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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1159990
審判番号 不服2003-15990  
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-08-20 
確定日 2007-06-27 
事件の表示 特願2000- 77435「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 9月 4日出願公開、特開2001-239020〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本件出願は、平成12年3月1日に出願した特願2000-55601号の一部を平成12年3月21日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1乃至2に係る発明は、特許法第17条の2第4項第4号に規定する目的(明りょうでない記載の釈明)に適合する平成15年8月20日付けの手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「第1図柄表示部、第2図柄表示部及び第3図柄表示部に図柄を可変表示開始した後に、第1図柄表示部、第2図柄表示部、第3図柄表示部の順に図柄を停止表示し、その可変表示態様には通常可変表示態様と複数のリーチ態様を含み、停止表示された図柄が大当たり図柄であるとき遊技者に有利な大当たりが生起する遊技機であって、
前記複数のリーチ態様のうち最も出現頻度を高く設定のリーチ態様は、前記通常可変表示態様における第2図柄表示部の図柄の停止より早期に第2図柄表示部の図柄を停止してリーチアクションを開始し、且つ、複数のリーチ態様のうち最も早期に全ての図柄表示部の図柄変動を停止することを特徴とする遊技機。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平10-225556号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、
「複数の図柄を可変表示可能な、少なくとも第1、第2、第3図柄表示部を有する図柄表示器が配設してあり、・・・前記各図柄表示部の図柄が変動を開始し、所定時間後に、第1、第2、第3図柄表示部の図柄が順次停止し、その停止図柄が予め設定した図柄の組合せであると、遊技者にとって有利となる特別遊技状態が生起する遊技機であって、
第1図柄表示部の図柄が停止表示した時から第2図柄表示部の図柄が停止表示するまでの時間は、第1、第2図柄表示部に停止表示する図柄が前記予め設定された図柄の組合せである場合には設定された図柄の組合せでない場合に比べて、短い・・・遊技機。」(特許請求の範囲、【請求項2】)、
「【従来の技術】
遊技機としてのパチンコ機には、複数の図柄を可変表示可能な複数の図柄表示部を有する図柄表示器が配設してあり、遊技球が図柄始動口に入賞することによって、前記各図柄表示部の図柄が変動を開始し、所定時間後に、順次図柄が停止し、その停止図柄の組合せが、例えば、全て同じ図柄(特別図柄)であるとき、遊技者にとって有利となる特別遊技状態(大当たり)が生起するものがある。」(段落【0002】)、
「・・・、図柄表示器には、図柄表示部が三箇所設けてあり、遊技球が図柄始動口に入賞すると、一斉に図柄が変動を開始し、所定時間後に、第1図柄表示部L1、第2図柄表示部L2、そして最後に第3図柄表示部L3の図柄が停止する。
その過程において、遊技者は第1図柄表示部L1に続いて第2図柄表示部L2の図柄が停止したとき、特別遊技状態が生起するか否かを認識できる。即ち、第1図柄表示部L1と第2図柄表示部L2の図柄が一致しないときには、第3図柄表示部L3の図柄が何れの図柄であっても、特別遊技状態は生起しない。従って、かかる状態のときには、第3図柄表示部L3の図柄は、第2図柄表示部L2の図柄が停止した後、比較的短時間で停止させて、次の図柄変動に備える。
