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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1162198
審判番号 不服2004-1427  
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-20 
確定日 2007-08-06 
事件の表示 特願2000-140295「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月20日出願公開、特開2001-321550〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年5月12日の出願であって、平成15年7月3日付けの拒絶理由通知に対し平成15年9月3日付けで手続補正がなされ、平成15年10月22日付けの拒絶理由通知に対し平成15年11月20日付けで手続補正がなされたが、平成15年12月18日付けで補正却下がなされ、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年1月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされると共に、手続補正がなされたものである。

2.平成16年1月20日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年1月20日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)本件補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。
「遊技動作に関連する抽選を行って遊技者に有利な状態と不利な状態とを択一的に決定する抽選機能を有する主制御手段と、この主制御手段とは別の制御基板に構成され且つ主制御手段から送信される制御信号に応じた遊技動作の制御を行う副制御手段とを備えた遊技機において、
停電により主電源が絶たれた後の復帰時に主電源が復帰したことを自動的に報知するとともに、遊技再開を促す情報も報知する報知手段と、
前記主制御手段が遊技媒体を検出する遊技媒体検出手段からの検出信号の入力を検出したとき、前記報知手段に前記の報知を停止させる報知停止手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。」

上記補正は、平成15年9月3日付け手続補正書の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「停電により主電源が断たれた後の復帰時に主電源が復帰したことを報知する報知手段」を、「停電により主電源が絶たれた後の復帰時に主電源が復帰したことを自動的に報知するとともに、遊技再開を促す情報も報知する報知手段」と変更するものであるが、「報知する」を「自動的に報知するとともに、遊技再開を促す情報も報知する」と限定したものと認められるから、この補正事項は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例1に記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成3年11月5日に頒布された特開平3-247376号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。

記載事項1;「特定入賞装置108又は特定入賞口109に遊技球が入賞する度に上記動作が繰り返され、入賞空間51が第2状態となっている間に、遊技球が偶発的に変動入賞装置50内の特別入賞口54に入賞すると、それが特別入賞口54内に設置された特別入賞検出器54a(SW3)によって検出され、その検出信号に基づいて大当りと呼ばれる特別遊技状態が発生する。
ここに、特別遊技状態とは、通常遊技状態に比べ、遊技者に多くの賞球獲得のチャンスを与える遊技状態で、…」(第5ページ左上欄第10-20行)

記載事項2;「この賞球排出制御装置600は、パチンコ遊技機10の裏側に取り付けられる制御基盤610に賞球排出制御に関与するマイクロコンピュータ等の各種電子部品や電子回路等が配設されて構成され、…
一方、役物制御装置500は、役物制御基盤510上にパチンコ遊技機10の役物等の制御を行なうマイクロコンピュータ520等の各種電子部品や電子回路が設置されるとともに接続コネクタ585が複数設置されて構成されている。」(第14ページ左上欄第17行-左下欄第18行)

記載事項3;「第15図には前記役物制御装置500による役物制御系の制御ブロック図を示す。
この役物制御装置500は、役物系統の制御に関与するマイクロコンピュータ(MPU)520、…外部電源(主電源20)からの電源電圧を作動用電源用に変換して役物制御装置500のマイクロコンピュータ520等の各作動部に供給する電源回路580等から成る。
前記マイクロコンピュータ520は…入力ポートバッファ524、…等を具えている。…
そして、このマイクロコンピュータ520の入力ポートバッファ524には、…変動入賞装置50内の特別入賞検出器SW3、…等が接続されている。…
電源回路580と主電源20との接続点には更に電源監視回路590が接続され、主電源20からの電力の供給状態が監視できるようになっている。…
役物制御装置500は、上記のように構成されていて、始動入賞検出器SW1,SW1,SW2、特別入賞検出器SW3、カウントセンサ58、発射モータ151からの信号がローパスフィルタ531を介してマイクロコンピュータ520に送られてくると、マイクロコンピュータ520がその送られてきた信号の種類に対応した出力信号を第1ドライバ532、第2ドライバ534、アンプ533に送るようになっている。このとき前記第1ドライバ532は、遊技状態表示器(情報ユニット)431に、通常遊技状態表示、補助遊技状態表示、特別遊技状態表示の表示等を行わせるべく駆動信号を該遊技状態表示器(情報ユニット)431に送るようになっている。
また、前記第2ドライバ534はソレノイド50aに変動入賞装置50の可動部材53を駆動させたり、変動入賞装置50に配設されたアンプ50,発光ダイオード(LED)を遊技状態に応じて点滅させたりする。」(第16ページ左下欄第5行-第17ページ右下欄第12行)

