• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1164429
審判番号 不服2005-11839  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-06-23 
確定日 2007-09-13 
事件の表示 特願2000-205184「住宅プラン作成方法および住宅プラン作成システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月25日出願公開、特開2002- 24317〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年7月6日の出願であって、平成16年9月27日付けの拒絶理由通知に対して、同年12月6日付けで手続補正がされたが、平成17年5月17日付けで拒絶査定され、これに対し、同年6月23日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同年7月25日付けで手続補正がされたものである。


第2 平成17年7月25日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年7月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正前及び本件補正後の本願発明
本件補正は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするもので、特許請求の範囲については、本件補正前の請求項13に記載の「ダウンロードする」事項について、「各表示用データ」をダウンロードすることを限定するものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものである。
そこで、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かを、請求項13に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)について以下に検討する。
本願補正発明は、次のとおりのものである。
「【請求項13】画面上で住宅の構成要素を組み合わせて間取りプランを作成するための住宅プラン作成システムであって、前記構成要素の選択候補の表示用データと、前記表示用データに基づき選択候補を表示させる処理と、前記選択候補から選択された住宅の構成要素を、操作により画面上で組み合わせる処理と、を実現するのに必要なプラン作成用プログラムと、を操作端末にダウンロードさせるために格納したサーバを備え、
前記操作端末にて、ブラウザを起動し、該操作端末からインターネットに接続する処理を行って、操作端末の画面に前記サーバに備えられたウェブページデータベース内のデータに基づいてウェブページを表示させ、さらに、該ウェブページ内の所定箇所をクリックする操作により、プラン作成用プログラムと各表示用データとを操作端末の作業領域メモリにダウンロードすることを特徴とする住宅プラン作成システム。」

2.引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願日の前である平成12年3月28日に頒布された特開2000-87458号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(a)
「【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態に係る積算用CADシステム1は、ユニット式建物を設計するとともに、その設計の平面間取り図に基づいて建物の積算を行うものである。CADシステム1には、本システム1の核となるコンピュータ本体10と、設計している階の平面図等を表示するCRT表示装置2と、コンピュータ本体10等の操作を行うための入力装置3と、設計した平面図等を製図するX-Yプロッタ装置またはプリンタ等の入力手段4とが設けられている。
【0019】コンピュータ本体10は、記憶装置であるハードディスク装置20と、各種の処理を行う演算装置であるCPU30とを含んで構成されたものである。このうち、ハードディスク装置20には、記憶される情報の属性毎に複数の記憶領域が設定されている。これらの記憶領域としては、ユニット式建物を構築するための部品に関する部品データが蓄積された部品情報蓄積手段21と、設計されたユニット式建物の積算を行うために、ユニット式建物の本体ならびにその基礎の部品、部材および工賃の価格等に関する価格データが蓄積された積算情報蓄積手段22とが設けられている。
【0020】CPU30は、各種のソフトウェアがインストールされ、これらのソフトウェアを並列処理するマルチタスク機能を有するものである。CPU30には、ソフトウェアにより、ハードディスク装置20の部品情報蓄積手段21から入力された部品データを用いてユニット式建物の平面図を設計する平面図設計手段31と、ハードディスク装置20の積算情報蓄積手段23から入力された価格データを用いて、設計したユニット式建物を積算する積算手段32とが設けられている。なお、CPU30には、以上の手段31、32の他に、部品情報蓄積手段21、積算情報蓄積手段22に蓄積されたデータの入出力を管理する情報管理手段35が設けられている。
【0021】ところで、CADシステム1では、設計を行うにあたり、建物ユニットの各内部平面には、その内部に設けられる部品の設置位置の基準線であるグリッドモジュール心線が格子状に複数設定され、かつ、他の建物ユニットとの接合作業のために必要となる接合領域が建物ユニットの四隅に四箇所設定される。
【0022】そして、ユニット式建物の内部空間を仕切る部品である間仕切壁は、建物ユニットのグリッドモジュール心線に沿って配置される。また、階段も通常、間仕切り壁に沿って配置されるため、グリッドモジュール心線に沿って配置される。さらに、トイレ等の設備機器や、ドア(扉)等の建具もグリッドモジュール心線等に合わせて適宜配置される。ここで、部品情報蓄積手段21には、間仕切壁、建具、設備機器、仕上げ材、現場調達部材等の各部品データが蓄積されている。また、積算情報蓄積手段23には、各部品の価格データが蓄積されている。
【0023】平面図設計手段31には、図2に示されるように、間仕切壁、建具、設備機器等の各部品を選択して平面図上に入力する部品入力手段36と、この部品入力手段36で入力された部品を積算のために順次指示する指定部品指示手段37と、
(中略)
とを備えて構成されている。
【0024】部品入力手段36は、部品情報蓄積手段21に蓄積された間仕切壁、建具、設備機器等の各部品データを選択し、その部品データを間取りに応じて平面図上の所定の場所に入力するものである。指定部品指示手段37は、画面のポップアップ・メニューに示された各部品の中から必要なものをクリックして、その部品を画面上に表すものである。」
(b)
「【0045】以上本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、この実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。例えば、部品情報蓄積手段21、積算情報蓄積手段22を比較的大型の第1のコンピュータ内に構成し、平面図設計手段31、積算手段32を別の比較的小型の第2のコンピュータ内に構成するとともに、第2のコンピュータを複数設け、かつ、第1のコンピュータと、複数の第2のコンピュータと通信手段で相互に接続してもよい。このようにすれば、部品情報、基礎情報および積算情報が収納されたファイルを著しく大きくできるうえ、当該ファイルの管理およびメンテナンスを一括して行うことができる。また、積算手段32は、平面図設計手段31とは別のコンピュータに設けてもよく、オンラインまたはオフラインでデータの受け渡しを行うことにより、前記実施形態と同様の動作が確保できる。
【0046】さらに、本発明においては、ハードディスク20に記録される前記部品情報蓄積手段21、積算情報蓄積手段22等の各種データは、FD、CD-ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してCADシステム1を実現するコンピュータに提供したり、パソコン通信、インターネットなどのネットワークを介して各コンピュータに提供してもよい。また、平面図設計手段31は、コンピュータ本体10で実現されるプログラムであるため、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して各コンピュータに提供したり、パソコン通信、インターネットなどのネットワークを介して各コンピュータに提供して機能させてもよい。」