一方、第1図柄表示部L1と第2図柄表示部L2の図柄が一致したとき(所謂、リーチ状態)には、第3図柄表示部L3の図柄は第2図柄表示部L2の図柄が停止した後、長時間にわたって図柄変動したり・・・するリーチアクションによって、遊技者に面白みと特別遊技状態が生起することの期待感を与えている。・・・。」(段落【0003】)、
「【発明が解決しようとする課題】
・・・パチンコ機は、一斉に図柄が変動開始した後、第1図柄表示部L1、続いて第2図柄表示部L2を停止させるものであり、リーチとなるか否かに拘らず、同じ停止態様で実施している。・・・。」(段落【0004】)、
「・・・遊技領域2のほぼ中央部には、複数の図柄を介して可変表示ゲームを行う特別図柄表示器Lが配置してある。この特別図柄表示器Lには、第1図柄表示部L1、第3図柄表示部L3、第2図柄表示部L2が設けてあり、図柄表示部L1、L2には、図5に示す、・・・15種類の図柄であり、一方、第3図柄表示部L3は、・・・22種類の図柄が可変表示可能であり、図柄変動は順序通り行う。・・・。」(段落【0007】)、
「遊技球が、普通電動役物7に入賞したときには、・・・、前記特別図柄表示機Lの第1、第2、第3の各図柄表示部L1、L2、L3の図柄が変動を開始し、・・・、判定カウンタHcにより大当たり(特別遊技状態)か、外れかを選定すると共に、それらに対応して前記特別図柄表示器Lの第1、第2、第3の各図柄表示部L1、L2、L3の図柄が所定時間後に停止表示する。」(段落【0008】)、
「・・・、大当たりの場合には、図柄表示部L1、L2、L3の停止図柄は、・・・、同じ図柄である「一、一、一」?「説、説、説」(特別図柄)の22通であ・・・る。」(段落【0009】)、
「・・・大当たりが選定されたときには、・・・、図柄表示部L1、L2、L3に大当たり図柄を表示し、大入賞口5の開閉扉5aは、t秒間、開成を維持するか、遊技球がa個入賞すると閉成する。又、前記開成中に、大入賞口5内に設けられている特定領域(図示略)を遊技球が通過すると、大入賞口5が再度開成し、この動作を最大X回行う。」(段落【0010】)、
「・・・、遊技球が、前記普通電動役物(図柄始動口)7に入賞すると、・・・、図柄表示部L1、L2、L3の図柄表示は、一斉に各図柄が変動を開始する。尚、図柄変動は、・・・図柄の並べ替えが行われるまでは、遊技者に表示図柄が認識されない程度の高速変動である。・・・。」(段落【0019】)、
「(1)第1図柄表示部L1と第2図柄表示部L2に対する図柄変動
(イ)大当たり(特別遊技状態)のとき
前記図柄表示部L1、L2、L3の図柄が変動を開始した後、g(例えば、5.00)秒後に、判定エリアの値が、「7」(低確率時)であるとき、又、「7、31、97、163、197、211、227」(高確率時)の時に大当たりである。
この大当たりのとき、先ず、第1図柄表示部L1の図柄は、・・・、h(例えば、0.611)秒かけて、・・・停止する。
そして、第2図柄表示部L2は、・・・外れ時における図柄変動時間(1.5秒)に比べて短い、i(例えば、0.917)秒をかけて、・・・停止する。
この様に、第1図柄表示部L1の図柄が停止した後、第2図柄表示部L2の図柄は、短時間(0.917秒)で・・・停止させる・・・。」(段落【0020】)、
「(ロ)外れリーチ
この外れリーチは、・・・、前記(イ)と同様の処理を行うことによって、・・・、外れに比べて異なるリーチアクション態様を示すことができる。
(ハ)外れリーチ2
この外れリーチ2は、・・・、前記(イ)と同様の処理を行うことによって、・・・、外れに比べて異なるリーチアクション態様を示すことができる。(段落【0021】)、
「(ニ)外れの場合
・・・、図柄表示部L1、L2、L3の図柄が変動を開始した後、g(例えば、5.00)秒後に、第1図柄表示部L1は、・・・、h(例えば、0.611)秒かけて、・・・停止する。