記載事項4;「第16図には賞球排出制御装置600によるパチンコ遊技機10の賞球排出制御系統の制御ブロック図を示す。
賞球排出制御装置600はパチンコ遊技機10の賞球排出系統の制御を行なうもので、賞球排出系統の制御を行なうマイクロコンピュータ(MPU)620、…等から成る。
前記マイクロコンピュータ620は読出し専用メモリたるROM621、随時読出しと書込みが可能なメモリたるRAM622、…等を具えている。…
一方、RAM622には、ローパスフィルタ631を介して送られてくる…、遊技盤又は役物制御装置等に設置される賞球数設定器530からの賞球設定数の情報信号などを一時的に記憶したりする記憶領域、…などが設けられている。…
賞球排出制御装置600は、上記のように構成されていて、賞球数設定器530からの信号がローパスフィルタ631を介してマイクロコンピュータ620に送られてくると、マイクロコンピュータ620はその送られてきた信号の種類に対応した出力信号をドライバ632に送って、入賞球数表示器613(第12図),排出残球有表示器(ランプユニット)445(第7図)のうちの対応する表示器を点灯させたり、賞球排出ソレノイド741,741,シャッターソレノイド910、ロックソレノイド721等の各種ソレノイドのうちの対応するソレノイドを作動させり、或いは、完了ランプ271を点灯させたり、セーフランプ272を点灯させたりする。」(第17ページ右下欄第18行-第18ページ左下欄第16行)

記載事項5;「第29図は、前述した賞球排出制御装置のメインルーチン(第17図)のステップS22で実行される排出開始処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
このサブルーチンは、1つの入賞球(セーフ球)に対して1回行われる所定数の賞品球の排出を行なうに当り、上記所定数(賞球設定数)の賞品球を、2条設けられた第1及び第2の賞球導出樋710,710(第6図、第9図)の一方から幾つ排出し、他方から一つ排出するか等排出の態様を予め決定すると共に、排出ソレノイド1及び/又は排出ソレノイド2を励磁(ON)して上記態様に従った賞品球の排出を開始させておくものである。
本ルーチンが開始されると、…
ステップS106では、賞球排出制御装置600に接続された賞球設定器530(第16図参照)に予め記憶されている賞球設定数を排出レジスタ0に設定し、ステップS108で上記排出レジスタ0の値が「1」であるか否かが、続くステップS110で該排出レジスタ0の値が「8」以下であるか否かが夫々判別される。
前記ステップS108の判別結果が“Yes”、即ち排出レジスタ0の値が「1」のときには、1個排出フラグを“1”に設定し(ステップS112)、交互排出フラグを“0”に設定し(ステップS114)、更に後述の1個排出処理(第33図)で用いられる1個排出タイマを所定値にセットして(ステップS116)、ステップS122の反転フラグ処理を行なう。…
第29図に戻り、前記ステップS108の判別結果が“No”、前記ステップS110の判別結果が“Yes”、即ち上記排出排出レジスタ0の値が「2」以上「8」以下の値であるときには、1個排出フラグを“0”に設定し(ステップS118)、交互排出フラグを“1”に設定して(ステップS120)、ステップS122の反転フラグ処理を行なう。…
又、前記ステップS108,S110の判別結果が共に“No”のとき、即ち賞球排出数が9以上のときには、後述する排出数分割処理(第31図)を行なった後(ステップS130)、1個排出フラグを“0”に設定し(ステップS132)、交互排出フラグを“0”に設定し(ステップS134)、さらに、後述の併用排出処理にて用いられる排出1終了フラグ,排出2終了フラグの値を“0”のリセットする(ステップS136,ステップS138)と共に排出ソレノイド1、排出ソレノイド2を共に励磁(ON)して(ステップS140,ステップS142)、ステップS144以降に進む。」(第32ページ左下欄第18行-第34ページ左上欄第7行)

