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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C08G 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C08G |
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管理番号 | 1165094 |
審判番号 | 不服2005-4909 |
総通号数 | 95 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-03-22 |
確定日 | 2007-09-05 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第513475号「負の複屈折性リジッドロッド重合体フィルム」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 4月25日国際公開、WO96/11967、平成10年 8月 4日国内公表、特表平10-508048〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.手続の経緯 本願は、1995年10月12日(パリ条約による優先権主張 1994年10月13日、(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成9年4月11日に補正書の写し(翻訳文)が提出され、平成16年4月8日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成16年10月20日に意見書が提出されたが、平成16年12月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年3月22日に審判請求がなされるとともに、平成17年4月20日に手続補正書が提出されたが、平成17年8月18日付けで前置報告がなされたものである。 II.補正却下の決定 1.平成17年4月20日付けの手続補正を却下する。 2.補正却下の決定の理由 〔1〕手続補正の内容 平成17年4月20日付けでした手続補正(以下、「本件手続補正」という。)の内容は、特許請求の範囲の記載について、 「1 ポリアミド、ポリエステル、ポリ(アミド-イミド)及びポリ(エステル-イミド)でなる群から選ばれるリジッドロッド重合体から調製された液晶表示装置で使用される負の複屈折性フィルムであって、該フィルムが0.001?0.2の負の複屈折率を有し、フィルムの複屈折率がバックボーン鎖の剛性及びリニアリティーの制御により重合体の面内配向の度合を制御することによって決定され、重合体のバックボーンの剛性及びリニアリティーが大きければ大きいほど、重合体フィルムの負の複屈折率の値が大きいものとなるものであることを特徴とする、負の複屈折性フィルム。 2 重合体が、一般式(I) [式中、Fは、共有結合、C2アルケニル基、ハロゲン化C2アルケニル基、CH2基、C(CX3)2基(ここで、Xは、ハロゲン、水素である)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(R)2基(ここで、Rは、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基である)、又はN(R)基(ここで、Rは前記と同意義である)でなる群から選ばれる基であり、さらに、Fはカルボニル官能基又はY基に対してメタ位又はパラ位にあり;Bは、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基(ここで、フェニル環上の置換基としては、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基及びこれらの組合せがある)でなる群から選ばれるものであり;nは0?4の整数であり;zは0?3の整数であり;Aは、水素、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、C1-3のチオアルキル基、OR(ここで、Rは前記と同意義である)のアルコキシ基、アリール基、置換アリール基(ここで、置換基はハロゲンである)、C1-9アルキルエステル基、C1-12アリールエステル基、及びC1-12アリールアミドでなる群から選ばれるものであり;pは0?3の整数であり;qは1?3の整数であり;rは0?3の整数であり;及びYはO及びNHでなる群から選ばれるものである]で表される繰返し単位を有するポリアミド及びポリエステルでなる群から選ばれるものである、請求項1記載の重合体。 3 r及びqが1であり、ビフェニル環系の少なくとも1つが2及び2′位で置換されており、これにより、繰返し単位が、一般式(II) (式中、Fがカルボニル又はY基に対してパラ配向の共有結合であり、mが0?3の整数であり;さらに、x及びyが0?1の整数であり、ただし、x及びyが共に0であることはない)に示されるように表される、請求項2記載の重合体。 4 mが0?2の整数である、請求項3記載の重合体。 5 ビフェニル環系の両方が2及び2′位で置換されており、これにより、繰返し単位が、一般式(III) に示されるように表される、請求項4記載の重合体。 6 ビフェニル環系が、それぞれ、ただ1対の置換基を有し、これにより、ポリアミド及びポリエステルの繰返し単位が、一般式(IV) に示されるように表される、請求項5記載の重合体。 