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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G09B
管理番号 1159507
審判番号 不服2004-25559  
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-12-15 
確定日 2007-06-21 
事件の表示 平成 7年特許願第351008号「画像処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 7月11日出願公開、特開平 9-179491〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成7年12月25日の出願であって、平成16年11月1日付で拒絶査定がなされ、これに対し同年12月15日に拒絶査定に対する審判請求(以下、「本件審判請求」という。)がなされるとともに、平成17年1月14日付で手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 平成17年1月14日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成17年1月14日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.補正事項
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「車両の位置座標とその通過時刻を記憶した走行軌跡記憶媒体の読み出し装置と、
写真の画像データと該画像の撮影時刻データを保持する写真記録媒体の読み出し装置と、
表示装置と、
前記通過時刻と撮影時刻に基づいて、撮影時刻データに対応する車両の位置座標を検索する座標検索手段と、
該座標検索手段により検索された車両の位置座標に関連付けて前記写真の画像を前記表示装置に表示する画像表示手段と、
からなることを特徴とする画像処理システム。」

から、

「車両の位置座標とその通過時刻を走行軌跡として記憶した走行軌跡記憶媒体の読み出し装置と、
写真の画像データと該画像の撮影時刻を保持する写真記録媒体の読み出し装置と、
表示装置と、
前記通過時刻と撮影時刻に基づいて、撮影時刻に対応する車両の位置座標を検索する座標検索手段と、
前記表示装置に前記走行軌跡に対応する地図を表示すると共に、該表示された走行軌跡における前記検索された車両の位置座標に関連付けて、前記撮影時刻に撮影された前記写真の画像を表示する画像表示手段と、
からなることを特徴とする画像処理システム。」

と、補正された。

本件補正は、以下の補正事項を含むものと認められる。

a)補正前の「通過時刻を記憶」を、本件補正により「通過時刻を走行軌跡として記憶」と補正する事項(以下、「補正事項a」という。)。

b)補正前の「撮影時刻データ」を、本件補正により「撮影時刻」と補正する事項(以下、「補正事項b」という。)。

c)補正前の「検索された車両の位置座標」について、本件補正により「前記表示装置に前記走行軌跡に対応する地図を表示すると共に、該表示された走行軌跡における」との特定を付する補正(以下、「補正事項c」という。)

d)補正前の「前記写真の画像」を、本件補正により「撮影時刻に撮影された前記写真の画像」と補正する事項(以下、「補正事項d」という。)。

2.補正目的
前記補正事項a,c,dは、補正前の請求項1の発明特定事項に限定事項を付加するものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものといえる。
一方、前記補正事項bでは補正前の「撮影時刻データ」から「データ」を省く補正がなされており、これは明らかに平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものではない。
さらに、原審で明りようでない記載についてする拒絶理由は通知されていないことから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第4号に規定する明りようでない記載の釈明と認めることもできない。また、補正事項bが誤記の訂正、請求項の削除に該当しないことも明らかであるから、補正事項bは平成18年改正前特許法第17条の2第4項各号を目的としたものとは認めることができない。
しかしながら、前記のごとく「撮影時刻データ」を「撮影時刻」とすることは請求項1全体の技術上の把握に影響を与えるほどの変更ではないことに鑑みこの点は不問とし、本件補正が平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものとして、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1(以下、「本願補正発明」という。)が、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定による特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

3.引用例

(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-248726号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載又は図示されている。

(ア)「種々の地点の映像を記録する可搬形の映像記録手段と、
種々の地点を特定する地点情報を前記映像記録手段上の該当地点の映像情報アドレスと対応づけるアドレス情報マッチングデータを記憶する可搬形の映像管理データ記憶手段と、
前記映像記録手段に記録されている種々の地点の映像のうち再生する地点を指定する映像位置指定手段と、
前記映像位置指定手段が指定する地点をキーにして前記映像管理データ記憶手段にアクセスし、対応づけられた映像情報アドレスを読出すアドレス情報変換手段と、
前記映像記録手段にアクセスして前記アドレス情報変換手段が読出した映像情報アドレスに記録されている映像を再生する映像出力処理手段と、
前記映像出力処理手段が再生する映像を表示する表示手段とを備えて成るGPS利用位置映像再生装置。」(特許請求の範囲【請求項2】)

