ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C01B 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C01B 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C01B |
---|---|
管理番号 | 1161540 |
審判番号 | 不服2004-7183 |
総通号数 | 93 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-04-08 |
確定日 | 2007-07-26 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第180799号「オゾン発生装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 1月27日出願公開、特開平10- 25104〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成8年7月10日の出願であって、平成16年3月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、期間内の同年4月28日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成16年4月28日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年4月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)本件補正 本願出願人は、審判請求時の平成16年4月28日付けの手続補正書により明細書の全文を補正し、この補正は、特許請求の範囲の請求項4を、 「【請求項4】 接地電極および高圧電極を誘電体を介して対向配置し前記電極間に高電圧を印加して放電を発生させる放電体を有し、前記電極間に酸素を含む原料ガスを供給して前記放電によりオゾンを発生させるオゾン発生装置において、前記放電体は、放電面が平面状の前記接地電極、前記接地電極の片面または両面に設けられると共に放電面が前記接地電極の前記放電面に平行な平面状の複数の高圧電極、前記高圧電極の前記放電面に密着され、且つ、前記高圧電極の全端部を越えて延在する前記誘電体から構成された複数の放電セルを有することを特徴とするオゾン発生装置。」 とする補正(以下、「補正a」という。)と、 特許請求の範囲の請求項8を、 「【請求項8】 前記複数の放電セルは、当該放電セルの外周部から前記原料ガスを流入させ、且つ、前記複数の放電セルの中心部から前記オゾンガスを取り出すことを特徴とする請求項1または請求項4記載のオゾン発生装置。」 とする補正(以下、「補正b」という。)を含むものであり、 これらの補正について以下検討する。 (2)補正aについて 補正aは、「前記高圧電極の前記放電面に密着され、且つ、前記高圧電極の全端部を越えて延在する前記誘電体から構成された複数の放電セルを有する」という事項を明細書に記載することを含む補正であり、ここで、「前記高圧電極」は、この事項の直前に記載されている「複数の高圧電極」のことであり、「前記高圧電極の全端部」とは、「複数の高圧電極の全ての端部」を意味すると解せるから、補正aにより明細書に記載された事項は「複数の高圧電極の放電面に密着され、且つ、複数の高圧電極の全ての端部を超えて延在する誘電体から構成された複数の放電セルを有する」という構成を含む補正といえる。 しかしながら、本願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、複数の高圧電極の放電面のそれぞれに密着された複数の誘電体から構成された複数の放電セルを有することについて記載されているものの、上記構成について直接的な記載は見あたらず、かつ、上記構成が当初明細書等に記載された事項から自明であるともいえない。 本願出願人は、補正aに関して審判請求の理由に「この新たな付加要件は、表現を変えると、前記高圧電極は前記誘電体より小さい面積を有し、且つ前記誘電体の端部からはみ出ないように前記誘電体に密着されている状態を言うものである。・・・なおかかる構成は、本願願書に添付された図1(30aと300a)およびその他の図に明示されている。」と主張している。そこで、当初明細書等の図1およびその他の図をみると、高圧電極に相当する「導電膜30a」は、「誘電体300a」より面積が小さく、「誘電体」に密着している構成は窺えるが、「複数の導電膜30a,30b,30c」に密着し、「複数の導電膜30a,30b,30c」の全ての端部を超えて延在する誘電体の構成は窺えない。 そうすると、補正aにより明細書に記載された事項は、当初明細書等に記載された事項の範囲内の事項であるということはできないから、補正aは、平成18年改正前特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 (3)補正bについて 本件補正前の平成15年4月25日提出の手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲、及び本件補正後の特許請求の範囲は、それぞれ以下のとおりである。