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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1161649
審判番号 不服2005-17445  
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-12 
確定日 2007-07-25 
事件の表示 特願2000-512757「煙草用ヒンジ蓋付きボックス」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 4月 1日国際公開、WO99/15436、平成13年10月 9日国内公表、特表2001-517588〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2000年8月29日(パリ条約による優先権主張1997年9月19日、独国)を国際出願日とする出願であって、平成17年6月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月12日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同年10月12日付で手続補正がなされたものである。

2.平成17年10月12日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下決定の結論]
平成17年10月12日付けの手続補正を却下する。

(理由)
(1)補正後の本願発明
補正後の本願発明は、特許請求の範囲の請求項1を、
「ボックス部(10)と、蓋(11)と、カラー(31)とを含む紙巻煙草のためのヒンジ蓋付きボックスであって、前記ヒンジ蓋付きボックスは、ボックスの後部壁(13)が、横断方向の関節線(22)によって、蓋の後部壁(18)に旋回可能に接続されており、前記ヒンジ蓋付きボックスは、ボックス部(10)と蓋(11)の区域に連続して延出する4つのパック縁部を備える全体的にほぼ直方体の形状をなし、下記の(a)?(e)を特徴とするヒンジ蓋付きボックス。
(a)ボックスの側部壁(14)と蓋の側部壁(19)とを含む2つの直立側部壁の一方は、丸みを付した前部の縁部(24)と丸みを付した後部の縁部(25)とによってパックの縁部として区画されている
(b)ボックスの側部壁(15)と蓋の側部壁(20)とを含む他方の直立側部壁は、断面が直角の、すなわち、角張った縁部(26,27)を有するパックの縁部によって区画されている
(c)丸みを付した縁部(24,25)は、それらの寸法において紙巻煙草の寸法に適合している
(d)側部壁(14,19;15,20)は、内側および外側の側部タブ(35,36;37,38)と蓋の側部タブ(39,40,41,42)を備え、ボックスの後部壁(13)に設けられた内側の側部タブ(35)と蓋の後部壁(18)に設けられた蓋の側部タブ(40)は、それぞれ、ボックスの前部壁(12)の区域において角張った縁部(26)に向かって延出する形状をなしている
(e)カラー(30,31)は別体のブランクを含み、どちらの場合も、形状を異にする2つのカラー縁部(32;34)を有し、どちらの場合も、一方のカラーの縁部(32)は、断面が、角張った縁部(26)の区域においては直角であり、他方のカラーの縁部(34)は、丸みを付した縁部(24)に対応して、丸い縁部(24)の区域において丸みが付与される」(以下、「本願補正発明」という)とする補正を含むものである。

上記補正は、実質的には、補正前の特許請求の範囲の請求項1に補正前の特許請求の範囲の請求項5の構成要件である「カラー(30,31)は別体のブランクを含み、どちらの場合も、形状を異にする2つのカラー縁部(32;34)を有し、どちらの場合も、一方のカラーの縁部(32)は、断面が、角張った縁部(26)の区域においては直角であり、他方のカラーの縁部(34)は、丸みを付した縁部(24)に対応して、丸い縁部(24)の区域において丸みが付与される」を付加することにより、さらに限定するものであるから、当該補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項を追加するものではなく、発明の産業上の利用分野を変更するものではなく、かつ、当該補正が発明を解決しようとする課題を変更するものでもないから、特許法第17条の2第4項に規定する特許請求の範囲の減縮に該当する。
そこで、本願補正発明について、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定する要件について検討する。

(2)刊行物について
原査定の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、「本願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、そして、本願の請求項1に係る発明に対しては、引用刊行物として、特開平5-262349号公報(以下、「刊行物1」という)が引用された。

