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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F23Q
管理番号 1164882
審判番号 不服2006-8674  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-01 
確定日 2007-09-18 
事件の表示 平成10年特許願第534707号「実用ライター」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 7月23日国際公開、WO98/31774、平成13年 7月24日国内公表、特表2001-509876〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1. 手続の経緯・本願発明
本願は,1998年1月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1997年1月22日,1997年8月25日,米国)を国際出願とする出願であって,請求項1ないし57項に係る発明は,平成18年5月31日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて,その請求項1ないし57項に記載のとおりと認められるところ,請求項41に係る発明(以下「本願発明」という。)は,その請求項41項に記載された次のとおりのものである。

「第一の端部に近接したハンドルおよび第二の端部に近接した出口を備えたノズルを有するハウジングであって,更に,前記ノズルから離隔され且つ該ノズルと選択的流体連通のために結合された燃料供給容器および,該容器が前記ハンドル内に適切に配置された状態で弁とノズルとの間に配置され且つ該燃料供給容器から燃料を選択的に放出するために弁を開閉する弁アクチュエータを有するハウジングと;前記容器は燃料を分配するために該容器に機能的に結合された弁を有しており,該弁は弁コネクタと共合しており,
前記ノズルの出口で火花を発生するために,前記ハウジングに機能的に結合された点火器アセンブリーと;
前記ハウジングに近接したハウジングに機能的に結合され,且つ前記弁アクチュエータに結合されて,前記容器から燃料を分配し,且つ前記点火器アセンブリーを駆動するための駆動アセンブリーと;
前記弁コネクタを概ね横切ってこれと整列された箇所で前記容器の遠位端を的確に配置するために前記ハンドルの内表面に配置された配置手段とを具備する実用ライター。」

なお,「遠位」については,本願明細書に,「なお,ここで用いる遠位の語は,ライター10の第二の端部20に近接した部分をいう。ここで用いる近位の語は,第一の端部16に近接した部分をいう。」との記載がある(第14頁第14-15行)。

2. 引用例
原査定の拒絶の理由に引用した本願出願前に頒布された刊行物である米国特許第5222889号明細書(以下,「引用例」という。)には,図面と共に以下の記載がある。

ア. 「この発明は,圧電ユニットを用いて金属ガスノズルとハウジングの金属頂部キャップの開孔に形成された金属チップとの間に高電圧を発生して電気火花を生じさせ,前記金属ガスノズルを通して噴出された燃料ガスの流れを燃焼させるようにした電子点火器に関する。」(1欄6行?11行)

イ. 「図1や図3に示すように,本発明に従って構成された電子点火器は,ハウジング1,圧電ユニット2,制御レバー3,ガスライター4,連絡管5,金属キャップ6及びガスノズル7からなる。」(1欄55行?59行)

ウ. 「電子点火器のハウジング1は,圧電ユニット2と制御レバー3を保持すべく半割した対向する2つの部分から形成されている。ハウジング1は,ガスライター4を保持するスプリングホルダ42を収容する内側室19と,制御レバー3のノブ31を外部に突出する細長穴13と,フック24によってハウジング1に固定された蓋11によって覆われ,予備のガスライターを収容する外側室12と,ハンドリング15を備えたハウジング底部を覆う底部キャップ14と,ハウジング頂部を覆う金属頂部カバー6とを有し,該金属頂部カバー6は火炎が出る穴61と該穴61に突出したチップ62を有する。スプリングホルダ42は,ハウジング1の内側壁のそれぞれの穴16に挿入される2つの対向する側部に設けられた位置決め用の複数の突出した細長片44と,頂部ほぞ43と,決まった場所にガスライター4を支持するために頂部ほぞ43に取り付けられたスプリングコイル41とを有するアーチ状のばね板から作られている。ガスライター4は連絡管5に接続したガス出口45を有する使い捨ての煙草ライターでよい。該連絡管5はスプリングコイル52を保持するカラー51を有する。該コイル52は,一方端を連絡管5のカラー51で止められ,他方端をハウジング内壁の対向する対のプレート17で止められる。スプリングコイル52は,常にカラー51に圧力を加え,連絡管5を保持し,これにより,連絡管5をガスライター4のガス出口45に気密に接続している。この連絡管5の他端は可撓性のガス配管53に接続され,ガスライター4からの燃料ガスを前記金属頂部カバー6の穴61内側のガスノズル7に送る。」(1欄60行?2欄25行)

