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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G |
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管理番号 | 1161553 |
審判番号 | 不服2004-23623 |
総通号数 | 93 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-11-18 |
確定日 | 2007-07-26 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第351024号「液晶表示装置、表示装置及び電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 7月 9日出願公開、特開平11-184434〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続きの経緯 本願は、平成9年12月19日の出願であって、平成16年10月19日付け(発送日;同月26日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年12月20日付けで手続補正がなされたものである。 第2.平成16年12月20日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年12月20日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 本件手続補正は、補正前の特許請求の範囲、 「【請求項1】 複数の走査電極と複数の信号電極とが交差配置されて構成され、表示画面の表示領域を部分的に制御する制御回路を有する液晶表示装置において、 前記制御回路は、 前記表示画面における部分表示する行数または列数に対応する情報が設定されたレジスタと、 当該レジスタ内の設定値に基づいて前記部分表示を制御するタイミング信号を形成する回路ブロックと、を有し、 前記タイミング信号より制御された部分表示期間に表示データと当該表示データを転送するクロックとを出力することを特徴とする液晶表示装置。 【請求項2】 請求項1の液晶表示装置であって、 表示領域と非表示領域の区分が前記信号電極によって区分される列方向であって、非表示領域の信号電極への印加電圧を表示がオフとなる電圧に固定する手段と、 非表示領域に対応する表示データの転送を停止させる手段とを備えたことを特徴とする液晶表示装置。 【請求項3】 請求項1の液晶表示装置であって、 表示領域と非表示領域の区分が前記走査電極によって区分される行方向であって、全行に表示する場合と一部分の行に表示する場合とで表示領域の走査電極に選択電圧を印加する時間が同じであることを特徴とする液晶表示装置。 【請求項4】 請求項3の液晶装置であって、表示パネルには画素電極がマトリックス状に形成され画素部を形成してなり、前記画素電極にスイッチング素子が形成されてなり、非表示領域にある行の画素部の液晶への印加電圧をほぼ0Vに書き込む手段を備えていることを特徴とする液晶表示装置。 【請求項5】 請求項1記載の液晶表示装置を含むことを特徴とする電子機器。 【請求項6】 複数の走査電極と複数の信号電極とが交差配置されて構成され、表示画面の表示領域を部分的に制御する制御回路を有する表示装置において、 前記制御回路は、 前記表示画面における部分表示する行数または列数に対応する情報が設定されたレジスタと、 当該レジスタ内の設定値に基づいて前記部分表示を制御するタイミング信号を形成する回路ブロックと、を有し、 前記タイミング信号より制御された部分表示期間に表示データと当該表示データを転送するクロックとを出力することを特徴とする表示装置。」 を、 「【請求項1】 複数の走査電極と複数の信号電極とが交差配置されて構成され、表示画面の表示領域を部分的に制御する制御回路を有する液晶表示装置において、 前記制御回路は、 前記表示画面の表示領域において部分的に表示する部分表示部の列方向の広さと位置を可変できるように前記部分表示部の開始列に対応する値と終了列に対応する値とが分けられて設定される2系列のレジスタと、 当該2系列のレジスタ内の設定値に基づいて前記部分表示を制御するタイミング信号を形成する回路ブロックと、を有し、 前記タイミング信号より制御された部分表示期間に表示データと当該表示データを転送するクロックとを出力し、前記表示画面の先頭列から前記部分表示部の開始列までの非表示部に対応する期間において前記クロックを動作させることを特徴とする液晶表示装置。 