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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01L
管理番号 1161342
審判番号 不服2005-1242  
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-01-20 
確定日 2007-07-19 
事件の表示 平成11年特許願第156121号「挟み込み防止装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年12月15日出願公開、特開2000-346718〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 理 由
1 手続の経緯 ・本願発明
本願は、平成11年6月3日に出願されたものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年2月12日付け手続補正書及び平成16年8月5日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】移動部材と、前記移動部材と当接する当接部材とを有し、前記移動部材の移動により開閉される開閉部と、前記移動部材または当接部材は、少なくとも一方に、中空状部分を有する弾性体を介して配設された圧電センサとを有し、前記圧電センサからの出力により、前記開閉部の開閉を制御する制御手段を有する挟み込み防止装置において、前記移動部材の移動により、物体が前記圧電センサ又は前記弾性体に接触した場合には、接触前の前記弾性体の中空状部分に前記圧電センサが達することを特徴とする挟み込み防止装置。」

2 引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前である1996年11月13日(平成8年11月13日)に英国にて頒布された刊行物である英国特許出願公開第2300732号明細書(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が図面と共に記載されている。

(1)「The sensor of this type could be mounted in or near a glass run channel for a window pane of an automobile, to provide anti-trap protection. Such an anti-trap system could be used to prevent undue injury being caused in the event of, for example, a finger being caught between a rising glass pane and the window frame. Once the trap has been detected, the circuitry can ensure that the current to the motor is reversed so that the glass backs off quickly before excessive force is applied for too long to the trapped article.
Understandably, the cable must be mounted in an area where it will be exposed to the applied force during a trap situation.
According to the present invention there is provided a window sealing system with provision to prevent an object from being dangerously trapped by a closing window pane, the system comprising:
a mounting portion which is relatively rigid;
a sealing element capable of abutting a window pane when the latter is in a closed position;
a hollow bulbous portion, as viewed in crosssection, carried by the mounting portion, the bulbous portion being relatively flexible compared to the mounting portion; and
an elongate sensor comprising a piezo-electric cable secured in a channel provided in a region of the bulbous portion remote from the mounting portion, the sensor being connectable to external circuitry for controlling movement of the window pane;
the arrangement being such that, in use, in the event of an object being struck by a closing window pane, the object strikes the bulbous portion which activates the piezo-electric cable to generate a signal to the external circuitry to stop and then reverse the motor, before the object is forced as far as the rigid mounting portion.
In practice it can be appreciated that when an object is trapped between the window pane and the sealing system, then the bulbous portion is deformed which causes the cable thereby to be bent/stretched, and the resulting signal is used to stop and then reverse the electric motor so as to release the trap」(明細書第1頁第21?第2頁第26行目)
(和訳)「この形式のセンサーは、挟込み防止のために自動車の窓ガラス用通路の近傍に取り付けられる。そのような挟込み防止装置は、例えば、指が上昇する窓ガラスと窓枠との間に挟まれようとしている場合に発生するけがを防止するために用いられるものである。挟込みが検出されるとすぐに、回路は、モーターへの電流を反転させることを確実に行い、挟まれた物体に長時間の過度の力がかかる前に、窓ガラスは、直ちに後退する。
当然のことながら、ケーブルは、挟込みの際に加えられる力を受ける場所に取り付けなければならない。
本発明によれば、次の構成から成る、閉じている窓ガラスにより、危険に挟まれる物体を保護するための装置を有する窓のシーリングシステムを提供する:
相対的に固い固定部材;
窓ガラスが閉位置にあるときに、窓ガラスに隣接するシーリング部材;
固定部材に比べて相対的に柔らかくできており、固定部材により支えられている断面形状において空洞を有する球根状の部分(当審注:以下、「球根状部」と同じ。);及び、
その窓ガラスの移動を制御する外部回路に接続されており、固定部材から離れた前記球根状部の領域に固定された圧電ケーブルからなる細長状のセンサー;
これらは、閉じている窓ガラスに物体が突き当たった場合には、前記物体が固い固定部材の所までに押し進められる前に、前記物体は、モーターの停止と反転をさせるための外部回路への信号を発生させるように圧電ケーブルを起動する球根状部に突き当たる。
実際には、物体が窓ガラスとシーリングシステムとの間に物体が挟まれたときに、球根状部が変形し、その結果ケーブルが曲がる/伸展する。そして、発生した信号は、挟まれたものを開放するように電気モーターを停止し、反転駆動する。」

