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審決分類 |
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 A61F 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 A61F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A61F 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 A61F |
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管理番号 | 1161648 |
審判番号 | 不服2005-15122 |
総通号数 | 93 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-08-08 |
確定日 | 2007-07-25 |
事件の表示 | 特願2002-285390「経皮鎮痛消炎薬塗布用の繊維生地」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 4月22日出願公開、特開2004-121275〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成14年9月30日の出願であって、平成17年6月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年8月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成17年9月7日に手続補正がなされたものである。 2 平成17年9月7日にした手続補正(以下、「本件手続補正」という。)についての補正却下の決定 〔補正却下の決定の結論〕 本件手続補正を却下する。 〔理由〕 本件手続補正は、明細書の特許請求の範囲の請求項の数を1から2に増加させる補正であり、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものでもない。 したがって、本件手続補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反し、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3 本願発明について (1)本願発明 上記のとおり、本件手続補正は却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成17年5月23日にした手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1は、次のとおり記載されている。 「【請求項1】 鎮痛消炎薬を塗布するシップの繊維生地において、トリアジン系の紫外線吸収剤を後処理加工にて施したことを特徴とする経皮鎮痛消炎薬塗布用の繊維生地。」 (以下、請求項1に係る発明を、「本願発明」という。) (2)引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第01/68061号パンフレット(以下、「引用例」という。)には、以下の記載がある。 a「これまで薬物の経皮投与に用いられる製剤としては……パップ剤とも称される貼付剤が……注目を浴びてきている。貼付剤としては、非ステロイド系の薬物を含有し消炎鎮痛効果を目的とした局所製剤…が挙げられる。一方、これら貼付剤を貼付した際には太陽からの紫外線により、基材中の薬物が分解して…その光分解物がアレルギーを引き起こして好ましくない副作用を発現する等の問題が生じてきていた。」(明細書1頁6ないし16行) b「本発明は上記の問題点を解決すべくなされたものであって、その目的とするところは、単層からなる支持体を用いて薬物の光安定性を向上させることにより、治療効果の確保と皮膚安全性に優れた貼付剤を提供することにある。」(同2頁2ないし4行) c「本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、貼付剤の単層からなる支持体を紫外線遮蔽加工することによって、貼付部位である皮膚を紫外線の影響から保護したり、また、貼付剤の基剤中に薬物が含まれているのであれば、薬物の紫外線による分解を顕著に抑制できることが分かった。……本発明の貼付剤は、紫外線遮蔽加工を施した単層からなる支持体を有することを特徴とする。ここで言う貼付剤とは…湿布用剤(パップ剤)…を含むものである。…本発明に係る支持体に対する紫外線遮蔽加工においては、有機系紫外線吸収剤…を用いることができる。…本発明の貼付剤は、光安定性の悪い薬物を含有することができる。すなわち、光安定性の悪い薬物に対して、紫外線遮蔽加工された支持体は特に有効である。また本発明の貼付剤は、非ステロイド系消炎鎮痛剤を含有することができ」(同2頁6ないし3頁4行 d「これら有機系紫外線吸収剤を用いた紫外線遮蔽加工としては、単層からなる貼付剤用支持体の材料である繊維または布帛に該吸収剤を付着、吸収または固着させる方法が用いられる。」(同5頁1ないし3行) 以上の記載によれば、引用例には、次の発明が記載されていると認められる。 「消炎鎮痛剤を塗布する湿布用剤の支持体の材料である布帛において、有機系紫外線吸収剤を付着、吸収または固着させる方法により施した経皮消炎鎮痛剤塗布用の布帛。」 (3)対比 本願発明と引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明の「消炎鎮痛剤」、「湿布用剤」及び「布帛」は、本願発明の「鎮痛消炎薬」、「シップ」及び「繊維生地」に相当する。 本願発明の「後処理加工にて施した」に関して、本願明細書には、「本発明の鎮痛消炎薬塗布用繊維生地は、上記糸を使用して編立てされ、その後、染色工程と乾燥工程を経て出来上がる。そこで、このように製造された繊維生地に…紫外線を吸収することが出来る処理が施される。」(段落【0007】)と記載され、「(具体例1)…インターロック組織で編立てして丸編繊維生地を製作する。この丸編繊維生地の片側をカットして所定巾の生地に開反し、これを染色装置によって染色する。本発明ではこの染色工程にて紫外線を吸収したり…する処理を行なう訳であって、約130℃で染色加工し、この際、皮膚感作性(アレルギー反応)の無いトリアジン系化合物を2重量%吸尽法にて付着させる。すなわち、トリアジン系化合物を染色液に混入した状態で染色が行なわれる。」(段落【0010】、【0011】)、「(具体例2)…インターロック組織で編立てして前記具体例の場合と同じように丸編繊維生地1を製作する。この丸編繊維生地1を約120℃で染色し、その後、染色された繊維生地にベンゾフェノン系紫外線吸収剤を2重量%パッド法にて…付与し」(段落【0012】)と具体例が記載されている。これらの記載によれば、本願発明の「後処理加工」は、編立てなどにより繊維生地を製作した後の繊維生地に対して行う処理加工を意味していると解されるから、引用例記載の発明の「付着、吸収または固着させる方法により施した」は、布帛に対して行うものであり(上記記載d参照。)、本願発明の「後処理加工にて施した」に相当する。 そうすると、両者は、 「鎮痛消炎薬を塗布するシップの繊維生地において、紫外線吸収剤を後処理加工にて施した経皮鎮痛消炎薬塗布用の繊維生地」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点 本願発明では、トリアジン系の紫外線吸収剤を用いるのに対して、引用例記載の発明では、有機系紫外線吸収剤を用いるものの、トリアジン系の紫外線吸収剤については言及していない点。 (4)相違点の検討 そこで、上記相違点について検討する。 有機系紫外線吸収剤として、トリアジン系の紫外線吸収剤は、本願の出願前に周知のもの(例えば、特開平9-28785号公報、特開平4-214785号公報、特開2002-20972号公報参照。)であるから、引用例記載の発明において、有機系紫外線吸収剤として、トリアジン系の紫外線吸収剤を採用し、本願発明とすることは、当業者が容易になし得たことである。 そして、本願発明が奏する効果も、引用例記載の発明及び周知のものから当業者が予測できるものであって、格別顕著なものとはいえない。 したがって、本願発明は、引用例記載の発明及び周知のものに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-04-09 |
結審通知日 | 2007-05-08 |
審決日 | 2007-05-21 |
出願番号 | 特願2002-285390(P2002-285390) |
審決分類 |
P
1
8・
574-
Z
(A61F)
P 1 8・ 573- Z (A61F) P 1 8・ 121- Z (A61F) P 1 8・ 571- Z (A61F) P 1 8・ 572- Z (A61F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 二ッ谷 裕子 |
特許庁審判長 |
寺本 光生 |
特許庁審判官 |
中西 一友 関口 勇 |
発明の名称 | 経皮鎮痛消炎薬塗布用の繊維生地 |
代理人 | 平崎 彦治 |
代理人 | 平崎 彦治 |