容を変更する操作手段と、前記液晶表示素子を照明してその表示内容を認識せしめるバックライト装置と、を備えた液晶表示装置において、前記バックライト装置に電圧を印加する電圧印加手段と、該電圧印加手段を調整する電圧調整手段と、一定時間前記操作手段が操作されないことを検知する検知手段と、を備え、かつ、前記操作手段が一定時間操作されないと前記検知手段が検知した場合には、前記電圧調整手段が前記電圧印加手段を調整して前記バックライト装置に印加される電圧を低減し、画像情報が認識可能な範囲で前記バックライト装置の輝度を低下させる、ことを特徴とする。この場合、前記液晶表示素子がメモリー性を有する、ようにすると好ましい。
【0007】
【作用】以上構成に基づき、操作手段を操作した場合には液晶表示素子の表示内容は適宜変更される。一方、電圧印加手段はバックライト装置に電圧を印加し、バックライト装置は液晶表示素子を照明する。これにより、液晶表示素子の表示内容が容易に認識されることとなる。
【0008】また、前記操作手段が一定時間操作されない場合には検知手段がそれを検知して、電圧調整手段を駆動する。すると、該電圧調整手段は前記電圧印加手段を調整して前記バックライト装置に印加される電圧を低減し、画像情報が認識可能な範囲で前記バックライト装置の輝度を低下させる。」(周知例5、第2頁第1?2欄)、
ロ.「【0000】
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明はCRTや液晶(LCD)表示器を用いた記録計に関し、消費電力及び視認性の改善を図った記録計に関する。」(周知例6、第2頁第1欄)、
ハ.「【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、記録すべきデータを取入れて所定の演算を行う演算手段と、この演算手段からの出力に基づいて前記データを表示する表示器を有する記録計において、所定時間経過毎に信号を発するタイマー手段と、トリガ信号発生手段と、操作キー手段を有し、これらの手段から発せられる少なくとも一つの信号に関連して前記表示器の輝度を制御する輝度制御手段を設けたことを特徴とするものである。
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施の形態の一例を説明する。図1は本発明の一実施例のブロック構成図である。図において、図3と同一要素には同一符号を付してある。10は表示器輝度制御であり、表示器5の輝度を標準画面(通常の輝度)と消灯モード(画面を視認できる程度の輝度)に変更する。そしてこの変更はタイマ8,キー11,トリガ発生手段9からの信号を受信することにより行われる。
【0006】図2は本発明の記録計の監視プログラムのフローチャートの一例を示すもので、ここでは一定時間キー操作もトリガも発生しなかった状態があり、現在消灯中の状態のとして1秒毎に監視を行っている。
・・・・(中略)・・・・
即ち、キー操作もトリガもない場合は表示器は視認できる程度の画面を維持し、キーが押されたり、トリガが発生した場合は標準画面(通常の輝度)に復帰する。
【0008】なお、タイマは標準画面に復帰した状態でトリガもキー操作もない場合は一定時間(例えば20秒)経過した後、表示器5の画面を視認できる程度の輝度に低下させる。
【0009】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、消灯状態でも画面を視認できる程度の輝度に維持することにより、表示器が完全に消えることによる視認性の低下を防止することがでる。また、輝度低下による省電力及び寿命延命をはかることができ、更に、点灯に際しては事象(トリガ,キー操作)に応じてユーザの意識を越えた動作により点灯することとなり、マンマシーンインタフェースの改善を図った記録計を実現することができる。」(周知例6、第2頁第2欄)。

上記周知例5、6に開示されているように、表示装置の画面を照明する照明手段を備えた電子機器において、「照明手段を、ユーザ操作を行っていない状態では、ユーザ操作が行われているときの明るさよりも低い明るさで点灯させる」ことは周知である(以下、「周知技術2」という。)。

3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

a.引用発明の「二次電池11」、「照明」、「卓上の充電器」及び「携帯電話装置」は、本願発明の「二次電池」、「照明装置」、「充電器」及び「携帯電子機器」にそれぞれ相当する。
b.引用発明の「表示部」と、本願発明の「画像表示装置」とは、「表示装置」という点で一致する。
c.一般に、「卓上の充電器」の電力源は「商用電源」を用いるものであるから、引用発明において、「照明用電源4」及び「充電回路7」から供給される電力は、「商用電源から供給される電力」であると考えるのが自然である。
d.引用発明の「卓上の充電器が接続されたことを検出した場合」とは、携帯電子機器が充電器に装着され、商用電源から得られる電力を二次電池に供給(充電)している状態を指しているから、引用発明の「制御部307」と、本願発明の「常時点灯させる制御を行う手段」とは、「充電器に装着されている状態では、商用電源から得られる電力を二次電池に供給すると共に、照明装置に対し、常時点灯させる制御を行なう常時点灯制御手段」という点で一致する。

したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。
<一致点>
「表示装置と、商用電源或いは内蔵せる二次電池から電力の供給を受けて表示装置の画面を照明する照明装置とを具え、充電器に装着することにより、該装着状態が検知されて二次電池の充電が開始される携帯電子機器において、
充電器に装着されている状態では、商用電源から得られる電力を二次電池に供給すると共に、照明装置に対し、常時点灯させる制御を行なう常時点灯制御手段
とを具えている携帯電子機器。」

<相違点1>
「表示装置」に関し、本願発明は、画像を表示する「画像表示装置」であるのに対し、引用発明は、画像を表示するものであるかどうか、不明である点。

<相違点2>
本願発明は、「充電器に装着されていない状態では、ユーザ操作が一定時間以上に亘って行なわれないときに、照明装置に対する電力の供給を停止する制御を行なう手段」を有しているのに対し、引用発明が、該「充電器に装着されていない状態では、ユーザ操作が一定時間以上に亘って行なわれないときに、照明装置に対する電力の供給を停止する制御を行う手段」を有しているかどうか不明な点。

<相違点3>
充電器に装着されている状態で、常時点灯制御手段が設定する常時点灯時の明るさが、本願発明では、「充電器に装着されていない状態でユーザ操作が行なわれたときの照明装置の明るさよりも低い明るさ」であるのに対し、引用発明では、どの様な明るさであるのか不明である点。

4.判断

(相違点1について)
携帯電子機器の表示部に画像を表示することは周知慣用の技術であり、引用発明の「表示装置」を画像を表示するものとすることは当業者が容易に想到し得ることである。

(相違点2について)
上記「2.引用発明および周知技術」の「(2)」の項で記載したように、携帯電子機器において、「充電器に接続されていない状態で、ユーザの操作が一定時間以上に亘って行われないときに、表示装置の照明手段を消灯する」ことは周知である(周知技術1)。
そして、引用発明と周知技術1とは、携帯電子機器という共通の技術分野に属するとともに、引用発明に当該周知技術1を適用することに特段の阻害要因は見あたらないから、引用発明に当該周知技術1を適用して、「充電器に接続されていない状態で、ユーザの操作が一定時間以上に亘って行われないときに、表示装置の照明手段を消灯する」手段を設けることは当業者が容易になし得ることである。

(相違点3について)
一般的に、携帯電話機などの携帯電子機器は、充電器に装着されている状態で待ち受け動作を行っているが、着呼に応答するか、又は発呼に際して、ユーザが操作する場合には、携帯電話機を充電器から取り外して操作することが通常であるから、引用発明における「充電器に装着されている状態」は、「ユーザ操作を行っていない状態」と解釈することが自然である。
そして、上記「2.引用発明および周知技術」の「(3)」の項で記載したように、表示装置の画面を照明する照明手段を備えた電子機器において、「照明手段を、ユーザ操作を行っていない状態では、ユーザ操作が行われているときの明るさよりも低い明るさで点灯させる」ことは周知であり(周知技術2)、引用発明と周知技術2とは、「表示装置を照明する照明手段を備えた電子機器」という共通の技術分野に属するとともに、引用発明に当該周知技術2を適用することに特段の阻害要因は見あたらないから、引用発明に当該周知技術2を適用して、常時点灯制御手段が設定する常時点灯時の明るさを、「充電器に装着されていない状態でユーザ操作が行なわれたときの照明装置の明るさよりも低い明るさ」とすることは当業者が容易になし得ることである。

上記相違点1?3についての判断に加え、本願発明が奏する作用効果も、上記引用例のもの及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-04-03 
結審通知日 2007-04-10 
審決日 2007-04-23 
出願番号 特願2000-98803(P2000-98803)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 戸次 一夫冨田 高史山中 実  
特許庁審判長 羽鳥 賢一
特許庁審判官 北村 智彦
宮下 誠
発明の名称 携帯電子機器  
代理人 西岡 伸泰  

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