ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F |
---|---|
管理番号 | 1163677 |
審判番号 | 不服2004-7074 |
総通号数 | 94 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-04-08 |
確定日 | 2007-09-06 |
事件の表示 | 特願2000-388514「電子ファイル検索装置、電子ファイル検索方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 7月 5日出願公開、特開2002-189746〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続きの経緯 本願は、平成12年12月21日の出願であって、平成16年3月2日に拒絶査定がなされ、これに対して同年4月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年5月10日に手続補正がなされたものである。 第2 平成16年5月10日付けの手続補正の補正却下の決定について [補正却下の決定の結論] 平成16年5月10日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正前の本願発明 平成16年5月10日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、 次のように補正された。 「【請求項1】 電子ファイル群の中から任意のファイルを検索する電子ファイル検索装置において、 前記ファイルの名称を変更する名称変更手段と、 前記名称変更手段により名称を変更されたファイルの変更前の名称および変更後の名称を保持する変更履歴管理手段と、 指定された名称のファイルを検索する第1の検索手段と、 前記第1の検索手段により前記指定された名称のファイルが検索できなかった場合に、当該ファイルの変更後の名称を前記変更履歴管理手段から検索する第2の検索手段と、 前記第1の検索手段により前記指定された名称のファイルが検索できなかった場合に、当該ファイルを参照するファイルに記述された当該名称を前記第2の検索手段により検索された名称で置換するリンク修正手段と、 を備えたことを特徴とする電子ファイル検索装置。」 (2)補正前の特許請求の範囲 本件補正の基となる特許請求の範囲は、平成16年2月13日付け手続補正書により補正された次のとおりものである。 「 【請求項1】 電子ファイル群の中から任意のファイルを検索する電子ファイル検索装置において、 前記ファイルの名称を変更する名称変更手段と、 前記名称変更手段により名称を変更されたファイルの変更前の名称および変更後の名称を保持する変更履歴管理手段と、 指定された名称のファイルを検索する第1の検索手段と、 前記第1の検索手段により前記指定された名称のファイルが検索できなかった場合に、当該ファイルの変更後の名称を前記変更履歴管理手段から検索する第2の検索手段と、 前記第2の検索手段により検索された名称のファイルを検索する第3の検索手段と、 を備えたことを特徴とする電子ファイル検索装置。 【請求項2】 さらに、前記第2の検索手段により検索された名称を操作者に通知する通知手段を備えたことを特徴とする前記請求項1に記載の電子ファイル検索装置。 【請求項3】 さらに、前記第1の検索手段により前記指定された名称のファイルが検索できなかった場合に、当該ファイルを参照するファイルに記述された当該名称を前記第2の検索手段により検索された名称で置換するリンク修正手段を備えたことを特徴とする前記請求項1または請求項2に記載の電子ファイル検索装置。 【請求項4】 前記電子ファイル群がWWW上の電子ファイル群であり、前記ファイルの名称がURLであることを特徴とする前記請求項1?請求項3のいずれか一つに記載の電子ファイル検索装置。 【請求項5】 電子ファイル群の中から任意のファイルを検索する電子ファイル検索方法において、 前記ファイルの名称を変更する名称変更工程と、 指定された名称のファイルを検索する第1の検索工程と、 前記第1の検索工程で前記指定された名称のファイルが検索できなかった場合に、当該ファイルの変更後の名称を、前記名称変更工程で名称を変更されたファイルの変更前の名称および変更後の名称を保持する変更履歴テーブルから検索する第2の検索工程と、 前記第2の検索工程により検索された名称のファイルを検索する第3の検索工程と、 を含んだことを特徴とする電子ファイル検索方法。 【請求項6】 さらに、前記第2の検索工程で検索された名称を操作者に通知する通知工程を含んだことを特徴とする前記請求項5に記載の電子ファイル検索方法。 【請求項7】 さらに、前記第1の検索工程で前記指定された名称のファイルが検索できなかった場合に、当該ファイルを参照するファイルに記述された当該名称を前記第2の検索工程で検索された名称で置換するリンク修正工程を含んだことを特徴とする前記請求項5または請求項6に記載の電子ファイル検索方法。 【請求項8】 前記電子ファイル群がWWW上の電子ファイル群であり、前記ファイルの名称がURLであることを特徴とする前記請求項5?請求項7のいずれか一つに記載の電子ファイル検索方法。 【請求項9】 前記請求項5?請求項8のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」 (3)検討 特許法17条の2第1項第3号に規定する審判請求の日から30日以内にする補正は、その第3項に規定する願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であることに加え、第4項に規定する目的に合致する必要がある。 そして、第4項では、特許請求の範囲についてする補正は、請求項の削除(1号),特許請求の範囲の減縮(2号),誤記の訂正(3号),及び明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)(4号)を目的とするものに限定している。