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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H04N
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H04N
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する H04N
管理番号 1161126
審判番号 訂正2007-390055  
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2007-05-10 
確定日 2007-07-04 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3015183号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3015183号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正した明細書のとおり訂正することを認める。 
理由
第一 経緯

特許第3015183号(本件特許という)の経緯は、以下のとおりである。
出願日 :平成3年12月16日
(特願平3-351793号)
設定登録の日:平成11年12月17日
(権利者:富士写真フイルム株式会社、請求項の数:2) 移転登録の日:平成19年3月22日
(権利者:富士フイルム株式会社、請求項の数:2)

なお、本件特許については、これまでに特許無効審判の請求があったところ、その後、同請求は取り下げられた経緯がある。

第二 請求

1.請求の趣旨
本件請求は、特許第3015183号に係る願書に添付した明細書を、審判請求書に添付した訂正した明細書のとおりに訂正することを求めるものである。

2.訂正後の特許請求の範囲
審判請求書に添付した訂正した明細書(訂正明細書という)の特許請求の範囲の記載は下記のとおりである。
記(訂正明細書の特許請求の範囲)
【請求項1】 カメラに設けられた第1のコネクタに接続されたメモリ・カードから圧縮画像データを読取りデータ伸張を施す伸張手段、および
上記伸張手段によって伸張された画像データを再生する再生処理手段、を備えたディジタル電子スチル・カメラにおいて,
外部装置を接続するためのカメラに設けられた第2のコネクタを通して外部装置から送信される圧縮画像データを受信する受信手段、および
外部装置から与えられた制御データに応じて、上記受信手段によって受信された圧縮画像データを上記メモリ・カードに記録し、上記圧縮画像データを上記伸張手段によりデータ伸張するようにカメラを制御する制御手段、
を備えたディジタル電子スチル・カメラ。
【請求項2】 上記伸張手段によってデータ伸張された画像データを記憶するメモリ、および
上記メモリに記憶されている画像データを上記第2のコネクタを通して外部装置に送信する送信手段、
をさらに備えた請求項1に記載のディジタル電子スチル・カメラ。

第三 当審の判断

1.訂正の内容
本件請求に係る訂正(本件訂正という)の内容は、以下のとおりである。
(a)訂正事項1
請求項1に「記録媒体」(訂正前)とあるのを、「メモリ・カード」(訂正後)と訂正する。
(b)訂正事項2
請求項1に「上記受信手段によって受信された圧縮画像データを」(訂正前)とあるのを、「外部装置から与えられた制御データに応じて、上記受信手段によって受信された圧縮画像データを上記メモリ・カードに記録し、上記圧縮画像デーを」(訂正後)と訂正する。

2.訂正の目的
(a)訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載されている「記録媒体」につき、その種別を「メモリ・カード」と限定するものである。特許請求の範囲の減縮に該当する。
(b)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項1に記載されている「受信手段によって受信された圧縮画像データを・・・伸張する」につき、その過程を「外部装置から与えられた制御データに応じて、・・・メモリ・カードに記録し、・・・伸張する」と限定するものである。特許請求の範囲の減縮に該当する。
(c)本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とする。

3.訂正の適合性
(3-1)訂正の範囲
(a)訂正事項1
記録媒体が「メモリ・カード」であることは願書に添付した明細書及び図面(特許明細書という)の段落0012、図1および図2などに記載されている。
補正事項1は、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてする訂正である。
(b)訂正事項2
制御手段が「外部装置から与えられた制御データに応じて、上記受信手段によって受信された圧縮画像データをメモリ・カードに記録(し)」することは、下記のとおり、特許明細書の段落0042に記載されている。
もっとも、段落0042には、同段落に記載の「外部装置31から送信される圧縮データをメモリ・カード30に書込むよう命ずる制御データ」が外部装置31から与えられると明示的には記載されていない。しかし、段落0042を囲む段落0041から段落0045までの記載は、圧縮画像データと伸張画像データのそれぞれにつきその送信と受信について各々記載したものであり、しかも、段落0041、段落0042及び段落0043のいずれにも「制御データ」が外部装置31から与えられるとの明示的記載があることから、段落0042に記載の「制御データ」も外部装置31から与えられると理解するのが自然である。
補正事項2は、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてする訂正である。

〈段落0041、圧縮データ(メモリ・カード)の送信〉
「メモリ・カード30に記録されている圧縮データを読出して送信するよう外部装置31から制御データが出力され,送受信回路60,メモリ・カードおよび通信インターフェイス40を経て全体制御部10に与えられる。全体制御部10はこの制御データに応答してメモリ・カード30に記録されている圧縮データを読出すよう制御し,圧縮データはメモリ・カードおよび通信インターフェイス40,送受信回路60を経て外部装置31に与えられる。これにより外部装置31において一旦ファイリング処理が行なわれる。」
〈段落0042、圧縮データ(外部装置)のメモリ・カードへの書込み〉
「次に外部装置31から送信される圧縮データをメモリ・カード30に書込むよう命ずる制御データが,ディジタル電子スチル・カメラ20の全体制御部10に与えられる。この制御データに対する応答メッセージが全体制御部10から外部装置31に与えられると,外部装置31からメモリ・カード30に圧縮データが与えられ記録される。」
〈段落0043、伸張データ(メモリ・カード)の送信〉
「さらにメモリ・カード30に記録されている圧縮データを伸張して外部装置31に送信することを命ずる制御データが,外部装置30から全体制御部10に与えられる。全体制御部10によってこの制御データが受信されると,メモリ・カード30に記録されている圧縮データが読出され圧縮伸張回路17においてデータ伸張が施される。伸張された画像データはY/C処理回路21,メモリ・カードおよび通信インターフェイス40,送受信回路60を経て外部装置31に与えられる。」
〈段落0044、伸張データ(外部装置)のメモリ・カードへの書込み〉
「外部装置31に伸張された画像データが与えられることにより,外部装置31において画像データの加工処理が行なわれる。画像データの加工処理が終了すると,外部装置31から送信される画像データを受信するよう命ずる制御データが外部装置31からディジタル電子スチル・カメラの全体制御部10に与えられる。この制御データに対する応答メッセージが全体制御部10から外部装置31に与えられると,外部装置31から加工済の画像データが出力され送受信回路60,メモリ・カードおよび通信インターフェイス40,Y/C処理回路21を経てフレーム・メモリ16に与えられ記憶される。」
〈段落0045、同〉
「フレーム・メモリ16に記憶された加工済の画像データは圧縮伸張回路17に与えられデータ圧縮が施されてメモリ・カード30に記録される。これによりメモリ・カード30に加工済の圧縮画像データが記録されることとなる。」
(c)本件訂正は、特許法第126条第3項の規定に適合する。

