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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J
管理番号 1163103
審判番号 不服2005-10239  
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-06-01 
確定日 2007-08-22 
事件の表示 特願2004-248089「ページ番号制御装置,ページ番号制御プログラムおよび同プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 3月 9日出願公開、特開2006- 65612〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年8月27日に出願したものであって、平成17年4月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月1日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで明細書についての手続補正がなされ、当審において、平成19年4月25日付けで前記平成17年6月1日付け手続補正書が補正却下され、同日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対して、平成19年5月15日付けで手続補正書及び意見書
が提出されたものである。

2.本願発明の認定
本願の請求項1?15に係る発明は、平成19年5月15日付けで補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項によって特定されるとおりのものと認める。
そして、その請求項1に係る発明は、同請求項1に記載された事項によって特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
ページ単位で作成された電子データを前記ページ単位で表示もしくは印字する際に、ページ番号を各ページに付与して表示もしくは印字させるページ番号制御装置であって、
前記電子データにおけるページ間に、前記電子データには含まれていないページが存在する場合、ページ番号のカウントアップの実行を指示するカウントアップ制御情報を、前記電子データに含まれていないページのそれぞれに対応させて設定するカウントアップ制御情報設定手段と、
前記電子データの各ページを表示/印字する際に、前記カウントアップ制御情報設定手段によって設定された前記カウントアップ制御情報に基づいてページ番号の付与および表示/印字を制御する制御手段とをそなえ、
前記制御手段が、
前記電子データに含まれているページについては、当該ページの前のページに付与されたページ番号に1を加算してカウントアップすることにより当該ページのページ番号を算出して当該ページに付与するとともに、付与されたページ番号を表示/印字させる一方、
前記電子データに含まれていないページに対応して設定された前記カウントアップ制御情報を認識すると、当該ページの前のページに付与されたページ番号に1を加算してカウントアップすることにより当該ページのページ番号を算出して当該ページに付与し、当該ページの表示/印字をスキップさせることを特徴とする、ページ番号制御装置。
以下、当該請求項1に係る発明を「本願発明」という。

3.引用刊行物の記載事項
これに対して当審において通知した平成19年4月25日付け拒絶理由通知で引用した、本願の出願日前に頒布されたと特開平07-105197号公報、特開平07-334489号公報及び特開2001-347735号公報(原審の引用文献2)には、以下の内容が記載されている。

3-1 引用刊行物1: 特開平07-105197号公報
【特許請求の範囲】
「【請求項1】 複数頁からなる文書データを格納する文書データ格納手段と、該手段に格納された文書データに対する頁付け情報を指定する頁付け情報指定手段と、該手段によって指定された頁付け情報を記憶する頁付け情報記憶手段と、前記文書データ中の特定頁に対して特定の頁付け情報を指定する特定頁付け情報指定手段と、該手段によって指定された特定頁付け情報を記憶する特定頁付け情報記憶手段と、前記頁付け情報記憶手段に記憶された頁付け情報と前記特定頁付け情報記憶手段に記憶された特定頁付け情報とに基づいて前記文書データに頁を付けて印刷する文書頁付け印刷手段とを備えたことを特徴とする文書処理装置。
【請求項2】 請求項1記載の文書処理装置において、前記文書頁付け印刷手段が、前記特定頁付け情報記憶手段に記憶されている特定頁付け情報に基づいて、前記文書データ中の指定された特定頁を飛ばして頁番号を先頭頁から順次割り当てる頁番号設定手段を有することを特徴とする文書処理装置。」

段落【0001】「【産業上の利用分野】この発明は、ワードプロセッサ,デスクトップパブリッシング等の文書処理装置に関する。」

段落【0002】「【従来の技術】近年、ワードプロセッサ,デスクトップパブリッシング(DTP)などの文書を作成して記憶し、それを表示させたり印刷したりするような文書処理装置が多用されている。このような文書処理装置における文書の頁付けに関しては、印刷時に印刷条件としてページを指定する装置と、文書作成時に文書と共に頁番号も記憶する装置とがあった。また、後者のような装置の場合、頁付けの指定は文書あるいは章単位で行ない、頁番号が各頁に順次連続的に付けることもできた。」

段落【0003】「【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した前者のような装置では、前者の装置では、文書の印刷時に毎回頁番号を指定しなければならないし、「P10-1」のような特殊な頁付けを行なえなかった。また、後者のような装置では、文書あるいは章単位に頁を指定することにより順次頁番号が付けられ、1文書あるいは1章内で「P10-1」のような特殊な頁つけを行なえなかった。」

段落【0004】「したがって、例えば、既に作成した文書中に新たな頁を追加し、その他の頁の頁番号をずらさずに頁付けを行なう場合、前者のような装置では頁指定を複数回に分けて行なわなければならず、後者のような装置では追加した頁を別文書あるいは別章にするなどの操作を行なわなければならないので、いずれも非常に不便であった。」

段落【0008】「この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、文書の頁付けのときに新たな追加頁や付録頁を考慮して頁付けを行なえるようにし、文書のメンテナンスなどの作業効率を向上させることのできるようにすることを目的とする。」

段落【0010】「また、上記文書頁付け印刷手段が、特定頁付け情報記憶手段に記憶されている特定頁付け情報に基づいて、上記文書データ中の指定された特定頁を飛ばして頁番号を先頭頁から順次割り当てる頁番号設定手段を有するようにするとよい。」

段落【0013】「【作用】この発明による文書処理装置は、複数頁からなる文書データに対して指定された頁付け情報と、その文書データ中の特定頁に対して指定された特定の頁付け情報とに基づいて文書データに頁を付けて印刷するので、文書データ中の特定の頁に対して特定の頁付けを行なえる。」

段落【0014】「また、特定頁付け情報に基づいて文書データ中の指定された特定頁を飛ばして頁番号を先頭頁から順次割り当てるようにすれば、文書データ中の特定頁を除いて頁付けを行なえる。」

段落【0017】「【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。図1はこの発明の一実施例である文書処理装置の構成を示すブロック図である。この文書処理装置は、CPU,ROM,及びRAMからなるマイクロコンピュータを内蔵し、キー入力部1,マウス入力部2,表示部3,印刷部4,操作部5,制御部6,頁付け情報設定部7,頁付け制御部8,表示制御部9,印刷制御部10,処理部11,文書データ格納部12,頁付け情報記憶部13,及び特定頁付け情報記憶部14の各部を備えている。」

段落【0018】「キー入力部1は各種の入力キーを備えたキーボード装置等の入力装置、マウス入力部2はマウスカーソルの位置情報を入力するポインティングデバイスの入力装置であり、文書データ格納部12に格納された文書データに対する頁付け情報やその文書データ中の特定頁に対する特定頁付け情報を指定したり、文書印刷等の各種の操作指示の入力を受け付ける。」

段落【0019】「表示部3はCRTやLCD等のディスプレイ装置であり、文書データや操作上のメッセージ等を表示する。印刷部4はレーザプリンタ等の印刷装置であり、文書データを用紙に印刷する。操作部5はキー入力部1及びマウス入力部2とのインタフェースを司り、それらから入力される操作指示を制御部6へ送る。制御部6はこの文書作成装置の全体の制御処理を行なう。」

段落【0020】「頁付け情報設定部7は、キー入力部1及びマウス入力部2によって指定された文書データに対する頁付け情報を頁付け情報記憶部13に記憶し、文書データ中の特定頁に対する特定頁付け情報を特定頁付け情報格納部14に記憶する。」

段落【0021】「頁付け制御部8は、頁付け情報と特定頁付け情報とに基づいて文書データに頁を付ける。その頁付けは、文書データ中の指定された特定頁を飛ばして頁番号を先頭頁から順次割り当てる。また、文書データ中の指定された特定頁が追加頁であり、その頁番号と同一番号となる他の頁が存在するときには、その同一の各頁番号に異なる子頁番号を付加する。」