(イ)「GPS利用位置映像データ収集装置について説明すると、この実施例の装置は車載装置としてトラックや自動車に搭載され、任意の地点へ移動していろいろな地点の状況、例えば道路状況や景観などを撮影して記録するもので、GPS(Global Positioning System)からの電波信号を受信するGPSアンテナ1と、このGPSアンテナ1が受信するGPS電波から現在位置の緯度、経度を検出して位置データを生成する位置情報検出部2を備えている。」(段落【0016】)

(ウ)「GPS利用位置映像データ収集装置はまた、各地点の状況を撮影するビデオカメラ、電子スチールカメラ、ディジタルスチールカメラのような撮影装置3と、各地点で撮影装置3によって撮影した映像信号を収録するための映像入力処理部4と、この映像入力処理部4によって処理された映像データをその撮影日時のデータと共にビデオテープ、磁気ディスク、光磁気ディスクなどの記憶媒体5に記憶する映像記憶部6と、位置情報検出部2が検出した各地点の位置データと各地点で撮影した映像データの記憶媒体5上の記憶アドレスとを対応づけて映像管理データベース7に登録するアドレス情報マッチング部8とを備えている。この映像管理データベース7はフロッピーディスク、ICメモリカード、ハードディスク、光磁気ディスクなどの可搬形の外部記憶装置上に構築される。」(段落【0017】)

(エ)「GPS利用位置映像データ再生装置は、システム的にはキーボード、マウスやタッチパネルのようなポインティングデバイス、CRT表示装置、コンピュータ本体、内蔵あるいは外付の外部記憶装置で構成され、コンピュータに登録されるアプリケーションソフトウェアによって実現することができるものであるが、その機能的な構成について説明すると、市販されているナビゲーションシステムに用いられているコンパクトディスクのような地図情報記憶媒体9と、図2に詳細に示すようにこの地図情報記憶媒体9の地図情報10を読出してCRT表示装置11に表示し、その地図上の再生したい地点(必要に応じて撮影日時も)をポインティングデバイス12で指定するようにした構成の映像位置指定部13と、この映像位置指定部13によって指定した映像位置データをキーとして映像管理データベース7にアクセスし、映像記憶媒体5上の対応する地点の映像情報アドレスを読出すアドレス情報変換部14と、このアドレス情報変換部14が読出した映像情報アドレスに基づき、映像情報記憶媒体5の対応するアドレスにアクセスして映像データ15を読出してCRT表示装置11に表示する映像出力処理部16とを備えている。」(段落【0018】)

(オ)「上記構成のGPS利用位置映像データ収集装置の動作について説明する。この装置は図2に示すようにトラックあるいは自動車17に搭載して使用するもので、規定の走行ルートの主要交差点、主要道路の各地点、さらには観光地の主だった景勝地点などを撮影装置3によって撮影し、映像入力処理部4がその映像データを撮影日時データと共に映像記憶部6に渡し、映像情報記憶媒体5上に記憶する。そしてこの映像データの記憶と共に、位置情報検出部2がGPSアンテナ1の受けるGPSからの電波信号から撮影地点の位置データを検出してアドレス情報マッチング部8に渡し、このアドレス情報マッチング部8が映像記憶媒体5上の映像情報アドレスと撮影日時情報アドレスを撮影地点の位置データと対応づけ、映像管理データベース7に順次登録していく。」(段落【0019】)

