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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1163216 |
審判番号 | 不服2005-20700 |
総通号数 | 94 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-10-27 |
確定日 | 2007-08-24 |
事件の表示 | 平成8年特許願第333581号「樹脂パッケージ型半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年6月26日出願公開、特開平10-173104〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.手続の経緯 本願は、平成8年12月13日の出願であって、平成17年9月14日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月28日付で手続補正がなされたものである。そして、当審において平成18年12月4日付で審尋がなされ、これに対して、平成19年2月7日に回答書が提出されたものである。 II.平成17年11月28日付手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成17年11月28日付手続補正を却下する。 [理 由] 1.補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は次のとおり補正された。 「【請求項1】 半導体チップと、この半導体チップが搭載されるダイパッドと、上記半導体チップから発生する熱を外部に放出するための放熱板と、上記半導体チップと電気的に導通させられている複数本の内部リードと、上記半導体チップ、上記ダイパッド、上記放熱板、および上記複数の内部リードを包み込む樹脂パッケージと、上記各内部リードに連続して上記樹脂パッケージの外部に延出する外部リードと、を備えた樹脂パッケージ型半導体装置であって、 上記放熱板は、平面視において、上記ダイパッドよりも大の面積を有し、なめらかな円弧状の周縁部を有する円形状をしているとともに、その周縁部が上記各内部リードの下方に隙間を介してオーバーラップするようにして上記ダイパッドの下面に接合されており、かつ、上記内部リードのワイヤボンディング位置を避けるように全面にわたってほぼ均等に放射状に配置された複数の貫通孔を有していることを特徴とする、樹脂パッケージ型半導体装置。」 上記補正は、補正前の平成16年7月12日付手続補正書の請求項1において、放熱板の形状に関し、「大の面積を有する円形状」を「大の面積を有し、なめらかな円弧状の周縁部を有する円形状」とするとともに、「放射状に延びる複数の貫通孔」を「全面にわたってほぼ均等に放射状に配置された複数の貫通孔」と補正したものである。 この補正により、補正前の「円形状」の形状をさらに具体的に限定するとともに、補正前の「複数の貫通孔」の配置をさらに具体的に限定したものであって、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。 そして、上記補正については、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した「円形状」、及び「貫通孔」に関する事項(特に、段落【0011】?段落【0013】、及び図3の記載。)の範囲内である。 次に、補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明1」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否か(同法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものであるのか否か)について検討する。 2.引用刊行物とその摘記事項 原査定の拒絶の理由に引用した本願の出願前に頒布された特開平8-148517号公報(以下、「刊行物1」という。)、特開平5-41464号公報(以下、「刊行物2」という。)、及び特開平4-233257号公報(以下、「刊行物3」という。)