段落【0022】「印刷制御部9は、印刷部4の印刷制御を司り、頁付け制御部8の頁付けにしたがって文書データの印刷を制御し、文書データ中の指定された特定頁が付録扱いの頁のときにはその特定頁を最後に印刷するように制御する。すなわち、頁付け制御部8と印刷制御部9は、上記の文書頁付け印刷手段と頁番号設定手段と子頁番号付加手段と印刷順序を制御する手段に相当する。」

段落【0023】「処理部10は文書データの作成や各種の処理を実行する。文書データ格納部12は、複数頁又は複数章からなる文書データを格納するメモリである。頁付け情報記憶部13は、文書データ格納部12に格納された文書データに対する頁付け情報を記憶するメモリである。特定頁付け情報記憶部14は、文書データ格納部12に格納された文書データ中の特定頁に対する特定頁付け情報を記憶するメモリである。」

段落【0024】「次に、上記の頁付け情報及び特定頁付け情報について説明する。図2の(a)は頁付け情報記憶部13のデータテーブル構造を示すフォーマット図、同図の(b)は特定頁付け情報記憶部14のデータテーブル構造を示すフォーマット図である。」

段落【0025】「図2の(a)に示すように、頁付け情報データテーブルには、複数頁又は複数章からなる文書データに対する頁付け情報として、「頁付け範囲」「先頭頁番号」「頁番号付け位置」「頁番号文字種」「頁番号飾り種」「頁番号文字サイズ種」などの各情報を記憶する。」

段落【0026】「さらに、この文書データ中の特定頁に対して特定頁付け情報が指定された場合は、その特定頁毎の特定頁付け情報データテーブルの参照位置を示すポインタである「特定頁付け情報ポインタ」も格納する。この図では、文書データ中の1頁目?最終頁までの全頁についての特定頁付け情報データテーブルを備えて、その各データテーブルへの特定頁付け情報ポインタを格納する例について示しているが、特定頁として指定された頁についてのみ特定頁付け情報データテーブルを備え、そのデータテーブルに対する特定頁付け情報ポインタのみを格納するようにしてもよい。」

段落【0030】「(7)頁付け扱い:特定頁に対する頁付け扱い情報であり、「通常」「追加」「付録」「なし」などがある。
・「通常」は、文書又は章の頁付け情報に準拠して頁番号を付加するための情報である。
・「追加」は、追加頁と同一の頁番号の頁それぞれ異なる子頁番号を付加するための情報である。例えば、「P1-1」「P1.1」「1-1」などの頁付けを行なう。」

段落【0032】「(8)頁付け条件:この特定頁を含む文書又は章に順次頁番号を割り当てるときに、その特定頁を頁割り当ての対象頁にする否かを示す情報である。この情報が頁割り当ての対象外頁の場合、その頁には頁番号を付けない。」

なお、特定頁のみに頁付けを行わないときの処理については、段落【0064】以降に詳細記載がある。

3-2 引用刊行物2: 特開平07-334489号公報
段落【0001】「【産業上の利用分野】本発明は、日本語ワードプロセッサや日本語デスクトップパブリッシングシステム等の文書作成装置に係り、特に、特定の頁への頁番号などの付加情報の印刷出力を制限することができる文書作成装置及び文書作成方法に関するものである。」

段落【0006】「【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来の文書作成装置では、全ての頁に付属情報が付けられてしまい、見出しが設定された頁などのように、頁番号などを印刷したくない頁にも自動的に不必要な情報が印刷されてしまうという問題点を有していた。」

段落【0007】「本発明は上記した問題点に鑑み、所定の条件を満たす頁にのみ付属情報を付けて出力することができる文書作成装置を提供することを目的とする。」

段落【0008】「【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解決する為に、文書データのうち、所定の条件を満たす頁には、当該頁に対応した付加情報を付加して文書データを出力させ、所定の条件を満たさない頁には、付加情報を付加せずに文書データを出力させる手段を有する。」

段落【0015】「図4は印刷情報記憶部15に記憶された印刷情報の構成を示すデータ構成図である。図4に示すように、印刷情報は、これから印刷装置19へ出力される文書データの文書名、印刷部数、印刷対象頁(印刷開始頁nと印刷終了頁N)、頁番号初期値(P)、及び付属情報印刷フラグなどから構成される。付属情報印刷フラグは、印刷時に頁番号を付加するか否かを示すFg1(Fg1が”1”のとき頁番号を印刷する)と、見出しが設定されている頁への頁番号の出力を行うか否かを示すFg2(Fg2が”1”のとき見出しが設定されている頁への頁番号の出力を行わない)を有し、どちらも入力部16からの入力指示によって設定される。」

段落【0016】「以上のように構成された本実施例の文書作成装置について、以下、その動作を図7のフローチャートを用いて説明する。」

段落【0017】「先ず、CPU1は、ステップS1において、RAM13内の文書データ及び印刷情報を参照し、n頁の頁データをイメージメモリ17に展開する。次に、ステップS2において上記印刷情報中のFg1を調べ、Fg1=”1”の場合はステップS3へ、又、Fg=”0”の場合はステップS7へ処理を移行する。ステップS3では、Fg2を調べ、Fg2=”1”であればステップS4の処理を行い、Fg2=”0”の場合にはステップS6へ処理を移行する。」

段落【0018】「ステップS4及びステップS5では、文書データのn頁の頁データ内に、見出しの設定がなされているかどうかがチェックされる。これは、この頁データ内に見出しコードが記憶されいるかどうかをチェックすることにより行われる。」

段落【0019】「ステップS3でFg1=”0”の場合、又は、ステップS5で該当する頁データ内に見出しの設定がなされていない場合、CPU11は、ステップS6において、頁番号「P」をイメージメモリ17に展開されている文書データの、書式情報で指定される部分に書き込む。そして頁番号が書き込まれた文書のイメージが、ステップS7において、印刷装置19へ出力される。」

3-3 引用刊行物3: 特開2001-347735号公報
【0001】「【発明の属する技術分野】本発明は、画像形成装置に関するものである。」

【0002】「【従来の技術】従来、画像形成装置としては、プラテンガラス(原稿ガラス)上に原稿を載置ないしは供給し、この原稿に描かれた文字列若しくは絵柄又はこれらの結合等の画像を転写紙に複写する複写装置や、例えばパソコンのワープロ上等で作成した上記と同様な画像を転写紙に印刷するプリンタ、また、通信回線等を介して送信されてくる上記と同様な画像を印刷するファクシミリ等が提供されている。また、これら複写装置、プリンタ及びファクシミリ等の機能を一の装置内にすべて備えて構成した、いわゆる「複合機」も知られている。」

【0003】「上記のような画像形成装置においては、画像を形成するのに加え、日時やスタンプを印字する機能を搭載するものが知られている。また、原稿が複数存在するような場合には、当該原稿画像を複数の転写紙に形成するとともに、それら順次に、「ページ番号」を印字するページ番号印字機能を搭載するものも知られている。」

【0004】「【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のページ番号印字機能においては、開始ページ番号を“0”以下に設定することができなかった。つまり、複数の原稿を複数の転写紙上に転写する場合であって、その最初の数枚に関してはページ番号印字を実施したくない場合には、従来のページ番号印字機能では対応することができなかった。」

【0005】「また、複数の転写紙への画像形成を行う際、これら複数の転写紙の中に、画像形成を行うコピー挿入紙を挿入する場合があるが、上記ページ番号印字機能では、このようなコピー挿入紙にページ番号印字設定を行うことができなかった。すなわち、常時「印字する」の設定がなされたのと同様の動作を行うものはあったが、例えばコピー挿入紙にはページを「印字しない」等の設定をすることができなかった。」

【0006】「さらに、上記と関連して、複数の転写紙の中に、コピー挿入紙ではなく画像形成を行わない白紙を挿入する場合があるが、この場合においても、白紙挿入紙へのページ番号印字設定を行うことができなかった。すなわち、常時「印字しない」の設定がなされたのと同様の動作を行うものはあったが、例えば白紙挿入紙に対するページ番号印字を「スキップする」等の設定をすることができなかった。」

