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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1162846
審判番号 不服2005-3171  
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-24 
確定日 2007-08-16 
事件の表示 特願2001-336986「電子フォト閲覧システム、電子フォト情報閲覧方法および電子フォト情報閲覧用サーバ」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月16日出願公開、特開2003-141028〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は平成13年11月1日の出願であって、平成17年1月17日付けで平成16年11月29日付け手続補正が却下され、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成17年2月24日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに、同年3月25日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成17年3月25日付け手続補正について
[補正却下の決定の結論]
平成17年3月25日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は次のとおり補正された。
「デジタルカメラで撮影された電子写真情報を所定のファイル形式に変換してインターネット又はイントラネット上のサーバに閲覧可能に保管する電子フォト情報閲覧システムであって、
前記デジタルカメラで撮影された電子写真情報を、該デジタルカメラから読取り又は受取ると共に、メールの宛先およびメールの内容を設定する電子写真情報読取装置と、
該電子写真情報読取装置から前記電子写真情報及びメールの宛先,メールの内容を受信し、その電子写真情報をWebブラウザで表示可能なファイル形式で解像度の異なる複数のファイルに変換して、該変換した前記複数の変換電子写真情報をインターネット又はイントラネットを介して閲覧可能に保管すると共に、前記保管先のアドレスを前記メールの内容に付加し、前記メールの宛先に送信する電子写真情報変換サーバと、
前記保管された電子写真情報を表示するWeb端末装置を備え、
前記デジタルカメラで撮影した電子写真画像をインターネット又はイントラネットを介してメールの送信先のWeb端末装置で閲覧可能にしたことを特徴とする電子フォト情報閲覧システム。」
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「Webブラウザで表示可能なファイル形式に変換して、該変換した変換電子写真情報」を「Webブラウザで表示可能なファイル形式で解像度の異なる複数のファイルに変換して、該変換した前記複数の変換電子写真情報」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物「特開2001-217860号公報」(以下「引用刊行物」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
(イ)「【0003】一方、2001年より商用化が予定されているW-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)通信方式では、データ通信速度が飛躍的に改善され携帯電話での動画像コンテンツの送受信が可能となる。
【0004】それに伴い、イメージセンサー(カメラ)と携帯電話を組み合わせ、動画像を送受信できる製品の市場投入が予想される。また、W-CDMA通信方式を採用した携帯電話の市場投入に先駈け、オプションとしてディジタルカメラと接続し静止画像を送受信することのできる携帯電話が1999年4月より株式会社ツーカセルラー東京、株式会社ツーカセルラー東海等により構成されるツーカグループで製品化された。
【0005】今後、携帯電話を用いて画像データの送受信を行う製品が各社より市場投入されると予想される。以下、上記NTTドコモのiモードを例に携帯電話を用いて静止画像の送受信を行う場合のシステム(画像送受信携帯電話システム)について説明する。」(第3頁左欄第7?24行)

(ロ)「【0008】さらに、iモード携帯電話は、インターネットのホームページ上に公開された情報コンテンツを閲覧するためにCompactHTMLをサポートしたiモード携帯電話用のインターネットブラウザーを搭載しており、iモード対応で作成されたインターネットのホームページ等を閲覧することができる。
【0009】また、iモード携帯電話ではGIF(Graphic Interchange Format)ファイル形式の画像データのデコーダを標準搭載しており、該画像データファイルをインターネット上よりダウンロードし携帯電話の液晶上に表示することができる。」(第3頁左欄第37?47行)

