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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F23G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F23G
管理番号 1161204
審判番号 不服2006-10145  
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-18 
確定日 2007-07-18 
事件の表示 平成 9年特許願第 70875号「廃棄物焼却炉の給じん方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 9月25日出願公開、特開平10-253028〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判に係る出願は,平成9年3月10日の出願であって,平成17年12月5日付け(発送日:同月13日)で拒絶理由が通知され,この拒絶理由の通知で指定された期間内である平成18年2月6日付けで手続補正されたが,平成18年4月12日付け(発送日:同月18日)で拒絶査定された。
これに対して同年5月18日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに,同年6月8日付けで手続補正され,さらに同月12日付けで手続補正されたものである。

第2 平成18年6月8日付け手続補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年6月8日付けの手続補正(以下,「本件補正1」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正1で補正された発明
本件補正1で補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下,「本件補正発明1」という。)は,以下のとおりのものである。

【請求項1】 給じん機の入口に立てた廃棄物貯槽内に廃棄物供給機により廃棄物を投入し,該廃棄物を上記給じん機により搬送して焼却炉へ供給するようにする廃棄物焼却炉の給じん方法において,上記廃棄物貯槽の上端部に,該廃棄物貯槽内に投入される廃棄物の堆積レベルを連続的に計測するレベル計を設置し,該レベル計で上記廃棄物貯槽内の廃棄物の堆積レベルをアナログ的に連続計測して,上記廃棄物貯槽内での廃棄物の堆積レベルが制御器に設定された設定レベルに常時一定に維持されるように,上記連続計測される廃棄物の堆積レベルの計測値を基に上記制御器からの指令により上記廃棄物供給機の駆動速度をコントロールして廃棄物貯槽内の廃棄物の堆積レベルを常時一定に維持させるようにすることを特徴とする廃棄物焼却炉の給じん方法。

この補正は,平成18年2月6日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明における「レベル計」を「上記廃棄物貯槽内の廃棄物の堆積レベルをアナログ的に連続計測して」と限定するとともに,補正前の請求項1に係る発明における「制御器」の動作を「上記廃棄物貯槽内での廃棄物の堆積レベルが制御器に設定された設定レベルに常時一定に維持されるように,上記連続計測される廃棄物の堆積レベルの計測値を基に」制御するものと限定するものである。
この補正は,願書に最初に添付した明細書の段落0009の第5行?第8行における記載,同段落0011における記載,同段落0007の第2行?第3行における記載,及び同段落0014の第6行?第7行に記載した事項の範囲内においてなされたものであり,また,上記のとおり特許請求の範囲の請求項1に係る発明を限定的に減縮することを目的とするものなので,本件補正1は,特許法第17条の2第3項に適合するものであり,また,平成18年改正前特許法第17条の2第4項に適合するものである。
そこで,本件補正発明1が,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について,以下に検討する。

2.引用例に記載された発明
(1)引用例に記載された事項
この出願の出願前に日本国内で頒布された刊行物であって,拒絶査定の理由で引用された実願昭58-35499号(実開昭59-144341号)のマイクロフィルム(以下,「引用例」という。)には,次の事項が記載されている。