【0007】「本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、原稿の任意の箇所に1ページ目を割り当て可能にし、また、コピー挿入紙及び白紙挿入紙に対するページ番号印字設定を任意に行うことが可能な画像形成装置を提供する。」

【0008】「【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するために以下の手段をとった。すなわち、請求項1記載の画像形成装置は、記録材に画像を形成する画像形成部と、ページ番号を設定する設定手段と、前記設定手段により設定されたページ番号をカウントしつつページ番号を印字する制御手段とを有する画像形成装置において、前記設定手段は、ゼロを含むプラス及びマイナスのページ番号の設定を可能とし、前記制御手段は、ゼロ及びマイナスのページ番号の印字を禁止し、プラスのページ番号のみを印字するように制御することを特徴とするものである。」

【0009】「また、請求項2記載の画像形成装置は、記録材に画像を形成する画像形成部と、ページ番号を設定する設定手段と、前記設定手段により設定されたページ番号をカウントしつつページ番号を印字する制御手段とを有する画像形成装置において、前記設定手段は、複数の記録材の中に画像形成を行う挿入紙が使用される場合に、前記挿入紙に対するページ番号の印字を、実施、不実施又はスキップのいずれかを選択して設定することが可能とされ、前記制御手段は、前記設定手段での選択による設定において、ページ番号の印字が実施又は不実施と選択された場合にはページ番号をカウントし、スキップと選択された場合にはページ番号をカウントしないように制御することを特徴とするものである。」

【0010】「さらに、請求項3記載の画像形成装置は、記録材に画像を形成する画像形成部と、ページ番号を設定する設定手段と、前記設定手段により設定されたページ番号をカウントしつつページ番号を印字する制御手段とを有する画像形成装置において、前記設定手段は、複数の記録材の中に画像形成を行わない挿入紙が使用される場合に、前記挿入紙に対するページ番号の印字を、不実施又はスキップのいずれかを選択して設定することが可能とされ、前記制御手段は、前記設定手段での選択による設定において、ページ番号の印字が不実施と選択された場合にはページ番号をカウントし、スキップと選択された場合にはページ番号をカウントしないように制御することを特徴とするものである。」

【0028】「次に、上記機構的構成となる複写装置に関する電気的な装置構成例について、図2を参照して説明する。上記した画像読取部10、画像書込部20、画像形成部30、転写紙搬送部40、転写紙排紙部50及び転写紙反転部60における各種機構等は、図2に示すように、制御手段としての中央制御部Cによって統括、制御がなされるようになっている。また、この中央制御部Cには、入力部C1及びページカウンタC2が接続されている。」

【0029】「入力部C1は、本発明の各種設定を行う設定手段であり、また各種の表示を行う表示手段を兼ねている。この入力部C1としては、例えば図3に示されるような、周知のLCDタッチパネル90を備えるもの等を採用すればよい。装置使用者は、このタッチパネル90上に示されている各種ウインドウを指で押下・指示する等して、複写濃度や倍率、転写紙Pの出力等の設定を行うことができる。なお、このような場合においては、入力部C1は、操作者に対する装置の設定状況等を伝達する表示手段をも兼ねることとなる。」

【0030】「また、入力部C1は、後述する種々のページ番号印字設定を行うことが可能である。例えば、転写紙P上に印字するページの開始番号(マイナス値を含む)を設定することや、コピー挿入紙又は白紙挿入紙に対するページ番号の印字を、実施する、実施しない、又はスキップする、のいずれかで設定することが可能である。実際にページ番号の印字が実行に移される際には、その態様は上記設定に基づくことになる。いずれにしても、これらについては、すぐ後に詳述することとする。」

【0031】「ページカウンタC2は、複数の転写紙の各々に順次ページ番号を付していく場合において、そのページ番号をカウントしていくものである。」

【0032】「以下では、上記構成例となる複写装置の中央制御部Cによる各種制御の形態についての説明を、図4、図10及び図13に示すフローチャートに則って行うこととする。なお、以下の説明においては、図5に示すような画像A乃至Eが形成された5枚の原稿が存在し、これらを複数枚の転写紙に順次画像形成(複写)していくとともに、ページ番号を印字していく形態を一例として説明することとする。」

【0044】「(コピー挿入紙に対するページ番号印字設定機能)これは、コピー挿入紙に対するページ番号印字設定を可能とする機能に関する。ここに、コピー挿入紙とは、例えばインターシートコピー挿入機能により挿入される転写紙、あるいは章分け挿入機能により挿入される転写紙等が該当し、「画像形成が行われる」挿入紙として定義される。」

【0045】「まず、図10ステップT1及びT2までは、上記図4ステップS1及びステップS2と全く同様であり、図3、図6及び図7の順に入力部C1上の表示を変化させる。次に、図10ステップT3にあるように、図7に示す「印字ページ」ボタンを選択し、図11に示すような画面を表示させる。この画面においては、図中中程に示されるように、コピー挿入紙に対するページ番号印字設定を、「印字する」、「印字しない」又は「スキップ」する、のいずれかに設定することが可能となっている。装置使用者は、これらのボタンのいずれかを適宜選択することにより、コピー挿入紙に対するページ番号印字設定を行うことができる(図10ステップT4)。」

【0046】「上記のようにページ番号印字設定がされると、上記「印字する」、「印字しない」又は「スキップ」する、の三つの設定の別に応じて、コピー挿入紙に対する後のページ番号印字工程が異なる。」

【0047】「まず、「印字する」が選択された場合には、通常の転写紙に対するページ番号の印字と連続したページ番号が、コピー挿入紙に対しても印字される(図10ステップT5P)。ここに、コピー挿入紙に対して印字されるページ番号は、それ以前に画像形成された通常の転写紙に付されたページ番号に連続したものである。また、図10ステップT6Cにあるように、コピー挿入紙に対して印字されたページ番号は、全体の転写紙に付すページ番号と連続したものとなるよう、ページカウンタC2によるカウントの対象となる。つまり、コピー挿入紙に印字されるページ番号と、当該コピー挿入紙の後に続く転写紙に印字されるページ番号は、連続したものとなる。」

【0048】「例えば、図12(a)に示すように、通常の転写紙が4枚あり、2枚目の転写紙PFと3枚目の転写紙PRの間に、コピー挿入紙Laを挿入する場合、当該コピー挿入紙Laには、ページ番号“3”が印字される。また、このページ番号は、ページカウンタC2によりカウントされる。結局、コピー挿入紙Laの前後の転写紙PF及びPRにはページ番号“2”及び“4”が印字され、コピー挿入紙Laを含む全転写紙に対して印字されるページ番号は、全体として連続したものとなる。」

【0049】「また、図10ステップT4において「印字しない」が選択された場合には、コピー挿入紙に対する画像形成は行われるがページ番号の印字は実行されない(図10ステップT5NP)。ただ、当該コピー挿入紙が挿入されたという事実は、カウントされる(図10ステップT6C)。」

【0050】「例えば、図12(b)に示すように、図12(a)と同様な状況でコピー挿入紙Lbが挿入される場合、当該コピー挿入紙Lbにはページ番号が印字されない。ただし、このコピー挿入紙Lbが挿入されたという事実は、当該コピー挿入紙に画像形成がなされることから、ページカウンタC2によりカウントされる。結局、コピー挿入紙Lbの前後の転写紙PF及びPRにはページ番号“2”及び“4”が印字され、コピー挿入紙Lbを含む全転写紙の「枚数」が、ページ番号により表象され、その意味において、全体として連続したものとなる。」

【0051】「最後に、図10ステップT4において「スキップ」が選択された場合には、コピー挿入紙に対する画像形成は行われるがページ番号の印字は実行されず(図10ステップT5NP)、また、ページ番号のカウントもされない(図10ステップT6NC)。」

