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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1163698
審判番号 不服2005-1188  
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-01-20 
確定日 2007-09-06 
事件の表示 特願2001- 44343「音楽ゲーム装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月27日出願公開、特開2002-239233〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成13年2月20日に出願されたものであって、平成15年3月17日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対して同年5月23日付けで手続補正がなされたが、平成16年6月24日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、これに対して、平成16年8月25日付けで手続補正がなされたところ、同年12月17日付けで、請求項1乃至6に係る発明は独立して特許を受けることができないとして、平成16年8月25日付け手続補正書でした補正を却下する決定がなされるとともに、同日付けで、平成16年6月24日付けの拒絶理由通知書に記載した理由1及び2により拒絶査定がなされたが、前記拒絶査定を不服として、平成17年1月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同年2月21日に手続補正書が提出されたものである。

2.平成17年2月21日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成17年2月21日付けの手続補正を却下する。

[理由]

2.1 補正の内容及び補正の目的について

平成17年2月21日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1である、

「画像を表示するモニタと、ゲームコントローラと、楽曲データと対応して前記ゲームコントローラへの操作を指示するべく設定されたタイミング情報を記憶する記憶手段と、曲選択手段と、選択された曲の前記楽曲データの音声出力と同期させて前記タイミング情報をガイドマーカとしてモニタ上で一方側から他方の基準マーカに向けてスクロール表示する表示制御手段と、前記ガイドマーカと基準マーカとの一致タイミングと前記ゲームコントローラからの操作信号の出力タイミングとの相関を評価する評価手段とを備え、
前記ゲームコントローラは、立直された太鼓状をなし、天井に叩き面部材が、該叩き面部材の下面部に叩き検出部が設けられ、叩き面への叩き操作を検出して叩き検出部から操作信号が出力可能にされた打楽器を模し、前記叩き検出部は前記叩き面を複数領域に分割したそれぞれの領域に少なくとも1以上のセンサを備えると共に前記各領域毎に個別操作信号が出力可能にされており、
前記タイミング情報は前記各領域毎に設定されており、前記表示制御手段は前記モニタの画面をスクロール方向に直交する方向に前記領域数分のラインを設定して各ラインに対応させて前記各領域毎に設定されている前記タイミング情報をガイドマーカとして表示し、前記評価手段は前記各領域からの個別操作信号毎に前記評価を行うことを特徴とする音楽ゲーム装置。」

が、

「画像を表示するモニタと、ゲームコントローラと、楽曲データと対応して前記ゲームコントローラへの操作を指示するべく設定されたタイミング情報を記憶する記憶手段と、曲選択手段と、選択された曲の前記楽曲データの音声出力と同期させて前記タイミング情報をガイドマーカとしてモニタ上で一方側から他方の基準マーカに向けてスクロール表示する表示制御手段と、前記ガイドマーカと基準マーカとの一致タイミングと前記ゲームコントローラからの操作信号の出力タイミングとの相関を評価する評価手段とを備え、
前記ゲームコントローラは、立直された太鼓状をなし、天井に叩き面部材が、該叩き面部材の下面部に叩き検出部が設けられ、叩き面への叩き操作を検出して叩き検出部から操作信号が出力可能にされた、同一形状を有する模擬打楽器が複数個並設された構造を有し、前記叩き検出部は前記叩き面を複数領域に分割したそれぞれの領域に少なくとも1以上のセンサを備えると共に前記各領域毎に個別操作信号が出力可能にされており、
前記タイミング情報は前記各領域毎に設定されており、前記表示制御手段は前記モニタの画面をスクロール方向に直交する方向に前記領域数分のラインを設定して各ラインに対応させて前記各領域毎に設定されている前記タイミング情報をガイドマーカとして表示し、
前記複数の領域からの前記個別操作信号を一体として操作信号として処理する叩き操作検出手段を備え、
前記評価手段は、前記複数個の模擬打楽器のうちの一部について、前記叩き操作検出手段で処理された操作信号との間で前記相関性の評価を行い、残りについて、前記各領域からの個別操作信号毎に前記相関性の評価を行う
ことを特徴とする音楽ゲーム装置。」

