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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42D
管理番号 1164515
審判番号 不服2005-2693  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-17 
確定日 2007-09-10 
事件の表示 平成 9年特許願第361801号「伝票の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 6月29日出願公開、特開平11-170736〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年12月9日の出願であって、平成17年1月12日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月17日付で拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年3月22日付で特許法第17条の2第1項第3号の規定による手続補正がなされたものである。

2.本願発明
上記平成17年3月22日付けの手続補正は、補正前の請求項1を削除し、補正前の請求項1を引用する補正前の請求項2を独立形式に書き改めて新たな請求項1とし、補正前の請求項3を補正前の請求項1の削除に伴ない、繰り上げて新たな請求項2としたものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた請求項の削除を目的とするものであり、適法な補正である。
よって、本願請求項1及び2に係る発明は、平成17年3月22日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、同手続補正書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】基材、難接着層、接着力調整剥離層、情報層、および粘着剤層を含む、被貼付体に貼着される伝票の製造方法であって、
前記伝票は、
前記難接着層が前記基材の裏面側に、前記接着力調整剥離層が前記難接着層の裏面に、前記情報層が前記接着力調整剥離層の裏面に、前記粘着剤層が前記接着力調整剥離層の裏面側にそれぞれ形成され、そして、
前記基材側が被貼付体より引き剥がされたとき、前記難接着層と前記接着力調整剥離層との間において剥離して、前記接着力調整剥離層とともに前記接着力調整剥離層より下層である前記情報層および前記粘着剤層が被貼付体側に残存するものであり、
前記難接着層は、ポリエチレンの溶融押し出しコーティングにより形成され、
前記接着力調整剥離層は、前記難接着層上にスチレン・ブタジエン・スチレンのブロック共重合体と塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体との混合溶液を塗布して透明性を有するように形成されることを特徴とする、伝票の製造方法。」

3.引用刊行物
これに対して原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された実願平2-103081号(実開平4-60463号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、以下の内容が記載されている。
ア.「表面に可視情報表示欄を有し、裏面にヒートシール性接着剤を設けた宛先表示シートと、自己発色性感圧複写シートの自己発色層の表面に熱可塑性樹脂層を有し、また自己発色性感圧複写シートの裏面に粘着剤を介して剥離紙を重合した荷物貼着シートとからなり、前記宛先表示シートの裏面に設けたヒートシール性接着剤と荷物貼着シートの表面の熱可塑性樹脂層を対接して剥離可能に熱圧着してなる配送用伝票。」(実用新案登録請求の範囲)
イ.「裏面にヒートシール性接着剤を設けた宛先表示シートと、自己発色性感圧複写シートの自己発色層の表面に熱可塑性樹脂層を有し、また自己発色性感圧複写シートの裏面に粘着剤を介して剥離紙を重合した荷物貼着シートとからなり、前記宛先表示シートの裏面に設けたヒートシール性接着剤と荷物貼着シートの表面の熱可塑性樹脂層を対接して剥離可能に熱圧着してなる構成を採用した。」(同第5頁6?14行)