【0052】「例えば、図12(c)に示すように、図12(a)及び(b)と同様な状況でコピー挿入紙Lcが挿入される場合、当該コピー挿入紙Lcにはページ番号が印字されず、また、ページ番号のカウントも実行されない。結局、コピー挿入紙Lcの前後の転写紙PF及びPRにはページ番号“2”及び“3”が印字され、コピー挿入紙Lcは、全転写紙の中において、図12(a)のようにページ番号の連続をとられることなく、かつ、図12(b)のように「枚数」としての連続もとられることなく、完全に「挿入」された状態となる。」

【0053】「このように本実施形態によれば、コピー挿入紙に対する印字設定が可能となることで、多種多様のページ番号印字を実行することができる。」

【0054】「(白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能)これは、白紙挿入紙に対するページ番号印字設定を可能とする機能に関する。ここに、白紙挿入紙とは、例えばインターシート白紙挿入機能により挿入される転写紙等が該当し、単に用紙が挿入されるのみで画像形成が行われない挿入紙として定義される。」

【0055】「この場合においては、図13に示すように、図10を参照して説明したフローチャートと殆ど同様な操作ないし処理が図11(図中右方参照)の画面を用いて実施されることになる。異なるのは、上記コピー挿入紙に対するページ番号印字設定においては、「印字する」、「印字しない」又は「スキップ」する、の三種類が選択可能であったところ、白紙挿入紙に対するページ番号印字設定では、「印字しない」又は「スキップ」する、の二種に限定されている点にある。ただ、これら「印字しない」又は「スキップ」が選択された後における実際のページ番号印字工程は、上記コピー挿入紙に対するそれと同様に行われる。」

【0056】「以上のことから、白紙挿入紙に対するページ番号の印字は、例えば図14(転写紙5枚に白紙挿入紙1枚が挿入)に示すようになる。すなわち、図14(a)では、図12(b)と同様に、挿入された白紙挿入紙Maにページ番号は印字されないが、この白紙挿入紙Maが挿入されたという事実は、ページカウンタC2によりカウントされる。したがって、白紙挿入紙Maを含む全転写紙の「枚数」がページ番号により表象され、その意味において、全体として連続したものとなる。また、図14(b)では、図12(c)と同様に、白紙挿入紙Mbにはページ番号が印字されず、また、ページ番号のカウントも実行されない。したがって、白紙挿入紙Mbは、全転写紙の中において、完全に「挿入」された状態となる。」

【0057】「【発明の効果】以上説明したように、本発明の画像形成装置によれば、原稿の任意の箇所に1ページ目を割り当てることが可能であり、また、コピー挿入紙及び白紙挿入紙に対するページ番号印字設定を行うことが可能となる。」

4.刊行物1記載発明の認定
(産業上の利用分野)の記載にあるように、当該刊行物1に記載される発明は、ワードプロセッサ,デスクトップパブリッシング等の文書処理装置に関するものである。
そして、段落【0017】に記載されているように、この文書処理装置は、CPU,ROM,及びRAMからなるマイクロコンピュータを内蔵し、キー入力部1,マウス入力部2,表示部3,印刷部4,操作部5,制御部6,頁付け情報設定部7,頁付け制御部8,表示制御部9,印刷制御部10,処理部11,文書データ格納部12,頁付け情報記憶部13,及び特定頁付け情報記憶部14の各部を備えている。
また、段落【0018】?【0023】の記載によれば、文書データ格納部12に格納された複数頁又は複数章からなる文書データに対して、入力装置であるキー入力部1或いはマウス入力部2から、「頁付け情報」やその文書データ中の特定頁に対する「特定頁付け情報」を指定したり、文書印刷等の各種の操作指示の入力がなされ、これら入力装置とのインタフェースを司る操作部5から入力される操作指示が制御部6に送られ、頁付け情報設定部7により、キー入力部1及びマウス入力部2によって指定された文書データに対する「頁付け情報」が頁付け情報記憶部13に記憶され、文書データ中の特定頁に対する「特定頁付け情報」が特定頁付け情報格納部14に記憶され、頁付け制御部8では、「頁付け情報」と「特定頁付け情報」とに基づいて文書データに頁が付けられ、最終的に、文書データは頁付けされて、表示部3に表示され、或いは印刷部4において用紙に印刷されることが把握できる。
してみるに、「頁」と「ページ」とは同じ概念であることが明らかであることから、該刊行物1に記載される文書処理装置も、ページ単位で作成された電子データである文書データを前記頁単位で表示もしくは印字する際に、ページ番号を各ページに付与して表示もしくは印字させるページ番号制御装置を備えたものといえる。
そして、この文書処理装置が備える「頁付け情報設定部7」は、段落【0020】に記載されるように、指定された文書データに対する頁付け情報を付加して「頁付け情報記憶部13」に記憶させ、また、文書データ中の特定頁に対する特定頁付け情報を付加して「特定頁付け情報格納部14」に記憶させていることから、頁番号に係る制御を行うための「頁番号制御情報」を設定する手段であることが把握できる。
また、段落【0026】の記載によれば、実施例として、文書データ中の1頁目?最終頁までの全頁についての特定頁付け情報データテーブルを備えるとされることから、当該「頁付け情報設定部7」は、前記電子データである文書データにおける全頁毎に、頁番号に係る制御を行うための頁番号制御情報として、「特定頁付け情報」を設定する態様が含まれており、この文書処理装置における「特定頁付け情報」とは、単に「ページ付け情報」と呼称されるもの以外ではあるものの、一つの文書データの全体に亘って各頁毎に設定される場合も含まれている。
さらに、同「頁付け制御部8」は、段落【0021】に記載されるように、「頁付け情報」と「特定頁付け情報」からなる「頁番号制御情報」に基づいて文書データに頁を付け、その頁付けに際しては、文書データ中の指定された特定頁を飛ばして頁番号を先頭頁から順次割り当てる等が行われることから、前記「頁付け情報」と前記「特定頁付け情報」の両者を参照し、これらに基づいて頁番号を制御する制御手段であることが把握でき、続く段落【0022】に記載されるように、印刷制御を司り、頁付け制御部8の頁付けにしたがって文書データの印刷を制御する印刷制御部9(附番は10の誤記と認める。)と相俟って、文書頁付け印刷手段と頁番号設定手段と子頁番号付加手段と印刷順序を制御する手段を構成するものとされる。
ここで、前記段落には印刷制御に関する記載がされているのみで、表示に関して言及するところがないものの、前出段落【0017】或いは【0019】を参照するに、表示制御部9によってCRTやLCD等のディスプレイ装置からなる表示部3への文書データ表示を行うことも想定されていると解される。

以上の検討からみて、当該刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「ページ単位で作成された電子データを前記ページ単位で表示もしくは印字する際に、ページ番号を各ページに付与して表示もしくは印字させるページ番号制御装置であって、
指定された文書データに対する頁付け情報に加えて、前記電子データにおけるページ毎に、文書データ中の特定頁に対する特定頁付け情報をページ番号制御情報として設定するページ番号制御情報設定手段と、
前記電子データの各ページを表示/印字する際に、前記ページの表示順/印字順に、前記ページ番号制御情報設定手段によって設定された前記ページ番号制御情報に基づいてページ番号の付与および表示/印字を制御する制御手段とをそなえた、
ページ番号制御装置。」(以下、「刊行物1記載発明」という。)

5.本願発明と刊行物1記載発明との一致点及び相違点の認定・判断
5-1 本願発明における特定の意味内容について
本願発明においては、「前記電子データにおけるページ間に、前記電子データには含まれていないページが存在する場合」なる特定が存在するも、この表現単独では、いかなる意味内容であるかが明らかとはいえないので、本願明細書の記載を参照して、その意味内容について、検討する。

