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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1160304
審判番号 不服2003-25131  
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-25 
確定日 2007-07-12 
事件の表示 特願2000- 78701「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 9月 4日出願公開、特開2001-239021〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年3月1日に出願した特願2000-56296号の一部を平成12年3月21日に新たな特許出願としたものであって、平成15年1月31日付で拒絶理由通知がなされ、同年4月3日付で手続補正がなされ、平成15年7月25日付で最後の拒絶理由通知がなされ、同年9月16日付で手続補正がなされ、同年11月14日付で拒絶査定がなされるとともに、同年9月16日付手続補正書でした補正が、拒絶査定と同日付で補正却下の決定がなされ、これに対し、同年12月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成16年1月23日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年1月23日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年1月23日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「複数の図柄を表示可能な図柄表示部が設けられており、所定条件の充足により、予め記憶されている複数種類の図柄変動パターンのうちの一つの図柄変動パターンを選択し、該図柄変動パターンにしたがって図柄表示部の図柄が変動し、しかる後に順次確定表示となり、確定表示となった図柄の組み合わせが、予め設定された大当たり図柄である場合には、通常の遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態が生起するとともに、確定表示となった図柄の組み合わせが、特定の大当たり図柄である場合には、特別遊技状態が終了した後に、図柄変動パターンのうち変動時間の短いものの選択率を通常の遊技状態よりも高くするとともに大当たりの生起確率を高くする高確率状態が生起する遊技機であって、
図柄表示部に大当たり図柄が確定表示される場合のうちの少なくとも一部の場合に、確定表示される大当たり図柄と同一あるいは異なる大当たり図柄を仮停止表示させた後に、図柄を再変動させる再抽選機能を有しており、
その再抽選時に前記特定の大当たり図柄と異なる大当たり図柄が仮停止された後に特定の大当たり図柄が確定表示される割合である成り上がり率を、前記図柄変動パターン毎にそれぞれ異ならせるとともに、前記高確率状態であるか否かによっても異ならせたことを特徴とする遊技機。」
と補正された。
上記補正は、平成15年4月3日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「図柄表示部の図柄が変動を開始し」を「予め記憶されている複数種類の図柄変動パターンのうちの一つの図柄変動パターンを選択し、該図柄変動パターンにしたがって図柄表示部の図柄が変動し」と限定し、同じく「通常の遊技状態よりも図柄の変動時間を短縮するとともに大当たりの生起確率を高くする高確率状態が生起する」を「図柄変動パターンのうち変動時間の短いものの選択率を通常の遊技状態よりも高くするとともに大当たりの生起確率を高くする高確率状態が生起する」と限定し、同じく「成り上がり率が、図柄の変動開始から仮停止表示までの変動態様により異なり、且つ、前記高確率状態であるか否かによっても異なる」を「成り上がり率を、前記図柄変動パターン毎にそれぞれ異ならせるとともに、前記高確率状態であるか否かによっても異ならせた」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について、平成15年11月14日付の補正却下の決定に不服である旨主張している理由を参酌し、以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-61080号公報(以下、引用例1という。)には、図面とともに、
「複数の図柄を表示する図柄表示装置と、
前記図柄の変動を開始させるための始動スイッチと、
一定の利益ある遊技が提供される第1の大当たりと、該第1の大当たりよりも利益ある遊技の提供される第2の大当たりと、ハズレとの内、いずれかを決定する大当たり決定手段と、
図柄変動を開始してから再変動図柄で一旦停止するまでの表示態様として、第1の表示態様と第2の表示態様との内のいずれかを決定する表示態様決定手段とを備え、
大当たりが発生する際に、
前記再変動図柄として少なくとも第1の大当たり図柄で一旦停止した後、再変動して、前記第1の大当たり図柄又は前記第2大当たり図柄で変動停止するパチンコ機であって、
(A)前記第1の表示態様が表示された際に、前記再変動図柄として前記第1の大当たり図柄で一旦停止した後、再変動して、前記第2の大当たり図柄で変動停止する確率と、
(B)前記第2の表示態様が表示された際に、前記再変動図柄として前記第1の大当たり図柄で一旦停止した後、再変動して、前記第2の大当たり図柄で変動停止する確率と、を異ならしめた・・・パチンコ機。」(特許請求の範囲、【請求項1】)、
「複数の図柄を表示する図柄表示装置と、
前記図柄の変動を開始させるための始動スイッチと、
一定の利益ある遊技が提供される第1の大当たりと、該第1の大当たりよりも利益ある遊技の提供される第2の大当たりと、ハズレとの内、いずれかを決定する大当たり決定手段と、
再変動図柄で一旦停止する際のリーチ態様として、第1リーチ態様と第2リーチ態様との内のいずれかを決定する表示態様決定手段とを備え、
大当たりが発生する際に、
前記再変動図柄として少なくとも第1の大当たり図柄で一旦停止した後、再変動して、前記第1の大当たり図柄又は前記第2大当たり図柄で変動停止するパチンコ機であって、
(A)前記第1のリーチ態様が表示された際に、前記再変動図柄として前記第1の大当たり図柄で一旦停止した後、再変動して、前記第2の大当たり図柄で変動停止する確率と、
(B)前記第2のリーチ態様が表示された際に、前記再変動図柄として前記第1の大当たり図柄で一旦停止した後、再変動して、前記第2の大当たり図柄で変動停止する確率と、を異ならしめた・・・パチンコ機。」(特許請求の範囲、【請求項2】)、
「複数の図柄を表示する図柄表示装置と、
前記図柄の変動を開始させるための始動スイッチと、
一定の利益ある遊技が提供される第1の大当たりと、該第1の大当たりよりも利益ある遊技の提供される第2の大当たりと、ハズレとの内、いずれかを決定する大当たり決定手段と、
前記第1の大当たりのための図柄として図柄Aと図柄Bの内のいずれかを決定する大当たり図柄決定手段と、を備え、
大当たりが発生する際に、
前記再変動図柄として第1の大当たり図柄A又は図柄Bで一旦停止した後、再変動して、前記第1の大当たり図柄又は前記第2大当たり図柄で変動停止するパチンコ機であって、
(A)前記再変動図柄として前記第1の大当たり図柄Aで一旦停止した後、再変動して、前記第2の大当たり図柄で変動停止する確率と、
(B)前記再変動図柄として前記第1の大当たり図柄Bで一旦停止した後、再変動して、前記第2の大当たり図柄で変動停止する確率と、を異ならしめた・・・パチンコ機。」(特許請求の範囲、【請求項3】)、
「【従来の技術】
パチンコ機において、・・・図柄変動装置が変動を開始し、所定の図柄で停止すること(大当たり)により大入賞口が所定時間開放され、遊技球の非常に入賞し易い状態を提供するようになっている機種がある。この種のパチンコ機で、大当たりとして次回の大当たりの発生し易い高確率状態へ移行する大当たり(以下特定大当たり)と、高確率状態に移行しない大当たり(通常大当たり)とを設けるいわゆる確率変動機がある。そして、この特定大当たりを特定図柄(例えば、“111”,“333”,“555”等の奇数番号)で発生させ、通常大当たりを通常図柄(例えば、“222”、“444”、“666”等の偶数番号)にて発生させる。更に、かかる確率変動機において、大当たり図柄(通常図柄)で一旦停止し、そこから再び図柄を動かし、通常図柄又は特定図柄で停止させる機種がある。」(段落【0002】)、
