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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01N
管理番号 1163767
審判番号 不服2004-1372  
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-19 
確定日 2007-09-05 
事件の表示 平成10年特許願第14817号「バイオセンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成11年7月30日出願公開、特開平11-201933〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年1月9日の出願であって、その請求項1ないし6に係る発明は、平成16年2月18日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる。
(以下、請求項1ないし6に係る発明を、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)

「【請求項1】基板の先端部に設けた作用極と前記基板の先端部に設けた対極を有するバイオセンサと、前記作用極はその上に固定化された酸化還元酵素を備えることと、前記電極の位置の近傍に設けられた接着剤層によって前記基板と接着された他の基板と、前記基板の先端部の間には測定サンプルを保持するための空間が形成されていることと、それぞれの基板の一端は前記空間に測定サンプルを吸引し、および保持するためにテーパー状に形成されていることとからなる、バイオセンサ。
【請求項2】接着剤層の形成が両面接着テープによって行われた請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項3】電極形成基板と接着剤層との間に絶縁層が形成された請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項4】作用極上に酸化還元酵素-電子伝達体混合物層が形成された請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項5】前記接着剤層は前記基板の間の少なくとも一部を形成する請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項6】基板の先端部に設けた作用極と前記基板の先端部に設けた対極を有するバイオセンサと、前記作用極はその上に固定化された酸化還元酵素を備えることと、前記電極の位置の近傍に設けられた接着剤層によって前記基板と接着された他の基板と、前記基板の先端部の間には測定サンプルを保持するための空間が形成されていることと、それぞれの基板の一端は前記空間に測定サンプルを吸引し、および保持するために凸部形状に形成されていることとからなる、バイオセンサ。」

2.引用刊行物の記載事項
当審において平成18年8月30日付けで通知した拒絶の理由に引用された刊行物1ないし3には以下の記載がある。

(1)刊行物1:特開平10-2874号公報
(1a)特許請求の範囲
「【請求項1】グルコースオキシダーゼを固定化せしめたグルコースバイオセンサにおいて、作用極と対極とを対面構造をとるように配置したグルコースバイオセンサ。
【請求項2】作用極側あるいは対極側に参照極を配置した請求項1記載のグルコースバイオセンサ。
【請求項3】作用極を配置した基板と対極を配置した基板との間にスペーサを介在させた請求項1または2記載のグルコースバイオセンサ。
【請求項4】各基板の一端側がそれぞれテーパー部を形成しており、テーパー部に作用極または対極の先端部が設けられている請求項3記載のグルコースバイオセンサ。」

(1b)従来の技術
「【0002】
【従来の技術】グルコースオキシダーゼを作用極上に固定化せしめた従来のグルコースバイオセンサにあっては、作用極以外に対極あるいは対極と参照極とが平面状基板の同一面上に配置されている。」(明細書段落【0002】)

(1c)スペーサ
「【0006】
【発明の実施の形態】図1は、基板1上に作用極2および参照極リード3を形成させたもの(a)、基板1´上に対極4を形成させたもの(b)および両面接着剤付きスペーサ(厚さ約100?500μm)5(c)よりなる素子構成要素を示しており、それらから組み立てられる素子の平面図は図2に、またその側面図は図3に示される。」(明細書段落【0006】)

(1d)グルコースオキシダーゼの固定化
「【0009】グルコースオキシダーゼの固定化、好ましくは作用極上への固定化は、以下に列挙される如く、グルコースオキシダーゼ単体としてばかりではなく、電子受容体(メディエータ)およびアルブミンの少なくとも一種を添加した混合物層としても形成される。
(1)グルコースオキシダーゼ層
(2)グルコースオキシダーゼ-電子受容体混合物層
(3)グルコースオキシダーゼ-アルブミン混合物層
(4)グルコースオキシダーゼ-電子受容体-アルブミン混合物層」(明細書段落【0009】)

