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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1161309
審判番号 不服2003-23320  
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-01 
確定日 2007-07-19 
事件の表示 平成5年特許願第196245号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成7年2月21日出願公開、特開平7-47166〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯、本願発明

本願は、平成5年8月6日の出願であって、平成15年10月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年12月1日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成15年12月26日付けで手続補正がなされたものであり、その請求項1に係る発明は、平成15年12月26日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】 二列の誘導流路に供給されて待機している遊技球を回転軸を中心として回転駆動される球送り部材によって一個ずつ払い出す球払い出し装置を備えた遊技機であって、前記球送り部材は、前記回転軸の軸回りに設けられた1対の球切り体と、これら1対の球切り体の間に設置された回転盤と、を一体的に回転可能に備え、前記1対の球切り体は、前記二列の誘導流路の遊技球を受け取って旋回移送した後、前記遊技球を放出する球受部が前記回転軸の軸回りに所定角度を隔ててそれぞれ複数形成され、前記回転盤は、前記球切り体よりも外径が大きく、その外周縁部には、前記1対の球切り体の各複数個の球受部の総数に相当する数の被検出部が設けられると共に、前記二列の誘導流路を仕切る仕切壁の延長上に配置されかつ前記1対の球切り体の球受部の遊技球を仕切る仕切壁としての機能を有していることを特徴とする遊技機。」(以下、「本願発明」という)


2.引用刊行物記載の発明

これに対して、原査定の拒絶の理由(平成14年6月19日付け拒絶理由通知書に記載された理由)に引用された、本願の出願の日前である平成4年8月7日に頒布された特開平4?218191号公報(以下、「第1引用刊行物」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

(1-a) 「従来のパチンコ玉計数器は、1回当たり所定数のパチンコ玉を計数排出する・・。例えば、入賞したときに排出する・・。」(【0002】段落)
(1-b) 「誘導路で導かれたパチンコ玉は、同じ回転数をなす回転軸に多数取り付けられた玉切回転体に各々導かれる。該玉切回転体は玉切り位置が互いに異なるように形成されている為、異なるタイミングでパチンコ玉がカウントされて排出される。その為、同じ回転数で回転する玉切回転体であっても1個づつのカウントができ、設定された所定数のパチンコ玉を排出することができる。」(【0005】段落)
(1-c) 「パチンコ玉計数器本体1は・・・複数の誘導路3(図2参照)の下端に接続されていてパチンコ玉5を受け入れる。」(【0006】段落)
(1-d) 「このカウント回転体2は図3の正面図から明らかなように、回転軸9にパチンコ玉5を1個づつ切り放す作用をなす玉切回転体7a、7bが併設され、又該カウント回転体2を回転停止させるための停止回転体8が玉切回転体7a、7bの間に固定されていて、前記軸受け10に回転自在に取り付けられている。尚、玉切回転体7a、7bは1回転して6個のパチンコ玉5を切り放すことができるように周状に6個の切欠部6が形成されていて、玉切回転体7aと玉切回転体7bの切欠部6は30°ずらして回転軸9に取り付けられている。即ち、玉切回転体7aと玉切回転体7bは同じ回転をする回転軸9に併設され、パチンコ玉5の玉切り位置が異なるようにして取り付けられている。又、停止回転体8の外周には突部13が等間隔で12個形成されていて、前記玉切回転体7a、7bの周状に形成されている切欠部6の個数及び停止位置に対応して設けられている。」(【0006】段落)
(1-e) 「確認検出器4はパチンコ玉排出数設定器29で設定された数以上となるパチンコ玉5を2台の玉切回転体7a、7bで一度に排出できる位置に配設されていて、該位置にパチンコ玉5が存在しているときにはON信号を出す。検出器25a、25bは前記した様に玉切り位置を異にした玉切回転体7a(実線)、玉切回転体7b(破線)で排出するパチンコ玉5をカウントし(図7参照)、図6に示すように互いに異なったパルス列を発する。」(【0008】段落)
(1-f) 「カウント回転体2の回転軸9にパルスモータ50が直結されていて、制御装置30からパルスモータ駆動装置51(図10)を介して回転停止させる。・・・パルスモータ駆動装置51にパルスモータ50を回転させる信号を出力する。尚、この出力信号はパチンコ玉排出数設定29の値に対応する数だけ出力した後停止する。その為、パルスモータ50の回転によって排出されるパチンコ玉5が制御される。・・・実際に排出されるパチンコ玉数を計数するために、検出器25a、25bからの図6で示すパルス列をカウントして、パルスモータ50の回転数と比較制御しながら停止機構40でカウント回転体2を停止するとより確実である。」(【0011】段落)
(1-g) 「実施例の2個の玉切回転体は、一本の回転軸に取り付けられて同じ回転を行うように形成されている」(【0012】段落)

