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審決分類 審判 判定 権利のもの 属さない(申立て成立) A61H
管理番号 1162253
判定請求番号 判定2007-600038  
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2007-09-28 
種別 判定 
判定請求日 2007-05-10 
確定日 2007-08-22 
事件の表示 上記特許第2577295号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号使用説明書及びイ号図面に示す「加圧吸引美容マッサージ器」は、特許第2577295号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 1 請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号使用説明書及びイ号図面に示す「加圧吸引美容マッサージ器」(以下、「イ号物件」という。)が、特許第2577295号発明(以下、「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。

2 本件特許発明
本件特許発明は、願書に添付された明細書及び図面(以下、「特許明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次のとおりのものと認められる。

【請求項1】身体のゼイ肉部をローリングし、酸化脂質等を除去して痩身のボディを作り上げるための美容マッサージ器であって、中空円筒体のローラと、その両側の開放端に着脱可能に装着されるキャップと、該キャップを介して前記ローラを枢支する把持具を備え、前記ローラの外周側にはその円周方向に沿って等間隔に複数板のプレートが外周に接して係着されることを特徴とする回転打撃美容ロ-ラ-マッサージ器。(以下、「本件特許発明1」という。)
【請求項2】前記ローラが、その内部から外部側に連通する小孔を形成するものである請求項1の回転打撃美容ロ-ラ-マッサージ器。(以下、「本件特許発明2」という。)

そして、本件特許発明1、2の構成要件を分説すると、次のとおりである。
[本件特許発明1]
A 身体のゼイ肉部をローリングし、酸化脂質等を除去して痩身のボディを作り上げるための美容マッサージ器であって、
B 中空円筒体のローラと、
C その両側の開放端に着脱可能に装着されるキャップと、
D 該キャップを介して前記ローラを枢支する把持具を備え、
E 前記ローラの外周側にはその円周方向に沿って等間隔に複数板のプレートが外周に接して係着されることを特徴とする
F 回転打撃美容ローラーマッサージ器。
[本件発特許明2]
G 前記ローラが、その内部から外部側に連通する小孔を形成するものである請求項1の回転打撃美容ローラーマッサージ器。

3 イ号物件
イ号物件は、イ号使用説明書及びイ号図面の記載に、PCT/JP2007/59661の明細書(甲第5号証)の記載を参酌して、かつその構成要件を分説すると次のとおりのものと認められる。
a 身体のゼイ肉部をローリングし、酸化脂質等を除去して痩身のボディを作り上げるための加圧吸引式美容健康マッサージ器1であって、
b 中空円筒体のマイナスイオン発生装置4と、
c マイナスイオン発生装置4の両側開口端4a、4aに取付けたキャップ5と、
d キャップ5から突設した軸部5aを介してマイナスイオン発生装置4を枢支する把持具3を備え、
e 前記マイナスイオン発生装置4は、外周面に複数の偏平な加圧面2aが等間隔に一体成形されている2本の中空筒状ローラ2の内部にそれぞれ挿脱可能に収納される
f 加圧吸引式美容健康マッサージ器1。」