(2)「With regard to Figure 2 first, second and third metallic body components 5, 6 and 7 of an automobile are shown. The first and second components 5, 6 serve to form a flange and the second and third components 6, 7 define a channel intended to accommodate a glass run channel of the sealing system. The sealing system is generally indicated by the reference numeral 8 and the system 8 includes a mounting portion 9 formed of an elastomeric material embedded in which is a steel reinforcing core 10, the mounting portion 9 being formed with traditional ribs 11 and protuberances 12 to enable the mounting portion 9 to be securely fitted on the flange 5, 6. On the opposite side of the sealing system 8 is a glass run channel 13 defined by other elastomeric components and provided with sealing lips 14, with those regions which are likely to contact a glass pane 16 being provided with flock 15.
Also provided in the sealing system 8 is a bulbous portion generally indicated by the reference numeral 17 which includes a large hollow region 18. A part of the bulbous portion 17 remote from the mounting portion 9 is provided with a channel 19 securely located in which is a piezo-electric cable 20 which has been fitted into the channel 19, through a slit 21 which, once the cable 20 has been secured in the channel 19, has been sealed, for example with a suitable adhesive.」(明細書第5頁第1?26行目)
(和訳)「第2図に関し、第1、2及び3の自動車の金属本体部分5、6、7が示されている。第1及び2の部分5、6は、フランジを形成する役目を有し、第2及び3の部分6、7は、シーリングシステムの窓ガラス受入溝に対応する溝を規定している。シーリングシステムは、番号8により全体が示されており、システム8は、鋼製補強芯10が組み込まれており、弾性材料から成る固定部材9を有している。固定部材9には、フランジ5、6に確実に取り付けるための典型的なリブ11や隆起部12を有している。シーリングシステム8の反対側には、他の弾性部材により規定され、シーリング・リップ部14やフロッキー加工部15を有しており、窓ガラス16に接触する見込みの領域を有している窓ガラス受入溝13がある。
また、大きな空洞領域18を含んでいる参照番号17で全体が示される球根状部も、シーリングシステム8に具備されており、固定部材9から離れたところにある球根状部17の一部には、ケーブル20がチャンネル19に固定されるとすぐに適宜の接着剤のようなものにより閉ざされるスリット21を通して、チャンネル19に収められ、適宜の接着剤のようなものにより封止される圧電ケーブル20がしっかりと設置されたチャンネル19が設けられる。」

(3)「In use of the embodiment illustrated in Figure 2, if an object such as a finger is near the sealing system as the glass pane 16 advances towards the glass run channel 13 the object will be caused to strike the bulbous portion 17 which will cause bending or stretching to be applied to the cable 20 which can generate a signal to operate the external circuitry to cause the electric motor powering the window pane to stop and then reverse. This action however takes a finite amount of time and the window pane 16 will continue, at least for a short time, to move towards the glass run channel 13. However, in view of the flexible nature of the bulbous portion, further movement of the trapped article towards the relatively rigid mounting portion 9 can be safely accommodated by the collapse of the bulbous portion 17.」(明細書第5頁第34行目?第6頁第13行目)
(和訳)「第2図に描写された実施例を使用すると、窓ガラス16が窓ガラス受入溝13方向に移動したときに、指のような物体がシーリングシステムの近くにある場合は、前記物体は、球根状部17に突き当てられ、前記球根状部17は、ケーブル20を曲げるか、又は、伸展し、前記ケーブル20は、外部回路に、窓ガラスを停止させ、反転駆動させるための信号を発生する。この動作には所定の時間がかかり、少なくとも短時間は、窓ガラス16は、窓ガラス受入溝13の方に移動し続ける。しかしながら、球根状部の弾性を考慮すると、相対的に堅い固定部材9のほうへの挟まれた物体によるそれ以上の動きは、球根状部17の潰れにより安全に適応される。」