「【発明が解決しようとする課題】
かかる図柄を再変動させるパチンコ機に於いては、再変動図柄で一旦停止した際に、大当たりか否かを遊技者に知らしめた後、再度図柄を変動してから、最終的に通常大当たりか、特定大当たりかを知らしめ得ることで、遊技の興趣を高めている。しかしながら、再変動を起こしても、特定大当たりの発生する確率は一定であるため、遊技の継続する上で単調になり易く、遊技者の集中力を失わせることがあった。」(段落【0003】)、
「パチンコ機10には、内枠11が・・・備えられており、その内枠11には、金枠12が・・・取付けられており、さらに金枠12には、ガラス枠26が・・・取付けられている。ガラス枠26・・・には、遊技盤13が配置されており、この遊技盤13・・・には、発射された遊技球を案内するガイドレール14が設けられている。・・・。」(段落【0012】)、
「・・・。 遊技盤13・・・には、センターケース30が備えられている。センターケース30には、・・・、液晶表示で特別図柄34aを表示する特別図柄表示装置34・・・が備えられている。」(段落【0015】)、
「図2に示す・・・、普通図柄表示装置32を作動させるための普通図柄作動ゲート40,40が設けられている。・・・、特別図柄表示装置34を作動させるための第1種始動口41が設けられており、・・・普通図柄表示装置32の停止図柄が所定の当たり図柄となった場合に開放される普通電動役物42が設けられている。・・・普通電動役物42は、第1種始動口41と同様に、特別図柄表示装置34を作動開始させる機能を備えている。・・・、特別図柄表示装置34の停止図柄が所定の大当たり図柄となった場合に作動する変動入賞装置50が設けられている。」(段落【0016】)、
「・・・変動入賞装置50には、当たりの発生時に開放される扉形式の大入賞口51が開閉可能に取り付けられてお・・・る。・・・。」(段落【0017】)、
「・・・、図3に示す・・・、液晶表示装置(LCD)からなる特別図柄表示装置34は、遊技球が第1種始動口41・・・に入賞した際に、0?9の10種類の図柄を3箇所に変動表示する。以下、図3において左側の図柄を表示する部分を第1表示部34A、中央の図柄を表示する部分を第2表示部34B、右側の図柄を表示する部分を第3表示部34Cと称する。・・・、変動開始後、所定の変動固定時間が経過すると、たとえば、第1表示部34A・第2表示部34B・第3表示部34Cの順に変動が停止し、その停止図柄がA=B=C、たとえば、図3に示すように、777になると大当たりとなり、変動入賞装置50が作動して大入賞口51が開放される。」(段落【0021】)、
「・・・、主制御基盤36には、特別図柄表示装置34、・・・などの制御を行うCPU84と、このCPU84が実行する制御プログラムが記憶されたROM85と、CPU84が制御プログラムを実行する際にROM85から読出された制御プログラムを一時的に記憶するRAM86とが搭載されている。」(段落【0026】)、
「〔特別図柄表示装置〕
遊技球が第1種始動口41・・・へ入賞すると、特別図柄表示装置34の各表示部34A、34B、34Cにて0?9の図柄の変動をそれぞれ開始する。そして、予め設定された時間が経過すると第1表示部34A、第2表示部34B、第3表示部34Cの順で図柄の変動を停止する。ここで、第1表示部34A、第2表示部34B、第3表示部34Cの図柄が異なる場合にはハズレとなる。他方、第1表示部34A、第2表示部34B、第3表示部34Cの図柄が同じときには、大当たりとなって、大入賞口51を約29.5秒開放して、遊技球の非常に入賞し易い状態を提供する。該29.5秒の経過又は開放時間内であっても遊技球がおおむね9個入賞することにより大入賞口51が閉じる。この大入賞口51の開放中に、特定領域53を通過することにより大入賞口51は再び開放される。」(段落【0033】)、
「・・・、大当たりとして次回の大当たりの発生し易い高確率状態(1/82.5)へ移行する大当たり(以下特定大当たり)と、高確率状態に移行しない大当たり(通常大当たり:1/330)とを設けた、いわゆる確率変動機である。そして、この特定大当たりを特定図柄(例えば、“111”,“333”,“555”等の奇数番号)にて発生させ、通常大当たりを通常図柄(例えば、“222”、“444”、“666”等の偶数番号)にて発生させる。そして、大当たりを発生させる際に、大当たり図柄(通常図柄又は特定図柄)で一旦停止し、そこから再び図柄を動かし、通常図柄又は特定図柄で停止させる。」(段落【0035】)、
「・・・、リーチ態様として、通常リーチと、ロングリーチと、スーパーリーチとの3種類を設けて有る。そして、・・・大当たり図柄で一旦停止する際に、通常リーチで停止した際には、一旦停止後に特定図柄で停止して高確率に移行する蓋然性は低く設定されている。他方、ロングリーチと、スーパーリーチにて、大当たり図柄で一旦停止する際には、一旦停止後に特定図柄で停止して高確率に移行する蓋然性が高く設定されている。即ち、ロングリーチと、スーパーリーチにて一旦停止し大当たりが発生する際には、高い確率で特定図柄で図柄停止するため、遊技者は集中力を持って遊技の進行を堪能することができる。」(段落【0036】)、
「・・・リーチ態様に加えて、再変動図柄として選択された一旦停止時の大当たり図柄(以下、一旦停止図柄として参照する)からも特別図柄での図柄停止が予見できるように設定されている。即ち、“666”の大当たり図柄で一旦停止した際には、高い確率(76%)で特定図柄へ移行し、他方、“444”で一旦停止した際には、低い確率(21%)でしか特定図柄へ移行しないように設定してある。これにより、リーチに加えて、図柄からも特定図柄の発生を予期できるため、遊技の興趣が高められる。」(段落【0037】)、
「・・・、第1種始動口41への入賞に伴い、特別図柄表示装置34の図柄を変化させる特別図柄変動処理を行う(S118)。そして、当たりの発生に応じて大入賞口51を開放する大入賞口制御処理を行う(S120)。」(段落【0041】)、
「・・・第1種始動口41・・・への入賞に基づく・・・図5に示すステップ116からステップ120までの特別図柄表示装置の変動処理について、図6?図8のサブルーチン・・・。」(段落【0044】)、
「・・・始動口入賞処理について図6に示す・・・。CPU84は、第1種始動口スイッチ41aからの信号を基に第1種始動口41へ遊技球が入賞したか否かを判断し(S122)、・・・、遊技球が入賞したときは(S122がYes)、始動記憶変数Uが4未満かを判断する(S124)。・・・。」(段落【0045】)、
「・・・、変数Uが4未満の場合は(S124がYes)、変数Uに1加算した後(S126)、0から329までの330コマ数の乱数内の現タイミング(第1種始動口41へ遊技球が入賞時)に於ける値を抽出し(S134)、この値を保持して始動口入賞サブルーチンを終了する。・・・実施形態では、乱数“7”を大当たりとして設定しており、低確率の際には、1/330の確率で大当たりが発生するようになっている。一方、前回特定図柄で大当たりが発生し高確率状態であるなら乱数“7”、“133”、“203”、“207”を大当たりとして設定しており、1/82.5の確率で大当たりが発生する。」(段落【0046】)、
「・・・、第1種始動口41へ遊技球が入賞し、・・・変数Uが1になった時の処理について・・・。特別図柄表示装置34を変動中かのステップ202の判断がNoとなり、CPU84は、変数Uが“1”以上かを判断するが(S204)、変数Uが1であるため(S204がYes)、特別図柄の変動の固定時間をセットし(S206)、変数Uから“1”を減じる(S208)。そして、特別図柄表示装置34の図柄の変動を開始する(S210)。」(段落【0048】)、
「その後、大当たりが発生しているか否かに基づき停止図柄の選択及び、図柄停止時の態様を決定する。即ち、CPU84は、高確率状態かを、高確率フラグに基づき判断する(S211)。ここで、通常時には(S211がNo)、ステップ213へ進み、・・・ステップ134にて設定した乱数値が、大当たりの乱数値“7”であるかを判断する。ここで、乱数値が“7”の場合には(S213がYes)、大当たりフラグを設定した後(S214)、大当たり図柄を選出する(S216)。一方、高確率状態においては(S211がYes)、設定した乱数値が、大当たりの乱数値“7”、“133”、“203”、“277”であるかを判断する。ここで、乱数値が“7”、“133”、“203”、“277”の場合には(S212がYes)、ステップ214へ移行する。」(段落【0049】)、
