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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1164911
審判番号 不服2004-14139  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-08 
確定日 2007-09-27 
事件の表示 特願2003- 92528「ゲーム装置、ゲーム管理プログラム及びゲーム管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月14日出願公開、特開2003-290555〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成13年12月28日(優先日:平成13年11月30日、出願番号:特願2001-367596号)に出願した特願2001-401845号の一部を平成15年3月28日に新たな特許出願としたものであって、平成16年6月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年7月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年8月6日付けで手続補正がなされたものである。

II.平成16年8月6日付けの手続補正について
[補正却下の決定の結論]
平成16年8月6日付けの手続補正を却下する。

[理由]独立特許要件
1.本願補正発明
(1)本件補正について
(ア)平成16年8月6日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、平成16年5月13日付けの手続補正による特許請求の範囲の請求項1(以下、「旧請求項1」という。)に記載の、
「プレイヤの操作を介して麻雀を模したゲームを行わせるゲーム装置であって、
ゲーム中の仮想的な持ち点棒の増減に基づいてライフの値を増減させ、前記ライフが所定の閾値以下である場合に、予め設定された継続条件を満たすか否かを判定し、設定された継続条件を満たす場合にゲームの継続実施を許可するライフ評価手段と、
ゲーム終了時でのゲーム成績を仮想的な持ち点棒の点数として求めるゲーム成績評価手段と、
前記ゲーム成績に基づいて、次のゲームへの該プレイヤの継続参加条件の設定を行なう継続条件設定手段と、
次のゲームへの継続参加を受け付けて、設定された継続参加条件を満たすか否かを判定し、設定された継続参加条件を満たす場合に次のゲームへの参加を許可する継続参加許可手段とを備えることを特徴とするゲーム装置。」
を、
「互いに通信可能に接続されると共に、プレイヤの操作を介して複数の局からなる麻雀を模したネットワークゲームを行わせるゲーム装置であって、
ゲーム中に仮想的な持ち点棒が減少した場合に、持ち点棒の減少分に比例してライフの値を減少させ、ゲーム中に仮想的な持ち点棒が増加した場合に、持ち点棒の増加分に比例してライフの値を増加させ、前記ライフが所定の閾値以下である場合に、予め設定された継続条件を満たすか否かを判定し、設定された継続条件を満たす場合にゲームの継続実施を許可するライフ評価手段と、
ゲーム終了時でのゲーム成績を仮想的な持ち点棒の点数として求めるゲーム成績評価手段と、
前記ゲーム成績に基づいて、次のゲームへの該プレイヤの継続参加条件の設定を行なう継続条件設定手段と、
次のゲームへの継続参加を受け付けて、設定された継続参加条件を満たすか否かを判定し、設定された継続参加条件を満たす場合に次のゲームへの参加を許可する継続参加許可手段とを備え、
前記継続条件設定手段は、前記ゲーム成績に基づいて、段階的な複数の継続参加条件の中から1の継続参加条件の設定を行い、
前記継続参加許可手段は、次のゲームへの継続参加を受け付けた時点から所定期間内に限って、設定された継続参加条件を満たす場合に次のゲームへの参加を許可することを特徴とするゲーム装置。」
と補正したものである。

(2)本件補正により、請求項1は、(ア)旧請求項1に、旧請求項2の発明特定事項である「前記継続参加許可手段は、前記ゲーム成績に基づいて、段階的な複数の継続参加条件の中から1の継続参加条件の設定を行」う、及び、旧請求項4の発明特定事項である「前記継続参加許可手段は、次のゲームへの継続参加を受け付けた時点から所定期間内に限って、設定された継続参加条件を満たす場合に次のゲームへの参加を許可する」を付加するとともに、(イ)ゲーム装置について、旧請求項1の「プレイヤの操作を介して麻雀を模したゲームを行わせる」を「互いに通信可能に接続されると共に、プレイヤの操作を介して複数の局からなる麻雀を模したネットワークゲームを行わせる」に、及び、ライフについて、旧請求項1の「ゲーム中の仮想的な持ち点棒の増減に基づいてライフの値を増減させ」を「ゲーム中に仮想的な持ち点棒が減少した場合に、持ち点棒の減少分に比例してライフの値を減少させ、ゲーム中に仮想的な持ち点棒が増加した場合に、持ち点棒の増加分に比例してライフの値を増加させ」にする補正を行ったものである。

