• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1161836
審判番号 不服2003-22600  
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-11-20 
確定日 2007-08-02 
事件の表示 特願2000-298467「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 4月 9日出願公開、特開2002-102490〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一、手続きの経緯
本願は、平成12年9月29日の出願であって、平成14年11月13日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成15年1月21日付けで手続補正がなされ、平成15年10月15日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付け手続補正書によって明細書の一部が補正されたものである。

第二、平成15年11月20日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年11月20日付の手続き補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
平成15年11月20日付手続補正書による補正(以下、「本件補正」という)により、特許請求の範囲の請求項3乃至9は削除され、請求項1及び2のうちの請求項1は、「外枠(2)と、該外枠(2)に開閉自在に枢着された前枠(4)と、該前枠(4)に着脱自在に装着された遊技盤(6)と、遊技球を貯留する球受皿(9)とを備え、前記球受皿(9)に賞球を払い出す賞球払出手段(32a)と、前記球受皿(9)に貸球を払い出す貸球払出手段(32b)と、遊技球を貯留する遊技球タンク(30)と、該遊技球タンク(30)から前記賞球払出手段(32a)及び前記貸球払出手段(32b)に遊技球を誘導する球供給通路(31)とを、前記前枠(4)に着脱自在に装着した弾球遊技機において、
前記前枠(4)の裏面に、前記遊技盤(6)を装着するための遊技盤装着枠(5)を設け、該遊技盤装着枠(5)は前記遊技盤(6)が着脱自在に嵌合する受け部(23)を有する門型状とし、前記遊技盤装着枠(5)の上部の横枠部(5c)に前記球供給通路(31)を装着すると共に、前記横枠部(5c)で前記遊技球タンク(30)の重量を下側から受けるように、前記遊技盤(6)の裏面で前記横枠部(5c)上に該横枠部(5c)の上面に沿って前記遊技球タンク(30)を設けたことを特徴とする弾球遊技機。」と補正された。

上記補正は、請求項の削除及び、
補正前(平成15年1月21日付手続補正により補正された特許請求の範囲)の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「遊技盤(6)を装着するための遊技盤装着枠(5)」について「遊技盤装着枠(5)は前記遊技盤(6)が着脱自在に嵌合する受け部(23)を有する門型状とし、」と限定し、また同「遊技盤装着枠(5)の横枠部(5c)に前記球供給通路(31)を装着」を「遊技盤装着枠(5)の上部の横枠部(5c)に前記球供給通路(31)を装着」と限定し、同「遊技球タンク(30)を前記横枠部(5c)の上面に沿って設けた」を「横枠部(5c)で前記遊技球タンク(30)の重量を下側から受けるように、前記遊技盤(6)の裏面で前記横枠部(5c)上に該横枠部(5c)の上面に沿って前記遊技球タンク(30)を設けた」と限定するものであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除及び同条同項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3)特許法第36条第6項第2号の検討
(3-1)「遊技盤(6)」及び「球供給通路(31)」の構成について、本願補正発明における「・・・と、該前枠(4)に着脱自在に装着された遊技盤(6)と、・・・とを備え、・・・と、該遊技球タンク(30)から前記賞球払出手段(32a)及び前記貸球払出手段(32b)に遊技球を誘導する球供給通路(31)とを、前記前枠(4)に着脱自在に装着した弾球遊技機において、前記前枠(4)の裏面に、前記遊技盤(6)を装着するための遊技盤装着枠(5)を設け、該遊技盤装着枠(5)は前記遊技盤(6)が着脱自在に嵌合する受け部(23)を有する門型状とし、前記遊技盤装着枠(5)の上部の横枠部(5c)に前記球供給通路(31)を装着すると共に、・・・とする弾球遊技機。」の記載では、
遊技盤(6)が着脱自在に設け(着脱自在に装着、着脱自在に嵌合)られる対象は、前枠(4)であるのか受け部(23)を有する遊技盤装着枠(5)であるのかが不明であり、
球供給通路(31)が設け(着脱自在に装着、装着)られる対象は、前枠(4)であるのか遊技盤装着枠(5)の上部の横枠部(5c)であるのかが不明である。
(3-2)「遊技盤(6)」と「遊技球タンク(30)」との位置関係について、本願補正発明における「・・・と、該前枠(4)に着脱自在に装着された遊技盤(6)と、・・・とを備え、・・・と、遊技球を貯留する遊技球タンク(30)と、・・・とを、前記前枠(4)に着脱自在に装着した弾球遊技機において、前記前枠(4)の裏面に、前記遊技盤(6)を装着するための遊技盤装着枠(5)を設け、該遊技盤装着枠(5)は前記遊技盤(6)が着脱自在に嵌合する受け部(23)を有する門型状とし、前記遊技盤装着枠(5)の上部の横枠部(5c)に・・・を装着すると共に、前記横枠部(5c)で前記遊技球タンク(30)の重量を下側から受けるように、前記遊技盤(6)の裏面で前記横枠部(5c)上に該横枠部(5c)の上面に沿って前記遊技球タンク(30)を設けたことを特徴とする弾球遊技機。」の記載では、「遊技盤(6)の裏面で前記横枠部(5c)上に・・・前記遊技球タンク(30)を設け」の技術的意味が理解できない。
本願補正発明の記載から「遊技盤(6)は門型状の遊技盤装着枠(5)に嵌合し、前記遊技盤装着枠(5)の上部の横枠部(5c)上に遊技球タンク(30)を設けた」こと、即ち「遊技盤(6)の上方に遊技球タンク(30)が設けられ」た事項が把握され、そうすると本願補正発明の「遊技盤(6)の裏面で前記横枠部(5c)上に・・・前記遊技球タンク(30)を設け」との記載事項と矛盾する構成となるから、「遊技盤(6)」と「遊技球タンク(30)」との位置関係についての技術的意味が理解できない。

したがって、本願補正発明の記載は、特許を受けようとする発明が明確でなく、特許法第36条第6項第2号の規定に反するものであるから、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)特許法第29条第2項の検討
(あ)刊行物に記載された発明
刊行物1;特開平7-31739号公報
刊行物2;特開2000-197750号公報
(平成12年7月18日公開)
刊行物3;特開平11-347220号公報
刊行物4;特開2000-153041号公報
(平成12年6月6日公開)