には次の事項が記載されている。 (1)刊行物1(特開平8-148517号公報) (1a)「【請求項1】樹脂成型されたパッケージ本体内に、半導体素子から発生する熱を逃がすための放熱板を埋め込んだ半導体装置において、前記放熱板にパッケージ本体の成型時に成型用樹脂の流通を許容する小孔および/または切り欠きを形成したことを特徴とする半導体装置。 【請求項2】・・・ 【請求項3】請求項1または2に記載の装置において、前記小孔および/または切り欠きは、少なくともパッケージ本体の成型時の樹脂注入口側とは反対側の位置に形成されている半導体装置。」 (1b)「【0012】【作用】請求項1に記載の発明の作用は次のとおりである。パッケージ本体の成型時に、成型用金型のキャビティ内に注入された成型用樹脂は、主として放熱板で上下に分割されたキャビティの上空間と下空間をそれぞれ進む。このとき、上下空間に広狭があると、狭い方の空間では成型用樹脂の充填速度が遅くなるが、放熱板に形成された小孔および/または切り欠きを介して、広い方の空間を流通する成型用樹脂が狭い方の空間へ流れ込むので、キャビティの上下空間がほぼ均等に充填される。」 (1c)「【0016】本実施例において、半導体素子1はリードフレーム3に形成されたダイパッド3b上にダイボンディングされている。このダイパッド3bの下面に放熱用金属板2が接着剤等で直接的に結合されている。この例において、放熱用金属板2はほぼ矩形状であり、・・・熱伝導性に優れた材料で形成されている。なお、・・・半導体素子1が金属細線5を介してリードフレーム3の各リード端子3aに接続されている点は上述した従来装置と同様である。」 (1d)「【0017】・・・・因みに、ゲート7に近い側に小孔を形成すれば、この小孔を介してキャビティ内の上空間の樹脂が下空間へ流通するが、ゲート7と離れた下空間部分で再び樹脂の流れが悪くなるので、未充填防止の効果は十分とは言いがたい。」 (1e)「【0021】なお、上述した実施例では、放熱用金属板2に一つの小孔2aを形成したが、本発明はこれに限定されず、図3に示すように、放熱用金属板2に複数個の小孔2aを形成してもよい。いずれにしても、小孔2aはゲート7とは反対側の領域に形成されるのが好ましいが、各小孔2aのサイズや位置は、パッケージ本体6の形態に応じて適宜に決定される。」 (1f)図1?図3には、放熱板2上には、隙間をおいてリードフレーム3が設けられ、放熱板2は、内部リードの下方に隙間を介してオーバーラップしてダイパッド3bの下面に接合していること、放熱板2の小孔上には、リードフレーム3の端部は配置されていないこと(特に、図1(b)、図3)、及び放熱板2は、ダイパッド3bよりも面積が大であること、が示されている。 (2)刊行物2(特開平5-41464号公報) (2a)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、樹脂封止型半導体装置に係り、特に放熱用の熱伝導部材と封止樹脂との接着部の構造に関する。」 (2b)「【0012】【作用】・・・本発明によれば、封止樹脂により被覆された部分の熱伝導部材の断面形状を、角部の無い円形又は楕円形にすると、あるいは角部の内角が180度未満でかつ鈍角又は緩やかな曲率に面とりされた多角形とすることにより、角部の接着面に作用する剪断応力を小さくできるとともに、熱伝導性部材の側面に作用する樹脂の締め付け力を均一にさせることができるので、熱伝導性部材と樹脂との接着界面の剥離を防止することができる。その結果、その接着界面から水分が内部に侵入して半導体素子の機能を損なうという問題を解決できる。」 (2c)「【0013】【実施例】以下、本発明の実施例を図面によって説明する。図1は、本発明の一実施例の樹脂封止型半導体装置の部分断面斜視図である。半導体基板1は、半導体素子が形成された回路面を下向きにして、円板状の熱伝導性部材2の下面に接着材3などを用いて固定されている。・・・・ 【0014】ここで、本実施例による熱伝導部材2と樹脂7との接着界面における応力分布について、断面角形の熱伝導部材を用いた従来例と比較して説明する。図2に、平面形状が正方形の樹脂封止型半導体装置に、本実施例の円板状の熱伝導部材2を用いた場合の熱伝導部材2の外周側面における応力分布、すなわち熱伝導部材2と樹脂7との接着界面における応力分布を解析した結果を示す。