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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B31D
管理番号 1164437
審判番号 不服2006-4573  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-10 
確定日 2007-09-13 
事件の表示 特願2003- 99940「折り畳みシート製品及びその製造装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月 4日出願公開、特開2004- 66802〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、1992年9月4日に出願した特願平5-505862号の一部を2003年4月3日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1?15に係る発明は、平成18年3月10日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、その請求項12に係る発明は次のとおりである。
「第一のアコーディオン蛇腹状折り目セットとこれに直交する第二のアコーディオン蛇腹状折り目セットで折り畳まれたシートからなる製品であって、非剛性材料を付加することによって前記折り畳みシートの2つの反対側に位置する外側セグメントを剛性化したことを特徴とする折り畳みシート製品。」(以下、「本願発明」という)

2.原査定の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、「本願の請求項12に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、そして、本願の請求項12に係る発明に対しては、引用刊行物1として、特表昭63-503246号公報(以下、「刊行物1」という)が引用された。

3.当審の判断
(1)刊行物1の記載事項
a.特許請求の範囲の請求項1および11には、
「1.第1のセットのコンチェルティーナ折り目と、シートがこれらの折り目で折畳まれたときにこれらの折り目に対し横断方向の第2のセットのコンチェルティーナ折り目とを有する前記定義のようなシート材料であって、シートには、シートの対角方向対向隅角部またはその付近の区画であって複数の折り目および/または複数の端縁とで形成されるシートの該区画に2つの補強部分が設けられているシート。」および、
「11.補強部分以外の材料が紙または紙状の材料であり、補強部分が材料の残部に添着された主としてプラスチックからなる半剛性材料である、前記請求の範囲のいずれかに記載のシート。」と記載されている。
b.第2頁右上欄3行?右下欄20行には、
「背 景
本発明は折畳みシート材料に関するが、それが折畳みの状態であるかまたは拡げた状態であるかは問わない。地図を第1のセットの垂直コンチェルティーナ(手風琴の一種)折り目で折畳み(これはシートの正面から裏面に交互に折畳むことを意味する)、地図がこのように折畳まれたあと第2のセットの水平な折り目(コンチエルティーナではない)で折畳むことは既知である。このような地図が、折畳みにより形成される1つの隅角部区画全体上右覆い地図の外側で同様な形状ではみ出すように伸長する補強部分を有し、これにより地図が完全に折畳まれたとき外側補強部分は地図の上に折重ねられ、この結果地図は相互にヒンジ結合される2つの補強部分の間に完全に含められることもさらに既知である。
発明
以下の説明と請求の範囲で使用される「シート材料」とはとくに注釈がない限り、それが折畳み状態であるが否かを問わず中に折り目を有するシート材料とここでは定義され、さらに容易に拡げられて(このときも折り目は消えることなく)再び折畳みが可能な折り目を有する材料でもある。これは紙であっても、通常その上に文字の印刷が可能な紙状のプラスチック材料であっても…略…よい。…略…本発明は、第1のセットのコンチェルティーナ折り目と、シートがこれらの折り目で折畳まれてあるときにこれらに対し横断方向となる第2のセットのコンチェルティーナ折り目とを有する前記定義のような材料の1枚シートからなり、このシートには、シートの区画に2つの補強部分が設けられ該区画はシートの対角方向対向隅角部またはその付近にあって複数の折り目および/または複数の端縁とで形成される。
これによりこの材料のシートを、一方の手で片方の補強部分を掴み、他方の手で他方の補強部分を第1の補強部分から引離すような一回の動作で拡げることが可能である。
一方または両方のセットの折り目は、…略…好適実施例では、シートは長方形であり、折り目のセットは相互に直角でありかつシートのそれぞれの端縁に平行であり、シートが第1のセットの折り目で折畳まれた後に第2のセットの折り目で折畳まれて最終的にシートのそれぞれの隅角部区画の大きさになったときに、補強部分がシートの外側に来るようになる。