記載事項6;「これらのRESET処理は主電源20から電源電圧が供給されている限り所定時間経過毎に繰返し実行される。
斯るRESET処理中に、停電が発生して後述の役物制御装置側のパワーダウン処理(第38図)が実行され(該処理により停電フラグは“1”に設定される)、その後通常の電力供給状態に復帰(停電復帰)し、RESET処理が再開されると、前記ステップS3002の判別が“Yes”に転じ、ステップS3030?S3054による停電後の復帰処理が行なわれる。
この復帰処理は、前述の補助遊技状態又は特別遊技状態中に停電が発生して上記遊技状態が中断してしまった場合であっても、停電復旧後に、停電発生時の遊技状態を再現し、もって遊技者に停電による不利益を与えないようするものである。
先ず、ステップS3030で補助遊技フラグが“1”であるか否かが判別され、次いでステップS3032で特別遊技フラグが“1”であるか否かが判別される。
これらステップS3030,S3032の判別結果が共に“No”、即ちパチンコ遊技機が停電発生時に補助遊技状態、特別遊技状態の何れの状態でもなかった(通常遊技状態)と判断されたときには、停電フラグを“0”にリセットする(ステップS3034)と共に、停電中に後述のパワーダウン割込み処理のステップS3114で行なわれる情報表示装置400による通常遊技表示を終了(OFF)して(ステップS3036)、前述のステップS3004の判別を行ない(この場合、判別結果は“No”となる)、更に前記ステップS3006以降の処理を行なう。
一方、前記ステップS3030,S3034の何れか一方の判別結果が“Yes”、即ち停電発生時にパチンコ遊技機が補助遊技状態、特別遊技状態の何れかの遊技状態であったときにはステップS3038に進んで、この時点で発射モータ151が作動(ON)しているか否かが判別される。この判別結果が“No”、即ち停電復帰後遊技者が未だ遊技を始めていないときにはステップS3040以降の処理を実行することなく、今回ループでの処理を終了する。斯るステップS3002,S3030(又はステップS3030,S3032)、S3038の処理は停電復帰後発射モータが作動(ON)するまで繰返し行なわれる。
次回以降のループにおいて前記ステップS3038の判別結果が“Yes”に転じると、停電フラグが“0”にリセットされ(ステップS3040)、その後、停電発生時に補助又は特別遊技状態であったパチンコ遊技機の遊技が再開されたことを示すべくウェイトフラグが“1”に設定される(ステップS3042)。次いでステップS3044にて補助遊技状態又は特別遊技状態の再現を発射モータ151の作動開始後所定時間(遊技球が発射された後入賞口に到達するまでの時間に相当する時間)が経過するまで保留するためのウェイトタイマを所定値(例えば2sec)に設定して、今回ループの処理を終了する。…
この結果、補助遊技状態又は特別遊技状態の途中に停電が発生して当該遊技状態が中断した場合であっても、停電復帰後所望のタイミング(復旧後初めて発射された遊技球が遊技盤300の入賞口近傍に達するタイミング)で、停電前の遊技状態が再現されることになる。」(第41ページ左下欄第14行-第42ページ右下欄第7行)