(カ)「必要な各地点の映像データの収集が完了すれば、GPS利用位置映像データ収集装置から映像管理データベース7の記憶媒体と映像記憶媒体5を取外し、これを事務所や家に設置されているGPS利用位置映像データ再生装置に組込む。
撮影した各地点の映像を再生するに当っては、地図情報記憶媒体9から撮影地点が含まれる地域の地図情報10を読出してCRT表示装置11に表示させ、映像位置指定部13を構成するマウスのようなポインティングデバイス12によって再生させたい地点を地図情報10上で指定し、また再生したい日時もキーボード(図示せず)やポインティングデバイス12によって入力する。
すると、映像位置指定部13が指定した地図上の位置に対応する位置データを割出してアドレス情報変換部14に渡し、ここで映像管理データベース7にアクセスして該当する位置データ、撮影日時データをキーにして対応する映像情報アドレスを割出して映像出力処理部16に渡す。
映像出力処理部16では、この映像情報アドレスに基づいて映像記憶媒体5上の該当するアドレスの映像データ15を読出してCRT表示装置11に表示させる。」(段落【0020】?【0023】)

よって、引用例1の記載(ア)?(カ)を含む全記載及び図示からみて、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認める。

「自動車の位置情報検出部が検出した各地点の位置データと、各地点で電子スチールカメラ、ディジタルスチールカメラのような撮影装置で撮影した映像データの記憶媒体上の記憶アドレスとを対応付けて登録した映像管理データベースである可搬形の外部記憶装置と、
各地点で前記撮影装置によって撮影した映像信号とその撮影日時のデータとを記憶する記憶媒体と、
前記外部記憶装置と前記記憶媒体が、GPS利用位置映像データ収集装置から取り外されてGPS利用位置映像データ再生装置に組み込まれ、
CRT表示装置と、
地図情報記憶媒体から撮影地点が含まれる地域の地図情報を読出してCRT表示装置に表示させ、映像データを再生させたい地点を地図情報上で映像位置指定部が指定し、
該指定した地図上の位置に対応する位置データを割り出して、映像管理データベースにアクセスして該当する位置データに対応する映像情報アドレスを割り出して、この映像情報アドレスに基づいて記憶媒体上の該当するアドレスの映像データを読出してCRT表示装置に表示する、
GPS利用位置映像データ再生装置。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-215102号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載又は図示されている。

(ア)「【請求項1】道路地図データの記憶手段と、車両の位置及び進行方向を道路地図の上に検出する位置検出手段と、道路に沿った景色を収録する撮像手段と、走行中に音声を収録する集音手段と、前記位置検出手段から得られた走行中の一連の位置及び進行方向のデータと前記撮像手段によって得られる画像データと前記集音手段によって得られる音声データとをそれぞれ記憶する記憶手段とを車両に搭載したことを特徴とする道路地図データの収集装置。
【請求項2】前記位置検出手段から得られる位置及び進行方向のデータと前記撮像手段によって得られる画像データとがそれぞれ時間的に同期がとられていることを特徴とする請求項1記載の道路地図データの収集装置。」(特許請求の範囲)

(イ)「この装置は、例えば車両に搭載されたいわゆるナビゲーションシステム1とテレビカメラ13を利用し、車両の移動時にその位置情報を検出するとともに道路に沿った景色を同時に収録して、走行後収録された画像データ及び走行軌跡に基づいて、道路の曲率、幅、車線数、路面の種類、道路交通標識、沿線の建物の名称、陸橋、鉄道、踏切、交差点の名称、交通規制、立体交差形状などの情報を道路地図データに入力し、完成された道路地図データを得ようとするものである。」(段落【0015】)

(ウ)「ナビゲーションシステム1には、前方を写すテレビカメラ13とマイクロフォン14とが付属しており、テレビカメラ13で捕らえた映像とマイクロフォン14で捕らえた音声とはビデオテープユニット15内のビデオテープに収録される。なおマイクロフォン14は、ドライバが特筆すべき事項(例えばテレビカメラ13には映らなかったが、道路地図データの編集上重要な事項)を音声で収録しておくためのものてある。」(段落【0018】)

