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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1162101 |
審判番号 | 不服2004-3948 |
総通号数 | 93 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-02-26 |
確定日 | 2007-08-09 |
事件の表示 | 平成11年特許願第253854号「景品管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 3月21日出願公開、特開2001- 70607〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成11年9月8日の出願であって、平成15年6月23日付で拒絶の理由が通知されたのに対し、同年8月18日付で意見書の提出及び手続補正がなされ、平成16年1月19日付で拒絶査定がなされたのに対し、同年2月26日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに、同年3月29日付で手続補正がなされたものである。 2 平成16年3月29日付の手続補正について補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年3月29日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 平成16年3月29日付の手続補正(以下、「本件補正」という)により、特許請求の範囲の請求項2は、次のとおりに補正された。 「遊技場において、当該遊技場に予め登録された会員が獲得した遊技価値の一部又は全部を所定の換算率に基づいてポイント景品に換算するポイント換算手段と、 前記ポイント景品を扱う提携機関及び当該提携機関で取り扱う商品に関する情報を記録する提携機関管理手段と、 換算されたポイント景品の内容を表す価値情報を会員毎に記録し、且つ前記提携機関から送られる、前記会員により当該提携機関で選定された商品の市場価格と等価のポイント値から導出されたポイント景品の消化情報に基づいて当該会員の前記価値情報を更新する価値情報管理手段と、 前記ポイント景品に換算しない残部の遊技価値を表す残遊技価値情報を会員毎に記録する残遊技価値管理手段とを含んで構成されている、 景品管理システム。」 上記補正は、平成15年8月18日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明を特定するための事項である「会員」及び「会員により選定された商品」について、「当該遊技場に予め登録された会員」及び「会員により当該提携機関で選定された商品」との限定を付加するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項2に記載された発明(以下、「本願補正発明」という)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-57178号公報(以下、「引用例」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (a)「・・・遊戯場端末1は、遊戯場の店頭に設置してある端末装置であり、客の玉あるいはチップを計数して点数に換算するとともに、点数に応じた景品のカタログを表示する。・・・」(段落0013) (b)「パチンコホールで、客は遊戯場端末1に接続された計数装置(図示せず)で玉を計数してもらう。他の種類の遊戯場と共通の景品を提供するために、計数値は点数に換算され、その点数でもらえる景品のカタログが遊戯場端末1に表示される。図3に示すように、客は画面に表示された景品のカタログから景品を選択する。景品を選択すると、景品の種類と数量のデータが、遊戯場端末1から通信回線2を経由してセンターサーバ3に伝送される。センターサーバ3では、その景品を扱っている商店のメールボックスに、景品の種類と数量と取引識別符号などからなる景品引渡依頼を書き込む。それと同時に、遊戯場端末1に対して、景品の種類と数量と識別符号を送信する。遊戯場端末1では、景品を引き渡す商店と識別符号を書いた個人認証票を発行して客に渡す。個人認証票には、バーコードなどの機械読取り可能な符号を印刷する。・・・」(段落0015) (c)「客は、個人認証票を持って指定された商店に出向き、景品の引渡しを請求する。商店では、個人認証票のバーコードを読み取って確認し、商店端末5を使ってセンターサーバ3をアクセスし、景品引渡情報をメールボックス4で確認して、客に景品を引き渡す。その後、センターサーバ3に、景品引渡しが完了したことを通知する。センターサーバ3では、景品引渡し完了を受信すると、取引きを記録してメールボックス4の当該データを消去する。」