【請求項2】 請求項1に記載の液晶表示装置であって、 表示領域と非表示領域の区分が前記信号電極によって区分される列方向であって、非表示領域の信号電極への印加電圧を表示がオフとなる電圧に固定する手段と、 非表示領域に対応する表示データの転送を停止させる手段とを備えたことを特徴とする液晶表示装置。 【請求項3】 請求項1に記載の液晶表示装置であって、 表示領域と非表示領域の区分が前記走査電極によって区分される行方向であって、全行に表示する場合と一部分の行に表示する場合とで表示領域の走査電極に選択電圧を印加する時間が同じであることを特徴とする液晶表示装置。 【請求項4】 請求項3の液晶表示装置であって、表示パネルには画素電極がマトリックス状に形成され画素部を形成してなり、前記画素電極にスイッチング素子が形成されてなり、非表示領域にある行の画素部の液晶への印加電圧をほぼ0Vに書き込む手段を備えていることを特徴とする液晶表示装置。 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶表示装置を含むことを特徴とする電子機器。 【請求項6】 複数の走査電極と複数の信号電極とが交差配置されて構成され、表示画面の表示領域を部分的に制御する制御回路を有する表示装置において、 前記制御回路は、 前記表示画面におけるの表示領域において部分的に表示する部分表示部の列方向の広さと位置を可変できるように前記部分表示部の開始列に対応する値と終了列に対応する値とが分けられて設定される2系列のレジスタと、 当該2系列のレジスタ内の設定値に基づいて前記部分表示を制御するタイミング信号を形成する回路ブロックと、を有し、 前記タイミング信号より制御された部分表示期間に表示データと当該表示データを転送するクロックとを出力し、前記表示画面の先頭列から前記部分表示部の開始列までの非表示部に対応する期間において前記クロックを動作させることを特徴とする表示装置。」 と補正する内容を含むものである。 なお、アンダーラインは、補正箇所を示すために請求人が付したものである。 2.補正の目的の適合性 上記手続補正は、補正前の請求項1及び6に記載された発明を特定するために必要な事項である「レジスタ」について、「表示領域において部分的に表示する部分表示部の列方向の広さと位置を可変できるように前記部分表示部の開始列に対応する値と終了列に対応する値とが分けられて設定される2系列のレジスタ」として限定を付加するとともに、「クロック」について、「表示画面の先頭列から部分表示部の開始列までの非表示部に対応する期間においてクロックを動作させる」として限定を付加し、補正後の請求項1及び6としたものであり、また、請求項1を直接的又は間接的に引用する補正後の請求項2乃至5についても、同様の限定を付加したものである。 したがって、上記手続補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものである。 3.独立特許要件 そこで、本件手続補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下検討する。 3-1.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である国際公開97/22036号(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 1a.「本発明の主要な目的の一つは、単純マトリクス型液晶表示装置等の表示装置の消費電力の削減を図ることにある。 本発明の表示装置の駆動方法の好ましい態様では、非選択時における走査線の電圧レベルが一つのみであり、表示要素を非表示状態とする場合には、その表示要素に対応するデータ線の電圧レベルを、走査線の非選択時の電圧レベルとする。 この駆動方法によれば、走査線に印加する選択電圧の極性を周期的に反転させて画像の表示を行う駆動方式を採用していても、走査線の選択電圧の極性にかかわらず、非選択電圧レベルは常に同じ(一つ)である。よって、データ線の電圧レベルをその走査線の非選択電圧レベルとすることにより、容易に非表示状態を実現できる。 ここで、非表示状態とは表示のオフ状態を意味する。そして、表示のオフ状態の画面は、表示オフモードの画面である。表示オフモードは、極めて低い消費電力を実現するためのモードである。