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 接地電極および高圧電極を誘電体を介して対向配置し前記電極間に高電圧を印加して放電を発生させる放電体を有し、前記電極間に酸素を含むガスを供給して前記放電によりオゾンを発生させるオゾン発生装置において、前記放電体は、放電面が平面状の前記接地電極、前記接地電極の片面または両面に設けられると共に放電面が前記接地電極の前記放電面に平行な平面状の複数の高圧電極、前記接地電極の前記放電面または前記高圧電極の前記放電面に密着された前記誘電体から構成された複数の放電セルを有することを特徴とするオゾン発生装置。 【請求項2】 前記高圧電極は、導電膜の片面に前記誘電体が密着された誘電体高圧電極であることを特徴とする請求項1記載のオゾン発生装置。 【請求項3】 前記接地電極は、前記複数の高圧電極が対向設置された面が多角形状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のオゾン発生装置。 【請求項4】 前記高圧電極、または前記高圧電極と給電板とは保持具により前記接地電極に保持されたことを特徴とする請求項1記載のオゾン発生装置。 【請求項5】 接地電極および高圧電極を誘電体を介して対向配置し前記電極間に高電圧を印加して放電を発生させる放電体を有し、前記電極間に酸素を含むガスを供給して前記放電によりオゾンを発生させるオゾン発生装置において、前記放電体の複数個が、前記接地電極の側面に設けられたフックおよび/または前記放電体に含まれる前記接地電極の非放電面に設けられた貫通孔に挿通された結合棒により多段に積層されたことを特徴とするオゾン発生装置。 【請求項6】 前記積層体は、前記放電体の複数個が積層されて交換単位となるブロックの複数個が積層されたものであることを特徴とする請求項5記載のオゾン発生装置。 【請求項7】 前記放電体の複数個は、水平方向または垂直方向に積層されたことを特徴とする請求項5または請求項6記載のオゾン発生装置。 【請求項8】 前記放電体のそれぞれは、放電面が平面状の前記接地電極、前記接地電極の片面または両面に設けられると共に放電面が前記接地電極の前記放電面に平行な平面状の複数の高圧電極、前記接地電極の前記放電面および/または前記高圧電極の前記放電面に密着された前記誘電体から構成された複数の放電セルを有することを特徴とする請求項5?請求項7のいずれか一項記載のオゾン発生装置。」及び 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 接地電極および高圧電極を誘電体を介して対向配置し前記電極間に高電圧を印加して放電を発生させる放電体を有し、前記電極間に酸素を含む原料ガスを供給して前記放電によりオゾンを発生させるオゾン発生装置において、前記放電体は、放電面が平面状の前記接地電極、前記接地電極の片面または両面に複数個設けられると共に放電面が前記接地電極の前記放電面に平行な平面状の複数の高圧電極、前記接地電極の前記放電面または前記高圧電極の前記放電面に密着された前記誘電体から構成された複数の放電セルを有し、前記複数個の放電体のそれぞれは、前記接地電極の側面に設けられたフックおよび/または前記放電体に含まれる前記接地電極の非放電面に設けられた貫通孔に挿通された結合棒により積層体を構成したことを特徴とするオゾン発生装置。 【請求項2】 前記積層体は、前記放電体の複数個が積層されて交換単位となるブロックの複数個が積層されたものであることを特徴とする請求項1記載のオゾン発生装置。 【請求項3】 前記複数個の放電体は、水平方向または垂直方向に積層されたことを特徴とする請求項1記載のオゾン発生装置。 【請求項4】 接地電極および高圧電極を誘電体を介して対向配置し前記電極間に高電圧を印加して放電を発生させる放電体を有し、前記電極間に酸素を含む原料ガスを供給して前記放電によりオゾンを発生させるオゾン発生装置において、前記放電体は、放電面が平面状の前記接地電極、前記接地電極の片面または両面に設けられると共に放電面が前記接地電極の前記放電面に平行な平面状の複数の高圧電極、前記高圧電極の前記放電面に密着され、且つ、前記高圧電極の全端部を越えて延在する前記誘電体から構成された複数の放電セルを有することを特徴とするオゾン発生装置。 【請求項5】 前記高圧電極は、導電膜の片側に前記誘電体が密着された誘電体高圧電極であることを特徴とする請求項4記載のオゾン発生装置。 【請求項6】 前記接地電極は、前記複数の高圧電極が対向設置された面が多角形状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項4記載のオゾン発生装置。 【請求項7】 前記高圧電極、または前記高圧電極と給電板とは、保持具により前記接地電極に保持されたことを特徴とする請求項1または請求項4記載のオゾン発生装置。 【請求項8】 前記複数の放電セルは、当該放電セルの外周部から前記原料ガスを流入させ、且つ、前記複数の放電セルの中心部から前記オゾンガスを取り出すことを特徴とする請求項1または請求項4記載のオゾン発生装置。」 そして、本件補正の前後で、特許請求の範囲に記載された各請求項に係る発明を比較すると、補正後の請求項1は、補正前の請求項5に補正前の請求項8に記載された「前記放電体のそれぞれは、放電面が平面状の前記接地電極、前記接地電極の片面または両面に設けられると共に放電面が前記接地電極の前記放電面に平行な平面状の複数の高圧電極、前記接地電極の前記放電面および/または前記高圧電極の前記放電面に密着された前記誘電体から構成された複数の放電セルを有する」という事項が付加されていることから、本件補正によって、補正後の請求項1には、補正前の請求項5に係る発明に請求項8に記載の事項による限定を付加した発明が記載されているといえ、同様に、補正後の請求項2,3には、それぞれ補正前の請求項6,7に係る発明に請求項8に記載の事項による限定を付加した発明が記載されているといえる。