本願明細書には、【技術分野】に関し、段落【0001】「本発明は、例えばPDF(Portable Document Format)形式の電子データをページ単位で表示もしくは印字する際に、ページ番号を各ページに付与して表示もしくは印字させるための技術に関する。」と記載されており、ここでいう電子データとは、文字情報のみならず、画像情報をも含んだものと解される。
次に、【背景技術】に関する段落【0002】?【0005】では、表示もしくは印字される対象の電子データが、一般に、文書作成ソフトウェアによりページ単位で作成されるものであるとされ、これら文書作成ソフトウェアにおけるページ番号の表示/印字がどのように行われているかが記載されている。
そして、段落【0006】及び【0007】の記載には、多数のページからなる1冊の書籍(例えば雑誌,本,マニュアル等)を作成する際に、その書籍は複数の部分(文書ファイル)に分割され、複数の作成者によって別々に複数の文書ファイルが作成されるものであって、このような手法においては、複数の文書ファイルのうち未完成の部分が存在したり、最初から作成対象外となっている部分(例えば、雑誌などの書籍では、雑誌の本文に関係に関係ない全面広告のページ等)が存在したりした場合に、表示/印字用の電子データにおけるページ間に、この電子データには含まれていないページ(ページ抜け部分)が存在する状況がある、と記載されている。
なるほど、文書ソフトウェアを用いた文書作成が、印刷技術の分野において常識的であることは、特開2001-223875号公報、特開2001-216522号公報等においても従来技術を説明する記載として存在している。
また、このような文書ソフトウェアを用いた文書作成においては、作成する文書のデータによっては作成に用いるソフトウェアを選択する必要があり、文書データの作成が用いるソフトウェアの事情から分割して行われることが通常であるし、表示/印字したい場合に分割した一部ファイルが存在していないような状況が生じ得ることは、特開2003-91528号公報、特開平6-309124号公報等にも記載されている。
よって、本願明細書に記載される状況は従来から当業者の了解している事情であって、本願発明における「前記電子データにおけるページ間に、前記電子データには含まれていないページが存在する場合」とは、最終的に書籍としては存在するものの、表示/印字したい時点には、未だ、分割された別のファイルに存在しており、当該時点における対象である電子データからなるファイルには、ページとしての電子データが存在しないことを意味しているものと把握できる。

前記検討を踏まえて、本願発明と刊行物1記載発明とを対比する。

5-2 本願発明と刊行物1記載発明との対比
本願発明に係る「カウントアップ制御情報」は、「前記電子データにおけるページ間に、前記電子データには含まれていないページが存在する場合、」を前提として「ページ番号のカウントアップの実行を指示する」ものであるが、「カウントアップ制御情報設定手段」において設定された後、ページ番号の付与および表示/印字を制御する制御手段において参照され、ページの表示/印字制御に用いられていることから、広義の意味において、「ページ番号制御情報」であるといえるので、この広義の「ページ番号制御情報」を設定する手段である限りにおいて、刊行物1記載発明の「ページ番号制御情報設定手段」と、本願発明の「カウントアップ制御情報設定手段」とは相当する。
また、刊行物1記載発明と本願発明とはいずれも「ページ番号制御情報」に基づいてページ番号の付与および表示/印字を制御する手段を備えていることから、両者は、いずれもページ番号制御装置である点で共通している。

よって、本願発明と刊行物1記載発明とを対比すると、以下の点で一致する一方、以下の点で相違している。

<一致点>
「ページ単位で作成された電子データを前記ページ単位で表示もしくは印字する際に、ページ番号を各ページに付与して表示もしくは印字させるページ番号制御装置であって、
ページ番号制御情報を設定するページ番号制御情報設定手段と、
前記電子データの各ページを表示/印字する際に、前記ページの表示順/印字順に、前記ページ番号制御情報設定手段によって設定された前記ページ番号制御情報に基づいてページ番号の付与および表示/印字を制御する制御手段とをそなえた、
ページ番号制御装置。」

<相違点1>
本願発明では、ページ単位で作成された電子データを前記ページ単位で表示もしくは印字する際に、ページ番号を各ページに付与して表示もしくは印字させるに際して、「前記電子データにおけるページ間に、前記電子データに含まれていないページが存在する場合、」との特定がなされているが、
刊行物1記載発明では、このような特定を有しない点。

<相違点2>
「ページ番号制御情報設定手段」に関して、
本願発明では、「前記電子データにおけるページ間に、前記電子データに含まれていないページが存在する場合、」「ページ番号のカウントアップの実行を指示するカウントアップ制御情報を、前記電子データに含まれていないページのそれぞれに対応させて設定するカウントアップ制御情報設定手段」と特定されているのに対し、
刊行物1記載発明では、このような特定を有しない点。

<相違点3>
「ページ番号の付与および表示/印字を制御する制御手段」に関して、
本願発明では、「前記電子データの各ページを表示/印字する際に、前記カウントアップ制御情報設定手段によって設定された前記カウントアップ制御情報に基づいてページ番号の付与および表示/印字を制御する」ものであって、
「前記電子データに含まれているページについては、当該ページの前のページに付与されたページ番号に1を加算してカウントアップすることにより当該ページのページ番号を算出して当該ページに付与するとともに、付与されたページ番号を表示/印字させる一方、
前記電子データに含まれていないページに対応して設定された前記カウントアップ制御情報を認識すると、当該ページの前のページに付与されたページ番号に1を加算してカウントアップすることにより当該ページのページ番号を算出して当該ページに付与し、当該ページの表示/印字をスキップさせる」ものであると特定されているのに対し、
刊行物1記載発明では、このような特定を有しない点。

6.相違点に係る検討と、本願発明に係る進歩性の判断
6-1 相違点1について
刊行物1記載の内容について、再度検討するに、従来の技術に係る段落【0002】には、文書処理装置における頁付けに関して、印刷時に印刷条件として頁を指定する装置と、文書作成時に文書と共に頁番号も記憶する装置とが存在していたことが指摘され、後者においては、文書作成時に、頁付けの指定を文書或いは章単位で行い、頁番号を各頁に順次連続的に付けられたことが記載されている。
また、続く段落【0003】?【0004】には、前者においては、1文書あるいは1章内での特殊な頁付けが行えないと共に、既に作成した文書内に新たな頁を追加し、その他の頁の頁番号をずらさずに頁付けを行う場合、頁指定を複数回に分けて行わざるを得ないこと、他方、後者においては、追加した頁を別文書あるいは別章にする操作が必要であり、いずれにおいても望む頁付けを達成する上で、非常に操作が不便であったことが指摘される。
そして、段落【0008】に記載される刊行物1記載の発明における目的は、文書の頁付けのときに新たな追加頁や付録頁を考慮した頁付けが行え、文書のメンテナンスなどの作業効率を向上させることを可能とすることにあるとされる。
してみるに、刊行物1記載の発明は、従来の技術における文書処理装置においては、印刷に際して、いずれも1文書あるいは1章構成の文書を個々に頁付けしたものが対象とされており、従来の技術ではこれらを同時に印刷処理することができなかったことに着目して、印刷に際して、複数の文書或いは複数の章構成の文書を扱い得るようになし、この際に、頁付けが適宜になし得る文書処理装置を実現することを課題とするものと把握される。
よって、刊行物1の記載においては、1文書あるいは章構成の文書である既存の文書に追加頁や付録頁を追加する場合が記載されているものの、これら文書は現実の頁を構成するデータを有するものであって、これら現実の頁に頁付けを行うこととして記載されており、印刷対象とされる文書が当該現実の頁を構成するデータを有しない場合を想定した記載はない。
してみるに、当該刊行物1の記載から、現実の頁を構成するデータを有しない文書あるいは章構成の文書を同時に処理することに関して直接の示唆があるものとはいえない。