(3)したがって、請求項1についての本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
そこで、請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。

2.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-51530号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。

(ア)【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプレーヤへの課金を条件にゲームを提供するゲーム装置、ゲーム提供装置及び情報記憶媒体に関する。

(イ)【0038】実施例のゲーム装置は、各回毎に完結する対戦型のゲームを行うように構成されている。具体的には、ゲームが終了し、課金を条件に次のゲームが開始されたとき、次のゲームは前のゲームとは全く独立して行われるゲーム、例えば、1回毎に前のゲームとは関係なく全く新たな条件で試合が開始され勝ち負けの試合の決着がつく格闘技ゲームを行うように形成されてる。

(ウ)【0048】前記プレー受付部112は、ゲーム開始に先立って、通常の条件でのゲームの受付と、ディスカウントリプレイ条件でのゲームの受付とを選択的に行う。例えば、1ゲームあたりの通常料金が200円である場合を想定すると、通常は課金部14へ200円が投入されることによりゲームの受付を行い、ゲーム演算部110によるゲームの演算を許可する。
【0049】また、設定部16により前述した許可設定がされていることを条件に、ゲーム終了後、所定の時間内は、前述したディスカウントリプレイ条件でのゲームの受付を行う。この期間内に課金部14内へ前記ディスカウントリプレイ条件に従ったゲーム料金が投入されると、ゲームの申し込みを受付け、ゲーム演算部110にこのディスカウントリプレイ条件でのゲーム演算を行わせる。
【0050】ここにおいて、前記所定時間は、例えばゲーム終了後10?20秒程度の時間に設定することが好ましい。
【0051】更に、前記ディスカウントリプレイ条件としては、1ゲームあたりの課金金額をディスカウントする第1の条件及びゲーム内容をサービスする第2の条件の少なくとも一方を設定する。
【0052】第1の条件としては、1ゲームあたりの通常料金が200円である場合には、例えばその半分の100円に設定する。

(エ)【0058】図2には、前記ゲーム装置におけるゲーム受付処理のフローチャートが示されている。
【0059】から【0061】(略)
【0062】そして、ステップS20でゲームが終了すると、次にステップS10で、このゲームの終了後一定時間以内(ここでは20秒以内)であるか否かの判断が行われる。
【0063】そして、この所定時間以内であると判断されている間は、ステップS30で、表示部12上に図3に示すように、ディスカウントリプレイ条件の表示が行われ、プレーヤに、この期間内は通常の条件より有利な条件でゲームへの再トライを受け付ける旨を伝達する。
【0064】そして、次のステップS32でプレー受付部112は、所定のディスカウントリプレイ条件でゲームを受け付けるための処理を行う。
【0065】従って、ゲーム終了後、このゲームに満足したプレーヤが再度ゲームへトライしたいと思った場合には、この期間内に前記ディスカウントリプレイ条件に従ったゲーム料金を課金部14へ投入することにより、通常よりも有利な条件、ここでは通常のゲーム料金の半額でゲームの受付が行われ(ステップS14、S16)、ゲームを楽しむことができる(ステップS18)。
【0066】また、前記ステップS10、S30、S32のディスカウントリプレイ受付期間内において、プレーヤがゲームの申し込みを行わない場合には、再度ステップS12で通常条件でのゲームの受付が開始されることになる。
【0067】から【0069】(略)
【0070】また、前記ディスカウントリプレイ条件は、直前のゲーム成績に応じて変化するように設定しても良い。
【0071】例えば、ゲーム成績の良いプレーヤに対しては、より有利な条件にディスカウントリプレイ条件を設定してもよい。