(4)図面の第2図には、球根状部17内の空洞領域18の断面積が、前記球根状部17における圧電ケーブル20を囲む断面領域に比べて大きく描かれている。

そうすると、上記摘記事項(2)の記載「第2図に関し、第1、2及び3の自動車の金属本体部分5、6、7が示されている。第1及び2の部分5、6は、フランジを形成する役目を有し、第2及び3の部分6、7は、シーリングシステムの窓ガラス受入溝に対応する溝を規定している。シーリングシステムは、番号8により全体が示されており、システム8は、鋼製補強芯10が組み込まれており、弾性材料から成る固定部材9を有している。フランジ5、6に固定部材9を確実に取り付けるための典型的なリブ11や隆起部12を有している。シーリングシステム8の反対側には、他の弾性部材により規定され、シーリング・リップ部14やフロッキー加工部15を有しており、窓ガラス16に接触する見込みの領域を有している窓ガラス受入溝13」からみて、金属本体部分5、6、7により規定される窓ガラス受入溝13に窓ガラス16が進入し、当接することが読み取れ、金属部分5、6、7により窓枠が構成されていることが読み取れる。
また、上記摘記事項(1)の記載「固定部材に比べて相対的に柔らかくできており、中が空洞となっており、固定部材により支えられている球根状部」、及び、上記摘記事項(2)の記載「弾性材料から成る固定部材9」からみて、球根状部17は、その中に空洞領域18を有し、弾性を有していることが読み取れる。
そして、上記摘記事項(1)の記載「固定部材により支えられている球根状部」、「固定部材から離れた前記球根状部の領域に固定された圧電ケーブルからなる細長状のセンサー」、及び、上記摘記事項(2)の記載「シーリングシステムは、番号8により全体が示されており、システム8は、鋼製補強芯10が組み込まれており、弾性材料から成る固定部材9を有している。固定部材9には、フランジ5、6に確実に取り付けるための典型的なリブ11や隆起部12を有している。」からみて、金属本体部分5、6、7よりなる窓枠には、球根状部17を介して圧電ケーブル20が配設されていることが読み取れる。
また、上記摘記事項(3)の記載「窓ガラス16が窓ガラス受入溝13方向に移動したときに、指のような物体がシーリングシステムの近くにある場合は、前記物体は、球根状部17に突き当てられ、前記球根状部17は、ケーブル20を曲げるか、又は、伸展し、前記ケーブル20は、外部回路に、窓ガラスを停止させ、反転駆動させるための信号を発生する」からみて、外部回路は、圧電ケーブル20からの信号により窓ガラス16の開閉を制御する機能を有することが読み取れる。
したがって、上記摘記事項(1)?(4)によると、引用例1には、「窓ガラス16と、前記窓ガラス16と当接する金属本体部分5、6、7よりなる窓枠と、前記金属本体部分5、6、7よりなる窓枠には、空洞領域18を有し、弾性を有している球根状部17を介して配設された圧電ケーブル20と、前記圧電ケーブル20からの信号により前記窓ガラス16の開閉を制御する機能を有する外部回路とを有する閉じている窓ガラスにより、危険に挟まれる物体を保護する窓のシーリングシステムにおいて、前記窓ガラス16が前記窓枠方向に移動したときに、物体がシーリングシステムの近くにある場合は、前記物体は、前記球根状部17に突き当てられ、前記球根状部17は、変形するとともに、前記圧電ケーブル20を曲げるか、又は、伸展するものであって、球根状部17内の空洞領域18の断面積は、前記球根状部17における圧電ケーブル20を囲む断面領域に比べて大きく形成されていることを特徴とする閉じている窓ガラスにより、危険に挟まれる物体を保護する窓のシーリングシステム。」(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

