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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1165156
審判番号 不服2004-9207  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-06 
確定日 2007-10-01 
事件の表示 特願2000- 48646「ゲーム装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年11月 7日出願公開、特開2000-308762〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年2月25日(優先権主張平成11年2月26日)の出願である特願2000-48646号であって、平成16年4月2日付で拒絶査定がなされ、これに対し平成16年5月6日付で拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成16年5月31日付で手続補正がなされた。

2.平成16年5月31日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成16年5月31日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成15年10月27日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1記載の、
「入力部、記憶部、制御処理部、及びモニター又は液晶表示画面としての出力部を備え、
前記記憶部は、ゲームプログラムを格納していると共に、ゲームキャラクタ情報の集合をストック情報として備え、
前記制御処理部は、前記記憶部に記憶された複数の前記ゲームキャラクタ情報の中から、ある「キーとなる情報」を基に、当該「キーとなる情報」に対応するゲームキャラクタ情報を前記ストック情報の中からピックアップし、前記モニター又は液晶表示画面としての出力部に表示し、当該ピックアップされたゲームキャラクタ情報を前記記憶部に記憶する一方、当該記憶部に記憶されたゲームキャラクタ情報を採用してゲームを進行させることを特徴とするゲーム装置。」が

「入力部、記憶部、制御処理部、及びモニター又は液晶表示画面としての出力部を備え、
前記記憶部は、ゲームプログラムを記憶していると共に、ゲームキャラクタ情報の集合をストック情報として備え、
前記制御処理部は、前記記憶部に記憶された複数の前記ゲームキャラクタ情報の中から「キーとなる情報」を基に、当該「キーとなる情報」に対応するゲームキャラクタ情報を前記ストック情報の中からピックアップし、前記モニター又は液晶表示画面としての出力部に表示し、当該ピックアップされたゲームキャラクタ情報の幾つかを、前記ストック情報記憶部とは別の記憶部であって当該制御処理部の作業領域として機能するピックアップ情報記憶部に記憶する一方、当該ピックアップ情報記憶部に記憶されたゲームキャラクタ情報を採用してゲームを進行させることを特徴とするゲーム装置。」と補正されたものである。

本件補正は、「ゲームキャラクタ情報の中から、ある「キーとなる情報」を基に、」を「ゲームキャラクタ情報の中から「キーとなる情報」を基に、」と補正(補正1)し、「当該ピックアップされたゲームキャラクタ情報を前記記憶部に記憶する一方、当該記憶部に記憶されたゲームキャラクタ情報を採用してゲームを進行させる」を「当該ピックアップされたゲームキャラクタ情報の幾つかを、前記ストック情報記憶部とは別の記憶部であって当該制御処理部の作業領域として機能するピックアップ情報記憶部に記憶する一方、当該ピックアップ情報記憶部に記憶されたゲームキャラクタ情報を採用してゲームを進行させる」と補正(補正2)したものである。

[理由1]目的違反
補正1は、「ある」の文言を削除する補正であって、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明、の何れにも該当しないことは明らかである。
補正2は、「ピックアップされたゲームキャラクタ情報を前記記憶部に記憶する」(ここでの「記憶部」は、「ゲームプログラムを格納していると共に、ゲームキャラクタ情報の集合をストック情報として備え」た記憶部。)を「ピックアップされたゲームキャラクタ情報の幾つかを、前記ストック情報記憶部とは別の記憶部であって当該制御処理部の作業領域として機能するピックアップ情報記憶部に記憶する」(ここでの「ピックアップ情報記憶部」は、「ストック情報記憶部とは別の記憶部であって当該制御処理部の作業領域として機能するピックアップ情報記憶部」。)と補正するものである。補正後の「前記ストック情報記憶部」における「ストック情報記憶部」は、その記載箇所以前には記載されていないが、「記憶部は、ゲームプログラムを記憶していると共に、ゲームキャラクタ情報の集合をストック情報として備え」の記載から、「記憶部」に含まれることは明らかである。してみると、補正2は、「ピックアップされたゲームキャラクタ情報」が、補正前には、「記憶部」に記憶されていたものを、「記憶部とは別の記憶部であって当該制御処理部の作業領域として機能するピックアップ情報記憶部」に記憶するように補正するものであって、記憶場所を実質的に変更するものである。このような補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明、の何れにも該当しないことは明らかである。

したがって、この補正は、特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

[理由2]独立特許要件(容易)
本件補正が、「ピックアップされたゲームキャラクタ情報」を記憶する場所を特定したという意味で、仮に限定的減縮に該当するとした場合について、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である「バーコード対戦 バーディガン バーロイド大図鑑,日本,株式会社 勁文社,1999年 1月11日,p.4-11」(以下、「引用例1」という。)には、以下の点が記載されている。

