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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B24B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B24B
管理番号 1163583
審判番号 不服2005-22354  
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-11-21 
確定日 2007-08-29 
事件の表示 平成 7年特許願第 62741号「管束を保持する板を通って延びる開口部の縁部をばり取りし且つ面取りするための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年10月24日出願公開、特開平 7-276203〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成7年3月22日(パリ条約による優先権主張1994年3月22日、仏国)の出願であって、同16年6月25日付けで拒絶の理由が通知され、同17年1月4日に意見書とともに手続補正書が提出されたが、同17年8月12日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、同17年11月21日に拒絶査定に対する審判の請求がなされるとともに、同17年12月21日に明細書を補正対象書類とする手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容の概要
本件補正は特許請求の範囲を含む明細書について補正をするものであって、特許請求の範囲の請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。

1-1 補正前の請求項1
「 【請求項1】 規則的な網状構造により配列された管の束を保持するための板を通って延びる開口部の縁部をばり取りし、且つ面取りする方法であって、上記板が2つの面を備え、上記開口部の各々が管束の管のための少なくとも3つの支持面を備え、板の開口部すべての支持面が板の面と直角であり且つ開口部の軸線と平行である平面に収められており、上記平面の各々において、網状構造の直線列の開口部の1群の支持面が直線方向に整合して配置されており、板と平行な軸線を中心に回転可能な少なくとも1つのブラシを移動させて板の上記2つの面の少なくとも1つの面を横切って掃引することを含む、開口部の縁部をばり取りし、且つ面取りする方法において、次々の直線列における開口部の縁部のばり取りおよび面取りを行い、直線列の各々について、ブラシを、その回転軸線が一列の支持面を含む平面と平行で、且つ板の面とも平行な状態で一列の支持面の平面と平行な直線経路で移動させることを特徴とする方法。」

1-2 補正後の請求項1
「 【請求項1】 規則的な網状構造により配列された管の束を保持するための板を通って延びる開口部の縁部をばり取りし、且つ面取りする方法であって、上記板が2つの平らな面を備え、上記開口部の各々が管束の管のための少なくとも3つの支持面を備え、板の開口部すべての支持面が板の平らな面と直角であり且つ開口部の軸線と平行である平面に収められており、上記平面の各々において、網状構造の直線列の開口部の1群の支持面が直線方向に整合して配置されており、板と平行な軸線を中心に回転可能な少なくとも1つのブラシを移動させて板の上記2つの平らな面の少なくとも1つの平らな面を横切って掃引することを含む、開口部の縁部をばり取りし、且つ面取りする方法において、次々の直線列における開口部の縁部のばり取りおよび面取りを行い、直線列の各々について、ブラシを、制御された条件の下で、その回転軸線が一列の支持面を含む平面と平行で、且つ板の平らな面とも平行な状態で一列の支持面の平面と平行な直線経路で移動させることを特徴とする方法。」

2 補正の適否
上記請求項1についての補正は、板が備えた2つの面について「平らな」と限定し、また、ブラシを移動させることについて「制御された条件の下で」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2-1 本願補正発明
本願補正発明は、本件補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、前記1-2に示す特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの「規則的な網状構造により配列された管の束を保持するための板を通って延びる開口部の縁部をばり取りし、且つ面取りする方法」であると認められる。

2-2 引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用され、本件優先権主張日前に日本国内で頒布された刊行物である特開昭48-32235号公報(以下、「刊行物1」という。)及び特開平4-101758号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されている。