(エ)「道路地図データを更新する場合の動作について説明する。道路地図データを収集したい道路を走行させていると、例えば図2に示すように交差点に近づいたとする。その付近には、道路標識21,22、25、信号燈23,24、交差点名表示26、道路表示27,28,30、著名な建物30などがあり、これらは車両の走行に伴いテレビカメラ13により撮像され、撮像時刻とともにビデオテープに収録される。
一方、交差点付近の道路形状及び走行軌跡情報は、パーソナルコンピュータ10を通してフロッピーディスクに記憶される。所定の道路走行を終えると、技術者は、ビデオテープとフロッピーディスクとを取り出し、両者を同時に読み出す。まず、フロッピーディスクから読み出されたデータは、例えば図3に示すように道路を線Lで結び、走行軌跡を破線Sで表示した画像のデータである。破線Sには画面に表示される時刻(11時03分)に対応する車両位置Pが点表示されている。ビデオテープから読み出されたデータは、図2の景色を画面で捕らえたデータであり、ドライバが見たのとほぼ同じ画像のデータである。ただし、収録時刻が画面内に記入されている。
技術者は、同時刻の2つの画面を対比照合しながら、道路標識21,22、25、信号燈23,24、交差点名表示26、道路表示27,28,30、著名な建物30の情報をCD-ROMやICカードなどで構成され地図データベースの中に折り込んでいく。また、車線数、道路の幅、路面の種類(アスファルトなど)も、画面から判断して入力していく。」(段落【0020】?【0022】)

4.対比

そこで、本願補正発明と引用発明1とを対比する。

i)引用発明1の「自動車の位置情報検出部が検出した各地点の位置データ」は、GPSの利用を前提としているこから、自動車の位置座標であることは明らかであり、本願補正発明の「車両の位置座標」に相当する。
また、車両の位置座標を記憶した記憶媒体である限度で引用発明1の「可搬形の外部記憶装置」と、本願補正発明の「走行軌跡記憶媒体」は共通している。

ii)引用発明1の「電子スチールカメラ、ディジタルスチールカメラのような撮影装置で撮影した映像データ」は、本願補正発明の「写真の画像データ」に相当する。
また、引用発明1の「各地点で前記撮影装置によって撮影した映像信号とその撮影日時のデータとを記憶する記憶媒体」は、本願補正発明の「写真の画像データと該画像の撮影時刻を保持する写真記録媒体」に相当する。

iii)引用発明1の「映像管理データベースにアクセスし・・・該当するアドレスの映像データを読み出して」との記載から、引用発明1が、「可搬形の外部記憶装置」と「各地点で前記撮影装置によって撮影した映像信号とその撮影日時のデータとを記憶する記憶媒体」についての読み出し装置を有していることは明らかである。

iv)引用発明1の「CRT表示装置」は、本願補正発明の「表示装置」に相当する。

v)引用発明1では、地図情報記憶媒体から地図情報を読み出してCRT表示装置に表示させていることから、表示装置に地図を表示する限度で本願補正発明と共通する。

vi)引用発明1では、位置データをキーにして対応する映像アドレス情報を割り出し、該当するアドレスの映像データを読み出してCRT表示装置に表示していることから、車両の位置座標に関連付けて、写真の画像を表示する限度で本願補正発明と共通する。
さらに、画像表示手段を有することも自明である。

vii)引用発明1の「GPS利用位置映像データ再生装置」が、画像処理を行っていることは明らかで、本願補正発明の「画像処理システム」とは単なる呼称上の差異に過ぎない。

してみれば、本願補正発明と引用発明1とは、

「車両の位置座標を記憶した記憶媒体の読み出し装置と、写真の画像データと該画像の撮影時刻を保持する写真記録媒体の読み出し装置と、表示装置と、前記表示装置に地図を表示すると共に、車両の位置座標に関連付けて写真の画像を表示する画像表示手段とからなる、画像処理システム。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点a]
本願補正発明が車両の位置座標とその通過時間を走行軌跡として記憶した走行軌跡記憶媒体を有しているのに対し、引用発明1の記憶媒体は車両の位置座標と映像データの記憶媒体上の記憶アドレスとを対応付けて登録した映像管理データベースである点。