「ステップ216における大当たり図柄の選出は、図9(C)に示す0から9までの10コマ数の乱数内におけるいずれかの値を抽出することにより行う。例えば、乱数値“1”が選択された場合には、特別図柄表示装置34にて“1”、“1”、“1”に相当する停止図柄が表示されることになる。ここで、1,3,5,7、9の奇数の値が選択された際には、特定図柄(確率変動図柄)が大当たり図柄となり、他方、2、4、6、8の偶数及び0が選択された際には、通常図柄が大当たり図柄となる。」(段落【0050】)、
「次に、図9(B)に示す0から508までの509コマ数の再変動乱数内の値を抽出し、一旦停止図柄及びリーチ態様を決定し(S220)、決定したリーチパターン(通常リーチ、ロングリーチ、スーパーリーチのいずれか)を設定する(S221)。ここで、図10及び図11は、停止図柄に対する一旦停止図柄及びリーチ態様の設定確率を示す図表であり、図12は、停止図柄に対する一旦停止図柄及びリーチ態様の設定マップの内容を示す説明図である。」(段落【0051】)、
「図12中に示す内容のマップが・・・ROM85中に保持されている。ここで、・・・大当たり図柄(停止図柄)として“111”が選択され、図9(B)に示す乱数として例えば、472が選択された際には、図12に示すマップのように停止図柄“111”の欄で、465?474の範囲であるため、一旦停止図柄として“888”が選択され、通常リーチが行われることになる。また、選択された乱数値が464であるなら、325?464の範囲であるため、一旦停止図柄として“666”が選択され、スーパーリーチが行われることになる。」(段落【0052】)、
「図10及び図11は、図12を参照して・・・マップに設定された発生確率を示している。即ち、停止図柄として高確率状態へ移行しない通常図柄“000”が・・・ステップ216にて設定されたときは、例えば、一旦停止図柄が“000”の場合には、通常リーチで発生する確率を50/509に、ロングリーチで発生する確率を50/509に、スーパーリーチで発生する確率を30/509に設定してある。他の通常図柄(“444”等の偶数図柄)も、同様にスーパーリーチで発生する確率を低く設定してある。」(段落【0053】)、
「・・・、停止図柄として高確率状態へ移行する特定図柄“111”が・・・ステップ216にて設定されたときは、例えば、一旦停止図柄が“000”の場合には、通常リーチで発生する確率を15/509に、ロングリーチで発生する確率を10/509に、スーパーリーチで発生する確率を95/509に設定してある。他の通常図柄(“222”等の偶数図柄)も、同様にロングリーチ、スーパーリーチで発生する確率を高く設定してある。」(段落【0054】)、
「図11及び図12に示す設定確率について、・・・。 ここでは先ず、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、特定図柄で大当たりが発生する確率について・・・。
(A)先ず、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、通常図柄で大当たりが発生する確率Aは次式で表される。
A=1/330 ×(45/509+45/509+45/509+45/509+45/509)÷10=225/1679700
(1) (3) (4) (5) (6) (7) (2)
なお、式中で(1 )は大当たり確率、(2 )は一旦停止図柄の個数、(3 )は、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、通常図柄(000)に成る確率、(4 )は、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、通常図柄(222)に成る確率、(5 )は、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、通常図柄(444)に成る確率、(6 )は、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、通常図柄(666)に成る確率、(7 )は、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、通常図柄(888)に成る確率を示す。」(段落【0055】)、
「(B)通常リーチにより“222”で一旦停止した後、特定図柄で大当たりが発生する確率Bは次式で表される。
B=1/330 ×(5/509+5/509+5/509+5/509+5/509 )÷10=25/1679700
(1) (9) (10) (11) (12) (13) (2)
なお、式中で(1)は大当たり確率、(2)は一旦停止図柄の個数、(9 )は、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、特定図柄(111)に成る確率、(10)は、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、特定図柄(333)に成る確率、(11)は、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、特定図柄(555)に成る確率、(12)は、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、特定図柄(777)に成る確率、(13)は、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、特定図柄(999)に成る確率を示す。」(段落【0056】)、
「・・・、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、特定図柄で大当たりが発生する確率C( %)は、次式で表される。
C= 特定図柄の確率( B)/{通常図柄の確率( A) +特定図柄の確率( B) }×100 =10(%)」(段落【0057】)、
「以下同様に、ロングリーチにより“222”で一旦停止した後、特定図柄で大当たりが発生する確率(信頼度)は、100%であり、スーパーリーチの場合には94%に設定されている。」(段落【0058】)、
「・・・、一旦停止図柄が“888”の場合には、特定図柄で大当たりが発生する確率(信頼度)は、通常リーチで25%、ロングリーチで33%、スーパーリーチで21.5%に設定されている。」(段落【0059】)、
「・・・、一旦停止図柄を問わずに全体として、特定図柄で大当たりが発生する確率(信頼度)は、通常リーチで24%、ロングリーチで33%、スーパーリーチで70%に設定されている。この実施形態では、全体的にスーパーリーチの信頼度が高く設定されているが、・・・“888”の場合には、スーパーリーチでの発生確率を21.5%にすることで、ロングリーチでの信頼度(33%)よりも低く設定されている。一方、・・・“222”でのロングリーチで一旦停止した際には、100%発生するように設定されている。」(段落【0060】)、
「他方、リーチ態様を問わずに、一旦停止図柄をトータルすると、“444”が一番信頼度が低く特定図柄へ移行する確率約21%、反対に、“666”が一番信頼度が高く移行確率が76%に設定されている。」(段落【0061】)、
「・・・、遊技者側から見れば、一旦停止図柄とリーチ態様次第で、通常図柄で一旦停止後に再変動して特定図柄になる信頼度(確率)が異なるため、リーチ態様及び一旦停止図柄によって特定図柄での大当たりの期待度にも差がでる。このため、一旦停止後に特定図柄に移行する蓋然性が高い際には、特定図柄での大当たりの発生を期待しながら図柄変動に注目することができる。」(段落【0062】)、
「・・・、図7を参照してCPU84による処理について・・・ステップ128にて格納した乱数値が“7”以外の場合、即ち、大当たりが発生していないときには、ステップ213の判断がNoとなる。同様に、高確率状態で大当たりが発生していないとき、ステップ212の判断がNoとなり、ハズレ図柄の選択(S222)及び、図柄停止時の態様を決定する。」(段落【0063】)、