また、補正後の請求項4に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明に、「誘電体」について「高圧電極の全端部を越えて延在する」との限定がされた発明となっていることから、本件補正によって、補正後の請求項4には、補正前の請求項1に係る発明を限定した発明が記載され、同様に、補正後の請求項5?7には、それぞれ補正前の請求項2?4に係る発明を限定した発明が記載されているといえる。これらのことからみて、本件補正は、補正前の請求項1?7に係る発明を限定して、補正後の請求項1?7に記載する補正を含み、この補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。 しかしながら、残りの補正前の請求項8に係る発明と、補正後の請求項8に係る発明とを比較すると、補正前の請求項8は請求項5?7を引用しており、補正前の請求項5は少なくとも発明を特定するための事項として「前記放電体の複数個が、前記接地電極の側面に設けられたフックおよび/または前記放電体に含まれる前記接地電極の非放電面に設けられた貫通孔に挿通された結合棒により多段に積層された」という事項を含むことから、補正前の請求項8に係る発明は、少なくとも前記事項を構成として有する発明であるのに対して、補正後の請求項8は請求項1または請求項4を引用し、「複数の放電セル」について「当該放電セルの外周部から前記原料ガスを流入させ、且つ、前記複数の放電セルの中心部から前記オゾンガスを取り出す」との限定をする請求項であるところ、補正後の請求項4には前記事項は記載されておらず、補正後の請求項8に係る発明は構成に前記事項を有していないから、本件補正の請求項8についてする補正は、補正前の請求項8に係る発明の構成の一部を削除して請求項8に記載する補正を含むものであり、この補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえず、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものでないことも明らかである。 そうすると、請求項8についてする補正bは、平成18年改正前特許法第17条の2第4項各号に掲げられた、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれをも目的とするものではない。 (4)むすび 以上のとおりであるから、平成16年4月28日付けで提出された手続補正書によりなされた補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正a、及び同法第17条の2第4項の規定に違反してなされた補正bを含むものであるから、その余のことを検討するまでもなく、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成16年4月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?8に係る発明は、平成15年4月25日提出の手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 接地電極および高圧電極を誘電体を介して対向配置し前記電極間に高電圧を印加して放電を発生させる放電体を有し、前記電極間に酸素を含むガスを供給して前記放電によりオゾンを発生させるオゾン発生装置において、前記放電体は、放電面が平面状の前記接地電極、前記接地電極の片面または両面に設けられると共に放電面が前記接地電極の前記放電面に平行な平面状の複数の高圧電極、前記接地電極の前記放電面または前記高圧電極の前記放電面に密着された前記誘電体から構成された複数の放電セルを有することを特徴とするオゾン発生装置。」 (2)先願発明 原査定の理由で引用された先願(出願1):特願平8-94601号(出願日:平成8年3月12日、公開日:平成9年9月22日、発明者及び出願人:前園 一郎、特開平9-249403号公報参照。)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「中空円柱状電極の放電端は中心軸に対して垂直に切断してある・・・平板状電極上に密着して設けられた誘電体に対して垂直に中空円柱状電極を配置し・・・中空円柱状電極の切断面と誘電体表面とは平行になるように配置する.・・・平板状電極の構造は,中空円柱状電極と相対する側は平板状とし・・・ガスは酸素または酸素を含有した乾燥気体を用いる.」(公開公報の第2欄第4?5,14?15,17?18,22?23,28?29行、段落【0004】) (イ)「オゾン発生装置の構成にあたっては,複数個の中空円柱状電極を取付けた該絶縁板を,平板状電極上に設けた誘電体上の周囲に配置したパッキング上に置き,該絶縁板と該平板状電極の周囲を一定間隔でボルトとナットで締め付けて固定する.」(公開公報の第2欄第32?36行、段落【0004】) (ウ)「中空円柱状電極と平板状電極間に高電圧を印加すると・・・コロナ放電が発生する.該コロナ放電は低気圧におけるグロー放電と外観が類似して微細な放電となることから,これをグロー状放電と記述している.該中空円柱状電極と該誘電体との間の空隙に形成される放電は無声放電である.・・・ガスはグロー状放電と無声放電の発生領域を必ず通過することになる.