3.対比
本願補正発明と引用例に記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを比較する。
引用発明の「建物」、「部品」、「平面図」、「CADシステム」、「部品データ」、「平面図設計手段」、「コンピュータ本体」、及び、「第1のコンピュータ」は、それぞれ、本願補正発明の「住宅」、「構成要素」、「間取りプラン」、「住宅プラン作成システム」、「表示用データ」、「プラン作成用プログラム」、「操作端末」、及び、「サーバ」に相当する。
上記2(a)によれば、引用発明の「平面図設計手段」(本願補正発明の「プラン作成用プログラム」に相当)は、部品情報蓄積手段に蓄積された間仕切壁、建具、設備機器等の各部品データを選択し、その部品データを間取りに応じて平面図上の所定の場所に入力する部品入力手段と、画面のポップアップ・メニューに示された各部品の中から必要なものをクリックして、その部品を画面上に表す指定部品指示手段とを備えているから、本願補正発明の「表示用データに基づき選択候補を表示させる処理と、前記選択候補から選択された住宅の構成要素を、操作により画面上で組み合わせる処理と」を実現するために必要なプログラムを含んでいるといえる。
上記2(b)によれば、実施形態の改良並びに設計の変更の例として、部品データが蓄積された部品情報蓄積手段を第1のコンピュータ内に構成し、平面図設計手段を第2のコンピュータ内に構成して、通信手段で相互に接続する点、及び、平面図設計手段をインターネットなどのネットワークを介して各コンピュータに提供して機能させる点、が記載されているから、引用発明には、「第1のコンピュータ」(本願補正発明の「サーバ」に相当)内に、「部品データ」(本願補正発明の「表示用データ」に相当)と、「平面図設計手段」(本願補正発明の「プラン作成用プログラム」に相当)と、を「コンピュータ本体」(本願補正発明の「操作端末」に相当)にダウンロードさせるために格納して、該コンピュータ本体からインターネットに接続する処理を行って、平面図設計手段と各部品データとをコンピュータ本体にダウンロードする形態が含まれるものといえる。よって、本願補正発明と引用発明とは、「操作端末からインターネットに接続する処理を行って、プラン作成用プログラムと各表示用データとを操作端末にダウンロードする」点で一致している。

すると、本願補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。
「画面上で住宅の構成要素を組み合わせて間取りプランを作成するための住宅プラン作成システムであって、前記構成要素の選択候補の表示用データと、前記表示用データに基づき選択候補を表示させる処理と、前記選択候補から選択された住宅の構成要素を、操作により画面上で組み合わせる処理と、を実現するのに必要なプラン作成用プログラムと、を操作端末にダウンロードさせるために格納したサーバを備え、
前記操作端末からインターネットに接続する処理を行って、プラン作成用プログラムと各表示用データとを操作端末にダウンロードすることを特徴とする住宅プラン作成システム。」