(オ)【0072】また、前記実施の形態では、本発明をスタンドアローン型の独立のゲーム装置に適用する場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限らず、複数のプレーヤが参加する多人数ゲームを行うゲーム装置にも適用することができる。
【0073】図4には、N台の複数のゲーム機G1、G2…GNがデータラインを介し互いに接続され、任意の台数のゲーム機の間で多人数ゲームが行われるように構成されたゲームシステムの一例が示されている。

(カ)【0116】なお本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。
【0117】例えば、前記各実施の形態は対戦型のゲームを行う場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限らずこれ以外のゲームを行う場合にも適用することができる。

(2)上記記載から、引用例1には、
「データラインを介し互いに接続され、対戦型のゲームを行うように構成されたゲーム装置であって、
ゲーム終了後、直前のゲーム成績の良いプレーヤに対しては、より有利な条件にディスカウントリプレイ条件が設定され、
ディスカウントリプレイ条件に従ったゲーム料金が、ゲーム終了から一定時間のディスカウントリプレイ受付期間内に、投入されることにより、ゲームの受付が行われるゲーム装置。」
が開示されているものと認められる。(以下、「引用発明」という。)

3.対比
(1)本願補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「ゲーム装置」は、「データラインを介し互いに接続され」ていることから、本願補正発明の「ゲーム装置」と同様に、「互いに通信可能に接続され」ている。
また、引用発明の「ゲーム装置」では、データラインを介して対戦型のゲームが行われるとともに、ゲームがプレーヤによって行われることも自明であるから、引用発明の「ゲーム装置」は、本願補正発明の「ゲーム装置」と同様に、「プレイヤの操作を介してネットワークゲームを行わせるゲーム装置」である。

(イ)引用発明では、「ゲーム終了後、前記直前のゲーム成績の良いプレーヤに対しては、より有利な条件にディスカウントリプレイ条件が設定され」ることから、引用発明は、「ゲーム終了時でのゲーム成績を求める」手段(本願補正発明の「ゲーム成績評価手段」)に対応するものがあるのは自明である。

(ウ)引用発明の「ディスカウントリプレイ条件」は、本願補正発明の「(次のゲームへの)継続参加条件」に相当すると認められ、そして、その条件はプレーヤごとに設定されることは明らかであるから、引用発明は、「前記ゲーム成績に基づいて、次のゲームへの該プレイヤの継続参加条件の設定を行なう」手段(本願補正発明の「継続条件設定手段」)を有する。

(エ)引用発明では、「ディスカウントリプレイ条件に従ったゲーム料金が、…、投入されることにより、ゲームの受付が行われる」が、ここでいう「ゲームの受付」とは、次回のゲームへの参加の受付であることは自明であるから、本願補正発明の「次のゲームへの継続参加を受け付け」ることに相当する。
また、引用発明における「ゲームの受付」は、「ディスカウントリプレイ条件に従ったゲーム料金が、…、投入されることにより」行われるものであるが、その際に、投入されたゲーム料金がディスカウントリプレイ条件に従っているかを判別し、従っている場合にゲームの受け付けが行われているのは自明であることから、引用発明も、本願補正発明の「継続参加許可手段」と同様に、「設定された継続参加条件を満たすか否かを判定し」、「設定された継続参加条件を満たす場合に次のゲームへの参加を許可」しているものと認められる。

(オ)引用発明の「ディスカウントリプレイ条件」は、「直前のゲーム成績の良いプレーヤに対しては、より有利な条件に設定され」るものであるが、それを具体的に言うと、例えば100円や200円といったゲーム料金の中からゲーム成績に応じて設定されるものであるので、引用発明の「ディスカウントリプレイ条件」は、本願補正発明と同様に、「段階的な複数の継続参加条件」であり、また、「ゲーム成績に基づいて」、その中から「1の継続参加条件」が設定されるものである。