3 対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「窓ガラス16」は、本願発明の「移動部材」に相当し、以下同様に、「金属本体部分5、6、7よりなる窓枠」は、「当接部材」に、「空洞領域18を有し、弾性を有している球根状部17」は、「中空部分を有する弾性体」に、「圧電ケーブル20」は、「圧電センサ」に、「閉じている窓ガラスにより、危険に挟まれる物体を保護する窓のシーリングシステム」は、「挟み込み防止装置」に、各々相当する。
(2)引用発明の「窓ガラス16」は、外部回路により移動されて開閉されるものであることから、引用発明の窓ガラス16の移動により開閉される部分が、本願発明の「開閉部」に相当する。
(3)引用発明の「前記圧電ケーブル20からの信号により窓ガラス16の開閉を制御する機能を有する外部回路」は、本願発明の「前記圧電センサからの出力により、前記開閉部の開閉を制御する制御手段」に相当する。
(4)引用発明の「前記窓ガラス16が前記窓枠方向に移動したときに、物体がシーリングシステムの近くにある場合は、前記物体は、前記球根状部17に突き当てられ、前記球根状部17は、変形するとともに、前記圧電ケーブル20を曲げられるか、又は、伸展し、球根状部17内の空洞領域18の断面積が、前記球根状部17における圧電ケーブル20を囲む断面領域に比べて大きく形成されている」ことと、本願発明の「前記移動部材の移動により、物体が前記圧電センサ又は前記弾性体に接触した場合には、接触前の前記弾性体の中空状部分に前記圧電センサが達する」こととは、ともに、「前記移動部材の移動により、物体が前記圧電センサ又は前記弾性体に接触した場合には、前記弾性体が変形する」という点で共通する。

したがって、両者は、
【一致点】
「移動部材と、前記移動部材と当接する当接部材とを有し、前記移動部材の移動により開閉される開閉部と、前記移動部材または当接部材は、少なくとも一方に、中空状部分を有する弾性体を介して配設された圧電センサとを有し、前記圧電センサからの出力により、前記開閉部の開閉を制御する制御手段を有する挟み込み防止装置において、前記移動部材の移動により、物体が前記圧電センサ又は前記弾性体に接触した場合には、前記弾性体が変形することを特徴とする挟み込み防止装置。」
である点で一致し、次の相違点で相違する。
【相違点】
移動部材の移動により、物体が前記圧電センサ又は前記弾性体に接触した場合には、前記弾性体が変形する点について、本願発明では、「接触前の前記弾性体の中空状部分に前記圧電センサが達するもの」であるのに対して、引用発明では、そのようなものであるかどうか明確でない点。

4 当審の判断
上記相違点について検討する。
引用発明では、「窓ガラス16が窓枠方向に移動したときに、物体がシーリングシステムの近くにある場合は、前記物体は、前記球根状部17と突き当てられ、前記球根状部17は、変形する」ものであるから、物体が球根状部17に突き当てられる位置や突き当てられる方向に応じて、球根状部17には様々な変形が生じるものと解される。そして、例えば、引用例1の第2図において、指等の物体が、球根状部17の上部略中央部の位置であって、かつ、下向きに突き当てられた場合には、球根状部17の空洞領域18の断面積が大きく形成されているものであるから、球根状部17は、上下方向に潰れて、かつ、左右方向に拡がるように変形するものと解され、この変形により、圧電ケーブル20は、変形前の空洞領域18が占有していた領域部分に達することが容易に理解できる。
そうすると、引用発明において、球根状部17、空洞領域18及び圧電ケーブル20の形状配置を変更することにより、上記のような変形を積極的に生ぜしめて、本願発明のように構成することは、当業者が容易になし得たものである。
そして、本願発明の奏する効果についても、引用例1の記載事項に基づいて当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって、本願発明は引用発明及び技術常識に基づいて容易に発明できたものである。