「ステップ222では、先ず、第3表示部34Cの停止図柄を選出する。この選出は、図9(D)に示す0から9までの10コマ数のハズレ特別乱数内におけるいずれかの値を抽出することにより行う。例えば、乱数値“1”が選択された場合には、第3表示部34Cに“1”に相当する図柄が停止図柄として表示されることになる。同様にして第2表示部34B、第1表示部34Aの図柄用の乱数を選出する。その後、選出した図柄が大当たり図柄ではないかを判断する(S224)。例えば、第1、第2、第3表示部34C、34B、34Aに全て乱数値“1”が選択されている場合には、停止図柄が“1”、“1”、“1”となって大当たり図柄となるため(S224がYes)、ステップ222へ戻り図柄を選択し直す。他方、大当たり図柄ではない場合には(S224がNo)、リーチ態様となるかを判断する(S226)。ここでは、第1表示部34Aと第2表示部34Bとの図柄が等しいかを判断する。ここで、第1表示部34Aと第2表示部34Bとの図柄が異なる場合には(S226がNo)、リーチではない通常の停止態様を設定する(S228)。他方、第1表示部34Aと第2表示部34Bとの図柄が等しい場合には(S226がYes)、ステップ227へ移行し、図9(E)に示す0から126までの127コマ数のリーチ乱数内の値を抽出してリーチ態様を決定し、決定したリーチパターン(通常リーチ、ロングリーチ、スーパーリーチのいずれか)を設定する(S221)。」(段落【0064】)、
「【0065】・・・ハズレの際のリーチ態様の設定について、・・・。図13は、停止図柄に対するリーチ態様の設定確率を示す図表であり、図14は、停止図柄に対するリーチ態様の設定マップの内容を示す説明図である。」(段落)、
「図14中に示す内容のマップが・・・ROM85中に保持されている。ここで、例えば、上記ステップ222で“001”(A=B、C=B+1)の図柄が選択され、上述したステップ227のリーチ乱数として5が選択された際には「0」?「6」の値であるため、通常リーチが設定される(S221)。また、“009”(A=B、C=B-1)の図柄が選択され、リーチ乱数として8が選択された際には「7」?「86」の値であるため、ロングリーチが設定される。他方、“005”(A=B、C≠B±1)の図柄が選択され、リーチ乱数として115が選択された際には「114」?「126」の値であるため、スーパーリーチが設定される。」(段落【0066】)、
「・・・、リーチ態様と当たり発生との関係について・・・。 図14は、図13に示すマップに規定された通常リーチ、ロングリーチ、スーパーリーチの設定確率を示す図表である。・・・。」(段落【0067】)、
「・・・、“2”の通常リーチ又はロングリーチで大当たりが発生する信頼度(確率)について・・・。“2”の通常リーチで大当たりが発生する確率Fは次式で表される。
F=(“222”で一旦停止して再変動後、通常図柄で停止する確率+“222”で一旦停止して再変動後、特定図柄で停止する確率)
÷ {2の通常リーチでハズレる確率+(“222”で一旦停止して再変動後、通常図柄で停止する確率+“222”で一旦停止して再変動後、特定図柄で停止する確率)}
=(25/1679700+225/1679700 )
÷{285572/41910000 +(25/1679700+225/1679700 )}
≒0.00021(0.021%)」(段落【0077】)、
「一方、“2”のロングリーチで大当たりが発生する確率Gは次式で表される。G=(“222”で一旦停止して再変動後、通常図柄で停止する確率+“222”で一旦停止して再変動後、特定図柄で停止する確率)
÷ {2のロングリーチでハズレる確率+(“222”で一旦停止して再変動後、通常図柄で停止する確率+“222”で一旦停止して再変動後、特定図柄で停止する確率)}
=(150/1679700 +0/1679700 )
÷{3290/41910000 +(150/1679700 +0/1679700 )}
≒0.5319(53.19%)」(段落【0078】)、
「このように、リーチ態様により大当たりの発生確率を異ならして、遊技の興趣を高めてある。」(段落【0079】)、
「・・・、図7・・・CPU84による処理・・・ステップ210にて特別図柄表示装置34の図柄変動を開始すると、次のマシンサイクルにおいて、ステップ202の判断において、図柄変動中の判断がYesとなり、CPU84は、先ず、大当たりが発生した際に、図柄を一旦停止させる一旦停止時期となったかを判断し(S229)、更に、・・・ステップ206にて設定した図柄停止タイマがタイムアップしたかを判断する(S231)。ここで、一旦停止時期になるまで(S229がNo)、及び、変動時間の経過により図柄停止タイマがタイムアップするまでは(S231がNo)、図柄の変動を継続する(S232)。」(段落【0080】)、
「他方、図柄の一旦停止時期になると(S229がYes)、・・・ステップ221にて設定した通常リーチ、ロングリーチ、スーパーリーチにて、設定した一旦停止図柄にて図柄変動を一旦停止する(S230)。その後、次のマシンサイクルで図柄の変動を再開する(S232)。」(段落【0081】)、
「・・・、図柄停止タイマがタイムアップすると(S231がYes)、CPU84は図柄変動を停止する(S234)。ここで、大当たりが発生しており上記一旦停止の際にリーチ表示を行っているとき、及び、リーチ態様ではない通常のハズレが設定されている時には、通常の図柄停止を行い、ハズレのリーチが設定されているときには、設定された通常リーチ態様、ロングリーチ態様、スーパーリーチ態様で図柄変動を停止する。」(段落【0082】)、
「次に、CPU84は、大当たりフラグが“1”かを判断し(S236)、大当たりが発生し、大当たりフラグが”1”のときには(S236がYes)、大入賞口51の開口時間である約29.5秒を設定する大入賞口作動タイマを始動し(S238)、大入賞口51への入賞数を計数する大入賞口入賞カウンタPをクリアし(S242)、特別図柄変動処理のサブルーチン処理を終了する。」(段落【0083】)、
「・・・マシンサイクルにおいて、・・・、大当たり図柄が特定図柄かを判断する(S248)。ここで、特定図柄(例えば、“111”)が選択されているときには(S248がYes)、高確率フラグを設定し(S250)、処理を終了する。」(段落【0087】)、
「・・・、図10?図12にリーチ態様及び特定図柄の大当たりの発生確率を、図13,図14にハズレリーチの発生確率を示したが、これらの設定値を調整することで、各態様の信頼度を任意に設定することができる。」(段落【0088】)、
「本実施形態のパチンコ機では、リーチになると、大当たりの信頼度が高くて、特定図柄に再変動し易いものもあれば、大当たりの信頼度が低く、特定図柄に再変動しないものがある。更に、大当たりの信頼度は低いが、再変動すれば特定図柄になり易いものもある。このため、大当たりに対する信頼度だけでなく、通常図柄で一旦停止後に再変動して特定図柄になる信頼度も加わり、ゲーム性の枠が今までよりも広がり、遊技の興趣が高まる。」(段落【0089】)、
「・・・実施形態では、リーチと一旦停止の図柄の種類によって、特定図柄に再変動する際の信頼度(確率)を遊技者側へ示唆した。このリーチ或いは一旦停止図柄以外にも、例えば、図柄を変動表示する部分の背景色を変えることで(赤色の背景の場合に高確率で特定図柄を発生させる)、或いは、図柄を変動表示する部分に動物のキャラクタを登場させ、動作態様により(兎が登場して踊った場合に高確率で特定図柄を発生させる)等、大当たり図柄で一旦停止されるまでの間の、図柄以外の図柄表示装置で表示可能なものの表示態様でもって、信頼度を示唆することも可能である。」(段落【0090】)、
との記載が認められる。