(1e)テーパー形状のセンサー
「【0019】グルコースバイオセンサをグルコース水溶液に接触させる際、図4に示されるように、各基板1(1´)の一端側がテーパー部8(8´)を形成しており、テーパー部、好ましくはその先端に作用極2(または対極4)の先端部9(9´)が設けられている。即ち、図4は、基板1(あるいは1´)上に作用極2(あるいは対極4)を形成させたもの(a)および両面接着剤付きスペーサ5(b)よりなる素子構成要素を示しており、基板1,1´の作用極2側および対極4側を内側に向けて、スペーサ5を介して一体化させることができる。このような態様のセンサにあっては、離間された電極間がとがった形状の基板テーパー部に設けられることになるので、測定液が微少量ではあってもそれを直接採取することができ、従って作用極との接触も速やかに行われるので非常に好都合である。」(明細書段落【0019】、【図4】)

(2)刊行物2:特開平9-159642号公報
(2a)従来の技術
「また、特公平6-58338号公報はグルコースセンサ等として使えるバイオセンサをディスポーザブルタイプとしたものを提案している。このバイオセンサの構造は、図6?図8に示す如く、樹脂製のシート91aに、導電ペーストで印刷形成したリードの一端を利用して接続端子923とし、また、電極となるリードの他端上に電極物質を印刷形成した上で、接続端子923と電極922及び922aとを露出させる様に絶縁層94を印刷して残りのリードを覆い、さらに電極922及び922a上に酵素を固定した反応層95を形成して下側基板とし、これに反応層95の周囲に空間部96ができる様なスペーサシート97を介してカバーとなるシート91bを積層し、試料液は先端の導入口98から毛細管現象によって空間部に入り、また空間部内の気体は試料液の導入によって排出口99から押し出される様にした構造であり、微量の試料液と空間部内の気体との交換が円滑に行われるようにしたものである。」(明細書段落【0004】、【図6】)

(2b)発明の実施の形態
「図1、図2及び図3は、本発明のバイオセンサの一実施例を示す図であり、図1はその分解斜視図、図2は外観図、図3は断面図である。これら図面に示す本発明のバイオセンサ10は、2枚の絶縁性基板1a及び1bがスペーサ4を介して反応層3が面する空間部6を残す様に接着、積層された構造であり、積層前の両絶縁性基板は各々その内面側に電極系と、接着・積層する為のスペーサ4とを有している。両基板の電極系は、リード21、電極22、接続端子23、及び絶縁層5から構成されている。リード21はその一端が接続端子23を成し(兼用し)、他端は電極22がリード21上に形成され、露出不要部は絶縁層5で覆われている。」(明細書段落【0012】、【図1】?【図3】)

(2c)絶縁層
「【0016】なお、絶縁性基板、電極系、反応層、スペーサ等の材料及びそれらの形成は、従来公知の材料、方法より用途に合ったものを適宜選択すれば良い。例えば、絶縁性基板には、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)等からなる樹脂シート等を用いる。電極系には、リード及び接続端子は銀や金等の金属含有の導電性ペーストで、電極はカーボンペーストで、絶縁層は絶縁性ペーストで、各々スクリーン印刷により形成すれば良い。反応層は酵素センサでグルコースセンサとするならば、グルコースオキシダーゼを固定した層とすれば良く、酵素含有インキのスクリーン印刷で、或いは塗液のディスペンサによる塗布で形成する。また、この他、例えば検体試料液の滲み込みを制御する等の層があっても良い。」(明細書段落【0016】)