その後、第2図柄表示部L2は、・・・、前記大当たり、外れリーチ等と異なり、長時間かけて、遊技者が図柄の認識可能な速度の、i(例えば、1.5)秒をかけて・・・停止する。」(段落【0022】)、
「・・・、大当たり、外れリーチ、外れリーチ2の何れの場合において、第2図柄表示部L2の図柄は外れの場合に比べて短い図柄変動である・・・。」(段落【0023】)、
「・・・、前記第1図柄表示部L1と第2図柄表示部L2にの図柄変動を、具体的に、図10を参照・・・。
図10(A)は「外れ」、(B)は大当たり、外れリーチ又は外れリーチ2の場合を示し、各図は共に第1図柄表示部L1が停止した状態を示し、第3図柄表示部L3は図柄が変動中である。
(イ)外れの場合(図10(A)参照)
第1図柄表示部L1の図柄が「一」で停止した直後に、大当たり、外れリーチ又は外れリーチ2の図柄格納エリアの値(第2図柄表示部L2に対応)の停止図柄が「ゴ」(H5)であるときには、「ゴ」を含めて5図柄前の図柄「ハ」(H1)を先頭に表示図柄を並べ替える。
そして、第2図柄表示部L2の図柄は、1.5秒かけて、「八」(H1)、「九」(H2)、「ド」(H3)、「ラ」(H4)、「ゴ」(H5)の図柄を変動した後に停止させる。この図柄変動過程において、3図柄目の「ド」(H3)が変動を続行することによって4図柄目の「ラ」(H4)が表示を開始し、更に、第2図柄表示部L2の図柄が変動をして「ゴ」を表示し、最終的に、第1図柄表示部L1と第2図柄表示部L2は異なる図柄「一」と「ゴ」が停止図柄となって外れを生起する。
この様に、遊技者は3図柄目で停止することなく、1.5秒かけて、図柄変動を続行した時点で外れとなることが推定できる。
(ロ)大当たり、外れリーチ、外れリーチ2の場合(図10(B)参照)
第1図柄表示部L1の図柄が「一」で停止した直後に、外れ図柄格納エリア(第2図柄表示部L2に対応)には、「一」を含めて3図柄前の「伝」(H1)を先頭に並べ替える。
そして、第2図柄表示部L2の図柄は、i(例えば、0.917)秒かけて、「伝」(H1)、「説」(H2)、「一」(H3)の順に停止する。
そのため、第1図柄表示部L1と第2図柄表示部L2の停止図柄は、共に、「一」となり、遊技者は大当たり(特別遊技状態)が生起する可能性があることがわかる。」(段落【0024】)、
「(2)第3図柄表示部L3に対する図柄変動
前記「外れ」、「大当たり」、「外れリーチ」、「外れリーチ2」に対しては、前記第2図柄表示部L2に続いて、第3図柄表示部L3は・・・リーチ図柄変動パターンを選定して、各々の態様に対して期待感等を抱かせる興趣を与えると共に、前記「外れ」の場合と「大当り、リーチ」の場合では、第2図柄表示部L2の変動時間を異にするため、第3図柄表示部L3の図柄変動時間を異にすることもできる。・・・。
(イ)外れのとき
外れのときには、・・・第3図柄表示部L3に該当する停止図柄を、第2図柄表示部L2の停止後、j(例えば、0.007)秒後に停止し、m(例えば、1.299)秒間停止維持する。
(ロ)大当たり、外れリーチ、外れリーチ2のとき
これらのときには、種々の図柄変動パターンを導入し、「大当たり図柄」、「リーチとなったときの第3図柄表示部L3の停止図柄」及び、パターンカウンタPcを導入して、図11に示す条件で選定する。・・・。」(段落【0026】)、
「(a)・・・パターン1において、第2図柄表示部L2の図柄が停止した後、超低速(1図柄0.458秒)で15図柄を変動させた後、停止図柄と一致した時点で停止させる。
(b)パターン2は、図11に示す条件で選定され、中速度(1図柄0.152秒)で46図柄変動させた後、停止図柄の3?4前の図柄となるまで図柄を同じ速度で変動させ、その後、超低速(1図柄0.751秒)で停止図柄と一致するまで変動させる。」(段落【0027】)、