[相違点b]
本願補正発明では、通過時刻と撮影時刻に基づいて、撮影時刻に対応する車両の位置座標を検索する座標検索手段を有しているの対し、引用発明1では映像位置指定部が指定した地図上の位置に対応する位置データを割り出して、映像管理データベースにアクセスして該当する位置データに対応する映像情報アドレスを割り出して、この映像情報アドレスに基づいて記憶媒体上の該当するアドレスの映像データを読み出すようにしている点。

[相違点c]
本願補正発明では、表示装置に表示する地図が走行軌跡に対応しており、表示された走行軌跡における検索された車両の位置座標に関連付けて、その撮影時刻に撮影された写真の画像を表示するのに対し、引用発明1では、表示装置に表示する地図は撮影地点が含まれる地図に対応しており、その撮影地点の位置座標に関連付けて写真の画像を表示する点。

5.相違点についての判断

本願補正発明において、[相違点b]及び[相違点c]のごとく通過時刻と撮影時刻に基づいて、撮影時刻に対応する車両の位置座標を検索する座標検索手段を有した上で、表示された走行軌跡における検索された車両の位置座標に関連付けて、その撮影時刻に撮影された写真の画像を表示している。
このように、撮影時刻に対応する車両の位置座標を検索していることから、写真からその撮影日時を手がかりにして、同じ撮影日時の車両の位置座標を検索して、写真が撮影された場所を特定している。
一方、引用発明1では、映像位置指定部が指定した地図上の位置に対応する位置データを割り出して、映像管理データベースにアクセスして該当する位置データに対応する映像情報アドレスを割り出して映像データを読み出していることから、位置から映像データと対応した映像情報アドレスを手がかりに映像データを特定している。
このように、本願補正発明では写真から写真の撮影された場所を特定するのに対し、引用発明1では地図上の位置から映像データ(写真)を特定する点で異なっており、[相違点a],[相違点b],及び[相違点c]はこのことに関連した相違点といえる。
そこで、まず写真からその撮影日時を手がかりにして、同じ撮影日時の車両の位置座標を検索して、写真が撮影された場所を特定することが容易であるかについて検討する。

引用例2の記載事項「3.(2)(エ)」には、
「技術者は、同時刻の2つの画面を対比照合しながら、道路標識・・・、信号燈・・・、交差点名表示・・・、道路表示・・・、著名な建物・・・の情報を地図データベースの中に折り込んでいく。また、車線数、道路の幅、路面の種類(アスファルトなど)も、画面から判断して入力していく。」
と記載されている。このときの「同時刻の2つの画像」のうち一つは、テレビカメラで撮影された景色の画像のデータであり、収録時刻が画面内に記入されている。
もう一つの画像は道路を線Lで結び、走行軌跡を破線Sで表示した画像のデータであり、破線Sには画面に表示される時刻(11時03分)に対応する車両位置Pが点表示されている。
このとき、「同時刻の2つの画像」とあるように、時刻を手がかりに二つの画像が同一地点であることが決定されているといえる。
さらに、道路標識、信号燈、交差点名表示、道路表示、著名な建物の情報を地図データベースの中に折り込んでいき、さらに車線数、道路の幅、路面の種類(アスファルトなど)も、画面から判断して入力していくとあることから、まずビデオカメラで撮影され画像のデータから入力すべき特徴を判断し、その上で時刻を手がかりにそれに対応した走行軌跡上の位置を特定していることが理解される。
よって、引用例2によれば、撮影された画像から、撮影時刻を手がかりにして同じ撮影時刻の車両位置を特定していることが公知の技術であることが理解される。
この時刻を手がかりにする点を引用発明1に適用するにあたり、引用発明1では映像管理データベースに位置データに対応する映像情報アドレスを用いているが、引用発明1の映像管理データベースのかわりに、引用例2の交差点付近の道路形状及び走行軌跡情報を記憶したフロッピーディスク(引用例2の記載事項「3.(2)(エ)」参照)を用いれば走行軌跡情報は位置と時刻の組となった情報である上、引用発明1の記憶媒体に映像信号とその撮影日時のデータがすでに記憶されていることからして、わざわざ映像情報アドレスを用いる必要はなく、走行軌跡情報の時刻と記憶媒体の撮影日時のデータにより対応付けを行えばよいことは当業者ならば容易に想到し得るものである。
さらに、引用発明1にて前記のごとく走行軌跡情報の時刻と撮影日時データにより対応付けを行うならば、データの少ないものからデータの多い方の特定のものを決めて対応付けを行うのが通常であるので、(データの少ない)撮影日時データから(データの多い)走行軌跡情報の時刻即ち撮影された画像から車両位置を特定することは当業者が容易に想到可能である。
また、引用例2では撮影された画像から、撮影時刻を手がかりにして同じ撮影時刻の車両位置を特定することは作業者の視認により行われているが、これを引用発明1の記憶媒体の撮影日時のデータを利用した検索装置として実現することも技術的に何等困難な点はなく、[相違点b]のように通過時刻と撮影時刻に基づいて、撮影時刻に対応する車両の位置座標を検索する座標検索手段を設けることは当業者にとって容易である。