原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-31739号公報(以下、「引用刊行物1」という)には、以下の記載がある。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遊技盤を装着する遊技盤取付枠の裏面であって、その一側に後方へ立上がる景品球払出機構、また上下部に景品球タンク及び入賞球処理機構をそれぞれ直接組み付けるようにして機構板を無くし、遊技盤裏面に広いスペースを確保し、その有効利用を図らんする新規なパチンコ機の遊技盤取付枠に関するものである。」
「【0011】
【実施例】以下に本発明に係るパチンコ機の遊技盤取付枠の一実施例を図面と共に説明する。図1は本発明が適用されるパチンコ機の裏面図であり、図中、1はパチンコ機の機枠、2は機枠1の一側に蝶着され開閉自在に取り付けられる前面枠であり、その裏面に遊技盤3が着脱可能に装着されている。4は前面枠2の裏側に固着され、遊技盤3が取り付けられる遊技盤取付枠である。
【0012】遊技盤取付枠4は、その下部に図2に示すように遊技盤3の下端縁を支持する支持板部5と、該支持板部5の両側部より上方に門状に形成され遊技盤3の前面両側端縁及び上端縁を支持する枠部材6とにより一体に形成されている。このため、枠部材6の左右側枠6a,6bの内面には上側枠6cの裏面と連なる段部7,7が設けられている。
【0013】また、一方の側枠6a裏面に長手方向に亘って後方へ突出する平板状の保持部材8が一体に設けられている。該保持部材8は後記する景品球払出機構Bを組み付けるためのもので、上部に上部通孔9を設けると共に下部に下部通孔10が設けられている。11,11は左右側枠6a,6bの下部から互いに内側へ張り出させた張出片で、遊技盤3前面の両隅角部を覆うようにしている。
【0014】そして、図3に示すように、枠部材6の上部裏面にはパチンコ球を貯留する景品球タンクA,保持部材8の外側には入賞球の発生により一定個数のパチンコ球を払い出すための景品球払出機構B,支持板部5の裏面には入賞球を処理するための入賞球処理機構Cがそれぞれ組み付けられる。次に、景品球タンクA,景品球払出機構B,入賞球処理機構Cを順に説明する。
【0015】まず、景品球タンクAは図4に示すように取付板12を介して枠部材6の裏面に取り付けられ、上面が開口する横長箱形状に形成されている。そして、長手方向の一側壁13aにパチンコ球が流出する球出口14が設けられている。また、内底面は流出口14に向って若干下傾するように形成され、しかも図6に示すように流出口14側の前後側壁13b,13cを互いに内側に膨出させ、その間に2個のパチンコ球が横に並んで流下できる幅を有した球通路15が形成されている。」
「【0018】前記、取付板12の一側裏面には景品球タンクA内の2条の球通路15と球出口14を介して連通する球流路24が装着されている。・・・尚、図5において29,29…は景品球タンクA及び球通路24を取付板12に装着するための取付用ビスである。
【0019】取付板12と景品球タンクAの前側壁13bには押すと先端部が開いて係合でき、引くと閉じて抜脱できる公知の係止フック30,30が設けられており、景品球タンクAを取付板12に複数の取付用ビス29,29…により固着した後、前記係止フック30,30を上側枠6cと左側枠6bに開設される係止孔31,31に押し込み、更に左側枠6b上端に設けられる回動自在の係止片32を取付板12の裏面に係止することにより景品球タンクAが枠部材6に着脱自在に組み付けられることになる。
【0020】次に、景品球払出機構Bは、図8,図9に示すように縦長の2枚の側板33a,33bを並設した右側枠6aと略同幅の箱状ケース部K内に収められている。そして、保持部材8の外側に密着する側板30a上部に前記上部通孔9を介して球流路24と連通する景品球導入口34が設けられ、また下部には下部通孔10に合致する景品球排出口35が設けられている。・・・
【0021】景品球払出機構Bの内部には、その上部に前記景品球導入口34から流入するパチンコ球を受け入れ流下させる2条の供給通路38a,38bを蛇行状に形成,している。そして、一方の供給通路38aの下流一側に景品球を同時に複数個払い出す第1景品球払出装置39aが設けられると共に、他方の供給通路38bの下流一側に景品球を1個ずつ払い出す第2景品球払出装置39bが設けられている。前記供給通路38aは、その下流端に側面円形状の収納部40が形成され、その下方に流出通路41が形成されている。また、図10に示すように第1景品球払出装置39aは、外周に景品球が嵌入し得る凹部42aが複数(実施例では5個)形成され自在に回転するスプロケット42と、該スプロケット42を一回転ずつ回転制御するレバー部材43と、該レバー部材43を作動させるソレノイド44とから大略構成されている。」
「【0034】前記各流出通路41,41の下側には、図10に示すよう第1,第2景品球払出装置39a,39bからそれぞれ払い出された景品球をパチンコ機の前面に装着される球受皿(図示せず。)に導くため、前記景品球排出口35と連なる排出通路67とパチンコ機外に景品球を排出する球抜き通路68とが分岐して設けられており、その分岐箇所には切替レバー69が軸70によって回動自在に設けられている。」
「【0036】景品球払出機構Bが収まる箱状ケース部Kは、保持部材8の各ビス止め用の突起37,37…に各嵌入孔36,36…を嵌入し、更に、外から取付用ビス29を螺締することにより、保持部材8に組み付けられる。」
「【0048】本発明は、上記構成よりなり、遊技盤取付枠4に遊技盤3を支持板部5の受板113上面に載置し、前面両側を左右側枠6a,6bの段部7に当接するようにして固定する。更に、遊技盤取付枠4の一側に設けた保持部材8に景品球払出機構Bを組み付けると共に、上下部にそれぞれ景品球タンクA及び入賞球処理機構Cが組み付けられる。このように、従来のような機構板を無くし、しかも特に景品球払出機構Bを右側枠6aの裏側に後方へ立上がるように設け、加えれば景品球タンクA内に球通路15を設けて従来の誘導樋を無くしたので、遊技盤3の裏面には、ほぼ全体に亘り広い面積のスペースが形成される。」
「【0053】これにより、例えば遊技盤3面に装着された一般の入賞口に入った入賞球は・・・パチンコ機外へ排出される。途中、検出センサー94で検出されて、前記第1・第2景品球払出装置39a,39bから景品球が例えば13個払い出され、該各景品球は排出通路67,導出通路85を介して連絡口86からパチンコ機前面の上部球受皿に排出される。」
「【0055】
【発明の効果】・・・しかも、遊技盤取付枠を前面枠に固着するのみで、景品球タンク、景品球払出装置等の所謂裏部品も同時に取付けられることとなり、従来の如く機構板を更に取り付けるといった手間が省け、取付作業の簡略化が図られる。更には、各機構が小さく分散化されるので、成型上金型の小型化及び輸送の簡易化が可能となり、これらコストの低廉が図られる。」

また、パチンコ機の裏面図である【図1】及び遊技盤取付枠に各種機構を組み付けた状態の裏面斜視図である【図3】には「上側枠6cの上面に沿って取付板12及び景品球タンクAを設け」た技術事項が記載されている。