以下の明細書の記載では、主に、「表示オフ状態」,「表示オフモード」ならびに「表示オフモードの画面」という表現を用いる。 本発明では、走査線を非選択電圧としておき、データ線を同じ電圧にすれば、両者間の電圧差がなくなって表示オフ状態(表示オフモード)となる。 非選択電圧レベルが一つであるため、その非選択電圧を発生する電圧源回路の構成が簡素化され、その電圧源回路における消費電力が削減される。また、非選択電圧を周期的に変動させる場合に比べて、データ線電圧を走査線電圧に一致させることが容易となり、走査線とデータ線間の電位差に起因する表示パネルにおける電力消費も低減される。よって、表示装置の消費電力が低減される。 また、データ線の電圧レベルを走査線の非選択電圧レベルに維持した状態で、走査線に選択パルスを入力したとしても、表示オフ状態は維持される。選択期間において走査線を選択するだけでは液晶のしきい値を越えず、表示はなされないからである。 このことを利用すると、データ線に与える電圧を適宜に制御することで、一つの画面において、一部のエリアを表示オフモードとしておき、他のエリアにはアイコン等の所定の表示を行うことが可能となる。 本発明の好ましい態様では、データ線を駆動するための複数のICの各々に表示制御信号を入力し、その表示制御信号により、各々のICのデータ線駆動用出力の少なくとも一部を、走査線の非選択時の電圧レベルとする。 データ線ドライバとして複数のICを用意しておき、各ICを単位としてデータ線駆動出力を、走査線の非選択時の電圧レベルに固定するものである。したがって、そのICが担当するエリアを表示オフ状態(表示オフモード)とすることができる。 また、本発明の好ましい態様では、データ線駆動用出力の少なくとも一部を走査線の非選択時の電圧レベルとすることに対応して、表示データまたは表示データの転送用クロックのうちの少なくとも一つの前記ICへの供給も停止する。 表示オフ状態となるエリア(表示オフモードのエリア)の表示データや、その表示データの転送に用いる高周波クロックの送信を停止することにより、さらに低消費電力化を推進できる。 また、本発明の好ましい態様では、データ線の駆動回路に表示制御信号を入力し、その表示制御信号によってデータ線駆動出力の各々を個別に制御して、所望の駆動出力を選択的に走査線の非選択時の電圧レベルとする。 これにより、表示オフ状態とするエリアを自由に設定することができる。」(明細書2ページ2行?3ページ18行) 1b.「また、本発明の好ましい態様は、N本(Nは2以上の整数)の走査線と、M本(Mは2以上の整数)のデータ線と、走査線に印加される電圧ならびに前記データ線に印加される電圧によって表示状態が制御される複数の表示要素と、走査線の駆動回路と、データ線の駆動回路と、を具備する表示装置の駆動方法であって、走査線の駆動回路に表示制御信号を入力し、その表示制御信号によって、N本の走査線のうちの連続するK本(KはNよりも小さい2以上の整数)の走査線を選択の対象から除外して、(N-K)本の走査線のみを選択の対象として表示を行わせ、かつ、その(N-K)本の走査線の駆動を実行する場合には、N本の走査線の駆動を行う場合に比べて、走査線の選択時の電圧レベルを低くする。 表示オフ状態とするエリアの境界位置を、走査線の配置方向(Y方向)において適宜に決める場合に、表示を行わないエリアを担当するK本の走査線については選択の対象から除外するものである。これによって、表示装置の駆動におけるデューティー(駆動走査線数)が変化し、これに伴って、適正な表示を行うことができる走査線の選択電圧レベルも低くなる。選択電圧レベルを低くする分、電力消費を低減できる。」(明細書5ページ15行?29行) 1c.「(5)第4の実施の形態 表示パネルの一部のエリアを表示オフモードとすることに対応して、そのエリアに関する表示データ(表示オフを示す画像データ)やその画像データの転送用のクロックも停止することにより、さらに表示装置の消費電力を低減することができる。以下、このような動作を実現するための回路構成について説明する。 図7Aに、液晶パネルのデータ線駆動回路の要部構成が示される。このデータ線駆動回路は、走査線を1本ずつ選択していくタイプの駆動方法に用いられるものであり、図5(図1A)の右側に示されるような3つの電圧レベル(VMY1,Vc,VMY2)をデータ線に出力する。 図7Aの回路は、動作タイミングコントローラ200と、データ線駆動用データを一時的に記憶するデータシフトレジスタ210と、ラッチ220と、レベルシフタ230と、3つの電圧レベル(VMY1,Vc,VMY2)のうちから一つを選択する電圧セレクタ240とを具備する。