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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 C08F
管理番号 1165474
審判番号 不服2005-20320  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-10-20 
確定日 2007-10-10 
事件の表示 特願2003-413438「半導体リソグラフィー用共重合体の製造方法及び該方法により得られる半導体リソグラフィー用共重合体」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 6月30日出願公開、特開2005-171093〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成15年12月11日にした特許出願であって、平成16年2月12日に出願審査請求がなされるとともに手続補正書が提出され、同年11月19日付けで拒絶理由通知がなされ、平成17年1月31日に意見書及び手続補正書が提出され、更に、同年2月25日付けで拒絶理由通知(最後)がなされ、同年4月28日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月31日付けでこの手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対して同年10月20日付けで審判請求がなされ、同年11月18日に手続補正書が提出され、同年12月28日に審判請求書の手続補正書(方式)が提出され、平成18年2月3日付けで前置報告がなされたものである。

2.補正却下の決定
[結論]平成17年11月18日付けの手続補正を却下する。

[理由]
2-1.補正の内容
平成17年11月18日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、審判請求の日から30日以内にされた補正であり、その内容は、同年1月31日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載を、次のように補正することを含むものである。
「【請求項1】
少なくとも一般式(1)?(8)で表される、酸によって分解してアルカリ現像液に可溶性になる構造を有する繰り返し単位(A)と、半導体基板に対する密着性を高めるための極性基を有する繰り返し単位(B)とを有する半導体リソグラフィー用共重合体であり、該繰り返し単位を与えるエチレン性二重結合を有する2種類以上のモノマーを含む溶液を、加熱した溶媒中に滴下することによりラジカル重合させて半導体リソグラフィー用共重合体を製造する方法であって、滴下する前のモノマーを含む溶液中に重合抑制成分として、モノマーに対して20モルppm以上5000モルppm以下の重合禁止剤(但し、含窒素安定フリーラジカル作用剤を除く)又は400モルppm以上10,000モルppm以下の酸素を共存させ、この溶液を加熱した溶媒中に滴下してラジカル重合させる半導体リソグラフィー用共重合体を製造する方法によって製造され、且つ、分子量10万以上の高分子量成分の含有率が0.1%以下である半導体リソグラフィー用共重合体。
一般式(1)
【化1】

(式中、R1 は水素原子又はメチル基を表わし、-ORはオルソ位には結合しない。)
(一般式(2)?一般式(8)省略)
{式(1)?(8)において、Rが酸解離性基の場合は繰り返し単位(A)を、極性基の場合は繰り返し単位(B)を表し、酸解離性保護基としてのRは、tert-ブチル基、・・・を表す。}」

2-2.補正の適否
(i)分子量分布限定の削除について
本件補正後の請求項1は、「半導体リソグラフィー用共重合体」に係る補正前の請求項5に対応するものと認められるが、補正前の請求項5は請求項1を引用するものであり、補正前の請求項1に記載されていた、製造される半導体リソグラフィー用共重合体についての「{但し、分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満のものを除く。}」との点が、補正後の請求項1には記載されていないから、本件補正によりこの点が削除されたものというほかはない。
そして、半導体リソグラフィー用共重合体についての限定事項を削除するような補正により、補正前の請求項5(新請求項1)に記載した発明を特定するために必要な事項が限定されるものということはできず、また、「半導体リソグラフィー用共重合体」についての補正前の請求項5(新請求項1)の記載が「分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満のものを除く」との記載の存在により不明りょうであったいうことはできないから、この記載を削除する補正が、明りょうでない記載の釈明にあたるものとすることもできない。
審判請求人はこの点について、「・・・上記補正では、『{但し、分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満のものを除く。}』の記載を削除したが、当該記載は、当初は製造方法の発明であった請求項1に追加され、この記載によって製造方法におけるどの範囲が除外されているのかが把握できないという理由で新規事項の導入と認定されたものである。一方、上記補正後の請求項1に記載された発明は、半導体リソグラフィー用共重合体、同2に記載されている発明は半導体リソグラフィー用組成物であり、製造方法ばかりでなく、「分子量10万以上の高分子含有率が0.1%以下である」という特性によって特定されているので、この半導体リソグラフィー用共重合体等という発明との関係では、『{但し、分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満のものを除く。}』という記載の削除は、明瞭でない記載の釈明に相当するものというべきである」(審判請求書の手続補正書第5頁第32?41行)と主張している。
しかしながら、補正後の請求項1に係る発明は製造方法ではなく半導体リソグラフィー用共重合体に関するものであり、平成17年2月25日付け拒絶理由通知において、製造方法に係る補正前の請求項1の記載においては不明りょうとされた「{但し、分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満のものを除く。}」との記載が、共重合体に係る補正後の請求項1の記載においても依然として不明りょうであると解すべき理由はない。また、この記載を削除することと「分子量10万以上の高分子含有率が0.1%以下である」との限定を新たに付加することとの間には直接的な関係はなく、このような限定が付加されたからといって、「『{但し、分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満のものを除く。}』という記載を削除することが、明りょうでない記載の釈明に相当する」ものということにはならない。