したがって、これらの記載をまとめると、引用刊行物1には、
「機枠1と、該機枠1の一側に蝶着され開閉自在に取り付けられる前面枠2と,該前面枠2の裏側に固着される遊技盤取付枠4に取り付けられ該前面枠2の裏面に着脱可能に装着されている遊技盤3と、パチンコ機前面に上部球受皿とを備えたパチンコ機において、
(イ)前記前面枠2の裏側に固着される遊技盤取付枠4は、その下部に遊技盤3の下端縁を支持する支持板部5と、該支持板部5の両側部より上方に門状に形成され遊技盤3の前面両側端縁及び上端縁を支持する枠部材6とにより一体に形成され、枠部材6の左右側枠6a,6bの内面には上側枠6cの裏面と連なる段部7,7が設けられ、右側枠6aの裏面には景品球払出機構Bを組み付けるための平板状の保持部材8が一体に設けられ
(ロ)遊技盤3を支持板部5に載置し前面両側を左右側枠6a,6bの段部7に当接するようにして遊技盤3を遊技盤取付枠4に固定し、
(ハ)パチンコ球を貯留する景品球タンクAが、枠部材6の上側枠6cの上面に沿って設けられた取付板12を介して、枠部材6の上部裏面に上側枠6cの上面に沿って着脱自在に組み付けられ、
(ニ)前記取付板12の一側裏面には景品球タンクA内の球通路15と球出口14を介して連通する球流路24が装着され、
(ホ)前記景品球払出機構Bは縦長の2枚の側板33a,33bを並設した箱状ケース部K内に収められ、該箱状ケース部Kは取付用ビス29を螺締することにより保持部材8に組み付けられ、前記側板33a上部には球流路24と連通する景品球導入口34が設けられ、景品球払出機構Bの内部には前記上部球受皿に景品球を同時に複数個払い出す第1景品球払出装置39aと前記上部球受皿に景品球を1個ずつ払い出す第2景品球払出装置39bとが設けられ、
(ヘ)機構板を無くし、取付作業の簡略化やコストの低廉が図られる、
パチンコ機。」の発明(以下、「引用発明1」という)が記載されていると認められる。

原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-197750号公報(以下、「引用刊行物2」という)には、以下の記載がある。
「【0073】そこで、以下、機構板200の構成について、各構成部毎に説明する。まず、図11に示すように、上部構成部には、多量の賞球を貯留する賞球タンク204と、該賞球タンク204から供給される賞球を仕切壁214a,214bによって複数列(本実施の形態の場合、3列)に整列して流下させる玉整列レール部材213と、該玉整列レール部材213によって誘導された賞球を後述する球払出装置240に向けて方向転換するカーブレール部材224と、該カーブレール部材224の上方に設けられた情報端子基板220がそれぞれ所定の位置に設けられている。
【0074】賞球タンク204は、図11に示すように、その左右両側に突設された取付片205によって機構板主体201の所定の位置にビス206で取付けられるようになっている。また、賞球タンク204は、上面が開放したボックス状に形成されるとともに、その底面207の下流側に玉整列レール部材213と連通する落下口210が開設され、該落下口210の一側に玉詰まりを防止する玉崩し部211が隆起形成されている。・・・
【0075】上記した賞球タンク204の下流側に配置される玉整列レール部材213は、上部構成部の一端から他端に向けて傾斜状に取付けられ、その内部中央に2条の仕切壁214a,214bが立設されている。この仕切壁214a,214bは、賞球タンク204の落下口210から流出した賞球を下流に向かうにしたがって確実に3列に整列させるために徐々に高く形成されている。そして、仕切壁214a,214bによって区画された3列のレール部のうちの図11の奥側1列を球貸用レール部215とし、手前側2列を賞球用レール部216a,216bとしている。・・・
【0076】・・・これは、1回の貸球(“貸玉”とも記載する。以下、同様)分を確保するためで、・・・
【0077】・・・なお、玉整列レール部材213の下流側には、カーブレール部材224が接続されるが、このカーブレール部材224は、上部構成部と中間構成部とに跨がって構成されるので、次の中間構成部の説明箇所で詳細に説明する。」
「【0081】しかして、中間部補強リブ222a,222bとによって囲まれる中間構成部の上部には、上記した玉整列レール部材213の下流側に接続される逆「く」字状のカーブレール部材224が配置されている。このカーブレール部材224は、玉整列レール部材213によって前後方向(機構板200の背面から見て)3列に流下される玉を左右方向(同じく機構板200の背面から見て)3列に流下するように方向転換するものである。そして、このカーブレール部材224は、詳細に図示しないが、玉整列レール部材213の球貸用レール部215に連通する球貸用カーブレール部と賞球用レール部216a,216bに連通する賞球用カーブレール部とに区画されている。
【0082】上記したカーブレール部材224の下流側であって前記中間部補強リブ222a,222bとの間の空間には、玉通路部材227と球払出装置240とが取付けられている。玉通路部材227は、前記カーブレール部材224によって流下方向を左右に変換された3列で玉を流下させるものであり、球貸用カーブレール部に連通される球貸用通路部228と賞球用カーブレール部に連通される2列の賞球用通路部229とが区画されて並列状に形成されている。・・・」
「【0084】・・・しかして、球払出装置240を装着した状態では、球払出装置240のケース241と玉ストッパー部材232の当接部とが当接して玉ストッパー部材232の下端部が後方に向かって弾性変形するので、ストッパー片は、挿通穴から退避して球貸用通路部228および賞球用通路部229を流下する玉を球払出装置240に供給するようになっているが、球払出装置240を取外したときには、玉ストッパー部材232が元の形状に戻るので、ストッパー片が挿通穴に挿入して自動的に玉通路部材227の球貸用通路部228および賞球用通路部229を閉塞して玉が流下させないようになっている。このように、玉ストッパー部材232を設けることにより、球払出装置240を交換する必要が生じた場合でも、玉抜き操作を行なう必要がない。
【0085】上記した玉通路部材227の下方の中間構成部に取着される球払出装置240は、透明な合成樹脂で成形される直方体状のケース241の内部に収納されて機構板主体201の前面側に着脱自在に取付けられるようになっている。球払出装置240の構造について、ここで簡単に説明しておくと、ケース241内は、玉通路部材227の前記球貸用通路部228に連通する1条の貸球通路1245と前記賞球用通路部229に連通する2条の賞球通路1300,1301(賞球用入口246,247が形成されている)とに区画され、1条の貸球通路1250(貸球用入口245が形成されている)に球貸しモータ248(ステッピングモータが使用されているが、ソレノイド等の駆動源でもよい)によって駆動される玉払出部材1261(スクリューやスプロケット等のモータによって駆動される回転部材、あるいは玉の流下を阻止したり許容したりするソレノイドによって駆動されるストッパー部材)が臨み、また、2条の賞球通路1300,1301に賞球モータ249(ステッピングモータが使用されている)によって駆動される玉払出部材1315が望むようになっている。そして、各モータ248,249を回転せしめることにより、玉を1個単位で払出すようにしている。・・・」
「【0088】そして、上記のように構成される球払出装置240は、前述した玉ストッパ部材232の下方で機構板主体201の前面側に着脱自在に装着し得るようになっている。・・・」
「【0091】以上、説明したように、球払出装置240は、貸球を払出すための貸球払出機構と賞球を払出すための賞球払出機構とがユニット化されて構成されるものである。このように、球払出装置240は、貸球を払出すための貸球払出機構と賞球を払出すための賞球払出機構とがユニット化されて構成され、かつ、構板主体201の前面側に着脱自在に取付けられるように構成されているためにパチンコ遊技機1のメンテナンスが容易となる。」
「【0093】そこで、まず、機構板200の下部構成部の背面から見て右側部分(以下、右側下部構成部という)の構成について図12?図16を参照して説明する。機構板200の右側下部構成部の一側上部に賞球通路270が形成され、該賞球通路270の下端に上皿連通口271が形成されている。この上皿連通口271は、パチンコ遊技機1の前面に設けられる上皿19に賞球を導くものである。上皿連通口271の一側側方には、連絡通路272が形成され、その連絡通路272の下流に余剰球通路273が接続されている。」
「【0421】次に、以上説明した発明の実施の形態の変形例や特徴点について以下に列挙する。
【0422】(1) 前述した実施の形態においては、・・・景品玉(賞球)・・・
【0424】(3) 貸球および賞球は、それぞれ、全く別の径路を通って上皿19に払出されるように、球払出装置240から上皿19に至るまでの通路を貸球専用通路と賞球専用通路との2つの通路で構成してもよい。」
「【0432】払出制御基板291により、前記景品玉払出装置を制御して前記景品玉を払出す制御を行なうとともに、前記貸玉払出装置を制御して前記貸玉を払出す制御を行なう払出制御手段が構成されている。仕切壁214a,214bによって区画された3列のレール部のうちの図11の手前側2列の賞球用レール部216a,216bにより、前記景品玉払出装置に玉を供給するための景品玉用供給通路が構成されている。仕切壁214a,214bによって区画された3列のレール部のうちの図11の奥側1列の球貸用レール部215により、該景品玉用供給通路とは別径路で前記貸玉払出装置に玉を供給するための貸玉用供給通路が構成されている。
【0433】図23に示す2条の賞球通路1300,1301により、前記景品玉払出装置によって払出される景品玉を所定箇所へ誘導するための景品玉誘導通路が構成されている。図22に示す貸球通路1250により、前記貸玉払出装置によって払出される貸玉を前記景品玉用供給通路とは別径路で所定箇所へ誘導するための貸玉誘導通路が構成されている。上皿19により、前記所定箇所が構成されている。」
「【0437】・・・図11等に示す球払出装置240により、前記景品玉払出装置と前記貸玉払出装置とは、前記弾球遊技機に対して一体的に着脱可能にユニット化されていることが開示されている。・・・」