参照番号250は液晶パネルである。 図7A中、XSCLはデータ線駆動用データを転送するためのクロックを示し、LPは選択パルスに相当するパルスであり、YDは1フレーム期間の開始を示す信号であり、DATAはデータ線駆動用のデータであり、DOFFは表示制御信号である。 図7Bに示すように、時刻t1に表示制御信号DOFFが「L」となると、電圧セレクタ240の出力がVcに固定され、液晶パネル250の該当エリアは、表示オフモードとなる。 このとき、表示オフモードの開始に対応させて、図7Aの動作タイミングコントローラ200に供給するデータ線駆動用データ(DATA)ならびに転送用クロック(XSCL)を停止すれば、無駄な電力消費を防止できる。なお、データとクロックのうちのいずれか一つを停止するだけでも、消費電力の削減の効果はある。特に、転送用クロックは高周波信号であり、このクロックを止めることの効果は大きい。 データや転送用クロックの停止は、例えば、液晶表示装置の動作を統括的に制御するマイクロコンピュータの制御によって行われる。 図8Aは、表示オフモードの開始に対応させてデータおよびクロックの双方を停止させる場合の動作を示すタイミングチャートである。図8Aでは、図3Aの例のように、2つの制御信号(DOFF1,DOFF2)により、液晶パネルの一部のエリアを部分的に表示オフモードとすることを想定している。 図8AのようにDOFF1が「H」,DOFF2が「L」の場合には、転送クロック40個分のデータは供給されるが、それ以降のデータ転送(およびクロック供給)は停止されている。 図8Bに示すように、DOFF1,DOFF2が共に「H」となると部分的な表示オフモードは解除され、これに伴ってデータおよびクロックの停止も解除される。 (6)第5の実施の形態 本実施の形態では、表示オフモードとなるエリアの開始位置を自由に設定する。 図9は、そのような表示制御を行うための、データ線ドライバ(Xドライバ)の要部構成の一例を示す。回路構成は、図7Aとほぼ同じであるが、各駆動出力毎の表示制御データ(DOFF)を一時的に記憶する、駆動出力数と同じ段数のシフトレジスタを設けた点、ならびにアンドゲートAD1,AD2・・・ADmを設けたことである。 アンドゲートAD1,AD2・・・ADmは、各駆動出力に対応して設けられており、データ線駆動データ(DATA)と表示制御データ(DOFF)とのアンドをとって出力する機能をもつ。 表示制御データ(DOFF)が「L」の場合には、アンドゲートの出力は所定値に固定され、その固定値のデータがラッチ220に記憶される。その固定値のデータがあると、電圧セレクタ240は、そのデータに対応する駆動出力レベルを上述のVcに固定する。これにより、駆動出力の一つ一つを単位として、表示オフモードとなるエリアの開始位置を自由に設定できる。 図10A,図10Bは、表示制御信号DOFF2のレベルを適宜のタイミングで変化させ、これに対応してデータ転送、クロック供給も停止させて、表示オフモードのエリアを自由に設定する例のタイミングチャートを示す。」(明細書15ページ14行?17ページ11行) 1d.「(9)第8の実施の形態 A.装置構成 マルチライン駆動法を採用し、かつ、表示オフモードとなるエリアを適宜に設定することができる液晶表示装置の構成例を、図17および図18に示す。 まず、図17に示される液晶表示装置の構成について説明する。 モジュールコントローラ2340内のDMA制御回路2344は、マイクロプロセッサ(MPU)2300からの指示を受けると、ビデオRAM(VRAM)2320にアクセスし、システムバス2420を介して、1フレーム分の画像データを読出し、その画像データ(DATA)を、クロック(XCLK)と共にデータ線駆動回路に送る働きをする。 データ線駆動回路(図17中で、一点鎖線で囲んで示してある)は、制御回路2000,入力バッファ2011,フレームメモリ252,出力シフトレジスタ2021,デコーダ258,電圧セレクタ2100を具備する。 なお、参照番号2400は入力用タッチセンサであり、参照番号2410はタッチセンサコントロール回路である。入力用タッチセンサ2400およびタッチセンサコントロール回路2410は、不要な場合には削除してよい。 また、モジュールコントローラ2340内の制御信号発生回路2342は、MPU2300からの指示を受けて、第1の表示制御信号(OFF)を、データ線駆動回路内の制御回路2000に出力する。