しかしながら、前記で本願発明における、「前記電子データにおけるページ間に、前記電子データには含まれていないページが存在する場合」なる特定の意味内容について確認する上で検討したように、多数のページからなる1冊の書籍を文書作成ソフトウェアによりページ単位で作成する場合に、複数の作成者によって別々に作成作業が行われること、あるいは、作成するに際して用いるソフトウェアが複数のものである場合には、文書が分割して作成されること等は、従来から当業者が了解している事情である。
してみれば、単に、刊行物1に、印刷対象とされる文書が当該現実の頁を構成するデータを有しない場合を想定した記載が存在しない(換言するに、このような場合に対応する必要が想定されていない)としても、前記で検討したような、別の分割ファイルにページデータが存在しており、印刷対象としているファイルにはそれらのページデータが存在していないファイルを対象とする状況において、当該刊行物1記載発明を使用することを、全く想定し得ないものとはいえず、そのような状況下で、刊行物1記載発明を使用すること自体は、当業者であれば容易になし得ることである。
そして、当業者であれば、印刷対象とされる文書が当該現実の頁を構成するデータを有しない場合に対応するために、当該刊行物1記載発明が備える機能を有効に活用すべく、何らかの検討を行うであろうことが推察される。
この点、前記「4.刊行物1記載発明の認定」で指摘しているように、当該刊行物1においては実施例に係る記載であるものの、電子データである文書データにおける全頁毎に、頁番号に係る制御を行うための頁番号制御情報として、「特定頁付け情報」を設定する態様が示されており、この文書処理装置における「特定頁付け情報」とは、単に「ページ付け情報」と呼称されるもの以外ではあるものの、一つの文書データの全体に亘って各頁毎に設定される場合が含まれている。
そして、当該「特定頁付け情報」が、電子データである文書データの全体に亘って各ページ毎に情報を付加できるものである以上は、電子データが存在しない場合に、その状態を表現すべく当該「特定頁付け情報」を機能させればよいことは、当業者であれば、容易に想起し得る事項といえる。

しかしながら、本願発明は、残る相違点2及び3をもって、電子データが存在しない場合におけるページ番号の扱いに係る具体的手法をも特定しているものであるから、本願発明の容易想到性は、相違点2及び相違点3に係る検討を行った後に、総合的に判断することとする。

6-2 相違点2及び相違点3について
当該相違点2及び相違点3は、各々、ページ番号制御装置が備える「ページ番号制御情報設定手段」及び「ページ番号の付与および表示/印字を制御する制御手段」に関するものであって、要は、「前記電子データにおけるページ間に、前記電子データに含まれていないページが存在する場合、」において、「電子データに含まれていないページ」の表示/印字をスキップさせることに関するものである。

ここで、当審で引用した刊行物3に記載される内容について検討する。
当該刊行物3には、前記に摘示した段落【0001】、【0002】に記載されるように、画像形成装置に関するものが記載されており、この種の画像形成装置には、複写装置、プリンタ及びファクシミリ等の機能を一の装置内にすべて備えて構成した、いわゆる「複合機」も知られていることが指摘され、同段落【0003】に記載されているように、このような画像形成装置においては、原稿が複数存在するような場合に、当該原稿画像を複数の転写紙に形成するとともに、それらに順次、「ページ番号」を印字するページ番号印字機能が搭載されているものが存在することが指摘されている。
なるほど、文書処理装置はワープロ等に代表されるように、ユーザあるいは操作者により、文書を作成する機能を少なくとも備えるものであって、単に、他の装置で作成された画像、文書を印刷するか、或いは自身の複写機能により原稿から得られた画像を印刷することを主とする画像形成装置と同一物とまでいうことはできない。
しかしながら、文書処理装置と画像形成装置とは、いずれもオフィス機器として使用されるものであるし、本願発明において対象とされるPDF形式の電子データにあっては、文字情報と画像情報の両者を含むものであって、出力される場合にはむしろ画像形成によることが通常であることからみて、文書処理装置と画像形成装置の両者間においては共通する機能について技術転用が図られてきているといえる。
そして、前記のように印刷すべきページにページ番号を付ける機能が、両者間で転用可能であることは、当業者にとって明らかであるし、当該刊行物3の段落【0003】にあるページ番号印字機能は、ページ番号制御機能といい得るものであることも明らかである。
してみるに、当該刊行物3に記載される頁番号制御機能は、刊行物1記載発明の文書処理装置におけるページ番号制御装置に適用可能なものといえる。

さて、拒絶理由通知においては、当該刊行物3記載の特許請求の範囲に係る請求項1?3を摘記するに留まり、これら請求項に係る発明が、いかなるものであるかについて詳細説明を省略したが、当該請求項3に記載されている形態のページ番号制御機能について検討する。

当該請求項3に記載されている形態のページ番号制御機能は、当該請求項3に「画像形成を行わない挿入紙が使用される場合に、前記挿入紙に対するページ番号の印字を、不実施又はスキップのいずれかを選択して設定する」との特定があるように、挿入される紙に対してページ番号を「印字しない」か、又は、「スキップ」するものであることからして、今回加えて摘記した実施の形態に係る段落【0054】?【0056】に記載されている(白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能)に係る形態が相当する。
そして、当該段落でいう白紙挿入紙とは、例えばインターシート白紙挿入機能により挿入される転写紙等が該当すると記載されている。
ここでいう「インターシート」とは、狭義には、多数のページからなる1冊の書籍を作成するに際して章区切りを挿入するものであること、他方、広義の意味においては、何らかの要請で挿入される白紙を意味することは技術常識であり、このような「インターシート」を用いることは、複写機のみならず、文書処理装置においても共通に行われていることである。
また、この「インターシート」を必要とする状況において、通番としてのページ番号を用いれば全ページ数が把握できること、「インターシート」をページ番号付けから外した場合には現実にページデータが存在するページの総数を把握できることは道理であるし、現実のページデータが存在しないものの、「インターシート」により代替えしたページにページ番号を付さない態様が、書籍体裁によっては求められる場合があることは、常識的なことであって、これらは、複写機、文書処理装置のいずれにおいても、共通して必要とされている事項である。

ここで、当該刊行物3においては、複写装置の中央制御部Cによる各種制御の形態について説明するに際して、段落【0033】からの(マイナス値を含むページ開始番号設定機能)、段落【0044】からの(コピー挿入紙に対するページ番号印字設定機能)及び段落【0054】からの(白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能)を順次先に説明した事項を援用しており、直ちに、(白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能)に係るページ番号印字設定がいかなるものか把握し得ないので、以下で、段落を追って、順次確認する。