(2d)スペーサ
「【0017】スペーサは、PETシートを用い、PETシートを介して接着剤で絶縁性基板同士を接着固定しても良いが、空間部を形成すべく予め所定形状にしたシートを要する点で、少なくとも一方の絶縁性基板に(空間部を形成する様なパターンに)印刷又は部分塗布により形成したものを用いるのが、部品点数削減、低コスト化の点で利点がある。印刷又は部分塗布なるスペーサの形成手段は、用いる材料によって適宜選択すれば良い。印刷は厚く形成できる点でスクリーン印刷が好適だが、該印刷が不向きな材料は、例えば、ホットメルト等のアプリケータや、塗布用の版形状によって、部分的に塗布する。製造は通常、多面付けで行うが、隣接するセンサに連なる連続ストライプ状、或いは隣接するセンサ間で不連続な間欠的ストライプ状等とすれば、印刷が不向きな材料の塗布形成も比較的容易にできる。印刷又は部分塗布によるスペーサ材料としては、例えば、熱活性熱硬化型粘着剤等のホットメルト型粘着剤、或いは熱活性熱硬化型接着剤等のホットメルト型接着剤等のホットメルト接着剤等が使用でき、これら樹脂成分としては例えばアクリル系樹脂、シリコーンエラストマー等が用いられる。また、印刷適性、塗工適性等の向上に適宜、充填剤等の添加剤を加える。そして、2枚の絶縁性基板を積層して、熱、及び必要に応じて適度な圧力を加えれば、形成されたスペーサが熱で活性化して、両絶縁性基板を接着、固定する。また、粘着剤、或いは接着剤の一回の印刷又は塗布で、絶縁性基板間を所望の間隔(電極系の厚み分を空間部で収容でき反応層まで試料液を導き接触させ得る間隔であれば良く、通常は50?300μm程度)にできる程度の厚みに形成できないときは、複数回の印刷又は塗布を重ねて行っても良い。この場合、同一材料とせず、厚み機能を受け持つ層を、接着機能を受け持つ層が挟む様に形成しても良い。厚み機能を受け持つ層には、熱で接着力が発現する機能は不要であり、厚盛りができるスクリーン印刷インキ等であれば良く、例えば、厚盛り可能な絶縁性ペースト等でも良い。なお、反応層形成後に、スペーサを形成する場合、スペーサから測定妨害物質が仮に出たとしても反応層を保護できる様に保護層で覆っておいても良い。例えば、グルコースオキシダーゼを含有する反応層の場合、リン脂質を含有するインキ又は塗液を印刷又は塗布しておく。」(明細書段落【0017】)

(3)刊行物3:特開平9-292355号公報
(3a)特許請求の範囲
「【請求項1】 電極系(3)と酵素を担持する反応層(4)とを有する基板(1)と、所定間隔を存して基板(1)と対向する平板(2)とを有し、基板(1)と平板(2)との周縁において間隙の内部の空気の自由流動を許容すべく間隙が開放されてあり、酵素の存在下における被験液中の測定対象物質の反応により生成され、もしくは消失される物質の濃度に対応する電気信号を前記電極系(3)から出力することを特徴とするバイオセンサ。」

(3b)突出部
「【0013】前記カバー部材2は、基板1の突出部1bと対応する部分のみが薄肉に形成され、カバー部材2を基板1に接着固定した状態において、突出部1bとカバー部材2との間に所定の間隙を形成する。ここで、突出部1bの幅は、例えば、1.2mmもしくは1.5mmに設定され、間隙は、例えば、250μmもしくは500μmに設定される。幅および間隙をこのように設定することにより、被験液導入時に十分な毛細管現象を得ることができ、また、突出部1bとカバー部材2との間の空間における空気の流動性を高めることができる。なお、ここで、間隙は、その周縁の殆どの範囲において開放されているが、1/2以上の範囲において開放されていればよい。」(明細書段落【0013】)

(3c)電極系
「【0014】前記電極系3は、第1対向電極3a、第1作用電極3b、第2対向電極3c、第2作用電極3dおよび第3対向電極3eをこの順に突出部1b上に、かつ突出部1bの長手方向に配設してあるとともに、第3対向電極3eに対して突出部1bの幅方向に併設する状態で参照電極3fを形成してある。前記反応層4は、第1対向電極3a、第1作用電極3bおよび第2対向電極3cを覆うものであり、前記反応層4´は、第2対向電極3c、第2作用電極3d、第3対向電極3eおよび参照電極3fを覆うものである。また、反応層4は、第1対向電極3a、第1作用電極3bおよび第2対向電極3cを覆う固定化酵素膜4aと、この固定化酵素膜4aの全範囲を覆うオーバーコート膜4bとで構成されている。反応層4´は、第2対向電極3c、第2作用電極3d、第3対向電極3eおよび参照電極3fを覆う4a´と、この4a´の全範囲を覆うオーバーコート膜4b´とで構成されている。」(明細書段落【0014】)