「(c)パターン3は、図11に示す条件で選定され、超低速(1図柄0.458秒)で15?18図柄を変動させた後、0.499秒停止し、その後、停止図柄の3?4前の図柄となるまで中速度(1図柄0.152秒)で21?42図柄変動させ、その後、超低速(1図柄0.751秒)で停止図柄と一致するまで変動させる。
(d)パターン4は、図11に示す条件で選定され、 中速度(1図柄0.152秒)で52?55図柄変動させた後、超低速(1図柄0.751秒)で3?4図柄変動した後、0.499秒停止する。そして、中速度(1図柄0.152秒)で10図柄変動させた後、停止図柄と一致するまで変動させる。
(e)パターン5は、図11に示す条件で選定され、超低速(1図柄0.458秒)で15?18図柄を変動させた後、0.499秒停止し、その後、中速度(1図柄0.152秒)で10図柄変動し、その後、停止図柄と一致するまで変動させる。」(段落【0028】)、
「・・・大当たりが確かに生起したかを判定し、大当たりであるときには、そのs(例えば、6.999)秒後に開閉扉5aをt(例えば、24.999)秒間、開成した後に閉成するか、遊技球がa(例えば、10)個入賞すると閉成する。そして、再度、u(例えば、1.999)秒後に前記と同様の条件で開成、閉成の動作を最大X(例えば、15)回行う。尚、前記開閉扉5aが開成中に、大入賞口5内に設けられている特定領域(図示略)を遊技球が通過すると、開閉扉5aが閉成して、u(例えば、1.999)秒後に最大Y(例えば、16)回を限度に開成する。」(段落【0030】)、
「・・・、図10(A)(B)・・・に示す、大当たり、外れの図柄変動数は固定せず、大当たりのときに図10(A)、外れのときに図10(B)・・・を採用したり、時間の経過や任意の確率で何れかを適宜に選定表示したりすることもできる。
又、前記第2図柄表示部L2は、図9に示すように、第1図柄表実部L1の図柄は図柄変動開始から5秒後に停止するものであるが、第1図柄表示部L1の停止図柄が判るように後半においてゆっくり変動させ、前記5秒を経過しないで、第1図柄表示部L1の図柄停止後に、次の第2図柄表示部L2の図柄を停止可能とするように構成することもでき、・・・る。・・・。」(段落【0032】)
との記載が認められる。
また、上記摘記事項および図1・11等より、複数の図柄を介して可変表示ゲームを行う特別図柄表示器Lには、第1図柄表示部L1、第3図柄表示部L3、第2図柄表示部L2が設けてあり、図柄変動は順序通り行うこと(段落【0007】)、遊技球が、普通電動役物7に入賞したときには、特別図柄表示機Lの第1、第2、第3の各図柄表示部L1、L2、L3の図柄が変動を開始し、大当たり(特別遊技状態)か、外れかを選定すると共に、それらに対応して前記特別図柄表示器Lの第1、第2、第3の各図柄表示部L1、L2、L3の図柄が所定時間後に停止表示すること(段落【0008】)、遊技球が、普通電動役物(図柄始動口)7に入賞すると、図柄表示部L1、L2、L3の図柄表示は、一斉に各図柄が変動を開始すること(段落【0019】)、(1)第1図柄表示部L1と第2図柄表示部L2に対する図柄変動において、(イ)大当たり(特別遊技状態)のとき、図柄表示部L1、L2、L3の図柄が変動を開始した後、例えば、5.00秒後に、先ず、第1図柄表示部L1の図柄は、例えば、0.611秒かけて停止し、第2図柄表示部L2は、例えば、0.917秒をかけて停止すること(段落【0020】)、(ロ)外れリーチは前記(イ)と同様の処理を行うことによって、外れに比べて異なるリーチアクション態様を示すことができ、(ハ)外れリーチ2は、前記(イ)と同様の処理を行うことによって、外れに比べて異なるリーチアクション態様を示すことができること(段落【0021】)、(ニ)外れの場合に、図柄表示部L1、L2、L3の図柄が変動を開始した後、例えば、5.00秒後に、第1図柄表示部L1は、例えば、0.611)秒かけて停止し、その後、第2図柄表示部L2は、前記大当たり、外れリーチ等と異なり、例えば、1.5秒をかけて停止すること(段落【0022】)