と補正された。

上記補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ゲームコントローラ」について、「同一形状を有する模擬打楽器が複数個並設された構造を有し」との限定を付加して減縮するとともに、本件補正前の請求項2に記載された「前記複数の領域からの前記個別操作信号が同時に出力された時にこれらを1つの操作信号として処理する叩き操作検出手段」という構成を付加し、さらに、「評価手段」について、「前記複数個の模擬打楽器のうちの一部について、前記叩き操作検出手段で処理された操作信号との間で前記相関性の評価を行い、残りについて、前記各領域からの個別操作信号毎に前記相関性の評価を行う」との限定を付加して減縮するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的として補正された本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.2 引用例及びその記載事項
2.2.1 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、週刊ファミ通 No.637(2001年3月2日号),株式会社エンターブレイン,第16巻第9号通巻637号,平成13年2月16日(工業所有権総合情報館受入),第166?167頁(以下、「引用例1」という。)には、写真とともに以下の事項が記載されている。

・記載事項1
「太鼓の達人
ナムコ/2月下旬稼働予定/1プレイ200円
リズムに乗って太鼓を叩け!
2本のバチを使って太鼓を叩き曲を演奏する、和風リズムアクションが登場。ルールは、画面右上にある魂ゲージが、ノルマを超えていればクリアーできるというもの。魂ゲージを増やすには、画面中央の譜面に流れる音符が、判定枠に重なったとき、タイミングよく太鼓を叩けばオーケーだ。また、このゲームで使う太鼓は本物を模した和太鼓で、譜面に流れる音符の種類によって太鼓のどの部分を叩くか決まっている。まずは、それぞれの叩きかたを覚えよう。」(第166頁上段)
また、その記載の右上には、画面中央に上下二段に横向きに、「1P」及び「2P」の符号が付された譜面が表示されるとともに、2つの魂ゲージが表示された画面の写真が掲載されている。

・記載事項2
「面を叩く
譜面に赤い音符が流れたら、タイミングよく太鼓の面を叩こう。判定が太鼓の面の左右ふたつに分かれているが、どちらを叩いても構わない。曲のリズムや利き腕で叩きやすいほうを選ぼう。」(第166頁中段)
また、その記載の右には、画面中央に横向きに譜面が表示された画面の写真が掲載されているとともに、「譜面を見るより、リズムに乗って叩くほうが楽かも。」との写真を説明する記載がある。

・記載事項3
「フチを叩く
譜面に青い音符が流れたら、タイミングよく太鼓のフチを叩こう。フチといっても太鼓の木枠部分ではなく、面の端のあたりを叩けばオーケー。フチも左右2カ所に判定があるが、面と同じくどちらを叩いてもいい。」(第166頁下段)

・記載事項4
第166頁中段右側には、ゲーム機の外観を示し、左右に二つの太鼓が設けられたゲーム機を撮影した写真が掲載されている。

・記載事項5
「譜面分岐システムが得点稼ぎを熱くする
『太鼓の達人』は、コースをかんたん、ふつう、むずかしいの3種類から選べ、どれも最大2曲までプレイできる。また、むずかしいコースの収録曲の中には、譜面が分岐するものがあり、分岐ポイントが決まっている。そのポイントまでに獲得したスコアによって、普通、玄人、達人の3つのうちのいずれかに分岐するのだ。」(第167頁上段)
また、その記載の下には、「レベルアップだドン!」の表示とともに、譜面の上部に11340なる数字が表示された画面の写真が掲載されているとともに、「タイミングよく太鼓を叩き、一定以上のスコアを獲得すると譜面が分岐。」との写真を説明する記載がある。

・記載事項6
第167頁の上部中央には、「コースを選んでください」という表示がなされた画面において、「かんたん 全2面 初心者向き」、「ふつう 全2面 慣れた人向き」、「むずかしい 全2面 極めたい人向き 譜面分岐あり!」として3つのコースに対応する表示がなされ、画面下部には「<左 決定 右> 太鼓を叩いてスタート!」の表示がなされているとともに、「選んだコースによって演奏できる曲が違う。」との写真を説明する記載がある。
また、「ふたり同時のプレイでは譜面が変わるパートも。上手に叩けるかな?」との写真を説明する記載とともに、ふたり分の譜面が同一の画面に表示されている写真が掲載されている。

・記載事項7
第167頁中段には、「曲名一覧表(全26曲)」が記載されており、当該曲名一覧表には、各収録曲について、「曲名」、「ジャンル」、「コース」、「難易度」が対応づけて記載されている。

以上の記載事項1乃至記載事項7の記載及び写真によれば、引用例1には次の発明が記載されていると認められる。

「2本のバチを使って太鼓を叩き曲を演奏する、和風リズムアクションゲームであって、
全26曲が収録されており、選んだコースによって演奏できる曲が違うものであり、
画面中央の譜面に流れる音符が判定枠に重なったとき、タイミングよく太鼓を叩くと魂ゲージを増やすことができ、
ゲーム中にスコアを獲得することができ、
このゲームで使う太鼓は本物の太鼓を模した和太鼓で、
判定が太鼓の面の左右ふたつに分かれていて、フチも左右2カ所に判定があり、
譜面に赤い音符が流れたら、太鼓の面の左右どちらを叩いても構わず、
譜面に青い音符が流れたら、左右2ヵ所のフチのどちらを叩いてもいい、
太鼓の達人。」(以下、「引用発明」という。)