(ア)「本考案は焼却炉の燃焼変動を極力抑え,安定した焼却運転と焼却炉能力を最大限に維持することを目的とした焼却炉の原料供給装置に関するものである。」(第2頁第11行?第14行)
(イ)「本考案は・・・都市ごみ等の焼却炉への原料供給装置において,一端が焼却炉の原料投入口に臨む排出部であり,他端が原料を受け入れる貯留部であるエプロンコンベアと,・・・該エプロンコンベアの貯留部の原料の堆積高さを計測するレベル計と,該レベル計からの信号によって回転数が制御される原料を該貯留部へ供給するスクリューコンベアとを備えたことを特徴とする焼却炉への原料供給装置である。」(第4頁第9行?第5頁第2行)
(ウ)「またエプロンコンベアの貯留部における原料の堆積高さを30cmないし150cm,望ましくは50cmないし70cmの範囲に保つため急傾斜立上り部に光電管レベル計あるいは超音波レベル計あるいは超音波レベル計等の非接触式検知器を設置すると共にエプロンコンベアの立上り傾斜角を45°ないし90°望ましくは50°ないし60°とすることによりごみの塊りの生成を抑えることが可能となった。」(第5頁第18行?第6頁第6行)
(エ)「本考案を第3図について説明すると,1は焼却炉,2は原料投入口,・・・15はエプロンコンベア14の端部にある原料の貯留部,16は貯留部15の反対側にあるエプロンコンベア14の排出部である。また17は貯留部15に堆積している原料の層高を計測するレベル計,18は貯留部15に対し原料を供給するスクリューコンベアであって,このスクリューコンベア18はレベル計17からの信号によって回転数が制御される可変速モーター19によって駆動されている。」(第6頁第7行?第19行)
(オ)「又エプロンコンベアの貯留部15にレベル計17が備えてあるので,ごみ層厚が70cm以上に達したらレベル計17がそれを検知しスクリューコンベア18の駆動モータ19に信号を送りスクリューコンベア18の駆動モータ19の回転数を下げごみ供給量を少くする。
ごみ層厚が50cm以下になったらレベル計18がそれを検知しスクリューコンベア18の駆動モータ19に信号を送り,スクリューコンベア18の駆動モータ19の回転数を上げごみ供給量を多くする。」(第8頁第9行?第19行)

(2)引用例に記載された発明
上記の記載事項から,引用例には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「エプロンコンベアの端部に設けた貯留部にスクリューコンベアにより原料を投入し,該原料を上記エプロンコンベアにより搬送して焼却炉へ供給するようにする焼却炉の原料供給方法において,上記貯留部に,該貯留部に投入される原料の層厚を段階的で計測するレベル計を設置し,該レベル計で上記貯留部内の原料の層厚を2段階で計測して,上記貯留部での原料の層厚が50cm乃至70cmに常時維持されるように,上記原料の層厚の計測値を基に上記スクリューコンベアの回転数を上げ下げして貯留部内の原料の層厚を50cm乃至70cmに常時維持させるようにする焼却炉の原料供給方法。」

3.対比
本件補正発明1と引用発明とを比較すると,引用発明における「エプロンコンベア」は本件補正発明1における「給じん機」に相当し,以下,それぞれ「端部」が「入口」,「貯留部」が「廃棄物貯留槽」,「スクリューコンベア」が「廃棄物供給機」,「原料」が「廃棄物」,「焼却炉の原料供給方法」が「廃棄物焼却炉の給じん方法」,「層厚」が「堆積レベル」,「回転数」が「駆動速度」,「上げ下げ」が「コントロール」に相当する。

してみると,本件補正発明1と引用発明とは,

「給じん機の入口に設けた廃棄物貯槽内に廃棄物供給機により廃棄物を投入し,該廃棄物を上記給じん機により搬送して焼却炉へ供給するようにする廃棄物焼却炉の給じん方法において,上記廃棄物貯槽に,該廃棄物貯槽内に投入される廃棄物の堆積レベルを計測するレベル計を設置し,該レベル計で上記廃棄物貯槽内の廃棄物の堆積レベルを計測して,上記計測される廃棄物の堆積レベルの計測値を基に上記廃棄物供給機の駆動速度をコントロールして廃棄物貯槽内の廃棄物の堆積レベルを維持させるようにする廃棄物焼却炉の給じん方法。」

