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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R
管理番号 1165319
審判番号 不服2005-18448  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-26 
確定日 2007-10-03 
事件の表示 平成 6年特許願第203667号「第1の素子を第2の素子と結合するための装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 6月16日出願公開、特開平 7-153537〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本件の出願(以下、「本願」という。)は、平成6年8月29日の特許出願(パリ条約による優先権主張:1993年8月31日、米国)であって、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年5月26日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「集積回路パッケージを回路基板に電気的および機械的に結合する相互接続システムであって、
絶縁サポート部材と、
前記サポート部材の第1の面上に配置された複数の表面実装接点と、
前記サポート部材の第2の面上に配置された複数のピンとを備え、前記ピンの各々は前記表面実装接点のそれぞれの接点に対応し、
前記ピンの複数個の電力ピンと前記接点の複数個のそれぞれの電力接点との間に結合された、半導体の活性の電力調整器をさらに備え、前記電力調整器は、前記電力ピンで受取った第1の電力信号をより低いレベルに逓降し、より低いレベルの第2の電力信号を前記それぞれの電力接点に与える、相互接続システム。」


2.刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に示された、本願の優先権主張の日前に日本国内で頒布された実願平3-94377号(実開平5-43546号)のCD-ROM(以下、「公知刊行物」という。)には、図面と共に以下の事項がその明細書に記載されている。

ア.「電源および入出力電圧定格の異なるIC(集積回路)が混在する回路基板上において用いられるICソケットであって、
複数のIC接続用の第1の端子と回路基板に接続するための複数の第2の端子とを外側表面に配設したソケットフレームと、
該ソケットフレームに内蔵され、かつ前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されて単一電圧電源による電圧の供給および異なる信号レベルをもつ前記ICを同一信号線で接続することを可能にする電圧コンバータ回路とを具備したことを特徴とする電圧コンバータ付きICソケット。」(【実用新案登録請求の範囲】【請求項1】)

イ.「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、IC(集積回路)の基板上への実装を行うための電圧コンバータ付きICソケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、定格電源電圧が異なる複数のIC(集積回路)を同一基板上に実装する時には、必要となる電源電圧の数だけ、電力供給源を複数設け、それらの電力供給源からそれぞれの対応するICに電力を供給するように構成していた。また、異なる信号電圧レベルを有するIC同士の信号を同一信号線に接続するためには、電圧レベルを変換するための装置を基板上に配置し、その電圧レベル変換装置を介することでかかる接続を実現していた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の技術では、一部の定格電源電圧だけが異なるICのために、それら専用の電力供給源、および基板上の電力配線路を準備しなければならず、このことは、電源装置の複雑化,基板配線の複雑化,基板の多層化,およびそれらに伴うシステム規模の増大,基板製造コストの増大につながっていた。
【0004】
また、異なる信号電圧レベルを有するIC同士の接続のためにも、信号電圧のレベル合わせのための電圧レベル変換装置をいちいち考慮しなければならず、このことが回路設計の複雑化につながっていた。また、これらの装置の実装のため、本来必要とされるシステムロジック以外に基板面積が余分に必要となり、これが機器の小型化を阻む要因の1つになっていた。
【0005】
本考案は、上述のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電源および入出力電圧の定格の異なるICが混在する回路基板上において用いられ、電圧変換を簡単に実現する回路を内蔵する電圧コンバータ付きICソケットを提供することにある。」(段落【0001】?【0005】)

ウ.「【0007】
【作用】
本考案では、ICの各足(ピン)と接触するべきIC受け用端子と、そのICの足に対応する基板上のランドと接触するべき端子とを備え、これらの対応するソケットの端子同士を接続する信号線の中間に電圧変換のための回路をソケット内部に備えるようにしたので、このソケットに定格電源電圧および入出力電圧レベルの異なるICを装着し、装備したソケットを基板上に配することによって、異なる定格電源電圧を有するICの単一電源電圧による駆動が容易に可能になり、入出力電圧レベルの異なるIC同士を同一信号線で容易に接続することができる。」(段落【0007】)