その第1の表示制御信号(OFF)のレベルに応じて、制御回路2000は、電圧セレクタ2100に供給する第2の表示制御信号(DOFF)のレベルを変化させる。これによって、該当するデータ線の駆動出力が上述の電圧レベルVcに固定され、表示オフモードの画面となる。 また、電源回路(電圧源回路)2420は、データ線駆動回路(Xドライバ)および走査線ドライバ(Yドライバ)2200に所定の電圧を供給する。 次に、図18の液晶表示装置の構成について説明する。 図17の液晶表示装置では、モジュールコントローラ2340を用いてマルチライン駆動(MLS駆動)の制御を行っていたが、図18の液晶表示装置では、データ線駆動回路(図中、一点鎖線で囲んで示される)をマイクロコンピュータのシステムバス2420に直結させ、MPU2300が直接にMLS駆動の制御を行う構成となっている。データ線駆動回路は、インタフェース回路2440,制御回路2450,発振回路2430等を具備している。表示制御信号(DOFF)はインタフェース回路2440を介して制御回路2450へと供給されるようになっている。その表示制御信号(DOFF)のレベルに応じて、適宜に表示オフモードのエリアを設定することができるのは、図17の場合と同様である。 次に、図17,図18に示される電圧セレクタ2100の構成例について、図19を用いて説明する。 図19の電圧セレクタは、図9に示される構成と同様な構成となっている。つまり、表示制御データ(DOFF)を一時的に記憶するシフトレジスタ256と、MLSデコーダ258の出力とシフトレジスタ256の記憶データとを入力とするロジックゲート404,406,408,410,412等を有する。そして、各ロジックゲートの出力によってスイッチSW1?SW5の開閉が制御され、所望の電圧が液晶パネル2250のデータ線に印加される。図9の表示装置と同様に、表示制御データ(DOFF)の値によって、表示オフモードとするエリアの開始位置を、データ線ドライバの各出力を単位として自由に設定できる。」(明細書19ページ9行?20ページ24行) 1e.「(5)複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線に印加される電圧ならびに前記データ線に印加される電圧によって表示状態が制御される複数の表示要素と、前記データ線を駆動するための駆動回路とを具備する表示装置の駆動方法であって、 前記走査線の非選択時の電圧レベルが1つのみであり、 前記データ線の駆動回路に表示制御信号を入力し、その表示制御信号によってデータ線駆動出力の各々を個別に制御して、所望の駆動出力を選択的に前記走査線の前記非選択時の電圧レベルとすることを特徴とする表示装置の駆動方法。 (6)請求項5において、 走査線駆動用出力の各々を個別に制御して、駆動出力を選択的に前記走査線の非選択時の電圧レベルとすることに対応して、表示データまたは表示データの転送用クロックのうちの少なくとも一つの前記データ線の駆動回路への供給も停止することを特徴とする表示装置の駆動方法。 ・・・ (15)複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線に印加される電圧ならびに前記データ線に印加される電圧によって表示状態が制御される複数の表示要素と、前記複数の走査線を駆動するための走査線駆動回路と、前記複数のデータ線を駆動するためのデータ線駆動回路とを具備し、 前記走査線の非選択時の電圧レベルが1つのみであり、 前記データ線駆動回路には表示制御信号が入力され、その表示制御信号によって、前記データ線駆動回路の前記複数の走査線に対応した複数の出力のうちの少なくとも一部を強制的に前記走査線の非選択時の電圧レベルに維持し、それらのデータ線に対応するエリアを非表示状態のエリアとすることを特徴とする表示装置。 (16)請求項15において、 前記データ線駆動回路は、表示データを一時的に記憶する第1の一時記憶回路と、 表示データを一時的に記憶する第2の一時記憶回路と、 前記第1および第2の一時記憶回路から出力される前記表示制御データと前記表示データとをデコードして、前記データ線駆動回路の各出力毎に駆動電圧を決定するデコード回路とを有することを特徴とする表示装置。 (17)請求項15において、 複数の表示制御信号の組合せにより、前記非表示状態となるエリアを指定することを特徴とする表示装置。 ・・・ (19)請求項15において、 1つの画面の中に非表示状態となっているエリアと画像表示が可能なエリアとが存在し、前記画像表示が可能なエリアのサイズは、前記非表示状態となっているエリアのサイズよりも小さいことを特徴とする表示装置。」