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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1159791
審判番号 不服2004-10724  
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-21 
確定日 2007-06-22 
事件の表示 平成8年特許願第14773号「太陽電池モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成9年7月15日出願公開、特開平9-186471号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年1月4日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成16年6月16日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりである。(以下、「本願発明」という。)
「端子取出し箱と前記端子取出し箱の電線導出部から導出された電気出力用電線とを備えた太陽電池モジュールにおいて、
前記端子取出し箱は、前記電気出力用電線を固定する固定部材を前記電線導出部とは別に有することを特徴とする太陽電池モジュール。」

2.引用刊行物
(1)引用刊行物1
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された特開平7-202242号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、図1?21とともに以下の事項が記載されている。
ア.「図7?図9は、図5と図6に示す太陽電池装置の太陽電池モジュールを示す。図7?図9において、30は太陽電池モジュールで、31は長方形で板状の太陽電池パネルであって、その表面の受光面側に透光性を有する強化ガラス、裏面にフィルムを用いて、太陽電池素子をその間に挟み、内部の隙間に透明樹脂を充填した構造である。」(段落【0017】)
イ.「34は太陽電池パネル31の裏面側に設けられた出力を導出するための端子ボックス、35は端子ボックス34からのリード線36の先端に取り付けられたコネクターである。」(段落【0020】)
上記ア.及びイ.の記載事項並びに図9の図示内容を総合すると、引用刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「端子ボックス34と端子ボックス34からのリード線36とを設けられた太陽電池モジュール30。」

(2)引用刊行物2
同じく引用された、本願出願前に頒布された実公昭39?38486号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、第1?7図とともに以下の事項が記載されている。
ア.「1は全体として本考案によるコード保持具を示し、第6図に示すごとく電気機器2の例えば背面に取付けて使用される。3はその電源コード、4はその遊端に取付けた電源プラグ5はプラグ4の電極ピン、6はコード3の巻枠である。」(第1頁左欄第28?33行)
イ.「上述せる本案構成によるときは第6図に示すごとく電気機器2の不使用時において電源コード3を巻枠6に巻付け、その巻終りにおいてコード3を凹溝11内に嵌め込んでこれと巻枠6との間で緊張せしめ、コードの遊端を折返してその先端に取付けられたプラグ4を嵌着部10に嵌着せしめれば、プラグ4は板体7従つて機器2に固定されるは勿論、コード3も弾性片14により固定板13に圧着せしめられるので巻枠6と凹溝従って挿通部11間においてコード3を弛緩せしめることなく固定する事が出来る。」(第1頁右欄第19?29行)
ウ.第6及び7図には、電気機器2の背面にコード保持具1及び巻枠6が設けられ、当該背面の穴より導出されたコード3が巻枠6に巻付けられ、電源プラグ4及び電源プラグ4近傍のコード3がコード保持具1に固定される態様が図示される。

3.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「端子ボックス34」は、その機能・構成からみて、前者の「端子取出し箱」に相当し、電気出力用電線を端子取出し箱から導出する部分は「電線導出部」とよび得ることから、後者の「端子ボックス34からのリード線36」は前者の「端子取出し箱の電線導出部から導出された電気出力用電線」に相当する。
また、後者の「端子ボックス34と」「リード線36とを設けられた」は前者の「端子取出し箱と」「電気出力用電線とを備えた」に相当する。
そうすると、両者は、「端子取出し箱と前記端子取出し箱の電線導出部から導出された電気出力用電線とを備えた太陽電池モジュール。」である点で一致し、端子取出し箱について、本願発明は「電気出力用電線を固定する固定部材を前記電線導出部とは別に有する」のに対して、引用発明は固定部材を有していない点で相違しているものと認められる。

そこで、上記相違点について検討する。
引用刊行物2には、コードを有する電気機器において、電線導出部(コード3が導出される背面の穴)とは別に、当該電気機器に固定部材(コード保持具1及び巻枠6)を設けて、不使用時にコードを固定することが記載されている。
一方、電気機器において固定部材を電線導出部の近傍に設けることは、例えば、実願昭62-5149(実開昭63-112779号)のマイクロフィルム、実願昭62-5148(実開昭63-112778号)のマイクロフィルム、実願昭54-92188号(実開昭56-9681号)のマイクロフィルム及び登録実用新案公報第3015561号等に示されるように、当業者にとって周知・慣用の事項であるといえる。
そうすると、引用発明に引用刊行物2に記載される事項を適用して、電線導出部とは別に固定部材を設けることは、当業者が格別の困難性を要することなくなし得ることであり、その際、固定部材を取り付ける具体的位置として、上記周知・慣用の事項に倣って、電線導出部の設けられる、まさにその近傍といえる端子取出し箱に固定部材を設けることも、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎないと認められる。

したがって、引用発明に引用刊行物2に記載の事項及び上記周知・慣用の事項を適用し、本願発明の相違点に係る発明特定事項とすることは当業者が容易になし得ることと認められる。そして、その効果についても格別であるとはいえない。

なお、請求人は、端子取出し箱に固定部材を設けることについて、審判請求書において、「端子取出し箱はローラ成形機等のローラ等の加工治具に巻き込まれない位置に設けられるため、電気出力用電線もまた成形機の加工治具に巻き込まれることを免れることができるからである。」と主張しているが、本願発明の太陽電池モジュールは、ローラによる加工されるものとも、その加工前のものであるとも限定されておらず、かつ、端子取出し箱の設置位置が限定されるものではないから、上記請求人の主張は採用できない。

4.むすび
以上のように、本願発明は、引用発明並びに引用刊行物2に記載の事項及び周知・慣用の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そうすると、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-04-13 
結審通知日 2007-04-18 
審決日 2007-05-07 
出願番号 特願平8-14773
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 博之  
特許庁審判長 鈴木 久雄
特許庁審判官 山内 康明
平上 悦司
発明の名称 太陽電池モジュール  
代理人 伊東 哲也  
代理人 齋藤 和則  

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