(ハ)「【0015】次に、上記iモード携帯電話での画像データの送受信方法について説明する。画像データを送受信する場合、大きく分けて2つの方法がある。1つは、iモード携帯電話からインターネット上のサーバに画像ファイルを転送(以下、アップロードと称す。)し、該転送した画像ファイルの記録されているURL(Uniform Resource Locater)を受信者に通知する方法である。なお、画像ファイルの収得は、上記URLをもとに受信者がインターネット上のサーバからiモード携帯電話内に上記画像ファイルを転送(以下、ダウンロードと記す。)する。もう一つは、電子メールに画像ファイルを添付し送信する方法である。
【0016】上記の手法はiモード携帯電話ではデータ(ファイル)をインターネット上のサーバに直接携帯電話よりアップロードする方法がサポートされていない。従って、iモード携帯電話本体からは画像データ(画像ファイル)を直接インターネット上のサーバにアップロードすることができない。
【0017】また上記の手法は、画像データを添付し送信することは可能であるが、iモード携帯電話で送ることのできる1電子メールあたりのデータ量が250文字(500バイト)と非常に小さく1通の電子メールでは画像データを送信することはできない。そこで、上記ツーカグループより発売された画像の送受信を行うことができる携帯電話では画像データを複数の電子メールに分割し送信する方法を採用している。例えば、画像ファイルを8つに分割し8通のiモードメールとして送信した場合は4000バイト(4KB)の画像データを送受信することができる。
【0018】以下、画像データを8通の電子メールに分割して伝送する場合の従来の携帯電話システムの動作を説明する。
【0019】図7に電子メール送信時のフローを示す。iモード携帯電話で画像ファイル(静止画像)を添付した電子メール(以下、画像添付メールと称す。)を送る際は、まずはじめ、電子メール作成モードにて宛先(以下、単にアドレスと称す。)、および用件(以下、サブジェクトと称す。)等を設定する(ステップ1)。
【0020】そして、電子メールの本文(文書)を作成し(ステップ2)、添付する画像ファイルを選択する(ステップ3)。以上が、ユーザによる画像添付メールの作成手順である。
【0021】さらに、画像を送信する場合には、携帯電話本体で以下の作業が引き続き行われ送信のための画像添付メールが作成される。上記ステップ3において添付する画像ファイルの選択が行われると、発信側iモード携帯電話1の本体では該選択された画像ファイルをGIFファイル形式に圧縮するとともに、圧縮後の画像データ(バイナリーデータ)をBASE64エンコードなどの手法を用いて擬似ASCII(ASCII:American Standard Code for Information Intercharge。なお、ここでは本来のASCIIコードに変換できないようなバイナリーコードの変換も含める上で疑似ASCIIと表現している)データに変換する(バイナリーファイルから疑似ASCIIデータよりなるファイルに変換される)。
【0022】そして、上記疑似ASCII変換された画像ファイルは上記ステップ2において作成された文書の後ろに添付され画像添付メールが構成される(ステップ4)。
【0023】通常、インターネットメール(iモードメール)はバイナリーデータを送信することができない。よって、画像データなどのバイナリーデータを送信する際はBASE64などを用いバイナリーデータを疑似ASCII化してメールに添付する必要がある(なお、インターネットメールの詳細に関しては、現在一般的に用いられているMIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)に規定されている。例えば、OPEN DESIGN No.8 電子メール・システム完全マスタ CQ出版社 1995年5月10日 初版発行参照)。
【0024】そして、ステップ4において作成された画像添付メールは500バイト単位に分割され、複数の電子メールとして携帯電話より送信される。その際、各電子メールのヘッダ部分には、分割情報、および添付ファイル情報等が付加される(ステップ5)。上述のように、複数に分割され送信された画像添付メールはパケット通信網5を介し受信側iモード携帯電話2に送信される。」(第3頁右欄第28?第4頁右欄第8行)