(カ)引用発明の「ゲームの受付」は、ディスカウントリプレイ条件に従ったゲーム料金が、「ゲーム終了から一定時間のディスカウントリプレイ受付期間内に、」投入されることにより、行われるものであるから、本願補正発明でいう「次のゲームへの参加を許可する」期間が、引用発明では、本願補正発明と同様に、所定期間内に限られているものである。

(3)以上から、本願補正発明と引用発明とは、
「互いに通信可能に接続されると共に、プレイヤの操作を介してネットワークゲームを行わせるゲーム装置であって、
ゲーム終了時でのゲーム成績を求めるゲーム成績評価手段と、
前記ゲーム成績に基づいて、次のゲームへの該プレイヤの継続参加条件の設定を行なう継続条件設定手段と、
次のゲームへの継続参加を受け付けて、設定された継続参加条件を満たすか否かを判定し、設定された継続参加条件を満たす場合に次のゲームへの参加を許可する継続参加許可手段とを備え、
前記継続条件設定手段は、前記ゲーム成績に基づいて、段階的な複数の継続参加条件の中から1の継続参加条件の設定を行い、
前記継続参加許可手段は、所定期間内に限って、設定された継続参加条件を満たす場合に次のゲームへの参加を許可するゲーム装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1:
ネットワークゲームの内容が、本願補正発明では「複数の局からなる麻雀を模した」ゲームであるのに対して、引用発明では「対戦型のゲーム」である点、

相違点2:
本願補正発明は「ゲーム中に仮想的な持ち点棒が減少した場合に、持ち点棒の減少分に比例してライフの値を減少させ、ゲーム中に仮想的な持ち点棒が増加した場合に、持ち点棒の増加分に比例してライフの値を増加させ、前記ライフが所定の閾値以下である場合に、予め設定された継続条件を満たすか否かを判定し、設定された継続条件を満たす場合にゲームの継続実施を許可するライフ評価手段」を有するのに対して、引用発明にはこれに対応する手段がない点、

相違点3:
ゲーム終了時でのゲーム成績を、本願補正発明では「仮想的な持ち点棒の点数として」求めるのに対して、引用発明では「ゲーム成績」の内容については特に明示されていない点、

相違点4:
次のゲームへの参加を許可する所定期間が、本願補正発明では「次のゲームへの継続参加を受け付けた時点から」設定されるのに対して、
引用発明では「ゲーム終了から」設定される点。

4.判断
(1)相違点1について
引用例には、各回毎に完結する対戦型ゲームの例として、麻雀は例示されていないが、複数の局からなる麻雀をコンピュータ通信を利用して行うことは、本願の優先日においては既に当業者には周知である(例えば、「KONAMI OFFICIAL GUIDE パーフェクトシリーズ 麻雀マスター 公式ガイド」、コナミ株式会社、1997年2月18日初版発行(以下、「周知例1」という。)の第9頁を参照)。
してみれば、相違点1に係る本願補正発明の構成は当業者であれば容易に想到できたといえる。

(2)相違点3について
次に、相違点3について検討する。

引用発明を麻雀ゲームとして構成する場合、持ち点棒を「ゲーム成績」として扱うのは当然に推測されることである。
してみれば、相違点3に係る本願補正発明の構成は当業者であれば容易に想到できたといえる。

(3)相違点4について
ネットワークゲームのようなコンピュータを用いたゲームにおいては、1回のゲームが終了した段階で、さらにゲームを継続するか否かについてプレーヤに入力させることは周知慣用の手段である。
そうすると、ゲーム終了後、次のゲームへの参加を許可する所定期間は、引用発明のように、ゲーム終了から自動的に起算するのに限られず、ゲーム終了後にプレーヤからの継続する意思の入力を確認してから起算するように設定することも、単なる設定的事項である。
してみれば、相違点4に係る本願補正発明の構成は当業者であれば容易に想到できたといえる。

