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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1165246
審判番号 不服2003-16194  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-08-21 
確定日 2007-10-04 
事件の表示 特願2000- 86899「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月 2日出願公開、特開2001-269452〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年3月27日の出願であって、平成15年2月10日付で拒絶理由通知がなされ、平成15年4月16日付で手続補正がなされ、平成15年7月14日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年8月21日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成15年9月8日付で手続補正がなされたものである。

2.平成15年9月8日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年9月8日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「抽選条件の成立に起因して抽選を行う抽選手段と、前記抽選結果を当たり図柄又は外れ図柄で表示する表示手段と、前記表示手段を制御する表示制御手段と、前記表示手段による前記抽選結果の表示が未開始の前記抽選に係る抽選データを記憶する抽選記憶手段とを備える遊技機において、
前記表示制御手段は、前記表示手段を制御して、前記表示手段の表示画面に保留表示領域と抽選表示領域とを形成させ、前記抽選記憶手段に記憶されている前記抽選データの個数に相当する数の保留キャラクタを前記抽選結果の古い順に並べて前記保留表示領域に表示させる際に前記抽選結果を参酌して各保留キャラクタの種類を選択し、また前記保留キャラクタを対応する前記抽選結果の古い順に前記抽選表示領域に浮遊表示させ、該浮遊していた保留キャラクタが予め定められたマーク(47a、48)上に停止するか否かにより前記抽選結果に対応した前記当たり図柄又は外れ図柄を表示させることを特徴とする遊技機。」