(3-2)特許請求の範囲の拡張等
訂正事項1および訂正事項2のいずれについても、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものであるとする理由を発見しない。
本件訂正は、特許法第126条第4項の規定に適合する。

(3-3)独立特許要件
本件訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とすることは前記のとおりであるところ、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明(請求項1および請求項2に係る各発明、本件訂正発明という)のいずれについても、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
本件訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

なお、本件特許については特許無効審判の請求(無効2005-80034号)があった経緯があるので、以下、これについて見ておく。同請求における主張(無効理由)は、概要、以下のとおりである。
なお、下記記載中、「甲1」、「文献1」などとあるのは、それぞれ、特許無効審判における証拠の番号、本件審判請求書に添付した文献の番号を示す。
〈理由1〉
条文:特許法第29条の2
証拠:特願平3-340035号(甲1、文献1)
〈理由2〉
条文:特許法第29条の2
証拠:特願平3-125269号(甲2、文献2)
〈理由3〉
条文:特許法第29条第1項第3号、同条第2項
証拠:特開平3-88591号公報(甲3、文献3)
〈理由4〉
条文:特許法第29条第1項第3号、同条第2項
証拠:特開平3-162088号公報(甲4、文献4)
〈理由5〉
条文:特許法第29条第2項
証拠:特開平2-309874号公報(甲5、文献5)
特開平3-272289号公報(甲6、文献6)