2.2.2 引用例2
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-237455号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

・記載事項1
「【請求項1】 プレイヤからの少なくとも打撃操作で演出入力される複数の演出操作手段と、
音楽およびその音楽に対する演出手順に関するデータをそれぞれ記憶する記憶手段と、
前記記憶手段の記憶内容に基づいて前記音楽を演奏する演奏手段と、
前記演奏手段による演奏の進行に連動して、前記演出操作手段を用いた演出操作を前記記憶手段の記憶内容に従って前記プレイヤに視覚的に指示する演出操作指示手段と、
前記演出操作に応じた演出効果を発生させる演出効果発生手段と、
前記記憶手段が記憶する演出手順と前記プレイヤによる前記演出操作との相関関係に基づいて当該演出操作を評価する評価手段と、
前記評価手段の評価結果に対応した情報をプレイヤに対して表示する評価表示手段とを備えたことを特徴とする音楽演出ゲーム装置。
【請求項2】 演出操作指示手段は、表示手段と、該表示手段に対し、音楽に対する複数種類の演出をそれぞれ時間軸方向に関連させて表示させると共に前記音楽に対する複数種類の演出の操作タイミング指示を視覚的に行う表示制御手段とを有し、
前記評価手段は、前記演出操作手段で演出入力された前記音楽に対する演出が所定時間間隔内に操作タイミングとして指示されているか否かを判断する判断手段と、前記操作タイミングとして指示されている前記音楽の演出に対する前記演出操作手段の操作タイミングと前記表示制御手段による操作タイミング指示とを比較し、そのずれ量から演出入力を評価する演出入力評価手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の音楽演出ゲーム装置。
【請求項3】 前記演奏手段として音発生手段が設けられ、前記演出効果発生手段として音出力制御手段が設けられ、前記音楽に対する演出が一連のリズム音で構成され、
前記演出操作手段として、前記複数の一連のリズム音にそれぞれ対応して設けられた複数の模擬打楽器と、前記模擬打楽器への打撃操作を受けて、対応するリズム音の操作タイミングとして検出するリズム入力検出手段とが設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の音楽演出ゲーム装置。」

・記載事項2
「【0020】これらのドラムパッド7?11の内部構造について説明する。ドラムパッド7?9は外形平面視が円形であるが、外形平面視が図3(a)に示すような略半円形のものでも同様であり、この場合の内部構造について説明する。
【0021】図3(a)のAA断面の図3(b)に示すように、ドラムパッドのラバーパッド21の略中央位置の裏側にはインナー板金22が設けられ、インナー板金22の裏側に衝撃センサ23が設けられている。打撃を検出するリズム入力検出手段としての衝撃センサ23は音響センサを構成しており、ストックによるラバーパッド21表面の打撃をその打撃操作タイミングで検出し、その検出信号によって制御基板24上の制御回路を介してLED(発光ダイオード)25を一瞬発光させるように制御が為されると共に、その検出信号がその打撃操作タイミングで外部に取り出されるようになっている。」