である点で一致し,次の点で相違する。

・本件補正発明1は,廃棄物貯留槽が給じん機の入口に「立てた」形態で設けたものであるのに対して,引用発明は,そのような構成がない点(以下,「相違点1」という。)。
・本件補正発明1は,廃棄物貯留槽の「上端部に」レベル計が設置されているのに対して,引用発明は,そのような構成がない点(以下,「相違点2」という。)。
・本件補正発明1は,レベル計が堆積レベルを「連続的」に計測するものであって,「アナログ的に連続」計測するものであるのに対して,引用発明は,レベル計が堆積レベルを「段階的」に計測するものであって,「2段階で」計測するものである点(以下,「相違点3」という。)。
・本件補正発明1は,「上記廃棄物貯槽内での廃棄物の堆積レベルが制御器に設定された設定レベルに常時一定に維持されるように,上記連続計測される廃棄物の堆積レベルの計測値を基に上記制御器からの指令により」上記廃棄物供給機の駆動速度をコントロールして廃棄物貯槽内の廃棄物の堆積レベルを「常時一定」に維持させるのに対して,引用発明は,「上記廃棄物貯留槽内での廃棄物の堆積レベルが50cm乃至70cmに常時維持されるように」,制御器を介さずに上記廃棄物の堆積レベルの計測値を基に上記廃棄物供給機の駆動速度をコントロールして廃棄物貯留槽内の廃棄物の堆積レベルを「50cm乃至70cmに常時維持」させるものである点(以下,「相違点4」という。)。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点1について
この出願の願書に添付した明細書には,給じん機と廃棄物貯留槽について,以下のように記載されている。

・「【0002】
【従来の技術】
都市ごみ等の廃棄物を焼却処理する流動床式廃棄物焼却炉に廃棄物を供給するために用いられている給じん装置は,図2にその一例の概略を示す如く,ケーシング2内にスクリュー3を回転駆動可能に収納させてなる無破砕式の給じん機1を横置きして,該給じん機1の先端となる出口4を,焼却炉に連通させた給じんダクト6に接続すると共に,上記給じん機1の基端側の入口5に,廃棄物貯槽7を立設接続し,・・・」
・「【0009】
図1は本発明の実施の形態を示すもので,図2に示したと同様に,給じん機1の入口5に立設接続した廃棄物貯槽7内に廃棄物供給機10により廃棄物11を投入し,該廃棄物11を給じん機1により搬送して焼却炉に連通する給じんダクト6内へ送り出すようにしてある・・・」

この記載によれば,本件補正発明1における給じん機とは,いわゆるスクリューコンベア形式の搬送装置と認められるが,スクリューコンベア形式の搬送装置において,当該搬送装置で搬送するものを貯留するホッパを立設することは慣用的な技術手段にすぎないものである。
また,焼却炉に廃棄物を搬送する装置として,どのような形式の搬送装置を用いるかは,焼却炉の形式や,焼却炉への廃棄物の投入口,廃棄物の貯留場所等の相互間の関係により,適宜組み合わせ可能なものであって,してみると,引用発明における給じん機としてスクリューコンベア形式の搬送装置を選択するとともに,ホッパである廃棄物貯留槽を,スクリューコンベアの入口に立てた形態で設置することは,当業者が,焼却炉の形式や,焼却炉への廃棄物の投入口,廃棄物の貯留場所等の相互間の関係により必要に応じて適宜選択し得た程度の設計的事項というべきであり,容易に想到しえたものといえる。

(2)相違点2,3について
廃棄物貯留槽の「上端部に」レベル計を設置して,レベル計が堆積レベルを「連続的」に計測することは,従来周知の技術手段にすぎない(例えば,実願昭57-137457号(実開昭59-42435号)のマイクロフィルムの第1図には,ホッパの上部にレベル検出器13が設置された図が記載されており,第5頁第8行乃至第9行には当該レベル検出器により「常時ホッパレベルを検出し」と記載されている。また,特開昭53-9265号公報の第5図には,ホッパの上部に投光器,集光レンズ,光感応素子からなる検出器が設置された図が記載されており,第3頁右上欄第11行乃至第13行には「(21)は平均値演算器で検出器(19)からの出力の水平方向の平均値を算出する。」,左下欄第第11行乃至第14行には「演算器(21)によってこの出力の水平方向の平均値を算出すれば,平均出力信号レベルは第7図に示すように垂直方向の高さレベルに対して変化する・・・」と記載されており,第7図に連続的に平均出力信号レベルが変化するグラフが記載されている。)。
また,「アナログ的に連続」計測する点については,単なる言葉の言い換えにすぎず,やはり,従来周知の技術手段にすぎないものである。
してみると,相違点2,3は,単なる周知技術の適用にすぎず,引用発明に接した当業者が,発明の具現化にあたり,容易になし得た程度の設計変更にすぎないものというべきである。