(3)当審の判断
刊行物1の記載事項
a.【0001】?【0002】には、
「本発明はシガレットパック、更に詳しくは例えば丸められた垂直な縁を有していてもよい箱状のシガレットパックに関するものである。
箱状のシガレットパックは極めて周知である。このような箱の最も評判のよい形状の一つは、シガレットが垂直に立っている下方主部を含む外方部材を有している。上方部分は、蓋を後にかたむけるとシガレットの上端が露出するように主部の背に、…略…枢着されている蓋である。このような箱には典型的に、主部の内側に内枠があり、そしてこれは蓋の開け閉めの際、蓋の下の主部から上の方へ突出する。このような箱は、標準的には直角の垂直縁で形成されているが、垂直縁は丸くアールが施されていてもよい。」と記載されている。
b.【0007】には、
「本発明の更にもう一つの目的は内枠の垂直縁に沿ってではなく、内枠の壁の境界内に形されて、丸くアールを施した垂直縁を有する箱にこのような保持部材を形成することを容易にする保持手段を提供することである。」と記載されている。
c.【0012】?【0014】には、
「本発明による…略…シガレットパック60の全体を図1に示す。シガレットパック60には外方部材下方主部40と、外方部材蓋50と、内枠10が含まれていて、これらはすべて従来の厚紙製である(…略…)。蓋50は代表的には枢結線49に沿って、外方部材下方主部40に枢結されている。内枠10は下方主部40の内側に張付けられ…略…部分的に下方主部40の上面を越えて延びている。…略…好ましい実施態様では、垂直縁11,13,41,43,45,47,51,53,55及び57は素材を、好ましくは多重の平方な刻み目によって、丸く、アールを施してある。これらの各縁の曲率半径はほぼ5/32インチでよい。…略…内枠素材110には前部パネル12、左側パネル14及び右側パネル16であ…略…る。前部パネル12の中央上部分には切取り部分または凹部18があって、顧客が、パック内にあるシガレットの上端を容易につかめるようになっている。前部パネル12の中央下部分には延長部20があり、これは切取り部分18で形成される負の空間と同形状である。切取り部分18と延長部分20は、スクラップまたは廃材を残さないように材料のロールから内枠を連続的にカットできるように設計されている…略…。前部パネル12は、それぞれ垂直縁11と13に沿った複数の平行な、刻み目によって、側方パネル14と16から区切られる。このように、多数の刻み目によって、外部部材の下方主部40に嵌入させるべく内枠を折り曲げると多くの垂直縁これに沿って折れ丸くアールの付いた縁ができる…略…。同様な垂直縁を形成する…略…方法を、外方部材下方主部40と、外方部材蓋50に採用することができる。」と記載されている。
d.【0017】、【0018】には、
「図7に示すように、本発明に従って形成された保持部材の代替案としての位置は保持部材が内枠…略…に接触できる外方部材蓋250の内側である。…略…垂直縁11,13,41,43,45,47,51,53,55及び57は縁を丸くアールを施して示してはあるが、何れかまたは全部とも代案として、直角縁としてもよい。」と記載されている。
記載事項「a?d」によれば、刊行物1には、
「シガレットが垂直に立っている下方主部(40)を含む外方部材を有し、上方部分は、蓋(50)を後にかたむけるとシガレットの上端が露出するように主部の後部壁と蓋(50)の後部壁は枢着(49)され、内枠(10)を有し、該内枠(10)は、前部パネル(12)左側パネル(14)及び右側パネル(16)、からなり、下方主部(40)と蓋(50)は、区域に連続して延出する4つのパック縁部を備える全体的にほぼ直方体の形状をなしており、必要に応じ垂直縁(11,13,41,43,45,47,51,53,55及び57)を曲率半径が5/32インチのシガレットの寸法に適合している丸められた垂直な縁とする直方体の箱状のシガレットパック(60)。」の発明(以下、「引用発明」という)が記載されているものと認められる。

対比・判断

本願補正発明の、「丸みを付した縁部は、それらの寸法において紙巻煙草の寸法に適合している」ことと、引用発明の、「曲率半径が5/32インチのシガレットの寸法に適合している丸められた垂直な縁」に実質的な相違はない。
引用発明の、「下方主部(40)」、「蓋(50)」、「内枠(10)」、「シガレット」、「枢着(49)」、「シガレットパック(60)」、「丸められた垂直縁」は、本願補正発明の、「ボックス部」、「蓋」、「カラー」、「紙巻煙草」、「ヒンジ」、「ボックス」、「丸みを付した縁部」に夫々相当する。
そして、両者は、
「ボックス部と、蓋と、カラーとを含む紙巻煙草のためのヒンジ蓋付きボックスであって、前記ヒンジ蓋付きボックスは、ボックスの後部壁が、横断方向の関節線によって、蓋の後部壁に旋回可能に接続されており、前記ヒンジ蓋付きボックスは、ボックス部と蓋の区域に連続して延出する4つのパック縁部を備える全体的にほぼ直方体の形状をなし、下記の(a)?(e)を特徴とするヒンジ蓋付きボックス。
(a)ボックスの側部壁と蓋の側部壁とを含む2つの直立側部壁の一方は、前部の縁部と後部の縁部とによってパックの縁部として区画されている
(b)ボックスの側部壁と蓋の側部壁とを含む他方の直立側部壁は、断面が直角の、すなわち、角張った縁部を有するパックの縁部によって区画されている
(c)丸みを付した縁部は、それらの寸法において紙巻煙草の寸法に適合している
(d)側部壁は、内側および外側の側部タブと蓋の側部タブを備え、ボックスの後部壁に設けられた内側の側部タブと蓋の後部壁に設けられた蓋の側部タブは、それぞれ、ボックスの前部壁の区域において角張った縁部に向かって延出する形状をなしている
(e)カラーは別体のブランクを含み、どちらの場合も、2つのカラー縁部を有し、どちらの場合も、他方のカラーの縁部は、断面が、角張った縁部の区域においては直角であり、他方のカラーの縁部は、丸みを付した縁部に対応して、丸い縁部の区域において丸みが付与される」で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:本願補正発明では、
(a)において、後部の縁部が「丸みを付した」ものであるのに対し、引用発明のものは、その構成が明らかでない点。
相違点2:本願補正発明では、
(e)において、「一方のカラーの縁部は、断面が、角張った縁部の区域においては直角である」のに対し、引用発明のものは丸みを付した縁部である点。