3.対比・判断
(1)刊行物1記載の発明
上記刊行物1の特許請求の範囲請求項4に記載されているバイオセンサは、「作用極と対極とを対面構造をとるように配置し、作用極を配置した基板と対極を配置した基板との間にスペーサを介在させ、各基板の一端側がそれぞれテーパー部を形成しており、テーパー部に作用極または対極の先端部が設けられている」ものであり(上記記載(1a)参照)、さらに、上記記載(1d)(1e)から明らかなように、作用極の上に固定化された酸化還元酵素を備え、スペーサが両面接着剤付きスペーサであり、作用極あるいは対極はテーパー状の基板の先端部に設けられ、テーパー形状の2枚の基板の先端部の間には測定サンプルを保持するための空間が形成されているものであるから、刊行物1には、「基板の先端部に設けた作用極と前記基板と対向する他の基板の先端部に設けた対極を有するバイオセンサであって、前記作用極はその上に固定化された酸化還元酵素を備え、前記電極の位置の近傍に設けられた両面接着剤付きスペーサによって前記基板と接着された他の基板と、前記基板の先端部との間には測定サンプルを保持するための空間が形成され、それぞれの基板の一端は前記空間に測定サンプルを吸引し、および保持するためにテーパー状に形成されていることとからなる、バイオセンサ」(以下、「刊行物1記載の発明」という)が記載されているものと認められる。

(2)本願発明1について
本願発明1と上記刊行物1記載の発明とを比較すると、両者の一致点、相違点は下記のとおりである。

(一致点)
「基板の先端部に設けた作用極と、対極とを有するバイオセンサと、前記作用極はその上に固定化された酸化還元酵素を備えることと、前記電極の位置の近傍に設けられた接着剤によって前記基板と接着された他の基板と、前記基板の先端部との間には測定サンプルを保持するための空間が形成されていることと、それぞれの基板の一端は前記空間に測定サンプルを吸引し、および保持するためにテーパー状に形成されていることとからなる、バイオセンサ」

(相違点1)
本願発明1では、作用極及び対極が同じ基板の先端部に設けられているのに対し、刊行物1記載の発明では、作用極と対極とは対向している別々の基板の先端部に設けられている点。

(相違点2)
本願発明1では、基板と他の基板とが接着剤層によって接着されているのに対し、刊行物1記載の発明では、両面接着剤付きスペーサによって接着されている点。

上記相違点について検討するに、バイオセンサにおいて、同じ基板に作用極と対極を設けることは、上記記載(2a)(3c)にもあるようにこの出願前周知の事項であり、刊行物1記載のバイオセンサにおいて、対面構造の基板の先端部にそれぞれ作用極と対極を設けることに代えて、同じ基板の先端部に作用極と対極とを設けるようにすることは、当業者が実施にあたり適宜なし得る設計変更にすぎない。また、基板と他の基板とをスペーサーを介さず接着剤層のみによって接着することは、上記刊行物2に記載されており(上記記載(2d)参照)、刊行物1に記載のバイオセンサにおいて、スペーサーを省略してそれぞれの基板を接着剤層のみによって接着することは、当業者であれば容易に想到できるものである。
したがって、上記相違点1、2に挙げられた構成は、上記刊行物1?3に記載された発明及び周知の事項から当業者が容易に想到し得るものであり、また、このような構成を採用したことによる効果も予測される範囲内のものであって格別のものではない。