〈理由1について〉
甲1出願の願書に最初に添付した明細書及び図面(甲1明細書という。特開平5-153453号公報参照)には、以下の記載がある。
(a)圧縮画像データの受信・記録
(a1)記載
「電子スチルカメラ相互等の画像データの送受/記録再生機能を有する通信手段内蔵記録再生装置に関する」(段落0001)
「次に、受信側機能においては、当該回線から受信した情報が変換・圧縮されたままの形態でRAM19にロードされる。RAM19に一旦ロードされた情報は、次の情報がロードされるか又はリセットされるまで保持される。そして、RAM19にロードされた画像情報は、圧縮・伸張ユニット8により伸張・逆変換処理されえRAM6にロードされる。このRAM6から読み出された画像データは、上記と同様にD/A変換され、EVF17に供給され、モニタリング可能にする。操作者は、このモニタリングにより、回線から受け一旦RAM19に保持されている情報がいずれの媒体に記録しておくべきものかの判断を行うことができる。モニタリングされた情報がいずれの媒体に記録しておくべきものかの判断がなされ、操作者がその媒体をカメラに装填して“記録”のスイッチ操作を行うと、この操作に応動してRAM19に保持されている画像情報が読み出され、変換・圧縮されたままの形態で上記装填された媒体の選択された番地に記憶される。」(段落0017)
「以上のように構成することによって、受信側では、受信画像データ内容をモニタで確認でき、確実な画像送信が可能となる。モニタにより受信画像内容が確認されると、操作部14のスイッチ操作により、RAM19’に格納されている画像データが読み出され、マイコンの動作に基づき、カードインターフェース回路10’を介してICカード11’に記録される。」(段落0012)
「以上説明した本実施例による装置では、ICカードが挿入されていなくても画像データの受信を可能とするためにメモリ(RAM19)をフレームメモリ(RAM6)以外に有するため、受信して、画像を確認してから、画像の種類に適したICカードで、画像データを保存することが可能となる。」(段落0025)
(a2)小括
上記各記載によれば、甲1明細書に記載された発明は、外部から受信した圧縮画像データをRAM(RAM19)に一旦格納し、これを再生表示した画像を操作者が確認し操作者が「記録」の指示を与えたときに、圧縮画像データをRAM(RAM19)からICカードに保存するものである。これにより、ICカードが挿入されていなくても画像データの受信が可能であり、受信して画像を確認してから、画像の種類に適したICカードに保存することも可能となる。
甲1明細書には、本件訂正発明の「外部装置から送信される圧縮画像データを受信する・・・受信された圧縮画像データをメモリカードに記録し・・・ディジタル電子スチル・カメラ」に相当する構成は記載されているものの、圧縮画像データのICカードへの保存は「操作者が行う”記録”のスイッチ操作に応動して」(段落0017)するものであり、これを「外部装置から与えられた制御データに応じて」とする本件訂正発明の構成とは異なるものである。
(b)モデムモード、制御用データ
(b1)記載
「図1の構成において、データを伝送するデータ伝送モードでは、セレクタ9がRAM19側に接続され、ICカード11からカードインタフェース10を介して読み出されたデータがセレクタ9に送出される。セレクタ9を介して読み出された画像データは、RAM19に書き込まれるとともに、圧縮・伸長ユニット8で伸長され、セレクタ7介してRAM6に書き込まれる。RAM6から読み出された画像データは、セレクタ5を通り、再生プロセス部15で上記再生処理が施された後、D/Aコンバータ16でアナログ信号に変換されてEVF17にモニタ出力され、これから伝送する映像内容の確認を可能とする。
モニタで伝送映像内容を確認して、伝送指示信号が操作部14を介してシステム制御回路12に送出されると、システム制御回路12のマイコンがモデム(図示せず)を通じて相手の電話番号をダイヤルし、相手が応答したことを確認してから制御用データ、画像データを伝送する。画像データは、RAM19から読み出され、セレクタ9及びシステム制御回路12を介して相手側に送出される。」(段落0010)
「図2には、上記送信側カメラと受信側カメラとがモデムと公衆回線により接続されている構成図が示されている。・・・・かかるモデムを用い公衆回線を介する伝送モード(以下、モデムモードと称する)においては、モデムに対して相手の電話番号、パスワード、通信開始等の制御コード、実際の(圧縮)画像データ、属性データ等を送出する。また、モデムを用いた場合には、回線状況により通信を待たされることがあり、RTS(データ要求信号)、CTS(データ送出信号)等を用いてデータ送出を停止する制御も必要となる。そのため、データ伝送速度は、上限があり、通常、1,200?2、400bps程度に設定されている。」(段落0013)
「図9に示す如く、モデム伝送モードに入ると、先ず、モデムがスタンバイOK状態にあるか否かが判定され(ステップS18)、モデムスタンバイOK状態に至ると、伝送先である相手先の電話番号をダイヤルし(ステップS19)、応答の有無を判定する(ステップS20)。応答がなければ、相手側話中等で回線が接続されていないのであるから、1分間タイマを動作させ(ステップS21)、ステップS19の相手先ダイヤル動作により、リダイヤル動作させる。ステップS20において、応答があったときには、パスワードを送信し(ステップS22)、パスワードがOKか否かが判定される(ステップS23)。パスワードOKであれば、データを1バイトずつ送信し(ステップS24)、受信終了の判定(ステップS25)、データ終了の判定を行い(ステップS26)、データ終了でなければ、ステップS24の処理に戻る。」(段落0021)
(b2)小括
上記各記載によれば、送信側カメラと受信側カメラとがモデムと公衆回線により接続される伝送モード(モデムモード)においては、モデムに対して、相手の電話番号、パスワード、通信開始等の制御コード、実際の(圧縮)画像データ、属性データ等を送出し、モデムを通じて相手の電話番号をダイヤルし、相手が応答したことを確認してから、制御用データ、画像データを伝送する。具体的には、伝送先である相手先の電話番号をダイヤルし(S19)、応答があったときにはパスワードを送信し(S22)、パスワードOKであればデータを1バイトずつ送信する(S24)。ここで、「通信開始等の制御コード」と「制御用データ」との用語が見える。
ところで、「通信開始等の制御コード」については「通信開始」の類推から「通信を制御するためのデータ(通信停止、通信中断、通信再開等)」であると理解するのが妥当であるところ、本件訂正発明の「制御データ」は「カメラを制御するためのデータ(受信された圧縮画像データをメモリ・カードに記録するよう命ずる)」である。甲1明細書の「通信開始等の制御コード」が本件訂正発明の「制御データ」と同一であると言うことはできない。
また、「制御用データ」についてはその具体的内容を示す記載がない。「通信開始等の制御コード」との同一性を議論するまでもなく、本件訂正発明の「制御データ」と同一であると言うことはできない。
(c)カメラ同志モード
(c1)記載
「図3は、モデムや公衆回線を介さず、カメラ同志で直接伝送を行うカメラ同志伝送モード(以下、カメラ同志モードと称する)の接続構成図で、ケーブルを介してカメラ30と40のシリアルインタフェース340と440間が接続される。このモードでは、上記モデムモードと異なり相手の状況が固定化されているので、高速データ転送が可能となる。また、電話番号等の送出も不要であるからRTS,CTS等を用いずに転送速度を上げて高速伝送処理に切り換えることが可能となり、実質的に9,600?19,200bps程度までの伝送速度設定が可能となる。」(段落0014)
(c2)小括
上記記載によれば、カメラ同志で直接伝送を行うカメラ同志モードでは、モデムモードと異なり、電話番号等を不要とし、RTS,CTS等の用いないとするが、「制御用データ」についてその具体的内容を示す記載がないことはモデムモードの場合と同様である。
(d)周知の事項
本件訂正発明の「外部装置から与えられた制御データに応じて・・・受信された圧縮画像データをメモリ・カードに記録(し)」することは周知の事項であり甲1明細書に記載されているに等しい、とも言えない。なお、後記甲11(文献11)には、電子スチルカメラ16にダビングケーブル22を接続し、外部装置たる再生装置2からの指令(コントロール信号入出力11e、20e)により再生装置2からビデオ信号を受信することが記載されているが、これはアナログ・ビデオ信号を取り扱う電子スチルカメラに関する技術であり、ディジタル電子スチル・カメラに関するものではない。
(e)まとめ
以上、本件訂正発明が甲1明細書に記載された発明と同一であると言うことはできない。