ウ.「裏面の剥離紙を剥して荷物上に貼付する。配送経路に従って、荷物とともに移動する配送用伝票は...宛先表示シートを荷物貼着シートから引き剥す。...荷物貼着シートはそのまま荷物上に残り」(同第6頁4?11行)
エ.「5は前記宛先表示シート1の裏面に剥離可能に重合接着された荷物貼着シートであり、お届け伝票となる。前記宛先表示シート1にあっては、表面に前記可視情報表示欄2...などを表示するシート基材6の裏面にヒートシール性接着剤7を設けたものであり」(同第7頁11?17行)
オ.「ヒートシール性接着剤7としては、通常ホットメルト型接着剤あるいはホットメルト型粘着剤を使用するが...熱圧着することでヒートシール可能なポリエチレン...等の樹脂であってもよい。...ヒートシール性接着剤と後述する熱可塑性樹脂15はその組合せで使用の可否が決まるのであり、その選択に当っては、接着力、剥離力、溶融温度を勘案して選択する必要があり、熱可塑性樹脂はその可塑化温度がヒートシール性接着剤の軟化温度より高いものと組合せるとよい。...使用するヒートシール性接着剤7の軟化温度より高く、熱可塑性樹脂の可塑化温度より低い温度で熱圧着するとよい。このような条件を選択することにより、熱圧着後は取扱中には剥離することのない接着力があり、剥離に際しては、困難なく剥離できるとともに、一旦剥離した後は充分な再接着ができない」(同第8頁4行?第10頁7行)
カ.「荷物貼着シート5にあっては、自己発色性感圧複写シート8の裏面に粘着剤9が設けられ...前記自己発色性感圧複写シート8は(「前記自己発色性感圧複写シート8」は「前記自己発色性感圧複写シート8は」の誤記と解した。)シート基材13とシート基材13の表面に設けた自己発色性感圧複写層14とからなる。上記シート基材13の表面には、前記宛先表示シート1と同様に、可視情報表示欄、光学読取表示、伝票管理番号などが...設けてある。この可視情報表示欄、光学読取表示、伝票管理番号は宛先表示シート1とシート基材13に別々に印刷してもよいが、自己発色性感圧複写シート8の特性をいかし、クラッシャー印刷を利用して行なえば、宛先表示シート1と荷物粘着シート5を熱圧着して一体とした後、一回で印刷することができ」(同第10頁9行?第11頁6行)
キ.「自己発色性感圧複写層14の表面に、前記宛先表示シート1に困難なく剥離できるように接着させるための熱可塑性樹脂層15が設けられ、宛先表示シート1の裏面に設けたヒートシール性接着剤7に熱圧着されている。この熱可塑性樹脂層15は...ポリスチレン及びその共量合体...などのいわゆる熱可塑性樹脂を溶融塗工、溶剤に溶解して塗工、あるいはこれらの樹脂のエマルジョンを塗工後乾燥して作成する。熱可塑性樹脂は、これらの中から宛先表示シート1の裏面に施したヒートシール性接着剤7の種類に併せて、ヒートシール性接着剤7との接着性、接着後の剥離性...等を考慮して決められる」(同第12頁9行?第13頁5行)
ク.第2図から、シート基材6の下面にヒートシール性接着剤7の層が、ヒートシール性接着剤7の層の下面に熱可塑性樹脂層15が、熱可塑性樹脂層15の下面に自己発色性感圧複写シート8が、自己発色性感圧複写シート8の下面に粘着剤9の層が、粘着剤9の層の下面に剥離紙10が、積層一体化していること、宛先表示シート1がシート基材6、ヒートシール性接着剤7の層からなり、荷物貼着シート5が熱可塑性樹脂層15、自己発色性感圧複写シート8、粘着剤9の層、剥離紙10からなることが看取できる。

引用例からは、製造された配送用伝票そのものだけでなく、配送用伝票の製造方法の発明も把握でき、記載ア.?ク.を含む引用例の全記載及び図示によれば、それは次のようなものである。
「シート基材6、ヒートシール性接着剤7の層、熱可塑性樹脂層15、自己発色性感圧複写シート8、および粘着剤9の層を含む、荷物上に貼付する配送用伝票の製造方法であって、
前記配送用伝票は、
ヒートシール性接着剤7の層が前記シート基材6の裏面に、
前記熱可塑性樹脂層15が前記ヒートシール性接着剤7の層の下面に、
前記自己発色性感圧複写シート8が前記熱可塑性樹脂層15の下面に、
前記粘着剤9の層が自己発色性感圧複写シート8の裏面にそれぞれ形成され、そして、
シート基材6、ヒートシール性接着剤7の層を含む宛先表示シート1が荷物より引き剥がされたとき、熱可塑性樹脂層15、自己発色性感圧複写シート8、粘着剤9の層を含む荷物貼着シート5は荷物上に残るものであり、