ア.「バーコードを読みとる ファームモードの「Eサークル」でタマゴをかえすことができる。このときに読みとったバーコードによって、生まれてくるバーロイドも決まるのだ。」「どんなバーロイドが生まれるかは、Eサークルで読みとるバーコードが関係してくる。」(第5頁)

イ.第6頁から第11頁には、生まれたバーロイドを採用してゲームを進行させる点、及びモニター又は液晶表示画面としての出力部が記載されている。

ウ.また、引用例1に記載されるようなゲームのゲーム装置が、入力部、記憶部、制御処理部を備えていることは、当業者にとって自明な技術事項である。

したがって、上記記載事項、及び各図面から引用例1には、
「入力部、記憶部、制御処理部、及びモニター又は液晶表示画面としての出力部を備え、
読みとったバーコードによって決まるバーロイドをモニター又は液晶表示画面としての出力部に表示し、それを採用してゲームを進行させるゲーム装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「バーコード」は、本願補正発明の「キーとなる情報」に相当し、以下、同様に「バーロイド」は「ゲームキャラクタ情報」に、相当する。

したがって、本願補正発明と引用発明とは、
「入力部、記憶部、制御処理部、及びモニター又は液晶表示画面としての出力部を備え、
「キーとなる情報」を基に、当該「キーとなる情報」に対応するゲームキャラクタ情報を前記モニター又は液晶表示画面としての出力部に表示し、ゲームキャラクタ情報を採用してゲームを進行させるゲーム装置。」である点で一致し、以下の各点で相違する。

相違点1;
本願補正発明は、「記憶部は、ゲームプログラムを記憶していると共に、ゲームキャラクタ情報の集合をストック情報として備え」、「ピックアップされたゲームキャラクタ情報の幾つかを、前記ストック情報記憶部とは別の記憶部であって当該制御処理部の作業領域として機能するピックアップ情報記憶部に記憶する」のに対し、引用発明は、ゲームキャラクタ情報の集合、及びピックアップされたゲームキャラクタ情報の幾つかを、どの記憶部に記憶するか限定されていない点。

相違点2;
本願補正発明は、制御処理部は、前記記憶部に記憶された複数の前記ゲームキャラクタ情報の中から、「キーとなる情報」に対応するゲームキャラクタ情報をピックアップするのに対し、引用発明は、制御処理部の機能について、限定がない点。

(4)当審の判断
以下、各相違点について検討する。
相違点1について
ゲームプログラムやデータを記憶した記憶装置とは別の、制御処理部の作業領域として機能する記憶部を設けることは、慣用手段であって格別なものではない。(必要なら、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平11-33233号公報の段落【0012】「ゲームシステムの電源が投入されると、CPU1はROM6内のプログラム及びデータに従って所定の起動処理を実行し、その後にCDROM読取装置4を介してCDROM3に書き込まれたプログラムやデータを読み取ってそれらをRAM5に書き込む。この後、CPU1はRAM5の記憶内容と入力装置2の操作内容とに基づいてCDROM3に記録された所定のゲームが実行されるようにシステムの各部を制御する。」を参照。)
引用発明において、「バーコードによって決まるバーロイド」は、ゲーム装置が予め有している複数のバーロイドの中から、特定のバーコードによってピックアップされたバーロイドということができるが、ゲーム装置が予め有している複数のバーロイドをCDROMのような記憶部にストック情報として備え、ピックアップしたバーロイドをCDROMとは別のRAMのような記憶部に記憶し、上記相違点1に係る本願補正発明の構成を限定することは、当業者にとって困難性があることではない。

相違点2について
引用発明においても、読みとったバーコードによって決まるバーロイドが生まれるので、制御処理部は、「キーとなる情報」に対応するゲームキャラクタ情報をピックアップしているといえ、上記相違点2に係る本願補正発明の構成を限定することは、当業者にとって容易である。

そして、本願補正発明の効果も、引用発明、及び慣用手段から予測される範囲のもので格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、及び慣用手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成16年5月31日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年10月27日付手続補正書の請求項1に記載された事項により特定されるものである。(上記、「2.(1)補正後の本願発明」参照。)

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の記載事項は、前記「2.(2)引用例」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、上記「2.(1)補正後の本願発明」の[理由2]で述べた構成の限定を省いたものである。ただし、同[理由1]で述べた「ある」は、逆に付加されているが、この「ある」を付加することによって、進歩性の判断が実質的に変更されるものではない。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)当審の判断」に記載したとおり、引用例1に記載された発明、及び慣用手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載された発明、及び慣用手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、及び慣用手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-09 
結審通知日 2007-08-10 
審決日 2007-08-21 
出願番号 特願2000-48646(P2000-48646)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 仁之▲吉▼川 康史  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 森内 正明
植野 孝郎
発明の名称 ゲーム装置  

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