〈理由2について〉
(a)記載
甲2の願書に最初に添付した明細書及び図面(甲2明細書という。特開平4-328965号公報参照)には、以下の記載がある。
〈記録〉
「図1は、本発明による情報処理装置の一実施例を示し電子スチルカメラへの適用例の構成ブロック図である。・・・こうして、圧縮/伸張回路8で圧縮され、符号化された画像データは、スイッチ10およびカードインタフェース回路11を介してSRAM等のICカード12に例えばDOSフォーマットで記録される。スイッチ5,7および10、符号化制御回路9、カードインタフェース回路11等を含め、カメラ全体の動作は、システム制御回路13により制御されている。」(段落0009、段落0010)
〈再生〉
「以上のようにしてICカード12に記録された画像を再生する場合は、スイッチ7と10は、記録時と同じ状態に設定され、スイッチ5の設定状態を切り替える。その動作は、ICカード12からカードインタフェース回路11を介して読み出された画像データは、スイッチ10を通り圧縮/伸張回路8で上述圧縮処理とは逆の処理である伸張処理が施された後、スイッチを介して、RAM6に記録される。RAM6からは、システム制御回路13から供給される読出アドレス信号に基づいて1枚の画像データが読み出され、スイッチ5を介して再生プロセス回路16に供給される。再生プロセス回路16で線形補間処理等の処理が施された画像データは、D/Aコンバータ17でアナログ信号に変換されて、ディスプレイに映像信号として出力される。」(段落0011)
〈コピー〉
「さて、ICカード12の記録画像データを他のICカードにコピーするモードの場合には、自動的にスイッチ7と10の状態を切り替え設定する。
すなわち、電子スチルカメラに装着されているコピーされるコピー元のICカードからカードインタフェース回路11を介して読み出した画像データをスイッチ10とスイッチ7を介するバイパス回路を経由して直接的にRAM6に記録する。このような、スイッチ7と10の設定状態により、ICカードから読み出した画像データは圧縮/伸張回路8を経由しないので、圧縮されたままの画像データで記録されることになる。
その後、RAM6から読み出した画像データを、スイッチ7と10を介してカードインタフェース回路11に送出し、カメラに装着されているコピー先ICカードに書き込む。」(段落0012)
〈外部機器インタフェース部〉」
「また、外部機器インタフェース部15は、システム制御回路13を介してパソコン等の外部機器に対するデータの入出力を行うもので、圧縮後の画像データや伸張後の画像データ等のデータの授受が行われ、例えばRS232CやSCSIフォーマットでの信号授受が行われる。」(段落0010)
(b)まとめ
甲2明細書には、外部機器インタフェース部15を介してパソコン等の外部機器から圧縮後の画像データや伸張後の画像データを受信しICカード12に記録することは記載されているが、その受信・記録の動作が本件訂正発明のように「外部装置から与えられた制御データに応じて」とするものであるとの趣旨の記載はない。
本件訂正発明が甲2明細書に記載された発明と同一であると言うことはできない。

〈理由3、理由4及び理由5について〉
本件訂正発明が備える下記の構成(主要構成)は、甲3(文献3)から甲6(文献6)までの各刊行物のいずれにも記載されていない。また、各刊行物に記載された事項から導かれるものでもない。
本件訂正発明は、各刊行物に記載された発明であるとも各刊行物に記載された発明から容易に発明をすることができたものであるとも言うことができない。

外部装置から送信される圧縮画像データを受信するディジタル電子スチル・カメラ。

(a)特開平3-88591号公報(甲3、文献3)
(a1)甲3刊行物には「ディジタル回線を介して受信した圧縮画像情報を圧縮画像情報のまま記録再生装置に記録する」ことが記載されている。
しかし、その圧縮画像情報の受信・記録は「テレビ電話装置」におけるものであって、「ディジタル電子スチル・カメラ」におけるものではない。
また、甲3刊行物の発明の目的は、専ら「テレビ電話装置」の改善(画像ファイリング機能の付加、検索容易)に止まるものであり、このような目的と「ディジタル電子スチル・カメラ」など他の装置との関連を示唆する記載もない。
さらに、甲3刊行物のテレビ電話装置はカメラ7を備えるところ、カメラ7の出力は、その後圧縮符号化され送信画像情報として使用されることに照らせば、既に完成した画像情報であることが認められる。そうすると、カメラ7側から見て、テレビ電話装置(カメラ7を除く)は一種の外部装置として捉えるべきものである。
以上によれば、仮に、甲3刊行物記載の「テレビ電話装置」の構成全体を本件訂正発明の「ディジタル電子スチル・カメラ」に対応させたとしても、その「ディジタル回線を介して受信した圧縮画像情報を圧縮画像情報のまま記録再生装置に記録する」構成を「ディジタル電子スチル・カメラ」に適用するための動機付けを欠いていると言うべきである。
なお、刊行物1はカメラ7の内部構造につき何ら記載しておらず、仮に、カメラ7を本件訂正発明の「ディジタル電子スチル・カメラ」に対応させたとしても、カメラ7の構成を本件訂正発明のように構成するための動機付けを欠いている。
(a2)甲3刊行物に「ディジタル回線を介して受信した圧縮画像情報を圧縮画像情報のまま記録再生装置に記録する」ことが記載されていることは前記のとおりであるところ、甲3刊行物には、その圧縮画像情報の受信・記録を、本件訂正発明のように「外部装置から与えられた制御データに応じて」することについても記載がない。
もっとも、甲3刊行物には「記録再生装置15に対する各種動作モードの制御は、操作部11からの入力指令に基づいてシステム制御部2から発っせられるモード制御信号によってコントロールされたり、あるいは制御チャネル若しくは情報チャネルを利用して伝送された制御信号に基づいてコントロールされるものとする。」(3頁右上欄4行?12行)との記載がある。
しかし、記録再生装置15に対する記録は、「索引情報として・・・指定すると、このファイルに対応した番地・・・が自動的に宛がわれ・・・そして、この番地・・・の画像領域に記録される」(3頁左下欄16行?右下欄4行)ものであり、事前に索引情報を生成する必要があるところ、その索引情報については「操作者が操作部11の記録スイッチを選択することにより・・・表示部6上に表示される」(3頁右上欄20行?3頁左下欄3行)ことにより「索引情報は操作部11よりキー入力で挿入削除及び選択が可能である」(3頁左下欄3行?5行)とされる一方、索引情報の入力の催促、索引情報の入力などが外部から制御されることなどについては一切記載がない。すなわち、記録に必要な索引情報はテレビ電話装置側で指定されると理解され、したがって、「記録再生装置15に対する各種動作モードの制御」は「操作部11の操作」とは独立した制御であり「制御チャネル若しくは情報チャネルを利用して伝送された制御信号」のみに基づいてコントロールされる、と理解することはできない。
したがって、上記記載の「制御信号」が、圧縮受信画像情報を記録再生装置15に記録することを命ずる旨の制御信号であると言うことはできない。