エ.「【0009】
図1は本考案の一実施例の電圧コンバータ付きICソケットの回路構成を示す。図中、1はソケットフレームであり、10は使用したいICの足(ピン)を挿入する等によりICの足と接触させるためのソケット側のIC受け部(端子)である。30はICソケットが基板上のランド(不図示)と接触するための端子であり、ICの型により、ピン状等、さまざまな型をとることができる。20は端子10と端子30を接続する線の中間部に配設されて接続される電圧コンバータであり、この電圧コンバータを介することにより、異なる定格電圧の下で用いられるICを、単一電圧電源の下で用いること、および異なる入出力電圧の下で動作するICを同一信号線上で接続することが可能になる。
【0010】
図2は図1に示す電圧コンバータ付きICソケットの外観の一例を示す。このソケットフレーム1の内部に上記の電圧コンバータ20を複数埋め込むことにより、基板上に電圧変換のための余分な面積をとることなく、異なる定格電圧を有するICを配置することが可能になる。
【0011】
図3は図1,図2に示す電圧コンバータ20の回路の一例を示す。これは、基板側端子30にダイオードDおよび抵抗R1 ,R2 を直列に接続し、抵抗R1 とR2 の接点と端子10とを接続している。この回路20はソケットにさし込んで使われるICAの電源定格電圧がVA [V](>0),単一電源によって基板に供給されている電圧がVS [V](VS >VA )であるときに、
VS :VA =R1 +R2 :R2
となるように抵抗R1 ,R2 の値を選択することによって、外部から端子30に供給される電圧VS から、それに対応する端子10に電圧VA を作り、それによってICAに定格電源電圧を供給することを可能にする。
【0012】
また、この回路20は、端子30に接続されている信号線上での信号の電圧振幅がVS ?0[V]であり、端子10に接続されるICAの入力ピンに対する定格電圧振幅がVA ?0[V](但しVS >VA )であるときの電圧コンバータ回路としても使用可能である。
【0013】
図4は図1,図2に示す電圧コンバータ20の別の一例を示す。これは、NPNトランジスタTRのベースにインバータINVを介してIC側端子10を接続し、またそのベースに接地抵抗R4 を接続し、そのトランジスタTRのコレクタに抵抗R3 を介して電圧Viを接続し、またそのコレクタに基板側端子30を接続し、さらにそのトランジスタTRのエミッタを接地して構成している。このコンバータ20を通すことにより、出力電圧振幅VB ?0[V]であるようなICBの出力ピンから出た信号を、入力電圧振幅Vi ?0[V]であるようなICが接続されている信号線に接続することが可能となる。
【0014】
図5は、図1,図2に示す電圧コンバータ20のさらに別の一例を示し、本例は一対の電圧コンバータ20A,20Bに切替スイッチ50をつけた例である。この切替スイッチ50をつけることによって、各ピンの電圧変換回路20A,20Bを、ICの入出力に応じて設定することが可能になり、より汎用のICソケットを作ることが可能になる。なお、D1 ,D2 はダイオードである。
【0015】
また、図には示していないが、トランス,コンデンサ等を用いたDC-DCコンバータを図1,図2の回路20に用いることにより、電源電圧を昇圧し、それによって、供給された電源電圧が低いものであっても、それより高い電源電圧を必要とするICを駆動することが可能になる。
【0016】
同様にして、出力電圧の低いICからの高レベル出力を昇圧し、より高い入力電圧レベルを必要とするICとの接続を可能にするようにコンバータ20をソケット中に組み込むことができる。
【0017】
なお、ここには電圧振幅が正電圧側にある場合の例を示したが、負電圧側にある場合も同様の回路を用いることで対応できる。また例では基準電圧として接地レベルの0[V]を用いたが、基準電圧を変化させた場合も同様の回路を用いることで対応できる。」(段落【0009】?【0017】)

オ.「【0018】
【考案の効果】
以上の説明から明らかなように、本考案によれば、ICソケットにICを装着するだけで、ICソケット内部で電圧が変換され、異なる駆動電源電圧を必要とするICを単一電圧の電源で駆動したり、異なる信号電圧レベルをもつICの入出力端子同士を接続することが可能になる効果が得られる。また、このことにより本考案によれば、余分な電源回路や、基板配線や回路設計等が必要なくなり、機器設計を容易にすることが可能となる。さらにまた、本考案によれば、ICソケットを利用することにより、実装面積の上でも余分な面積が必要とされず、回路が簡単になった分だけ機器の小型化が図れ、経済性の向上を図ることが可能になる。」(段落【0018】)

上述した事項および図面の記載内容からみて、刊行物には、次の発明(以下、「公知刊行物記載の発明」という。)が記載されているものと認める。

「ICを基板に電気的および機械的に結合するICソケットであって、
ソケットフレームと、
前記ソケットフレームの第1の面上に配置された複数のIC受け用端子と、
前記ソケットフレームの第2の面上に配置された複数の端子とを備え、前記端子の各々は前記IC受け用端子のそれぞれに対応し、
前記端子と前記IC受け用端子のそれぞれの間に結合された、電圧コンバータをさらに備え、前記電圧コンバータは、前記端子で受取った第1の電力信号をより低いレベルに逓降し、より低いレベルの第2の電力信号を前記それぞれのIC受け用端子に与える、ICソケット。」