(1)刊行物1
ア 第1頁左下欄第3?18行
「2.特許請求の範囲
(1) 管を受けるための複数の開孔を有するほぼ扁平な板、前記各開孔に形成されて該開孔の中心へ向けて内方に突出する少くとも3個の部材であつて該各部材の内端がそこに受けるべき各管の外径よりもわずかに大きい直径の円を画成する弧に終端しているものより成り、更に前記部材は前記各々の開孔毎の管が所定位置に設定されたときに流動領域を与えるために隣接部材の対の間に湾状部を形成している熱交換支持構造体。
(2) 支持板に支持すべき熱交換管の直径よりもわずかに大きい1つの孔を穿設し、前記孔の周部に少くとも3個の湾状部を必要な流動面積と支持板の構造強度とで定まる深さで形成することより成る熱交換管支持板の製造法。」
イ 第1頁右下欄第2?4行
「本発明は熱交換器に関し、更に詳しくは対置された管状シート面の間の昇水室内に熱交換管を支持する板及びその製造方法に関する。」
ウ 第2頁右下欄第4?8行
「熱交換管の支持板の他の型式はクローバリーフ型のものが示唆されている。クローバリーフ型板は複数の内方へ突出するフインガーを持つ穿孔を設け、該フインガーが関連した間の表面に接触するようになつている。」
エ 第3頁右上欄第4?10行
「直径約12ft(3.7m)の板に15000個の非円形開孔を精密に形成する問題は、先ず管の外径よりもやや大きい直径の適当な数の孔を穿設し、好ましくはこれらの孔の縁を面取りし、次に少くとも3個の湾状部を各面取りした孔からブローチ加工によつて削り取ることにより解決される。」
オ 第4頁右下欄第6行?第5頁左上欄第15行
「今考察している一般的な寸法の熱交換器では管束27中の15000本以上の管は上下の管用板14、23の間の距離である52ft(15.8m)に差渡されている。これらの管を適正な位置に支持するには、一連の実質的に平らな支持板44が管束27の管の軸線及び胴11の軸線を横断するように位置づけられている。第2図に示したように、本発明の特徴に従つて一方の支持板44の一部に開孔46、47、48、49が穿設されている。これらの開孔の各々は対応した熱交換管50、51、52、53を受ける。
・・・
管50の軸線が直線から離れていなければ、また管の軸線が部材54,55,56の弧状端により画成される円の軸線と一致すれば、管の表面とこれに対向する部材の表面と一致すれば、管の表面とこれに対向する部材の表面との間の空隙は100分の1in(0.25mm)程度が本発明の目的に適合することが分つた。」
カ FIG.2
支持板44には、4つのクローバリーフ型(三葉状)の開孔46、47、48、49が穿設され、各開孔46、47、48、49は、3つの内方へ突出する部材54、55、56と、その軸線のまわりに120°の間隔を隔てられた、前記3つの内方へ突出する部材54、55、56間の3つの湾状部とを備えていて、各開孔46、47、48、49の内方へ突出する部材54、54、55や湾状部の外側に、その他の開孔の一部の湾状部や内方へ突出する部材が示されていて、支持板44が網状構造となっていることが看取される。

上記記載において、支持板44が2つの平らな面を備え、支持板44の開孔すべての内方へ突出する部材54、55、56の弧状端の表面が支持板44の平らな面と直角であり且つ開孔の軸線と平行であることは明らかであり、また、開孔が規則的に配設されていることは技術常識であるから、平面の各々において、網状構造の直線列の開孔46、47、48、49の1群の内方へ突出する部材54、55、56の弧状端の表面が直線方向に整合して配置されることは自明の事項である。

これらの記載事項及び認定事項から、本願補正発明に照らして整理すると、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「規則的な網状構造により配列された熱交換管50、51、52、53の管束27を保持するための支持板44を通って延びる開孔46、47、48、49の縁を形成することより成る熱交換管50、51、52、53支持板44の製造法であって、上記支持板44が2つの平らな面を備え、上記開孔46、47、48、49の各々が管束27の熱交換管50、51、52、53のための少なくとも3つの内方へ突出する部材54、55、56の弧状端の表面を備え、支持板44の開孔すべての内方へ突出する部材54、55、56の弧状端の表面が支持板44の平らな面と直角であり且つ開孔の軸線と平行である平面に収められており、上記平面の各々において、網状構造の直線列の開孔46、47、48、49)の1群の支持面内方へ突出する部材54,55,56の弧状端の表面が直線方向に整合して配置されており、支持板44に適当数の孔を穿設し、好ましくはこれらの孔の縁を面取りし、次に少くとも3つの湾状部を削り取ることにより上記少くとも3つの内方へ突出する部材54、55、56の弧状端の表面を備えた開孔46、47、48、49の縁を形成することより成る熱交換管支持板の製造法。」