(ニ)「【0076】
【発明の実施の形態】以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、以下の説明においては、添付ファイルが送信情報、例えばBASE64形式に変換されたコード(列)が所定形式のコード列、受信者アドレスが受信者宛先、例えばGIFデータから変換されたJPEGデータが送信情報と実質的に等価な情報、送信情報または送信情報と実質的に等価な情報が記憶されたURLが記憶先、分割メールが分割情報、iモード携帯電話が情報通信端末にそれぞれ相当し、中継サーバが少なくとも記憶手段を含む。
【0077】実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1である中継サーバを利用した情報通信装置のシステム構成図である。図において、図6と同一符号を記したものは構成および動作が従来のものと同一であるので詳細な説明は省略する。図において8は中継サーバである。
【0078】図2に、上記中継サーバ8の画像添付メール受信時のフローを示す。
【0079】以下、図1を用いて本発明の実施の形態1の概要を説明する。本実施の形態1では発信側iモード携帯電話1から受信側iモード携帯電話2へ画像添付メールを送信する際の中継サーバ8の動作を中心に説明することとし、従来例と同様にiモード携帯電話を使用し、画像添付メール送信の際は、該画像添付メールを8通に分割し送信するものとする。
【0080】以下、本実施の形態1による画像添付メール送受信システムの概要を説明する。発信側iモード携帯電話1において作成された画像添付メールは、従来例と同様に発信側iモード携帯電話1の本体において8通の電子メールに分割される。
【0081】その際、発信側iモード携帯電話1においては、分割された各電子メールの宛先(アドレス)を上記中継サーバ8内に設けられたあらかじめ定められたアドレスに送信するものとして以下説明を続ける。発信側iモード携帯電話1により8通に分割され送信された画像添付メールは上記アドレスをもとに中継基地3、パケット通信網5、ゲートウェイサーバ6およびインターネット網7を経由して中継サーバ8へ送信される。
【0082】上記、8通に分割された画像添付メールを受信すると中継サーバ8では、まずはじめ、分割された各々のメールのヘッダ情報を基に、8通に分割された画像添付メールの統合を行って1通の画像添付メールを中継サーバ8内で構成する。
【0083】そして、上記復元した画像添付メールより本文および添付画像ファイルを分離し、該添付画像ファイルを上記中継サーバ8内に記憶する。
【0084】なお、中継サーバ8内に上記添付画像ファイルを記憶する際、該中継サーバ8に関する記憶アドレス(URL)を生成する。この後、上記画像添付メールの本文(文字情報部)、および上記URLを含む通知メールを作成し、受信側iモード携帯電話2に該通知メールを送信する。
【0085】そして、受信側iモード携帯電話2においては、上記通知メールを受信すると、メールを開いて受信したURLを選択し、添付画像ファイルを中継サーバ8よりダウンロードする。
【0086】以下、図2、図3、図4および図7を用いて本実施の形態1の画像添付メールの送受信方法および中継サーバ8の詳細な動作について説明する。なお、画像メールの作成手順に関しては図7を参照して説明した従来例と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0087】また、ここでは、受信側iモード携帯電話2が上記中継サーバ8上に画像添付メールを受信するためのアドレスを有する場合について説明する。
【0088】図7において、発信側iモード携帯電話1では画像添付メール作成の際は、まずはじめ従来例と同様に、ステップ1において宛先(上述のように、中継サーバ8内の受信側iモード携帯電話2のアドレス)、およびサブジェクトを設定する。
【0089】そして、ステップ2において画像ファイルに添付する文書を作成し、ステップ3において添付する画像ファイルを選択する。なお、本実施の形態1では、画像ファイルの圧縮形式としてJPEGファイル形式を使用する場合について説明する。
【0090】上記ステップ3において添付する画像ファイルの選択が行われると、発信側iモード携帯電話1本体では選択された画像ファイルにJPEGファイル形式の圧縮を施した後に、BASE64エンコードを施し疑似ASCIIデータに変換する。
【0091】上記疑似ASCII変換された画像ファイルは、ステップ4において、電子メールの本文の後ろに添付され画像添付メールが作成される。
【0092】ステップ4において作成された画像添付メールは500バイト単位に分割され(ステップ5)、複数の電子メールとして発信側iモード携帯電話1より送信される。なお、ステップ5において各電子メールのヘッダ部分には、分割情報、および添付ファイル情報等が付加される。