したがって、引用刊行物2には、
「多量の賞球を貯留する賞球タンク204は、機構板主体201の所定の位置にビス206で取付けられ、
賞球タンク204の下流側に配置される玉整列レール部材213は、奥側1列を球貸用レール部215とし、手前側2列を賞球用レール部216a,216bとし、
玉整列レール部材213の下流側には、カーブレール部材224が接続され、カーブレール部材224は、玉整列レール部材213の球貸用レール部215に連通する球貸用カーブレール部と賞球用レール部216a,216bに連通する賞球用カーブレール部とに区画され、
カーブレール部材224の下流側には、玉通路部材227と球払出装置240とが取付けられて
玉通路部材227は、球貸用カーブレール部に連通される球貸用通路部228と賞球用カーブレール部に連通される2列の賞球用通路部229とが区画されて並列状に形成され、
球貸用通路部228および賞球用通路部229を流下する玉を球払出装置240に供給するようになっており、
球払出装置240は、貸球を払出すための貸球払出機構と賞球を払出すための賞球払出機構とがユニット化されて構成され、直方体状のケース241の内部に収納されて機構板主体201の前面側に着脱自在に装着し得るようになっており、
ケース241内は、玉通路部材227の前記球貸用通路部228に連通する1条の貸球通路1250と前記賞球用通路部229に連通する2条の賞球通路1300,1301とに区画され、
貸球通路1250により、払出される貸球を上皿19へ誘導するための通路が構成され、
賞球通路1300,1301により、払出される賞球を上皿19へ誘導す通路が構成されている、パチンコ遊技機1。」の発明(以下、「引用発明2」という)が記載されていると認められる。

原査定に周知技術として引用された特開平11-347220号公報(以下、「引用刊行物3」という)には、以下の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 パチンコ機の裏面上方に形成された球タンクの取付部の両側縁に挿入開口を有する取付固定部を設け、一方球タンクの両側には前記取付固定部に嵌合する取付片を設け、さらに前記挿入開口から挿入する係止具を別体に形成し、球タンクを取付部に臨ませて取付片を前記取付固定部に嵌め込むと共に、係止具を挿入開口から差込み係止することにより同時に取付片を押え込んで球タンクを取付けるようにしたことを特徴とするパチンコ機の球タンク取付構造。」
「【0013】
【発明の実施の形態】・・・また、遊技盤取付枠3の裏面側には遊技盤4を覆うように合成樹脂製の機構板5が装着される。該機構板5の裏面には球タンク6,導出樋7,パチンコ球払出装置8および入賞球処理装置9等裏機構が装着されている。
【0014】図2は球タンク6を機構板5に取付けた状態を示す要部斜視図、図3は球タンク6を機構板5から取外した状態を示す要部斜視図である。前記機構板5の裏面上部には図3に示すように球タンク6の取付部10が凹状に形成されている。この取付部10は、球タンク6を機構板5に装着する際に球タンク6の後半部分を嵌合して位置決めすると共に、両側と底部を支える機能を有する。・・・
【0015】しかして本発明では、機構板5の裏面であって球タンク6の取付部10の左右両側位置に、球タンク6の取付固定部13,13を突出形成している。該取付固定部13は箱型に形成され、上端に後述する係止具14を差込む挿入開口15が形成され、該挿入開口15の開口縁部を係合部16としている。また取付固定部13は中間部に形成した挿通間隙17により上下に分割されており、下部取付固定部13b下端に弾性を有する位置規制片18を設け、挿通溝19を介して支持部20を設けている。
【0016】一方、球タンク6の左右両側壁外面に取付片22,22を一体に設けている。該取付片22は前面および上面が開放された箱状に形成され、後側の押え片部23に前記下部取付固定部13bを挿通する挿通開口24が形成されている。25は前記支持部20に支持される支持片である。なお、前記取付片22,22は、球タンク6の後壁を取付部10の奥壁に当接させた状態で機構板5の上面に密着するようにその位置が選ばれる。」