そこで、本件補正が、特許法第17条の2第4項に規定されたものを目的とするものか検討する。 本件補正後の請求項1に係る発明は、その発明特定事項として、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1?4に係る発明を特定するために必要な事項である「第3の検索手段」を有していない。また、本件補正前の請求項5?9に係る発明の「第3の検索工程」を有するものでもない。つまり、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前のいずれの請求項に係る発明を基準としても、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものではなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに当たらない。 また、本件補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明を目的とするものに当たらないことは明らかである。 (4)本件補正についてのむすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成16年5月10日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?9に係る発明は、平成16年2月13日付け手続補正書によって補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?9に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1,請求項2に記載された発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」という。)は、次のとおりのものである。 「 【請求項1】 電子ファイル群の中から任意のファイルを検索する電子ファイル検索装置において、 前記ファイルの名称を変更する名称変更手段と、 前記名称変更手段により名称を変更されたファイルの変更前の名称および変更後の名称を保持する変更履歴管理手段と、 指定された名称のファイルを検索する第1の検索手段と、 前記第1の検索手段により前記指定された名称のファイルが検索できなかった場合に、当該ファイルの変更後の名称を前記変更履歴管理手段から検索する第2の検索手段と、 前記第2の検索手段により検索された名称のファイルを検索する第3の検索手段と、 を備えたことを特徴とする電子ファイル検索装置。 【請求項2】 さらに、前記第2の検索手段により検索された名称を操作者に通知する通知手段を備えたことを特徴とする前記請求項1に記載の電子ファイル検索装置。」 本願発明1は、本願発明2から「通知手段」を省いたものであるから、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を限定したものに相当する本願発明2が、後述の引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであれば、本願発明1も同様の理由により、引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたこととなる。そこで、まず、下記の「2.」?「4.」において本願発明2を検討し、「5.」において本願発明1を検討する。 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-290095号公報(以下、「引用例」という。)には、 以下の事項が記載されている。 (ア)「【0015】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のファイル管理装置では、ファイル管理装置の各ディレクトリごとにディレクトリ内のファイルの消去,移動,名称変更に伴う情報を記述するためのファイル管理テーブルを用意する。そしてファイルが作成されたときにファイル管理テーブルにファイルに関する情報を格納するための領域を確保するファイル管理テーブル登録手段と、消去,移動,名称変更されたときのファイルに関する情報をファイル管理テーブルに記述するためのファイル管理テーブル更新手段と、ファイルにアクセスできないときに情報をファイル管理テーブルから抽出するためのファイル管理テーブル参照手段と、削除,移動,名称変更されたときのファイルに関する情報を定期的にファイル管理テーブルから削除するためのファイル管理テーブル削除手段とを設けるようにしたものである。」 (イ)「【0016】 【作用】したがって、本発明によって、ユーザはファイルが消去,移動,名称変更されたことで目的のファイルにアクセスできなかったときに、アクセスできなかったファイルを誰がいつ、どういう操作で、どうしたのかを後から簡単に確認でき、確認することで次の操作への移行がスムーズに行えるなど、ファイル処理を円滑に進めることができる。」 (ウ)「【0022】ファイル管理テーブル更新手段53について、図5のフローチャートと併せて説明する。まずディレクトリ構成に変化があった場合、ファイル管理テーブル更新手段53が実行される。このファイル管理テーブル更新手段53では、最初にディレクトリ構成にどのような変化があったかを調べる。もしディレクトリに存在するファイルが消去されたか(S11のYES)、別のディレクトリに移動されたか(S12のYES)、名称が変更された(S13のYES)場合、該当するファイル名が登録され領域をファイル管理テーブル51から探す(S14)。この後、その領域のファイル名以外の項目を更新する(S15)。更新は各項目(操作,日時,ユーザ,結果)ごとに順に行う。例えばディレクトリAに新規に作成したファイル名田村が1993年9月25日11時50分にユーザ梅津(ユーザID=100)によってディレクトリBにファイル名藤山として移動された場合、ファイル管理テーブル51の内容は図6に示すようになる。