記載事項7;「次に、上述した役物制御装置500による役物制御の処理の途中で停電が発生し、主電源20からの電力供給が停止した場合に行なわれる役物制御装置側のパワーダウン割込処理について第38図を参照して説明する。
このパワーダウン割込み処理は、主電源からの電源電圧の供給状態を常時監視する停電監視回路590からの信号が停電状態を示したときに、それまで行なわれたリセット処理(第37図)に代えて役物制御装置のMPU520がその処理を開始するものである。
先ず、停電の発生が電源監視回路590からの信号に基づいて検知されて本処理が開始されると、変動入賞装置50に設置されたソレノイド50a、ランプ50b、LED50c、スピーカ363等各種作動部への電力の供給が停止(出力OFF)される(ステップS3102)。
次のステップS3104では停電が発生したことを記憶すべく前述の停電フラグを“1”に設定し、その後、特別遊技フラグが“1”であるか否か(ステップS3106)、補助遊技フラグが“1”であるか否か(ステップS3108)が順次判別される。
前記ステップS3106の判別結果が“Yes”、即ち停電発生時にパチンコ遊技機が特別遊技状態となっていたときには情報表示装置400のメッセージボード(情報ユニット)431で特別遊技状態中に停電が発生した旨の表示を行ない(ステップS3110)、賞球排出制御装置にて行なわれるのと同様のスタンバイモードに移行する。
一方、前記ステップS3108の判別結果が“Yes”、即ち停電発生時にパチンコ遊技機が補助遊技状態となっていたときには情報表示装置400のメッセージボード(情報ユニット)431で補助遊技状態中に停電が発生した旨の表示を行ない(ステップS3112)、一方、前記ステップS3106,S3108の判別結果が共に“No”、即ち停電発生時にパチンコ遊技機が通常の遊技状態となっていたときには通常遊技状態中に停電が発生した旨の表示を行なって(ステップS3114)、それぞれスタンバイモードに移行する。」(第42ページ右下欄第8行-第43ページ右上欄第9行)

記載事項8;「また、本実施例では、所謂ゼロ戦タイプの変動入賞装置(役物装置)が設置されたパチンコ遊技機に対して行われる停電処理時のバックアップ制御を処理説明したが、通常遊技状態以外の遊技状態を少なくとも1つ以上行なう変動入賞装置を具えるパチンコ遊技機であれば、如何なるタイプの遊技機(例えばフィーバータイプの入賞装置を具える遊技機)にも本実施例に係る停電時の賞球排出制御装置又は役物制御装置による処理は実行可能である。」(第43ページ右下欄第13行-第44ページ左上欄第2行)

前記摘示の記載によれば、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「特別入賞検出器SW3からの信号に基づいて特別遊技状態を発生させる役物制御装置500と、
役物制御装置500に設置される賞球数設定器530から送られる信号に基づいて賞品球の排出を行なう賞球排出制御装置600とを備えたパチンコ遊技機において、
停電が発生して役物制御装置側のパワーダウン処理が実行され、停電発生時にパチンコ遊技機が通常の遊技状態となっていたときには通常遊技状態中に停電が発生した旨の表示を行なって、その後停電復帰すると通常遊技表示を終了するパチンコ遊技機。」

(3)引用例2に記載の発明
本願の出願の日前である平成7年8月1日に頒布された特開平7-194792号公報(以下「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。

記載事項9;「【0122】遊技不能化処理
図19はメインルーチンにおけるステップS43の遊技不能化処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンが開始されると、まずステップS500でアンラッキーフラグがオン(ON:セットのこと)しているか否かを判別する。アンラッキーフラグがオンしていなければ、今回のルーチンを終了してメインルーチンにリターンする。したがって、遊技は不能化されない。
【0123】一方、アンラッキーフラグがオンしていると、続くステップS502で遊技再開条件が成立しているか否かを判別する。遊技再開条件とは、アンラッキーナンバー図柄で大当りが発生した場合に、遊技を不能化し、一旦獲得球を景品に交換してから再度遊技の続行を許可するときの、再開条件をいう。具体的には、下記のような条件に設定されている。
a)アンラッキーナンバー図柄での大当り終了後、所定時間が経過したとき
b)パチンコ機内の再開操作(例えば、係員によるキー入力)
c)管理室からの再開指令
d)球貸機の操作により遊技球を借りたとき
e)連チャン大当りが発生した場合
これは、連チャン大当りが発生しても遊技不能状態てあると、いわゆるパンクしてしまうからである。なお、連チャン大当りが発生した場合の別の対応として、例えばアンラッキーナンバー図柄での大当り終了後、始動記憶の4個の判定が終了するまでは遊技不能状態にしない処理を行うようにしてもよい。そのようにすると、始動記憶内での連チャン大当りに適切に対処することができる。」