(「請求の範囲」) 3-2.対比・判断 引用刊行物の前記「1a.」?「1e.」の記載から、次のことが読みとれる。 ・「1a.」、「1c.」、「1d.」及び「1e.」の記載から、複数の走査線と、複数のデータ線とを有するマトリクス型の液晶表示装置に、表示オフモードのエリアを設定するための表示制御データを格納するシフトレジスタを設けるとともに、表示オフモードのエリアに対するデータ線駆動データや転送用クロックの供給を停止するために液晶表示装置の動作を統括的に制御するマイクロコンピュータを備えること。 ・「1a.」及び「1c.」の記載から、「表示オフモードのエリア」とは、表示パネルの 非表示の画面部分を意味すること。 したがって、引用刊行物には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「複数の走査線と複数のデータ線とを有するマトリクス型の液晶表示装置において、非表示の画面部分を設定するための表示制御データを格納するシフトレジスタを設けるとともに、該非表示の画面部分に対するデータ線駆動データや転送用クロックの供給を停止するために液晶表示装置の動作を統括的に制御するマイクロコンピュータを備えたことを特徴とする液晶表示装置。」 そこで、本願補正発明(前者)と上記引用発明(後者)とを対比する。 ・後者の「複数の走査線と複数のデータ線とを有するマトリクス型の」は、前者の「複数の走査電極と複数の信号電極とが交差配置されて構成され」に相当する。 ・後者の「シフトレジスタ」及び「マイクロコンピュータ」は、その有する機能からみて、前者の「表示画面の表示領域を部分的に制御する制御回路」に相当する。 ・後者の、「非表示の画面部分を設定するための表示制御データを格納するシフトレジスタ」は、「非表示の画面部分を設定する」ことにより「表示される画面部分が設定される」ことにもなるから、前者の「表示画面の表示領域において部分的に表示する部分表示部の列方向の広さと位置を可変できるように前記部分表示部の開始列に対応する値と終了列に対応する値とが分けられて設定される2系列のレジスタ」と、「表示画面の表示領域において部分的に表示する部分表示部が設定されるレジスタ」である点で共通する。 ・後者の「非表示の画面部分に対するデータ線駆動データや転送用クロックの供給を停止するために液晶表示装置の動作を統括的に制御するマイクロコンピュータ」は、表示される画面部分について、データ線駆動データや転送用クロックの供給を行うことから、その表示期間を制御するタイミング信号を生成することも明らかであるから、前者の「2系列のレジスタ内の設定値に基づいて部分表示を制御するタイミング信号を形成する回路ブロックを有し、前記タイミング信号より制御された部分表示期間に表示データと当該表示データを転送するクロックとを出力し、前記表示画面の先頭列から前記部分表示部の開始列までの非表示部に対応する期間において前記クロックを動作させる」点の構成と、上記相当関係及び対応関係も勘案すれば、「部分表示を制御するタイミング信号を形成するとともに、部分表示期間に表示データと当該表示データを転送するクロックとを出力」する点の構成で共通する。 したがって、両者は、 「 複数の走査電極と複数の信号電極とが交差配置されて構成され、表示画面の表示領域を部分的に制御する制御回路を有する液晶表示装置において、 前記制御回路は、 前記表示画面の表示領域において部分的に表示する部分表示部が設定されるレジスタを有し、 前記部分表示を制御するタイミング信号を形成するとともに、前記タイミング信号より制御された部分表示期間に表示データと当該表示データを転送するクロックとを出力することを特徴とする液晶表示装置。」 の点の構成で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 前者が、部分表示部の開始列に対応する値と終了列に対応する値とが分けられて設定される2系列のレジスタと、当該2系列のレジスタ内の設定値に基づいて前記部分表示を制御するタイミング信号を形成する回路ブロックを有し、また、表示画面の先頭列から前記部分表示部の開始列までの非表示部に対応する期間においてクロックを動作させているのに対し、後者には、この点が記載されていない点。 そこで、上記相違点について検討する。 