この場合、特に第1のセットが奇数個の折り目からなりかつ第2のセットが偶数個の折り目からなるのであれば、一方の手が裏側の補強部分を掴み、一方で他方の手が表側の補強部分を掴んで、最初に下側に引張り次に横に反転させると実際にシートを一回の動作で拡げることができ、シートは折り目のところおよび折り目の付近で可撓性をもっている。実験によれば、この動作に最適な折り方は、第1のセットが5つの折り目で第2のセットが2つの折り目を有するものであることが分かった。さらに、もし補強部分がシートのそれぞれの隅角部区画よりわずかに大であれば補強部分は掴みやすい。さらに逆動作により一回の動作で比較的簡単にシートを折り畳める。このとき折畳まれたシートを維持するように補強部分を相互に保持するのに適した保持手段を設けた補強部分がこの構成に組み合わせられれば、迅速な拡げと迅速な折り畳みが可能でしかも不都合なしわが寄ることなく特に特に取り扱いの便利な実施例が実現可能である。」と記載されている。
c.第3頁右上欄2行?第4頁右上欄末行には、
「例として添付の図面を参照する。ここで、第1図、第2図、第3図および第4図は(この順序に)、本発明の実施例を開放、すなわち拡げる順次過程と、(矢印に示すように)逆の順序で本実施例を閉鎖、すなわち折畳む順次過程とを示し、また第1図、第4図および第5図は、本発明の実施例の選択的特徴を示す。図面、特に第4図を参照すると、前記定義の材料のシートである1枚の紙10は、第1のセットのコンチェルティーナ折り目12と、このシートがこれらの折り目で第3図に示す位置に折畳まれたときにこれらの折り目に対し横断方向となる第2のセットのコンチェルティーナ折り目14とを有し、このシートには2つの補強部分16、18が設けられ、それらはシートの対角方向対向隅角部24、26またはその付近のシート10の折り目12、14と端縁28、30とにより形成されるシート10の区画20、22にある。
第4図から容易に分るように、シート10は拡げられたとき長方形であり、折り目12、14のセットは相互に直角でありかつシート10のそれぞれの端縁28、30に平行であり、(第3図に示すように)シートが第1のセットの折り目12で折畳れた後に(第1図に示すように)第2のセットの折り目14でも折畳まれたときに補強部分16、18はシート10の外側に来るようになっていて、補強部分16、18はシート10のそれぞれの隅角部区画20、22と少なくとも同じ大きさである。
第4図から、第1のセットは奇数個の、具体例では5つの折り目12からなり、第2のセットは偶数個の、具体例では2つの折り目14からなることが分かる。
前記のように掴みやすくしかつシート10と折り目12、14とを保護するために、補強部分16、18は実際にはシート10のそれぞれの隅角部区画20、22の大きさよりわずかに大であって、後記(および前記)のように区画がクレジットカードの大きさの場合は、各側部で2mmぐらいより大きくなっている。
補強部分16、18には(…略…)、シート10を折畳んで第1図に示す位置に維持するために部分16、18を相互に保持するのに適した保持手段を設けるのが好ましい。
…略…
補強部分16、18は通常クレジットカードに使用されるようなプラスチック材料であることが好ましい。これにより部分16を左手で掴んで部分18を図面の右方向順序に外側および下側方向に動かすことが可能で、この結果シート10は第2図、第3図および第4図に示す順序で自動的に拡げらける。このとき部分18は右手で掴んで部分16から引離すようにわずかに引張ることによりシートを拡げて保持して中の文字を容易に読むことができる。シート10を閉じるには、手のひらを自分の方向に向けながら第4図において部分16、18をそれぞれ左手と右手とで掴んで、次に部分18を右手で矢印38に示すように左方向に移動させて部分18およびシート10が第3図に示す位置をとるように部分18を反転させる。次に矢印40に示すように上方に折返し動作を継続して順次第2図および第1図に示す位置にもっていく。
…略…
シート全体を標準クレジットカードに類似の寸法に折畳むことにより、これは標準クレジットカード入れの中に納めることが可能である。シートは、1枚以上の地図と、メモ書きシートと、栄養表シートと、酒場シート(データおよび地図を含む)とを含めることが可能である。このシートはEコードの食品添加物のビジネス情報またはリストを含めてもよい。本発明を態様化したシートの主な用法は、
1.旅行用:例えば、地図、メモ書き、辞書、ビジネス/実務情報。2.清算/買物用:食事、ワイン、チーズ、ダイエット食(カロリー、塩分、コレステロールなどの含有量)。
3.レジャー用:写真(例えば取扱説明書)、観察(例えば野鳥、樹木、飛行機)。
4.緊急用:初期手当、コード。
…略…」と記載されている。