3.対比
本願発明と公知刊行物記載の発明を対比する。
公知刊行物記載の発明における「ソケットフレーム」は、絶縁性の部材であることが自明であるから、本願発明における「絶縁サポート部材」に相当する。以下、同様に、「IC」は「集積回路パッケージ」に、「基板」は「回路基板」に、「ICソケット」は「相互接続システム」に、「電圧コンバータ」は「半導体の活性の電力調整器」に、それぞれ相当する。
また、公知刊行物記載の発明における「IC受け用端子」は、絶縁サポート部材の第1の面上に配置された接点といえる。
さらに、公知刊行物記載の発明における「端子」も、本願発明の「ピン」も、「端子」であることでは一致している。
そして、公知刊行物に記載された発明の電力調整器(電圧コンバータ)は、絶縁サポート部材の第2の面上に配置された端子の複数個の電力端子と第1の面上に配置された接点の複数個のそれぞれの電力接点との間に結合されたものであり、前記電力端子で受取った第1の電力信号をより低いレベルに逓降し、より低いレベルの第2の電力信号を前記それぞれの電力接点に与えるものといえる。
そうしてみると、本願発明と公知刊行物記載の発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「集積回路パッケージを回路基板に電気的および機械的に結合する相互接続システムであって、
絶縁サポート部材と、
前記サポート部材の第1の面上に配置された複数の接点と、
前記サポート部材の第2の面上に配置された複数の端子とを備え、前記端子の各々は前記接点のそれぞれの接点に対応し、
前記端子の複数個の電力端子と前記接点の複数個のそれぞれの電力接点との間に結合された、半導体の活性の電力調整器をさらに備え、前記電力調整器は、前記電力端子で受取った第1の電力信号をより低いレベルに逓降し、より低いレベルの第2の電力信号を前記それぞれの電力接点に与える、相互接続システム。」

[相違点]
本願発明では、絶縁サポート部材の第1の面上に配置された複数の接点が「表面実装」接点であり、かつ、絶縁サポート部材の第2の面上に配置された複数の端子が「ピン」であるのに対して、公知刊行物記載の発明では、そのような特定がない点。


4.当審の判断
上記相違点について検討する。

集積回路パッケージ等の部品を回路基板等に電気的及び機械的に結合するに当たり、両者の間に、絶縁サポート部材を介在させることは、当業者に良く知られており、公知刊行物記載の発明もその一例ということができるが、この絶縁サポート部材に集積回路パッケージ等の部品に使用されるコネクタのタイプを他のコネクタのタイプに変更する機能を持たせることも、例えば、実願平1-66372号(実開平3-6836号)のマイクロフィルム、特開昭63-246888号公報(特に第3図記載のものを参照)、特開昭62-219547号公報、特開平2-100392号公報記載のものに見られるように、当業者にとって周知の技術的事項である。
公知刊行物には、「10は使用したいICの足(ピン)を挿入する等によりICの足と接触させるためのソケット側のIC受け部(端子)である。30はICソケットが基板上のランド(不図示)と接触するための端子であり、ICの型により、ピン状等、さまざまな型をとることができる。」(摘記事項「エ.」の段落【0009】)と記載されており、また、図2からは、符号30で示される部材がピン様のものであることが明らかに見て取れる。これらの記載をふまえると、公知刊行物記載の発明において、絶縁サポート部材(ソケットフレーム)の第2の面上に配置される複数の端子を「ピン」とすることは、当業者が当然認識し採用し得た事項であるといえるし、また、集積回路パッケージに使用されるコネクタを表面実装型のものとすることは、例示するまでもなく当業者に良く知られたことであって、公知刊行物記載の発明において、そのような集積回路パッケージを接続するために絶縁サポート部材の第1の面上に配置された複数の接点を「表面実装」接点とすることも、当業者が適宜採用し得たことといえる。そして、そのように絶縁サポート部材が表面実装型のコネクタを持つ集積回路パッケージを接続する一方でピン型のコネクタにより回路基板に接続できるようにすることは、上記周知の技術的事項も考慮すると、当業者にとり通常の創作能力を発揮してなし得たことというべきである。
そうしてみると、上記相違点に係る本願発明の構成は、公知刊行物記載の発明及び上記周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
しかも、本願発明の構成により奏される効果は、公知刊行物記載の発明及び上記周知の技術的事項からみて格別顕著なものであるということもできない。


5.むすび
本願発明は、公知刊行物記載の発明及び上記周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-04-25 
結審通知日 2007-05-08 
審決日 2007-05-21 
出願番号 特願平6-203667
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲垣 浩司  
特許庁審判長 新海 岳
特許庁審判官 今井 義男
長浜 義憲
発明の名称 第1の素子を第2の素子と結合するための装置  
代理人 森田 俊雄  
代理人 堀井 豊  
代理人 深見 久郎  
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