したがって、引用刊行物3には、
「パチンコ機の裏面上方に形成された球タンク6の取付部10の左右両側位置に挿入開口を有する取付固定部13,13を設け、一方球タンク6の左右両側壁外面に前記取付固定部13,13に嵌合する取付片22,22を設け、球タンク6を取付部10に臨ませて取付片22,22を前記取付固定部13,13に嵌め込むと共に、係止具14を挿入開口から差込み係止することにより球タンク6を取付けるようにしたパチンコ機の球タンク取付構造において、
前記取付部10は凹状に形成され、球タンク6を機構板5に装着する際に球タンク6の後半部分を嵌合して位置決めすると共に、両側と底部を支える機能を有する、パチンコ機の球タンク取付構造。」の発明(以下、「引用発明3」という)が記載されていると認められる。

原査定に周知技術として引用された特開2000-153041号公報(以下、「引用刊行物4」という)には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、雀球遊技機等の弾球遊技機に関するものである。」
「【0015】貯留供給手段11は、図2?図4に示すように、遊技機本体1の前枠3の裏側に沿って左右方向に長い平面視矩形状の上側が開放するタンクにより構成されており、裏機構板4の上端部の裏側に形成された受け部17上に配置され、前壁18側の左右一対の取付孔19に挿通する突起20と、その後端の締結レバー21とにより着脱自在に固定されている。
【0016】・・・なお、貯留供給手段11は、左右両端側がネジ22により裏機構板4に着脱自在に固定されている。」

したがって、引用刊行物4には、
「左右方向に長い平面視矩形状の上側が開放するタンクにより構成される貯留供給手段11は、裏機構板4の上端部の裏側に形成された受け部17上に配置され、左右両端側がネジ22により裏機構板4に着脱自在に固定されている、弾球遊技機。」の発明(以下、「引用発明4」という)が記載されていると認められる。

(い)本願補正発明と引用発明1との比較・検討
本願補正発明は、上記「第二.(3)」に記載したとおり特許を受けようとする発明が明確でないので、各構成部材について「発明の実施の形態」を参照すると、以下の記載がある。
(い-a)「【0009】
【発明の実施の形態】
・・・前枠4には、その裏側の遊技盤装着枠5を介して遊技盤6が裏側から着脱自在に装着され、・・・」、
(い-b)「【0012】
遊技盤装着枠5は門型状であって、遊技盤6が裏側から着脱自在に嵌合する受け部23を内周側に備え、前枠4の窓孔24(図5、図8参照)を外側から取り囲むように前枠4の裏側に固定されている。・・・遊技盤6を遊技盤装着枠5に装着する際に・・・、遊技盤装着枠5内に装着された遊技盤6の・・・」、
(い-c)「【0013】
遊技盤6を遊技盤装着枠5に装着する際には、・・・これにより、遊技盤6は遊技盤装着枠5内に装着される。・・・」、
(い-d)「【0015】
また、前枠4の裏面側には、遊技盤装着枠5の上側に遊技球タンク30が、横枠部5c上に球供給通路31が、縦枠部5a上に払い出し手段32が、縦枠部5a上から遊技盤支承板28上にかけて通路ユニット33が、それぞれ着脱自在に装着されている。」、
(い-e)「【0016】
遊技球タンク30は、島側の遊技球供給装置から供給された遊技球を貯留するためのもので、遊技盤装着枠5の横枠部5cの上面に沿って左右方向に長く形成されており、図3及び図4に示すように、左右方向両端部において、前枠4の裏側に突設された取付基部34に、例えば木ねじ等により着脱自在に固定されている。このように、遊技球タンク30及びその内部に貯留される遊技球の重量は、前枠4、とりわけ遊技盤装着枠5の横枠部5cの上面で受けられるようになっている。」、
(い-f)「【0018】
球供給通路31は、・・・例えば遊技盤装着枠5の横枠部5cから後方に突設された取付基部40に対して木ねじ等により着脱自在に装着されている。・・・」、
(い-g)「【0021】
・・・即ち、2つの賞球払出手段32a、貸球払出手段32bは、前板51を除いて別体として形成されており、前板51を介して遊技盤装着枠5の裏面側に着脱自在に装着されている。・・・」、
(い-h)「【0036】
・・・払い出し手段32を前枠4の遊技盤装着枠5に着脱自在に装着し、更には遊技球タンク30、球供給通路31、通路ユニット33等についても、前枠4若しくは前枠4に固定された遊技盤装着枠5や遊技盤支承板28に装着しているため、・・・」。
また、変更例として、以下の記載がある。
(い-i)「【0041】
また、払い出し手段32は、縦枠部5aの外側面など、前枠4の他の部分に装着しても良い。もちろん、払い出し手段32を縦枠部5b側に設けることも可能である。」、
(い-j)「【0043】
・・・遊技盤6を、前枠4の側面側から前枠4と平行に略水平に摺動させつつ、前枠4に装着するようにしてもよい。」。

そこで各構成部材毎に上記(い-a)乃至(い-j)の記載の要旨をまとめると、以下のとおりである。
遊技盤6について、【0009】では「前枠4に着脱自在に装着され」と、【0012】及び【0013】では「遊技盤装着枠5に装着」と記載されていて、同一の実施例内において装着対象が異なっている。また、【0043】では変更例として「前枠4に装着するようにしてもよい」と記載されている。
遊技球タンク30について、【0015】では「遊技盤装着枠5の上側に着脱自在に装着」と、【0016】では「前枠4の裏側に木ねじ等により着脱自在に固定」と記載されていて、同一の実施例内において装着対象が異なっている。なお、【0036】の記載からは遊技球タンク30の装着対象を断定できない。
球供給通路31について、【0015】では「横枠部5c上に着脱自在に装着」と、【0018】では「横枠部5cに木ねじ等により着脱自在に装着」とそれぞれ記載され当該記載相互は整合するものの、「前枠4に着脱自在に装着した」本願補正発明とは装着対象が異なっている。なお、【0036】の記載からは球供給通路31の装着対象を断定できない。
払い出し手段32について、【0015】では「縦枠部5a上に着脱自在に装着」と、【0021】【0036】では「遊技盤装着枠5に着脱自在に装着」とそれぞれ記載され装着対象が整合している。【0041】では変更例として「縦枠部5aの外側面、前枠4の他の部分、縦枠部5b側に設けることも可能」と装着対象を変更した記載がなされている。
また、遊技盤(6)と遊技球タンク(30)との位置関係については、「発明の実施の形態」を参照しても記載されていない。なお、平成15年12月17日付けで補正された審判請求書の「(3)本願発明が特許されるべき理由 1)補正の根拠の明示 ハ)」の欄には「請求項1の「・・・前記遊技盤6の裏面で前記横枠部5c上に該横枠部5cの上面に沿って前記遊技球タンク30を設け」の補正事項は、当初明細書の段落0015,0016の記載に基づくものである。」と記載されているが、当初明細書の【0015】及び【0016】の記載内容は上記のとおりであって、「遊技盤6」の語句は記載されておらず、「図3及び図4」にも「遊技盤6」は示されていない。