【0093】複数に分割され送信された画像添付メールは、パケット通信網5、ゲートウェイサーバ6およびインターネット網7を介し中継サーバ8に送信される。
【0094】次に、画像添付メール受信時の中継サーバ8における処理フローを図2を用いて説明する。
【0095】中継サーバ8では、上記8通に分割され送信された画像添付メールを受信すると、まずはじめ、各電子メールのヘッダ部分に付加されている分割情報を分離する(ステップ10)。
【0096】分割された8通の画像添付メールがすべて中継サーバ8に到着すると、中継サーバ8では分離した分割情報に基づいてもとの1通の画像添付メールを復元する(ステップ11)。
【0097】そして、各電子メールのヘッダ部分に付加されている添付ファイル情報をもとに添付画像ファイルを分離する。その際、分離した添付ファイルの種別を確認する(ステップ12)。
【0098】ステップ13においては、確認した添付ファイルの種別をもとに、添付ファイルが画像ファイルの場合、BASE64デコードを行って、もとのバイナリーデータのファイルに変換する。
【0099】そして、元のバイナリーデータの画像ファイルに復元後、該画像ファイルを中継サーバ8内の所定の記憶領域(ディスク領域)に記録するとともに、記録した画像データの記録アドレス(URL)を作成する(ステップ14)。
【0100】その後、ステップ11において復元した画像添付メールの本文に作成したURLを付加し、画像添付メールが到着したことを伝える通知メールを作成する(ステップ15)。
【0101】そして、受信側iモード携帯電話2に該通知メールを送信し画像添付メールが到着したことを伝える。
【0102】なお、本実施の形態1では上記画像添付メールの送信先は受信側iモード携帯電話2が中継サーバ8内に予め登録されたアカウントであるので、予め中継サーバ8からの転送先を設定しているものとして説明を続ける(すなわち、転送先があらかじめ受信側iモード携帯電話2のアドレスに設定されるよう該中継サーバ8を構成した場合に相当する。)
【0103】次に、該通知メール受信時の受信側iモード携帯電話2における動作を図3を用いて説明する。通知メールを受信すると受信側iモード携帯電話2においてはメール着信を通知するため着信音がなる(ステップ16)。
【0104】ユーザは電子メールの着信音が鳴ると着信メールを閲覧するために電子メールブラウザーを起動し、着信した電子メール(着信メールの選択、および閲覧)を開き内容を確認する(ステップ17)。
【0105】ステップ18において受信メールが通常の電子メールか、画像添付メールの通知メールか判断する。通常の電子メールの場合は本文閲覧後、電子メールブラウザーを終了する(ステップ19)。
【0106】着信した電子メールが画像添付メールの通知メールであった場合、ユーザは発信者アドレス情報および本文を読み画像データを閲覧する(ダウンロードする)かどうか判断する(ステップ20)。
【0107】なお、ここでは着信メールが画像添付メールの通知メールであるかは通知メールの送信アドレス、あるいは通知メールに付加されている上記URLによって判断するものとする。
【0108】ステップ20において画像データを閲覧しない場合は、通知メールの本文閲覧後、ステップ19において電子メールブラウザーを終了し、電子メールの閲覧を終了する。
【0109】従って、上述のように、画像添付メールの通知メールに記載されている本文の内容、あるいは差出人アドレスにより電子メールに添付された画像ファイルの閲覧をユーザが選択することができるので、発信側iモード携帯電話1から送信された画像データを受信側iモード携帯電話2を持つ受信者の選択により画像データの受信の要否の選択ができる。
【0110】また、ステップ20において画像データを閲覧する場合は、ユーザは通知メールに添付されている上記URLを選択する(ステップ21)。受信側iモード携帯電話2は、上記URLが選択されると従来例と同様にインターネットブラウザーを起動する(ステップ22)。
【0111】そして、該URL情報をもとに中継サーバ8より画像ファイルをダウンロードするよう要求コマンドを中継サーバ8に送信する(ステップ23)。
【0112】画像ファイルのダウンロードが完了するとインターネットブラウザーはダウンロードした画像ファイルのデコード(GIFファイルのデコード)を行う(ステップ24)。」(第7頁左欄第46?第9頁左欄第19行)
(なお、段落【0112】に受信側携帯電話機の動作に関し「画像ファイルのデコード(GIFファイルのデコード)を行う」と記載されているが、記載事項(ニ)の記載全体から受信側携帯電話機に送信される画像ファイルはJPEGファイルと認められること、後記、記載事項(ホ)段落【0123】の記載から段落【0112】に記載された受信側携帯電話機はJPEGファイルのデコードをサポートしていると認められることから、段落【0112】に「GIFファイル」とあるのは、「JPEGファイル」の誤記と認められる。)