(4)相違点2について
最後に、相違点2について検討する。

(ア) 本願補正発明の「ライフ」とは、「ゲーム中に仮想的な持ち点棒が減少した場合に、持ち点棒の減少分に比例して」減少し、また、「ゲーム中に仮想的な持ち点棒が増加した場合に、持ち点棒の増加分に比例して」増加するものである。
そうすると、「ライフ」は、設定の条件次第(例として、初期値を「仮想的な持ち点棒」と同一にし、かつ、「仮想的な持ち点棒」の増減と1:1で増減させる)では「仮想的な持ち点棒」と完全に同一な値を取ることもあり、その場合の「ライフ」は、名称の違いはあるにせよ、実質的には「仮想的な持ち点棒」と何ら異ならない。
そして、上記のような設定条件にした場合、本願補正発明は、「仮想的な持ち点棒が所定の閾値以下である場合に、予め設定された継続条件を満たすか否かを判定し、設定された継続条件を満たす場合にゲームの継続実施を許可する」ことに他ならないが、持ち点棒が0点になった場合に強制的に半荘終了としてゲームを終わらせることは、麻雀において、いわゆる「箱ワレ」として、一般的に採用されているルールである(例えば、周知例1の第20頁を参照)。また、コンピュータ・ゲームにおいては、ゲームが終了となる状況(いわゆる、「ゲームオーバー」)になった時点でも、さらにコインを投入することなどにより、ゲームを継続させることも周知慣用の手段である。
してみれば、上記のような設定条件をも含む、相違点2に係る本願補正発明の構成は、当業者であれば容易に想到できたといえる。

(イ)また、「ライフ」を「仮想的な持ち点棒」と異なる数値に設定する場合にあっても、コンピュータ・ゲームにおいて、どのような状況でゲームオーバーとさせるかは、ゲーム制作者が、ゲームの射幸性などを考慮しながら、適宜設定する事項であり、技術的思想としては格別に高度のものを要するものではない。
してみれば、この点からも、相違点2に係る本願補正発明の構成は、当業者であれば容易に想到できたといえる。

(5)また、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲内のものである。

(6)したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(7)なお、付言すると、本願補正発明は、「特許・実用新案審査基準 第VII部 第1章」にいう、いわゆる「コンピュータ・ソフトウェア関連発明」にあたるが、その発明特定事項は、「互いに通信可能に接続され…ネットワークゲームを行わせるゲーム装置」である以外には、実質的には、麻雀ゲームの進行や終了を決定するためのルールを規定している工程にすぎず、それらの工程がハードウェア資源を用いて具体的に実現されているとも認めらないものである。

5.まとめ
そうすると、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

III.本願発明について
1.本願補正
本件補正は、以上のとおり、却下されたので、本願の請求項1に係る発明は平成16年5月13日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「プレイヤの操作を介して麻雀を模したゲームを行わせるゲーム装置であって、
ゲーム中の仮想的な持ち点棒の増減に基づいてライフの値を増減させ、前記ライフが所定の閾値以下である場合に、予め設定された継続条件を満たすか否かを判定し、設定された継続条件を満たす場合にゲームの継続実施を許可するライフ評価手段と、
ゲーム終了時でのゲーム成績を仮想的な持ち点棒の点数として求めるゲーム成績評価手段と、
前記ゲーム成績に基づいて、次のゲームへの該プレイヤの継続参加条件の設定を行なう継続条件設定手段と、
次のゲームへの継続参加を受け付けて、設定された継続参加条件を満たすか否かを判定し、設定された継続参加条件を満たす場合に次のゲームへの参加を許可する継続参加許可手段とを備えることを特徴とするゲーム装置。」
(以下、「本願発明」という。)

2.引用例
引用例1は、上記「II.2」のとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「II.1」のとおり、本願補正発明の上位概念に当たるものである。
してみれば、本願発明は、上記「II.4」と同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-07-17 
結審通知日 2007-07-24 
審決日 2007-08-16 
出願番号 特願2003-92528(P2003-92528)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武田 悟  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 植野 孝郎
濱田 聖司
発明の名称 ゲーム装置、ゲーム管理プログラム及びゲーム管理方法  
代理人 伊藤 孝夫  
代理人 小谷 悦司  
代理人 樋口 次郎  

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