そうすると、本願補正発明は、「発明の実施の形態」を参照しても、上記「第二.(3)」に記載した明確でない点を解明できないから、依然として、特許を受けようとする発明が明確でない。

そこで次に、「図面」を参照すると、以下の事項が示されている。
(い-1)【図5】及び【図8】には「遊技盤装着枠(5)に隣接配置された遊技盤(6)」の事項が、
(い-2)【図8】には「賞球払出手段(32a)と貸球払出手段(32b)とを、遊技盤装着枠(5)に近接配置」の事項が、
(い-3)【図3】乃至【図5】には「遊技球タンク(30)を前枠(4)に隣接配置」の事項が、
(い-4)【図7】には「球供給通路(31)を横枠部(5c)に近接配置」の事項が、
(い-5)【図2】及び【図3】並びに【図5】には「前枠(4)の裏面で横枠部(5c)上に該横枠部(5c)の上面に沿って遊技球タンク(30)を設けた」の事項が、それぞれ示されている。

そして、上記(い-1)乃至(い-5)の記載内容を、「発明の実施の形態」に記載された(い-a)乃至(い-j)の記載内容と照合すると、
(い-1)記載の「遊技盤装着枠(5)に隣接配置された遊技盤(6)」の事項は、(い-b)記載の「遊技盤装着枠5は門型状であって、遊技盤6が裏側から着脱自在に嵌合する受け部23を内周側に備え、・・・遊技盤6を遊技盤装着枠5に装着する際に・・・、遊技盤装着枠5内に装着された遊技盤6の・・・」、及び(い-c)記載の「遊技盤6を遊技盤装着枠5に装着する際には、・・・これにより、遊技盤6は遊技盤装着枠5内に装着される。・・・」と符合し、
(い-2)記載の「賞球払出手段(32a)と貸球払出手段(32b)とを、遊技盤装着枠(5)に近接配置」の事項は、(い-d)記載の「・・・縦枠部5a上に払い出し手段32が、・・・着脱自在に装着されている。」、及び(い-g)記載の「・・・2つの賞球払出手段32a、貸球払出手段32bは、・・・前板51を介して遊技盤装着枠5の裏面側に着脱自在に装着されている。・・・」、並びに(い-h)記載の「・・・払い出し手段32を前枠4の遊技盤装着枠5に着脱自在に装着し、・・・」と符合し、
(い-3)記載の「遊技球タンク(30)を前枠(4)に隣接配置」の事項は、(い-e)記載の「遊技球タンク30は、・・・前枠4の裏側に突設された取付基部34に、例えば木ねじ等により着脱自在に固定されている。・・・」と符合し、
(い-4)記載の「球供給通路(31)を横枠部(5c)に近接配置」の事項は、(い-d)記載の「・・・横枠部5c上に球供給通路31が、・・・着脱自在に装着されている。」、及び(い-f)記載の「球供給通路31は、・・・例えば遊技盤装着枠5の横枠部5cから後方に突設された取付基部40に対して木ねじ等により着脱自在に装着されている。・・・」と符合し、
(い-5)記載の「前枠(4)の裏面で横枠部(5c)上に該横枠部(5c)の上面に沿って遊技球タンク(30)を設けた」の事項は、(い-d)記載の「また、前枠4の裏面側には、遊技盤装着枠5の上側に遊技球タンク30が、・・・着脱自在に装着されている。」、及び(い-e)記載の「遊技球タンク30は、・・・遊技盤装着枠5の横枠部5cの上面に沿って左右方向に長く形成されており、・・・左右方向両端部において、前枠4の裏側に突設された取付基部34に、例えば木ねじ等により着脱自在に固定されている。・・・」と符合している。

よって、本願補正発明は、「図面」に示された(い-1)乃至(い-5)の記載内容を参酌し、次のとおりのものと解釈し直して、比較・検討する。(下線部が解釈変更部分である。)

「外枠(2)と、該外枠(2)に開閉自在に枢着された前枠(4)と、遊技盤装着枠(5)に着脱自在に装着された遊技盤(6)と、遊技球を貯留する球受皿(9)とを備え、前記球受皿(9)に賞球を払い出す賞球払出手段(32a)と、前記球受皿(9)に貸球を払い出す貸球払出手段(32b)とを、前記遊技盤装着枠5に着脱自在に装着し、遊技球を貯留する遊技球タンク(30)を、前記前枠(4)に着脱自在に装着し、該遊技球タンク(30)から前記賞球払出手段(32a)及び前記貸球払出手段(32b)に遊技球を誘導する球供給通路(31)を、遊技盤装着枠(5)の横枠部(5c)に着脱自在に装着した弾球遊技機において、
前記前枠(4)の裏面に、前記遊技盤(6)を装着するための遊技盤装着枠(5)を設け、該遊技盤装着枠(5)は前記遊技盤(6)が着脱自在に嵌合する受け部(23)を有する門型状とし、前記遊技盤装着枠(5)の上部の横枠部(5c)に前記球供給通路(31)を装着すると共に、前記横枠部(5c)で前記遊技球タンク(30)の重量を下側から受けるように、前記前枠(4)の裏面で前記横枠部(5c)上に該横枠部(5c)の上面に沿って前記遊技球タンク(30)を設けたことを特徴とする弾球遊技機。」