4 対比・判断
4-1 本件特許発明1について
(1)イ号物件の構成要件が本件特許発明1の各構成要件を充足するか否かについて検討する。
(ア)構成要件Aについて
イ号物件の「加圧吸引式美容健康マッサージ器1」は、本件発明1の「美容マッサージ器」に相当するから、イ号物件の構成要件aは本件特許発明1の構成要件Aを充足する。
(イ)構成要件B?Dについて
イ号物件の「マイナスイオン発生装置4」は、中空円筒体であり、その両側開口端4a、4aに取付けたキャップ5から突設した軸部5aを介して把持具3に枢支されるものであるから、その機能及び構造からみて本件特許発明1の「ローラ」に相当するといえる。
また、イ号物件の「両側開口端4a、4a」は本件特許発明1の「両側の開放端」に相当しており、以下同様に、「取付けた」は「着脱可能に装着される」に、「キャップ5から突設した軸部5aを介して」「キャップを介して」に、それぞれ相当している。
そうすると、イ号物件の構成要件b?dは本件特許発明1の構成要件B?Dを充足する。
(ウ)構成要件Eについて
本件特許発明1の構成要件Eは、「ローラの外周側にはその円周方向に沿って等間隔に複数板のプレートが外周に接して係着される」ものであり、ローラの外周に係着されるのは「複数板のプレート」である。そして本件の特許明細書(甲第1号証)の発明の詳細な説明及び図面には、「複数板のプレート」の実施例として、3枚のプレート3が等間隔にローラ2の外周に係着されるものが記載されている。
一方、イ号物件の構成要件eは、「マイナスイオン発生装置4は、外周面に複数の偏平な加圧面2aが等間隔に一体成形されている2本の中空筒状ローラ2の内部にそれぞれ挿脱可能に収納される」ものであり、「ローラ」に相当する「マイナスイオン発生装置4」の外周に配置されることになる中空筒状ローラ2の加圧面2aは、中空筒状ローラ2の外周面に等間隔に一体成形されているものであるから、「複数板のプレート」とはいえない。
したがって、イ号物件の構成要件eは「複数板のプレート」を備えておらず、本件特許発明1の構成要件Eを充足しない。
(エ)構成要件Fについて
イ号物件の「加圧吸引式美容健康マッサージ器1」は、PCT/JP2007/59661の明細書(甲第5号証)の記載を参酌すると、中空筒状ローラ2の加圧面2aが皮膚面を押打しながら回動するもの(明細書の段落[0026]参照)であるから、本件特許発明1の「回転打撃美容ローラーマッサージ器」に相当し、イ号物件の構成要件fは本件特許発明1の構成要件Fを充足する。

(2)上記本件特許発明1のイ号物件と異なる部分が均等であるか否かについて
まず、本件特許発明1のイ号物件と異なる部分が、均等であるといえるための第1の要件である、本件特許発明1の構成要件Eが発明の本質的な部分ではないという要件を満たしているか否かについて検討する(最高裁平成6年(オ)第1083号(平成10年2月24日判決言渡)・民集52巻1号113頁参照)。
本件の特許明細書(甲第1号証)の発明の詳細な説明には、発明が解決しようとする課題として「身体に適宜の刺激を与える手段として、図9に示す横断面三角形状のローラ15を皮膚面14に当てながらローリングするものや、図10に示すように横断面円状のローラ16を皮膚面14に沿って転がすものが考えられる。しかしながら、ローラ15を中心O2まわりに回転し、三角形状の頂点が皮膚面14に達した場合には大きな押圧力が集中的に作用して皮膚面14をいためる。また、頂点以外の部分による押圧力は小さく、頂点と極端に差が生じ美容マッサージ器としては適当ではない。一方、ローラ16を中心O3まわりに回転する場合には皮膚面14への損傷はないが、打撃エネルギーが不足するため静電気の吸着効果が低く美容マッサージ器のローラとしては適当ではない。」(段落【0003】)と記載されており、また、発明の効果としては、「ローラの外周に等間隔にプレートを配置することにより、三角形状のローラのような極端な刺激エネルギーが発生せず、皮膚面を痛めることがない。また、丸形のローラのように押圧力が不足することがなく適宜の刺激を与えることが出来る。」(段落【0020】)と記載されているように、本件特許発明1は構成要件Eによって、発明が解決しようとする課題を解決しているといえ、本件特許発明1の本質的な部分は、上記構成要件Eにあるとするのが相当である。
そうすると、本件特許発明1のイ号物件と異なる部分は、均等であるといえるための第1の要件を満たしていないのであるから、その他の要件を判断するまでもなく、上記本件特許発明1のイ号物件と異なる部分は均等であるとはいえない。

(3)むすび
したがって、イ号物件は本件発明1の技術的範囲に属しない。

4-2 本件特許発明2について
イ号物件は、本件特許発明1の技術的範囲に属しないのであるから、本件特許発明1を引用する本件特許発明2の技術的範囲にも属しないことは明らかである。

5 むすび
以上のとおりであるから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
 
判定日 2007-08-09 
出願番号 特願平4-357913
審決分類 P 1 2・ 081- ZA (A61H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 稲積 義登  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 仲村 靖
阿部 寛
登録日 1996-11-07 
登録番号 特許第2577295号(P2577295)
発明の名称 回転打撃美容ロ-ラ-マッサ-ジ器  
代理人 樋口 盛之助  
代理人 原 慎一郎  

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