したがって、請求項1(補正前の請求項5)の記載から「{但し、分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満のものを除く。}」を削除する本件補正の補正事項は、特許請求の範囲の限定的減縮又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものではなく、また、請求項の削除及び誤記の訂正を目的とするものでもない。

(ii)一般式(1)の記載について
本件補正後の請求項1に記載された「少なくとも一般式(1)?(8)で表される、酸によって分解してアルカリ現像液に可溶性になる構造を有する繰り返し単位(A)と、半導体基板に対する密着性を高めるための極性基を有する繰り返し単位(B)」の内、「一般式(1)」で示される繰り返し単位は


(式中、R1 は水素原子又はメチル基を表わし、-ORはオルソ位には結合しない。)」
というものであり、この繰り返し単位には、R1の種類と-ORの置換位置により、以下の4つの構造が含まれることとなる。
(i)R1が水素で-ORがメタ位に結合したもの
(ii)R1が水素で-ORがパラ位に結合したもの
(iii)R1がメチル基で-ORがメタ位に結合したもの
(iv)R1がメチル基で-ORがパラ位に結合したもの

本願の願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)には、「本発明の共重合体は、少なくとも、酸によって分解してアルカリ現像液に可溶となる構造を有する繰り返し単位、より具体的には、非極性置換基が酸によって分解してアルカリ現像液に可溶な極性基が発現する構造を有する繰り返し単位(A)と、半導体基板に対する密着性を高めるための極性基を有する繰り返し単位(B)を必須成分とし、・・・」(段落【0018】)及び「酸によって分解してアルカリ可溶性になる構造を有するモノマーとしては、アルカリ可溶性置換基を含有するモノマーに、酸解離性保護基が結合した化合物を挙げることができ、例えば、非極性の酸解離性保護基で保護されたフェノール性水酸基、カルボキシル基やヒドロキシフルオロアルキル基を有する化合物などを挙げることができる」(段落【0020】)と記載されており、このようなモノマーの例として、「p-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン等のヒドロキシスチレン類」(段落【0021】)が挙げられている。また、「繰り返し単位(B)」については、「・・・半導体基板に対する密着性を高めるための極性基を有する繰り返し単位(B)を与えるモノマーとしては、例えば、極性基としてフェノール性水酸基、カルボキシル基やヒドロキシフルオロアルキル基を有する化合物などを挙げることができ、具体的には例えばアルカリ可溶性基を含有するモノマーとして前記説明したヒドロキシスチレン類・・・などを挙げることができる」(段落【0025】)と記載されているが、当初明細書には、実施例を含めてこれら以外に、本件補正後の一般式(1)の繰り返し単位を形成し得るヒドロキシスチレン系モノマーについての具体的記載はない。

そうすると、当初明細書において、半導体リソグラフィー用共重合体の原料モノマーの内、本件補正後の一般式(1)の繰り返し単位を形成し得るヒドロキシスチレン系モノマーとして具体的に開示されているのは、p-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン及びp-ヒドロキシ-α-メチルスチレン由来のもののみであり、これらは、本件補正後の請求項1に記載された一般式(1)で示される繰り返し単位がとり得る上記4つの構造に当てはめると、それぞれ、(ii)、(i)及び(iv)に該当するものであるが、(iii)の構造、即ち、R1がメチル基で-ORがメタ位に結合したものに対応するもの(m-ヒドロキシ-α-メチルスチレン)については、当初明細書に具体的に開示されていないものというほかはない。
そして、高分子化合物において、主鎖が同じであっても側鎖基が異なるものは全く別異の化合物であり、通常、化学的、物理的特性も大きく異なるものであるから、当初明細書に共重合体の原料モノマーとして、p-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン及びp-ヒドロキシ-α-メチルスチレンが記載されていることをもって、これらとは異なる側鎖を有する高分子を形成するm-ヒドロキシ-α-メチルスチレンも記載されているに等しいなどとは到底いうことができない。
したがって、本件補正は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものではない。

2-3.まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項に規定する要件を満たしていないから、同法第159条第1項の規定により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