また、上記摘記事項および図7・8・9等より、遊技球が第1種始動口41へ入賞すると、特別図柄表示装置34の各表示部34A、34B、34Cにて図柄の変動をそれぞれ開始して、予め設定された時間が経過すると第1表示部34A、第2表示部34B、第3表示部34Cの順で図柄の変動を停止し、図柄が同じときには、大当たりとなって、大入賞口51を開放して、遊技球の非常に入賞し易い状態を提供すること(段落【0033】)、大当たりとして次回の大当たりの発生し易い高確率状態へ移行する特定大当たりと、高確率状態に移行しない通常大当たりとを設けた確率変動機であり、この特定大当たりを特定図柄(例えば、“111”,“333”,“555”等の奇数番号)にて発生させること(段落【0035】)、リーチ態様として、通常リーチと、ロングリーチと、スーパーリーチとの3種類を設けていること(段落【0036】)、第1種始動口41へ遊技球が入賞して、特別図柄表示装置34の図柄の変動を開始すること(段落【0048】)、その後、大当たりが発生しているか否かに基づき停止図柄の選択及び、図柄停止時の態様を決定すること」(段落【0049】)、次に、図9(B)の再変動乱数内の値を抽出し、一旦停止図柄及びリーチ態様を決定し、決定したリーチパターン(通常リーチ、ロングリーチ、スーパーリーチのいずれか)を設定すること(段落【0051】)、停止図柄として高確率状態へ移行する特定図柄“111”が設定されること(段落【0054】)、図7で特別図柄表示装置34の図柄変動を開始すると、図柄変動中の判断がYesとなり、大当たりが発生した際に、図柄を一旦停止させる一旦停止時期となったかを判断し、更に、図柄停止タイマがタイムアップしたかを判断し、ここで、一旦停止時期になるまで、及び、変動時間の経過により図柄停止タイマがタイムアップするまでは、図柄の変動を継続すること(段落【0080】)、 「他方、図柄の一旦停止時期になると設定した通常リーチ、ロングリーチ、スーパーリーチにて、設定した一旦停止図柄にて図柄変動を一旦停止し、その後、図柄の変動を再開すること(段落【0081】)、大当たり図柄が特定図柄かを判断し、ここで、特定図柄が選択されているときには、高確率フラグを設定すること(段落【0087】)等、および、通常リーチ、ロングリーチ、スーパーリーチの3種類のリーチ態様において、それぞれが変動時間の経過により図柄停止タイマがタイムアップしたかを判断する際に、それぞれの変動時間がどのようになっているかは変動のタイムチャートもなく不明であるが、複数種類のリーチ態様の変動時間を異ならせるようにすることは、例をあげるまでもなく周知であり、また、通常やロングの表現からも、3種類のリーチ態様は、変動時間を異なるようにすることができるものと認められることから、パチンコ機10は、「停止図柄の組合せが、特定図柄である場合には、遊技球の非常に入賞し易い状態が終了した後に、第1種始動口41への入賞によりそれぞれの変動時間が異なる3種類のリーチ態様のうちの一つのリーチ態様を選択するとともに次回の大当たりの発生し易い高確率状態へ移行する」ものと認められ、
また、上記摘記事項および図3・7・9等より、大当たりとして次回の大当たりの発生し易い高確率状態へ移行する大当たり(以下特定大当たり)と、高確率状態に移行しない大当たり(通常大当たり)とを設けて、この特定大当たりを特定図柄(例えば、“111”,“333”,“555”等の奇数番号)にて発生させ、通常大当たりを通常図柄(例えば、“222”、“444”、“666”等の偶数番号)にて発生させ、そして、大当たりを発生させる際に、大当たり図柄(通常図柄又は特定図柄)で一旦停止し、そこから再び図柄を動かし、通常図柄又は特定図柄で停止させること(段落【0035】)、CPU84は、大当たり図柄の選出は、0から9までの10コマ数の乱数内におけるいずれかの値を抽出することにより行い、例えば、乱数値“1”が選択された場合には、特別図柄表示装置34にて“1”、“1”、“1”に相当する停止図柄が表示され、1,3,5,7、9の奇数の値が選択された際には、特定図柄(確率変動図柄)が大当たり図柄となり、他方、2、4、6、8の偶数及び0が選択された際には、通常図柄が大当たり図柄となること(段落【0050】)、CPU84は、0から508までの509コマ数の再変動乱数内の値を抽出し、一旦停止図柄及びリーチ態様を決定し、決定したリーチパターン(通常リーチ、ロングリーチ、スーパーリーチのいずれか)を設定すること(段落【0051】)等から、パチンコ機10は、「特別図柄表示装置34に大当たり図柄(通常図柄又は特定図柄)が停止される場合に、停止される大当たり図柄と同一あるいは異なる大当たり図柄を一旦停止した後に、そこから再び図柄を動かすために再変動乱数内の値を抽出しリーチ態様を決定する機能を有して」いるものと認められ、
また、上記摘記事項および図7・10・11・12等より、CPU84は、大当たり図柄の選出を、乱数内におけるいずれかの値を抽出することにより行い、乱数値が選択された場合には、特別図柄表示装置34にて停止図柄を表示し、1,3,5,7、9の奇数の値が選択された際には、特定図柄(確率変動図柄)が大当たり図柄となり、他方、2、4、6、8の偶数及び0が選択された際には、通常図柄が大当たり図柄となること(段落【0050】)、CPU84は、再変動乱数内の値を抽出し、一旦停止図柄及びリーチ態様を決定し、決定したリーチパターン(通常リーチ、ロングリーチ、スーパーリーチのいずれか)を設定すること(段落【0051】)、停止図柄として高確率状態へ移行しない通常図柄“000”が設定されたときは、例えば、一旦停止図柄が“000”の場合には、通常リーチで発生する確率を50/509に、ロングリーチで発生する確率を50/509に、スーパーリーチで発生する確率を30/509に設定し、他の通常図柄(“444”等の偶数図柄)も、同様にスーパーリーチで発生する確率を低く設定してあること(段落【0053】)、停止図柄として高確率状態へ移行する特定図柄“111”が設定されたときは、例えば、一旦停止図柄が“000”の場合には、通常リーチで発生する確率を15/509に、ロングリーチで発生する確率を10/509に、スーパーリーチで発生する確率を95/509に設定し、他の通常図柄(“222”等の偶数図柄)も、同様にロングリーチ、スーパーリーチで発生する確率を高く設定してあること(段落【0054】)、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、特定図柄で大当たりが発生する確率Bは25/1679700であること(段落【0056】)、つまり、通常リーチにより“222”で一旦停止した後、特定図柄で大当たりが発生する確率C( %)は、10(%)であること(段落【0057】)、同様に、ロングリーチにより“222”で一旦停止した後、特定図柄で大当たりが発生する確率(信頼度)は、100%であり、スーパーリーチの場合には94%に設定されていること(段落【0058】)、一旦停止図柄が“888”の場合には、特定図柄で大当たりが発生する確率(信頼度)は、通常リーチで25%、ロングリーチで33%、スーパーリーチで21.5%に設定されていること(段落【0059】)、遊技者側から見れば、一旦停止図柄とリーチ態様次第で、通常図柄で一旦停止後に再変動して特定図柄になる信頼度(確率)が異なるため、リーチ態様及び一旦停止図柄によって特定図柄での大当たりの期待度にも差がでること(段落【0062】)、“222”の通常リーチで一旦停止して再変動後、特定図柄で停止する確率が225/1679700 であること(段落【0077】)、“222”のロングリーチで一旦停止して再変動後、特定図柄で停止する確率が0/1679700であること(段落【0078】)、リーチ態様及び特定図柄の大当たりの発生確率とハズレリーチの発生確率の設定値を調整することで、各態様の信頼度を任意に設定することができること(段落【0088】)等から、パチンコ機10は、「再変動乱数内の値を抽出しリーチ態様を決定するときに前記特定図柄と異なる通常図柄が一旦停止した後に特定図柄が停止される確率である成り上がり率を、前記リーチ態様毎にそれぞれ異ならせ」ているものと認められる。これらの記載によれば、引用例1には、

「特別図柄34aを第1表示部34A、第2表示部34B、第3表示部34Cに表示する特別図柄表示装置34が設けられており、遊技球が第1種始動口41へ入賞すると、ROM85に記憶された3種類のリーチ態様とリーチではない通常の停止態様のうちの一つの停止態様を選択し、該停止態様にしたがって特別図柄表示装置34の特別図柄34aが変動をそれぞれ開始し、予め設定された時間が経過すると第1表示部34A・第2表示部34B・第3表示部34Cの順に変動が停止し、その停止図柄の組合せが、所定の大当たり図柄となった場合に、大入賞口51を約29.5秒開放して、遊技球の非常に入賞し易い状態となるとともに、停止図柄の組合せが、特定図柄である場合には、遊技球の非常に入賞し易い状態が終了した後に、第1種始動口41への入賞によりそれぞれの変動時間が異なる3種類のリーチ態様のうちの一つのリーチ態様を選択するとともに次回の大当たりの発生し易い高確率状態へ移行するパチンコ機10であって、
特別図柄表示装置34に大当たり図柄が停止される場合に、停止される大当たり図柄と同一あるいは異なる大当たり図柄を一旦停止した後に、そこから再び図柄を動かすために再変動乱数内の値を抽出しリーチ態様を決定する機能を有しており、