なお、審判請求人は、請求の理由において、「引用文献2(当審注:「引用例1」と同じ。)に記載された発明において、第2図における「elongate sensor 20」の形状を考慮すれば、「elongate sensor 20」が変形する際に「a large hollow region 18」内まで変形していくことは明らかであると認定されておられますが、これには次の理由から承服しかねる次第であります。
すなわち、引用文献2に記載のanti-trapセンサ圧電ケーブルとガラス窓シーリングシステムには、物が窓ガラス16により挟み込まれた際にelongate sensor 20が変形する動作の経緯が全く記載されていないので、審査官殿が認定されましたように、例えelongate sensor 20の形状を考慮したとしても「a large hollow region 18」内までelongate sensor 20が変形していくことが明らかではないと存じます。
本審判請求人は、引用文献2のfig2に物が窓ガラス16により挟み込まれた形態を付加した次の図1?図2を以って、力学的にelongate sensor 20が変形する経緯を推測しますと、次のような変形をするのではないかと考えます。
図1は、シーリング8の膨出部17の材質より硬い物が、窓ガラス16により挟み込まれた場合を示し、硬い物が膨出部17の先端とフランジ7の先端との間に斜めに乗り、閉じてきた窓ガラス16により硬い物が挟み込まれると、窓ガラス16がフランジ7に近い点、膨出部17の先端がフランジ7の先端より高位置である点、膨出部17のフランジ7に面した側の面が、反対側の面より傾斜している点のために、フランジ7の部分を支点に硬い物が矢印方向へ動き、この動いた硬い物を介しての力を受けた膨出部17は、点線で示すように図面上で左側へ逃げた変形をすることになり、そして膨出部17と同様にelongate sensor 20も図面上で左側へ逃げた変形をするものと考えます。
図2は、シーリング8の膨出部17の材質より柔軟な物が、窓ガラス16により挟み込まれた場合を示し、柔軟物が膨出部17の先端とフランジ7の先端との間に斜めに乗り、閉じてきた窓ガラス16により柔軟物が挟み込まれると、窓ガラス16がフランジ7に近い点、膨出部17の先端がフランジ7の先端より高位置である点、膨出部17のフランジ7に面した側の面が、反対側の面より傾斜している点があっても、柔軟物は窓ガラス16の力を受けて点線で示すように変形し、この変形の際に膨出部17も左側方向への力を受けるものの、柔軟物より硬いので殆ど変形をしないものと考えます。
以上ご説明しましたように引用文献2のfig2において、物が窓ガラス16により挟み込まれた場合の推定によるものではありますが、シーリング8の中空部位18を有する膨出部17の変形は種々のケースにより、まちまちであり、それ故にシーリング8の中空部位18を有する膨出部17の先端にあるelongate sensor 20も膨出部17と同じような動きになり、審査官殿が認定されておられますような特定の変形をすると推定されるのには無理があるように存じます。」と主張している。

しかしながら、上記主張は、挟まれた物体がある特定の方向にある場合のみの検討に基づくものであり、例えば、上記説示のとおり、引用例1の第2図において、指等の物体が、球根状部17の上部略中央の位置であって、かつ、下向きに突き当てられた場合には、圧電ケーブル20は変形前の空洞領域18が占有していた領域部分が達するような変形が生じることとなる。
したがって、審判請求人の上記主張は採用できない。

5 むすび
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-05-21 
結審通知日 2007-05-22 
審決日 2007-06-04 
出願番号 特願平11-156121
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松浦 久夫  
特許庁審判長 杉野 裕幸
特許庁審判官 居島 一仁
山川 雅也
発明の名称 挟み込み防止装置  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 永野 大介  

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