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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1163174
審判番号 不服2005-8829  
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-12 
確定日 2007-08-23 
事件の表示 特願2003-327157「記録装置と記録方法とプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 4月 7日出願公開、特開2005- 93010〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成15年9月19日の出願であって、拒絶理由の通知に応答して平成16年7月23日付けで手続補正がなされたが、平成17年4月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月12日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年6月7日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成17年6月7日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成17年6月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に関し、補正前(平成16年7月23日付け手続補正書参照)の、
「【請求項1】
記録媒体に時系列のコンテンツデータを記録する手段と、前記時系列のコンテンツデータに対して該コンテンツデータの中の一部を有するインデックス情報を生成するインデックス情報生成手段と、該インデックス情報生成手段によって生成されたインデックス情報を、前記コンテンツデータとは前記記録媒体上の異なる領域であり、前記記録媒体上でユーザ記録可能領域の最前部又は最後部の少なくとも一方の領域にまとめて記録する手段とを備えたことを特徴とする記録装置。」を、
「【請求項1】
ディスク型記録媒体に時系列のコンテンツデータを記録する手段と、前記時系列のコンテンツデータに対して該コンテンツデータの中の一部を有するインデックス情報を生成するインデックス情報生成手段と、該インデックス情報生成手段によって生成されたインデックス情報を、前記コンテンツデータとは前記ディスク型記録媒体上の異なる領域であり、前記ディスク型記録媒体上でユーザ記録可能領域の最前部又は最後部の少なくとも一方の領域にまとめて記録する手段とを備えたことを特徴とする記録装置。」
と補正するものである。
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「記録媒体」に関し、「ディスク型」との限定を付加するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後における特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-200675号公報(以下、「引用例1」という。)には、ビデオデータ記録装置に関し、図面と共に、以下の記載がある。なお、下線は、当審で付与した。

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録したビデオデータの確認や所望のビデオデータの検索を効率よく行えるようなビデオデータ記録装置とその方法、および、そのようにビデオデータを記録する記録媒体に関する。」

(2)「【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、各カットごとのインデックスピクチャはテープ記録媒体上にまとめて記録し、各カットのビデオテープ上での記録領域と、そのインデックスピクチャの記録領域とを示す情報をビデオテープを収容するカセットに内蔵された半導体メモリに記録するようにした。(略)
【0010】したがって、本発明のビデオデータ記録装置は、ビデオテープなどのテープ状記録媒体を収納するカセットケースに半導体メモリが内蔵されているビデオカセットにビデオデータを記録するビデオデータ記録装置であって、識別データ記憶手段と、識別データ照合手段と、入力ビデオデータ記録手段と、索引ビデオデータ抽出手段と、検索用ビデオデータ生成手段と、検索用ビデオデータ記録手段と、位置情報記録手段とを有する。」

(3)「【0013】ビデオデータ記録手段は、ビデオカメラなどで撮影されて、中断されながら適宜入力される各々が任意の長さのビデオデータ(以後、これをカット、あるいはカットのビデオデータと言う場合もある)をビデオテープに順次記録する。この時、記録媒体が前に装着されていたのと同じカセットであれば、そのカセットのビデオテープに既に記録されているビデオデータに連続させて、新たに入力されるビデオデータを順次記録する。また、別のカセットが装着された場合には、新たに入力されるビデオデータは、ビデオテープの先頭などの所定の位置より順次連続的に記録される。また、このビデオデータは、通常、たとえばDCT(離散コサイン変換)を用いた符号化方式などにより圧縮符号化されて記録される。
【0014】索引ビデオデータ抽出手段は、その各カットを後から検索する際に内容が確認できような索引ビデオデータを抽出し、記憶しておく。この索引ビデオデータは、所定の静止画像でも、動画像でもよく、また抽出する際の元のビデオデータに対する空間的あるいは時間的な圧縮条件も任意である。ただし、その索引ビデオデータの画面面積は、後述する検索用ビデオデータの構成に合わせて、元のビデオデータより十分縮小された面積であるのが好適である。」