(3)相違点4について
モータの駆動速度をコントロールする際に,計測値に基づいて制御器からの指令によりモータの駆動速度をコントロールすることは,慣用的技術手段にすぎない。
そして,本件補正発明1における「上記廃棄物貯槽内での廃棄物の堆積レベルが制御器に設定された設定レベルに常時一定に維持されるように」とは,願書に添付された明細書には,

「【0011】
すなわち,廃棄物貯槽7の上端部に設置された超音波レベル計13は,廃棄物貯槽7内の廃棄物11の堆積レベルを連続的に計測しており,その計測レベルが制御器14に送られると,制御器14に設定しておいた設定レベルと比較され,計測レベルが設定レベルよりも低い場合には,廃棄物供給機10の駆動用のモータ8の回転速度が速められるような指令が制御器14から送られることにより,ベルトコンベア9の移動速度が上げられる結果,廃棄物11の投入量が増やされ,一方,計測レベルが設定レベルよりも高い場合には,上記モータ8の回転速度が遅くされるような指令が制御器14から送られることにより,ベルトコンベア9の移動速度が下げられる結果,廃棄物11の投入量が減少させられる。」

と記載されており,当該記載からみて,本件補正発明1における「設定レベルに常時一定に維持」とは,単一の設定レベルと堆積レベルの計測値が常時同じ値になるものではなく,設定レベル付近で上下するものと意味すると解される。
一方,引用発明における「上記廃棄物貯留槽内での廃棄物の堆積レベルが50cm乃至70cmに常時維持されるように」とは,2.(1)(オ)に指摘したとおり,

「又エプロンコンベアの貯留部15にレベル計17が備えてあるので,ごみ層厚が70cm以上に達したらレベル計17がそれを検知しスクリューコンベア18の駆動モータ19に信号を送りスクリューコンベア18の駆動モータ19の回転数を下げごみ供給量を少くする。
ごみ層厚が50cm以下になったらレベル計18がそれを検知しスクリューコンベア18の駆動モータ19に信号を送り,スクリューコンベア18の駆動モータ19の回転数を上げごみ供給量を多くする。」(第8頁第9行?第19行)

と引用例に記載されているので,してみると,相違点4は,設定値が単一の設定値であるか,50cm及び70cmの二値であるかの相違ということができる。

しかしながら,廃棄物の焼却炉の分野において,制御器に設定された単一の設定値に対して,検出器で検出された測定値が追従して,設定値付近で上下するようコントロールすることは,従来周知の技術手段にすぎないものである(例えば,実願昭57-137457号(実開昭59-42435号)のマイクロフィルムの第4頁第11行乃至第17行には「本装置において,ホッパレベルはレベル検出器13で検出され,ホッパレベル制御装置14に入力される。一方,あらかじめ設定しておいた安全なレベル目標設定値に,ホッパレベルが収束する様・・・調整する信号を出力する。」,第5頁第8行乃至第11行には当該レベル検出器により「常時ホッパレベルを検出し,その移動平均が目標設定値に追従するよう・・・調整してもよい。」と記載されている。また,特開昭53-9265号公報の第3頁右上欄第11行乃至第13行には「(21)は平均値演算器で検出器(19)からの出力の水平方向の平均値を算出する。」,第4頁右上欄第10行乃至左下欄第3行には「投入された廃棄物は送り装置(14)によって順次火格子(5)に送入されて,ホッパ(3)内の廃棄物は減少していく。この実際の廃棄物レベル(Lreal(t))が検出装置(13)によって連続的に検出され,逐次制御装置(17)に送られる。制御装置(17)は目標廃棄物レベル(Lref(t))と実際の廃棄物レベル(Lreal(t))との偏差(e(審決注:イプシロン))にもとづいて,この偏差を小さくするように駆動装置(16)を制御する。したがって,実際の廃棄物送入量が目標廃棄物送入量に追従するよう制御される。」と記載されている。)。