・記載事項3
「【0025】PCMデータ記憶部42は、複数種類の音データ(音色の異なる音データや複数の音データなど)を音の種類に対応させて記憶している。このような演奏曲に対する音データは、PCMデータ記憶部42には全プレイレベルで12?15曲が記憶されている。また、この音データに関連して、セクタ番号、発音長さなどを示す情報がPCMデータ記憶部42に記憶されている。また、グラフィックRAM47は、図7および図8のゲーム画面のノーツ表示53に関する画面を記憶しており、CPU52はグラフィックコントローラー48を制御して、メインRAM43内のノーツ表示制御プログラムに基づいて、少なくともリズム音を含んで構成された演奏曲に対して、そのリズム音(リズム音に対応したノーツバー54)を時間方向Cに所定間隔(一音毎に異なっていてもよく同じでもよい)で分割すると共に、同じ時間軸上において複数種類(本実施形態では模擬打楽器の種類が6種類)の一連のリズム音に振り分けて構築された一連のリズム音のノーツバー54をそれぞれ各一音毎に表示指示するように、グラフィックRAM47からノーツ表示53に関する画面を抽出してモニタ42に表示するようになっている。
【0026】また、記録媒体としてのCD-ROM45は、演奏曲のBGMデータが記憶され、さらに、演奏曲の一音毎の選択発音データ(ドラムパッドの種類)とその出力タイミングデータ(音番号)を記憶し、これらとの後述する一致度に応じた得点データが記憶されると共に、リズムゲームの制御プログラムやオペレーティングシステムなどのプログラムデータが記憶されたROMなどがプラスチックケースに収納された、いわゆるROMカセットで構成されている。記録媒体は、CD-ROM45に代えて、光ディスクやフレキシブルディスクなどで構成してもよい。
【0027】さらに、グラフィックRAM47はPCMデータ記憶部42と同様に、模擬打楽器の種類によるリズム打撃入力を視覚的にガイドするリズム打撃入力の表示指示を行う例えば図7および図8に示すようなノーツ画面53のためのデータを記憶している。つまり、ノーツ画面53とは、図7および図8に示すように、各演奏曲(BGM)に対応したリズム音毎の操作タイミング要素としてノーツバー54で表示して、一連のリズム音を示す一連のノーツバー54を縦方向に配列し、リズム音毎のノーツバーが各演奏曲の進行に伴って下方向に順次移動しつつ横方向の基準線に至ったタイミングをプレイヤーが操作するべき操作タイミングとして表示指示するようになっている。このような縦方向に配列された操作タイミングの表示指示は模擬打楽器の種類毎に横方向に並べて表示され、その縦配列の底部にそれに対応した模擬打楽器のマーク58が表示されるようになっている。一連のリズム音の縦配列、即ち模擬打楽器のマーク配列は、実際のリズムゲーム装置1の各ドラムパッド7?11の配列と一致させている。また、グラフィックRAM47は、ノーツ画面53のデータの他にも、以下に示すような各ゲーム状況に応じた画面(例えば図7?図18参照)およびそれに関わる各種データを記憶している。」

以上の記載事項1乃至記載事項3及び図面の記載によれば、引用例2には次の発明が記載されていると認められる。

「プレイヤからの少なくとも打撃操作で演出入力される複数の演出操作手段と、
音楽およびその音楽に対する演出手順に関するデータをそれぞれ記憶する記憶手段と、
前記記憶手段の記憶内容に基づいて前記音楽を演奏する演奏手段と、
前記演奏手段による演奏の進行に連動して、前記演出操作手段を用いた演出操作を前記記憶手段の記憶内容に従って前記プレイヤに視覚的に指示する演出操作指示手段と、
前記演出操作に応じた演出効果を発生させる演出効果発生手段と、
前記記憶手段が記憶する演出手順と前記プレイヤによる前記演出操作との相関関係に基づいて当該演出操作を評価する評価手段と、
前記評価手段の評価結果に対応した情報をプレイヤに対して表示する評価表示手段とを備えたことを特徴とする音楽演出ゲーム装置であって、
前記演出操作手段として、前記複数の一連のリズム音にそれぞれ対応して設けられた複数の模擬打楽器と、前記模擬打楽器への打撃操作を受けて、対応するリズム音の操作タイミングとして検出するリズム入力検出手段とが設けられており、
前記演出操作指示手段は、表示手段と、該表示手段に対し、音楽に対する複数種類の演出をそれぞれ時間軸方向に関連させて表示させると共に前記音楽に対する複数種類の演出の操作タイミング指示を視覚的に行う表示制御手段とを有し、表示手段に、各演奏曲(BGM)に対応したリズム音毎の操作タイミング要素としてノーツバー54で表示して、一連のリズム音を示す一連のノーツバー54を縦方向に配列し、リズム音毎のノーツバーが各演奏曲の進行に伴って下方向に順次移動しつつ横方向の基準線に至ったタイミングをプレイヤーが操作するべき操作タイミングとして表示指示するようになっているとともに、縦方向に配列された操作タイミングの表示指示は模擬打楽器の種類毎に横方向に並べて表示され、その縦配列の底部にそれに対応した模擬打楽器のマーク58が表示されるようになっている音楽演出ゲーム装置。」

2.2.3 引用例3
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-157723号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

・記載事項1
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したゲームシステムでは、操作対象部の数とゲームの難易度との間に相関関係があり、ゲームを長期間楽しめるものとするためには操作対象部の数を増やして難易度を高めに設定することが望ましい。その一方、ゲームに慣れていないプレイヤーにとっては、多数の操作対象部を画面内の指示と照らし合わせながら的確に操作することは困難であり、操作対象部の数が多いとゲームに対する興味が却って損なわれるおそれがある。また、操作対象部の数が多いと、画面内の指示と入力装置上の操作部材との対応関係を把握することが困難となり、ゲームに慣れていないプレイヤーに混乱を生じかねない。
【0004】そこで、本発明は音楽のリズム等に合わせて入力装置の操作部材を操作させるゲームを実行する際に、プレイヤーに対してそのレベルに見合った適切な操作環境を設定できるゲームシステムを提供することを目的とする。」