(2)刊行物2
ア 第1頁左下欄第17?20行
「(産業上の利用分野)
この発明は、ぼり取り方法に関するものである。
そして、特にワークに形成されたスリットのばりを除去するための方法に関するものである。」
イ 第1頁右下欄第9行?第2頁左上欄第3行
「第5図は従来のばり取り方法を模式的に示したものである。この図に示されるワークWのスリット50は、図示手前側から真っ直ぐ奥側に向けて形成されているものとする。このワークWに対し、回転工具51(ナイロンブラシ)はスリット50の垂直方向に関する中心軸(Z軸)上に配置されている。そして、回転工具51はこの軸上の一点を通過しかつスリット50と平行に配置された自転軸X回りに回転させてばり取りを行っている。
しかし、ばりはスリット50の両開口縁に生じることが多いため、回転工具51を一方向のみに回転させていたのでは、こうした方向性の異なるばりには対応しきれない。そこで、従来より回転工具51の自転方向を正逆切り替えて、いずれのばりをも有効に除去できるようにしていた。」
ウ 第2頁左上欄第4?9行
「(発明が解決しようとする課題)
このようにして、スリット50に生じたばり特有の課題は一応解決できていたが、スリット50の開口幅が狭いワークが対象となると、上記した従来方法ではばりを充分に取り切れないことが判明した。」
エ 第2頁左下欄第15?19行
「特にスリットのストロークが長いワークの場合には、回転工具をワークに対してスリットの長手方向に沿って相対的にスライドさせることによって、スリットの全域に亘ってばり取りを可能にする。」
オ 第2頁右下欄第18行?第3頁左上欄第6行
「第1図において回転工具が反時計回りに自転している状態では、スリット2の右側の開口縁において回転工具1は下から上へ擦り上げ、逆に左側では上から下へ擦っているが、図の状態から回転工具1が180°旋回すると、上記した運動方向は逆転する。したがって、この場合には一方向へ旋回するようにしておけば、回転工具1の自転方向を正逆変換しなくとも均一なばり取りを行うことができる。」
カ 第4頁左下欄第8?16行
「加圧用モータ20の駆動によりねじ軸19が緩速回転すると、筒体21の変位に伴ってホルダープレート22が僅かに下降するため、回転工具1はワークWに対して所定の加圧力をもってばり取り動作を行う。この加圧力はねじ軸19の回転量、つまり加圧用モータ20の回転量によって定まるが、回転工具1のブラシ3の磨耗程度あるいはばりの程度等、具体的事情に応じてその都度容易に制御される。」
キ 第4頁右下欄第8?16行
「スリット2の長さがある程度に長く、定位置での回転工具1の動作だけでは、全範囲に亘ってばりが取り切れない場合には、図示しないエアーシリンダを伸長させて機台10をベース8上のレール9に沿ってスライドさせる。こうすることで、回転工具1がスリット2の長手方向に沿って水平変位し、スリット2の終端部に至ればスリット2の全範囲に亘るばり取りが完了する。」
ク 第5図
スリット50が板状のワークWを通って延びていることが看取される。

以上の記載事項から、刊行物2には、次の事項(以下、「刊行物2記載の事項」という。)が記載されていると認められる。
「ワークWを通って延びるスリット50の開口縁をばり取りする方法において、ナイロンブラシを、所定の加圧力の下で、その自転軸Xがスリット50の長手方向と平行で、且つ板の平らな面とも平行な状態で回転させてスリット50の開口縁をばり取りし、スリット50のストロークが長い場合、スリット50の長手方向に沿って移動させること。」

2-3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「支持板44」は本願補正発明における「板」に、以下同様に、「開孔46、47、48、49」は「開口部」に、「縁」は「縁部」に、「管束27」は「管束」に、「熱交換管50、51、52、53」は「管」に、「内方へ突出する部材54、55、56の弧状面の表面」は「支持面」に、それぞれ、相当する。
そして、引用発明における「熱交換管50、51、52、53の管束27を保持するための支持板44を通って延びる開孔の縁を形成することより成る熱交換管50、51、52、53支持板44の製造法。」は、「管の束を保持するための板を通って延びる開口部の縁部を面取りすることより成る管を保持するための板の製造法。」である限りにおいて、本願補正発明の「管の束を保持するための板を通って延びる開口部の縁部をばり取りし、且つ面取りする方法」と共通する。

してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

[一致点]
「規則的な網状構造により配列された管の束を保持するための板を通って延びる開口部の縁部を形成することより成る管を保持するための板の製造法であって、上記板が2つの平らな面を備え、上記開口部の各々が管束の管のための少なくとも3つの支持面を備え、板の開口部すべての支持面が板の平らな面と直角であり且つ開口部の軸線と平行である平面に収められており、上記平面の各々において、網状構造の直線列の開口部の1群の支持面が直線方向に整合して配置されており、開口部の縁部を面取りすることより成る管を保持するための板の製造法。」