その再変動乱数内の値を抽出しリーチ態様を決定するときに前記特定図柄と異なる通常図柄が一旦停止した後に特定図柄が停止される確率である成り上がり率を、前記リーチ態様毎にそれぞれ異ならせたパチンコ機10。」

との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-127889号公報(以下、引用例2という。)には、図面とともに、
「複数の可変表示部で識別情報を可変表示すると共に、その表示結果が予め定めた特定表示結果となったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態を発生し得る可変表示装置を備えた弾球遊技機において、
特定条件が成立した場合、複数種類のリーチ変動態様の中からいずれかの変動態様を選択するリーチ変動態様選択手段と、・・・リーチ変動制御手段と、・・・特別遊技発生手段と、を備え、前記複数種類のリーチ変動態様に対して前記特定表示結果となる信頼度を異なって設定すると共に、前記特別遊技状態中では、通常時に信頼度が高いリーチ変動態様とそれ以外のリーチ変動態様との信頼度の比率差を通常時に比べて大きく設定した・・・弾球遊技機。」(特許請求の範囲、【請求項1】)、
「【従来の技術】
従来、一般に、弾球遊技機としてのパチンコ遊技機に設けられる可変表示装置は、複数列の可変表示部で図柄を可変表示し、各可変表示部の表示結果が予め定めた大当り図柄(特定表示結果)となったときに特定遊技状態を発生するようになっていた。また、このような可変表示装置には、図柄変動でリーチとなったとき複数のリーチ変動態様の中からいずれかの変動態様を選択実行するものが提案されており、各リーチ変動態様毎に大当りとなる信頼度(特定表示結果の導出率)を異なって設定することでリーチ変動における興趣を盛り上げるようになっていた。また、可変表示装置には、予め定めた確変図柄で大当りしたときに前記特定遊技状態の発生に加えて大当り判定の確率を変更(以下、これを確率変動又は確変という)する等の特別遊技状態を発生するものも提案されていた。」(段落【0002】)、
「【発明が解決しようとする課題】・・・、確変等の特別遊技状態中では、信頼度が高いリーチ変動態様とそれ以外のリーチ変動態様との信頼度の比率差を通常時に比べて大きく設定することで、特別遊技状態で各種リーチ変動態様に対する大当りの期待感に変化を持たせて、遊技の興趣向上を可能にする・・・。」(段落【0003】)、
「・・・、図6(A)に示すランダム6により、特定条件が成立した場合(大当り又はハズレで左右の図柄が揃う場合)、複数種類のリーチ変動態様(リーチ1?3)の中からいずれかの変動態様を選択する・・・リーチ変動態様選択手段の一例を構成している。」(段落【0008】)、
「・・・、図8及び図9に示す図柄の変動制御により、前記リーチ変動態様選択手段で選択した変動態様に基づいて前記可変表示部の変動を制御する・・・リーチ変動制御手段の一例を構成している。」(段落【0009】)、
「・・・、図11(A)(B)に示す通常時及び高確率時のリーチ選択テーブルにより、前記複数種類のリーチ変動態様(リーチ1?3)に対して前記特定表示結果となる信頼度を異なって設定すると共に、前記特別遊技状態中では、通常時に信頼度が高いリーチ変動態様(リーチ3)とそれ以外のリーチ変動態様(リーチ1・2)との信頼度の比率差を通常時に比べて大きく設定した構成を例示している。」(段落【0011】)、
「・・・特別可変入賞球装置15は、以下のように作動する。・・・、打玉が普通可変入賞球装置4に入賞して始動玉検出器7をONさせると、特別可変表示装置40が変動を開始し、一定時間が経過すると、例えば左・右・中の順で特別図柄が確定され、その確定された図柄の組み合せが大当り図柄(特定表示結果)となったときに特定遊技状態となる。そして、この特定遊技状態においては、特別可変入賞球装置15の開閉板19が所定期間(例えば、29秒)あるいは所定個数(例えば、10個)の入賞玉が発生するまで開放する(開放サイクル)ように設定され、その開放している間遊技盤1の表面を落下する打玉を受け止めるようになっている。そして、受け止められた打玉が特定領域に入賞して特定玉検出器20をONすると、開放サイクルの終了後再度上記した開放サイクルを繰り返し、特定領域に入賞玉が入賞する毎に継続権が成立して開放サイクルを最高16回繰り返すことができるようになっている。・・・。」(段落【0018】)、
「・・・特別図柄表示部43?45の・・・。回転ドラム43a・44a・45aの各図柄列(左図柄・中図柄・右図柄)は、図2に示すように、それぞれ「1?15」の15種類の図柄から構成されており、これら左・中・右の図柄には、ランダム2(0?14)が対応して設けられている。大当り図柄の組合せは、図3に示すように、左・中・右の図柄が同一図柄にて揃った組合せであり、この組合せは、ランダム3(0?14)の値に基づいて決定される。また、大当り図柄のうち「1・3・5・7・9」のいずれかで揃った図柄は、確変図柄を構成して確率変動(これを確変ともいう)を発生するようになっている。」(段落【0022】)、
「・・・特別可変表示装置40による特別図柄の変動動作について・・・、特別可変表示装置40の変動動作に・・・、図6(A)に示すような4種類のランダム数が使用されており、これらのランダム数は、大当り判定用のランダム1(0?249)と、大当り以外での全図柄表示用のランダム2(左・中・右の各図柄列毎に0?14)と、大当り図柄配列用のランダム3(0?14)と、リーチ動作用のランダム6(0?19)と、から構成されている。・・・。」(段落【0025】)、
「・・・、図6(B)に示すように、ランダム1から抽出された値が「3」のときは、大当りと判定してランダム3により大当り図柄及び配列を決定し特別可変表示装置40の各特別図柄表示部43?45に表示する。一方、ランダム1から抽出された値が「3」以外のときは、外れと判定してランダム2での抽出値に基づく図柄を外れ図柄として特別可変表示装置40の各特別図柄表示部43?45に表示する。・・・、確率変動時(高確率時)には、ランダム1内の「3・7・79・103・107」の値が大当り決定用のランダム数となっている。」(段落【0026】)、
「・・・、特別図柄の具体的な変動は図7乃至図9のタイムチャートに示す・・・。なお、左・中・右の各図柄列の変動は、図10に示すパターンに基づいて行われる。変動パターンAは、加速→一定速→減速となる変動であり、変動パターンBは、1ステップ当り20mSの一定の変動であり、変動パターンCは、1ステップ当り20mS→24mS→26mSと除々に減速していき最終的に28mSの一定速となる変動であり、変動パターンDは、1ステップ当り28mSの一定の変動である。先ず、図7において、普通可変入賞球装置4に打玉が入賞して始動玉検出器7(図7中には、始動口入賞と記載)がONされ始動信号を導出すると、その始動信号の立ち上がり時に各ランダム1・3からランダム数を抽出してこれらを格納する。その後、始動信号の導出から微少時間(0.132秒)が経過したときに、格納したランダム1の値を読み出して当り外れを判定し、それと同時にランダム2の値を抽出する。なお、このとき、ランダム1の値から当りを判定した場合には、格納したランダム3の読み出しを行う。また、ランダム1・2の抽出に伴いリーチになる場合には、始動信号の導出から0.134?0.150秒後にランダム6の値を抽出するものである。その後、始動信号の導出から0.190秒が経過すると変動パターンAで左図柄列の変動を開始させ、始動信号の導出から0.192秒が経過すると変動パターンAで中図柄列の変動を開始させ(図8参照)、また、始動信号の導出から0.194秒が経過すると変動パターンAで右図柄列の変動を開始させる。そして、左図柄列に対しては、変動開始から6.300秒が経過すると、停止図柄の1図柄手前をセットして0.160秒間変動パターンBで変動させた後、図柄を停止表示させる。右図柄列に対しては、変動開始から6.460秒が経過すると、停止図柄の5図柄手前をセットして0.800秒間変動パターンBで変動させた後、図柄を停止表示させる。また、中図柄列に対しては、図8に示すように、リーチ以外の場合では、変動開始から7.260秒が経過すると、停止図柄の5図柄手前をセットして0.800秒間変動パターンBで変動させた後、図柄を停止表示させる。なお、このような左・中・右の各図柄列の変動において、確率変動時(高確率時)には変動パターンAでの変動時間がそれぞれ2.160秒、3.120秒、2.320秒に短縮される。」(段落【0027】)、