エ. 「圧電ユニット2と制御レバー3とはハウジング1内に収容されている。前記制御レバー3は,前記細長穴13を通してハウジング1の外側に突出して指でトリガー操作される中間部のノブ31と,ガスライター4のガスレバー46に当接してガス出口45から燃料ガスを流すようにする底端部と,圧電ユニット2の頂部に当接する角棒32に形成された頂端部とを有している。圧電ユニット2はハウジング1内の凹み孔18内に固定される。圧電ユニット2は,その一端が第1導電ワイヤ21により前記金属頂部キャップ6に接続され,その他端が第2導電ワイヤ22によりガスノズル7に接続されている。」(2欄26行?39行)

オ. 「図2において,ノブ31を押すとガスレバー46が押し下げられて,燃料ガスが連絡管5及び可撓性のガス配管53を通してガスノズル7に送られる。同時に圧電ユニット2が角棒32でトリガー操作され,チップ62(側電極)とノズル7(中央電極)の間に電気火花を形成して燃料ガスを燃焼させる高電圧を生じさせる。」(2欄48行?56行)

3. 引用例に記載された発明
ところで,前記の記載事項から次の点が認められる。

a. 記載事項エの「指でトリガー操作される中間部のノブ31」の記載からみて,該ノブ31を突出させる「細長穴13」から「ハウジング底部」側のハウジング1は,ハウジング底部に近接したハンドルと云える点。

b. 記載事項エの「前記制御レバー3は,(中略)ガスライター4のガスレバー46に当接してガス出口45から燃料ガスを流すようにする底端部と,(中略)とを有している。」の記載からみて,ガスライター4の燃料容器が燃料を選択的に放出するための弁を有し,その弁をガスレバー46が開閉する点。

c. ガスレバー46はガスライター4に備えられたものであるが,このガスライター4はハウジング1に収納されていることから,ハウジング1は,ガスレバー46を有すると云える点。

d. 記載事項ウの「連絡管5をガスライター4のガス出口45に気密に接続している。」の記載からみて,ガスライター4の燃料容器の弁は連絡管5と「共合」していると云える点。

e. 制御レバーは,ガスレバー46に当接して,ガスライター4の燃料容器から燃料を分配するが,この「当接」は,本願発明の「結合」といえる点。

f. 記載事項ウの「決まった場所にガスライター4を支持するために頂部ほぞ43に取り付けられたスプリングコイル41」の記載,及び図1,図2からみて,ハンドル(前記「a.」参照)の内表面に設けられたプレート17は,連絡管5の近傍でガスライター4のハウジング頂部側端部を的確に配置する機能を有する点。

したがって,記載事項アないしオ及び図1ないし図3の記載から,引用例には次の発明(以下,「引用例発明」という。)が記載されていると認められる。

「ハウジング底部に近接したハンドルおよびハウジング頂部に近接した出口を備えたガスノズルを有するハウジングであって,更に,前記ガスノズルから離隔され且つ該ガスノズルと選択的流体連通のために結合されたガスライターの燃料容器および,該ガスライターの燃料容器から燃料を選択的に放出するために弁を開閉するガスレバーを有するハウジングと;前記容器は燃料を分配するために該容器に機能的に結合された弁を有しており,該弁は連絡管と共合しており,
前記ガスノズルの出口で火花を発生するために,前記ハウジングに機能的に結合された圧電ユニットと;
前記ハウジングに近接したハウジングに機能的に結合され,且つ前記ガスレバーに結合されて,前記容器から燃料を分配し,且つ前記圧電ユニットを駆動するための制御レバーと;
前記連絡管の近傍で前記容器のハウジング頂部側端部を的確に配置するために前記ハンドルの内表面に配置されたプレートとを具備する電子点火器。」