と補正された。
上記補正は、平成15年4月16日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「図柄」を「保留キャラクタ」と限定し、同じく「前記抽選表示領域に浮遊表示させ」を「前記抽選結果の古い順に並べて前記保留表示領域に表示させる際に前記抽選結果を参酌して各保留キャラクタの種類を選択し」と限定し、同じく「前記抽選表示領域に浮遊表示させ」を「対応する前記抽選結果の古い順に前記抽選表示領域に浮遊表示させ」と限定するものであって、平成15年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-289703号公報(以下、引用例1という。)には、図面とともに、
「複数の図柄を表示可能な図柄表示部を有する図柄表示器を設け、図柄表示部に表示される図柄が予め設定の図柄と一致した停止図柄となったとき、遊技者にとって有利となる特別遊技状態を生起させるパチンコ機であって、前記図柄表示部に表示される図柄がリーチ状態となったとき、図柄表示部或は前記表示器とは別に設けた表示器に、停止図柄以外の図柄を表示することにより、特別遊技状態を生起させるか否かを決定することを特徴とするパチンコ機。」(特許請求の範囲、【請求項1】)、
「図柄表示部を有する表示器を設け、遊技者にとって有利となる特別遊技状態を生起可能なパチンコ機であって、前記図柄表示部に転球入賞器と遊技球の転動状態を表示して、特別遊技状態を生起させるか否かを決定することを特徴とするパチンコ機。」(特許請求の範囲、【請求項3】)、
「【従来の技術】
従来、遊技球が始動口に入って、図柄表示部の図柄が変動中し、所定時間後に図柄が停止、リーチ状態となったとき、最後に停止図柄をゆっくりと変動させて、遊技者に興味を持たせている。・・・、三つの図柄表示部には、数字、英字、フルーツ等の停止図柄が用意されていて、2個の図柄表示部の停止図柄が揃ったとき、リーチ状態となって、最後に停止する図柄表示部の図柄はゆっくりと変動させて、遊技者にどの図柄で停止するか、わくわくさせて、興趣を図っている。
又、パチンコ機には、前記図柄組合せと異なって、例えば、クルーンと称される転球入賞器を有するものがある。このクルーンは、入賞球の勢いで旋回体を旋回し、旋回体に設けられた入賞領域の何れに入ったかで、特定入賞状態を生起するものである。」(段落【0002】)、
「【実施例】
図1はパチンコ機1の正面を示し、・・・前面枠6の前側にはガラス枠7が取り付けられ、・・・操作ハンドル5、上皿8及び下皿9が各々所定位置に取り付けられる。又、遊技板3のほぼ中央部には図柄表示器18が配設され、該図柄表示器18には図示略の制御装置を介して各種の図柄が表示される液晶の図柄表示部Lが配設してあり、・・・、図柄表示部L1、L2、L3を形成して停止図柄(例えば、数字、トランプ、花札等の10種類の図柄)を表示したり、リーチ状態となった後には図柄表示部L1、L2、L3に表示する図柄と異なる図柄を表示して、特別遊技状態を生起させるか否かを決定する。遊技板3には、普通入賞口10、11、13、前記図柄表示部L1、L2、L3の図柄を変動開始させる始動口15、16が適宜、配設されていて、各入賞口に入った遊技球は・・・出口から排出される一方、所定数の景品球が上皿8又は下皿9に排出される。大入賞口19は図柄表示器18の下部に配設されていて、前記図柄表示部L1、L2、l3の図柄が所定時間変動後、停止して、該停止図柄が予め設定の図柄と一致して大当たり(特別遊技状態)となり、ソレノイド(図示略)が作動して一定時間、或は所定数の遊技球が入るまで開状態を維持して遊技球を受け入れる。尚、図柄表示部L1、L2の停止図柄が揃ったときをリーチとし、図柄表示部L1、L2、L3の図柄が揃ったときを特別遊技状態とする。」(段落【0006】)、
「・・・、遊技球が始動口15、16の何れかに入ると、図柄表示部Lは、図2(A)に示す様に、図柄表示部L1、L2、L3に分割表示され、よく知られた制御方法でもって、図柄が変動し、最初に図柄表示部L1、そして、図柄表示部L2の図柄が停止する。この時、図柄表示部L1、L2の停止図柄が揃わなかったときには、特別遊技状態を生起する可能性がないため、図柄表示部L3の図柄を早めに停止する。他方、図柄表示部L1、L2の停止図柄が予め設定の図柄(本実施例では同じ図柄)となったとき、リーチ状態とし、図柄表示部L3は、従来の停止図柄と異なって、図2(B)に示すように、図柄表示部L1’、L2’、L3’とクルーンと称される転球入賞器50が表示される。このクルーン入賞器50は、遊技球Yが誘導路57を転球し、湾曲状の基台52に形成の旋回体60内を旋回し、旋回体60内に設けられている3箇の排出口58a、58b、58cの何れかに入る様に構成してあり、排出口58bに入ったとき特定入賞を発生させる。そこで、図柄表示部Lには、遊技球Yが、あたかも、ハードウエアで構成のクルーン入賞器と同じ様に転球する様子を描き、この表示中、図柄表示部L3’には、図柄が判明可能な速度で変動する。そして、遊技球Yが、前記クルーンの排出口58bに遊技球が入ったときには、特別遊技状態を発生させるため、図柄表示部L3’に図柄表示部L1(L2)と同じ図柄で停止させた後、図柄表示部Lの全体に特別遊技状態を生起した旨を表示して、遊技者に知らせる。この結果、大入賞口19は一定時間、或は所定数の遊技球が入るまで開状態を維持して遊技球を受け入れる。反対に、遊技球Yが排出口58a、58cに入ったときには、図柄表示部L3の停止図柄を図柄表示部L1(L2)と異なる停止図柄を表示して、外れ処理をする。
以上のように、遊技者は、リーチとなったとき、クルーン(転球入賞器)を旋回する遊技球Yの行方に興趣を見いだして、従来、停止図柄をゆっくり変動させるのとは、異なる面白味を奏する。又、この様に図柄表示部Lを使用することによって、遊技球の動きをハードウエアで構成するのと異なり、下から上方向に転動させたり、急に反対方向に転がる等、種々な遊技球の動きを描くこともできる。
尚、前記例では、図柄表示部Lを使用して、図柄表示部L1’L2’、L3’と、停止図柄と異なる図柄表示を行っているが、各々別体の表示部でもって構成してもよいことはいうまでもない。」(段落【0007】)、
「・・・。又、リーチ状態を奏したとき、図柄表示部に表示する図柄と異なる図柄として、前記したクルーン、競馬のシーン或は、野球の画面を描いてバッターがホームランを打てば特別遊技状態を生起、三振等の場合には外れとしたり、相撲、ボクシング等での勝敗で区別することなどであってもよい。・・・。」(段落【0008】)、
「図4?図8は、所謂3種のパチンコ機に於ける図柄表示器の図柄表示方法について説明する。
先ず、図4はパチンコ機の遊技板3の正面図を示し、遊技板の中央には特定入賞口25が配設してあり、その下には図柄表示器Lが取り付けてある。そして、図柄表示器Lの下方に特定入賞装置30、及び右方に始動入賞装置41と変動入賞装置45が各々配置してある。
尚、前記図柄表示機器Lには、遊技中、遊技球が転動可能な転球入賞器20の図柄が表示してあって、前記特定入賞口25に入った遊技球が、あたかも、旋回体21を転動するが如く表示する。即ち、この転球入賞器20は縦列に設けられた2つの旋回体21で構成され、遊技球は、3つの排出口22のいずれかへ排出される。この排出口22のうち運よく特定排出口22aを通過すると、その遊技球は特定入賞装置30に入るように表示され、このとき、・・・、実際の遊技球を特定入賞装置30に送る。又、上部には配列状態のランプ23が表示され、・・・特定入賞装置30に付設の検出器38で遊技球が検出されたとき、順次点灯、消滅を繰返す10個のランプ23が表示される。尚、転球入賞器とは、遊技球が転動して、何れかの排出口等に導かれることによって、遊技者に有利、不利な状態を奏する入賞器のことである。」(段落【0011】)、
「前記特定入賞口25に入った遊技球は、図5(側断面図)に示す様に、・・・球切り装置60に導かれ、複数の遊技球の停留を可能とし、1球毎、選別器90に排出可能に構成してある。そして、遊技球Yは、・・・選別器90を介して、特別遊技状態となったときには、遊技球を特定入賞装置30に排出可能に構成してある。・・・。