記載事項10;「【0126】一方、上記ステップS502で遊技再開条件が成立している場合、すなわちアンラッキーナンバー図柄での大当り終了後、所定時間が経過したとき、パチンコ機内の再開操作(例えば、係員によるキー入力)が行われたとき、管理室からの再開指令があったとき、遊技者が球貸機を操作して遊技球を借りたときあるいは連チャン大当りが発生した場合の何れか1つが成立したときには、ステップS510に進んでアンラッキーNO.フラグをリセットする。これは、大当り処理のステップS236でセットされたアンラッキーNO.フラグをリセット処理するもので、例えばCPU301を一旦リセット(例えば、係員による手動リセット)することで行ってもよいし、あるいはアンラッキーNO.フラグのリセット端子に接続されたスイッチを設け、係員がそのスイッチを操作してリセット信号を供給するようにしてもよい。
【0127】次いで、ステップS512で遊技不能状態から復帰する処理を行う。これにより、入力の禁止および球の発射禁止が解除されるとともに、遊技不能化中の報知も停止する。その後、メインルーチンにリターンする。なお、ステップS512において遊技不能状態からの復帰を表示あるいは音声(又は表示と音声の両方)で報知するようにしてもよい。そのようにすると、遊技者は遊技を再開できることを容易に認識することができる。例えば、“遊技の再開が可能になりました。引き続き遊技をお楽しみ下さい”というようなメッセージにする。」

前記摘示の記載によれば、引用例2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「アンラッキーナンバー図柄により遊技を不能化し、遊技再開条件が成立している場合、遊技不能状態からの復帰を、“遊技の再開が可能になりました。引き続き遊技をお楽しみ下さい”というメッセージの表示で報知し、遊技者は遊技を再開できることを容易に認識することができるようにしたパチンコ機。」

(4)対比
本願補正発明と引用発明1を対比すると、引用発明1の「役物制御装置500」は本願補正発明の「主制御手段」に対応し、以下同様に、「送られる信号」は「送信される制御信号」に、「賞品球の排出を行なう」は「遊技動作の制御を行う」に、「賞球排出制御装置600」は「副制御手段」に、「パチンコ遊技機」は「遊技機」に各々対応し、引用発明1について次のことがいえる。

引用発明1の「特別入賞検出器SW3からの信号に基づいて特別遊技状態を発生させる」構成について、記載事項2及び3を勘案すると、特別入賞検出器SW3からの信号が送られてくるか否かにより、特別遊技状態とするか否かを選び出すもの、即ち、抽選するものであり、さらに、記載事項1から、特別遊技状態が遊技者に有利な状態であることは明らかであるから、上記構成は、「遊技動作に関連する抽選を行って遊技者に有利な状態と不利な状態とを択一的に決定する抽選機能を有する」ものといえる。
なお、変形例である「フィーバータイプの入賞装置を具える遊技機」(記載事項8)を引用発明1に採用した場合には、そのような遊技機において、主制御手段が「遊技動作に関連する抽選を行って遊技者に有利な状態と不利な状態とを択一的に決定する抽選機能を有する」ことは、当該技術分野において周知・慣用技術(必要ならば、特開平6-246050号公報、特開平8-229227号公報又は特開平10-85421号公報等を参照のこと。)であるから、引用発明1が、そのような構成を備えるものとなることは、当業者にとって自明なことともいえる。

記載事項3から、賞球排出制御装置600と役物制御装置500は、別の制御基板に構成されていることが明らかであるから、引用発明1の賞球排出制御装置600は、「この主制御手段とは別の制御基板に構成され」るものといえる。

そうすると両者は、「遊技動作に関連する抽選を行って遊技者に有利な状態と不利な状態とを択一的に決定する抽選機能を有する主制御手段と、この主制御手段とは別の制御基板に構成され且つ主制御手段から送信される制御信号に応じた遊技動作の制御を行う副制御手段とを備えた遊技機。」で一致し、以下の点で相違する。

相違点1;本願補正発明は、「停電により主電源が絶たれた後の復帰時に主電源が復帰したことを自動的に報知する報知手段」を備えるのに対して、引用発明1は、停電が発生して役物制御装置側のパワーダウン処理が実行され、停電発生時にパチンコ遊技機が通常の遊技状態となっていたときには通常遊技状態中に停電が発生した旨の表示を行なって、その後停電復帰すると通常遊技表示を終了する点。