(4)「【0054】次に、使用者はデジタルカムコーダ1によりとらえている映像及び音声データを記録しようとした場合、デジタルカムコーダ1の操作/表示部84のたとえばRECボタンを押下することによりその指示を行う。操作/表示部84に入力されたその記録開始の指示は全体制御部81に入力され、全体制御部81よりビデオデータの記録のための制御が各部に対して行われる。(略)
【0055】そして、同時に、そのビデオデータを記録すべきビデオテープ91の記録領域に記録ヘッド63から信号が印加されるように、全体制御部81からの制御信号に基づいてテープ制御部83がビデオカセットテープ90のビデオテープ91の位置が制御される。(中略)
このようにして、撮影を開始し順次入力されるビデオデータが、記録部60の記録ヘッド63によりビデオテープ91の所定の記録領域に順次記録され、その記録領域の先頭位置の情報がビデオカセットテープ90のフラッシュメモリ92に記録される。
【0056】また、この撮影が開始された時に、インデックス画像生成部70においては、入力され始めたカットの最初の映像データより、そのカットを識別するための縮小画像を抽出し、さらに他のカットの縮小画像と合わせて1つのフレーム上に配置してインデックス画像を生成する。(略)」

(5)「【0059】そして、使用者がデジタルカムコーダ1の操作/表示部84のたとえばRECボタンを再押下することにより、そのカットの記録を終了しようとした場合、その記録終了の指示は全体制御部81に入力され、全体制御部81よりビデオデータの記録のための制御が各部に対して行われる。その結果、カメラ部10からのビデオ信号の出力は終了され、そのカットの信号の記録は終了され、そのカットの信号に続いて、インデックス画像生成部70で生成されたインデックス画像がビデオテープ91に記録される。
【0060】具体的には、ビデオインデックス画像生成部70のフレームメモリ77に記録されるインデックス画像が、ブロック分割部22に入力され、圧縮部30において圧縮され、可変長符号化部40で可変長符号化され、誤り訂正符号付与部50でエラー訂正符号が付与されて、記録部60を介してビデオテープ91に記録される。この時、このインデックス画像は、それまでのカットの信号に連続したビデオテープ91の記録領域に記録される。なお、このインデックス画像は、それまでビデオカセットテープ90に順次記録された各カットの縮小画像が全て配列された画像である。」

上記摘示事項及び図面の記載を参酌すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認める。

「順次入力されるビデオデータが、記録部60の記録ヘッド63によりビデオテープ91(テープ状記録媒体)の所定の記録領域に順次記録され、インデックス画像生成部70において、入力され始めたカットの最初の映像データより、そのカットを識別するための縮小画像を抽出し、他のカットの縮小画像と合わせてインデックス画像を生成し、インデックス画像生成部70で生成されたインデックス画像は、カットの信号に連続したビデオテープ91の記録領域に記録されるビデオデータ記録装置。」

同じく、原査定の拒絶の理由で引用された特開昭63-239663号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に以下の記載がある。

(6)「第1図は、本発明の実施例におけるデータファイル装置の光ディスク上の記録領域を示す図である。第1図において、1は画像、音声、文字等のデータが記録されるデータ記録領域、2はデータ記録領域1に記録されたデータファイルを管理する目次が記録される目次記録領域、3は光ディスクの回転の中心となる中心穴である。第1図に示されるように本実施例のデータファイル装置における光ディスクは、データ記録領域1と目次記録領域2に分割される。」(第3頁右下欄第16行?第4頁左上欄第5行)

(7)「以上のように本実施例によれば、光ディスク上の目次記録領域の画像データファイル管理情報の中に画像データファイルの縮小画像データ535を記録することにより、画像データファイルの検索時にCRTディスプレイ26に表示された複数の縮小画像から判断してデータファイルを選択することが可能となり、オペレータは単なるキーワードのみの表示の場合よりもより多くの情報を画像データファイルの検索時に得ることができる。」(第7頁右上欄第12?20行)

3.対比
そこで、本願補正発明と引用例1に記載された発明とを対比する。
(1)引用例1に記載された発明が対象とする「ビデオデータ記録装置」は、記録したビデオデータの確認や検索を行えるような装置に関するものであり、本願補正発明が対象とする「記録装置」に相当する。
(2)引用例1に記載された発明における「ビデオテープ91(テープ状記録媒体)」は、本願補正発明の「記録媒体」に相当する。
(3)引用例1に記載された発明における「ビデオデータ(カットのビデオデータ)」が、「時系列のコンテンツデータ」であることは明らかである。
(4)引用例1に記載された発明における「インデックス画像」は、カットの最初の映像データより、そのカットを識別するための縮小画像を抽出したものであるから、本願補正発明の「インデックス情報」に相当する。
(5)引用例1に記載された発明における「インデックス画像生成部70」は、本願補正発明の「インデックス情報生成手段」に相当する。
(6)引用例1に記載された発明において、他のカットの縮小画像と合わせたインデックス画像が、カットの信号に連続したビデオテープ91の記録領域に記録されるから、引用例1に記載された発明は、本願補正発明の「インデックス情報生成手段によって生成されたインデックス情報を、コンテンツデータとは記録媒体上の異なる領域であり、記録媒体上でユーザ記録可能領域にまとめて記録する」に相当する構成を備えているといえる。
そうすると、本願補正発明と引用例1に記載された発明とは、次の点で一致する。