球切り装置60は、可動部材63の停止部64が・・・案内路67内へ突出していて、特定入賞口25に入った遊技球Yは排出路59を経て案内路67の入口67aに導かれると、ここで可動部材の停止部64に一旦停留される(図6(A))。そして、該遊技球Yを検出器68が検出することにより・・・、図6(B)に示すように可動部材63は・・・傾動してその停止部64を案内路67内から退出移動する。同時に回動部材70はその係止部71が可動部材63に係合して押されることによって反時計方向に回動し、これに伴い球受部72が案内路67内に突出移動する。この結果、可動部材63の停止部64の前記退出動作により、該停止部64に停留されたセーフ球Yはここから落下して案内路67内に突出された球受部72に受けられる。
続いて、・・・、可動部材63は・・・、遊技球Yの自重とコイルバネ65の付勢力により傾動してその停止部64を透孔66から案内路67内へ突出移動し、同時に球受部72は、ここに受けている遊技球Yの自重に付勢され時計方向に回動して案内路67内から退出移動する。この結果、球受部72のセーフ球が排出樋73側に落下排出されるとともに、停止部64によって球受部72のセーフ球1個分上流側の次球を停留して落下を阻止するので、セーフ球を1個づつ排出できる。以降、セーフ球が導かれる毎に、上記と同様にして排出する。・・・。」(段落【0012】)、
「・・・。球切り装置60から排出された遊技球Yは、誘導路89を介して選別器90に落下する。この選別器90には、一対の電磁ソレノイド91a、91bが備えてあって、図7(A)に示すように、・・・共に非励磁の時には、弾性体93a、93bによってロッド92a、92bが突出状態を維持する。このため、落下する遊技球はロッド92a、92b上に停留する。そして、図示略の制御装置を介して、遊技球Yを特定入賞装置30に導くか、それ以外に排出するかを決定する。即ち、電磁ソレノイド91aを励磁すると、ロッド92aが引っ込んで、遊技球Yは通路95aを介して特定入賞装置30に導かれる(図7(B))。反対に、電磁ソレノイド91bを励磁すると、ロッド92bが引っ込んで、遊技球Yは通路95bを介して排出される。」(段落【0013】)、
「図8は、特定入賞装置30の斜視図である。・・・。31は前記選別器90の通路95aと連通の入口であって、遊技球は検出器38で検出されて、振分体32上に載置される。尚、前記振分体32は、常時、モータ39を介して遊技球Yを載置可能状態となっているし、この振分体32には遊技球の受け部33が形成されている。前記、検出器38で遊技球を検出すると、図柄表示部Lに表示のランプ23が順次点灯消滅を開始する。そして、所定時間経過後に、点灯しているランプ23が、例えば、「3」と「8」の場合には、権利発生させるために、振分体32を左回転して停留している遊技球を受部33に納めながら特定入賞口34に導き、ここを通過すると図示略の権利スイッチが作動して権利発生中となる。反対に、権利を発生させない場合には、振分体32は右回転して遊技球を通過口35に導く。」(段落【0014】)、
「前記構成の3種のパチンコ機の作用について説明する。尚、この作用は、制御装置を介して制御されている。遊技球が特定入賞口25に入ると、排出路59を通って球切り装置60に導かれ、検出器68で遊技球が検知されると、電磁石69を介して、1球毎、選別器90に排出する。尚、次に排出可能となるタイミングは、前記遊技球に対して、外れが確定した後である。一方、球切り装置60に付設の検出器68の信号によって、図柄表示部Lには転動可能な転球入賞器20が表示されると共に、遊技球が、実際に、旋回体21を転動するが如く表示する。そして、遊技球が特定排出口22a以外の排出口22へ導かれた時には外れであり、選別器90に付設の電磁ソレノイド91bを励磁して、遊技球Yを通路95bに排出する。これによって、外れが確定するため、球切り装置60に付設の検出器68が遊技球を検知すると、前記と同じ行程を行う。反対に、遊技球が特定排出口22aに導かれたときには、選別器90に付設の電磁ソレノイド91aを励磁して、遊技球Yを通路95aに排出する。これによって、実際の遊技球が特定入賞装置30に導かれ、遊技球は検出器38で検出されて、振分体32上に載置され、この遊技球に対して権利を発生するかを決定するためランプ23を順次点灯する。そして、所定時間経過後、点灯ランプが「3」と「8」以外のランプのとき、権利を発生させず、振分体32は右回転して遊技球を通過口35に導く。反対に、権利を発生させるときには、振分体32を左回転して停留している遊技球を受部33に納めながら特定入賞口34に導く。そして、始動入賞装置41に内装の回転体43が回転し、入口42からの遊技球を回転体43に受け入れ、その遊技球を始動入賞口(図示略)に導くと、変動入賞装置45の扉46はソレノイドを介して、その都度開放されて多量の賞品球の獲得ができる。
以上のように、特定入賞口に入った遊技球に対して、図柄表示部Lに転球入賞器20を描いて、実際に遊技球が転動する様を表示することによって、特定の入賞領域(排出口)に近付いたとき、遊技店で禁止されているパチンコ機を揺らしたり、叩いたりする行為が無意味となり、このことによって、特定入賞領域への入賞率は、予め設定されている確率を維持できるし、パチンコ機の損傷を防止して寿命を延ばすことができる。
尚、前記は、転球入賞器を図柄表示器を介して表示し、特定入賞装置には実際の遊技球を使用するように構成して、より面白味を奏しているが、特定入賞装置も図柄表示器で表示するように構成することもできるし、前記の転球入賞器をクルーン形式のものを使用してもよい。又、この第3種のパチンコ機に対して、前記の転球入賞器に替えて、図2(C)と同じ競馬シーンを描いて、特別遊技状態の生起を決定するように構成することもできる。
尚、前記の各構成は類似の遊技機に適用可能であることは言うまでもない。」(段落【0016】)、
との記載が認められる。
また、上記摘記事項および図1、2(B)等より、図柄表示部に表示される図柄が予め設定の図柄と一致した停止図柄となったとき、遊技者にとって有利となる特別遊技状態を生起させるパチンコ機であって、特別遊技状態を生起させるか否かを決定すること(特許請求の範囲、【請求項1】)、遊技球が始動口15、16の何れかに入ると、図柄表示部Lは、図柄表示部L1、L2、L3に分割表示され、よく知られた制御方法でもって、図柄が変動し、図柄表示部L1、L2の停止図柄が揃わなかったときには、特別遊技状態を生起する可能性がないため、図柄表示部L3の図柄を早めに停止し、他方、図柄表示部L1、L2の停止図柄が予め設定の図柄となったとき、リーチ状態とし、図柄表示部L3は、従来の停止図柄と異なって表示されること(段落【0007】)、3種のパチンコ機の作用は、制御装置を介して制御されており、遊技球が特定入賞口25に入ると、1球毎、選別器90に排出し、そのタイミングは、遊技球に対して、外れが確定した後であること(段落【0016】)等、および、主制御装置において、始動口への入賞により特別可変入賞装置を開閉させるような大当たりやハズレを決定するために、乱数抽選を行うことは例をあげるまでもなく周知であることから、パチンコ機1は、「抽選条件の成立に起因して抽選を行う抽選手段」を備えているものと認められ、
また、上記摘記事項および図1、2(B)等より、複数の図柄を表示可能な図柄表示部を有する図柄表示器を設け、図柄表示部に表示される図柄が予め設定の図柄と一致した停止図柄となったとき、遊技者にとって有利となる特別遊技状態を生起させるパチンコ機であること(特許請求の範囲、【請求項1】)、図柄表示器18には制御装置を介して各種の図柄が表示される図柄表示部Lが配設し、図柄表示部L1、L2、L3を形成して停止図柄を表示したり、リーチ状態となった後には図柄表示部L1、L2、L3に表示する図柄と異なる図柄を表示して、特別遊技状態を生起させるか否かを決定し、図柄表示部L1、L2、L3の図柄が揃ったときを特別遊技状態とすること(段落【0006】)、図柄表示部Lは、図柄表示部L1、L2、L3に分割表示され、よく知られた制御方法でもって、図柄が変動し、停止する。この時、図柄表示部L1、L2の停止図柄が揃わなかったときには、図柄表示部L3の図柄を早めに停止し、図柄表示部L1、L2の停止図柄が予め設定の図柄となったとき、図柄表示部L3は、従来の停止図柄と異なって表示され、図柄表示部L3’に図柄表示部L1(L2)と同じ図柄で停止させたり、図柄表示部L3の停止図柄を図柄表示部L1(L2)と異なる停止図柄を表示して、外れ処理をしたりすること(段落【0007】)等から、パチンコ機1は、「抽選結果を当たり図柄又は外れ図柄で表示する図柄表示器18」やも「図柄表示器18を制御する表示制御手段」を備えているものと認められる。
これらの記載によれば、引用例1には、

