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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05B |
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管理番号 | 1161809 |
審判番号 | 不服2006-11777 |
総通号数 | 93 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-06-08 |
確定日 | 2007-08-02 |
事件の表示 | 特願2002-333636「加熱調理器」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 6月17日出願公開、特開2004-171822〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成14年11月18日の出願であって、平成18年5月2日付け(発送日:同月9日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同18年6月8日に審判請求がなされるとともに、同月30日に手続補正がなされたものである。 2.平成18年6月30日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成18年6月30日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)本件補正による補正 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。 「電気的に加熱を行なう加熱手段と、 この加熱手段を制御する制御手段と、 人間が接近したことを検知するための人感センサとを備え、 前記制御手段は、前記人感センサが人間の接近を検知している状態から検知しない状態に切り替わると加熱手段の出力を低下若しくは停止させる無人モードに移行し、設定された時間だけ加熱調理を行なうタイマ調理が選択されると、前記人感センサによる検知を無効化して設定されたタイマ調理を実行することを特徴とする加熱調理器。」 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「制御手段」について、「タイマ調理が選択されると、前記人感センサによる検知を無効化する」を、「前記人感センサが人間の接近を検知している状態から検知しない状態に切り替わると加熱手段の出力を低下若しくは停止させる無人モードに移行し、設定された時間だけ加熱調理を行なうタイマ調理が選択されると、前記人感センサによる検知を無効化して設定されたタイマ調理を実行する」とするものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 ア.原査定の拒絶の理由に引用した実願平4-19841号(実開平5-83606号)のCD-ROM(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の記載がある。 ・「【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、一般家庭で使用する電気こんろなどの電気調理器に関するものである。」 ・「【0007】 図1において、1は本体、2は本体1上面に複数個設けたヒーター、3は操作パネルで、本体1の前面に設けられヒーター2への通電、電力設定を行う。4は人体検知手段で、操作パネル3近くの本体1前面に設けてあり、ヒーター2の通電中は本体1近傍の人体を検知する。5は本体1内部に設けた電子回路等で構成された制御手段で、ヒーター2への通電、人体検知手段4の駆動を制御するもので、人体検知手段4が本体1近傍の人体を検知しなくなってからある設定時間が経過したあと本体1内部に設けた音声を発音する報知手段6で警告を発する。あるいは警告を発すると同時に自動的にヒーター2への通電を停止するか、あるいはまた警告を発し、その後設定時間後にヒーター2の通電を停止するように制御する。」 したがって、引用例1には次の発明が記載されている(以下、「引用例1発明」という。)。 「電気的に加熱を行なう加熱手段と、 この加熱手段を制御する制御手段と、 本体近傍の人体を検知する人体検知手段とを備え、 前記制御手段は、本体近傍の人体を検知しなくなってからある時間経過したあと、自動的にヒーターへの通電を停止する加熱調理器。」 イ.原査定の拒絶の理由に引用した特開平6-317329号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の記載がある。 ・「【0001】 【産業上の利用分野】本発明はガステーブル等のガス器具に使用し、鍋底タッチ式の温度センサで鍋の温度を計測し、各種の調理に最も適した火力状態を作り出すマイクロコンピュータに組み込んだ調理手段を含む電子制御手段により、バーナへのガス供給と停止及び流量を制御する自動調理器に関する。」 ・「【0050】 【発明の効果】このように本発明では、調理タイマーの設定時間が切り忘れ防止タイマーの設定時間より長い時には、調理タイマーを前記切り忘れ防止タイマーより優先させ、かつ調理タイマーより温度異常感知手段を優先させる構成としたものであるので次のような効果がある。 【0051】(1)調理タイマーの設定時間が比較的長い煮込み調理等では、調理途中に不意に途中消火をすることがなく使い勝手がきわめて良くなる。従来では2時間程の切り忘れ防止タイマーを入れていたが、この時3時間の煮込み調理を行なうと途中で一度切れ再度調理タイマーをセットしなければならなかったが、本発明によりこのような操作が不必要になり使い勝手が良くなる。またこの時に途中で切れたのを気づかずに設置すると調理物がさめるとともに調理が中途半端となって味が落ちる欠点があったが、本発明によりこのような欠点もなくなる。」 (3)対比 本願補正発明と上記引用例1発明とを比較する。 引用例1発明の「本体近傍の人体を検知する人体検知手段」は、本願補正発明の「人間が接近したことを検知するための人感センサ」といえる。