(段落0016) (d)「・・・個人認証票を毎回発行するかわりに、会員カードのように一定期間にわたって有効な個人認証票を使用してもよいし、運転免許証のような一般的な証明書を利用してもよい。」(段落0018) (e)「・・・遊戯場端末1は、遊戯場の店頭に設置してある端末装置であり、客の玉あるいはチップを計数して、点数に換算する。各商店の景品カタログの載ったメールボックスを検索して、景品を選択することができる。また、個人認証票を発行する。通信回線2は、センターサーバ3と遊戯場端末1および商店端末5を結ぶインターネットなどの通信ネットワークである。センターサーバ3は、景品のデータを受信し、商店に景品の引渡しを連絡するものである。商店端末5は、各商店の店頭に設置された端末装置であり、個人認証票を読み取って、通信回線2を介してセンターサーバ3から景品引渡データを受信するものである。」(段落0028) (f)「・・・遊戯場端末1には、図7に示すような、景品を提供できる商店の一覧表が表示される。希望の景品がありそうな商店を選択すると、図8に示すような、その商店が提供できる景品の一覧表が表示される。客の点数の範囲内で景品をいくつか選択すると、商店端末5からセンターサーバ3にその情報が送信される。また、図5に示すようなバーコードが印刷された個人認証票が発行される。センターサーバ3では、景品情報を受信すると、その商店のメールボックス4に景品引渡依頼を書き込む。遊戯場端末1に対して、景品引渡情報と取引識別符号を送る。遊戯場端末1では、商店と個人識別符号を印刷した個人認証票を発行する。個人識別符号はバーコードでも印刷される。」(段落0029) (g)「客は、個人認証票を持って商店に行き、景品を請求する。商店では、個人認証票を商店端末5で読み取り、自動的にセンターサーバ3をアクセスし、メールボックス4を読んで、景品の種類と数量を確認する。その景品を客に引き渡し、センターサーバ3に引渡し完了を通知する。センターサーバ3では、取引完了を記録し、メールボックス4の取引データを消去する。」(段落0030) 以上の記載事項を参酌すると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されているものと認められる。 「遊戯場端末1は、遊戯場の店頭に設置してある端末装置であり、客の玉あるいはチップを計数して点数に換算し、 遊戯場端末1には、景品を提供できる商店の一覧表が表示され、希望の景品がありそうな商店を選択すると、その商店が提供できる景品の一覧表が表示され、客の点数の範囲内で景品を選択する、 景品引渡システム。」 (3)対比 本願補正発明と引用発明を比較する。 引用発明の「遊戯場」は本願補正発明の「遊技場」に相当し、以下同様に、「玉あるいはチップ」は「遊技価値」に、「点数」は「ポイント景品」に、「景品」は「商品」に、「景品引渡システム」は「景品管理システム」にそれぞれ相当し、さらに以下のことが言える。 (ア)引用例には「個人認証票を毎回発行するかわりに、会員カードのように一定期間にわたって有効な個人認証票を使用してもよい」(前記(2)(d)参照)と記載されており、一般的に会員カードは遊技場に登録された会員に対して発行されるものであることから、引用発明の「客」は本願補正発明の「当該遊技場に予め登録された会員」に置き換えることができる。 (イ)引用発明において、玉あるいはチップ(遊技価値)を計数して点数(ポイント景品)に換算するに際して、引用例の「他の種類の遊戯場と共通の景品を提供するために、計数値は点数に換算され」(前記(2)(b)参照)の記載から判断して、本願補正発明と同様に「所定の換算率」で換算されることは明らかである。また、かかる換算を行う手段(ポイント換算手段)を引用発明の遊戯場端末1が備えていることは自明である。 (ウ)引用発明の「景品を提供できる商店」と遊戯場(遊技場)が提携関係にあることは明らかであるとともに、景品(商品)は点数(ポイント景品)に対応して提供されるのであるから、引用発明の「景品を提供できる商店」及び「商店が提供できる景品」は本願補正発明の「ポイント景品を扱う提携機関及び当該提携機関で取り扱う商品」に対応するものである。また、それらに関する情報を記録する手段(提携機関管理手段)を引用発明の遊戯場端末1が備えていることは自明である。 したがって、両者は、 「遊技場において、当該遊技場に予め登録された会員が獲得した遊技価値の一部又は全部を所定の換算率に基づいてポイント景品に換算するポイント換算手段と、 前記ポイント景品を扱う提携機関及び当該提携機関で取り扱う商品に関する情報を記録する提携機関管理手段とを含んで構成されている、 景品管理システム。