「抽選条件の成立に起因して抽選を行う抽選手段と、前記抽選結果を当たり図柄又は外れ図柄で表示する図柄表示器18と、前記図柄表示器18を制御する表示制御手段とを備えるパチンコ機1において、
前記表示制御手段は、前記図柄表示器18を制御して、リーチ状態となったとき、前記図柄表示器18の図柄表示部Lに図柄表示部L1’、L2’、L3’と転球入賞器50表示部とを形成させ、遊技球Yを前記転球入賞器50表示部に表示させ、また前記遊技球Yを前記転球入賞器50表示部に下から上方向に転動させたり、急に反対方向に転がる等の動きを描かせ、該下から上方向に転動させたり、急に反対方向に転がる等の動きをしていた遊技球Yが予め定められた排出口58bに入ったか入らないかにより前記抽選結果に対応した前記当たり図柄又は外れ図柄を表示させるパチンコ機1。」

との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-168561号公報(以下、引用例2という。)には、図面とともに、
「特定入賞口への入賞に基づいて、可変表示装置で図柄を可変表示し、その停止図柄の態様に応じて所定の遊技価値を付与する遊技機において、前記特定入賞口への入賞を、所定数を上限として記憶する入賞数記憶手段と、前記可変表示装置の表示部に、前記入賞数記憶手段の記憶内容を報知するための所定図柄を表示する記憶報知図柄表示手段と、を設けた・・・遊技機。」(特許請求の範囲、【請求項1】)、
「前記記憶報知図柄表示手段は、前記入賞数記憶手段の記憶数に相当する個数の所定図柄を表示する・・・遊技機。」(特許請求の範囲、【請求項2】)、
「前記記憶報知図柄表示手段は、所定の乱数に基づいて、複数種の図柄から表示図柄を選択する表示図柄選択手段を備える・・・遊技機。」(特許請求の範囲、【請求項3】)、
「前記記憶報知図柄表示手段は、前記表示図柄選択手段によって選択された図柄の組合せに応じて所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段を備える・・・遊技機。」(特許請求の範囲、【請求項4】)、
「前記図柄が、所定の動きを表現した動画で構成されるこ・・・遊技機。」(特許請求の範囲、【請求項5】)、
「・・・、昨今の可変表示装置は、表示部にCRTディスプレイや液晶ディスプレイ(LCD)を採用するものが多くなり、高度な表現を行うことが可能となってきており、・・・表示機能や表示特性を記憶数表示にも活用したいという要望がある。」(段落【0009】)、
「【課題を解決するための手段】・・・、請求項1に記載の発明は、例えば、図1の原理図に示すように、特定入賞口Tへの入賞に基づいて、可変表示装置1で図柄Cを可変表示し、その停止図柄の態様に応じて所定の遊技価値を付与する遊技機Pにおいて、前記特定入賞口Tへの入賞を、所定数を上限として記憶する入賞数記憶手段M1と、前記可変表示装置1の表示部1Aに、前記入賞数記憶手段M1の記憶内容を報知するための所定図柄HCを表示する記憶報知図柄表示手段M2と、を設けた構成となっている。」(段落【0011】)、
「また、請求項2に記載したように、請求項1記載の遊技機Pにおいて、前記記憶報知図柄表示手段M2は、前記入賞数記憶手段M1の記憶数に相当する個数の所定図柄HCを表示するように構成することができる。」(段落【0012】)、
「また、請求項3に記載したように、請求項1または請求項2に記載の遊技機Pにおいて、前記記憶報知図柄表示手段M2は、所定の乱数に基づいて、複数種の図柄から表示図柄HCを選択する表示図柄選択手段M3を備えるように構成できる。」(段落【0013】)、
「また、請求項4に記載したように、請求項3に記載の遊技機Pにおいて、前記記憶報知図柄表示手段M2は、前記表示図柄選択手段M3によって選択された図柄HCの組合せに応じて所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段M4を備えるように構成できる。」(段落【0014】)、
「さらにまた、請求項5に記載したように、請求項1から請求項4の何れかに記載した遊技機Pにおいて、前記図柄HCが、所定の動きを表現した動画で構成されるようにしてもよい。」(段落【0015】)、
「図2及び図3に示すように、本実施例におけるパチンコ遊技機Pは、大別して、遊技盤100の略中央に設けられる可変表示装置(特別図柄表示装置)1の表示を制御する表示制御装置GC、遊技制御回路を構成する役物制御装置2,入力制御部3と、出力制御部4と、排出制御装置5及び電源装置6とからなり、さらに、役物制御装置2は、制御中枢部2Aと、音声制御部2Bとから構成されている。」(段落【0025】)、
「役物制御装置2における制御中枢部2Aは、CPU(Central Processing Unit)210、ROM(Read Only Memory)211、RAM(Random Access Memor)212、分周回路213、クロック生成回路214から構成され、所定の設定確率に基づく一様乱数を生成する機能・・・等を有するものである。」(段落【0027】)、
「CPU210は、例えば、他の各種回路を制御する役物制御装置2の中枢を構成する8ビットのマイクロプロセッサであり、制御部(controller),演算部(ALU:arithmetic logical unit)といくつかのレジスタ(register)から構成され、・・・リセット割込処理によって、ROM211内に格納されたプログラム処理手順に基づいて1シーケンス単位で各種プログラム処理を実行するものである。」(段落【0028】)、
「また、遊技に用いる乱数を必要とする場合に、本実施例では、リセットタイミングに合わせてカウントアップするケタ上がり方式のカウンタによって乱数を得ている。」(段落【0029】)、
「ROM211は、CPU210によって利用される各種制御プログラムやデータ等を格納する不揮発性のメモリであり、RAM212は、CPU210におけるプログラム処理実行中に利用されるプログラムデータ等を格納したり、遊技に関連するデータを一時的に記憶し、作業領域として利用される揮発性のメモリである。」(段落【0030】)、
「・・・、RAM212内には、遊技球が第1種始動口102に入賞した時点における大当り乱数の抽選値を4つまで順次記憶する所定の記憶領域(特図保留エリア)が設けられており、この特図保留エリアにおける記憶数が、すなわち始動記憶数(保留記憶数)となる。」(段落【0031】)、
「・・・、第1種始動スイッチSW1への入賞は、4個を上限として、可変表示ゲーム始動の保留記憶としてRAM212内の特図保留エリアに一時的に記憶される。」(段落【0037】)、
「大入賞口ソレノイド14は、前記第1種始動口102への入賞タイミングで、RAM212内の所定の記憶領域に記憶される保留記憶データに基づいて可変表示ゲームが行われた結果、可変表示装置1に表示される停止図柄C(図1,図5参照)が特定のパターン(例えば、「777」)となって大当りした場合、変動入賞装置(大入賞口)を約29.5秒間、最大16回継続して開放するためのアクチュエータである。」(段落【0046】)、
「表示制御装置GCは、図5に示すように、可変表示装置1の表示部1Aの略中央の表示領域R1に、役物制御装置2から出力される表示データに基づいて特別図柄Cを変動表示させて可変表示ゲームを実行すると共に、その特別図柄Cの下方に位置する表示領域R2に、役物制御装置2から出力される保留記憶データに基づいて、所定の記憶報知図柄HC(HC1,HC2,HC3,HC4)を表示するものである。」(段落【0057】)、
「可変表示装置1の表示部1Aは、・・・、表示制御装置GCからの制御信号により種々の文字や図柄等のキャラクターC,HCを表示できるようになっている。」(段落【0060】)、
「可変表示装置1で行われる可変表示ゲームは、図5に示すように、・・・表示領域R1に、第1図柄(左図柄:C1)、第2図柄(中図柄:C2)、第3図柄(右図柄:C3)の三つの図柄を変動表示し、所定時間(5秒以上)経過後に、左図柄→中図柄→右図柄の順に、それぞれ、例えば、・・・15図柄中のいずれかの図柄の1つを停止表示する。」(段落【0061】)、
「・・・大当たりの決定や、停止図柄の決定等は、役物制御部2によって生成される乱数に基づいて行われ、・・・る。」(段落【0063】)、
「表示制御装置GCは、制御中枢部GC1と、画像出力部GC2と、音声出力部GC3とから構成され、役物制御装置2からの表示データ信号(表示情報)に基づいて、可変表示装置1の表示部1Aの表示領域R1に可変表示ゲームに用いられる特別図柄Cを表示すると共に、役物制御装置2からの保留記憶データ信号に基づいて、表示領域R2に保留記憶数を表わす記憶報知図柄HCを表示し、また、・・・効果音等の音声を生成したりするものである。」(段落【0066】)、
「制御中枢部GC1は、CPU300、ROM301、RAM302から構成されている。」(段落【0067】)、
「CPU300は、・・・役物制御装置2から送られてくる表示データ信号や保留記憶データ信号に基づいて、表示すべき画像(図柄や各種キャラクター)・・・を生成する処理、或いは、役物制御装置2で生成される乱数に基づいて表示すべき記憶報知図柄HCを選択する処理等を制御するものである。」(段落【0068】)、
「ROM301は、CPU300によって利用される表示制御用のプログラムや図柄データ、キャラクターデータ、・・・等を記憶格納する不揮発性のメモリであり、RAM302は、CPU300におけるプログラム処理実行中に利用されるプログラムデータや、演算結果等を一時的に記憶したり、プログラム処理時の作業領域として利用される揮発性のメモリである。」(段落【0070】)、
「・・・、役物制御装置2のCPU210の制御によって、例えば、第1種始動スイッチSW1の入力信号に基づいて、記憶表示図柄を決定する記憶報知図柄選択乱数より乱数を取得して記憶報知図柄情報記憶領域へ記憶すると共に、特図乱数生成領域より乱数値(可変表示ゲーム用)を取得し、特図乱数判定用記憶領域に記憶する。」(段落【0074】)、
「・・・、各記憶情報に基づく制御信号が、・・・CPU300に入力される。」(段落【0075】)、
「CPU300は、その制御信号に基づく新たな記憶表示図柄用乱数値及び現在の保留記憶情報を受信する。」(段落【0076】)、
「詳しくは、保留記憶情報と、それに対応した記憶報知図柄情報を受信する。」(段落【0077】)、
「保留記憶情報が「1」で記憶報知図柄情報(記憶報知図柄選択乱数)が、例えば「A」の場合は、可変表示装置1の表示部1Aの表示領域R2の左から一番目に記憶報知図柄情報「A」に対応した図柄HC1を表示(図7(イ)参照)し、保留記憶情報が「2」で、記憶報知図柄情報(記憶報知図柄選択乱数)が、例えば「B」の場合は、可変表示装置1の表示部1Aの表示領域R2の左から二番目に記憶報知図柄情報「B」に対応した図柄HC2を表示(図7(ロ)参照)し、保留記憶情報が「3」で記憶報知図柄情報(記憶報知図柄選択乱数)が、例えば「D」の場合は、可変表示装置1の表示部1Aの表示領域R2の左から三番目に記憶報知図柄情報「D」に対応した図柄HC3を表示(図7(ハ)参照)し、保留記憶情報が「4」で記憶報知図柄情報(記憶報知図柄選択乱数)が、例えば「A」の場合は、可変表示装置1の表示部1Aの表示領域R2の左から四番目に記憶報知図柄情報「A」に対応した図柄HC4(HC1と同一図柄)を表示(図8(ニ)参照)する。」(段落【0078】)、
「・・・、保留記憶表示を更新する場合は、例えば、・・・四つ保留記憶表示が表示されている場合、保留記憶情報「3」で記憶報知図柄情報が特定値(例えば「FF」)の場合に、一番左に表示されていたHC1が消去され(図8(ホ)参照)、順次左に移動する(HC4→HC3,HC3→HC2,HC2→HC1)。」(段落【0079】)、