(b)特開平3-162088号公報(甲4、文献4)
甲4刊行物には「端末装置」に関し、「音声情報や動画像情報を加えた圧縮されたメッセージを受信し圧縮されたまま蓄積する」ことが記載されている(3頁左上欄6行?7行、右下欄19行?左下欄8行、図7)。
しかし、ここでの「端末装置」は「電子メール」、「電子掲示板」、「テレビ電話」である。甲3刊行物と同様に、「ディジタル電子スチル・カメラ」に適用するための動機付けを欠いている。

(c)特開平2-309874号公報(甲5、文献5)
甲5刊行物には、電子スチルカメラに関し、「インターフェースコネクタ51から画像データが入力された場合には・・・画像データは・・・RAM47に書き込まれ・・・RAM47に書き込まれた一画面分の画像データは、ディジタル信号処理回路53により磁気ディスク23に記録可能なディジタル画像信号に加工され・・・FM変調され・・・磁気ディスク23に記録される」(3頁右上欄17行?左下欄12行)ことが記載されている。
しかし、インターフェースコネクタ51から入力される画像データは「圧縮画像データ」ではなく、したがって「伸張手段」を備えるものでもない。本件訂正発明のように「外部装置から送信される圧縮画像データを受信する」ことについて記載はない。
また、磁気ディスクに記録されるのはFM変調されたアナログ信号であり、甲5刊行物の電子スチルカメラは基本的にアナログ・ビデオ信号を取り扱うこと前提とするものである。したがって、画像データの圧縮や伸張という概念は存在しないので、「インターフェースコネクタ51から入力される画像データ」を本件訂正発明のように「圧縮画像データ」とすることの動機付けを欠くと言うべきである。

(d)特開平3-272289号公報(甲6、文献6)
甲6刊行物には、「電子スチルカメラ」に関し、「被写体像は、この撮像素子1で映像信号に変換され・・・データ圧縮部6によって圧縮された画像データは、記録部7を通じて記録媒体8(注:メモリカード等)に記録される」(2頁右下欄2行?16行)とした上で、「一駒再生を行なう時は・・・画像圧縮データが記録媒体8から読み出され・・・逆量子化回路13と逆DCT回路14とを通じて画像が復元され・・・TVモニタ33に表示される」(4頁左下欄17行?右下欄11行)との一駒再生、および、「連写の再生・・・の場合・・・連写撮影の局部復号器27の動作とまったく同じ動作で、連写の再生が行われる」との連写再生や、「磁気ディスクや光ディスク、またデジタルVTR等の電子アルバム装置60に移し変えるときは、再度フレーム内の圧縮(ADCT)を・・・行なってからマスストレージ35に記録する。」(5頁左上欄5行?9行)との移し変えなどの動作をそれぞれ行うことが記載されている。
甲6刊行物には、圧縮された画像データをメモリカードに記録すること、圧縮された画像データを復号した後外部装置に出力することまでは記載されているが、本件訂正発明のように「外部装置から送信される圧縮画像データを受信する」ことについて記載はない。

(e)その他
特許無効審判では、さらに、甲7(文献7)から甲50(文献50)までの証拠の提出があった。
このうち、甲7(文献7)から甲14(文献14)まで、甲36(文献36)及び甲50(文献50)は、それぞれ、「電子カメラ」、「スチルビデオカメラ」、「ディジタル電子スチルカメラ」などに関するものの、いずれにも、「外部装置から送信される圧縮画像データを受信する」ことについて記載がない。
残る甲15(文献15)から甲35(文献35)まで、及び、甲37(文献37)から甲49(文献49)までは、「ディジタル電子スチルカメラ」に関するものではない。この内いくつかには、「外部装置から送信される圧縮画像データを受信する」ことについて記載があるが、甲3刊行物と同様に、「ディジタル電子スチル・カメラ」に適用するための動機付けを欠いている。
なお、特開平2-12684号公報(甲11、文献11)に、電子スチルカメラ16にダビングケーブル22を接続し、外部装置たる再生装置2からの指令(コントロール信号入出力11e、20e)により再生装置2からビデオ信号を受信することが記載されていることに鑑み、同公報を中心に据え「外部装置から与えられた制御データに応じて」を一致点としビデオ信号の性状を相違点とする論の試みも考えられるが、前記のとおり、アナログ・ビデオ信号を取り扱うこと前提とする電子スチルカメラには圧縮・伸張の概念がなく、外部から送信される画像データを「圧縮画像データ」とすることの動機付けを欠くことは前記のとおりであるから、無理がある。