3.本願補正明細書
上記のとおり平成17年11月18日付けの手続補正が却下され、それに先立つ同年4月28日付けの手続補正も原審において却下された。そして、更にこれに先立つ同年1月31日付けの手続補正(以下、「本件補正2」という。)により補正された明細書(以下、「本願補正明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1には、以下の事項が記載されている。
「少なくとも一般式(1)?(7)で表される、酸によって分解してアルカリ現像液に可溶性になる構造を有する繰り返し単位(A)と、半導体基板に対する密着性を高めるための極性基を有する繰り返し単位(B)とを有する半導体リソグラフィー用共重合体{但し、分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満のものを除く。}の製造方法であり、該繰り返し単位を与えるエチレン性二重結合を有する2種類以上のモノマーを含む溶液を、加熱した溶媒中に滴下することによりラジカル重合させて半導体リソグラフィー用共重合体を製造する方法であって、滴下する前のモノマーを含む溶液中に重合抑制成分として、モノマーに対して20モルppm以上5000モルppm以下の重合禁止剤又は400モルppm以上10,000モルppm以下の酸素を共存させ、この溶液を加熱した溶媒中に滴下してラジカル重合させることを特徴とする半導体リソグラフィー用共重合体の製造方法。
一般式(1)
【化1】


一般式(2)
【化2】


一般式(3)
【化3】


一般式(4)
【化4】

一般式(5)
【化5】


一般式(6)
【化6】


一般式(7)
【化7】


{式(1)?(7)中、R1 は水素原子若しくはメチル基、R2 は水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基から選ばれる構造であり、Re1 とRe2 はそれぞれ独立して水素原子若しくは-C(=O)ORであって、Re1 とRe2 2が共に-C(=O)ORとなることはなく、Rは一般式(8)?(10)から選ばれる酸解離性基若しくは一般式(11)?(16)から選ばれる極性基であり、Rが酸解離性基の場合は繰り返し単位(A)を、極性基の場合は繰り返し単位(B)を表す。}
一般式(8)
【化8】


{式中、R11は炭素数1?3のアルキル基、R12及びR13は共にメチル基若しくはいずれかがメチル基で残りが1-アダマンチル基、若しくは、R12とR13でお互いに結合して形成した炭素数5?12の単環若しくは有橋環構造を有する脂環式アルキル基、oは一般式(1)?(7)の繰り返し単位との接合部位を表す。}
一般式(9)
【化9】


{式中、R14は炭素数1?2のアルキル基、R15は炭素数1?10の鎖状若しくは脂環式のアルキル基、oは一般式(1)?(7)の繰り返し単位との接合部位を表す。}
一般式(10)
【化10】

一般式(11)
【化11】


{式中、R21及びR22はそれぞれ独立して水素原子若しくはメチル基、m及びnはそれぞれ独立して0若しくは1であって、共に0となることはない整数、oは一般式(1)?(7)の繰り返し単位との接合部位を表す。}
一般式(12)
【化12】


{式中、oは一般式(1)?(7)の繰り返し単位との接合部位を表す。}
一般式(13)
【化13】


{式中、oは一般式(1)?(7)の繰り返し単位との接合部位を表す。}
一般式(14)
【化14】

{式中、oは一般式(1)?(7)の繰り返し単位との接合部位を表す。}
一般式(15)
【化15】


{式中、R23は炭素数1?3の2価のアルキル基、o一般式(1)?(7)の繰り返し単位との接合部位を表す。}
一般式(16)
【化16】


{式中、o一般式(1)?(7)の繰り返し単位との接合部位を表す。}」

4.拒絶査定の理由
原審における拒絶査定の理由とされた、平成17年2月25日付け拒絶理由通知書に記載した理由の概要は以下のとおりである。
「平成17年1月31日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(1)上記手続補正書において、請求項1中に一般式(1)?(7)を追加する補正がなされており、出願人は意見書において、当該補正は明細書の例示化合物を一般化したものである旨の主張をしているが、例示化合物を一般化した上記補正は、例示化合物以外の一般式(1)?(7)に該当する化合物を包含するものであり、かつ、当該例示化合物以外の化合物を用いることが当業者にとり自明な事項であるとも認められない以上、上記補正は、新規事項を追加するものと認められる。
(2)-省略- 」

5.特許法第17条の2第3項違反についての判断
本件補正2による補正後の請求項1には、当初明細書には記載されていなかった一般式(1)?(7)、式中の記号の説明、及び、式中のRを表す一般式(8)?(16)が記載されており、一般式(1)?(7)が「酸によって分解してアルカリ現像液に可溶性になる構造を有する繰り返し単位(A)と、半導体基板に対する密着性を高めるための極性基を有する繰り返し単位(B)」を表すとされている。