[相違点]
本願補正発明では、板と平行な軸線を中心に回転可能な少なくとも1つのブラシを移動させて板の2つの平らな面の少なくとも1つの平らな面を横切って掃引することを含む、開口部の縁部をばり取りし、且つ面取りする方法であって、次々の直線列における開口部の縁部のばり取りおよび面取りを行い、直線列の各々について、ブラシを、制御された条件の下で、その回転軸線が一列の支持面を含む平面と平行で、且つ板の平らな面とも平行な状態で一列の支持面の平面と平行な直線経路で移動させているのに対して、
引用発明では、板が2つの平らな面を備え、開口部の各々が管束の管のための少なくとも3つの支持面を備え、板の開口部すべての支持面が板の平らな面と直角であり且つ開口部の軸線と平行である平面に収められており、上記平面の各々において、網状構造の直線列の開口部の1群の支持面が直線方向に整合して配置されているものの、上記開口部の縁部を、ブラシで面取りしているのか、更にばり取りもしているのか不明であり、また、ブラシを、制御された条件の下で、その回転軸線が一列の支持面を含む平面と平行で、且つ板の平らな面とも平行な状態で一列の支持面の平面と平行な直線経路で移動させているとはされていない点。

2-4 相違点についての判断
刊行物2には上記2-2の(2)に示したとおりの事項(以下、「刊行物2記載の事項」という。)が記載されており、刊行物2記載の事項における「ワークW」、「スリット50」、「開口縁」、「ナイロンブラシ」及び「自転軸X」は、本願補正発明に照らすと、「板」、「開口部」、「縁部」、「ブラシ」及び「回転軸」に、それぞれ、相当する。
そうすると、刊行物2には、「板を通って延びる開口部の縁部をばり取りする方法において、ブラシを、所定の加圧力の下で、その回転軸線が開口部の長手方向と平行で、且つ板の平らな面とも平行な状態で回転させて開口部の縁部をばり取りし、開口部のストロークが長い場合、開口部の長手方向に沿って移動させること。」という事項が記載されているとすることができる。

ところで、引用発明において、管の束を保持するための少くとも3つの支持面は、板に孔を穿設し、好ましくはこれらの孔の縁を面取りし、これらの孔から少くとも3つの湾状部を削り取ることにより形成することから、上記少くとも3つの支持面を備えた開口部の縁部は、面取りする又はばり取りすべき課題が内在しているということができる。しかも、引用発明における上記支持面は直線方向に整合して配置して形成されているから、引用発明と刊行物2記載の事項における開口部のストロークが長いものとは、面取り又はばり取りすべき箇所が直線方向に整合して配置されている点で共通している。
そして、本願補正発明における「制御された条件」は、その内容が必ずしも明確ではないが、当初明細書の特許請求の範囲の請求項7の「ブラシの回転速度および直線経路に沿ったブラシの移動線速度から得られるブラッシングの周速を所定値に調整すること・・・」や同請求項6の「ブラシが板に圧接する力を所定値に調整する・・・」等の記載から、上記条件を「ブラッシングの周速やブラシが板に圧接する力」として、最大限解するとしても、ブラシによるばり取りの際に、ブラッシングの周速やブラシのワークに圧接する力を制御することは、本件優先権主張日前に周知の事項であり(必要であれば、特開平5-31659号公報の段落【0056】参照。)、また、ブラシによってばり取りし、且つ面取りすることも本件優先権主張日前に周知の事項である(必要であれば、特開昭62-199350号公報の第1頁左下欄第14?19行、実願昭56-29313号(実開昭57-145655号)のマイクロフィルムの第5頁第19行?第6頁第1行参照。)。

してみると、引用発明の開口部の縁部を面取りし、且つばり取りするために刊行物2記載の上記事項及び各周知の事項を適用することにより、上記相違点に係る本願補正発明のように構成することは当業者であれば容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明によってもたらされる効果も、引用発明、刊行物2記載の事項及び各周知の事項から当業者であれば十分予測できるものであって格別なものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明、刊行物2記載の事項及び各周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年11月24日付けの手続補正書により補正がされた明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの前記第2の1-1に示したとおりのものと認められる。

2 引用刊行物
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用され、また、本件優先権主張日前に日本国内で頒布された刊行物及びその記載内容は、前記第2の2-2に示したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、前記第2の2で検討したように、本願補正発明の構成から前記限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成を全て含み、さらに他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の2-4に記載したとおり、引用発明、刊行物2記載の事項及び各周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、刊行物2記載の事項及び各周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく本件出願は拒絶するべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-27 
結審通知日 2007-04-02 
審決日 2007-04-13 
出願番号 特願平7-62741
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B24B)
P 1 8・ 121- Z (B24B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今関 雅子  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 鈴木 孝幸
中島 昭浩
発明の名称 管束を保持する板を通って延びる開口部の縁部をばり取りし且つ面取りするための方法および装置  
代理人 中村 稔  
代理人 小川 信夫  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 箱田 篤  
代理人 大塚 文昭  
代理人 西島 孝喜  

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