第四 むすび

以上、本件請求に係る訂正は、特許法126条第1項第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項から第5項までの規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ディジタル電子スチル・カメラ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】カメラに設けられた第1のコネクタに接続されたメモリ・カードから圧縮画像データを読取りデータ伸張を施す伸張手段,および
上記伸張手段によって伸張された画像データを再生する再生処理手段,を備えたディジタル電子スチル・カメラにおいて,
外部装置を接続するためのカメラに設けられた第2のコネクタを通して外部装置から送信される圧縮画像データを受信する受信手段,および
外部装置から与えられた制御データに応じて,上記受信手段によって受信された圧縮画像データを上記メモリ・カードに記録し,上記圧縮画像データを上記伸張手段によりデータ伸張するようにカメラを制御する制御手段,
を備えたディジタル電子スチル・カメラ。
【請求項2】上記伸張手段によってデータ伸張された画像データを記憶するメモリ,および
上記メモリに記憶されている画像データを上記第2のコネクタを通して外部装置に送信する送信手段,
をさらに備えた請求項1に記載のディジタル電子スチル・カメラ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明はディジタル電子スチル・カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル電子スチル・カメラは,撮像した被写体を表わすアナログ映像信号をディジタル画像データに変換し,データ圧縮を施してメモリ・カードなどの記録媒体に記録するカメラである。
【0003】
メモリ・カードに記録されている画像データをパーソナル・コンピュータを用いて加工し,メモリ・カードに記録されている画像データによって表わされる画像と異なる画像を得ようとするときはディジタル電子スチル・カメラからメモリ・カードを取り外し,取り外したメモリ・カードがパーソナル・コンピュータに装着される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
メモリ・カードに記録されている画像データは圧縮されているため,メモリ・カードがパーソナル・コンピュータに装着された場合はパーソナル・コンピュータにおいてデータ伸張を施して画像データの加工処理が行なわれる。データ伸張処理はソフトウェアによって行なうこともできるが,ソフトウェアに対する負荷が大きくなり過ぎるため通常はパーソナル・コンピュータに伸張回路を設けることによりデータ伸張処理を行なっている。しかしながら伸張回路は高価なためパーソナル・コンピュータの低廉化を図ることが困難となってしまう。
【0005】
この発明は,外部から送信される圧縮画像データを受信して,ディジタル電子スチル・カメラに含まれている伸張回路を用いてデータ伸張を施して外部に送信することができるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は,カメラに設けられた第1のコネクタに接続された記録媒体から圧縮画像データを読取りデータ伸張を施す伸張手段,および上記伸張手段によって伸張された画像データを再生する再生処理手段を備えたディジタル電子スチル・カメラにおいて,外部装置を接続するためのカメラに設けられた第2のコネクタを通して外部装置から送信される圧縮画像データを受信する受信手段,および上記受信手段によって受信された圧縮画像データを上記伸張手段によりデータ伸張するようにカメラを制御する制御手段を備えていることを特徴とする。
【0007】
好ましい実施態様においては,ディジタル電子スチル・カメラは上記伸張手段によってデータ伸張された画像データを記憶するメモリ,および上記メモリに記憶されている画像データを上記第2のコネクタを通して外部装置に送信する送信手段をさらに備えている。
【0008】
【作用】
この発明によると,外部装置から送信され,第2のコネクタを通して受信手段により受信された圧縮画像データは,ディジタル電子スチル・カメラに備えられている伸張手段を利用してデータ伸張される。伸張された画像データはメモリに記憶される。メモリの画像データは必要に応じて送信手段および第2のコネクタを介して外部装置に送信される。
【0009】
【発明の効果】
この発明によると,第2のコネクタに接続された外部装置から送信される圧縮画像データが受信され,ディジタル電子スチル・カメラに備えられている伸張手段を利用してデータ伸張される。外部装置において伸張回路を設けなくとも伸張された画像データが得られる。外部装置において伸張回路を設ける必要がないので,外部装置の低廉化も図ることができる。
【0010】
【実施例】
図1はこの発明の実施例を示すもので,ディジタル電子スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
【0011】
ディジタル電子スチル・カメラ20の全体の動作は全体制御部10によって統括される。全体制御部10は図示しない制御スイッチの押下げにより生じる制御信号が入力することにより,または外部装置31から送信されてくる制御信号が入力することにより,それぞれの制御信号に応じた処理を行なうものである。
【0012】
ディジタル電子スチル・カメラ20は撮像した被写体像を表わすデータをデータ圧縮してメモリ・カードに記録する撮影処理,メモリ・カード30に記録された圧縮データを伸張してビューファインダ25またはモニタ表示装置32に表示する再生処理のほかに圧縮データもしくは圧縮されていない画像データを外部装置31に送信するまたは外部装置31から送信されてくる圧縮データ,圧縮されていない画像データもしくは制御データを受信する通信処理の機能を有している。このためディジタル電子スチル・カメラ20にはメモリ・カードおよび通信インターフェイス40および送受信回路60が含まれている。メモリ・カードおよび送信インターフェイス40には,コネクタ71を介してメモリ・カード30が接続可能であり,送受信回路60にはコネクタ72を介して外部装置31が接続可能である。
【0013】
被写体像は結像レンズ11によってCCD12上に結像される。CCD12から被写体像を表わすアナログ映像信号が出力され前処理回路13に与えられる。
【0014】
前処理回路13は入力するアナログ映像信号の増幅などの処理を行なう回路である。前処理回路13から出力されるアナログ映像信号はA/D変換回路14に与えられディジタル画像データに変換される。
【0015】
前処理回路13から出力されるアナログ映像信号は切換スイッチ24を介してビューファインダ25にも与えられる。このとき切換スイッチ24はa端子側が導通状態とされ,前処理回路13から出力されるアナログ映像信号がビューファインダ25に与えられることにより被写体像がビューファインダ25上に表示される。
【0016】
A/D変換回路14によって変換されたディジタル画像データはメモリ・コントローラ15の制御の下に,一旦フレーム・メモリ16に記憶される。フレーム・メモリ16に記憶されたディジタル画像データは輝度データ/色データ(Y/C)処理回路21に与えられ画素補間が行なわれる。画素補間が行なわれたディジタル画像データは再びフレーム・メモリ16に与えられ記憶される。
【0017】