・記載事項2
「【0006】請求項1の発明は、ゲーム画面を表示する表示装置(20)と、プレイヤーによる操作を受ける複数の操作部材(PB1?PB14,PB21?PB31)を備え、それら操作部材の操作状態に対応した信号を出力する入力装置(52A,52B)と、前記複数の操作部材の少なくとも一部に割り当てられる所定数の操作対象部のそれぞれに関するゲーム中の操作タイミングを定義した操作タイミングデータを記憶する記憶装置(44,13)と、前記入力装置からの出力信号と前記記憶装置に記録されたデータとを参照しつつ前記表示装置の画面上で所定の手順に従ってゲームを実行するゲーム制御装置(11)とを具備し、前記ゲーム制御装置には、前記ゲームの実行中、前記操作タイミングデータに基づいて、前記所定数の操作対象部のそれぞれを前記操作タイミングデータによって定義されたタイミングで操作するように指示する画像(101)を前記表示装置の画面上に表示させる操作指示手段と、前記ゲームで使用する前記操作対象部の数を前記所定数に設定する第1のモードと、前記所定数よりも少ない数に制限する第2のモードとのいずれかをプレイヤーからの指示に応じて選択するモード選択手段と、前記第2のモードにて前記ゲームが実行される場合、前記所定数よりも少ない数の操作対象部の操作のみが指示されるように、前記操作指示手段によって表示される前記指示する画像を変化させる操作指示制限手段と、前記操作指示手段からの指示に対して実行される前記プレイヤーの前記入力装置の操作を、前記操作タイミングデータに基づいて評価する評価手段と、前記評価手段による評価結果に関連した情報を前記プレイヤーに知らせる評価報知手段とが設けられたゲームシステムにより、上述した課題を解決する。
【0007】この発明によれば、第2のモードを選んでゲームを行うと、表示装置の画面を通じてプレイヤーに操作が指示される操作対象部の数が第1のモードを選んでゲームを行う場合よりも減少する。従って、第1のモードよりも第2のモードの難易度を相対的に低下させることができ、ゲームに不慣れなプレイヤーに配慮して第1のモードの難易度を低下させる必要はない。これにより、プレイヤーのレベルに合わせた適切な操作環境を提供できる。」

・記載事項3
「【0070】「BUTTON MODE」を選んだときはゲームで使用する操作ボタンの数を5個に制限する5ボタンモード(第2のモード)、または9個の操作ボタンをすべて使用する9ボタンモード(第1のモード)のいずれかを選択できる。5ボタンモードが選択された場合、ゲージ101の両端から2つずつのトラック102a,102b,102h,102iに対応した操作が不要となる。これにより、ゲームの難易度が低下してゲームに慣れていないプレイヤーにも快適なプレイ環境が提供される。なお、操作ボタンの数を減らしたモードとして、5ボタンモード以外にも、ゲージ101の両端から1つずつのトラック102a、102iに対応した操作を不要として操作ボタンの個数を7個に制限した7ボタンモード等を設けてもよい。」

以上の記載事項1乃至記載事項3及び図面の記載によれば、引用例3には次の発明が記載されていると認められる。

「ゲーム画面を表示する表示装置(20)と、プレイヤーによる操作を受ける複数の操作部材(PB1?PB14,PB21?PB31)を備え、それら操作部材の操作状態に対応した信号を出力する入力装置(52A,52B)と、前記複数の操作部材の少なくとも一部に割り当てられる所定数の操作対象部のそれぞれに関するゲーム中の操作タイミングを定義した操作タイミングデータを記憶する記憶装置(44,13)と、前記入力装置からの出力信号と前記記憶装置に記録されたデータとを参照しつつ前記表示装置の画面上で所定の手順に従ってゲームを実行するゲーム制御装置(11)とを具備し、前記ゲーム制御装置には、前記ゲームの実行中、前記操作タイミングデータに基づいて、前記所定数の操作対象部のそれぞれを前記操作タイミングデータによって定義されたタイミングで操作するように指示する画像(101)を前記表示装置の画面上に表示させる操作指示手段と、前記ゲームで使用する前記操作対象部の数を前記所定数に設定する第1のモードと、前記所定数よりも少ない数に制限する第2のモードとのいずれかをプレイヤーからの指示に応じて選択するモード選択手段と、前記第2のモードにて前記ゲームが実行される場合、前記所定数よりも少ない数の操作対象部の操作のみが指示されるように、前記操作指示手段によって表示される前記指示する画像を変化させる操作指示制限手段と、前記操作指示手段からの指示に対して実行される前記プレイヤーの前記入力装置の操作を、前記操作タイミングデータに基づいて評価する評価手段と、前記評価手段による評価結果に関連した情報を前記プレイヤーに知らせる評価報知手段とが設けられたゲームシステム。」