「・・・、リーチ変動の種類は、上記した左・右の各停止図柄によってリーチ図柄が構成された後の中図柄列のみのリーチ変動(リーチ1・2)と、左・中・右の各図柄列を同時に停止表示するリーチ変動(リーチ3)と、に大別される。先ず、左・右の各停止図柄によってリーチ図柄が構成された後の中図柄列のみのリーチ変動(リーチ1・2)について説明する。図8において、リーチ1での中図柄列に対しては、変動パターンAでの変動後、リーチライン上に大当り図柄をセットして2.400秒間変動パターンBで変動させ、その後、0.436?9.620秒間変動パターンCで変動させて図柄を停止表示させる。また、リーチ2での中図柄列に対しては、変動パターンAでの変動後、リーチライン上に大当り図柄をセットして2.400秒間変動パターンBで変動させ、その後、4.468秒間変動パターンCで変動させて図柄を大当り図柄の1つ手前で一旦停止させる。そして、0.480秒間一旦停止した後、変動パターンDで0.560?4.480秒間変動させて図柄を停止表示させる。一方、左・中・右の各図柄列を同時に停止表示するリーチ変動(リーチ3)では、図9に示すように、各図柄を変動パターンAで6.460秒間変動させた時点で中央ラインに「7・7・7」をセットし、その後3.348?7.828秒間変動パターンCで変動させて全図柄を一斉に停止表示させる。ただし、表示結果がハズレとなる場合は、最後に中図柄だけを変動させて左右の停止図柄からずらすようになっている。なお、本実施形態では、リーチ状態(変動)を最終停止図柄(中図柄)以外の図柄が確定した段階で大当りになる可能性がある状態(リーチ1・2)と、全図柄(左・中・右の図柄)が同期して変動する状態(リーチ3)と、をリーチ状態としているが、これに限定するものではない。・・・。」(段落【0028】)、
「・・・。リーチ選択制御の処理プロセスは、図12のフローチャートに示すように、先ず、遊技状態が確率変動中のもの(特別遊技状態)であるか否かを判別する(S1)。S1で確率変動中でないと判別した場合は、次に、始動入賞に伴って導出以前に決定する表示結果が大当り図柄であるか否かを判別する(S2)。S2で表示結果を大当り図柄に決定した場合は、通常時の大当り用リーチ選択テーブルを利用してリーチ選択を行う(S3)。・・・。」(段落【0029】)、
「・・・S1で確率変動中であると判別した場合は、次に、始動入賞に伴って導出以前に決定する表示結果が大当り図柄であるか否かを判別する(S8)。S8で表示結果を大当り図柄に決定した場合は、高確率時の大当り用リーチ選択テーブルを利用してリーチ選択を行う(S9)。・・・。」(段落【0030】)、
「・・・通常時及び高確率時のリーチ選択テーブルは、図11(A)(B)に示すように、「大当り」「ハズレ(±1図柄)」「ハズレ(±1図柄以外)」における各種リーチ1?3へのランダム6の振り分けによって設定されている。具体的に、図11(A)に示す通常時のリーチ選択テーブルおいて、表示結果が大当りとなる場合・・・では、・・・、リーチ1はランダム6の抽出値が「18・19」(2個の乱数)のいずれかのときに選択され、リーチ2はランダム6の抽出値が「12?17」(6個の乱数)のいずれかのときに選択され、リーチ3はランダム6の抽出値が「0?11」(12個の乱数)のいずれかのときに選択される。・・・。」(段落【0031】)、
「・・・、図11(B)に示す高確率時のリーチ選択テーブルおいて、表示結果が大当りとなる場合では、リーチ1はランダム6の抽出値が「19」(1個の乱数)のときに選択され、リーチ2はランダム6の抽出値が「14?18」(5個の乱数)のいずれかのときに選択され、リーチ3はランダム6の抽出値が「0?13」(14個の乱数)のいずれかのときに選択される。・・・。」(段落【0032】)、
「・・・、通常時におけるリーチ3の大当り信頼度は、・・・計算式より13.1%となる。同様にして算出した通常時及び高確率時におけるリーチ1?3毎の大当り信頼度は、図11(A)(B)に示す通りである。即ち、通常時におけるリーチ1?3の大当り信頼度は、それぞれ1.4%、5.0%、13.1%となり、高確率時におけるリーチ1?3の大当り信頼度は、それぞれ3.5%、16.8%、51.7%となる。これによって、各種リーチ1?3における大当り信頼度の比率は、通常時で1:3.6:9.4となる一方、高確率時で1:4.8:14.8となる。・・・、本実施形態では、リーチ3を大当り信頼度の高いスーパーリーチとして設定すると共に、確率変動(特別遊技状態)に伴う高確率時とそれ以外の通常時とで各種リーチ1?3における大当り信頼度の比率を異なって設定している。このため、特別遊技状態中には、各種リーチ1?3に対する大当りの期待感に変化を持たせることができ、ひいては遊技の興趣向上を可能にしている。また、・・・、特別遊技状態中では、スーパーリーチの大当り信頼度の比率を通常時に比べて大幅に向上しているため、スーパーリーチに対する期待感を強烈にアピールすることができる。・・・。」(段落【0034】)、
「・・・。図17(A)において、特別可変表示装置40(同図中には、条件装置と記載)の各特別図柄表示部43?45に「1」「3」「5」「7」「9」のいずれかの確変図柄が揃った大当り図柄が導出されると、これに基づいて確変制御が実行される。確率変動の具体的な制御は、確変図柄による特定遊技状態(条件装置の作動)の終了を契機に当り確率を高確率に変動させ、・・・る。」(段落【0039】)、
「・・・、本実施形態では、各種リーチ1?3に対して大当り信頼度を異なって設定すると共に、特別遊技状態(高確率時)では、リーチ3とリーチ1・2との信頼度の比率差を通常時に比べて大きく設定している。このため、特別遊技状態中には、各種リーチ1?3に対する大当りの期待感に変化を持たせることができ、ひいては遊技の興趣向上を可能にしている。・・・。」(段落【0040】)、
「・・・、上記実施形態では、リーチ3をスーパーリーチとするために前記図11(A)(B)に示すリーチ選択テーブルを用いているが、このリーチ選択テーブルにおけるランダム6の振り分け設定に限定するものではなく、例えば図18あるいは図19に示すリーチ選択テーブルを用いることで、リーチ3をスーパーリーチに設定してもよい。即ち、図11(A)(B)のリーチ選択テーブルでは、リーチ3に対して大当り用の乱数(ランダム6)を多く振り分けると共に、ハズレ用の乱数を少なく振り分けることで、大当りの信頼度を高く設定しているが、図18に示すように、ハズレ用の乱数を均等に振り分ける一方でリーチ3に大当り用の乱数を多く振り分けたり、図19に示すように、大当り用の乱数を均等に振り分ける一方でリーチ3にハズレ用の乱数を少なく振り分けることで、大当りの信頼度を高く設定することも可能である。」(段落【0042】)、
「・・・、信頼度を高く設定する方法としては、ハズレのリーチ選択テーブル数のみを少なくする方法、大当りのリーチ選択テーブル数のみを多くする方法、ハズレのリーチ選択テーブル数を少なくし、且つ大当りのリーチテーブル数を多くする方法のうちいずれかであればよい。また、上記実施形態では、最も信頼度の高い(最も惜しいハズレになり易い)リーチ3を通常時よりも特別遊技状態中(確率変動中)の方がその信頼度が高くなるように設定したが、この構成に限定するものではない。例えば、リーチが5種類あって、そのうち信頼度の高い方から2種類のリーチにおいて、通常時よりも特別遊技状態中の方がその信頼度が高くなるように設定したり、信頼度が2番目に高いリーチに対してのみ、特別遊技状態中の信頼度を向上させるものであってもよい。また、リーチの変動態様は、上記実施形態のものに限らず、例えば、1図柄ずつ一旦停止して変動するもの等でもよい。」(段落【0043】)、
「・・・、特別遊技状態を特別図柄・・・の確率変動制御としているが、これに限定するものではなく、遊技者に有利となる遊技制御を特別遊技状態とすればよい。例えば、特別図柄・・・に対しての時間短縮制御又は確率変動制御、電役(例えば、普通可変入賞球装置)の開放期間の延長制御、・・・を特別遊技状態と・・・してもよい。・・・。」(段落【0055】)、
との記載が認められる。これらの記載によれば、引用例2には、

「特定表示結果の導出率である大当り信頼度を、通常時におけるリーチ変動態様(リーチ1?3)毎にそれぞれ例えば1.4%、5.0%、13.1%と異ならせるとともに、高確率時におけるリーチ変動態様(リーチ1?3)毎にそれぞれ例えば3.5%、16.8%、51.7%と異なって設定し、高確率時であるか否かによっても異ならせたこと。」