「・・・、この場合に、表示される記憶表示図柄HC1?HC4のそれぞれのキャラクターは、役物制御装置2で生成される乱数に基づいて、CPU300で対応づけられた図柄が選択されて表示される(例えば、4種類のキャラクターの中から、一つが選択されて表示される。)したがって、記憶表示図柄HC1?HC4の表示態様には、所定の確率で、複数種類の組合せが生じることとなる。」(段落【0081】)、
「・・・、この記憶表示図柄HC1?HC4の組合せが、所定の組合せ(例えば、図8(ニ)に示すように、同一キャラクターが二つ以上出た組合せや、図5に示すように4つのキャラクターが全て出揃った組合せ等)となった場合に、可変表示ゲームにおいて「大当り」が生ずる確率を高確率に変更するように構成するならば、記憶表示図柄HC1?HC4の組合せのランダム性を遊技内容に活用することができ、・・・る。」(段落【0082】)、
「また、この記憶報知図柄HCの組合せを、遊技店における所謂ラッキーナンバー営業・・・的に利用することもできる。」(段落【0083】)、
「即ち、例えば、大当たり時、または、大当たり終了時に、記憶報知図柄が4つとも同じキャラクターが揃う組み合わせになったような場合に、大当たりで獲得した遊技球によって当該遊技機で連続して遊技を行わせるようにしても良い。」(段落【0084】)、
「可変表示装置1の表示部1Aの表示領域R1では、役物制御装置2のCPU210より送出された表示図柄情報の制御信号に基づいて、・・・、各種図柄C(左図柄C1、中図柄C2、右図柄C3)が変動表示され、所定時間経過後に順次停止表示される可変表示ゲームが行われる。」(段落【0085】)、
「・・・、保留記憶数が「0」になるまで、同様の可変表示ゲームが、順次実行されることとなる。」(段落【0087】)、
「・・・、ステップS6に進んで、可変表示ゲームにおける大当り,リーチ,ハズレのいずれかを決定するために、ケタ上がり方式のカウンタに基づいてゲーム内容に関与する新たな乱数を生成して乱数の更新を行う乱数更新処理が実行される。」(段落【0093】)、
「・・・時分割処理により、イベントカウンタ値が「0」の場合には、ステップS801で特別図柄のゲーム処理(特図ゲーム処理:・・・通常処理、図柄変動処理、リーチ処理、大当り処理等を含む)が実行され、カウンタ値が「1」の場合には、・・・送信コマンド編集処理が実行され、カウンタ値が「2」の場合には、ステップS803で図柄の変動、停止の制御を行う図柄制御編集処理が実行され、カウンタ値が「3」の場合には、ステップS804で制御中枢部2Aから表示制御装置GCに対して表示データを転送するデータ転送処理が順次実行される。」(段落【0097】)、
「ステップS702では、現時点における始動記憶(保留記憶)が“4”であるか否かが判定され、「Yes」の場合には、新たな記憶の追加は出来ないものとして、そのまま図9のメイン処理に戻り、「No」の場合(即ち、記憶数が“3”以下の場合)にはステップS703に移行して、始動記憶数を「+1」インクリメントしてからステップS704に進む。」(段落【0103】)、
「ステップS704では、可変表示ゲームで用いる乱数を、特別図柄の乱数生成領域より抽出してからステップS705に移行し、抽出した乱数をRAM212内の特別図柄乱数判定用記憶領域へ格納してからステップS706に進む。」(段落【0104】)、
「ステップS706では、記憶報知図柄HCを選択するための乱数を抽出してステップS707に移行し、抽出した乱数をRAM212内の記憶報知図柄情報記憶領域へ格納してから図9のメイン処理へ戻る。」(段落【0105】)、
「このSW入力処理によって、可変表示装置1において行われる可変表示ゲームの始動記憶(保留記憶)が更新され、この始動記憶数に基づいて、可変表示装置1の表示部1Aの表示領域R2に表示される記憶報知図柄HCの表示数が決定されることとなる。」(段落【0106】)、
「・・・、可変表示装置1の表示部1Aの表示領域R2において、例えば、始動記憶数が“1”の場合には、左側から一番目に記憶報知図柄HC1を表示し、始動記憶数が“2”の場合には左側から一番目と二番目に記憶報知図柄HC1,HC2を表示し、始動記憶数が“3”の場合には、一番目?三番目に記憶報知図柄HC1?HC3を表示し、始動記憶数が“4”の場合には、一番目?四番目に記憶報知図柄HC1?HC4を表示して、遊技者にその記憶報知図柄HCの表示数によって始動記憶数(保留記憶数)を報知することが可能となる。」(段落【0107】)、
「また、ステップS706とステップS707の処理に基づいて、表示領域R2に表示されるべき記憶報知図柄HCのキャラクターが、複数種類の中からランダムに選択されることとなる。」(段落【0108】)、
「即ち、ROM301内に予め格納されている例えば4種類のキャラクターの中から、乱数値に対応するキャラクターが一つ選択され、その選択されたキャラクターが記憶報知図柄HCとして表示領域R2に表示出力されることとなる。」(段落【0109】)、
「・・・通常処理では、まず、ステップP1で、RAM212の特図保留エリア内の始動記憶(保留記憶)の有無が判定され、始動記憶がない場合(「No」の場合)には直ちに図9のメイン処理に復帰して、ステップS9以降の処理に進み、始動記憶がある場合(「Yes」の場合)には、ステップP2で始動記憶数を「1」ディクリメントしてからステップP3に移行し、RAM212内の特図保留エリア(特図乱数判定用記憶領域)より乱数を取得して、ステップP4に進む。」(段落【0112】)、
「ステップP4では、現在のパチンコ遊技機Pにおける可変表示ゲームでの遊技状態が確率変動中、すなわち、高確率状態であるか否かが判定され、低確率状態である場合(判定結果が「No」である場合)には、ステップP5に進んで通常確率中の乱数判定値として“07”を1つだけ選択し、高確率状態である場合(判定結果が「Yes」である場合)には、ステップP6に移行して確率アップ中の乱数判定値として“07”,“22”,“75”,“124”,“189”の5つを選択して、確率変動時には、通常時と比較して確率が5倍にアップするようになっている。」(段落【0113】)、
「次いで、ステップP7に進んで、上記ステップP3で取得された乱数値と乱数判定値とを比較してからステップP8に移行する。」(段落【0114】)、
「ステップP8では、取得された乱数が当り値であるか否かが判定され、当り値ではなかった場合(判定結果が「No」の場合)には、ステップP9に進んで、RAM212のハズレ図柄格納領域に記憶されているハズレ図柄により停止図柄が決定され、当り値であった場合(判定結果が「Yes」の場合)には、ステップP10に移行してRAM212の大当り図柄格納領域に記憶されている当り図柄により停止図柄が決定される。」(段落【0115】)、
「そして、ステップP11でイベントカウンタ値が「図柄変動処理」・・・に変更された後にメイン処理に復帰し、図9のステップS9以降の処理を実行する。」(段落【0116】)、
「この通常処理により、始動記憶の有無が確認され、始動記憶が有る場合には、乱数に応じて大当りの発生確率が変更され、また、可変表示装置1の表示部1Aの表示領域R1で行われる可変表示ゲームで表示される図柄が決定されることとなる。」(段落【0117】)、
「次に、図9の前記ステップS802の送信コマンド編集処理の処理手順を図12に示すフローチャートを参照して説明する。」(段落【0119】)、
「この送信コマンド編集処理では、ステップT1で各種モードデータに対応するテーブルデータを算出する。」(段落【0120】)、
「データの具体的な内容は、例えば、表1,表2に示すように、動作状態を示すモードデータと、各モードでの図柄及びその表示位置を示すデータ1?データ6と、保留記憶情報を示す情報としてのデータ7,データ8とがそれぞれ1バイトづつ、合計9バイトのデータとして、役物制御装置2から表示制御装置GCに転送される。」(段落【0121】)、
「・・・、例えば、モードが01H(通常回転)であれば、データ1に「左図柄番号」、データ2に「左図柄位置」、データ3に「中図柄番号」、データ4に「中図柄位置」、データ5に「右図柄番号」、データ6に「右図柄位置」、データ7に「特別図柄の記憶情報」、データ8に「記憶報知図柄情報(例えば、記憶報知図柄のキャラクターを指定するために選択された乱数値)」というように、データ番号に対する各情報の格納領域への割り付けを算出して設定するものである。」(段落【0124】)、
「また、表2に示す場合では、例えば、モードが08H(呼び込み)であれば、データ1に「左図柄番号」、データ2に「DC:disconnection ;データなし状態」、データ3に「中図柄番号」、データ4に「08H」、データ5に「右図柄番号」、データ6に「DC」、データ7に「特別図柄の記憶情報」、データ8に「記憶報知図柄情報」というように、データ番号に対する各情報の格納領域への割り付けを算出して設定するものである。」(段落【0126】)、
「・・・、例えば、本発明に直接関連する始動記憶数を特図記憶情報エリアから取得し、記憶報知図柄の情報を記憶図柄情報記憶エリアより取得する。」(段落【0130】)、
「ステップT3では、取得した情報(例えば、始動記憶数や記憶図柄情報)をRAM212のデータ転送領域に表1または表2の形式(フォーマット)でセットしてから図9のメイン処理に戻り、ステップS9以降の処理を実行する。」(段落【0131】)、
「この送信コマンド編集処理により、表示制御装置GCは、役物制御装置2から転送されてくる情報(始動記憶数(保留記憶数)や記憶図柄情報)に基づいて、その記憶に相当する記憶報知図柄HCを選択されたキャラクターで表示出力することができ、記憶報知図柄HCの表示数による斬新な記憶数報知を行うことができるようになる。」(段落【0132】)、
「・・・図柄制御編集処理と同じような処理を、表示領域R2の記憶報知図柄HCの表示に適用して、各種キャラクターに所定の動作を行わせる動画(アニメーション表示)として表現して、記憶報知図柄HCに面白味を付加できるようにしてもよい。」(段落【0137】)、
「なお、特別図柄や記憶表示図柄以外の表示、即ち、その他のキャラクターや文字等の表示については、表示制御装置1によって制御される。」(段落【0138】)、
「・・・、本実施例に係るパチンコ遊技機Pによれば、可変表示ゲームの始動記憶数について、可変表示装置1の表示部1Aの表示領域R2における記憶表示図柄HCの表示数によって、今までにない斬新なイメージの報知を行うことができる。」(段落【0139】)、
「しかも、遊技者は、可変表示ゲームが行われる可変表示装置1の表示部1Aを注視するだけで、記憶報知図柄HCによって容易に記憶数を把握することができ、視認性も良好であるから、パチンコ遊技に集中することができる。」(段落【0140】)、
「また、記憶報知図柄の組合せに応じて、大当りの発生確率を変動させるようにした場合には、パチンコ遊技に対する興趣を一層高揚させることができる。」(段落【0141】)、
「また、本実施例では、記憶報知図柄HCを4種類のキャラクターから選択する場合について述べたが、これに限られるものではなく、キャラクターの数は任意に変更できる・・・。」(段落【0144】)、
「さらにまた、本実施例では、記憶報知図柄HCを、可変表示装置1の表示部1Aの表示領域R1の下方の表示領域R2に表示出力する場合について述べたが、これに限定されるものではなく、表示部1A内であれば任意の位置(例えば、縦方向等)に記憶報知図柄HCの表示領域を設けることが可能である。」(段落【0145】)、
「また、本実施例では、記憶報知図柄HCによる保留記憶数の上限が4個である場合いついて述べたが、これに限られるものではなく、4個以下或いは4個以上の記憶数を上限とした場合にも、それに見合った数の記憶報知図柄HCを表示領域R2に表示することにより、視認性良く記憶数の報知を行うことができる。」(段落【0146】)等
が記載され、上記摘記事項および図面から引用例2には、

