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審決分類 |
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 H01J 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01J |
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管理番号 | 1161570 |
審判番号 | 不服2005-2882 |
総通号数 | 93 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-02-17 |
確定日 | 2007-07-26 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第 46720号「管球、光源装置、投光装置ならびにプロジェクタ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 9月14日出願公開、特開平10-247476〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本願は、平成9年2月28日の出願であって、平成17年1月13日付け(発送日同年1月18日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年2月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成17年3月22日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成17年3月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成17年3月22日付けの手続補正を却下する。 [理由] 本件補正は、補正前の特許請求の範囲の記載 「【請求項1】 軸部、この軸部の一端に電極主体部およびこの軸部の他端に軸部の直径をDとしたとき、0.1D以上の曲率の丸め部を有する電極と; 上記の軸部の端部に電気的に接続された金属箔導体と; ガラスチューブを圧潰して形成され上記の電極の軸部の端部および上記の金属箔導体を封入した封止部と; を具備したことを特徴とする管球。 【請求項2】 請求項1に記載の管球と; 上記の管球に電流を供給する電源手段と; を具備したことを特徴とする光源装置。 【請求項3】 請求項2に記載された光源装置と; この光源装置から放射される光を反射するリフレクタと; を具備したことを特徴とする投光装置。 【請求項4】 請求項3に記載の投光装置と; この投光装置から照射される光で投影される表示装置と; を具備したことを特徴とするプロジェクタ装置。」 を、補正後の 「【請求項1】 軸部と、この軸部の一端部の電極主体部と、およびこの軸部の他端部において端面と周面との間の縁部に形成され軸部の直径をDとしたとき0.1D以上となる曲率の丸め部と、を有する電極と; 上記の軸部の他端部に電気的に接続された金属箔導体と; ガラスチューブを圧潰して形成され上記の電極の軸部の他端部および上記の金属箔導体を封入した封入部と; を具備したことを特徴とする管球。 【請求項2】 上記封入部において、幅Wと高さHとの比率H/Wが0.2?1.0の範囲に設定されているととともに、軸部の直径Dに対しW=5?10DそしてH=2?10Dの範囲に設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の管球。 【請求項3】 請求項1又2に記載の管球と; 上記の管球に電流を供給する電源手段と; を具備したことを特徴とする光源装置。 【請求項4】 請求項3に記載された光源装置と; この光源装置から放射される光を反射するリフレクタと; を具備したことを特徴とする投光装置。 【請求項5】 請求項4に記載の投光装置と; この投光装置から照射される光で投影される表示装置と; を具備したことを特徴とするプロジェクタ装置。」 と補正することを含むものである。 上記補正は、請求項数を増加する補正であって、補正前の請求項に択一的に記載された特定事項を限定することにより増加したものでもないから、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しない。 したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成17年3月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりである。 「【請求項1】 軸部、この軸部の一端に電極主体部およびこの軸部の他端に軸部の直径をDとしたとき、0.1D以上の曲率の丸め部を有する電極と; 上記の軸部の端部に電気的に接続された金属箔導体と; ガラスチューブを圧潰して形成され上記の電極の軸部の端部および上記の金属箔導体を封入した封止部と; を具備したことを特徴とする管球。」 ただし、「曲率」は、「曲率半径」の誤記と認める。 4.引用例記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前である昭和63年9月22日に頒布された特開昭63-228563号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、 (1-1)「図において1は金属蒸気放電灯の発光管で、1対のタングステンまたはトリウムタングステンなどの電極2,2aを金属箔4,4aを介して圧潰封止部6,6aにて封止して外部導入線5,5aに気密に電気電導させている。」(1頁右欄2行?6行) (1-2)「また、封止部側の芯線の末端を面取りすることによって発生するひずみを減少させ、クラックの発生を防止することができる。 [実施例] 以下に、この発明の一実施例について図面に基づいて説明する。発明者らはクラック9の多い直径Dが0.8mm以下のタングステンを主成分とした芯線について実験を行った。」(2頁左下欄3行?11行) (1-3)「第1図から長さlを4mm以下にすれば、クラック発生などは激減する。・・・ また、長さlを2?4mmにしても第3図に示すように芯線3,3aの封止部側のつけ根にクラック9(当審注;「クラック10」の誤記と認める。)が発生するものが2?5%発生した。これはつけ根にひづみが集中するためであり、第4図のように芯線のつけ根も曲率半径R(R≧D/4)に面取りすると、発生率は0になった。R<D/4では0?2%のクラック9(当審注;「クラック10」の誤記と認める。)が残ってしまった。」(2頁右下欄2行?15行) が記載されている。 したがって、これらの記載事項によると、引用例1には、次のとおりの発明、 「芯線3,3a、この芯線3,3aの一端に電極主体部、およびこの芯線3,3aの他端に、芯線3,3aの直径をDとしたとき、R≧D/4の曲率半径Rの面取りを有する電極2,2aと; 上記の芯線3,3aのつけ根に電気的に接続された金属箔4,4aと; 発光管1を圧潰して形成され上記の電極2,2aの芯線3,3aのつけ根および上記の金属箔4,4aを封止した圧潰封止部6,6aと; を具備したことを特徴とする金属蒸気放電灯。」(以下、これを「引用例1に記載の発明」という。) が記載されているものと認める。 (2)対比・判断 本願発明1と引用例1に記載の発明とを対比する。 引用例1に記載の発明における「芯線3,3a」、「R≧D/4の曲率半径R」、「面取り」、「電極2,2a」、「つけ根」、「金属箔4,4a」、「封止」は、それぞれ、 本願発明1における「軸部」、「0.1D以上の曲率半径」、「丸め部」、「電極」、「端部」、「金属箔導体」、「封入」に相当する。 また、引用例1に記載の発明における「発光管1」と本願発明1における「ガラスチューブ」は、共に、「発光管」という点で共通する。 したがって、両者は、 【一致点】 「軸部、この軸部の一端に電極主体部およびこの軸部の他端に軸部の直径をDとしたとき、0.1D以上の曲率の丸め部を有する電極と; 上記の軸部の端部に電気的に接続された金属箔導体と; 発光管を圧潰して形成され上記の電極の軸部の端部および上記の金属箔導体を封入した封止部と; を具備したことを特徴とする管球。」 で一致し、 【相違点1】 「本願発明1では、発光管が、ガラスチューブであるのに対して、 引用例1に記載の発明では、発光管1が、どのような材料なのか不明である点」 で相違する。 そこで、上記【相違点1】について検討する。 例えば、原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前である昭和58年6月18日に頒布された特開昭58-102431号公報(以下、「引用例2」という。)に、 (2-1)「石英ガラスからなる放電灯バルブ61」(3頁左下欄20行) と記載されているように、 発光管を石英ガラスで構成することは周知であるから、 引用例1に記載の発明において、その発光管1を石英ガラスで構成したガラスチューブとすることは、当業者が容易になしうることである。 そして、本願発明1の奏する効果は、引用例1に記載の発明及び引用例2に記載の周知事項に基づいて当業者が予測可能な範囲のものである。 なお、請求人は、平成17年10月14日付けで上申書を提出し、平成17年3月22日付けの手続補正の【請求項1】に【請求項2】の 「封止部において、幅Wと高さHとの比率H/Wが0.2?1.0の範囲に設定されているととともに、軸部の直径Dに対しW=5?10DそしてH=2?10Dの範囲に設定されている」構成を、組み入れる用意があるとしている。 しかしながら、封止部の幅Wと高さHとの比率H/Wが0.2?1.0の範囲のものは、通常のものにすぎない(例えば、特開平7-99037号公報の【0008】、【0009】には、幅×高さが6×4mm程度のものが記載されている。)。 さらに、引用例2には、「従来の400W級メタルハライドランプの電極においては、軸径dが0.7?0.9mm程度のタングステンもしくは酸化トリウム(ThO2)入りタングステンを電極軸1として用いており、」(2頁右上欄2行?6行)と記載されているから、軸部の直径Dに対しW=5?10DそしてH=2?10Dの範囲のものも、通常のものにすぎない(例えば、W=6≒9・0.7=9d=9D、H=4 ≒6・0.7=6d=6D)。 したがって、上申書に示された構成を組み入れたところで結論に影響を与えるものではない。 6.むすび 以上のとおり、本願発明1は、引用例1に記載の発明、及び、引用例2に記載の周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そして、請求項1に係る発明が特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-05-23 |
結審通知日 | 2007-05-29 |
審決日 | 2007-06-11 |
出願番号 | 特願平9-46720 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01J)
P 1 8・ 571- Z (H01J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 村田 尚英 |
特許庁審判長 |
杉野 裕幸 |
特許庁審判官 |
山川 雅也 居島 一仁 |
発明の名称 | 管球、光源装置、投光装置ならびにプロジェクタ装置 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 河野 哲 |