相違点2;報知手段について、本願補正発明は、「遊技再開を促す情報も報知する」のに対して、引用発明1は、そのように構成されていない点。

相違点3;本願補正発明は、「主制御手段が遊技媒体を検出する遊技媒体検出手段からの検出信号の入力を検出したとき、報知手段に報知を停止させる報知停止手段」を備えるのに対して、引用発明1は、そのように構成されていない点。

(4)判断
相違点1について
引用発明1は、停電により主電源が絶たれた後、通常遊技状態中に停電が発生した旨の表示を行なって、その後停電復帰すると通常遊技表示を終了するのだから、遊技者は、通常遊技表示の終了により、主電源が復帰したことを間接的に知り得ることが明らかであり、記載事項6を勘案すれば、通常遊技表示の終了が自動的であることも明らかである。
ところで、停電から復帰したことを、直接的に報知することは、各種の分野における周知・慣用技術(必要ならば、特開平4-205005号公報、特開平6-263198号公報又は特開平8-6678号公報等を参照のこと。)である。
してみれば、引用発明1においても、そのような周知・慣用技術を採用し、「停電により主電源が絶たれた後の復帰時に主電源が復帰したことを自動的に報知する報知手段」を備えるようにすることは、当業者が容易に想到できることである。

なお、引用発明1は、パチンコ遊技機が停電発生時に通常遊技状態と判断されたときに報知が成されるが、補助遊技状態又は特別遊技状態のときには、発射モータ151の作動開始後に、停電時の遊技表示を終了させる点について、引用例1には、「即ち停電発生時にパチンコ遊技機が補助遊技状態、特別遊技状態の何れかの遊技状態であったときにはステップS3038に進んで、この時点で発射モータ151が作動(ON)しているか否かが判別される。…
次いでステップS3044にて補助遊技状態又は特別遊技状態の再現を発射モータ151の作動開始後所定時間(遊技球が発射された後入賞口に到達するまでの時間に相当する時間)が経過するまで保留するためのウェイトタイマを所定値(例えば2sec)に設定して、今回ループの処理を終了する。…
この結果、補助遊技状態又は特別遊技状態の途中に停電が発生して当該遊技状態が中断した場合であっても、停電復帰後所望のタイミング(復旧後初めて発射された遊技球が遊技盤300の入賞口近傍に達するタイミング)で、停電前の遊技状態が再現されることになる。」(記載事項8)と記載されており、この記載によれば、補助遊技状態又は特別遊技状態であったときには、その再現を、発射モータ151の作動開始後に遊技球が発射され、入賞口に到達するまでの時間が経過するまで保留するウェイトタイマを設定するために、停電時の遊技表示を終了が、発射モータ151の作動開始後となっているものであるが、補助遊技状態又は特別遊技状態の再現を保留することは、引用発明1との関連において任意付加的な構成と認められ、そのような構成を削除し、保留せずに遊技状態を再現することも、当業者にとって格別創意工夫を要することではなく、この点が、上記した周知・慣用技術の採用を阻害する要因とはいえない。

相違点2について
引用発明2の“遊技の再開が可能になりました。引き続き遊技をお楽しみ下さい”というメッセージの表示は、「遊技再開を促す情報」ということができ、また、アンラッキーナンバー図柄による遊技不能状態と停電により主電源が絶たれた状態は、共に遊技不能状態ということができ、パチンコ機において遊技者に対して報知する技術として共通する引用発明2を、引用発明1に適用することは当業者が容易に想到できることである。