一方で、両者は、次の相違点で相違する。
操作端末からインターネットに接続する処理を行って、プラン作成用プログラムと各表示用データとを操作端末にダウンロードする際、本願補正発明では、操作端末にて、ブラウザを起動し、該操作端末からインターネットに接続する処理を行って、操作端末の画面にサーバに備えられたウェブページデータベース内のデータに基づいてウェブページを表示させ、さらに、該ウェブページ内の所定箇所をクリックする操作により、プラン作成用プログラムと各表示用データとを操作端末の作業領域メモリにダウンロードするのに対し、引用発明では、コンピュータ本体におけるインターネットに接続する処理を含む何らかの動作により、コンピュータ本体内の何らかのメモリにダウンロードするものであることは明らかであるものの、該ダウンロードが、「コンピュータ本体」(本願補正発明の「操作端末」に相当)にて、ブラウザを起動し、該コンピュータ本体からインターネットに接続する処理を行って、コンピュータ本体の画面に「第1のコンピュータ」(本願補正発明の「サーバ」に相当)に備えられたウェブページデータベース内のデータに基づいてウェブページを表示させ、さらに、該ウェブページ内の所定箇所をクリックする操作によりなされるとともに、コンピュータ本体の「作業領域メモリ」にダウンロードされることは明確でない点。

4.判断
そこで、上記相違点について検討する。
一般に、インターネットを介してサーバからプログラムやデータを端末であるコンピュータにダウンロードする技術の分野において、コンピュータにて、ブラウザを起動し、該コンピュータからインターネットに接続する処理を行って、コンピュータの画面にサーバに備えられたウェブページデータベース内のデータに基づいてウェブページを表示させ、さらに、該ウェブページ内の所定箇所をクリックする操作により、プログラムやデータをコンピュータ内のメモリにダウンロードすることは、常套手段である。また、インターネットを介してサーバからプログラムやデータを端末にダウンロードして利用する技術の分野において、プログラムやデータを端末のRAM等の作業領域メモリにダウンロードすることは、例えば、特開2000-115373号公報(平成12年4月21日公開。【0046】等参照。)、特開平11-331811号公報(【0043】等参照。)等にて、周知技術である。よって、これらの常套手段及び周知技術を引用発明に採用して、「「コンピュータ本体」(本願補正発明の「操作端末」に相当)にて、ブラウザを起動し、該コンピュータ本体からインターネットに接続する処理を行って、コンピュータ本体の画面に「第1のコンピュータ」(本願補正発明の「サーバ」に相当)に備えられたウェブページデータベース内のデータに基づいてウェブページを表示させ、さらに、該ウェブページ内の所定箇所をクリックする操作により、「平面図設計手段」(本願補正発明の「プラン作成用プログラム」に相当)と各「部品データ」(本願補正発明の「表示用データ」に相当)とをコンピュータ本体の作業領域メモリにダウンロードする」構成とすることは当業者が容易になし得ることである。また、それによる作用効果も当業者にとって容易に予測される程度のものにすぎない。
したがって、本願補正発明は、引用発明並びに常套手段及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.本件補正についてのむすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たさないものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1.本願発明
平成17年7月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項13に係る発明は、平成16年12月6日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項13に記載されたとおりのものであるところ、請求項13に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項13】 画面上で住宅の構成要素を組み合わせて間取りプランを作成するための住宅プラン作成システムであって、前記構成要素の選択候補の表示用データと、前記表示用データに基づき選択候補を表示させる処理と、前記選択候補から選択された住宅の構成要素を、操作により画面上で組み合わせる処理と、を実現するのに必要なプラン作成用プログラムと、を操作端末にダウンロードさせるために格納したサーバを備え、
前記操作端末にて、ブラウザを起動し、該操作端末からインターネットに接続する処理を行って、操作端末の画面に前記サーバに備えられたウェブページデータベース内のデータに基づいてウェブページを表示させ、さらに、該ウェブページ内の所定箇所をクリックする操作により、プラン作成用プログラムを操作端末の作業領域メモリにダウンロードすることを特徴とする住宅プラン作成システム。


2.引用刊行物記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2 [理由]2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2 [理由]1.」で検討した本願補正発明から、「ダウンロードする」事項について、「各表示用データ」をダウンロードするという限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、更に他の要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 [理由]4.」に記載したとおり、引用発明並びに常套手段及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明並びに常套手段及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項13に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-07-11 
結審通知日 2007-07-17 
審決日 2007-07-31 
出願番号 特願2000-205184(P2000-205184)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加舎 理紅子木方 庸輔  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 井上 健一
加藤 恵一
発明の名称 住宅プラン作成方法および住宅プラン作成システム  
代理人 荒船 博司  
代理人 荒船 博司  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