、(2)第3図柄表示部L3に対する図柄変動において、前記「外れ」、「大当たり」、「外れリーチ」、「外れリーチ2」に対しては、前記第2図柄表示部L2に続いて、第3図柄表示部L3はリーチ図柄変動パターンを選定して、各々の態様に対して期待感等を抱かせる興趣を与え、(イ)外れのときには、第3図柄表示部L3に該当する停止図柄を、第2図柄表示部L2の停止後、例えば、0.007秒後に停止し、例えば、1.299秒間停止維持し、(ロ)大当たり、外れリーチ、外れリーチ2のときには、種々の図柄変動パターンを導入し、「大当たり図柄」、「リーチとなったときの第3図柄表示部L3の停止図柄」及び、パターンカウンタPcを導入して選定すること(段落【0026】)、(a)パターン1において、第2図柄表示部L2の図柄が停止した後、超低速で15図柄を変動させた後、停止図柄と一致した時点で停止させ、(b)パターン2は、中速度で46図柄変動させた後、停止図柄の3?4前の図柄となるまで図柄を同じ速度で変動させ、その後、超低速で停止図柄と一致するまで変動させること(段落【0027】)、(c)パターン3は、超低速で15?18図柄を変動させた後、停止し、その後、停止図柄の3?4前の図柄となるまで中速度で21?42図柄変動させ、その後、超低速で停止図柄と一致するまで変動させ、(d)パターン4は、中速度で52?55図柄変動させた後、超低速で3?4図柄変動した後、停止し、そして、中速度で10図柄変動させた後、停止図柄と一致するまで変動させ、(e)パターン5は、超低速で15?18図柄を変動させた後、停止し、その後、中速度で10図柄変動し、その後、停止図柄と一致するまで変動させること(段落【0028】)等から、特別図柄表示機Lの第1、第2、第3の各図柄表示部L1、L2、L3の図柄は、「一斉に変動開始し、所定時間後に、第1図柄表示部L1、第2図柄表示部L2、第3図柄表示部L3の順に図柄を停止表示し、その可変表示態様には外れ変動表示態様とリーチ図柄変動パターン1から5までのリーチ態様を含」むものと認められ、
また、上記摘記事項および図1・9・11等より、(1)第1図柄表示部L1と第2図柄表示部L2に対する図柄変動で、(イ)大当たり(特別遊技状態)のときに、図柄表示部L1、L2、L3の図柄が変動を開始した後、5.00秒後に、先ず、第1図柄表示部L1の図柄は、0.611秒かけて停止して、第2図柄表示部L2は、外れ時における図柄変動時間(1.5秒)に比べて短い、0.917秒をかけて停止すること(段落【0020】)、(ロ)外れリーチは、前記(イ)と同様の処理を行うことによって、外れに比べて異なるリーチアクション態様を示すことができ、(ハ)外れリーチ2は、前記(イ)と同様の処理を行うことによって、外れに比べて異なるリーチアクション態様を示すことができること(段落【0021】)、(ニ)外れの場合に、図柄表示部L1、L2、L3の図柄が変動を開始した後、5.00秒後に、第1図柄表示部L1は、0.611秒かけて停止し、その後、第2図柄表示部L2は、前記大当たり、外れリーチ等と異なり、1.5秒をかけて停止すること(段落【0022】)、(2)第3図柄表示部L3に対する図柄変動で、前記「外れ」、「大当たり」、「外れリーチ」、「外れリーチ2」に対しては、前記第2図柄表示部L2に続いて、第3図柄表示部L3はリーチ図柄変動パターンを選定して、各々の態様に対して期待感等を抱かせる興趣を与え、(イ)外れのときには、第3図柄表示部L3に該当する停止図柄を、第2図柄表示部L2の停止後、0.007秒後に停止し、1.299秒間停止維持し、(ロ)大当たり、外れリーチ、外れリーチ2のときには、種々の図柄変動パターンを導入し、「大当たり図柄」、「リーチとなったときの第3図柄表示部L3の停止図柄」及び、パターンカウンタPcを導入して、図11に示す条件で選定すること(段落【0026】)、