[一致点]
「記録媒体に時系列のコンテンツデータを記録する手段と、前記時系列のコンテンツデータに対して該コンテンツデータの中の一部を有するインデックス情報を生成するインデックス情報生成手段と、該インデックス情報生成手段によって生成されたインデックス情報を、前記コンテンツデータとは前記記録媒体上の異なる領域にまとめて記録する手段とを備えたことを特徴とする記録装置。」

そして、次の各点で相違する。
[相違点]
(a)「記録媒体」について、本願補正発明は、「ディスク型記録媒体」であるのに対し、引用例1に記載された発明は、ビデオテープ91(テープ状記録媒体)である点(以下、「相違点a」という。)。
(b)インデックス情報を記録する「領域」について、本願補正発明は、「ユーザ記録可能領域の最前部又は最後部の少なくとも一方」の領域であるのに対し、引用例1に記載された発明は、カットの信号に連続したビデオテープ91の(記録)領域である点(以下、「相違点b」という。)。

4.判断
そこで、上記各相違点について検討する。

(相違点aについて)
記録媒体としてディスク型記録媒体は、当業者において、周知なものであり、映像信号(時系列のコンテンツデータ)を記録する記録媒体として光ディスク(ディスク型記録媒体)を用いることは、原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-37368号公報中、【従来の技術】の欄等に記載されているように当業者において周知事項である。
したがって、引用例1に記載された発明において、記録媒体として、ディスク型記録媒体を採用するような構成とすることは当業者が適宜なし得ることである。

(相違点bについて)
引用例2には、光ディスクをデータ記録領域と目次記録領域とに分割し、上記目次記録領域の画像データファイル管理情報の中に画像データファイルの縮小画像データ535を記録することにより、画像データファイルの検索時に複数の縮小画像から判断してデータファイルを選択することが可能となり、より多くの情報を画像データファイルの検索時に得ることができることが記載されている。即ち、引用例2には、第1図(光ディスク上の記録領域を示すフォーマット図)も参酌すると、データ記録領域に記録されているデータファイルを検索するためのインデックス情報(縮小画像データ535)を光ディスク上でデータ記録領域と異なる領域であり、記録可能領域の最前部又は最後部の少なくとも一方の領域に記録する技術が記載されているものと認められる。

そうすると、ビデオデータ(時系列のコンテンツデータ)を記録する記録媒体としてディスク型記録媒体を採用した際に、ビデオデータの確認や検索を目的として、引用例2に記載された上記技術を引用例1に記載された発明に適用して、インデックス画像(インデックス情報)を記録する領域を、ディスク型記録媒体上でユーザ記録可能領域の最前部又最後部の少なくとも一方の領域とすることは、当業者が容易に想到できたものである。

そして、上記各相違点を総合的に判断しても、本願補正発明が奏する効果は引用例1及び2から、当業者が十分に予測できたものであって、格別なものとはいえない。

なお、審判請求人は、その請求の理由の中で、本願の請求項1,4,7に係る発明のインデックスデータ情報は、本願明細書の段落「0040」に記載されているように、管理情報によって管理される情報であり、引用文献2,3に開示されている技術における、いわゆるファイルシステムにおける管理情報とは全く異なる情報である。言い換えれば、本願の請求項1,4,7に係る発明は、引用文献2,3で示されるファイルシステム上で実現するアプリケーションに係る技術であり、引用文献2,3に示されている技術とは全く異なる技術である旨主張しているが、本願の請求項1,4,7には、インデックス情報がファイルシステムの管理情報によって管理されることを特定する構成が記載されておらず、上記審判請求人の主張は本願請求項1,4,7に係る発明の構成に基づいたものとは認められず、採用することができない。

したがって、本願補正発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(5)本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成17年6月7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至9に係る発明は平成16年7月23日付け手続補正書の請求項1乃至9に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そのうち、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1.」に本願補正前の請求項1として記載したとおりである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、上記「第2[理由]2.」に示したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から「記録媒体」に関し、「ディスク型」との構成を省略したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2」に記載したとおり、引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-06-22 
結審通知日 2007-06-26 
審決日 2007-07-10 
出願番号 特願2003-327157(P2003-327157)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
P 1 8・ 575- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田付 徳雄溝本 安展  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 樫本 剛
小松 正
発明の名称 記録装置と記録方法とプログラム  
代理人 大澤 敬  

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