7 重合体がポリ(アミド-イミド)及びポリ(エステル-イミド)でなる群から選ばれるものであり;前記ポリ(アミド-イミド)のポリアミド成分が2価の酸とジアミンとの反応生成物であり、前記ポリ(エステル-イミド)のポリエステル成分が2価の酸とジオールとの反応生成物であり、これらポリアミド及びポリエステル成分が、一般式(I) [式中、Fは、共有結合、C2アルケニル基、ハロゲン化C2アルケニル基、CH2基、C(CX3)2基(ここで、Xは、ハロゲン、水素である)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(R)2基(ここで、Rは、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基である)、又はN(R)基(ここで、Rは前記と同意義である)でなる群から選ばれる基であり、さらに、Fはカルボニル官能基又はY基に対してメタ位又はパラ位にあり;Bは、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基(ここで、フェニル環上の置換基としては、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基及びこれらの組合せがある)でなる群から選ばれるものであり;nは0?4の整数であり;zは0?3の整数であり;Aは、水素、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、C1-3のチオアルキル基、OR(ここで、Rは前記と同意義である)のアルコキシ基、アリール基又は置換アリール基(ここで、置換基はハロゲンである)、C1-9アルキルエステル基、C1-12アリールエステル基、C1-12アリールアミドでなる群から選ばれるものであり;pは0?3の整数であり;qは1?3の整数であり;rは0?3の整数であり;及びYはO及びNHでなる群から選ばれるものである]で表される繰返し単位を有するものであり;ポリイミド成分が、(1)ジアンヒドリッドとジアミンの反応生成物(これにより、一般式(V) [式中、さらに、Gは、共有結合又は結合、CH2基、C(CX3)2基(ここで、Xはハロゲン、水素である)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(R)2基(ここで、RはC1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基である)、又はN(R)基(ここで、Rは前記と同意義である)でなる群から選ばれるものであり;さらに、Gはカルボニル官能基に対してγ又はδ位にある]に示されるポリイミド繰返し単位を生成する)及び(2)ジアンヒドリッドとジアミンの反応生成物(これにより、一般式(VI) [式中、R1は、H、フェニル基、アルキル化フェニル基(ここで、アルキル基はC1-20ハロゲン化フェニル基、C1-20アルキル基及びC1-20ハロゲン化アルキル基から選ばれる)でなる群から独立して選択される置換基である]に示されるポリイミド繰返し単位を生成する)でなる群から選ばれるものである、請求項1記載の重合体。 8 r及びqがポリアミド及びポリエステル成分については1であり、ビフェニル環系の少なくとも1が2及び2′位で置換されており、これにより、繰返し単位が、一般式(II) (式中、Fがカルボニル又はY基に対してパラ配向の共有結合であり及びmが0?3の整数であり;さらに、x及びyが0?1の整数であり、ただし、x及びyの両方が0となることはない)に示されるように表され;及びポリイミド成分について、ビフェニル環系の少なくとも1が2及び2′位で置換されており、これにより、ポリイミド繰返し単位の繰返し単位が、一般式(VII) (ここで、x及びyは前記と同意義である)に示されるように表される、請求項7記載の重合体。 9 mが0?2の整数である、請求項8記載の重合体。 10 ポリアミド及びポリエステル成分に関するビフェニル環系の両方が2及び2′位で置換されており、これにより、繰返し単位が、一般式(III) に示されるように表され;及びポリイミド成分の繰返し単位が2及び2′位で置換されており、これにより、一般式(VIII) で表される、請求項9記載の重合体。 11 ポリエステル及びポリアミド成分のビフェニル環系が、それぞれ、ただ1対の置換基を有し、これにより、繰返し単位が、一般式(IV) に示されるように表され;ポリイミド成分の繰返し単位が2及び2′位で置換されており、これにより、一般式(IX) に示されるように表される、請求項10記載の重合体。」を 「 【請求項1】 ポリアミド、ポリエステル、ポリ(アミド-イミド)及びポリ(エステル-イミド)でなる群から選ばれるリジッドロッド重合体から調製された液晶表示装置で使用される負の複屈折性フィルムであって、該フィルムが0.001?0.2の負の複屈折率を有し、フィルムの負の複屈折率がバックボーン鎖の剛性及びリニアリティーの制御により重合体の面内配向の度合を制御することによって決定され、重合体のバックボーンの剛性及びリニアリティーが大きければ大きいほど、重合体フィルムの負の複屈折率の値が大きいものとなるものであり、 (A)重合体がポリアミド及びポリエステルでなる群から選ばれるものである場合、重合体は、一般式(I) [式中、Fは、共有結合、C2アルケニル基、ハロゲン化C2アルケニル基、CH2基、C(CX3)2基(ここで、Xは、ハロゲン又は水素である)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(R)2基(ここで、Rは、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基である)、又はN(R)基(ここで、Rは前記と同意義である)でなる群から選ばれる基であり、さらに、Fはカルボニル官能基又はY基に対してメタ位又はパラ位にあり; Bは、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基(ここで、フェニル環上の置換基としては、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基及びこれらの組合せがある)でなる群から選ばれるものであり; nは0?4の整数であり; zは0?3の整数であり; Aは、水素、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、C1-3のチオアルキル基、OR(ここで、Rは前記と同意義である)のアルコキシ基、アリール基、ハロゲン化アリール基、C1-9アルキルエステル基、C1-12アリールエステル基、及びC1-12アリールアミドでなる群から選ばれるものであり; pは0?3の整数であり; qは1?3の整数であり; rは0?3の整数であり;及び