段落【0032】には「以下では、上記構成例となる複写装置の中央制御部Cによる各種制御の形態についての説明を、図4、図10及び図13に示すフローチャートに則って行うこととする。なお、以下の説明においては、図5に示すような画像A乃至Eが形成された5枚の原稿が存在し、これらを複数枚の転写紙に順次画像形成(複写)していくとともに、ページ番号を印字していく形態を一例として説明することとする。」と記載され、続く段落【0033】に「(マイナス値を含むページ開始番号設定機能)これは、図5に示すような複数の原稿画像の各々を、複数の転写紙の各々に画像形成する場合において、当該複数の転写紙の任意の位置から、ページ番号を付すことを可能とする機能に関する。」と、転写紙に画像形成する場合に関し、以降の段落で説明するとされる。
段落【0034】においては、装置使用者が、図4のステップS1にあるように、図6に示すようなページ番号の印字設定可能な画面を当該入力部C1上に表示させ、図3に示した入力部C1上で、例えば「応用機能」ボタンを押下することにより表示させ、図6に示すように、ページ番号の他、定形スタンプ、ナンバリング、日付・時刻(日付・時刻情報)等その他の付加情報を画像とともに転写紙上に印字するように指示することができると記載されている。
続く段落【0035】には、図4ステップS2にあるように、図6に示される付加情報の中から、「ページ印字モード」設定画面に入るための「ページ」ボタンを選択することで、図7に示すような「ページ印字モード」画面を表示させ、ページ番号の印字形態の選択や、ページ番号を印字する転写紙P上の位置を入力・設定することができるとされ、段落【0036】?【0043】においては、転写紙に画像形成する際のページ番号付与の形態について説明されている。
(コピー挿入紙に対するページ番号印字設定機能)における設定の詳細は、段落【0045】から説明されている。
ここでは、前記段落に示された図7の「ページ印字モード」画面における「印字ページ」ボタンを選択すると図11に示される画面が表示され、この画面において、図中中程に示されるように、コピー挿入紙に対するページ番号印字設定を、「印字する」、「印字しない」又は「スキップ」する、のいずれかに設定することが可能とされる。
図11においては、対象とされているページが何ぺージに相当するか或いは前後のページが何であるか等が当該画面上に表示されているものではないが、前記段落【0035】で説明される図4ステップS2に「「ページ」を選択」とあるように、対象とするページを選択した上で、当該図11の画面が選択されていることからして、図11の右側に表示される「挿入紙への印字」なる枠内のボタンを適宜選択することで、対象となるコピー挿入紙に対するページ番号印字設定がなされるものと推察される。
そして、(白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能)における設定の詳細は、段落【0055】に説明されている。
ここでは、それまでの段落において図10を参照して説明したフローチャートと殆ど同様な操作ないし処理が図13に示すように行われ、前出の図11(図中右方参照)の画面を用いて実施されるものとされる。
そして、同段落【0055】においては、コピー挿入紙に対するページ番号印字設定において「印字する」、「印字しない」又は「スキップ」、するの三種類が選択可能であったが、白紙挿入紙に対するページ番号印字設定では、「印字しない」又は「スキップ」する、の二種に限定されている点が異なるとされる。
以上のように、当該刊行物3においては、コピー挿入紙に対するページ番号印字設定或いは白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能に関し、コピー挿入紙或いは白紙挿入紙を必要とするページ位置において、これらを挿入すること、そしてこれらにいかなるページ番号印字設定を行うかを、(マイナス値を含むページ開始番号設定機能)で用いると同じ図11の画面を用いて設定している。
ここで、段落【0028】では、複写装置に関する電気的な装置構成例に関し、制御手段としての中央制御部Cが設けられており、これによって、画像読取部10、画像書込部20、画像形成部30、転写紙搬送部40、転写紙排紙部50及び転写紙反転部60における各種機構等が統括、制御がなされるようになっていること、この中央制御部Cには、入力部C1及びページカウンタC2が接続されていることは説明されているものの、当該中央制御部Cにおいて、各ページに付加する情報をいずれに格納或いは記憶させておくかについては説明がされていない。
しかしながら、制御装置に係る技術常識に照らせば、少なくとも、ページ番号印字設定に係る情報は、中央制御部Cの備える記憶装置に記憶されている筈である。
ここで、(マイナス値を含むページ開始番号設定機能)において対象とするページに付加する情報は、ページ番号の印字形態の選択や、ページ番号を印字する転写紙P上の位置であることからして、すべてのページに共通して付加されるものと推察される。
他方、コピー挿入紙に対するページ番号印字設定或いは白紙挿入紙に対するページ番号印字設定の場合には、対象とされるページ毎に条件が異なり得る可能性があり、対象ページ毎にその情報を記憶しておく必要がある。
よって、当該刊行物3に記載されるページ番号制御装置においては、「画像形成が行われるページ間に、前記ページには含まれていないページが存在している場合、」において、白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能により「印字する」が設定された場合、当該「印字する」の情報は、ページ番号のカウントアップの実行を指示するカウントアップ情報を、前記画像形成が行われるページには含まれていないページのそれぞれに対応させて、中央制御部Cにより設定されている。
この場合、当該中央制御部Cは、その機能に照らせば、カウントアップ制御情報設定手段と呼び得、又、当該中央制御部Cは、画像読取部10、画像書込部20、画像形成部30、転写紙搬送部40、転写紙排紙部50及び転写紙反転部60における各種機構等を統括、制御していることから、前記画像形成されるページ或いは画像形成されないページを印字する際に、前記カウントアップ制御情報設定手段によって設定された前記カウントアップ制御情報に基づいてページ番号の付与および印字を制御する制御手段でもある。

ここで、当該(白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能)において、ページカウント自体が如何に行われているかについて確認する。

当該刊行物3の段落【0028】には、ページ番号制御機能に係る実施の形態で前提としている電気的な装置構成例について、図2を参照して、「中央制御部Cには、入力部C1及びページカウンタC2が接続されている。」と記載されており、同段落【0031】には、当該ページカウンタC2が、複数の転写紙の各々に順次ページ番号を付している場合において、そのページ番号をカウントしていくものである。」と記載されている。
そして、同段落【0032】においては、「以下の説明においては、図5に示すような画像A乃至Fが形成された5枚の原稿が存在し、これらを複数枚の転写紙に順次画像形成(複写)していくとともに、ページ番号を印字していく形態を一例として説明することとする。」と記載されており、前記段落【0054】?【0056】に記載される(白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能)においても、当該ページカウンタC2が存在していることを前提としていることが把握できる。
そして、同段落【0038】には、「ページ番号の増加は、上記ページカウンタC2により常にモニターされる。例えば、一枚目の転写紙にページ番号”n”が付されたときには、次の転写紙の画像形成時まで、その”n”がページカウンタC2に記憶され、当該次の転写紙に対する画像形成実行の際において、ページ番号”n+1”が付されることになる(図4ステップS8参照)。」なる記載がある。
これらの記載を受けて、当該(白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能)においては、段落【0055】に、「この場合においては、図13に示すように、図10を参照して説明したフローチャートと殆ど同様な操作ないし処理が図11(図中右方参照)の画面を用いて実施されることになる。異なるのは、上記コピー挿入紙に対するページ番号印字設定においては、「印字する」、「印字しない」又は「スキップ」する、の三種類が選択可能であったところ、白紙挿入紙に対するページ番号印字設定では、「印字しない」又は「スキップ」する、の二種に限定されている点にある。ただ、これら「印字しない」又は「スキップ」が選択された後における実際のページ番号印字工程は、上記コピー挿入紙に対するそれと同様に行われる。」と記載され、さらに、段落【0056】には、「以上のことから、白紙挿入紙に対するページ番号の印字は、例えば図14(転写紙5枚に白紙挿入紙1枚が挿入)に示すようになる。すなわち、図14(a)では、図12(b)と同様に、挿入された白紙挿入紙Maにページ番号は印字されないが、この白紙挿入紙Maが挿入されたという事実は、ページカウンタC2によりカウントされる。したがって、白紙挿入紙Maを含む全転写紙の「枚数」がページ番号により表象され、その意味において、全体として連続したものとなる。また、図14(b)では、図12(c)と同様に、白紙挿入紙Maにはページ番号が印字されず、また、ページ番号のカウントも実行されない。したがって、白紙挿入紙Mbは、全転写紙の中において、完全に「挿入」された状態となる。」と記載されている。
すると、通常、転写紙に画像形成が行われる場合には、ページ番号制御機能に係る実施の形態で前提とされる電気的な装置構成例が備えるページカウンタC2を用いて、例えば、一枚目の転写紙にページ番号”n”が付されたときには、次の転写紙の画像形成時まで、その”n”がページカウンタC2に記憶され、当該次の転写紙に対する画像形成実行の際において、ページ番号”n+1”が付されているのに対して、当該(白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能)においてページ番号印字設定として「印字しない」を設定した場合(図14(a))には、挿入された白紙挿入紙Maにページ番号は印字されず、この白紙挿入紙Maが挿入されたことに伴い、ページカウンタC2のカウントアップは行われるものである。
ここで、当該(白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能)において挿入される白紙挿入紙は、請求項3に「複数の記録材の中に画像形成を行わない挿入紙が使用される場合」と記載されているように、画像形成が行われないものであることは、明らかである。
してみると、通常、転写紙に画像形成が行われる場合と、当該(白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能)において白紙挿入が行われる場合とに限ってみれば、これらに係るページ番号制御は、
「画像形成が行われるページ間に、前記ページには含まれていないページが存在する場合、」において、
「前記画像形成が行われるページに含まれているページについては、当該ページの前のページに付与されたページ番号に1を加算してカウントアップすることにより当該ページのページ番号を算出して当該ページに付与して印字する一方」、
「前記画像形成が行われるページに含まれていないページについては、当該ページの前のページに付与されたページ番号に1を加算してカウントアップすることにより当該ページのページ番号を算出して当該ページに付与するものの印字は行わない」
ものであることが把握できる。