最後にファイル管理テーブル削除手段55(この説明は後述)を実行する(S16)。 【0023】ファイル管理テーブル参照手段54について、図7のフローチャートと併せて説明する。ファイル管理テーブル参照手段54はユーザがコマンド,プログラムなどによってディレクトリ内のファイルにアクセスしたが、そのファイルにアクセスできない状態が発生した場合に実行される。このファイル管理テーブル参照手段54は、まずアクセスできなかったファイル名を基に、ファイル管理テーブル51から、フィル名が登録された領域を探す(S21)。もしここで登録された領域があった場合(S22のYES)、その領域に記述される各項目(操作,日時,ユーザ,結果)の内容を項目別に抽出する(S23)。この後、抽出した内容を結果として返す(S24)。返された内容はコマンド,プログラムなどによって表示装置2に表示させることで、ディレクトリから目的のファイルがなくなっていても、そのファイルがどうなったのかを表示結果から簡単に確認できるようになる。最後にファイル管理テーブル削除手段55(この説明は後述)を実行する(S25)。」 (エ)第【0019】段落記載の【表2】には、ファイル管理テーブルの「結果」項目が、「操作を行ったことで当該ファイルがどうなったか、ファイルの実体が存在する場所をフルパスで示す」意味を持つことが記載されている。 (オ)図面第6図には、ファイル「田村」をファイル名藤山でディレクトリBに移動した結果、ファイル管理テーブルのうち、「ファイル名」項目が「田村」である領域における「結果」項目の内容が、「/ディレクトリB/藤山」となることが記載されている。 上記(ウ)の「【0022】ファイル管理テーブル更新手段53について、図5のフローチャートと併せて説明する。まずディレクトリ構成に変化があった場合、ファイル管理テーブル更新手段53が実行される。このファイル管理テーブル更新手段53では、最初にディレクトリ構成にどのような変化があったかを調べる。もしディレクトリに存在するファイルが消去されたか(S11のYES)、別のディレクトリに移動されたか(S12のYES)、名称が変更された(S13のYES)場合、該当するファイル名が登録され領域をファイル管理テーブル51から探す(S14)。」との記載から、ファイル管理テーブル更新手段はディレクトリ構成の変化を要因として実行され、ディレクトリ構成の変化にはファイルの移動や名称変更が含まれることが理解できる。したがって、ファイルの移動や名称変更がされた場合に、ファイル管理テーブル更新手段が実行されるといえる。 上記(ア)?(オ)の記載事項及び図面によれば、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「ファイル管理装置において、 ファイルの移動や名称変更がされた場合、該当するファイル名が登録された領域をファイル管理テーブルから探し、その領域における「結果」項目を、ファイルの実体が存在する場所をフルパスで示すものに更新するファイル管理テーブル更新手段と、 ユーザーがコマンド,プログラムなどによってディレクトリ内のファイルにアクセスしたが、そのファイルにアクセスできない状態が発生した場合に、アクセスできなかったファイル名を基に、ファイル管理テーブルから、ファイル名が登録された領域を探し、見つかった領域に記述される「結果」項目の内容を抽出し、表示装置に表示させるファイル管理テーブル参照手段と を備えたファイル管理装置。」 3.対比 そこで、本願発明2と引用発明とを対比する。 (a)ファイルの移動も、フルパス中の、所属ディレクトリを表す部分に変更をもたらすことから、ファイルの名称変更の一形態といえる。したがって、引用発明における「ファイルの移動や名称変更」は、本願発明2における、ファイルの名称の変更に相当する。 (b)引用発明における、ファイル管理テーブルに登録されるファイル名,「結果」項目に記述されるフルパスは、それぞれ本願発明2における、ファイルの変更前の名称,ファイルの変更後の名称に相当する。そして、ファイル管理テーブル更新手段の実行により、ファイル管理テーブルは、ファイルの名称変更前(移動前)のファイル名と名称変更後(移動後)のフルパスとを保持するものとなるから、引用発明における「ファイル管理テーブル」および「ファイルの移動や名称変更がされた場合、該当するファイル名が登録された領域をファイル管理テーブルから探し、その領域における「結果」項目を、ファイルの実体が存在する場所をフルパスで示すものに更新するファイル管理テーブル更新手段」からなる構成手段は、本願発明2の「前記名称変更手段により名称を変更されたファイルの変更前の名称および変更後の名称を保持する変更履歴管理手段」に、「前記名称変更手段により」の点を除き、相当する。 (c)引用発明における「ユーザーがコマンド,プログラムなどによってディレクトリ内のファイルにアクセス」するための手段が、本願発明2における「指定された名称のファイルを検索する第1の検索手段」に相当する。 (d)引用発明における「ユーザーがコマンド,プログラムなどによってディレクトリ内のファイルにアクセスしたが、そのファイルにアクセスできない状態が発生した場合に、アクセスできなかったファイル名を基に、ファイル管理テーブルから、ファイル名が登録された領域を探し、見つかった領域に記述される「結果」項目の内容を抽出し、表示装置に表示させるファイル管理テーブル参照手段」のうち、「結果」項目の内容を抽出するまでの処理手段、抽出内容を表示装置に表示させる処理手段が、それぞれ、本願発明2における「前記第1の検索手段により前記指定された名称のファイルが検索できなかった場合に、当該ファイルの変更後の名称を前記変更履歴管理手段から検索する第2の検索手段」、「前記第2の検索手段により検索された名称を操作者に通知する通知手段」に相当する。 (e)そして、引用発明のファイル管理装置も、電子ファイル群の中から任意のファイルを検索する電子ファイル検索装置であるといえる。 