YはO及びNHでなる群から選ばれるものである] で表される繰返し単位を有し、 (B)重合体がポリ(アミド-イミド)及びポリ(エステル-イミド)でなる群から選ばれるものである場合、前記ポリ(アミド-イミド)のポリアミド成分は、2価の酸とジアミンとの反応生成物であり、前記ポリ(エステル-イミド)のポリエステル成分は、2価の酸とジオールとの反応生成物であり、これらポリアミド及びポリエステル成分は、一般式(I)で表される繰返し単位を有し、ポリイミド成分は、 (1)ジアンヒドリッドとジアミンとの反応生成物であって、一般式(V) [式中、Gは、共有結合又は結合、CH2基、C(CX3)2基(ここで、Xは前記と同意義である)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(R)2基又はN(R)基(ここで、Rは前記と同意義である)でなる群から選ばれるものであり;さらに、Gはカルボニル官能基に対してγ又はδ位にある]で表されるポリイミド繰返し単位を有する反応生成物;及び(2)ジアンヒドリッドとジアミンとの反応生成物であって、一般式(VI) [式中、R1は、H、フェニル基、アルキル化フェニル基(ここで、アルキル基は、C1-20ハロゲン化フェニル基、アルキル基及びC1-20ハロゲン化アルキル基から選ばれる)でなる群から独立して選択される置換基である]で表されるポリイミド繰返し単位を有する反応生成物でなる群から選ばれるものであることを特徴とする、負の複屈折性フィルム。 【請求項2】 r及びqが1であり、ビフェニル環系の少なくとも1つが、フェニル環の間の共有結合に関して2及び2'位で置換されており、これにより、繰返し単位が、一般式(II) (式中、mは0?3の整数であり;さらに、x及びyは0?1の整数であり、ただし、x及びyが共に0であることはない)に示されるように表される、請求項1記載の重合体。 【請求項3】 mが0?2の整数である、請求項2記載の重合体。 【請求項4】 ビフェニル環系の両方が、フェニル環の間の共有結合に関して2及び2'位で置換されており、これにより、繰返し単位が、一般式(III) に示されるように表される、請求項3記載の重合体。 【請求項5】 ビフェニル環系が、それぞれ、フェニル環の間の共有結合に関して2及び2'位に、ただ1対の置換基を有し、これにより、ポリアミド及びポリエステルの繰返し単位が、一般式(IV) に示されるように表される、請求項4記載の重合体。 【請求項6】 r及びqが、ポリアミド及びポリエステル成分については1であり、ビフェニル環系の少なくとも1が、フェニル環の間の共有結合に関して2及び2'位で置換されており、これにより、繰返し単位が、一般式(II) (式中、mは0?3の整数であり;さらに、x及びyが0?1の整数であり、ただし、x及びyの両方が0となることはない)に示されるように表され;及び ポリイミド成分について、ビフェニル環系の少なくとも1が2及び2'位で置換されており、これにより、ポリイミド繰返し単位が、一般式(VII) (ここで、x及びyは前記と同意義である)に示されるように表される、請求項1記載の重合体。 【請求項7】 mが0?2の整数である、請求項6記載の重合体。 【請求項8】 ポリアミド及びポリエステル成分に関するビフェニル環系の両方が、フェニル環の間の共有結合に関して2及び2'位で置換されており、これにより、繰返し単位が、一般式(III) に示されるように表され;及び ポリイミド成分の繰返し単位が、2及び2'位で置換されており、これにより、一般式(VIII) で表される、請求項7記載の重合体。 【請求項9】 ポリエステル及びポリアミド成分のビフェニル環系が、それぞれ、ただ1つの置換基を有し、これにより、繰返し単位が、一般式(IV) に示されるように表され;及び ポリイミド成分の繰返し単位が、フェニル環の間の共有結合に関して2及び2'位で置換されており、これにより、一般式(IX) に示されるように表される、請求項8記載の重合体。」と補正するものである。 〔2〕本件手続補正の適否について検討する。 上記手続補正は、補正前の請求項1で規定するポリアミド、ポリエステル、ポリ(アミド-イミド)及びポリ(エステル-イミド)を補正前の請求項2、7の記載に基づいて特定構造を有する化合物に限定するものであり、当該補正は、補正前の特許請求の範囲請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものである。 また、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてする補正である。 したがって、本件手続補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項第2号の規定に適合する。 〔3〕独立特許要件について 本件手続補正は、上記のとおり、特許法第17条の2第4項第2号に規定する事項を目的とするものであるから、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する補正か否か(出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か)について、以下に検討する。 〔3〕-1.本件手続補正後の請求項5に係る発明(以下、「補正発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項5】 ビフェニル環系が、それぞれ、フェニル環の間の共有結合に関して2及び2'位に、ただ1対の置換基を有し、これにより、ポリアミド及びポリエステルの繰返し単位が、一般式(IV) に示されるように表される、請求項4記載の重合体。」 ここで、補正後の特許請求の範囲は、重合体から調製されたフィルムの発明に係る請求項1と重合体の発明に係る請求項2?9とからなっている。 そして、請求項2?9は、請求項1のフィルムの原料となる重合体の化学構造に関する部分について特定のものに限定しているものであり、請求項2?9の末尾は「フィルム」ではなくあくまでも「重合体」であるから、請求項2?9は請求項1のフィルムを作る上でその原料となる(化学物質である)重合体についての発明であると認められる。 