前記ヒートシール性接着剤7は、ポリエチレン樹脂であり、
前記熱可塑性樹脂層15は、ヒートシール性接着剤7との接着性、接着後の剥離性等を考慮して決めた熱可塑性樹脂を自己発色性感圧複写シート8の表面に溶融塗工して形成される配送用伝票の製造方法。」

4.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
a.引用発明の「シート基材6」、「粘着剤9の層」および「荷物」が、それぞれ、本願発明の「基材」、「粘着剤層」および「被貼付体」に相当する。
b.記載カ.の「シート基材13の表面に設けた自己発色性感圧複写層14...シート基材13の表面には...可視情報表示欄、光学読取表示、伝票管理番号などが...設けてある。この可視情報表示欄、光学読取表示、伝票管理番号は...自己発色性感圧複写シート8の特性をいかし、クラッシャー印刷を利用して行えば...一回で印刷することができ」によれば、シート基材13には、情報が印刷されるから、シート基材13とシート基材13の表面に設けた自己発色性感圧複写層14とからなる自己発色性感圧複写シート8は本願発明の情報層に相当する。
c.引用発明の荷物上に貼付する「配送用伝票」は、本願発明の「被貼付体に貼着される伝票」に含まれる。
d.引用発明の荷物から引き剥がされる「宛先表示シート1」が、本願発明の「基材側」に、引用発明の荷物上にそのまま残る「荷物貼着シート5」が、本願発明の「被貼付体側」にそれぞれ相当する。
e.記載キ.によれば、引用発明の「熱可塑性樹脂層15」は、ヒートシール性接着剤7との接着性、接着後の剥離性を考慮して決められ、ヒートシール性接着剤7の接着力をコントロールして、ヒートシール性接着剤7を剥離可能とするものであるから、作用に着目すれば、本願発明の「接着力調整剥離層」に相当する。
f.記載イ.によれば、引用発明の宛先表示シート1に設けた「ヒートシール性接着剤7」は、荷物貼者シート5に設けた接着力調整剥離層(熱可塑性樹脂層15)と対接し、接着力調整剥離層と適度にコントロールされた弱い接着力で剥離可能に接着するものであるから、作用に着目すれば、本願発明の「難接着層」に相当する。
g.記載エ.の「シート基材6の裏面にヒートシール性接着剤7を設けた」および記載カ.の「自己発色性感圧複写シート8の裏面に粘着剤9が設けら」によれば、第2図の下面を裏面とよんでいるから、ヒートシール性接着剤7の層の下面および熱可塑性樹脂層15の下面は、それぞれの裏面に相当する。又、ヒートシール性接着剤7の層が形成されたシート基材6の裏面はシート基材6の裏面側ともいえ、粘着剤9の層が形成された自己発色性感圧複写シート8の裏面は、熱可塑性樹脂層15の裏面側にあたる。
よって、両者は、
「基材、難接着層、接着力調整剥離層、情報層、および粘着剤層を含む、被貼付体に貼着される伝票の製造方法であって、
前記伝票は、
前記難接着層が前記基材の裏面側に、前記接着力調整剥離層が前記難接着層の裏面に、前記情報層が前記接着力調整剥離層の裏面に、前記粘着剤層が前記接着力調整剥離層の裏面側にそれぞれ形成され、そして、前記基材側が被貼付体より引き剥がされたとき、前記情報層および前記粘着剤層が被貼付体側に残存するものであり、前記難接着層は、ポリエチレンにより形成された伝票の製造方法。」である点で一致し、下記の点で相違する。
[相違点1]難接着層が、本願発明では、ポリエチレンの溶融押し出しコーティングにより形成されるのに対して、引用発明ではその形成方法が特定されていない点。
[相違点2]接着力調整剥離層が、本願発明は、難接着層上にスチレン・ブタジエン・スチレンのブロック共重合体と塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体との混合溶液を塗布して形成されるのに対し、引用発明では情報層(自己発色性感圧複写シート8)の表面にヒートシール性接着剤7との接着性、接着後の剥離性等を考慮して決めた熱可塑性樹脂を溶融塗工して形成されるとしている点。
[相違点3]基材側が被貼付体より引き剥がされたとき、本願発明では、難接着層と接着力調整剥離層との間において剥離して接着力調整剥離層は、被貼付体側に残存するものであり透明性を有するのに対し、引用発明はこの点につき明確にしていない点。

5.判断
そこで、上記相違点に付き検討する。
[相違点1]について:
ポリエチレンの溶融押し出しコーティングにより層を形成することは、従来から周知・慣用手段(特開平8-174998号公報(「熱可塑性樹脂ラミネート層を構成する樹脂としては、ポリエチレン...等の汎用溶融押し出し樹脂を単独で、あるいは混合して用いることができる。...押し出しコーティングする方法...等を利用することができる。」(【0014】))、実願昭51-59229号(実開昭52-149709号)のマイクロフィルム(「本考案のプラスチック層は溶融押出し法によって形成される。溶融押出し法とは、樹脂の分野でよく知られている様に、溶融した樹脂を記録層上に塗布し、それによって皮膜を形成させる方法を指す。...形成する樹脂としては...ポリエチレンの如きポリオレフインが好ましい。」(明細書第3頁9行?第4頁1行))参照)であるから、ポリエチレン難接着層の形成に際し上記周知・慣用手段の溶融押し出しコーティングを用いることは当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点2]について
剥離可能に接着する2つの層の形成手段として、別々に作成した層を熱圧着して形成することも、一方の層上へ他方の層を塗布して形成することも従来から周知(例えば、特開平4-31091号公報(「ポリエチレン層すなわち剥離剤層24に、スチレン・ブタジェン・スチレンのブロック共重合体と塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体との混合溶液を塗布して、接着力調整層26を形成し」(4頁左上欄4?8行))、特開平4-31093号公報(「ポリエチレン層すなわち剥離剤層24に、スチレン・ブタジェン・スチレンのブロック共重合体と塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体との混合溶液を塗布して、接着力調整層26を形成し」(第3頁右下欄12?16行))、特開平4-166394号公報(「ポリエチレン層すなわち剥離剤層34に、スチレン・ブタジェン・スチレンのブロック共重合体と塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体との混合溶液を塗布して、接着力調整層36を形成し」(第4頁右下欄4?8行))、特開平4-31092号公報、特開平4-31089号公報、特開平4-31090号公報参照。)であるから、どちらの形成手段を選択するかは、製造の容易性等を勘案して当業者が適宜決定すべき事項にすぎない。したがって、引用発明の被貼付体側の情報層の表面に設けた接着力調整剥離層(熱可塑性樹脂層)と、基材側に設けた難接着層(ヒートシール性接着剤層)とを熱圧着することによって剥離可能に難接着層上へ接着力調整剥離層の形成を行なう手段に代えて、上記従来周知の一方の層上へ他方の層を塗布して形成する手段を選択し、その際、ポリエチレンで形成された層上に塗布して接着力調整剥離層を形成するものとして従来から周知のスチレン・ブタジエン・スチレンのブロック共重合体と塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体との混合溶液を用いることは当業者が容易になし得ることである。

[相違点3]について
引用例には、「表面に可視情報表示欄を有し、裏面にヒートシール性接着剤を設けた宛先表示シート」(記載ア.)、「自己発色性感圧複写シートの自己発色層の表面に熱可塑性樹脂層を有し、また自己発色性感圧複写シートの裏面に粘着剤を介して剥離紙を重合した荷物貼着シート」(記載ア.)、「宛先表示シートの裏面に設けたヒートシール性接着剤と荷物貼着シートの表面の熱可塑性樹脂層を対接して剥離可能に熱圧着」(記載ア.)、「宛先表示シートを荷物貼着シートから引き剥す。...荷物貼着シートはそのまま荷物上に残り」(記載ウ.)との記載はあるが、難接着層と接着力調整剥離層との間において剥離して接着力調整剥離層が被貼付体側に残存するとの直接の記載はない。しかしながら、引用例の前記記載キ.によれば、熱可塑性樹脂は、ヒートシール性接着剤7に併せて、ヒートシール性接着剤7との接着後の剥離性を考慮して決められ、また、前記記載ア.によれば、ヒートシール性接着剤は宛先表示シートに、熱可塑性樹脂層は荷物貼着シートに含まれるものであり、前記記載ウ.によれば、宛先表示シートを荷物貼着シートから引き剥すと荷物貼着シートはそのまま荷物上に残るのであるから、引用発明においても、宛先表示シートを荷物貼着シートから引き剥すと、ヒートシール性接着剤は熱可塑性樹脂層との境界面から剥離して、熱可塑性樹脂層は被貼付体側に残存するものと認められる。すなわち、難接着層(ヒートシール性接着剤)は、接着力調整剥離層(熱可塑性樹脂層)との間で剥離して接着力調整剥離層(熱可塑性樹脂層)が被貼付体側に残存する。