したがって、本願発明2と引用発明とは、 「電子ファイル群の中から任意のファイルを検索する電子ファイル検索装置において、 名称を変更されたファイルの変更前の名称および変更後の名称を保持する変更履歴管理手段と、 指定された名称のファイルを検索する第1の検索手段と、 前記第1の検索手段により前記指定された名称のファイルが検索できなかった場合に、当該ファイルの変更後の名称を前記変更履歴管理手段から検索する第2の検索手段と、 前記第2の検索手段により検索された名称を操作者に通知する通知手段と、 を備えたことを特徴とする電子ファイル検索装置。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願発明2は、「前記ファイルの名称を変更する名称変更手段」を備えており、「名称を変更されたファイルの変更前の名称および変更後の名称を保持する変更履歴管理手段」が、当該「名称変更手段」による名称変更を履歴管理するのに対し、引用発明は、ファイルに対し移動や名称変更がされることを前提とするものの、ファイルの移動や名称変更を行う手段をファイル管理装置が備えることは記載されておらず、「名称を変更されたファイルの変更前の名称および変更後の名称を保持する変更履歴管理手段」が、如何なる手段による名称の変更を履歴管理するかの記載もない点。 (相違点2) 本願発明2は、「前記第2の検索手段により検索された名称のファイルを検索する第3の検索手段」を備えるのに対し、引用発明では、ファイルの変更後の名称を表示装置に表示するに留まり、変更後(移動後)の名称を用いたファイル検索を行うとはされていない点。 4.当審の判断 (相違点1について) 引用例1の従来技術の記載(第【0002】?【0013】段落)において例示されたUNIXのファイル管理装置がそうであるように、ユーザー等の指示を受けてファイルの移動や名称変更を行う手段をファイル管理装置が備えることは一般的である。したがって、引用発明において、ファイル移動や名称変更の実行手段をファイル管理装置が備えるものとし、当該実行手段による名称の変更を履歴管理する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (相違点2について) 引用発明は、ユーザーへの変更後(移動後)のファイル名称の通知を「ユーザーがコマンド,プログラムなどによってディレクトリ内のファイルにアクセスしたが、そのファイルにアクセスできない状態が発生した場合」に行うものである。また、引用例には「確認することで次の操作への移行がスムーズに行えるなど、ファイル処理を円滑に進めることができる」(上記2.(イ)の摘記事項を参照。)との記載がある。これらのことから、引用発明においては、変更後(移動後)のファイル名称が通知された後、ユーザーのマニュアル操作により、変更後(移動後)の名称にて特定されるファイルへのアクセスを行うことが想定されているといえる。 そして、当該アクセスをユーザーによるマニュアル操作で行うに際しては、変更後(移動後)のファイル名称の入力等、多くのキー入力操作が必要で あることから、当該アクセスを自動的に行うものとしてユーザーの負担軽減を図ることは、当業者が普通に考えることである。実際、例えば、 水津弘幸著、「カラー版 HTMLハンドブック」、初版、ソフトバンク パブリッシング株式会社、2000年5月31日、p.9-11 に、URL(Uniform Resource Locator)で特定されるファイルへのアクセスにおいて、移動先のURLを画面に表示した後、当該URLのキー入力操作を要することなく自動的に、当該URLで特定されるファイルの読み込みを行うことが記載されているように、ファイルを特定する情報を通知した後、ユーザーによるファイル特定情報の入力操作等を要することなく自動的に、当該ファイルへのアクセスを行うことは、本願出願前よりよく用いられていることである。 また、ファイル管理装置においては、ファイルのアクセスをファイル名称を用いて行うことが通常であり、変更後(移動後)のファイル名称が、ファイル管理テーブル参照手段が出力する「結果」項目の内容から取得できることも当業者にとって自明である。 そうすると、引用発明において、ファイル管理テーブル参照手段の出力から変更後(移動後)のファイル名称を取得し、取得したファイル名称でファイル管理装置を検索する構成として、変更後(移動後)のファイル名称にて特定されるファイルへのアクセスに係るユーザーの負担を軽減したものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、本願発明2の効果は、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明2は、引用例に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.本願発明1について 本願発明1は、本願発明2から「通知手段」を省いたものである。そうすると、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を限定したものに相当する本願発明2が、前記「2.」?「4.」に記載したとおり、引用例に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も、同様の理由により、引用例に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明1,2は、引用例に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-07-09 |
結審通知日 | 2007-07-10 |
審決日 | 2007-07-23 |
出願番号 | 特願2000-388514(P2000-388514) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 紀田 馨、平井 誠 |
特許庁審判長 |
田口 英雄 |
特許庁審判官 |
多賀 実 青柳 光代 |
発明の名称 | 電子ファイル検索装置、電子ファイル検索方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 |
代理人 | 酒井 昭徳 |