また、引用例1発明の「本体近傍の人体を検知しなくなってからある時間経過したあと、自動的にヒーターへの通電を停止する」ことは、本願補正発明「人感センサが人間の接近を検知している状態から検知しない状態に切り替わると加熱手段の出力を停止させる」ことに相当する。 したがつて、両者は、 「電気的に加熱を行なう加熱手段と、 この加熱手段を制御する制御手段と、 人間が接近したことを検知するための人感センサとを備え、 前記制御手段は、前記人感センサが人間の接近を検知している状態から検知しない状態に切り替わると加熱手段の出力を停止させる加熱調理器。」の点で一致し、 次の点で相違する。 [相違点1] 本願補正発明では、人感センサが人間の接近を検知している状態から検知しない状態に切り替わると加熱手段の出力を低下若しくは停止させる「無人モード」に移行するのに対して、引用例1発明では、人感センサが人間の接近を検知している状態から検知しない状態に切り替わると加熱手段の出力を停止させる点。 [相違点2] 本願補正発明では、設定された時間だけ加熱調理を行なうタイマ調理が選択されると、前記人感センサによる検知を無効化して設定されたタイマ調理を実行するのに対して、引用例1発明では、タイマ調理機能を有さない点。 (4)判断 相違点1について 引用例1発明においても、人感センサが人間の接近を検知している状態から検知しない状態に切り替わり、加熱手段の出力を停止させる状態を、「無人モード」ということができる。 したがって、前記相違点1に係る本願補正発明の構成は、格別のものでない。 相違点2について 加熱調理器にタイマ調理の機能を付加することは、従来周知の技術である(前記引用例2の外に、例えば、特開平2-287019号公報、特開平1-185220号公報、又は特開昭63-118537号公報を参照のこと。)。 また、タイマ調理は、比較的時間のかかる煮込み調理等に用いられるものであり、その場合、人が常に加熱調理器の側にいるものではない。 しかも、引用例2には、調理タイマーと切り忘れ防止タイマーとを備えた加熱調理器において、調理タイマーの設定時間が比較的長い煮込み調理等をする場合に、切り忘れ防止タイマーによる不意の途中消火が生じないように、調理タイマーの設定時間が切り忘れ防止タイマーの設定時間より長い場合には、調理タイマーを前記切り忘れ防止タイマーより優先した点が記載されており、この記載に接した当業者であれば、引用例1発明にタイマ調理の機能を付加した場合には、その人感センサの機能が、引用例2に記載された切り忘れ防止タイマー同様、比較的調理時間の長い煮込み調理等において不意の途中消火を招くこと、そのためタイマ調理の機能を人感センサの機能より優先する必要のあることは、直ちに想到し得たことである。 したがって、引用例1発明において、タイマ調理の機能を付加し、その際、その人感センサの機能により、煮込み調理等において不意の途中消火を招くことがないように、タイマ調理の機能を人感センサの機能より優先し、前記相違点2に係る本願補正発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 さらに、本願補正発明の作用効果も、引用例1、2に記載された事項、及び従来周知の技術から当業者が予測できた範囲内のものである。 したがって、本願補正発明は、引用例1、2に記載された発明、及び、従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができない。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成18年6月30日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年2月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものである。 「電気的に加熱を行なう加熱手段と、 この加熱手段を制御する制御手段と、 人間が接近したことを検知するための人感センサとを備え、 前記制御手段は、タイマ調理が選択されると、前記人感センサによる検知を無効化することを特徴とする加熱調理器。」 (2)引用例 引用例、及びその記載事項は前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (3)対比・判断 本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から、「制御手段」について、「前記人感センサが人間の接近を検知している状態から検知しない状態に切り替わると加熱手段の出力を低下若しくは停止させる無人モードに移行し、設定された時間だけ加熱調理を行なうタイマ調理が選択されると、前記人感センサによる検知を無効化して設定されたタイマ調理を実行する」を、「タイマ調理が選択されると、前記人感センサによる検知を無効化する」とするものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.」に記載したとおり、引用例1、2に記載された発明、及び、従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1、2に記載された発明、及び、従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1、2に記載された発明、及び、従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-05-30 |
結審通知日 | 2007-06-05 |
審決日 | 2007-06-20 |
出願番号 | 特願2002-333636(P2002-333636) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H05B)
P 1 8・ 575- Z (H05B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 結城 健太郎 |
特許庁審判長 |
水谷 万司 |
特許庁審判官 |
新海 岳 関口 哲生 |
発明の名称 | 加熱調理器 |
代理人 | 佐藤 強 |