また、第3図には、停止回転体8として、玉切回転体7a、7bよりも外形が大きいものが記載されている。

これら記載事項によると、第1引用刊行物には、
「誘導路で導かれたパチンコ玉を、回転軸を中心に回転自在に取り付けられたカウント回転体をパルスモータで回転・停止することによって一個ずつカウントして排出するパチンコ玉計数器であって、カウント回転体は、回転軸に併設された2個の玉切回転体と、2個の玉切回転体の間に固定された停止回転体とを備え、軸受けに回転自在に取り付けられるものであり、前記2個の玉切回転体は、それぞれに6個の切欠部が周状に等間隔で形成されており、且つ、2個の玉切回転体の切欠部は互いに30°ずらして回転軸に取り付けられていて、前記停止回転体は、前記玉切回転体よりも外径が大きく、前記2個の玉切回転体の各6個の切欠部の総数に相当する12個の突部が形成されたものであり、排出されるパチンコ玉を検出器でカウントしながら計数するパチンコ玉計数器」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。


3.対比

本願発明と引用発明とを比較すると、
引用発明の「パチンコ玉」は本願発明の「遊技球」に相当し、以下同様に、「誘導路」は「誘導流路」に、「回転軸」は「回転軸」に、「カウント回転体」は「球送り部材」に、「玉切回転体」は「球切り体」に、「停止回転体」は「回転盤」に、「切欠部」は「球受部」に、それぞれ相当する。
引用発明の「パチンコ玉計数器」は、上記(1-a)の記載からみて、遊技機に設けられ賞品球の払い出しに用いられるので、本願発明の「球払い出し装置」に相当する。
引用発明では、誘導路で導かれたパチンコ玉は2個の玉切回転体に各々導かれるとされているから、「二列の誘導路」によってパチンコ玉が導かれているものと認められる。また、上記(1-e)の記載からみて、当該誘導路にはパチンコ玉が「供給されて待機している」ものと認められる。
引用発明では、玉切回転体に導かれたパチンコ玉は、回転する玉切回転体の6個の切欠部で1個ずつ切り放された後に排出されるから、その切欠部は、本願発明の球受部と同様に「誘導流路の遊技球を受け取って旋回移送した後、前記遊技球を放出する」ものである。
引用発明の切欠部は、周状に等間隔で6個形成され、且つ2個の玉切回転体の切欠部は互いに30°ずらして回転軸に取り付けられているから、本願発明の球受部と同様に、「回転軸の軸回りに所定角度を隔ててそれぞれ複数形成」されたものである。
第1引用刊行物に記載された複数の誘導路に、各誘導路を仕切る仕切壁が設けられることは自明である。そして、第1引用刊行物【図1】の記載からみれば、停止回転体8は、誘導路を仕切る仕切壁の延長上に配置されているものと認められる。

したがって、本願発明と引用発明とは、
「二列の誘導流路に供給されて待機している遊技球を回転軸を中心として回転駆動される球送り部材によって一個ずつ払い出す球払い出し装置において、前記球送り部材は、前記回転軸の軸回りに設けられた1対の球切り体と、これら1対の球切り体の間に設置された回転盤と、を一体的に回転可能に備え、前記1対の球切り体は、前記二列の誘導流路の遊技球を受け取って旋回移送した後、前記遊技球を放出する球受部が前記回転軸の軸回りに所定角度を隔ててそれぞれ複数形成され、前記回転盤は、前記球切り体よりも外径が大きく、前記二列の誘導流路を仕切る仕切壁の延長上に配置されていること」
の点で一致し、次の点において相違する。

(1) 本願発明は、球払い出し装置を備えた「遊技機」を対象としているのに対し、引用発明は、球払い出し装置である点。(以下、相違点1という。)

(2) 回転盤の外周縁部に、本願発明では「1対の球切り体の各複数個の球受部の総数に相当する数の被検出部が設けられる」のに対し、引用発明では、1対の球切り体の各複数個の球受部の総数に相当する数の「突部」が設けられている点。(以下、相違点2という。)