相違点3について
一般に、報知手段に複数の報知情報を報知するならば、報知されている情報を、何等かの条件を契機として停止させることは、当業者が当然考慮すべき設計事項であり、契機とする条件として、報知する役割を終えた場合に、その検出によって、報知を停止させることは、周知・慣用技術(必要ならば、特開平8-19644号公報(段落0027)、特開平11-309246号公報(段落031)、特開平8-6751号公報(段落0004)、特開平7-20933号公報(段落0017)又は特開平11-219486号公報(段落0005)等を参照のこと。)であるから、引用発明1においても、そのような周知技術を採用することは、当業者が設計的に成し得ることである。
さらに、遊技球の検出により遊技者が遊技中であることを検出することは、当該技術分野における周知・慣用技術(必要ならば、特開平4-332581号公報(段落0038)等を参照のこと。)である。
してみれば、引用発明1においても、「主制御手段が遊技媒体を検出する遊技媒体検出手段からの検出信号の入力を検出したとき、報知手段に報知を停止させる報知停止手段」を備えさせることは、当業者が容易に想到できることである。

作用効果について
本願補正発明の作用効果も、引用発明1及び2並びに周知・慣用技術から当業者が予測できる域を超えるものではない。

したがって、本願補正発明は、引用発明1及び2並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成16年1月20日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至6に係る発明は、平成15年9月3日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至6に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
「遊技動作に関連する抽選を行って遊技者に有利な状態と不利な状態とを択一的に決定する抽選機能を有する主制御手段と、この主制御手段とは別の制御基板に構成され且つ主制御手段から送信される制御信号に応じた遊技動作の制御を行なう副制御手段とを備えた遊技機において、
停電により主電源が断たれた後の復帰時に主電源が復帰したことを報知する報知手段と、
前記主制御手段が遊技媒体を検出する遊技媒体検出手段からの検出信号の入力を検出したとき、前記報知手段に前記の報知を停止させる報知停止手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。」

(1)引用例1に記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成3年11月5日に頒布された特開平3-247376号公報は、前記2.(2)において記載した引用例1と同一文献であって、この引用例1の記載事項及び該記載事項に基づいて認定される発明(以下、「引用発明1」という。)は、前記したとおりのものである。

(2)対比
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明の「停電により主電源が絶たれた後の復帰時に主電源が復帰したことを自動的に報知するとともに、遊技再開を促す情報も報知する報知手段」を、「停電により主電源が断たれた後の復帰時に主電源が復帰したことを報知する報知手段」と変更するものであるが、前者の「自動的に報知するとともに、遊技再開を促す情報も報知する」から「自動的に報知するとともに、遊技再開を促す情報も」との限定を削除するものある。

そこで、本願発明と引用発明1を対比すると、「遊技動作に関連する抽選を行って遊技者に有利な状態と不利な状態とを択一的に決定する抽選機能を有する主制御手段と、この主制御手段とは別の制御基板に構成され且つ主制御手段から送信される制御信号に応じた遊技動作の制御を行なう副制御手段とを備えた遊技機。」で一致し、以下の点で相違する。

相違点A;本願発明は、「停電により主電源が絶たれた後の復帰時に主電源が復帰したことを自動的に報知する報知手段」を備えるのに対して、引用発明1は、停電が発生して役物制御装置側のパワーダウン処理が実行され、停電発生時にパチンコ遊技機が通常の遊技状態となっていたときには通常遊技状態中に停電が発生した旨の表示を行なって、その後停電復帰すると通常遊技表示を終了する点。

相違点B;本願発明は、「主制御手段が遊技媒体を検出する遊技媒体検出手段からの検出信号の入力を検出したとき、報知手段に報知を停止させる報知停止手段」を備えるのに対して、引用発明1は、そのように構成されていない点。

(3)判断
相違点A及びBについて
相違点A及びBは、前記2.で検討した相違点1及び3と各々同一であり、「自動的に報知するとともに、遊技再開を促す情報も報知する」から「自動的に報知するとともに、遊技再開を促す情報も」との限定を削除したことにより、前記2.でした判断が影響を受けるものとは認められないから、相違点1及び3で検討したと同様の理由により、当業者が引用発明1及び周知・慣用技術から容易に想到できることである。

作用効果について
本願発明の作用効果も、引用発明1及び周知・慣用技術から当業者が予測できる域を超えるものではない。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び周知・慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-06-06 
結審通知日 2007-06-07 
審決日 2007-06-26 
出願番号 特願2000-140295(P2000-140295)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 林 晴男
土屋 保光
発明の名称 遊技機  
代理人 岡村 俊雄  
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