(ホ)「【0123】次に、上記受信側iモード携帯電話2でJPEGファイルのデコードをサポートしていない場合について説明する。
【0124】上述したが、従来より、基本的には、受信側iモード携帯電話2のインターネットブラウザーはGIFファイルのデコーダを標準サポートしており、GIFファイル形式に圧縮された画像をすべての機種において閲覧することができる。
【0125】しかし、下位機種、あるいは他機種ではJPEGデコーダまで標準サポートしていない場合もありうる。このような場合、ステップ41においてダウンロード要求している受信側iモード携帯電話2が、ステップ12において分離した添付ファイルの形式(JPEGファイル)に対応していないので、続いて、他の画像形式に対応している機種として登録されているか、あるいはどのファイル形式ならば受信側iモード携帯電話2が対応可能であるかを判断する(ステップ43)。
【0126】JPEGファイルが中継サーバ8に記憶されていて、ダウンロード要求している受信側iモード携帯電話2が、JPEGファイルに未対応であるがGIFファイルには対応している機種として登録されている場合には、JPEGファイルからGIFファイルへの変換が中継サーバ8においてなされ(ステップ44)、中継サーバ8から受信側iモード携帯電話2にGIFファイルのダウンロードを行う(ステップ42)。」(第9頁右欄第22?46行)