・・・なお、それらの図は、熱伝導部材等の平面形状の対称性に鑑み、平面形状の1/4の部分のみを図示し、熱伝導部材2の外周面に沿った接線方向せん断応力τtと、外周面の法線方向の圧縮応力σnの分布を示している。・・・」と記載され、図1、4には、円板状の熱伝導部材2、図2には、熱伝導部材2の1/4の部分が四分の一円として示されている。 (3)刊行物3(特開平4-233257号公報) (3a)「【0009】特に大きな伝熱板を必要とする大型の部品の場合は、半導体の周囲に伝熱板の貫通孔を配設すれば、プラスチック被覆の射出成形性のために有利である。この貫通孔は細長く形成され、半径方向に伸張することが好ましい。」 (3b)「【0010】【実施例】次に図面に示す実施例に基づいて本発明を詳述する。 【0011】図1及び2に示す大規模集積電子部品はほぼ正方形の基本形を有し、接続面はボンディング線2で接続端子3と結合された半導体1から成る。接続端子3は部品の中でまず水平部分4がプラスチック被覆5の側縁まで伸張し、プラスチック被覆5の外に折り曲げられた端部6を有している。半導体1の下面は伝熱板7の上に面接触し、伝熱板7はおおむね平坦に形成されており、従って接続端子3の水平部分4も支える。伝熱板は打出した4個の支脚8を具備し、支脚8はプラスチック被覆5の下面まで伸張する。 【0012】図2は、部品の外形におおむね相当する伝熱板7の輪郭を示す。しかし伝熱板は隅角区域に対角線方向の切欠き9を具備する。切欠き9の側部は、各々2個のブリッジ10により画定される。ブリッジ10は事実上プラスチック被覆5の側辺まで伸張する。図2は、4個の支脚8が設けられ、それぞれ伝熱板7の端縁の近傍で、対角線方向の切欠き9の間の中央に配列されていることを示す。プラスチック被覆5を射出成形するときにプラスチックの大きな通過断面を保証するために、切欠き9は半導体1の近傍まで伸張する。この目的のために、更に対角線方向の切欠き9の間に各々2個の貫通孔11が設けてあり、この貫通孔11は細長く形成されて半径方向に整列されている。このように構成された8個の貫通孔11は半導体1の周囲にほぼ均等に分布する。・・・・・」 3.当審の判断 (1)刊行物1に記載の発明 上記刊行物1には、摘記(1a)【請求項1】によれば、樹脂成型されたパッケージ本体内に、半導体素子から発生する熱を逃がすための放熱板を埋め込んだ半導体装置において、前記放熱板にパッケージ本体の成型時に成型用樹脂の流通を許容する小孔を形成した半導体装置が記載されている。 又上記刊行物1には、「放熱板に形成された小孔・・・を介して、広い方の空間を流通する成型用樹脂が狭い方の空間へ流れ込むので、キャビティの上下空間がほぼ均等に充填される」(摘記(1b))と記載されているものの、「ゲート・・・に近い側に小孔を形成すれば、この小孔を介してキャビティ内の上空間の樹脂が下空間へ流通するが、ゲート・・・と離れた下空間部分で再び樹脂の流れが悪くなるので、未充填防止の効果は十分とは言いがたい」(摘記(1d))ことからみて、「小孔・・・は、少なくともパッケージ本体の成型時の樹脂注入口側とは反対側の位置に形成され」(摘記(1a)【請求項3】)ることが必要であるとしている。 しかしながら、上記摘記(1a)【請求項3】が意味するところは、複数の小孔を形成する場合には、複数の小孔のうち、「少なくとも」一つは、パッケージ本体の成型時の樹脂注入口側とは反対側の位置に形成される必要があるということであって、その他の小孔については、必ずしも、パッケージ本体の成型時の樹脂注入口側とは反対側の位置に形成される必要はないものと解される。 このことは、「小孔・・・はゲート・・・とは反対側の領域に形成されるのが好ましいが、各小孔・・・のサイズや位置は、パッケージ本体・・・の形態に応じて適宜に決定される」(摘記(1e))との記載、及び刊行物1の請求項1では、小孔の位置を特定していないことからも裏付けられている。 さらに、刊行物1の摘記(1f)によれば、図1?図3の記載からみて、放熱板上には、隙間をおいてリードフレームが設けられているものの、放熱板の小孔上には、リードフレームの端部は配置されていないから、リードフレームのワイヤボンディング位置には、放熱板の小孔は設けられていないものと認められる。 