2.3 対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比する。

・対応関係1
引用発明の「ゲームで使う太鼓」は、本願補正発明の「ゲームコントローラ」に相当し、以下同様に、「音符」は「ガイドマーカ」に、「判定枠」は「基準マーカ」に、それぞれ相当する。

・対応関係2
記載事項1及び4より、引用発明の「太鼓の達人」は、本願補正発明と同様の「音楽ゲーム装置」であることは明らかである。
また、記載事項4より、本願補正発明の「画像を表示するモニタ」に相当する構成を備えていることも明らかである。

・対応関係3
記載事項1、5、及び7より、「太鼓の達人」には、複数の曲が収録されており、それらの曲に対応して、太鼓の面又はフチを叩くタイミングを指示するための音符が流れる譜面が表示されるのであるから、本願出願時の技術常識を参酌すれば、引用発明においても、本願補正発明の「楽曲データと対応して前記ゲームコントローラへの操作を指示するべく設定されたタイミング情報を記憶する記憶手段」に対応する構成を備えることは自明である。

・対応関係4
記載事項5乃至7より、「太鼓の達人」には、複数の曲が収録されており、選んだコースにより演奏できる曲が異なり、各コースには更に複数の曲が対応づけられているのであるから、引用発明においても、本願補正発明の「曲選択手段」に相当する構成を備えることは自明である。

・対応関係5
記載事項1及び2より、「太鼓の達人」では、太鼓を叩くタイミングをガイドするために、画面中央に横向きに音符が流れる譜面が表示されているのであるから、引用発明においても、本願補正発明の「選択された曲の…前記タイミング情報をガイドマーカとしてモニタ上で一方側から他方の基準マーカに向けてスクロール表示する表示制御手段」に相当する構成を備えているといえる。

・対応関係6
記載事項1及び5より、「太鼓の達人」では、音符が判定枠に重なったとき、タイミングよく太鼓が叩かれれば、魂ゲージが増え、スコアが獲得されるのであるから、引用発明においても、本願補正発明の「前記ガイドマーカと基準マーカとの一致タイミングと前記ゲームコントローラからの操作信号の出力タイミングとの相関を評価する評価手段」に相当する構成を備えているといえる。

・対応関係7
記載事項1より、引用発明の「太鼓」は、本物を模した和太鼓であるから、「太鼓状」であることは明らかであり、更に、本願補正発明の「天井に叩き面部材」に相当する構成を備えることも自明である。

・対応関係8
記載事項2及び3より、引用発明の「太鼓」では、「判定が太鼓の面の左右ふたつに分かれているが、どちらを叩いても構わない。」、「フチといっても太鼓の木枠部分ではなく、面の端のあたりを叩けばオーケー。フチも左右2カ所に判定があるが、面と同じくどちらを叩いてもいい。」のであるから、引用発明の「太鼓」は、本願補正発明の「叩き検出部」に相当する構成を備えることは自明であり、「叩き面への叩き操作を検出して叩き検出部から操作信号が出力可能にされ」ていることも明らかである。
また、引用発明の「太鼓」は、「太鼓の面」及び「太鼓の面の端のあたり」という複数の領域に分割された叩き面を備えるものであり、「太鼓の面」及び「太鼓の面の端のあたり」のどちらを叩いたかが判定されていることも明らかである。
してみれば、引用発明の「太鼓」は、「太鼓の面」及び「太鼓の面の端のあたり」という領域毎に叩き操作を検出するセンサを備え、「太鼓の面」及び「太鼓の面の端のあたり」という各領域毎に個別に操作信号が出力されていることが明らかであるので、引用発明においても、本願補正発明の「前記叩き検出部は前記叩き面を複数領域に分割したそれぞれの領域に少なくとも1以上のセンサを備えると共に前記各領域毎に個別操作信号が出力可能にされており」に相当する構成を備えているといえる。