さらに、引用発明1に引用例2の公知技術を適用して走行軌跡情報の時刻を利用する以上、[相違点c]のごとく表示装置に表示する地図が走行軌跡に対応するようにされることは当然で、表示された走行軌跡における検索された車両の位置座標に関連付けて、その撮影時刻に撮影された写真の画像を表示することも当業者にとって容易な事項である。
また、その際、何らかの形で走行軌跡を記憶しておく必要があることも自明であるから[相違点a]のごとく車両が通過した地点の位置座標とその通過時刻を走行軌跡として記憶媒体に記憶させることは当業者が当然考慮すべき事項である。

また、本願補正発明の効果も引用発明1及び引用例2から当業者が容易に想到可能なものである。

してみれば、本願補正発明は引用発明1及び引用例2記載の発明から当業者が容易に発明できたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

6.むすび
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本件審判請求について当審の判断

1.本願発明の認定

平成17年1月14日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年10月4日に補正された請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「車両の位置座標とその通過時刻を記憶した走行軌跡記憶媒体の読み出し装置と、
写真の画像データと該画像の撮影時刻データを保持する写真記録媒体の読み出し装置と、
表示装置と、
前記通過時刻と撮影時刻に基づいて、撮影時刻データに対応する車両の位置座標を検索する座標検索手段と、
該座標検索手段により検索された車両の位置座標に関連付けて前記写真の画像を前記表示装置に表示する画像表示手段と、
からなることを特徴とする画像処理システム。」

2.本願発明の進歩性の判断
本願発明は、上記「第2 2.補正目的」で検討した補正事項a,c,dに係る限定事項を本願補正発明から省いたものである。
同補正事項bは、厳密には限定事項に該当しないが、本願補正発明でいう「撮影時刻」を「撮影時刻データ」としたとしても技術的に意味をもつほどのものではなく、「第2 1.引用例」の引用発明1では「撮影日時のデータ」を有していることからしても「第2 5.判断」で進歩性の判断に影響を与えるほどの違いではない。
すると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 5.判断」に記載したとおり、引用発明1及び引用例2に記載した発明に基づいて容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明できたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び引用例2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-04-20 
結審通知日 2007-04-24 
審決日 2007-05-08 
出願番号 特願平7-351008
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09B)
P 1 8・ 121- Z (G09B)
P 1 8・ 572- Z (G09B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松川 直樹  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 藤井 靖子
島▲崎▼ 純一
発明の名称 画像処理システム  
代理人 川井 隆  
代理人 仲野 均  
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