ここで、刊行物1に記載のリードフレームは、パッケージ本体の内側にある内部リードと、その外側にある外部リードとを備えていることは当然であり、また、摘記(1f)によれば、放熱板は、ダイパッドよりも面積が大であって、内部リードの下方に隙間を介してオーバーラップしてダイパッドの下面に接合しているものである。 そうすると、刊行物1の摘記(1a)?(1f)を総合すると、刊行物1には、「半導体素子と、この半導体素子が搭載されるダイパッドと、半導体素子から発生する熱を外部に放出するための放熱板と、半導体素子と電気的に導通している複数本の内部リードと、半導体素子、ダイパッド、放熱板、および複数の内部リードを封止する樹脂成型されたパッケージ本体と、各内部リードに連続してパッケージ本体の外部に延出する外部リードと、を備えた半導体装置であって、放熱板は、ダイパッドよりも大の面積を有し、その周縁部が各内部リードの下方に隙間を介してオーバーラップするようにしてダイパッドの下面に接合しており、かつリードフレームのワイヤボンディング位置には複数の小孔が設けられていない、半導体装置。」(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていることになる。 (2)対比・判断 本願補正発明1と刊行物1発明とを対比する。 刊行物1発明の「半導体素子」、「小孔」は、本願補正発明1の「半導体チップ」、「貫通孔」に相当している。 また、刊行物1発明の「リードフレームのワイヤボンディング位置には複数の小孔が設けられていない」ことは、内部リードのワイヤボンディング位置を避けるように複数の貫通孔が配置されたものであり、本願補正発明1での「内部リードのワイヤボンディング位置を避けるように配置された複数の貫通孔を有している」ことになる。 更に、刊行物1発明の放熱板が、「ダイパッドよりも大の面積を有し」ていることは、平面視において、ダイパッドよりも大の面積を有していることも明らかである。 そうすると、両者は、「半導体チップと、この半導体チップが搭載されるダイパッドと、上記半導体チップから発生する熱を外部に放出するための放熱板と、上記半導体チップと電気的に導通させられている複数本の内部リードと、上記半導体チップ、上記ダイパッド、上記放熱板、および上記複数の内部リードを包み込む樹脂パッケージと、上記各内部リードに連続して上記樹脂パッケージの外部に延出する外部リードと、を備えた樹脂パッケージ型半導体装置であって、上記放熱板は、平面視において、上記ダイパッドよりも大の面積を有し、その周縁部が上記各内部リードの下方に隙間を介してオーバーラップするようにして上記ダイパッドの下面に接合されており、かつ、上記内部リードのワイヤボンディング位置を避けるように配置された複数の貫通孔を有している樹脂パッケージ型半導体装置。」の点で一致し、次の点で相違する。 相違点1:本願補正発明1の放熱板は、なめらかな円弧状の周縁部を有する円形状を有しているのに対し、刊行物1記載発明の放熱板は、そのようなものではない点。 相違点2:本願補正発明1の複数の貫通孔は、全面にわたってほぼ均等に放射状に配置されているのに対し、刊行物1記載発明の複数の小孔は、そのようなものではない点。 そこで、上記相違点1、2について次に検討する。 相違点1について 上記刊行物2には、樹脂封止型半導体装置における放熱用の熱伝導部材として、その断面形状を角部のない円形とすることにより、角部の接着面に作用する剪断応力を小さくできるとともに、樹脂の締め付け力を均一にさせることができ、熱伝導性部材と樹脂との接着界面の剥離を防止することができること(摘記(2b))が記載され、ここで、「角部のない円形」とは、摘記(2c)の記載も参酌すれば、「なめらかな円弧状の周縁部を有する円形状」と同意であるといえる。 そうすると、刊行物1記載発明においても、放熱板を含め樹脂封止するものである以上、剪断応力を小さくするとともに、樹脂の締め付け力を均一にさせ、放熱板と樹脂との接着界面の剥離を防止することが求められていることは当然のことであるから、刊行物1記載発明の放熱板の形状をなめらかな円弧状の周縁部を有する円形状にすることは、当業者ならば容易に想到し得るものである。そして、刊行物1には、放熱板の形状をなめらかな円弧状の周縁部を有する円形状とすることを阻害するような記載は何も見当たらない。 