・対応関係9
記載事項4の写真より、引用発明においても、本願補正発明の「同一形状を有する模擬打楽器が複数個並設された構造を有」することは明らかである。

・対応関係10
記載事項2及び3より、「譜面に赤い音符が流れたら、タイミングよく太鼓の面を叩こう。」、「譜面に青い音符が流れたら、タイミングよく太鼓のフチを叩こう。フチといっても太鼓の木枠部分ではなく、面の端のあたりを叩けばオーケー。」であるから、引用発明では、各太鼓の「太鼓の面」及び「太鼓の面の端のあたり」という各領域毎に「赤い音符」及び「青い音符」が設定されているといえ、当該構成は、本願補正発明の「前記タイミング情報は前記各領域毎に設定されており」という構成に相当するといえる。

したがって、本願補正発明と引用発明1とは、

「画像を表示するモニタと、ゲームコントローラと、楽曲データと対応して前記ゲームコントローラへの操作を指示するべく設定されたタイミング情報を記憶する記憶手段と、曲選択手段と、選択された曲の前記タイミング情報をガイドマーカとしてモニタ上で一方側から他方の基準マーカに向けてスクロール表示する表示制御手段と、前記ガイドマーカと基準マーカとの一致タイミングと前記ゲームコントローラからの操作信号の出力タイミングとの相関を評価する評価手段とを備え、
前記ゲームコントローラは、太鼓状をなし、天井に叩き面部材が設けられ、叩き検出部が設けられ、叩き面への叩き操作を検出して叩き検出部から操作信号が出力可能にされた、同一形状を有する模擬打楽器が複数個並設された構造を有し、前記叩き検出部は前記叩き面を複数領域に分割したそれぞれの領域に少なくとも1以上のセンサを備えると共に前記各領域毎に個別操作信号が出力可能にされており、
前記タイミング情報は前記各領域毎に設定されている音楽ゲーム装置。」、

である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1
本願補正発明では、表示制御手段において、「選択された曲の前記楽曲データの音声出力と同期させて前記タイミング情報をガイドマーカとしてモニタ上で一方側から他方の基準マーカに向けてスクロール表示する」のに対し、引用発明では、「選択された曲の前記楽曲データの音声出力と同期させて」タイミング情報を表示しているのか不明である点。

相違点2
本願補正発明では、ゲームコントローラは、「立直された太鼓状」であるのに対し、引用発明では、「太鼓状」ではあるが直立していない点。

相違点3
本願補正発明では、「該叩き面部材の下面部に叩き検出部が設けられ」ているのに対し、引用発明では、叩き検出部を設ける位置が不明である点。

相違点4
本願補正発明では、「前記表示制御手段は前記モニタの画面をスクロール方向に直交する方向に前記領域数分のラインを設定して各ラインに対応させて前記各領域毎に設定されている前記タイミング情報をガイドマーカとして表示」するのに対し、引用発明では、タイミング情報は、太鼓の面の叩き操作を指示する赤い音符と、太鼓のフチの叩き操作を指示する青い音符とで構成され、各音符は同一の譜面上に表示されるにとどまり、本願補正発明のような表示制御がなされていない点。

相違点5
本願補正発明では、「前記複数の領域からの前記個別操作信号を一体として操作信号として処理する叩き操作検出手段を備え、前記評価手段は、前記複数個の模擬打楽器のうちの一部について、前記叩き操作検出手段で処理された操作信号との間で前記相関性の評価を行い、残りについて、前記各領域からの個別操作信号毎に前記相関性の評価を行う」のに対し、引用発明では、評価手段は、二つの太鼓のいずれについても、「太鼓の面」及び「太鼓の面の端のあたり」という各領域からの個別の操作信号毎に相関性の評価を行う点。

2.4 当審の判断

・相違点1について
操作タイミングを合わせる音楽ゲーム装置において、選択された曲の楽曲データの音声出力と同期させてタイミング情報を表示することは、例えば、引用例2に記載されるように周知の技術手段であり、引用発明において、当該周知技術を採用して、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

・相違点2について
ゲームコントローラをどのような向きで設置するかは、当業者が適宜設定可能な事項であり、引用発明において、ゲームコントローラを立直された太鼓状のものとして、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

・相違点3について
操作タイミングを合わせる音楽ゲーム装置において、叩き面部材の下面部に叩き検出部を設けることは、例えば、引用例2に記載されるように周知の技術手段であり、引用発明において、上記周知の技術手段を採用して、叩き面部材の下面部に叩き検出部を設けて、相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