「遊技球が第1種始動口102に入賞した時点における大当り乱数の抽選値を取得し乱数判定値と比較して抽選を行うCPU210と、前記抽選結果を大当り停止図柄または外れ停止図柄で表示する可変表示装置1と、前記可変表示装置1を制御する表示制御装置GCと、前記可変表示装置1による前記抽選結果の表示が実行前の前記抽選に係る保留記憶データを記憶するRAM212とを備える遊技機Pにおいて、
前記表示制御装置GCは、前記可変表示装置1を制御して、前記可変表示装置1の表示部1Aに保留記憶数を表わす記憶報知図柄HCを表示する表示領域R2と可変表示ゲームに用いられる特別図柄Cを表示する表示領域R1とを形成させ、前記RAM212に記憶されている前記保留記憶データの保留記憶数に相当する数の記憶報知図柄HC(HC1,HC2,HC3,HC4)を前記抽選結果の古いものを左側から順番に並べて前記表示領域R2に表示させる際に乱数に基づいて表示すべき記憶報知図柄HC(HC1,HC2,HC3,HC4)の4種類を選択し、また前記記憶報知図柄HC(HC1,HC2,HC3,HC4)に所定の動作を行わせる動画(アニメーション表示)として表現し、前記表示領域R1に前記抽選結果に対応した前記大当り停止図柄または外れ停止図柄を表示させる遊技機P。」