そこで、本願補正発明と引用発明1とを比較・検討すると、引用発明1の「機枠1」は、本願補正発明の「外枠(2)」に相当し、以下同様に、「蝶着され開閉自在に取り付けられる」は「開閉自在に枢着され」に、「前面枠2」は「前枠(4)」に、「遊技盤取付枠4」は「遊技盤装着枠(5)」に、「遊技盤3」は「遊技盤(6)」に、「上部球受皿」は「遊技球を貯留する球受皿(9)」に、「パチンコ球を貯留する景品球タンクA」は「遊技球を貯留する遊技球タンク(30)」に、「パチンコ機」は「弾球遊技機」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明1の「景品球払出機構B」は、箱状ケース部K内に収められ、該箱状ケース部Kは取付用ビス29を螺締することにより、枠部材6の右側枠6aの裏面に一体に設けられた保持部材8に組み付けられるのであり、また内部には上部球受皿に景品球を同時に複数個払い出す第1景品球払出装置39aと前記上部球受皿に景品球を1個ずつ払い出す第2景品球払出装置39bとが設けられるのであるから、本願補正発明の「球受皿(9)に賞球を払い出す賞球払出手段(32a)と、球受皿(9)に貸球を払い出す貸球払出手段(32b)とを、遊技盤装着枠(5)に着脱自在に装着し」の事項と比較すると「球受皿(9)に遊技球を払い出す遊技球払出装置を、遊技盤装着枠(5)に着脱自在に装着し」の事項において一致し、
引用発明1の「球流路24」は、取付板12の一側裏面に装着され、該取付板12は枠部材6の上側枠6cの上面に沿って着脱自在に組み付けられるのであるから、本願補正発明の「遊技球タンク(30)から前記賞球払出手段(32a)及び前記貸球払出手段(32b)に遊技球を誘導する球供給通路(31)とを、前記遊技盤装着枠(5)の横枠部(5c)に着脱自在に装着し」及び「遊技盤装着枠(5)の上部の横枠部(5c)に前記球供給通路(31)を装着する」と比較して「遊技球タンク(30)から遊技球払出装置に遊技球を誘導する遊技球供給流路を、前記遊技盤装着枠(5)の横枠部(5c)に着脱自在に装着し」及び「遊技盤装着枠(5)の上部の横枠部(5c)に遊技球供給流路を装着する」において一致している。
また、引用発明1の「遊技盤3」は、支持板部5に載置され前面両側を左右側枠6a,6bの段部7に当接するようにして遊技盤取付枠4に固定されているのであるから、本願補正発明の「遊技盤装着枠(5)に着脱自在に装着された遊技盤(6)」の技術事項を有していると認められ、
引用発明1の「景品球タンクA」は、枠部材6の上部裏面に上側枠6cの上面に沿って着脱自在に組み付けられ、また枠部材6を備えた遊技盤取付枠4は前面枠2の裏側に固着されるのであるから、本願補正発明の「遊技球タンク(30)を、着脱自在に装着」及び「前枠(4)の裏面で横枠部(5c)の上面に沿って遊技球タンク(30)を設け」の技術事項を有していると認められ、
引用発明1の「前面枠2の裏側に固着される遊技盤取付枠4」は、遊技盤3の下端縁を支持する支持板部5と、該支持板部5の両側部より上方に門状に形成され遊技盤3の前面両側端縁及び上端縁を支持する枠部材6とにより一体に形成され、枠部材6の左右側枠6a,6bの内面には上側枠6cの裏面と連なる段部7,7が設けられ、遊技盤3前面両側を左右側枠6a,6bの段部7に当接するようにして遊技盤3を遊技盤取付枠4に固定するのであるから、本願補正発明の「前枠(4)の裏面に、前記遊技盤(6)を装着するための遊技盤装着枠(5)を設け、該遊技盤装着枠(5)は前記遊技盤(6)が着脱自在に嵌合する受け部(23)を有する門型状とし」の技術事項を有していると認められる。
そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

一致点
「外枠と、該外枠に開閉自在に枢着された前枠と、遊技盤装着枠に着脱自在に装着された遊技盤と、遊技球を貯留する球受皿とを備え、前記球受皿に遊技球を払い出す遊技球払出装置を、遊技盤装着枠に着脱自在に装着し、遊技球を貯留する遊技球タンクを、着脱自在に装着し、該遊技球タンクから前記遊技球払出装置に遊技球を誘導する遊技球供給流路を、遊技盤装着枠の横枠部に着脱自在に装着した弾球遊技機において、
前記前枠の裏面に、前記遊技盤を装着するための遊技盤装着枠を設け、該遊技盤装着枠は前記遊技盤が着脱自在に嵌合する受け部を有する門型状とし、前記遊技盤装着枠の上部の横枠部に前記遊技球供給流路を装着すると共に、前記前枠の裏面で前記横枠部の上面に沿って前記遊技球タンクを設けたことを特徴とする弾球遊技機。」

相違点
(A)球受皿に遊技球を払い出す遊技球払出装置が、本願補正発明では、賞球を払い出す賞球払出手段と貸球を払い出す貸球払出手段を備えるのに対し、引用発明1では、貸球払出手段を備えておらず、景品球を同時に複数個払い出す第1景品球払出装置39aと景品球を1個ずつ払い出す第2景品球払出装置39bとが設けられている点。
(B)遊技球供給流路が、本願補正発明では、遊技球タンクから賞球払出手段及び貸球払出手段に遊技球を誘導するものであるのに対し、引用発明1では、貸球払出手段を備えておらず、遊技球タンクから賞球払出手段に遊技球を誘導するものである点。
(C)着脱自在な遊技球タンクを、本願補正発明では前枠に装着し、横枠部で遊技球タンクの重量を下側から受けるように横枠部上に設けたのに対し、引用発明1では遊技盤装着枠(遊技盤取付枠)に装着した点。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点(A)について
引用発明2には、球受皿(上皿19)に賞球を払い出す賞球払出手段(賞球払出機構)と球受皿に貸球を払い出す貸球払出手段(貸球払出機構)とを備える遊技球払出装置(球払出装置240)が記載されている。そして、引用発明1及び2は複数の遊技球払出手段を備えた弾球遊技機において共通しているから、引用発明1の遊技球払出装置(景品球払出機構B)に引用発明2の遊技球払出装置(球払出装置240)を適用し、相違点(A)に係る本願補正発明を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。
相違点(B)について
引用発明2には、遊技球タンク(賞球タンク204)から賞球払出手段(賞球払出機構)及び貸球払出手段(貸球払出機構)に遊技球を誘導する遊技球供給流路(玉整列レール部材213、カーブレール部材224、玉通路部材227)が記載されている。そして、引用発明1及び2は弾球遊技機において共通しているから、引用発明1の遊技球供給流路(球流路24)に引用発明2の遊技球供給流路(玉整列レール部材213、カーブレール部材224、玉通路部材227)を適用し、相違点(B)に係る本願補正発明を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。
相違点(C)について
遊技球タンクの重量を下側から受けるように支持部材上に遊技球タンクを設ける技術は、例えば、引用発明3に示された「球タンク6の底部を支える機能を有する取付部10に臨ませる球タンク6」及び引用発明4に示された「受け部17上に配置される貯留供給手段11」のように弾球遊技機の技術分野において周知・慣用の技術である。また、遊技球タンクを遊技機のどの部材に装着するかは、他の構成部材との関連性や、取付部分の強度などを考慮して、当業者が適宜なし得る設計上の事項であるから、引用発明1の遊技球タンク(景品球タンクA)に遊技球タンクの配置手法として共通している上記周知・慣用の技術を適用する際に遊技球タンクの装着箇所を限定し、相違点(C)に係る本願補正発明を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。