フレーム・メモリ16に記憶されたディジタル画像データは再び読出され,圧縮伸張回路17に与えられる。圧縮伸張回路17はハフマン符号化,ランレングス符号化によりデータ圧縮する処理および圧縮されたディジタル画像データを伸張する処理を行なう回路である。圧縮伸張回路17によってデータ圧縮されたディジタル画像データはメモリ・カードおよび通信インターフェイス40を介してメモリ・カード30に与えられ,所定の領域に記録される。
【0018】
メモリ・カード30に記録されたディジタル画像データを再生するときには,ディジタル画像データがメモリ・カード30から読出され,メモリ・カードおよび通信インターフェイス40を経て圧縮伸張回路17に与えられる。圧縮伸張回路17によってデータ伸張が行なわれるとメモリ・コントローラ15の制御の下にフレーム・メモリ16に一旦記憶される。
【0019】
フレーム・メモリ16に一旦記憶されたディジタル画像データはフレーム・メモリ16から読出されY/C処理回路21を経てD/A変換回路22に与えられる。D/A変換回路22によってアナログ変換処理が行なわれアナログ映像信号が得られる。アナログ映像信号は後処理回路23に与えられる。
【0020】
後処理回路23によってアナログ映像信号が増幅されて出力される。ディジタル電子スチル・カメラ20はモニタ表示装置32を接続することができ,ビューファインダ25のほかにモニタ表示装置32によっても画像を表示することができる。再生のときは制御スイッチ24はb端子側が導通状態とされる。これにより再生画像がビューファインダ25およびモニタ表示装置32に表示される。
【0021】
ディジタル電子スチル・カメラ20は外部装置31と画像データの通信を行なう機能も備えている。
【0022】
メモリ・カード30に記録されている圧縮画像データを外部装置31に送信するときには,メモリ・カード30に記録されているディジタル画像データが読取られ,メモリ・カードおよび通信インターフェイス40および送受信回路60を介して外部装置31に与えられる。外部装置31から送信される圧縮画像データをメモリ・カード30に記録するときにはディジタル画像データが送受信回路60を経てディジタル電子スチル・カメラ20に取込まれ,メモリ・カードおよび通信インターフェイス40を介してメモリ・カード30に与えられて記録される。
【0023】
ディジタル電子スチル・カメラ20は外部装置31との間において圧縮されていない画像データの送受信を行なうこともできる。
【0024】
フレーム・メモリ16に記憶されている画像データを外部装置31に送信するときには,メモリ・コントローラ15の制御の下にフレーム・メモリ16から画像データが読取られY/C処理回路21に与えられる。画像データはY/C処理回路21を経てメモリ・カードおよび通信インターフェイス40を介して送受信回路60に与えられる。画像データは送受信回路60から外部装置31に送信されることとなる。外部装置31から送信される画像データをフレーム・メモリ16に記憶するときは,画像データが送受信回路60において受信されメモリ・カードおよび通信インターフェイス40およびY/C処理回路21を経てメモリ・コントローラ15の制御の下にフレーム・メモリ16に与えられる。
【0025】
また外部装置31から送信される制御データを受信することもでき,制御データは送受信回路60およびメモリ・カードおよび通信インターフェイス40を経て全体制御部10に与えられる。全体制御部10に制御データが与えられるとこの制御データに応じた処理がなされるようになる。
【0026】
図2にメモリ・カードおよび通信インターフェイス40の電気的構成を表わすブロック図が示されている。
【0027】
メモリ・カードおよび通信インターフェイス40はデータが双方向に転送可能な双方向バッファ41,42および43,データ・セレクタ44,45および48,データ・セレクタ44,45および48によるデータの選択を制御する制御部46,制御データの解析および制御データの発行を行なうパラメータ・レジスタ47ならびにバッファ・メモリ49および50を備えている。
【0028】
メモリ・カードおよび通信インターフェイス40にはさらに,ヘッダにもとづいてデータを転送するためにデータを一旦蓄積するパケット・バッファ・メモリ51,このパケット・バッファ・メモリ51を制御するメモリ制御部52,送信データ・バッファ53,受信データ・バッファ54,パラレル/シリアル(P/S)変換回路55,シリアル/パラレル(S/P)変換回路56ならびに送信データ・バッファ53,受信データ・バッファ54,P/S変換回路55およびS/P変換回路56を制御する通信制御部57を備えている。
【0029】
メモリ・カードおよび通信インターフェイス40において,撮影された被写体像をデータ圧縮してメモリ・カード30に記録する場合には圧縮伸張回路17から出力される圧縮データは双方向バッファ43に与えられる。この圧縮データは双方向データ・セレクタ45および44を介して双方向バッファ42に与えられメモリ・カード30に入力することにより圧縮データの記録が行なわれる。
【0030】
またメモリ・カード30に記録された画像データを再生してモニタ表示装置32に表示するときには,メモリ・カード30に記録された圧縮データが読取られ双方向バッファ42に与えられる。この圧縮データは双方向データのセレクタ44および45を介して双方向バッファ43に与えられ,圧縮伸張回路17に与えられてデータ伸張される。その後は上述のように再生処理されモニタ表示装置32に可視表示される。
【0031】
メモリ・カード30に記録されている圧縮データを外部装置31に送信するときは,メモリ・カード30から圧縮データが読取られ,双方向バッファ42に与えられる。この圧縮データは双方向データ・セレクタ44,データ・セレクタ48を経てバッファ・メモリ49に一旦蓄積される。圧縮データはバッファ・メモリ49から読出されパケット・バッファ・メモリ51に与えられる。このパケット・バッファ・メモリ51において一旦蓄積され,データのヘッダにもとづいて転送先が定まる。パケット・バッファ・メモリ51に一旦蓄積されたデータは送信データ・バッファ53に与えられてP/S変換回路55に入力する。P/S変換回路55においてパラレル・データからシリアル・データに変換されて送受信回路60に与えられる。送受信回路60から外部装置31に与えられる。
【0032】
また外部装置31から圧縮データが与えられるときには送受信回路60を経てS/P変換回路56に入力する。S/P変換回路56においてパラレル・データに変換されて,受信データ・バッファ54を経てパケット・バッファ・メモリ51に一旦蓄積される。圧縮データはパケット・バッファ・メモリ51から読出されバッファ・メモリ50に与えられ双方向データ・セレクタ44および双方向バッファ42を経てメモリ・カード30に与えられて記録される。
【0033】
ディジタル電子スチル・カメラ20は圧縮されていない画像データを外部装置31との間で送受信することもできる。
【0034】
フレーム・メモリ16に記憶されている画像データを外部装置31に送信する場合には,フレーム・メモリ16から画像データが読取られY/C処理回路21を経てメモリ・カードおよび通信インターフェイス40の双方向バッファ41に与えられる。画像データは双方向バッファ41を経て,圧縮データの送信と同じようにデータ・セレクタ48,バッファ・メモリ49,パケット・バッファ・メモリ51,送信データ・バッファ53およびP/S変換回路55を介して送受信回路60に与えられる。この送受信回路60から外部装置31に画像データが送信されることとなる。