(3)本願発明2ないし5について
本願発明2は、本願発明1の構成に「接着剤層の形成が両面接着テープによって行われた」という構成をさらに付加したものであり、本願発明3は、本願発明1の構成に「電極形成基板と接着剤層との間に絶縁層が形成された」という構成をさらに付加したものであり、本願発明4は、本願発明1の構成に「作用極上に酸化還元酵素-電子伝達体混合物層が形成された」という構成をさらに付加したものであり、本願発明5は、本願発明1の構成に「前記接着剤層は前記基板の間の少なくとも一部を形成する」という構成をさらに付加したものである。
しかし、両面接着テープは接着手段としては周知慣用のものであるから、このような両面接着テープによって接着剤層を形成することは当業者が容易に想到できるものであり、また、電極を有する基板と接着剤層との間に絶縁層を介在させることは上記刊行物2に記載されている(上記記載(2b)(2c)参照)ことから、電極形成基板と接着剤層との間に絶縁層を形成させることは当業者であればこれらの記載に基づいて容易に想到できるものであり、また、作用極上に酸化還元酵素-電子伝達媒体混合物層を形成させることは上記記載(1d)にもあるように常套手段として知られているから、作用極上にこのような混合物層を形成させることは当業者が実施にあたり適宜なし得るものであり、また、2枚の基板の間に接着剤層が介在するとき、該接着剤層が2枚の基板の間の一部を形成することは実施の一形態にすぎないから(上記記載(2b)(2d)参照)、接着剤層を基板の間の少なくとも一部を形成するようになすことも当業者が実施にあたり適宜なし得るものである。
したがって、本願発明1に付加された上記の各構成は、いずれも上記刊行物1?3に記載された発明及び周知の事項から当業者が容易に想到し得るものであり、また、このような構成を採用したことによる効果も予測される範囲内のものであって格別のものではない。

(4)本願発明6について
本願発明6と上記刊行物1記載の発明とを比較すると、両者の一致点、相違点は下記のとおりである。

(一致点)
「基板の先端部に設けた作用極と、対極とを有するバイオセンサと、前記作用極はその上に固定化された酸化還元酵素を備えることと、前記電極の位置の近傍に設けられた接着剤によって前記基板と接着された他の基板と、前記基板の先端部との間には測定サンプルを保持するための空間が形成されていることと、それぞれの基板の一端は前記空間に測定サンプルを吸引し、および保持するために特定形状に形成されていることとからなる、バイオセンサ」

(相違点1)
本願発明6では、作用極及び対極が同じ基板の先端部に設けられているのに対し、刊行物1記載の発明では、作用極と対極とは対向している別々の基板の先端部に設けられている点。

(相違点2)
本願発明6では、基板と他の基板とが接着剤層によって接着されているのに対し、刊行物1記載の発明では、両面接着剤付きスペーサによって接着されている点。

(相違点3)
本願発明6では、それぞれの基板の一端が凸部形状に形成されているのに対し、刊行物1記載の発明では、それぞれの基板の一端がテーパー状に形成されている点。

上記相違点1及び2についての判断は、上記(2)項において述べたとおりである。次いで、相違点3について検討するに、二つの基板の間に測定サンプルを保持するための空間が形成されているバイオセンサにおいて、前記空間に測定サンプルを吸引し、および保持するためにそれぞれの基板の一端を凸部形状とすることは上記刊行物3に記載されており(上記記載(3a)(3b)参照)、刊行物1記載のバイオセンサにおいて、二つの基板の間の空間に測定サンプルを吸引し、および保持するためにそれぞれの基板の一端をテーパー状に形成することに代えて、それぞれの基板の一端を凸部形状に形成することは、上記記載に基づいて当業者が容易になし得る設計変更にすぎない。
したがって、上記相違点1ないし3に挙げられた構成は、前記刊行物1?3に記載の発明及び周知の事項から当業者が容易に想到し得るものであり、また、このような構成を採用したことによる効果も予測される範囲内のものであって格別のものではない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明1ないし6は、上記刊行物1ないし3に記載された発明あるいは周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する
 
審理終結日 2007-04-04 
結審通知日 2007-04-10 
審決日 2007-04-23 
出願番号 特願平10-14817
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷垣 圭二黒田 浩一竹中 靖典  
特許庁審判長 鐘尾 みや子
特許庁審判官 高橋 泰史
▲高▼見 重雄
発明の名称 バイオセンサ  
代理人 恩田 博宣  

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