このことにより,グロー状放電や無声放電など放電プラズマのガス解離作用を確実にオゾン生成に利用することができる.・・・平板状電極は誘電体を設置する場所としての役目と接地電極としての役割・・・を持っている.」(公開公報の第3欄第2?3,6?10,13?16,24?26行、段落【0005】) (エ)「図1は本発明の基本原理を説明するための概念図である(一部断面図).すなわち,一対の中空円柱状電極1a,1bを絶縁板2に締め付けナット兼放熱端3a,3bで取り付け,該絶縁板2を誘電体4上の周囲に設けたパッキング5上に置いて,該絶縁板2と平板状電極6の周囲を一定間隔でボルト7a,7bとナット8a,8bで締め付ける.」(公開公報の第3欄第32?38行、段落【0006】) (オ)図1には、オゾン発生装置の一部断面図が示され、上記記載事項(エ)の技術事項が窺える。 (3)対比・判断 先願明細書等には、記載事項(イ)、(エ)及び(オ)によれば「複数個の中空円柱状電極を、平板状電極上に設けた誘電体の上に配置したオゾン発生装置」が記載されているといえ、この記載からみれば、中空円柱状電極と平板状電極とは誘電体を介して対向配置されているといえる。 そして、上記「中空円柱状電極」及び「平板状電極」について、記載事項(ア)に「中空円柱状電極の放電端は中心軸に対して垂直に切断してある」及び「平板状電極の構造は,中空円柱状電極と相対する側は平板状とし」と記載され、これらの記載からみて、中空円柱状電極の切断面及び平板状電極の中空円柱状電極と相対する側の面は、それぞれ平面状の放電面であるといえ、また上記「中空円柱状電極」、「平板状電極」及び「誘電体」の配置について、記載事項(ア)に「平板状電極上に密着して設けられた誘電体に対して垂直に中空円柱状電極を配置し・・・中空円柱状電極の切断面と誘電体表面とは平行になるように配置する」と記載され、この記載からみて、誘電体は平板状電極の放電面に密着して設けられ、平板状電極の放電面と中空円柱状電極の放電面とは平行であるといえる。 また、上記「オゾン発生装置」について、記載事項(ウ)に「中空円柱状電極と平板状電極間に高電圧を印加すると・・・該中空円柱状電極と該誘電体との間の空隙に形成される放電は無声放電である」及び「ガスはグロー状放電と無声放電の発生領域を必ず通過する・・・無声放電など放電プラズマのガス解離作用を確実にオゾン生成に利用することができる」と記載されていることからみて、先願明細書等には、上記オゾン発生装置が「中空円柱状電極と平板状電極間に高電圧を印加して放電を発生させること」及び「中空円柱状電極と該誘電体との間にガスを通過させることによりオゾンを生成すること」が記載されているといえ、この記載中の「ガス」について、記載事項(ア)には「ガスは酸素または酸素を含有した乾燥気体を用いる」と記載されている。 これら先願明細書等の記載事項を本願発明の記載振りに則して整理すると、先願明細書等には「平板状電極および中空円柱状電極を誘電体を介して対向配置し前記電極間に高電圧を印加して放電を発生させ、前記電極間に酸素を含有したガスを通過させて前記放電によりオゾンを生成するオゾン発生装置において、放電面が平面状の前記平板状電極、平板状電極の上に設けられると共に放電面が前記平板状電極の前記放電面に平行な平面状の複数の中空円柱状電極、前記平板状電極の前記放電面に密着された前記誘電体を有するオゾン発生装置」の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されているといえる。 そこで、本願発明と先願発明とを対比すると、先願発明の「平板状電極」及び「中空円柱状電極」は、記載事項(ウ)の「中空円柱状電極と平板状電極間に高電圧を印加する」及び「平板状電極は接地電極としての役割を持っている」との記載からみて、それぞれ本願発明の「接地電極」及び「高圧電極」に相当する。 そして、先願発明では「平板状電極および中空円柱状電極を誘電体を介して対向配置し前記電極間に高電圧を印加して放電を発生させ」ていることからみて、先願発明が、本願発明の「放電体」に相当する構成を有することは明らかである。かかる構成においては、先願発明も本願発明と同様に「放電面が平面状の前記平板状電極、平板状電極の上に設けられると共に放電面が前記平板状電極の前記放電面に平行な平面状の複数の中空円柱状電極、前記平板状電極の前記放電面に密着された前記誘電体を有」し、この「複数の中空円柱状電極」と平板状電極との間で放電を発生させているので、放電部分が複数あることは明らかであるから、本願発明と同様に「複数の放電セルを有する」構成であるといえる。 そうすると、本願発明と先願発明との構成に差異はない。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、先願明細書等に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-05-24 |
結審通知日 | 2007-05-29 |
審決日 | 2007-06-11 |
出願番号 | 特願平8-180799 |
審決分類 |
P
1
8・
161-
WZ
(C01B)
P 1 8・ 57- WZ (C01B) P 1 8・ 561- WZ (C01B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 後藤 政博、平塚 政宏 |
特許庁審判長 |
大黒 浩之 |
特許庁審判官 |
森 健一 宮澤 尚之 |
発明の名称 | オゾン発生装置 |
代理人 | 児玉 俊英 |
代理人 | 竹中 岑生 |
代理人 | 村上 啓吾 |
代理人 | 大岩 増雄 |