してみれば、刊行物1には、
「第1のセットのコンチェルティーナ折り目と、紙または紙状シートがこれらの折り目で折畳まれたときにこれらの折り目に対し横断方向の第2のセットのコンチェルティーナ折り目とを有する前記定義のような地図シート材料であって、前記シートには、前記シートの対角方向対向隅角部またはその付近の区画であって複数の折り目および複数の端縁とで形成される前記シートの該区画に2つの半剛性材料プラスチックからなる補強部分が設けられ、第1のセットが奇数個の折り目からなりかつ第2のセットが偶数個の折り目として、一方の手で片方の補強部分を掴み、他方の手で他方の補強部分を第1の補強部分から引離すような一回の動作で拡げることが可能な折畳み地図シート。」の発明(以下、「引用発明」という)が記載されているものと認められる。

2.対比・判断
(1)引用発明における「第1のセットのコンチェルティーナ折り目」、「第2のセットのコンチェルティーナ折り目」、「地図シート」、「対角方向対向隅角部の区画」、「折畳み地図シート」は、本願発明の「第一のアコーディオン蛇腹状折り目セット」、「第二のアコーディオン蛇腹状折り目セット」、「シート」、「2つの反対側に位置する外側セグメント」、「折り畳みシート製品」に夫々相当する。
そして、両者は、
「第一のアコーディオン蛇腹状折り目セットとこれに直交する第二のアコーディオン蛇腹状折り目セットで折り畳まれたシートからなる製品であって、材料を付加することによって前記折り畳みシートの2つの反対側に位置する外側セグメントに材料を付加したことを特徴とする折り畳みシート製品。」で一致し、以下の点で相違している。

相違点:本願発明では、対角方向対向隅角部の区画に「付加した材料」として「非剛性材料」を用い「剛性化」したものであるのに対し、引用発明では、「付加した材料」として「半剛性材料プラスチック」としか記載がない点。

(2)そこで上記相違点について検討する。
引用発明のものにおいても、「剛性」の程度は、「対角方向対向隅角部の区画」に「半剛性のプラスチック」を貼付するにあたって「半剛性」のままとするか「剛性化」を発現するかは、いかなる接着剤を、いかなる厚みにするかによって、当業者が必要に応じて適宜調整し得るものである。
そして、本願発明により奏される効果も、引用発明から当業者が当然予測しうる程度のものであって、格別顕著であるとはいえない。

(3)むすび
したがって本願発明に記載の発明は、引用発明に基づいて当業者が容易になしえた程度である。

4.むすび
上記のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることが出来たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それゆえ、本願は他の請求項にかかる発明について判断するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-23 
結審通知日 2007-04-03 
審決日 2007-04-16 
出願番号 特願2003-99940(P2003-99940)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B31D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田村 耕作一ノ瀬 覚  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 中西 一友
豊永 茂弘
発明の名称 折り畳みシート製品及びその製造装置  
代理人 岡本 昭二  
代理人 竹内 卓  

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