5-1.一般式(1)?(7)について
一般式(1)?(7)及び式中の記号の説明によって表される繰り返し単位が、当初明細書に記載されていたものか否かについて、一般式ごとに以下に検討する。
(1)一般式(1)


一般式(1)は、m-ヒドロキシ-α-メチルスチレンの誘導体を重合することによって生ずる繰り返し単位を含むものであり、これが当初明細書に記載されたものではないことは、上記2-2.で指摘したとおりである。

(2)一般式(3)


一般式(3)において「R2 は水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基から選ばれる」ものとされているが、R2 がメチル基である構造を与えるモノマーは2-メチル-5-ノルボルネン-2-カルボン酸である。
しかしながら当初明細書には、2位にカルボキシル基を有するノルボルネン化合物については「5-ノルボルネン-2-カルボン酸、2-トリフルオロメチル-5-ノルボルネン-2-カルボン酸」(段落【0021】)が記載されているのみであり、2-メチル-5-ノルボルネン-2-カルボン酸については何も記載されていない。

(3)一般式(4)

一般式(4)において「R2は水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基から選ばれる」ものとされているが、R2 が水素あるいはトリフルオロメチル基である構造を与えるモノマーは、カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデシルアクリレートあるいはカルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデシル(α-トリフルオロメチル)アクリレートである。
しかしながら当初明細書には、カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデシル(メタ)アクリレート類については「カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデシルメタクリレート等のエチレン性二重結合を有するカルボン酸類;」(段落【0021】)と記載されているだけであって、カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデシルアクリレートあるいはカルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデシル(α-トリフルオロメチル)アクリレートについては何も記載されていない。

(4)一般式(5)


一般式(5)において「R1は水素原子若しくはメチル基」とされているが、R1 がメチル基である構造を与えるモノマーは、p-(2-ヒドロキシ-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)α-メチルスチレンである。
しかしながら当初明細書には、このようなp-位にヒドロキシ基含有フルオロプロピル基を有するスチレンについては「p-(2-ヒドロキシ-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)スチレン」(段落【0021】)が記載されているだけであって、p-(2-ヒドロキシ-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)α-メチルスチレンについては何も記載されていない。

(5)一般式(6)


一般式(6)において「R2 は水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基」とされているが、R2 がメチル基である構造を与えるモノマーは、2-(4-(2-ヒドロキシ-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)シクロヘキシル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメタアクリレートである。
しかしながら当初明細書には、このようなp-位にヒドロキシ基含有フルオロプロピル基を有するシクロヘキシル基を結合したヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート類については「2-(4-(2-ヒドロキシ-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)シクロヘキシル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルアクリレート、2-(4-(2-ヒドロキシ-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)シクロヘキシル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルトリフルオロメチルアクリレート」(段落【0021】)が記載されているだけであって、2-(4-(2-ヒドロキシ-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)シクロヘキシル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメタアクリレートについては何も記載されていない。

5-2.一般式(8)?(16)について
次に、酸解離性基や極性基を表すRについての一般式(8)?(16)について検討する。

(6)一般式(8)


一般式(8)において、「R11は炭素数1?3のアルキル基、R12及びR13は共にメチル基若しくはいずれかがメチル基で残りが1-アダマンチル基・・・」とされているから、酸解離性保護基は、R11が炭素数3のアルキル基でR12及びR13が共にメチル基である場合、即ち、CH3 CH2 CH2 C(CH3 )2 -基である場合を含むものである。
しかしながら当初明細書には、このような鎖状炭化水素基については「tert-ブチル基、tert-アミル基」(段落【0022】)が記載されているのみであり、CH3 CH2 CH2 C(CH3 )2 -基については何も記載されていない。
また、一般式(8)において、酸解離性保護基は、R11が炭素数3のアルキル基でR12がアダマンチル基でR13がメチル基である場合、即ち、(CH3 CH2 CH2 )(1-アダマンチル)(CH3 )C-基である場合を含むものである。
しかしながら当初明細書には、このようなアダマンチル基を有する酸解離性保護基については「2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、2-プロピル-2-アダマンチル基、2-(1-アダマンチル)-2-プロピル基」(段落【0022】)が記載されているのみであり、(CH3 CH2 CH2 )(1-アダマンチル)(CH3 )C-基については何も記載されていない。
さらにまた、一般式(8)において「R11は炭素数1?3のアルキル基、・・・R12及とR13でお互いに結合して形成した炭素数5?12の単環若しくは有機環構造を有する脂環式アルキル基」とされているから、酸解離性保護基は、R11が炭素数1?3のアルキル基、R12及とR13でお互いに結合して形成した炭素数が7、8、9、11の脂環式アルキル基である場合を含むものである。
しかしながら当初明細書には、このような脂環式アルキル基を有する酸解離性保護基については「1-メチル-1-シクロペンチル基、1-エチル-1-シクロペンチル基、1-メチル-1-シクロヘキシル基、1-エチル-1-シクロヘキシル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、2-プロピル-2-アダマンチル基、2-(1-アダマンチル)-2-プロピル基、8-メチル-8-トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカニル基、8-エチル-8-トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカニル基、8-メチル-8-テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカニル基、8-エチル-8-テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカニル基等の飽和炭化水素基;」(段落【0022】)と記載されているだけであって、炭素数が7、8、9、11の脂環式アルキル基については何も記載されていない。
(なお、当初明細書の脂環式アルキル基を有する酸解離性保護基の炭素数は以下のとおりである。;
シクロペンチル基(炭素数5)、シクロヘキシル基(炭素数6)、アダマンチル基(炭素数10)、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカニル基(炭素数10)、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカニル基(炭素数12))