(3) 回転盤について、本願発明では、「1対の球切り体の球受部の遊技球を仕切る仕切壁としての機能」を有するとしているが、第1引用刊行物には、回転盤のそのような機能について記載がない点。(以下、相違点3という。)


4.当審の判断

上記各相違点について検討する。

4-1.相違点1について

第1引用刊行物の上記(1-a)の記載などからみて、引用発明の球払い出し装置が遊技機に備えられるものであることは明らかであり、本願発明は、その遊技機を発明の対象としたにすぎない。

4-2.相違点2について

本願発明の「被検出部」は、払い出し球数をカウントするためのものであることが、本願明細書では説明されている。
これに対し、球払い出し装置で払い出す遊技球をカウントする手段として、遊技球の払い出しに伴って回転する部材に被検出部を設け、当該被検出部を用いて同部材の回転を検出し、払い出す遊技球をカウントすることは周知の技術である(原査定の拒絶の理由に引用された、実願昭58-203557号(実開昭60-109687号)のマイクロフィルム、特開平5?23427号公報参照)。
引用発明は、検出器25として示されているように、払い出す遊技球をカウントする手段を有しているから、その手段に代えて、部品点数や組付工数の削減、コンパクト化といった当業者に自明の課題のために上記周知技術を用いることは、単なる均等手段による置換にすぎない。その置換にあたって、引用発明では停止回転体が遊技球の払い出しに伴って回転するから、当該停止回転体に「被検出部」を設けるようにすることは、当業者であれば設計的に為し得たことである。また、設けるべき被検出部の数は、払い出す遊技球の個数に対応する必要があることは明らかであって、引用発明は2個の玉切回転体の切欠部に対応して遊技球が払い出されるものであること、及び、引用発明で設けられている「突部」の数が、払い出す遊技球の個数に対応するため2個の玉切回転体の切欠部の総数に相当する数とされていることからみて、停止回転体に設ける被検出部の数を、2個の玉切回転体の切欠部の総数に相当する数とすることも当業者であれば設計的に為し得たことである。
したがって、相違点2に係る本願発明の如く「回転盤の外周縁部に、1対の球切り体の各複数個の球受部の総数に相当する数の被検出部が設けられる」ようにすることは、当業者が容易に為し得たことである。

4-3.相違点3について

引用発明の停止回転体は、2個の玉切回転体の間に配置されているものであり、その大きさは、パチンコ玉を仕切ることができる程度のものと認められる(第1引用刊行物の【図4】等)。当該停止回転体のみを2個の玉切回転体の間に配置し、仕切壁の機能を果すようにすることは、適宜に為し得たことにすぎない。
したがって、相違点3に係る本願発明の如く、停止回転体(回転盤)が「1対の球切り体の球受部の遊技球を仕切る仕切壁としての機能」を有するようにすることは、当業者が容易に為し得たことである。

審判請求人は、本願発明の回転盤が被検出部としての機能と仕切壁としての機能とを兼ね備えることで、「部品点数や組付工数を削減することができるとともに、球通路の外側に露出して回転盤を配置する必要もないため、球払い出し装置をコンパクト化することができる等」の作用効果を主張している。しかし、部品点数や組付工数の削減、コンパクト化は当業者に自明の課題にすぎないし、そのために、上で検討した相違点2に係る回転盤に被検出部を設ける構成と、相違点3に係る1対の球切り体の間に回転盤のみを配置する構成とをそれぞれ採用することに、格別の技術的困難があるとは認められない。
そして、相違点1?3に係る本願発明の構成を採用したことにより、本願発明が新たに相乗的な作用効果を奏するに至ったものとも認められない。本願発明の効果は、引用発明、及び本願出願前の周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

本願請求項1に係る発明は、引用発明、及び、本願出願前の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


5.むすび

したがって、本願請求項1に係る発明は、第1引用刊行物に記載された発明、及び本願出願前の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-05-18 
結審通知日 2007-05-22 
審決日 2007-06-06 
出願番号 特願平5-196245
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米津 潔塩崎 進  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 林 晴男
榎本 吉孝
発明の名称 遊技機  
代理人 岡田 英彦  
代理人 福田 鉄男  
代理人 犬飼 達彦  
代理人 石岡 隆  
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