以上で検討したように、当該刊行物3に記載されるページ番号制御装置は、「画像形成が行われるページ間に、前記ページには含まれていないページが存在している場合、」において、白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能により「印字する」が設定された場合、当該「印字する」の情報は、ページ番号のカウントアップの実行を指示するカウントアップ情報を、前記画像形成が行われるページには含まれていないページのそれぞれに対応させて設定するカウントアップ制御情報設定手段を備えており、
前記画像形成されるページ或いは画像形成されないページを印字する際に、前記カウントアップ制御情報設定手段によって設定された前記カウントアップ制御情報に基づいてページ番号の付与および印字を制御し、
「画像形成が行われるページ間に、前記ページには含まれていないページが存在する場合、」において、
「前記画像形成が行われるページに含まれているページについては、当該ページの前のページに付与されたページ番号に1を加算してカウントアップすることにより当該ページのページ番号を算出して当該ページに付与して印字する一方」、
「前記画像形成が行われるページに含まれていないページについては、当該ページの前のページに付与されたページ番号に1を加算してカウントアップすることにより当該ページのページ番号を算出して当該ページに付与するものの印字は行わない」
ものであることが把握できる。

してみれば、画像形成が行われるページを対象とするものの、現実に印字すべきページのデータが存在しない場合のページの扱いに関しては、相違点2及び3に抽出したと同様の扱いを、当該刊行物3に記載される頁番号制御機能がなしているものといえる。

既に検討したように、文書処理装置と画像形成装置の両者間においては共通する機能について技術転用が図られてきているのであって、刊行物3に記載される頁番号制御機能は、刊行物1記載発明の文書処理装置におけるページ番号制御装置に適用可能である。
そこで、当該刊行物3に記載されるページ番号制御装置に係る制御を、前記刊行物1記載発明に適用した場合に、本願発明と刊行物1記載発明との相違点2、3を補完し得るか否かについて検討する。

前記のように、刊行物3に記載されるページ番号制御装置に係る制御は、中央制御装置Cが担保しており、ページ番号印字設定としてのカウントアップ制御情報も、中央制御装置Cに備えられた記憶装置に記憶されていると考えるのが自然である。

他方、刊行物1記載発明としては、ページ番号制御情報を設定するページ番号制御情報設定手段と、電子データの各ページを表示/印字する際に、前記ページの表示順/印字順に、前記ページ番号制御情報設定手段によって設定された前記ページ番号制御情報に基づいてページ番号の付与および表示/印字を制御する制御手段とを備えるものとして認定しており、ページ付けを如何に行うかまでを認定したものとはなっていない。
しかしながら、刊行物1における実施例に係る前記段落【0026】の記載によれば、文書データ中の1頁目?最終頁までの全頁についての特定頁付け情報データテーブルを備えるとされることから、当該「頁付け情報設定部7」は、前記電子データである文書データにおける全頁毎に、頁番号に係る制御を行うための頁番号制御情報として、「特定頁付け情報」を設定する態様が含まれており、そして、同段落【0023】によれば、当該頁番号制御情報は、複数頁又は複数章からなる文書データを格納するメモリである文書データ格納部12における頁付け情報記憶部13或いは特定頁付け情報記憶部14に記憶される形態が想定されている。
してみれば、刊行物3に記載されるページ番号制御装置に係る制御を、刊行物1記載発明に適用するに際して、実施例記載されているこれら頁付け情報記憶部にカウントアップ制御情報を記憶させることは、当業者であれば容易に想到可能なことといえる。

ここで、請求人は、刊行物3に記載される頁番号制御装置に係る制御が、本願発明における頁制御と類似するものであることは認めつつも、刊行物3に記載される頁番号制御装置において行われる前記(白紙挿入紙に対するページ番号印字設定機能)においては、白紙挿入紙を使用することが必須であって、かりに、刊行物1記載発明にこれを適用したとしても、本願発明が白紙挿入紙を使用していないことにおいて相違があり、このようにすることを想定することは、当業者といえども容易ではない、と主張するので検討する。

まず、本願発明においては、なるほど、電子データにおけるページ間に、前記電子データには含まれていないページが存在する場合に、これを表示/印字する際に、白紙挿入紙を挿入することの特定はない。
そして、本願発明において特定されるうち「表示する」際には、このような白紙挿入紙を挿入することが必要でないことは認める。
しかしながら、本願発明において、印字を行う際に白紙挿入紙を使用しないことが、請求項記載から明らかと言い得るかについては疑問がある。
というのも、本願明細書には、本願発明におけるように、「ページ単位で作成された電子データを前記ページ単位で表示もしくは印字する際に、前記電子データに含まれていないページが存在する場合に、当該ページの前のページに付与されたページ番号に1を加算してカウントアップすることにより当該頁のページ番号を算出して当該ページに付与し、当該ページの表示/印字をスキップさせる」ことの説明はあるものの、従来の技術に対して本願発明がページ番号付けの融通性を高め得るとの作用効果が記載されているのみであって、「前記電子データに含まれていないページが存在する場合」に、白紙挿入を行わないとする明示的な記載はなく、当審の拒絶理由通知で刊行物3を引用したことに対し、初めて主張されたものであって、白紙挿入を行わないことによるメリットについて、出願当初の明細書に戻ってみても何ら記載はないのである。
他方、複数のページからなる1冊の書籍を構成する場合に、インターシート機能なる白紙挿入を行うことは、仕上げ時点において、複数の出力装置に振り分けて出力した後に、これらを合体させるに際して、いずれの箇所に分割されたページを挿入するのかの目印として用いて、最終的な書籍形態となす手法は良く知られており(一例を掲げれば、特開平6-309124号公報)、このようにすることで、分割出力されたページの合体作業が容易となることは、当業者にとり技術常識に属する。
また、前記した文章更正段階においては、出力したページが対象であって、特段に、仕上がり時点の体裁を要するものとはいえず、資源節約の観点から不要な紙出力を避けるようになすであろうことも、技術常識に属することである。
よって、「前記電子データに含まれていないページが存在する場合」に、白紙挿入を行うか否かを選択することは、当業者であれば、適宜選択し得る事項ともいえることである。
してみれば、ページ番号付けの優位性が主張される本願発明において、白紙挿入は排除されているものではなく、当業者であれば、必要に応じて適宜採用し得るものと理解するのが自然である。

よって、刊行物3に記載されるページ番号制御装置に係る制御が、白紙挿入紙を使用するものであることをもって、刊行物1記載発明にこれを適用した場合に、本願発明と相違するという請求人の主張は採用できない。

以上のとおりであるから、刊行物3に記載されるページ番号制御装置に係る制御を、前記刊行物1記載発明に適用した場合に、本願発明と刊行物1記載発明との相違点2、3を補完し得るといえる。
したがって、本願発明は、刊行物1及び刊行物3に記載される発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6-3 まとめ
以上を総合すれば、刊行物1記載発明において、電子データの全ページに「特定頁付け情報」を対応させたことで、全てのページ毎に、ページ番号付与を選択し得る技術思想が既に存在する以上、各相違点に係る本願発明の構成は、刊行物3記載のページ制御を適用することで、当業者がいずれも想到容易な構成でしかなく、それらにより得られる作用効果も当業者であれば推察可能なものでしかない。

したがって、本願発明は、引用刊行物1?3に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

7.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができない以上、その余の本願の請求項2乃至15に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-06-27 
結審通知日 2007-06-28 
審決日 2007-07-11 
出願番号 特願2004-248089(P2004-248089)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 湯本 照基  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 尾崎 俊彦
島▲崎▼ 純一

発明の名称 ページ番号制御装置,ページ番号制御プログラムおよび同プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体  

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