との発明(以下「引用例2発明」という。)が開示されていると認めることができる。

同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-164251公報(以下、引用例3という。)には、図面とともに、
「特定入賞口への入賞に基づいて、可変表示装置で図柄を可変表示し、その停止図柄の態様に応じて所定の遊技価値を付与する遊技機において、特定入賞口への入賞に基づいて前記可変表示装置の表示部に、矩形状の可変表示領域を表示させる可変表示領域表示手段と、表示された当該可変表示領域において図柄の可変表示を行う可変表示実行手段と、当該可変表示領域において停止図柄が確定した後に、この可変表示領域の表示を消滅させる可変表示領域消滅手段と、を設けた・・・遊技機。」(特許請求の範囲、【請求項1】)、
「・・・可変表示領域表示手段は、所定数を上限として、特定入賞口への入賞がある毎に、新たな可変表示領域を順次表示していく・・・遊技機。」(特許請求の範囲、【請求項2】)、
「【請求項5】前記可変表示領域表示手段は、複数の可変表示領域が重なり合わないように配置して表示するタイリング表示方式をとる・・・遊技機。」(特許請求の範囲、【請求項3】)、
「・・・、昨今の可変表示装置は、表示部にCRTディスプレイや液晶ディスプレイ(LCD)を採用するものが多くなり、高度な表現を行うことが可能となってきている中で、・・・表示機能や表示特性を生かした記憶数表示等の新たな表現態様の登場が望まれている。」(段落【0008】)、
「【課題を解決するための手段】・・・、請求項1に記載の発明は、例えば、図1の原理図に示すように、特定入賞口Tへの入賞に基づいて、可変表示装置1で図柄Cを可変表示し、その停止図柄の態様に応じて所定の遊技価値を付与する遊技機Pにおいて、特定入賞口Tへの入賞に基づいて前記可変表示装置1の表示部1Aに、矩形状の可変表示領域Wを表示させる可変表示領域表示手段M1と、表示された当該可変表示領域Wにおいて図柄Cの可変表示を行う可変表示実行手段M2と、当該可変表示領域Wにおいて停止図柄が確定した後に、この可変表示領域Wの表示を消滅させる可変表示領域消滅手段M3と、を設けた構成となっている。」(段落【0010】)、
「・・・、前記可変表示領域表示手段M1は、所定数を上限として、特定入賞口Tへの入賞がある毎に、新たな可変表示領域W1?W4を順次表示していくように構成することができる。」(段落【0011】)、
「・・・、前記可変表示領域表示手段M1は、複数の可変表示領域Wが重なり合わないように配置して表示するタイリング表示方式をとるようにしてもよい。」(段落【0014】)、
「請求項1に記載の発明によれば、・・・、可変表示領域の表示の有無を、特定入賞口への入賞の有無に対応させることができ、この可変表示領域によって入賞数の記憶を表現することが可能となる。」(段落【0016】)、
「・・・、所定数を上限として、特定入賞口への入賞がある毎に、新たな可変表示領域を順次表示していくように構成される場合には、可変表示領域の表示数で、入賞の記憶数を表わすことができ、斬新で視認性に優れた記憶数表示を実現することができる。」(段落【0017】)、
「・・・、請求項5に記載したように、・・・タイリング表示方式をとる場合には、表示された可変表示領域の数で入賞の記憶数を報知することができる。」(段落【0020】)、
「・・・、RAM212内には、遊技球が第1種始動口102に入賞した時点における大当り乱数の抽選値を4つまで順次記憶する所定の記憶領域(特図保留エリア)が設けられており、この特図保留エリアにおける記憶数が、すなわち始動記憶数(保留記憶数)となる。」(段落【0029】)、
「・・・、第1種始動スイッチSW1への入賞は、4個を上限として、可変表示ゲーム始動の保留記憶としてRAM212に一時的に記憶される。」(段落【0035】)、
「大入賞口ソレノイド14は、前記第1種始動口への入賞タイミングで、RAM212内の所定の記憶領域に記憶される保留記憶情報に基づいて可変表示ゲームが行われた結果、可変表示装置1に表示される停止図柄C(図1,図5,図6参照)が特定のパターン(例えば、「777」)となって大当りした場合、変動入賞装置(大入賞口)を・・・開放するためのアクチュエータである。」(段落【0044】)、
「表示制御装置GCは、可変表示装置1の表示部1Aに、可変表示ゲームを行うための矩形状の可変表示領域(所謂、ウィンドウ状の表示領域:図1,図5,図6参照)Wを表示させると共に、その可変表示領域W内において、役物制御装置2から出力される表示データに基づいて特別図柄を変動表示させる可変表示ゲームを実行するものである。」(段落【0055】)、
「可変表示装置1の表示部1Aは、例えば、・・・カラー液晶ディスプレイ(LCD)等で構成され、表示制御装置GCからの制御信号により種々の文字や図柄等のキャラクターCを表示できるようになっている。」(段落【0056】)、
「可変表示装置1で行われる可変表示ゲームは、表示部(LCD)1Aに、遊技球が第1種始動口102に入賞する毎に表示される(但し、可変表示中のものを含めて5つを上限とする)可変表示領域W内において、第1図柄(左図柄)、第2図柄(中図柄)、第3図柄(右図柄)の三つの図柄を変動表示し、所定時間(5秒以上)経過後に、左図柄→中図柄→右図柄の順に、それぞれ、例えば、「0」,「1」,「2」,「3」,「4」,「5」,「6」,「7」,「8」,「9」,「桜」,「花」,「宝」,「月」,「光」の15図柄中のいずれかの図柄の1つを停止表示する。」(段落【0057】)、
「そして、停止時に3図柄が、「000」,「111」,「222」,「333」,「444」,「555」,「666」,「777」,「888」,「999」,「桜桜桜」,「花花花」,「宝宝宝」,「月月月」,「光光光」のいずれかの停止表示態様となった場合を大当たりとし、変動入賞装置(大入賞口)104を・・・開放するものである。」(段落【0058】)、
「このような大当たりの決定や、停止図柄の決定等は、役物制御部2によって生成される乱数に基づいて行われ、可変表示ゲームに偶然性を伴った確率的要素が盛り込まれて、パチンコ遊技に対する興趣を高揚させることができるようになっている。」(段落【0059】)、
「また、表示部1Aに表示される可変表示領域Wの数は、第1種始動口102への入賞の記憶数(RAM212に一時的に記憶されている)に相当するため、この可変表示領域Wの表示数によって保留記憶数の報知を視認性良く行うことができる。」(段落【0060】)、
「この保留記憶数の報知は、表示制御装置GCによる制御の仕方によって、図5に示すように、・・・可変表示領域Wの重なった枚数によって記憶数を報知する仕方(・・・)と、図6に示すように、第1種始動口102へ入賞する毎に、可変表示領域W1?W4を表示部1A内の上下左右に重ならないように順次表示(タイリング表示方式)して、その可変表示領域Wの表示枚数によって記憶数を報知する仕方(なお、この場合、可変表示ゲームを実行中の可変表示領域Wは、表示部1Aの中央に表示され、他の可変表示領域W1?W4では、例えば、各図柄が模擬の変動表示を行った状態になされる)とが考えられる。」(段落【0061】)、
「・・・、CPU300は、ROM301内の所定プログラムに従って、ROM301から可変表示領域Wに関するグラフィック・データを読み出すとともに、そのグラフィック・データに所定の演算加工を施した後に、・・・そのグラフィック・データをVRAM304に一時的に格納し、所定のタイミングでそのグラフィック・データを可変表示装置1の表示部(液晶ディスプレイ:LCD)1Aに出力することにより、・・・図6に示すような可変表示領域W,W1?W4の何れかを表示出力することとなる。」(段落【0073】)、
「ここで、可変表示領域W,W1?W4の何れが表示されるかは、第1種始動スイッチSW1の入力信号に基づく可変表示ゲームの保留記憶数が「0?4」の何れであるかによって決まる。」(段落【0074】)、
「また、表示された可変表示領域Wでは、CPU210或いはCPU300からの制御信号に基づいて、ビデオ・ディスプレイ・コントローラ303の制御の下、各種図柄C(左図柄C1、中図柄C2、右図柄C3)が変動表示され、所定時間経過後に順次停止表示される可変表示ゲームが行われる。」(段落【0076】)、
「そして、可変表示ゲームの結果、例えば、可変表示領域Wに停止表示された図柄配列が「777」等のゾロ目となった場合には、役物制御装置2のCPU210の制御の下、大当りゲームが実行されるとともに、CPU300の制御により、この可変表示領域Wは所定時間経過後に消滅される。」(段落【0077】)、
「なお、この可変表示領域Wの消滅とともに、RAM212内の所定記憶領域に格納されている保留記憶数も「1」減算されることとなる。」(段落【0078】)、
「また、可変表示領域Wに停止表示された図柄配列が、ハズレであった場合にも、同様に可変表示領域Wの消滅と保留記憶数の減算が行われる。」(段落【0079】)、
「そして、保留記憶数が未だ残っている場合(1?4のいずれか)には、順次同様の可変表示ゲームが、可変表示領域W1?W2において実行されることとなる。」(段落【0080】)、
「・・・、図6のようなタイリング表示方式をとる場合には、例えば、保留記憶として表示されている可変表示領域W1?W2において、実際の可変表示ゲームが行われるまでの間、模擬の可変表示を行わせることにより、表示部1Aの表示態様に変化を持たせて、遊技者の興趣を高揚させることができると共に、視認性が良好でしかも斬新なイメージの保留記憶の表示を行うことが可能となる。」(段落【0082】)、
「・・・、図6の場合、各可変表示領域W1?W4における可変表示ゲームは、・・・、表示部1Aの中央に順次その表示位置を移動してからそれぞれの可変表示ゲームを行うようにしてもよい。」(段落【0083】)、
「ステップS704では、特別図柄の乱数生成領域より乱数を抽出してからステップS705に移行し、抽出した乱数をRAM212内の特別図柄乱数判定用記憶領域へ格納してから図8のメイン処理へ戻る。」(段落【0101】)、
「このSW入力処理によって、可変表示装置1において行われる可変表示ゲームの始動記憶(保留記憶)が更新され、この始動記憶数に基づいて、可変表示装置1の表示部1Aに表示される可変表示領域Wの数が決定される・・・。」(段落【0102】)、
「・・・、例えば、始動記憶数が“1”の場合には一つの可変表示領域W1を表示し、始動記憶数が“2”の場合には二つの可変表示領域W1,W2を表示し、始動記憶数が“3”の場合には三つの可変表示領域W1,W2,W3を表示し、始動記憶数が“4”の場合には四つの可変表示領域W1,W2,W3,W4を表示することによって、可変表示領域Wの表示数で始動記憶数を表わすことができる。」(段落【0103】)、
「・・・通常処理では、まず、ステップP1で、RAM212の特図保留エリア内の始動記憶(保留記憶)の有無が判定され、始動記憶がない場合・・・には直ちに図8のメイン処理に復帰して、・・・、始動記憶がある場合(「Yes」の場合)には、ステップP2で始動記憶数を「1」ディクリメントしてからステップP3に移行し、RAM212内の特図保留エリア(特図乱数判定用記憶領域)より乱数を取得して、ステップP4に進む。」(段落【0106】)、
「・・・、ステップP7に進んで、上記ステップP3で取得された乱数値と乱数判定値とを比較してからステップP8に移行する。」(段落【0108】)、
「ステップP8では、取得された乱数が当り値であるか否かが判定され、当り値ではなかった場合・・・には、ステップP9に進んで、RAM212のハズレ図柄格納領域に記憶されているハズレ図柄により停止図柄が決定され、当り値であった場合・・・には、ステップP10に移行してRAM212の大当り図柄格納領域に記憶されている当り図柄により停止図柄が決定される。」(段落【0109】)、
「この通常処理により、始動記憶の有無が確認され、始動記憶が有る場合には可変表示装置1の表示部1Aの可変表示領域Wで行われる可変表示ゲームで表示される図柄が決定されることとなる。」(段落【0111】)、
「即ち、例えば、本実施例に直接関連する始動記憶数(保留記憶数)の情報を特別図柄の記憶領域の特図保留エリアより取得する。」(段落【0123】)、
「ステップT3では、取得した情報(例えば、始動記憶数)をRAM212のデータ転送領域に表1または表2の形式(フォーマット)でセットしてから図8のメイン処理に戻り、ステップS9以降の処理を実行する。」(段落【0124】)、
「・・・送信コマンド編集処理により、表示制御装置GCは、役物制御装置2から転送されてくる情報(始動記憶数(保留記憶数))に基づいて、その記憶数に相当する数の可変表示領域Wを可変表示装置1の表示部1Aに表示出力することができ、可変表示領域Wの表示数による斬新な記憶数の報知を行うことができるようになる。」(段落【0125】)、
「・・・、図8の・・・ステップS803の図柄制御編集処理の制御手順について図12に示す・・・。」(段落【0126】)、
「この図柄制御編集処理によって、役物制御装置2から送出される制御データに基づいて、表示制御装置1の表示部1Aの可変表示領域Wに、変動図柄及び停止図柄が表示する。」(段落【0129】)、
「なお、変動図柄および停止図柄以外の表示、即ち、可変表示領域W自体の表示や、その他のキャラクターや文字等の表示については、表示制御装置1によって制御される。」(段落【0130】)、
「・・・、可変表示領域Wの表示の仕方も、本実施例のようなオーバーラップ表示方式やタイリング表示形式に限定されるものではない。」(段落【0135】)、
「【発明の効果】・・・、可変表示領域の表示の有無を、特定入賞口への入賞の有無に対応させることができ、この可変表示領域によって入賞数の記憶を表現することができる。」(段落【0137】)、
「・・・、可変表示領域の表示数で、入賞の記憶数を表わすことができ、・・・る。」(段落【0138】)、
「・・・可変表示領域表示手段が、複数の可変表示領域が重なり合わないように配置して表示するタイリング表示方式をとる場合には、表示された可変表示領域の数で入賞の記憶数を報知することができる。」(段落【0141】) 等、
が記載され、上記摘記事項から引用例3には、