(ヘ)「【0145】また、本実施の形態1では、画像圧縮方式としてJPEGを用い、そのまま中継サーバ8に記憶したが、記憶する際のファイル形式は発信側iモード携帯電話1から受信したファイル形式に限るものではなく、例えば、BMP(Bit Map。ビットマップ)形式、あるいはPNG(Portable Network Graphics。ピング)ファイル形式に変換した画像を記憶しておき、ダウンロード時に改めて受信側iモード携帯電話2の機種に合わせて再圧縮するように構成しても同様の効果がある。」(第11頁左欄第37?46行)

(ト)「【0153】また、本実施の形態1では、画像ファイルの圧縮方式としてGIF、およびJPEGを例に説明したがこれに限るものではなくPNG、あるいはBMP形式の画像ファイルでも同様の効果を有することはいうまでもない。」(第11頁右欄第38?42行)

これら引用刊行物の記載から、引用刊行物には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「デジタルカメラで撮影された画像データを送信側携帯電話からインターネット上の中継サーバに送信して記録し、インターネットブラウザを搭載した受信側携帯電話により、インターネット上の中継サーバから画像データをダウンロードして閲覧する情報通信システムであって、
送信側携帯電話はデジタルカメラで撮影された画像データを選択してJPEG形式に圧縮し、メールの宛先および文書を作成して画像添付メールを作成して中継サーバに送信し、
中継サーバは当該画像添付メールを受信してJPEG形式の画像データを所定の記憶領域に記録するとともに、記録した画像データの記録アドレス(URL)を作成し、
中継サーバは、記録した画像データの記録アドレス(URL)を画像添付メールの本文に付加して受信側携帯電話に送信し、
受信側携帯電話はインターネットブラウザにより前記画像データをダウンロードして閲覧する、情報通信システム。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明を対比すると、
引用発明の「記録アドレス(URL)」は本願補正発明の「保管先のアドレス」に相当し、引用発明の「画像データ」は本願補正発明の「電子写真情報」、「電子フォト情報」、「電子写真画像」に相当し、引用発明のメールの「文書」は、本願補正発明のメールの「内容」に相当する。
また、引用発明の「送信側携帯電話」は、デジタルカメラで撮影された電子写真情報を得る(読取り又は受取っていることは明らかである。)と共に、メールの宛先およびメールの内容を設定して送信しているから、本願補正発明の「電子写真情報読取装置」に相当し、引用発明の「受信側携帯電話」は、インターネットブラウザにより保管された電子写真情報をインターネットを介してダウンロードして閲覧、即ち表示しているから、本願補正発明の「Web端末装置」に相当する。
また、引用発明の「中継サーバ」は、電子写真情報読み取り装置から電子写真情報及びメールの宛先、メールの内容を受信し、電子写真情報(画像データ)を保管し、保管先のアドレスをメールの内容に付加し、メールの宛先に送信し、Web端末装置により電子写真情報を閲覧させているから、本願補正発明の「サーバ」、「電子写真情報変換サーバ」に相当する。
また、引用発明の電子写真情報変換サーバにおいて保管される電子写真情報は形式はJPEG形式であって、当該電子写真情報の形式が「Webブラウザで表示可能なファイル形式」であることは明らかである。
また、引用発明の「情報通信システム」は、電子写真情報読取装置、電子写真情報変換サーバ及びWeb端末装置を備え、デジタルカメラで撮影した電子写真画像をインターネットを介してメールの送信先のWeb端末装置で閲覧可能にしているから、本願補正発明の「電子フォト情報閲覧システム」に相当する。

したがって、両者は
「デジタルカメラで撮影された電子写真情報をインターネット上のサーバに閲覧可能に保管する電子フォト情報閲覧システムであって、
前記デジタルカメラで撮影された電子写真情報を、該デジタルカメラから読取り又は受取ると共に、メールの宛先およびメールの内容を設定する電子写真情報読取装置と、
該電子写真情報読取装置から前記電子写真情報及びメールの宛先,メールの内容を受信し、その電子写真情報をWebブラウザで表示可能なファイル形式の電子写真情報をインターネットを介して閲覧可能に保管すると共に、前記保管先のアドレスを前記メールの内容に付加し、前記メールの宛先に送信する電子写真情報変換サーバと、
前記保管された電子写真情報を表示するWeb端末装置を備え、
前記デジタルカメラで撮影した電子写真画像をインターネットを介してメールの送信先のWeb端末装置で閲覧可能にしたことを特徴とする電子フォト情報閲覧システム。」の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1
本願補正発明は、電子写真情報をインターネット又はイントラネット上のサーバに保管し、インターネット又はイントラネットを介してメールの送信先のWeb端末装置で閲覧可能にしているのに対して、引用発明にはインターネット上のサーバが記載されているが、イントラネットについては記載がない点で一応相違している。

相違点2
本願補正発明は、電子写真情報を所定のファイル形式に変換してサーバに閲覧可能に保管しているのに対して、引用発明には所定のファイル形式に変換することについて記載がない点で相違している。

相違点3
本願補正発明は、電子写真情報を解像度の異なる複数のファイルに変換して保管しているのに対して、引用発明には電子写真情報を解像度の異なる複数のファイルに変換することが記載されていない点で更に相違している。

(3)当審の判断
以下、上記相違点について検討する。
相違点1について
引用発明のサーバもインターネット上のサーバである点で、「インターネット又はイントラネット上のサーバ」であるということができるし、インターネットと共にイントラネットも周知であるから、インターネット上のサーバに代えて、インターネット又はイントラネット上のサーバとして本願補正発明のように構成することに格別の困難性はない。