そこで上記相違点1、2について検討する。
引用発明においても、記載事項「d」に「図7に示すように、本発明に従って形成された保持部材の代替案としての位置は保持部材が内枠…略…に接触できる外方部材蓋250の内側である。…略…垂直縁11,13,41,43,45,47,51,53,55及び57は縁を丸くアールを施して示してはあるが、何れかまたは全部とも代案として、直角縁としてもよい。」と記載されており、「蓋を平面図視した際の各コーナーを形成する稜線51、53、55、57」のうちの何れかを丸くアールを施すことを示唆しているものであるから、本願補正発明のように紙巻煙草を平面図視した場合に、ボックス部および蓋部が有する4つのコーナーのうちの対向する2つに丸みを付与する構成としたことは当業者が適宜なしえたことである。

そして、本願発明により奏される効果も、引用発明から当業者が当然予測しうる程度のものであって、格別顕著であるとはいえない。

(4)むすび
本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることが出来たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるから、本願補正発明2?11について検討するまでもなく、本願補正発明は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下をすべきものである。

3.本願発明について
平成17年10月12日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?12に係る発明は、平成17年5月16日付け手続補正書に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明は以下のとおりのものである。
「ボックス部(10)と、蓋(11)と、カラー(30)とを含む紙巻煙草等のためのヒンジ蓋付きボックスであって、前記ヒンジ蓋付きボックスは、ボックスの後部壁(13)が、横断方向の関節線(22)によって、蓋の後部壁(18)に旋回可能に接続されており、前記ヒンジ蓋付きボックスは、ボックス部(10)と蓋(11)の区域に連続して延出する4つのパック縁部を備える全体的にほぼ直方体の形状をなし、下記の(a)?(d)を特徴とするヒンジ蓋付きボックス。
(a)ボックスの側部壁(14)と蓋の側部壁(19)とを含む2つの直立側部壁の一方は、丸みを付した前部の縁部(24)と丸みを付した後部の縁部(25)とによってパックの縁部として区画されている
(b)ボックスの側部壁(15)と蓋の側部壁(20)とを含む他方の直立側部壁は、断面が直角の、すなわち、角張った縁部(26,27)を有するパックの縁部によって区画されている
(c)丸みを付した縁部(24,25)は、それらの寸法において紙巻煙草の寸法に適合している
(d)側部壁(17,19;15,20)は、内側および外側の側部タブ(35,36;37,38)と蓋の側部タブ(39,40,41,42)を備え、ボックスの後部壁(13)に設けられた内側の側部タブ(35)と蓋の後部壁(18)に設けられた蓋の側部タブ(40)は、それぞれ、ボックスの前部壁(12)の区域において角張った縁部(26)に向かって延出する形状をなしている」(以下、「本願発明」という)

そこで、本願発明について検討する。
(1)引用例およびその記載事項
原査定の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。
(3)対比・判断
本願補正発明は、前記「2.(1)」で検討したように、
本願発明に請求項5に記載の技術的事項を付加して限定したものであるから、本願発明の構成要件をすべてを含む本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3)むすび
それゆえ、本願は、特許請求の範囲の請求項2?12に係る発明について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する
 
審理終結日 2007-02-15 
結審通知日 2007-02-20 
審決日 2007-03-14 
出願番号 特願2000-512757(P2000-512757)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
P 1 8・ 575- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 直石田 宏之  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 中西 一友
関 信之
発明の名称 煙草用ヒンジ蓋付きボックス  
代理人 福原 淑弘  
代理人 峰 隆司  
代理人 村松 貞男  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 風間 鉄也  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 白根 俊郎  
代理人 河野 哲  
代理人 中村 誠  
代理人 橋本 良郎  
代理人 野河 信久  

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