また、効果においても、引用発明1は「機構板を無くし、取付作業の簡略化やコストの低廉が図られる」ものであるから、本願補正発明が格別の効果を奏するものとは認められない。

したがって、本願補正発明は、引用発明1及び2並びに周知・慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(う)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第三、本願発明について
平成15年11月20日付けの手続き補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至9に係る発明は、上記平成15年1月21日付けで補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至9に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明は次のとおりのものである。
「外枠(2)と、該外枠(2)に開閉自在に枢着された前枠(4)と、該前枠(4)に着脱自在に装着された遊技盤(6)と、遊技球を貯留する球受皿(9)とを備えた弾球遊技機において、
前記球受皿(9)に賞球を払い出す賞球払出手段(32a)と、前記球受皿(9)に貸球を払い出す貸球払出手段(32b)と、遊技球を貯留する遊技球タンク(30)と、該遊技球タンク(30)から前記賞球払出手段(32a)及び前記貸球払出手段(32b)に遊技球を誘導する球供給通路(31)とを、前記前枠(4)に着脱自在に装着すると共に、前記前枠(4)の裏側に、前記遊技盤(6)を装着するための遊技盤装着枠(5)を設け、該遊技盤装着枠(5)の横枠部(5c)に前記球供給通路(31)を装着し、前記遊技球タンク(30)を前記横枠部(5c)の上面に沿って設けたことを特徴とする弾球遊技機。」(以下、「本願発明」という)

(1)特許法第36条第6項第2号の検討
「遊技盤(6)」及び「球供給通路(31)」の構成について、本願発明における「・・・と、該前枠(4)に着脱自在に装着された遊技盤(6)と、・・・とを備えた弾球遊技機において、
・・・と、該遊技球タンク(30)から前記賞球払出手段(32a)及び前記貸球払出手段(32b)に遊技球を誘導する球供給通路(31)とを、前記前枠(4)に着脱自在に装着すると共に、前記前枠(4)の裏側に、前記遊技盤(6)を装着するための遊技盤装着枠(5)を設け、該遊技盤装着枠(5)の横枠部(5c)に前記球供給通路(31)を装着し、・・・とする弾球遊技機。」の記載では、
遊技盤(6)が着脱自在に設け(着脱自在に装着、装着)られる対象は、前枠(4)であるのか遊技盤装着枠(5)であるのかが不明であり、
球供給通路(31)が設け(着脱自在に装着、装着)られる対象は、前枠(4)であるのか遊技盤装着枠(5)の横枠部(5c)であるのかが不明である。
したがって、本願発明の記載は、特許を受けようとする発明が明確でない。

(2)特許法第29条第2項の検討
(あ)引用刊行物に記載された発明
原査定の拒絶理由通知に引用された刊行物と本願出願前に頒布された刊行物及びその記載事項は前記「第二、(4)(あ)」に記載したとおりである。

(い)本願発明と引用発明との対比・判断
本願発明は、上記「第3.(1)」に記載したとおり特許を受けようとする発明が明確でなく、各構成部材について「発明の実施の形態」を参照しても、依然として、特許を受けようとする発明が明確でなく、「図面」を参照し、それらに示された事項を、「発明の実施の形態」に記載された内容と照合すると、両者が符合することは、上記「第二、(4)(い)」に記載のとおりである。

よって、本願発明は、「図面」に示された上記(い-1)乃至(い-5)の記載内容を参酌し、次のとおりのものと解釈し直して、比較・検討する。(下線部が解釈変更部分である。)
「外枠(2)と、該外枠(2)に開閉自在に枢着された前枠(4)と、遊技盤装着枠(5)に着脱自在に装着された遊技盤(6)と、遊技球を貯留する球受皿(9)とを備えた弾球遊技機において、
前記球受皿(9)に賞球を払い出す賞球払出手段(32a)と、前記球受皿(9)に貸球を払い出す貸球払出手段(32b)とを、前記遊技盤装着枠5に着脱自在に装着し、遊技球を貯留する遊技球タンク(30)を、前記前枠(4)に着脱自在に装着し、該遊技球タンク(30)から前記賞球払出手段(32a)及び前記貸球払出手段(32b)に遊技球を誘導する球供給通路(31)を、遊技盤装着枠(5)の横枠部(5c)に着脱自在に装着すると共に、前記前枠(4)の裏側に、前記遊技盤(6)を装着するための遊技盤装着枠(5)を設け、該遊技盤装着枠(5)の横枠部(5c)に前記球供給通路(31)を装着し、前記遊技球タンク(30)を前記横枠部(5c)の上面に沿って設けたことを特徴とする弾球遊技機。」

本願補正発明(当審で解釈し直したもの、下線部が解釈変更部分)は、本願発明(当審で解釈し直したもの)を特定するために必要な事項である「遊技盤(6)を装着するための遊技盤装着枠(5)」について「遊技盤装着枠(5)は前記遊技盤(6)が着脱自在に嵌合する受け部(23)を有する門型状とし、」と限定し、また同「遊技盤装着枠(5)の横枠部(5c)に前記球供給通路(31)を装着」を「遊技盤装着枠(5)の上部の横枠部(5c)に前記球供給通路(31)を装着」と限定し、同「遊技球タンク(30)を前記横枠部(5c)の上面に沿って設けた」を「横枠部(5c)で前記遊技球タンク(30)の重量を下側から受けるように、前記前枠(4)の裏面で前記横枠部(5c)上に該横枠部(5c)の上面に沿って前記遊技球タンク(30)を設けた」と限定するものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第二、(4)(い)」に記載したとおり、引用発明1及び2並びに周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明1及び2並びに周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(う)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び2並びに周知・慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-05-30 
結審通知日 2007-06-05 
審決日 2007-06-21 
出願番号 特願2000-298467(P2000-298467)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 537- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塩崎 進米津 潔  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 川島 陵司
中槙 利明
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 谷藤 孝司  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