「遊技球が第1種始動口102に入賞したことにより抽選を行うCPU210と、前記抽選結果を大当り停止図柄または外れ停止図柄で表示する可変表示装置1と、前記可変表示装置1を制御する表示制御装置GCと、前記可変表示装置1による前記抽選結果の表示が未だ残っている前記抽選に係る保留記憶情報を記憶するRAM212とを備える遊技機Pにおいて、
前記表示制御装置GCは、前記可変表示装置1を制御して、前記可変表示装置1の表示部1Aに上下左右に重ならない可変表示領域W1?W4と中央の可変表示領域Wとを形成させ、前記RAM212に記憶されている前記保留記憶情報の保留記憶数に相当する数の矩形状の可変表示領域W1?W4を前記抽選結果の古い順に上下左右に重ならないようにして前記可変表示領域W1?W4に表示させる際に各図柄が模擬の変動表示を行った状態になされ、また前記矩形状の可変表示領域W1?W4を表示部1Aの中央に順次その表示位置を移動してから前記抽選結果に対応した前記大当り停止図柄または外れ停止図柄を表示させる遊技機P。」

との発明(以下「引用例3発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「図柄表示器18」、「パチンコ機1」および「図柄表示部L」は、本願補正発明の「表示手段」、「遊技機」および「表示画面」に相当すると認められる。
また、引用例1発明の「リーチ状態となったときの図柄表示部L1’、L2’、L3’と転球入賞器50表示部」と、本願補正発明の「保留表示領域と抽選表示領域」は、「所定の条件の下で、二つの分割表示領域」で共通し、そして、引用例1発明のリーチ状態となったときの転球入賞器50表示部は、本願補正発明の抽選表示領域に相当すると認められる。
また、引用例1発明の「遊技球Yを転球入賞器50表示部に下から上方向に転動させたり、急に反対方向に転がる等の動きを描かせ、該下から上方向に転動させたり、急に反対方向に転がる等の動きをしていた遊技球Yが予め定められた排出口58bに入ったか入らないかにより」と、本願補正発明の「保留キャラクタを抽選表示領域に浮遊表示させ、該浮遊していた保留キャラクタが予め定められたマーク(47a、48)上に停止するか否かにより」は、抽選表示領域に移動物体を表示させ、その移動によって、特定の目標地点に達したか達しないかにより抽選結果に対応した当たり図柄又は外れ図柄を表示させるものであり、両構成要件はその表現機能において相当するものと認められる。
したがって、両者は、

「抽選条件の成立に起因して抽選を行う抽選手段と、前記抽選結果を当たり図柄又は外れ図柄で表示する表示手段と、前記表示手段を制御する表示制御手段とを備える遊技機において、
前記表示制御手段は、前記表示手段を制御して、所定の条件の下で、二つの分割表示領域とを形成させ、前記保留キャラクタを前記抽選表示領域に浮遊表示させ、該浮遊していた保留キャラクタが予め定められたマーク上に停止するか否かにより前記抽選結果に対応した前記当たり図柄又は外れ図柄を表示させる遊技機。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1、表示手段による抽選結果の表示において、本願補正発明では、「未開始の抽選に係る抽選データを記憶する抽選記憶手段を備える」のに対して、引用例1発明ではそのような記憶手段を備えているのかどうか明らかでない点、

相違点2、表示手段の表示画面において、本願補正発明では、「保留表示領域と抽選表示領域とを形成させる」のに対して、引用例1発明ではそのような表示領域を備えていない点、

相違点3、保留キャラクタを表示させることにおいて、本願補正発明では、「抽選記憶手段に記憶されている抽選データの個数に相当する数の保留キャラクタを抽選結果の古い順に並べて保留表示領域に表示させる際に前記抽選結果を参酌して各保留キャラクタの種類を選択し」ているのに対して、引用例1発明ではそのような構成になっていない点、

相違点4、保留キャラクタの移動表示において、本願補正発明では、「保留キャラクタを対応する前記抽選結果の古い順に表示させる」のに対して、引用例1発明では、本願補正発明のような構成になっていない点、

(4)判断
上記相違点について検討する。
相違点1について、前記引用例2発明、引用例3発明に記載されている如く、可変表示装置による抽選結果の表示が未表示の抽選に係る保留記憶データを記憶する揮発性の記憶手段が本出願前すでに知られており、この同じ遊技機分野の技術を引用例1発明の表示手段による抽選結果の表示に適用して、本願補正発明の相違点1に係る「未開始の抽選に係る抽選データを記憶する抽選記憶手段を備える」構成とすることは、その適用に当たり、特に困難性もなく、当業者が必要に応じて適宜なし得る程度の設計的事項である。

相違点2について、本出願前公知の前記引用例2発明に記載のものは、可変表示装置1の表示部1Aに保留記憶数を表わす記憶報知図柄HCを表示する表示領域R2と可変表示ゲームに用いられる特別図柄Cを表示する表示領域R1とを形成して、表示部1Aを2分割にしてそれぞれの表示領域に異なる機能を表示できるようになっている。そうすると、表示領域R2は、本願補正発明の「保留表示領域」に、および、特別図柄Cを可変表示して当たり外れの抽選を行う表示領域R1は、本願補正発明の「抽選表示領域」に相当するものである。してみると、引用例1発明の図柄表示部Lに前記引用例2発明の表示技術を適用して、本願補正発明の相違点2に係る「保留表示領域と抽選表示領域とを形成させる」構成とすることは、格別の創意工夫を要することなく、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものである。

相違点3について、前記引用例2発明に記載されている如く、RAM212に記憶されている保留記憶データの保留記憶数に相当する数の記憶報知図柄HC(HC1,HC2,HC3,HC4)を抽選結果の古いものを左側から順番に並べて表示領域R2に表示させる際に乱数に基づいて表示すべき記憶報知図柄HC(HC1,HC2,HC3,HC4)の4種類を選択することが本出願前すでに知られ、そしてまた、乱数に基づいて選択表示する替わりに、抽選結果を参酌して表示することも周知{例えば、実公平7-30054号公報(第4欄第41?46行、第5欄第5?7行等)、特開平11-164948号公報(段落【0030】、【0035】等)参照。}であり、これらの同じ遊技機分野の技術を引用例1発明の遊技球Yの表示に適用して、本願補正発明の相違点3に係る「抽選記憶手段に記憶されている抽選データの個数に相当する数の保留キャラクタを抽選結果の古い順に並べて保留表示領域に表示させる際に前記抽選結果を参酌して各保留キャラクタの種類を選択する」構成とすることは、その適用に当たり、特に困難性もなく、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものである。

相違点4について、前記引用例2発明に記載されている如く、記憶報知図柄HC(HC1,HC2,HC3,HC4)を抽選結果の古いものを左側から順番に並べて表示領域R2に表示させることが本出願前すでに知られており、この同じ遊技機分野の技術を引用例1発明の遊技球Yの表示に適用して、本願補正発明の相違点4に係る「保留キャラクタを対応する抽選結果の古い順に表示させる」構成とすることは、その適用に当たり、特に困難性もなく、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものである。

そして、本願補正発明が奏する効果は、引用例1発明、引用例2発明、引用例3発明および周知技術から当業者が予測し得るものであって格別のものとは認められない。

したがって、本願補正発明は、引用例1発明、引用例2発明、引用例3発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成15年9月8日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成15年4月16日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「抽選条件の成立に起因して抽選を行う抽選手段と、前記抽選結果を当たり図柄又は外れ図柄で表示する表示手段と、前記表示手段を制御する表示制御手段と、前記表示手段による前記抽選結果の表示が未開始の前記抽選に係る抽選データを記憶する抽選記憶手段とを備える遊技機において、
前記表示制御手段は、前記表示手段を制御して、前記表示手段の表示画面に保留表示領域と抽選表示領域とを形成させ、前記抽選記憶手段に記憶されている前記抽選データの個数に相当する数の図柄を前記保留表示領域に表示させ、また前記図柄を前記抽選表示領域に浮遊表示させ、該浮遊していた図柄が予め定められたマーク(47a、48)上に停止するか否かにより前記抽選結果に対応した前記当たり図柄又は外れ図柄を表示させることを特徴とする遊技機。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1発明、引用例2発明、引用例3発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明、引用例2発明、引用例3発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1発明、引用例2発明、引用例3発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-01 
結審通知日 2007-08-07 
審決日 2007-08-22 
出願番号 特願2000-86899(P2000-86899)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉村 尚  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 林 晴男
土屋 保光
発明の名称 遊技機  
代理人 足立 勉  

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