相違点2について
引用刊行物には、受信した電子写真情報をJPEG形式のまま保管することに加え、更に、受信した電子写真情報をBMP、PNG形式に変換して保管する(保管の後、受信側携帯電話の機種に応じて再圧縮されて閲覧される。)ことも記載されている(記載事項(ヘ)段落【0145】)。
また、実用新案登録公報第3072827号(段落【0008】?【0010】には、送信された画像データをWebサーバに入力する際にビットマップ、GIF、PNG、JPEG等の複数の保存形式で保存し、携帯電話に送信することが記載されている。)、特開2001-212876号公報(引用発明と同様の中継サーバであって、段落【0150】、【0152】には、中継サーバがアップロードされた画像をJPEG形式からGIF、BMP、PNG形式に変換して保存し、携帯電話に送信することが記載されている。)に記載されているように画像情報を閲覧のために保存する場合にGIF、BMP、PNG、JPEG等のファイル形式に変換して保存することは周知である。(なお、GIF、BMP、JPEGの何れのファイル形式もWebブラウザで表示可能なファイル形式である。)
そうすると、引用発明において電子写真情報を所定のファイル形式に変換してサーバに閲覧可能に保管することは周知技術に基づいて当業者が適宜なし得ることである。

相違点3について
画像を保存する場合に画像を解像度の異なる複数の画像に変換して保存することは、特開平11-224228号公報(段落【0041】)、特開平8-55211号公報(段落【0002】の従来の技術の記載)、特開平7-306933号公報(段落【0016】)、に記載されているように周知であって格別のことではないから、引用発明において相違点2の構成を採用した場合において、電子写真情報を解像度の異なる複数のファイルに変換して保管することは当業者が容易になし得ることである。

そして、本願補正発明のように構成したことによる効果も引用発明及び周知技術から予測できる程度のものである。

したがって、本願補正発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成17年3月25日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年8月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「デジタルカメラで撮影された電子写真情報を所定のファイル形式に変換してインターネット又はイントラネット上のサーバに閲覧可能に保管する電子フォト情報閲覧システムであって、
前記デジタルカメラで撮影された電子写真情報を、該デジタルカメラから読取り又は受取ると共に、メールの宛先およびメールの内容を設定する電子写真情報読取装置と、
該電子写真情報読取装置から前記電子写真情報及びメールの宛先,メールの内容を受信し、その電子写真情報をWebブラウザで表示可能なファイル形式に変換して、該変換した変換電子写真情報をインターネット又はイントラネットを介して閲覧可能に保管すると共に、前記保管先のアドレスを前記メールの内容に付加し、前記メールの宛先に送信する電子写真情報変換サーバと、
前記保管された電子写真情報を表示するWeb端末装置を備え、
前記デジタルカメラで撮影した電子写真画像をインターネット又はイントラネットを介してメールの送信先のWeb端末装置で閲覧可能にしたことを特徴とする電子フォト情報閲覧システム。」

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物及びその記載事項は、前記「2.(1)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明の「Webブラウザで表示可能なファイル形式に変換して、該変換した変換電子写真情報」を「Webブラウザで表示可能なファイル形式で解像度の異なる複数のファイルに変換して、該変換した前記複数の変換電子写真情報」とする限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含みさらに限定を付したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願はその余の請求項について論及するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-06-14 
結審通知日 2007-06-19 
審決日 2007-07-02 
出願番号 特願2001-336986(P2001-336986)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須藤 竜也  
特許庁審判長 大野 克人
特許庁審判官 坂東 博司
重田 尚郎
発明の名称 電子フォト閲覧システム、電子フォト情報閲覧方法および電子フォト情報閲覧用サーバ  
代理人 ▲角▼谷 浩  

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