表示領域の開始位置と終了位置を2つのレジスタに設定し、それらの設定値に基づいて表示タイミング信号を生成することは、例えば、特開昭63-113591号公報[「特許請求の範囲」に「表示画面上での水平表示開始位置の指定によって水平表示開始位置信号を生成する第1の手段と、該表示画面上での水平表示終了位置の指定によって水平表示終了位置信号を生成する第2の手段と、該表示画面上での垂直表示開始位置の指定によって垂直表示開始位置信号を生成する第3の手段と、該表示画面上での垂直表示終了位置の指定によって垂直表示終了位置信号を生成する第4の手段と、該水平表示開始位置信号、該水平表示終了位置信号、該垂直表示開始位置信号および該垂直表示終了位置信号から該表示画面上の表示領域を表わす表示タイミング信号を生成する第5の手段とからなり、該表示画面上で該表示領域を任意に設定することができるように構成したことを特徴とする表示制御回路。」との記載、2ページ左上欄19行?右上欄1行に「表示開始位置、表示終了位置の指定に応じて表示画面上での表示領域の場所、形状、大きさが可変となり、該表示領域を任意に設定できる。」との記載、2ページ右上欄11行?17行「水平表示開始位置レジスタ1には、外部からユーザが表示画面上での表示領域の水平開始位置が指定可能であり、表示画面の左端からの絵素数・・・が設定される。」との記載、4ページ左下欄5行?8行に「水平表示終了位置レジスタ15には、水平表示終了位置データが設定され、外部からユーザが表示画面上での表示領域の水平終了位置の指定を可能とする。」との記載がある。]に示されるように従来周知の事項であり、また、タイミング信号を形成する回路ブロックを設ける点についても、回路ブロックというのみでその具体的構成を特段規定するものでもないから、この点にも格別の特徴は認められない。 次に、表示画面の先頭列から前記部分表示部の開始列までの非表示部に対応する期間においてクロックを動作させる点についてみると、表示開始列の検出のためには、クロックを動作させて、画面左端から表示開始列までの期間に相応するクロック数を計数しなければならないことは明らかであるから、この点は、目的を達成するために当然具備すべき構成を明示したものにすぎず、格別の特徴とは認められない。 そして、本願補正発明による効果も、引用刊行物の記載及び上記周知事項から、当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.むすび 以上のとおりであるから、本件手続補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 平成16年12月20日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至6に係る発明は、平成15年2月5日付け、及び平成16年7月29日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められる(前記「第2.」の「1.」の補正前の特許請求の範囲参照。その請求項1に係る発明を、以下、「本願発明」という。)。 第4.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物及びその記載事項は、前記「第2.」の「3-1.」に記載したとおりのものである。 第5.対比・判断 本願発明は、前記「第2.」で検討した本願補正発明から、前記構成の限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2.」の「3-2.」に記載したとおり、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6.むすび 以上のとおりであるから、本願発明(請求項1に係る発明)は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そして、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-05-23 |
結審通知日 | 2007-05-29 |
審決日 | 2007-06-11 |
出願番号 | 特願平9-351024 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09G)
P 1 8・ 575- Z (G09G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 西島 篤宏 |
特許庁審判長 |
上田 忠 |
特許庁審判官 |
堀部 修平 小川 浩史 |
発明の名称 | 液晶表示装置、表示装置及び電子機器 |
代理人 | 藤綱 英吉 |
代理人 | 上柳 雅誉 |
代理人 | 須澤 修 |