4. 対比,一致点・相違点
本願請求項41に係る発明(以下「本願発明」という。)と引用例発明を対比すると,引用例発明の「ハウジング底部」は本願発明の「第一の端部」に相当し,以下同様に,「ハウジング頂部」は「第二の端部」に,「ガスノズル」は「ノズル」に,「ガスライターの燃料容器」は「燃料供給容器」に,「ガスレバー」は「弁アクチュエータ」に,「連絡管」は「弁コネクタ」に,「圧電ユニット」は「点火器アセンブリー」に,「制御レバー」は「駆動アセンブリー」に,「ガスライターの燃料容器のハウジング頂部側端部」は「燃料供給容器の遠位端」に,「プレート」は「配置手段」に,また,「電子点火器」は「実用ライター」に,それぞれ相当する。

したがって,両発明は,

「第一の端部に近接したハンドルおよび第二の端部に近接した出口を備えたノズルを有するハウジングであって,更に,前記ノズルから離隔され且つ該ノズルと選択的流体連通のために結合された燃料供給容器および,且つ該燃料供給容器から燃料を選択的に放出するために弁を開閉する弁アクチュエータを有するハウジングと;前記容器は燃料を分配するために該容器に機能的に結合された弁を有しており,該弁は弁コネクタと共合しており,
前記ノズルの出口で火花を発生するために,前記ハウジングに機能的に結合された点火器アセンブリーと;
前記ハウジングに近接したハウジングに機能的に結合され,且つ前記弁アクチュエータに結合されて,前記容器から燃料を分配し,且つ前記点火器アセンブリーを駆動するための駆動アセンブリーと;
前記容器の遠位端を的確に配置するために前記ハンドルの内表面に配置された配置手段とを具備する実用ライター。」

の点で一致し,次の点で相違する。

[相違点1]
本願発明では,弁アクチュエータは,燃料供給容器がハンドル内に適切に配置された状態で弁とノズルとの間に配置されるのに対して,引用例発明では,弁アクチュエータは,弁とノズルとの間に配置されるか否か不明な点。

[相違点2]
本願発明では,配置手段は,弁コネクタを概ね横切ってこれと整列された箇所で,燃料供給容器の遠位端を的確に配置するのに対して,引用例発明では,配置手段は,弁コネクタの近傍で,燃料供給容器の遠位端を的確に配置する点。

5. 相違点についての検討
相違点1について
弁アクチュエータは,燃料供給容器の弁を開閉するものである。したがって,引用例発明において,弁アクチュエータを,燃料供給容器がハンドル内に適切に配置された状態で弁とノズルとの間に配置することは,当業者が容易に想到し得たことである。

相違点2について
引用例発明において,弁コネクタの近傍に代えて,弁コネクタを概ね横切ってこれと整列された箇所で,燃料供給容器の遠位端を的確に配置することは,当業者が容易に想到し得たことである。

6. むすび
したがって,本願発明は,引用例発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,本願の他の請求項に係る発明については検討するまでもなく,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-04-17 
結審通知日 2007-04-23 
審決日 2007-05-08 
出願番号 特願平10-534707
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F23Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 東 勝之平城 俊雅  
特許庁審判長 水谷 万司
特許庁審判官 岡本 昌直
長浜 義憲
発明の名称 実用ライター  
代理人 小川 信夫  
代理人 西島 孝喜  
代理人 村社 厚夫  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 中村 稔  
代理人 大塚 文昭  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 箱田 篤  

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