・相違点4について
操作タイミングを合わせる音楽ゲーム装置の技術分野において、複数の入力手段について、モニタの画面をスクロール方向に直交する方向に複数の入力手段に対応する数のラインを設定して、各ラインに対応させて各入力手段に設定されているタイミング情報をガイドマーカとして表示することは、例えば、引用例2に記載されるように周知の技術手段である。
してみれば、引用発明において、上記周知の技術手段を採用して、タイミング情報を「太鼓の面」及び「太鼓の面の端のあたり」という各領域毎に表示するように構成して、相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

・相違点5について
引用発明においても、3種類のコースを選択することができ、各コースは難易度が異なる構成とされている。そして、操作タイミングを合わせる音楽ゲーム装置の技術分野において、ゲームの難易度を調整するに際し、操作する操作部材の個数を増減することにより、難易度を調整することは、例えば、引用例3に記載されているように周知の手法である。
また、引用発明では、各太鼓について、「太鼓の面」及び「太鼓の面の端のあたり」という二つの領域についての叩き操作が個別に検出されるものであるとともに、「太鼓の面」及び「太鼓の面の端のあたり」は、それぞれさらに左右の領域に分けられるものであるが、「太鼓の面」及び「太鼓の面の端のあたり」の左右の領域からの叩き信号は一体として処理されるものである。そうすると、引用例1には、本願補正発明の「前記複数の領域からの前記個別操作信号を一体として操作信号として処理する叩き操作検出手段」と同様の、「複数の領域からの個別操作信号を一体として操作信号として処理する」手段が開示されているといえる。
そして、音楽ゲーム装置においてどのように難易度を設定するかは、ゲーム内容や遊戯者の技量等を考慮して、当業者又は遊戯者が適宜設定可能な事項であるから、引用発明において、難易度を調整するに際し、操作する操作部材の個数を実質的に減少させるために、一方の太鼓について引用例1に開示されている「複数の領域からの個別操作信号を一体として操作信号として処理する」手段を採用することにより、実質的に操作する操作部材の個数を減少させ、評価手段においては、一方の太鼓については、「太鼓の面」及び「太鼓の面の端のあたり」を区別することなく相関性の評価を行い、他方の太鼓については、「太鼓の面」及び「太鼓の面の端のあたり」という各領域からの個別操作信号について相関性の評価を行うように構成して、相違点5に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

そして、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術から予測できる範囲内のものであって、格別のものということができない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

2.5 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
3.1 本願発明
上記2.に前述した理由により、平成17年2月21日付けの手続補正が却下されたことにより、当審が審理すべき本願発明は、平成15年5月23日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至10に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。

「画像を表示するモニタと、ゲームコントローラと、楽曲データと対応して前記ゲームコントローラへの操作を指示するべく設定されたタイミング情報を記憶する記憶手段と、曲選択手段と、選択された曲の前記楽曲データの音声出力と同期させて前記タイミング情報をガイドマーカとしてモニタ上で一方側から他方の基準マーカに向けてスクロール表示する表示制御手段と、前記ガイドマーカと基準マーカとの一致タイミングと前記ゲームコントローラからの操作信号の出力タイミングとの相関を評価する評価手段とを備え、
前記ゲームコントローラは、立直された太鼓状をなし、天井に叩き面部材が、該叩き面部材の下面部に叩き検出部が設けられ、叩き面への叩き操作を検出して叩き検出部から操作信号が出力可能にされた打楽器を模し、前記叩き検出部は前記叩き面を複数領域に分割したそれぞれの領域に少なくとも1以上のセンサを備えると共に前記各領域毎に個別操作信号が出力可能にされており、
前記タイミング情報は前記各領域毎に設定されており、前記表示制御手段は前記モニタの画面をスクロール方向に直交する方向に前記領域数分のラインを設定して各ラインに対応させて前記各領域毎に設定されている前記タイミング情報をガイドマーカとして表示し、前記評価手段は前記各領域からの個別操作信号毎に前記評価を行うことを特徴とする音楽ゲーム装置。」(以下、「本願発明」という。)

3.2 引用例及びその記載事項
3.2.1 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、週刊ファミ通 No.637(2001年3月2日号),株式会社エンターブレイン,第16巻第9号通巻637号,平成13年2月16日(工業所有権総合情報館受入),第166?167頁の記載事項は、「2.2.1 引用例1」に記載したとおりである。

3.3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明から「2.1 補正の内容及び補正の目的について」に記載した限定事項を省いたものである。

そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、「2.4 当審の判断」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-07-04 
結審通知日 2007-07-10 
審決日 2007-07-23 
出願番号 特願2001-44343(P2001-44343)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋山 斉昭  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 植野 孝郎
森内 正明
発明の名称 音楽ゲーム装置  
代理人 樋口 次郎  
代理人 小谷 悦司  
代理人 伊藤 孝夫  

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