相違点2について 上記刊行物3には、摘記(3a)によれば、半導体の周囲に伝熱板の貫通孔を配設すれば、プラスチック被覆の射出成形性のために有利であって、この貫通孔は細長く形成され、半径方向に伸張することが好ましいことが記載され、摘記(3b)によれば、実施例に、伝熱板の対角線方向の間に各々2個の貫通孔を設け、全体で8個になる貫通孔は細長く形成して半径方向に整列され、半導体の周囲にほぼ均等に分布したものが記載されている。 そうすると、刊行物1記載発明の放熱板の複数の小孔についても、小孔を介して成型用樹脂が上下空間がほぼ均等に充填される作用(摘記(1b))を備え、そしてほぼ均等に充填すること目的としているから、さらなる均等充填のため当該放熱板の複数の小孔を、半径方向に整列され、半導体の周囲にほぼ均等に分布したものとして上記相違点2なる構成とすることは、当業者ならば容易に想到し得るものである。 そして、本願補正発明1の奏する効果も、刊行物1?刊行物3の記載から予測される程度のものであって格別顕著なものとも認められない。 したがって、本願補正発明1は、刊行物1?刊行物3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 III.本願発明について 1.本願発明 平成17年11月28日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1、2は、平成16年7月12日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】半導体チップと、この半導体チップが搭載されるダイパッドと、上記半導体チップから発生する熱を外部に放出するための放熱板と、上記半導体チップと電気的に導通させられている複数本の内部リードと、上記半導体チップ、上記ダイパッド、上記放熱板、および上記複数の内部リードを包み込む樹脂パッケージと、上記各内部リードに連続して上記樹脂パッケージの外部に延出する外部リードと、を備えた樹脂パッケージ型半導体装置であって、 上記放熱板は、平面視において、上記ダイパッドよりも大の面積を有する円形状をしているとともに、その周縁部が上記各内部リードの下方に隙間を介してオーバーラップするようにして上記ダイパッドの下面に接合されており、かつ、上記内部リードのワイヤボンディング位置を避けるように放射状に延びる複数の貫通孔を有していることを特徴とする、樹脂パッケージ型半導体装置。」 2.引用刊行物とその摘記事項 原査定の拒絶の理由に引用した本願の出願前に頒布された刊行物1?刊行物3、及びその摘記事項は、上記「II.2.引用刊行物とその摘記事項」に記載されたとおりである。 3.対比・判断 本願発明1は、上記本願補正発明1の発明特定事項の一部である放熱板について、「なめらかな円弧状の周縁部を有する」という具体的な限定事項を削除するとともに、本願補正発明1の発明特定事項の他の一部である複数の貫通孔について、「全面にわたってほぼ均等に放射状に配置された」という具体的な限定事項を、「放射状に延びる」としたものである。 そうすると、本願発明1の構成を全て含み、さらに他の構成を付加したものに相当する本願補正発明1が、前記「II.3.(2)対比・判断」に記載したとおり、刊行物1?刊行物3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1についても、同様の理由により、刊行物1?刊行物3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1?刊行物3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-06-11 |
結審通知日 | 2007-06-19 |
審決日 | 2007-07-04 |
出願番号 | 特願平8-333581 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田代 吉成、和瀬田 芳正 |
特許庁審判長 |
城所 宏 |
特許庁審判官 |
正山 旭 小川 武 |
発明の名称 | 樹脂パッケージ型半導体装置 |
代理人 | 吉田 稔 |
代理人 | 田中 達也 |
代理人 | 古澤 寛 |