(a)パターン1において、第2図柄表示部L2の図柄が停止した後、1図柄0.458秒で15図柄を変動させた後、停止図柄と一致した時点で停止させ、(b)パターン2は、1図柄0.152秒で46図柄変動させた後、停止図柄の3?4前の図柄となるまで図柄を同じ速度で変動させ、その後、1図柄0.751秒で停止図柄と一致するまで変動させること(段落【0027】)、(c)パターン3は、1図柄0.458秒で15?18図柄を変動させた後、0.499秒停止し、その後、停止図柄の3?4前の図柄となるまで1図柄0.152秒で21?42図柄変動させ、その後、1図柄0.751秒で停止図柄と一致するまで変動させ、(d)パターン4は、1図柄0.152秒で52?55図柄変動させた後、1図柄0.751秒で3?4図柄変動した後、0.499秒停止して、1図柄0.152秒で10図柄変動させた後、停止図柄と一致するまで変動させ、(e)パターン5は、1図柄0.458秒で15?18図柄を変動させた後、0.499秒停止し、その後、1図柄0.152秒で10図柄変動し、その後、停止図柄と一致するまで変動させること(段落【0028】)等、および、段落【0027】・【0028】に記載されているパターン1から5までを計算してみると、リーチとなったときの図柄表示部L1、L2、L3の図柄が全て変動を停止するまでの時間は、パターン1は、13.398秒(5.00秒+0.611秒+0.917秒+0.458秒/図柄x15図柄)+第3図柄表示部L3に表示する停止図柄と一致した時点の時間、パターン2は、5.00秒+0.611秒+0.917秒+0.152秒/図柄x46図柄+0.152秒/図柄x3?4+0.751秒/図柄の速さで第3図柄表示部L3に表示する停止図柄と一致するまでの時間、パターン3?5も同様にして計算すると、その結果、パターン1が、パターン1から5までのリーチ態様のうち13.398秒(5.00秒+0.611秒+0.917秒+0.458秒/図柄x15図柄)+α秒(第3図柄表示部L3に表示する停止図柄と一致した時点の時間)で全ての図柄表示部L1、L2、L3の図柄変動を停止することから、パチンコ機は、「リーチ図柄変動パターン1から5までのリーチ態様のうちリーチ図柄変動パターン1のリーチ態様は、外れ変動表示態様における第2図柄表示部L2の図柄の停止より0.583秒(1.5秒-0.917秒)短く第2図柄表示部L2の図柄を停止してリーチアクションを開始し、且つ、リーチ図柄変動パターン1から5までのリーチ態様のうち13.398秒+α秒で全ての図柄表示部L1、L2、L3の図柄変動を停止する」ものと認められる。これらの記載によれば、引用例1には、

「第1図柄表示部L1、第2図柄表示部L2及び第3図柄表示部L3に図柄を一斉に変動開始し、所定時間後に、第1図柄表示部L1、第2図柄表示部L2、第3図柄表示部L3の順に図柄を停止表示し、その可変表示態様には外れ変動表示態様とリーチ図柄変動パターン1から5までのリーチ態様を含み、その停止図柄の組合せが全て同じ図柄であるとき遊技者にとって有利となる特別遊技状態が生起するパチンコ機であって、
前記リーチ図柄変動パターン1から5までのリーチ態様のうちリーチ図柄変動パターン1のリーチ態様は、前記外れ変動表示態様における第2図柄表示部L2の図柄の停止より短く第2図柄表示部L2の図柄を停止してリーチアクションを開始し、且つ、リーチ図柄変動パターン1から5までのリーチ態様のうち13.398秒+α秒で全ての図柄表示部L1、L2、L3の図柄変動を停止するパチンコ機。」

との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

3.対比