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願補正発明では、換算されたポイント景品の内容を表す価値情報を会員毎に記録し、且つ提携機関から送られる、会員により当該提携機関で選定された商品の市場価格と等価のポイント値から導出されたポイント景品の消化情報に基づいて当該会員の価値情報を更新する価値情報管理手段を備えているのに対して、引用発明では当該構成を備えているか明らかでない点。 (相違点2) 本願補正発明では、ポイント景品に換算しない残部の遊技価値を表す残遊技価値情報を会員毎に記録する残遊技価値管理手段を備えているのに対して、引用発明では当該構成を備えているか明らかでない点。 (4)判断 (相違点1について) 本願の属する景品管理システムの技術分野において、価値情報を会員毎に記録し、且つ会員により選定された商品の市場価値と等価の消化情報に基づいて当該会員の価値情報を更新する技術(価値情報管理手段)は従来周知のものであり(特開平3-68385号公報、特開平8-164262号公報及び特開平10-127910号公報には、「貯玉」を価値情報として会員毎に管理する技術が記載されている)、当該周知技術を引用発明に適用して、「ポイント景品」を価値情報として会員毎に管理するように構成することは、当業者であれば必要に応じて容易になしえるものである。 また、その適用にあたり、商品が提携機関で選定され、その消化情報が提携機関から送られるように構成することは、遊技者へのサービスの向上を勘案しつつ、当業者が通常なしえる設計的事項の範囲のものである(例えば、前掲の特開平3-68385号公報に同様の構成が記載されている他、商品を提携機関で選択することについては、特開平4-364879号公報及び特開平9-206455号公報にも記載されている周知技術である)。 よって、本願補正発明の上記相違点1に係る構成は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。 (相違点2について) 本願の属する景品管理システムの技術分野において、景品にしない残部の遊技価値を表す残遊技価値情報を会員毎に記録する技術(残遊技価値管理手段)は従来周知のものであり(前掲の特開平3-68385号公報、特開平8-164262号公報及び特開平10-127910号公報には、「貯玉」を残遊技価値情報として会員毎に管理する技術が記載されている)、当該周知技術を引用発明に適用して、「ポイント景品に換算しない残部の遊技価値」を会員毎に管理するように構成することは、当業者であれば必要に応じて容易になしえるものである。 よって、本願補正発明の上記相違点2に係る構成は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3 本願発明について (1)本願発明 平成16年3月29日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至11に係る発明は、平成15年8月18日付手続補正書の請求項1乃至11に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。 「遊技場において会員が獲得した遊技価値の一部又は全部を所定の換算率に基づいてポイント景品に換算するポイント換算手段と、 前記ポイント景品を扱う提携機関及び当該提携機関で取り扱う商品に関する情報を記録する提携機関管理手段と、 換算されたポイント景品の内容を表す価値情報を会員毎に記録し、且つ前記提携機関から送られる、前記会員により選定された商品の市場価格と等価のポイント値から導出されたポイント景品の消化情報に基づいて当該会員の前記価値情報を更新する価値情報管理手段と、 前記ポイント景品に換算しない残部の遊技価値を表す残遊技価値情報を会員毎に記録する残遊技価値管理手段とを含んで構成されている、 景品管理システム。」 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記2(2)に記載したとおりである。 (3)対比・判断 本願発明は、前記2で検討した本願補正発明から「会員」及び「会員により選定された商品」について「当該遊技場に予め登録された会員」及び「会員により当該提携機関で選定された商品」との限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに上記限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そして、請求項2乃至11に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-06-06 |
結審通知日 | 2007-06-12 |
審決日 | 2007-06-25 |
出願番号 | 特願平11-253854 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 江塚 政弘 |
特許庁審判長 |
小原 博生 |
特許庁審判官 |
中槙 利明 小林 俊久 |
発明の名称 | 景品管理システム |
代理人 | 鈴木 正剛 |