• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 産業上利用性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1159974
審判番号 不服2004-14226  
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-08 
確定日 2007-07-18 
事件の表示 平成10年特許願第 58322号「ソースプログラム翻訳方法、ソースプログラム翻訳装置およびコンピュータ読取可能なプログラム記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 9月24日出願公開、特開平11-259334、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年3月10日の出願であって、平成14年10月11日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月24日付けで手続補正がなされ、平成15年9月3日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年11月10日付けで手続補正がなされたものの、平成16年5月28日付けで平成15年11月10日付けの手続補正を却下する決定がなされるとともに同日付けで拒絶査定がなされたものである。
そして、平成16年7月8日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付け及び同年8月6日付けで手続補正がなされたものである。

2.原査定の理由
原審における拒絶査定は、本願発明は、拒絶の理由に引用された特開昭64-66747号公報(以下、「引用文献1」という。)及び特開平2-23433号公報(以下、「引用文献2」という。)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

3.当審の検討・判断
(1)平成16年7月8日付けの手続補正について
平成16年7月8日付けの手続補正は、平成14年12月24日付けの手続補正による補正後の特許請求の範囲における請求項1乃至8を削除し、請求項9乃至11の項番を繰り上げたものであるので、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除を目的としたものである。

(2)平成16年8月6日付けの手続補正について
平成16年8月6日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成16年7月8日付けの手続補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至3のそれぞれの請求項における「比較命令」を「態様で設定する」のが「ソースプログラムの翻訳処理中」である旨の構成要素を直列的に付加するとともに、該「態様」が「翻訳後の当該比較命令の実行時に当該項目に基づく結果がエラーに該当する場合にのみエラー処理の割り込み処理を行い、検査結果を出力する」態様である旨を明確にしようとするものであって、全体として、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。

そして、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0005】【0015】【0021】【0022】【0050】-【0058】の記載からみて、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第17条の2第3項が規定する要件を満たすものである。

そこで、本件補正が、特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項が規定する要件を満たすものであるか否かについて検討する。

(3)本件補正についての独立特許要件の適用について
本件補正は、以下に示すとおり、特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項が規定する要件を満たすものである。

(i)本件補正による補正後の請求項1乃至3に係る発明は、特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】ソースプログラムの翻訳方法において、
コンピュータが、
前記ソースプログラムの翻訳処理中に、比較処理で検査結果が得られる項目部分に、当該項目自体についての比較条件および比較対象を含む比較命令を、翻訳後の当該比較命令の実行時に当該項目に基づく結果がエラーに該当する場合にのみエラー処理の割り込み処理を行い、検査結果を出力する態様で設定する、
ことを特徴とするソースプログラム翻訳方法。
【請求項2】 ソースプログラムの翻訳装置において、
前記ソースプログラムの翻訳処理中に、比較処理で検査結果が得られる項目部分に、当該項目自体についての比較条件および比較対象を含む比較命令を、翻訳後の当該比較命令の実行時に当該項目に基づく結果がエラーに該当する場合にのみエラー処理の割り込み処理を行い、検査結果を出力する態様で設定する手段を少なくとも備えた、
ことを特徴とするソースプログラム翻訳装置。
【請求項3】 ソースプログラムの翻訳処理をコンピュータに実現させるためのプログラムを格納したコンピュータ読取可能なプログラム記憶媒体であって、
前記ソースプログラムの翻訳処理中に、比較処理で検査結果が得られる項目部分に、当該項目自体についての比較条件および比較対象を含む比較命令を、翻訳後の当該比較命令の実行時に当該項目に基づく結果がエラーに該当する場合にのみエラー処理の割り込み処理を行い、検査結果を出力する態様で設定する、
機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読取可能なプログラム記憶媒体。」

以下、拒絶の理由となる条文に即して検討する。

(ii)特許法第29条第2項について
上記補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と査定時の引用例である引用文献1に記載された発明とを対比すると、両者は少なくとも次の点で相違する。