との技術的事項(以下「引用例2技術」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「特別図柄34aを第1表示部34A、第2表示部34B、第3表示部34Cに表示する」、「特別図柄表示装置34」、「遊技球が第1種始動口41へ入賞すると」、「ROM85に記憶された」、「3種類のリーチ態様とリーチではない通常の停止態様」、「変動をそれぞれ開始し」、「予め設定された時間が経過すると」、「第1表示部34A・第2表示部34B・第3表示部34Cの順に変動が停止し」、「その停止図柄の組合せ」、「所定の大当たり図柄となった場合に」、「大入賞口51を約29.5秒開放して、遊技球の非常に入賞し易い状態となる」、「特定図柄」、「次回の大当たりの発生し易い高確率状態へ移行する」、「パチンコ機10」、「一旦停止した」、「そこから再び図柄を動かすために再変動乱数内の値を抽出しリーチ態様を決定する機能」、「特定図柄と異なる通常図柄」および「特定図柄が停止される確率」は、本願補正発明の「複数の図柄を表示可能な」、「図柄表示部」、「所定条件の充足により」、「予め記憶されている」、「複数種類の図柄変動パターン」、「変動し」、「しかる後に」、「順次確定表示となり」、「確定表示となった図柄の組み合わせ」、「予め設定された大当たり図柄である場合には」、「通常の遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態が生起する」、「特定の大当たり図柄」、「大当たりの生起確率を高くする高確率状態が生起する」、「遊技機」、「仮停止表示させた」、「図柄を再変動させる再抽選機能」、「特定の大当たり図柄と異なる大当たり図柄」および「特定の大当たり図柄が確定表示される割合」にそれぞれ相当すると認められる。また、引用例1発明の「特別図柄表示装置34に大当たり図柄が停止される場合(A)」と、本願補正発明の「図柄表示部に大当たり図柄が確定表示される場合のうちの少なくとも一部の場合(B)」において、(B)は(A)を包含するものであり、集合論で(B)⊃(A)の関係にあるから、(A)は(B)に相当すると認められる。
したがって、両者は、

「複数の図柄を表示可能な図柄表示部が設けられており、所定条件の充足により、予め記憶されている複数種類の図柄変動パターンのうちの一つの図柄変動パターンを選択し、該図柄変動パターンにしたがって図柄表示部の図柄が変動し、しかる後に順次確定表示となり、確定表示となった図柄の組み合わせが、予め設定された大当たり図柄である場合には、通常の遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態が生起するとともに、確定表示となった図柄の組み合わせが、特定の大当たり図柄である場合には、特別遊技状態が終了した後に、大当たりの生起確率を高くする高確率状態が生起する遊技機であって、
図柄表示部に大当たり図柄が確定表示される場合に、確定表示される大当たり図柄と同一あるいは異なる大当たり図柄を仮停止表示させた後に、図柄を再変動させる再抽選機能を有しており、
その再抽選時に前記特定の大当たり図柄と異なる大当たり図柄が仮停止された後に特定の大当たり図柄が確定表示される割合である成り上がり率を、前記図柄変動パターン毎にそれぞれ異ならせた遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1、特定の大当たり図柄で確定表示となった場合に、特別遊技状態が終了した後の変動パターンの選択において、本願補正発明では、「図柄変動パターンのうち変動時間の短いものの選択率を通常の遊技状態よりも高くする」ようにしているのに対して、引用例1発明ではそのような構成になっていない点、

相違点2、図柄変動パターン毎の成り上がり率の設定において、本願補正発明では、「高確率状態であるか否かによっても異ならせた」のに対して、引用例1発明ではそのような構成になっていない点、

(4)判断
上記相違点について検討する。

相違点1について、一般的に、確率変動中にリーチ変動を行う場合、変動時間の短い変動態様の選択率を高く設定することが周知{一例として、特開平10-33772号公報(段落【0053】、【0054】等)参照}であり、引用例1発明の停止図柄の組合せが、特定図柄である場合に、遊技球の非常に入賞し易い状態が終了した後に、第1種始動口41への入賞によりそれぞれの変動時間が異なる3種類のリーチ態様のうちの一つのリーチ態様を選択するに際し、前記周知のものを適用して本願補正発明のように構成した点に格別の発明力を要したとはいえず、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である。

相違点2について、前記引用例2技術には、特定表示結果の導出率である大当り信頼度を、通常時におけるリーチ変動態様毎にそれぞれ異ならせるとともに、高確率時におけるリーチ変動態様毎にそれぞれ異なって設定し、高確率時であるか否かによっても異ならせたことが記載されており、本願補正発明は、これら引用例1発明および引用例2技術を寄せ集めたに過ぎなく、またその寄せ集めにあたり格別の創意工夫を要したともいえず、当業者が必要に応じて容易に想到し得たものである。

そして、本願補正発明が奏する効果は、引用例1発明、引用例2技術および周知技術から当業者が予測し得るものであって格別のものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用例1発明、引用例2技術および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成16年1月23日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成15年4月3日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「複数の図柄を表示可能な図柄表示部が設けられており、所定条件の充足により図柄表示部の図柄が変動を開始し、しかる後に順次確定表示となり、確定表示となった図柄の組み合わせが、予め設定された大当たり図柄である場合には、通常の遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態が生起するとともに、確定表示となった図柄の組み合わせが、特定の大当たり図柄である場合には、特別遊技状態が終了した後に、通常の遊技状態よりも図柄の変動時間を短縮するとともに大当たりの生起確率を高くする高確率状態が生起する遊技機であって、
図柄表示部に大当たり図柄が確定表示される場合のうちの少なくとも一部の場合に、確定表示される大当たり図柄と同一あるいは異なる大当たり図柄を仮停止表示させた後に、図柄を再変動させる再抽選機能を有しているとともに、
その再抽選時に前記特定の大当たり図柄と異なる大当たり図柄が仮停止された後に特定の大当たり図柄が確定表示される割合である成り上がり率が、図柄の変動開始から仮停止表示までの変動態様により異なり、
且つ、前記高確率状態であるか否かによっても異なることを特徴とする遊技機。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1発明、引用例2技術および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明、引用例2技術および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1発明、引用例2技術および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-05-10 
結審通知日 2007-05-15 
審決日 2007-05-28 
出願番号 特願2000-78701(P2000-78701)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塩崎 進池谷 香次郎  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 林 晴男
土屋 保光
発明の名称 遊技機  
代理人 石田 喜樹  

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