【0035】
また外部装置31から送信される画像データを受信し,フレーム・メモリ16に記憶するときには,画像データは送受信回路60において受信されメモリ・カードおよび通信インターフェイス40のS/P変換回路56に与えられる。S/P変換回路56においてパラレル・データに変換された画像データは受信データ・バッファ54,パケット・バッファ・メモリ51,バッファ・メモリ50および双方向バッファ41を経て出力されY/C処理回路21に与えられる。そしてY/C処理回路21からフレーム・メモリ16に与えられ記憶される。
【0036】
さらにディジタル電子スチル・カメラ20は外部装置31から出力される制御データを受信し,カメラ20の全体制御部10に与えることもできる。制御データが全体制御部10に入力すると入力した制御データに応じた処理がカメラ20において行なわれる。
【0037】
外部装置31から出力される制御データは送受信回路60において受信されメモリ・カードおよび通信インターフェイス40のS/P変換回路56に与えられる。制御データはS/P変換回路56から受信データ・バッファ54,パケット・バッファ・メモリ51,バッファ・メモリ50を経てパラメータ・レジスタ47に与えられる。パラメータ・レジスタ47によって制御データが解析され,解析された内容が全体制御部10に与えられる。全体制御部10によって解析された内容に応じてデータの転送処理などの処理が遂行される。
【0038】
全体制御部10において解析された内容が入力されると応答メッセージを表わすデータが出力されパラメータ・レジスタ47に与えられる。応答メッセージを表わすデータは,データ・セレクタ48,バッファ・メモリ49,パケット・バッファ・メモリ51,送信データ・バッファ53およびP/S変換回路55を経て送受信回路60に与えられる。送受信回路60から外部装置31に応答メッセージを表わすデータが送信される。これにより外部装置31において送信した制御データがディジタル電子スチル・カメラ40において受信したことが認識される。
【0039】
ディジタル電子スチル・カメラ20においてメモリ・カードおよび通信インターフェイス40および送受信回路60を設けたことにより上述のように外部装置31との間においてデータの送受信が可能となる。これによりたとえばディジタル電子スチル・カメラ20において撮像した被写体像を表わす圧縮画像データを外部装置31に送信し,外部装置31において一旦ファイリング処理を行ない,その後伸張された画像データを受信して加工しディジタル電子スチル・カメラ20に送信しデータ圧縮してメモリ・カード30に記録することもできる。この処理を以下に述べる。
【0040】
図1を参照して,被写体をCCD12により撮像して前処理回路13,A/D変換回路14を経てフレーム・メモリ16に被写体を表わす画像データが与えられ,一旦記憶される。フレーム・メモリ16に記憶された画像データはY/C処理回路21,圧縮伸張回路17,メモリ・カードおよび通信インターフェイス40を経て圧縮データとしてメモリ・カード30に与えられ記録される。
【0041】
メモリ・カード30に記録されている圧縮データを読出して送信するよう外部装置31から制御データが出力され,送受信回路60,メモリ・カードおよび通信インターフェイス40を経て全体制御部10に与えられる。全体制御部10はこの制御データに応答してメモリ・カード30に記録されている圧縮データを読出すよう制御し,圧縮データはメモリ・カードおよび通信インターフェイス40,送受信回路60を経て外部装置31に与えられる。これにより外部装置31において一旦ファイリング処理が行なわれる。
【0042】
次に外部装置31から送信される圧縮データをメモリ・カード30に書込むよう命ずる制御データが,ディジタル電子スチル・カメラ20の全体制御部10に与えられる。この制御データに対する応答メッセージが全体制御部10から外部装置31に与えられると,外部装置31からメモリ・カード30に圧縮データが与えられ記録される。
【0043】
さらにメモリ・カード30に記録されている圧縮データを伸張して外部装置31に送信することを命ずる制御データが,外部装置30から全体制御部10に与えられる。全体制御部10によってこの制御データが受信されると,メモリ・カード30に記録されている圧縮データが読出され圧縮伸張回路17においてデータ伸張が施される。伸張された画像データはY/C処理回路21,メモリ・カードおよび通信インターフェイス40,送受信回路60を経て外部装置31に与えられる。
【0044】
外部装置31に伸張された画像データが与えられることにより,外部装置31において画像データの加工処理が行なわれる。画像データの加工処理が終了すると,外部装置31から送信される画像データを受信するよう命ずる制御データが外部装置31からディジタル電子スチル・カメラの全体制御部10に与えられる。この制御データに対する応答メッセージが全体制御部10から外部装置31に与えられると,外部装置31から加工済の画像データが出力され送受信回路60,メモリ・カードおよび通信インターフェイス40,Y/C処理回路21を経てフレーム・メモリ16に与えられ記憶される。
【0045】
フレーム・メモリ16に記憶された加工済の画像データは圧縮伸張回路17に与えられデータ圧縮が施されてメモリ・カード30に記録される。これによりメモリ・カード30に加工済の圧縮画像データが記録されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明の実施例を示すもので,ディジタル電子スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】
メモリ・カードおよび通信インターフェイスの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 全体制御部
12 CCD
16 フレーム・メモリ
17 圧縮伸張回路
20 ディジタル電子スチル・カメラ
40 メモリ・カードおよび通信インターフェイス
60 送受信回路
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2007-06-22 
出願番号 特願平3-351793
審決分類 P 1 41・ 851- Y (H04N)
P 1 41・ 856- Y (H04N)
P 1 41・ 841- Y (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 角田 芳末杉山 務松元 伸次  
特許庁審判長 新宮 佳典
特許庁審判官 南 義明
奥村 元宏
登録日 1999-12-17 
登録番号 特許第3015183号(P3015183)
発明の名称 ディジタル電子スチル・カメラ  
代理人 高石 秀樹  
代理人 渡辺 光  
代理人 渡辺 光  
代理人 牛久 健司  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 中村 彰吾  
代理人 吉田 和彦  
代理人 高石 秀樹  
代理人 井上 正  
代理人 吉田 和彦  
代理人 高城 貞晶  
代理人 牛久 健司  
代理人 中村 彰吾  
代理人 井上 正  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 高城 貞晶  

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