してみると,相違点4についても,相違点3と同様に,単なる周知技術,慣用技術の適用にすぎず,引用発明に接した当業者が,発明の具現化にあたり,容易になし得た程度の設計変更にすぎないものというべきである。

5.むすび
以上のとおり,本件補正発明1は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって,本件補正1は,平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定より,却下すべきものである

第3 平成18年6月12日付け手続補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年6月12日付けの手続補正(以下,「本件補正2」という。)を却下する。

[理由]
本件補正2で補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下,「本件補正発明2」という。)は,本件補正1と同じく,以下のとおりのものである。

【請求項1】 給じん機の入口に立てた廃棄物貯槽内に廃棄物供給機により廃棄物を投入し,該廃棄物を上記給じん機により搬送して焼却炉へ供給するようにする廃棄物焼却炉の給じん方法において,上記廃棄物貯槽の上端部に,該廃棄物貯槽内に投入される廃棄物の堆積レベルを連続的に計測するレベル計を設置し,該レベル計で上記廃棄物貯槽内の廃棄物の堆積レベルをアナログ的に連続計測して,上記廃棄物貯槽内での廃棄物の堆積レベルが制御器に設定された設定レベルに常時一定に維持されるように,上記連続計測される廃棄物の堆積レベルの計測値を基に上記制御器からの指令により上記廃棄物供給機の駆動速度をコントロールして廃棄物貯槽内の廃棄物の堆積レベルを常時一定に維持させるようにすることを特徴とする廃棄物焼却炉の給じん方法。

この補正は,本件補正1と同じく,願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり,また,本件補正1が却下されたから,平成18年2月6日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明を限定的に減縮することを目的とするものなので,本件補正2は,特許法第17条の2第3項に適合するものであり,また,平成18年改正前特許法第17条の2第4項に適合するものである。
そこで,本件補正発明2が,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について検討すると,本件補正発明2は本件補正発明1と同一の発明であるから,本件補正発明1と同じ理由により,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって,本件補正2は,平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定より,却下すべきものである。

第4 本願発明について
1.本願発明の認定
上記のとおり,本件補正1及び本件補正2は却下されたことから,この出願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成18年2月6日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

【請求項1】 給じん機の入口に立てた廃棄物貯槽内に廃棄物供給機により廃棄物を投入し,該廃棄物を上記給じん機により搬送して焼却炉へ供給するようにする廃棄物焼却炉の給じん方法において,上記廃棄物貯槽の上端部に,該廃棄物貯槽内に投入される廃棄物の堆積レベルを連続的に計測するレベル計を設置して,該レベル計の計測値を基に制御器からの指令により上記廃棄物貯槽内へ廃棄物を投入する上記廃棄物供給機の駆動速度をコントロールして廃棄物貯槽内の廃棄物の堆積レベルを常時ほぼ一定に維持させるようにすることを特徴とする廃棄物焼却炉の給じん方法。

2.本願発明の容易相当性
本願発明は,本件補正発明1乃至2における「レベル計」を「上記廃棄物貯槽内の廃棄物の堆積レベルをアナログ的に連続計測して」なる発明特定事項,および「制御器」の動作を「上記廃棄物貯槽内での廃棄物の堆積レベルが制御器に設定された設定レベルに常時一定に維持されるように,上記連続計測される廃棄物の堆積レベルの計測値を基に」制御するなる発明特定事項を追加して限定することを除いて,本件補正発明1乃至2と同じ発明特定事項により特定される発明であって,してみると,本願発明における「レベル計」及び「制御器」を限定した本件補正発明1乃至2について,前記第2及び第3のとおり,その容易想到性が肯定されるのであるから,本願発明も,本件補正発明1乃至2と同様の理由により,その容易想到性が肯定されるものである。

3.むすび
したがって,本願発明は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-05-08 
結審通知日 2007-05-15 
審決日 2007-05-28 
出願番号 特願平9-70875
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F23G)
P 1 8・ 121- Z (F23G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長崎 洋一山城 正機関口 哲生  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 長浜 義憲
間中 耕治
発明の名称 廃棄物焼却炉の給じん方法  
代理人 坂本 光雄  

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