(相違点)
本願請求項1乃至3に係る発明では「前記ソースプログラムの翻訳処理中に、比較処理で検査結果が得られる項目部分に、当該項目自体についての比較条件および比較対象を含む比較命令を、翻訳後の当該比較命令の実行時に当該項目に基づく結果がエラーに該当する場合にのみエラー処理の割り込み処理を行い、検査結果を出力する態様で設定する」のに対し、引用文献1に記載された発明では、ソースプログラムの翻訳処理(コンパイル)の前にソースプログラムに条件付きデバッグ文を挿入し、コンパイラはこの条件付きデバッグ文から条件文を生成し、変換テーブルにしたがった命令を編集し、付加ルーチンを追加する点。

この相違点について検討する。
「翻訳処理中」に条件に応じて割り込みを行うような命令を埋め込むことで設定することは、特開昭59-125457号公報(以下、「引用文献3」という。)に記載されるように公知である。

しかしながら、「翻訳処理中」に条件に応じて割り込みを行うような命令を、「比較処理で検査結果が得られる項目部分に、当該項目自体についての比較条件および比較対象を含む比較命令」として設定すること、及びそうした設定を「翻訳後の当該比較命令の実行時に当該項目に基づく結果がエラーに該当する場合にのみエラー処理の割り込み処理を行い、検査結果を出力する」態様により行うことは、引用文献1乃至3のいずれにも開示されておらず、また、示唆もされていない。

そして、本願発明は、この相違点に係る技術的事項により、発明の詳細な説明の段落【0050】乃至【0062】にその具体例が示されるような、当該項目に基づく結果がエラーに該当する場合にのみエラー処理の割り込み処理を行って出力された検査結果に応じたデバッグ処理を行って、デバッグ処理の利便性を高めるものである。

してみると、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明は、引用文献1乃至3及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

請求項2,3に係る発明は請求項1に係る発明とカテゴリーが異なる発明であり、引用文献1乃至3及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできないことは、請求項1に係る発明と同様である。

(iii)特許法第29条柱書について
本件補正による補正後の請求項1乃至3における「前記ソースプログラムの翻訳処理中に、比較処理で検査結果が得られる項目部分に、当該項目自体についての比較条件および比較対象を含む比較命令を、翻訳後の当該比較命令の実行時に当該項目に基づく結果がエラーに該当する場合にのみエラー処理の割り込み処理を行い、検査結果を出力する態様で設定する」の文言からして、請求項1乃至3に係る発明は、「比較条件および比較対象を含む比較命令」の実行により実現される計算機の制御に伴う処理が「当該項目に基づく結果がエラーに該当する場合にのみエラー処理の割り込み処理を行い、検査結果を出力する」ものとなるように、コンピュータにより行われる「翻訳処理中」で該命令に係る「態様」を「設定」するものである。
してみると、補正後の請求項1乃至3に係る発明は、いずれも、全体として機器等に対する制御又は制御に伴う処理を具体的に行っているものであるので、特許法上の「産業上利用できる発明」に該当するものである。

(iv)その他の拒絶理由について
本件補正による補正後の請求項1乃至3に係る発明について、特許を受けることができないとする他の理由を発見しない。

(4)本願発明について
上記(2)(3)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項、同条第4項及び同条第5項で準用する特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものである。
そこで、本願の請求項1乃至3に係る発明は、本件補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載されたとおりのものと認める。

そして、本件補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至3に係る発明について、拒絶すべき理由を発見しないことは、上記(3)の(i)乃至(iv)のとおりである。

よって結論のとおり審決する。
 
審決日 2007-06-26 
出願番号 特願平10-58322
審決分類 P 1 8・ 14- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 坂庭 剛史  
特許庁審判長 吉岡 浩
特許庁審判官 相崎 裕恒
青木 重徳
発明の名称 ソースプログラム翻訳方法、ソースプログラム翻訳装置およびコンピュータ読取可能なプログラム記憶媒体  
代理人 穂坂 和雄  
代理人 田中 治幸  
代理人 長谷川 文廣  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