そこで、本願発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「第1図柄表示部L1」、「第2図柄表示部L2」、「第3図柄表示部L3」、「一斉に変動開始し、所定時間後に」、「外れ変動表示態様」、「リーチ図柄変動パターン1から5までのリーチ態様」、「その停止図柄の組合せが全て同じ図柄であるとき」、「遊技者にとって有利となる特別遊技状態」、「パチンコ機」および「短く」は、本願発明の「第1図柄表示部」、「第2図柄表示部」、「第3図柄表示部」、「可変表示開始した後に」、「通常可変表示態様」、「複数のリーチ態様」、「停止表示された図柄が大当たり図柄であるとき」、「遊技者に有利な大当たり」、「遊技機」および「早期に」とそれぞれ相当すると認められる。また、引用例1発明の「リーチ図柄変動パターン1のリーチ態様」と、本願発明の「最も出現頻度を高く設定のリーチ態様」は、「特定のリーチ態様」で共通し、また、引用例1発明の「13.398秒+α秒で」と、本願発明の「最も早期に」は、「所定の時期に」で共通する。したがって、両者は、

「第1図柄表示部、第2図柄表示部及び第3図柄表示部に図柄を可変表示開始した後に、第1図柄表示部、第2図柄表示部、第3図柄表示部の順に図柄を停止表示し、その可変表示態様には通常可変表示態様と複数のリーチ態様を含み、停止表示された図柄が大当たり図柄であるとき遊技者に有利な大当たりが生起する遊技機であって、
前記複数のリーチ態様のうち特定のリーチ態様は、前記通常可変表示態様における第2図柄表示部の図柄の停止より早期に第2図柄表示部の図柄を停止してリーチアクションを開始し、且つ、複数のリーチ態様のうち所定の時期に全ての図柄表示部の図柄変動を停止する遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点、複数のリーチ態様のうち特定のリーチ態様が所定の時期に全ての図柄表示部の図柄変動を停止することにおいて、本願発明では、「最も出現頻度を高く設定のリーチ態様は、複数のリーチ態様のうち最も早期に全ての図柄表示部の図柄変動を停止する」ものであるのに対して、引用例1発明では、「リーチ図柄変動パターン1のリーチ態様」は、出現頻度がどの程度に設定されているのか、および、リーチ図柄変動パターン1は全ての図柄表示部の図柄変動を13.398秒+α秒で停止し、リーチ図柄変動パターン1から5のそれぞれとの停止時期の関係が明らかでない点、

4.判断
上記相違点について検討すると、遊技機分野において、一般的に、複数種類のリーチ変動態様のうち最も出現率の高いリーチ変動態様が、複数種類のリーチ変動態様のうち最も早期に全ての特別図柄表示部の識別情報の可変表示を終了することは周知であり{例えば、特開平10-127896号公報(段落【0034】、【0035】、【0046】等、図10・11・13(A)等)、特開平10-127892号公報(段落【0034】、【0035】、【0044】等、図11・13(A)・15等)参照。}、引用例1発明のリーチ図柄変動パターン1のリーチ態様を設定するにあたり、前記周知のものを採用して本願発明のような構成とした点に格別の発明力を要したとはいえず、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものである。

そして、本願発明が上記構成を採ることによりもたらされる効果は、引用例1発明および周知技術から当業者が予測できる範囲内のものであって格別のものとは認められない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものと認められるから、他の請求項について論ずるまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-04-18 
結審通知日 2007-04-24 
審決日 2007-05-08 
出願番号 特願2000-77435(P2000-77435)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塩崎 進池谷 香次郎  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 林 晴男
土屋 保光
発明の名称 遊技機  
代理人 犬飼 達彦  

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