そこで、補正発明(重合体)について検討すると、請求項5は間接的に請求項1を引用するものであるから、請求項1の置換基A、B及びYの定義は、そのまま請求項5の一般式(IV)の定義となり、Aは、水素、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロゲン化アルキル、……でなる群から選ばれたものであり、Bはハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロゲン化アルキル、……でなる群から選ばれたものであり、YはO及びNHでなる群から選ばれるものとなる。 〔3〕-2.刊行物1の記載事項 原審において平成16年4月8日付けで通知された拒絶理由に引用されたH.G.Rogersら、”Highly Amorphous,Birefringent,Para-Linked Aromatic,Polyamides”,Macromolecules,米国,American Chemical,Society,1985年,Volume 18,No.6,1058-1068(以下、「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。 刊行物1について TableI(1059頁)には「Molecular Structures of the Aromatic Polyamides Prepared for This Study」の題の下にI?XVIIのポリアミドの繰り返し単位の化学構造式が記載されており、そのTableIIには、ポリマーI?XVIIについてのη1NH 、Tg ℃ 、maxnm 、ηiso 、Δηmax などの測定値が記載されている。 そして、TableIのXIIIとXIVには次のような化学構造のポリアミドが記載されている。 〔3〕-3.対比・判断 そこで、この補正発明と刊行物1に記載の発明を対比する。 刊行物1のTableIに記載されているXIII及びXIVはいずれも、ビフェニル構造がアミド基で連結された繰り返し単位を有する点で、補正発明の一般式(IV)の繰り返し単位を有するポリアミドと、基本骨格の点で同じであり、また、ビフェニル構造の(共有結合に対し)2及び2’の位置に1対の置換基を有する点でも補正発明のポリアミドと同じである。 したがって、補正発明の一般式(IV)において、BがCF3(C1-3ハロゲン化アルキル基)、AがBr(ハロゲン)、YがNHであるポリアミドは、XIIIのポリアミドに該当する。また、補正発明の一般式(IV)において、BがCF3(C1-3ハロゲン化アルキル基)、AもCF3(C1-3ハロゲン化アルキル基)、YがNHであるポリアミドは、XIVのポリアミドに該当する。 してみれば、補正発明の重合体は、刊行物1に記載されているXIII及びXIVで示されるポリアミドと一致するものである。 〔4〕まとめ 以上のとおり、補正発明は本出願前に頒布された刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件手続補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 III.本件審判請求について 1.本願発明について 平成17年4月20日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、請求項1?11に係る発明は、平成9年4月11日に提出された補正書の写し(翻訳文)により特許法第184条の8第2項の規定に基づいて補正されたも のとみなされる明細書の特許請求の範囲の請求項1?11に記載されたとおりのものであり、その請求項6に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。 「6 ビフェニル環系が、それぞれ、ただ1対の置換基を有し、これにより、ポリアミド及びポリエステルの繰返し単位が、一般式(IV) に示されるように表される、請求項5記載の重合体。」 2.原査定の拒絶理由の概要 原査定の拒絶理由の理由1の概要は、請求項2?6に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないというものである。 記 引用文献等一覧 1.H. G. Rogers ら,"Highly Amorphous, Birefringent, Para-linked Aromatic Polyamides",Macromolecules,米国,American Chemical Society,1985年,Volume 18, No. 6,1058-1068 3.当審の判断 (請求項6について) 上記II.2.〔3〕-3.で述べたとおり、補正発明は、刊行物1に記載された発明である。 そして、本願発明に係る重合体は、一般式(IV)の化学構造式からして、補正発明に係る重合体と、その繰り返し単位の基本骨格、置換基及び置換基の位置において何等異なるものではない。 そうすると、本願発明も補正発明と同様に刊行物1に記載された発明であると言わざるを得ない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、本出願前に頒布された刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである。 よって結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-04-04 |
結審通知日 | 2007-04-10 |
審決日 | 2007-04-23 |
出願番号 | 特願平8-513475 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(C08G)
P 1 8・ 575- Z (C08G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐々木 秀次、松岡 徹 |
特許庁審判長 |
宮坂 初男 |
特許庁審判官 |
福井 美穂 高原 慎太郎 |
発明の名称 | 負の複屈折性リジッドロッド重合体フィルム |
復代理人 | 朝倉 勝三 |