そうであるならば、宛先表示シートを荷物貼着シートから引き剥がした際、情報層を視認し得るように被貼付体側に残存する接着力調整剥離層は、該層を透して情報が読み取れる透明性を有するものであることは自明であるから、この点は実質的な相違点をなすものとはいえない。
なお、基材側が被貼付体より引き剥がされたとき、被貼付体側に残存した接着力調整剥離層を透して情報層を読み取れるように構成したものは、従来から周知(例えば、特開昭56-127446号公報(「1)面材料シ-ト(10)、該面材料の片側を被覆し該材料に付着性の重合物材料層(14)、及び該重合物材料層(14)に貼り合わされ基体(20)に粘着するようにされた接着剤層(16)を含む積層構成物に於て、重合物層(14)と接着剤層(16)の分離或いは接着剤層(16)と基体(20)の分離に要する力より小なる力で面材料シートが重合物材料層から剥離する手段(12)を該面材料シ-トが含み、そのため面材料シ-ト(10)を積層構成物から取除くと重合物層(14)が接着剤層により基体(20)に付着して非粘着化接着剤表面が得られることを特徴とする自己非粘着化積層構造物。2)...剥離手段(12)がポリエチレンを面材料(10)に被覆したものからなる」(特許請求の範囲)、「例えば面材料を...カード用に予め印刷しこれまた予め印刷した基体に貼付けて...カードを積層物の残りの部分から剥ぎ取ることができる。このときの基体表面は非粘着性」(3頁右上欄2?4行)、FIG-1a?FIG1-d)、実願平4-86479号(実開平6-49058号)のCD-ROM(「受取人は、隠蔽用接着層4および表面プラスチックシート5を、透明保護プラスチックシート3との界面で剥がし取るとこにより、透明保護プラスチックシート3および透明接着剤層2を通して、文面を読み取ることができる。」(【0012】))、実願昭59-185631号(実開昭61-100568号)のマイクロフィルム(「ホットメルト層15を...受取伝票用紙12の裏面に設け...ホットメルト層15によって荷札用紙11に貼り合せた受取伝票用紙12を剥しやすくするために、荷札用紙11の感圧発色加工層13の上に剥離加工層...を介してホットメルト層15を設け」(7頁12行?8頁2行)、「第2図は、粘着剤層14によって荷札10を荷物40表面に貼着した状態を示している。...受取伝票用紙12のみをホットメルト層15の層間剥離または界面剥離によって荷物用紙11から剥がし取って...荷札用紙11は、荷物表面に貼着されたまま...受取人はこの荷物の送主等を知ることができる。」(8頁15行?9頁8行))、実願昭63-35455号(実開平1-139278号)のマイクロフィルム(「ポリエチレン等のフィルム(103)が積層され、さらにその下に該フィルムに接着しない温度で押し出されたポリエステル等の別のフィルム(104)が積層され...ラベルを剥がすと、前記フィルム(103)(104)の間で剥離がれることにより、フィルム(104)がはがきに残り、透明であるため...該表示部が読み取ることができ」(明細書第2頁8?20行))参照。)である。

上記相違点1乃至3に係る構成を採用したことによる効果も、引用発明及び周知技術から予測し得る程度のものであり、格別のものとはいえない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定
により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-06-22 
結審通知日 2007-07-03 
審決日 2007-07-20 
出願番号 特願平9-361801
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 赤木 啓二  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 尾崎 俊彦
藤井 靖子
発明の名称 伝票の製造方法  
代理人 岡田 全啓  

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