(7)一般式(9)


一般式(9)において「R14は炭素数1?2のアルキル基、R15は炭素数1?10の鎖状・・・のアルキル基」とされているから、酸解離性保護基は、R14が炭素数2のアルキル基でR15が炭素数5?10のアルキル基である場合、即ち、CH3 (CH2 )4?9 O(CH3 CH2 )CH-基である場合を含むものである。
しかしながら当初明細書には、このような鎖状炭化水素基については「1-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、1-iso-プロポキシエチル基、1-n-ブトキシエチル基、1-tert-ブトキシエチル基、1-メトキシメチル基、2-エトキシメチル基、1-iso-プロポキシメチル基、1-n-ブトキシメチル基、1-tert-ブトキシメチル基」(段落【0022】)が記載されているのみであり、CH3 (CH2 )4?9 O(CH3 CH2 )CH-基については何も記載されていない。
また、一般式(9)において「R15は炭素数1?10の・・・脂環式のアルキル基」とされているから、酸解離性保護基は、R14は炭素数1?2のアルキル基、R15は炭素数1?10の脂環式のアルキル基である場合を含み、このような場合のR15としては、炭素数が3、4、7、8、9の脂環式アルキル基も用い得るものである。
しかしながら当初明細書には、このような脂環式アルキル基を有する酸解離性保護基については「1-シクロペンチルオキシエチル基、1-シクロヘキシルオキシエチル基、1-トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカニルオキシエチル基、1-シクロペンチルオキシメチル基、1-シクロヘキシルオキシメチル基、1-トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカニルオキシメチル基」(段落【0022】)と記載されているだけであって、R15を炭素数が3、4、7、8、9の脂環式アルキル基とすることについては何も記載されていない。
(なお、当初明細書の脂環式アルキル基を有する酸解離性保護基の炭素数は以下のとおりである。;
シクロペンチル基(炭素数5)、シクロヘキシル基(炭素数6)、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカニル基(炭素数10))

(8)一般式(11)

一般式(11)において「R21及びR22はそれぞれ独立して水素原子若しくはメチル基、m及びnはそれぞれ独立して0若しくは1であって、共に0となることはない整数」とされているから、一般式(11)の極性基は5?6員環の(脂環構造を持たない)ラクトンであってR21及びR22が共にメチル基である場合を含むものである。
しかしながら当初明細書には、このような5?6員環の(脂環構造を持たない)ラクトンについては「γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、メバロン酸δ-ラクトン」(段落【0026】)が記載されているのみであり、R21及びR22が共にメチル基であるラクトンについては何も記載されていない。
(なお、メバロン酸δ-ラクトンは側鎖にメチル基を有するが、側鎖メチル基は1個しか存在しない。)

5-3.まとめ
したがって、本件補正2により請求項1に記載された一般式(1)?(7)、式中の記号の説明、及び、式中のRを表す一般式(8)?(16)で表される繰り返し単位の内、少なくとも上記(1)?(8)で指摘したものは当初明細書に記載されていないので、本件補正2は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものでない。

6.むすび
以上のとおりであるから、この出願は、平成17年1月31日付けの手続補正が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-07-30 
結審通知日 2007-08-07 
審決日 2007-08-20 
出願番号 特願2003-413438(P2003-413438)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (C08F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲吉▼澤 英一  
特許庁審判長 井出 隆一
特許庁審判官 一色 由美子
渡辺 陽子
発明の名称 半導体リソグラフィー用共重合体の製造方法及び該方法により得られる半導体リソグラフィー用共重合体  
代理人 小林 雅人  

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